2020年01月26日

◆イラン国民の怨嗟の的は

宮崎 正弘
 

令和弐年(2020)1月19日(日曜日)通巻6344号   <前日発行>

イラン国民の怨嗟の的はアメリカではなく革命防衛隊は?
  猛烈インフレ、家計の赤字。雇用なし、反政府感情が爆発している

 スレイマニ・イラン革命防衛隊の司令官殺害に激怒したイランは報復を誓った。
だが、「アメリカに平手打ちを食わせた」とするハメネイ師の揚言をよそに、イラクの米軍基地における被害は軽傷者のみだった。殺害事件の直後には百万人の反米抗議デモが展開されたが、急速に萎み、いまイラン政府、というより革命防衛隊が憂慮するのは自分たちを標的とする民衆の抗議行動の爆発である。

「平手打ち」と言うだけで次の行動がとれないのはある意味、限界を示しているのではないのか。2019年11月に起きた反政府デモは、軍が出動して発砲、1400名から1500名が殺害された。天安門事件の中東版?
 
 宗教指導者の守衛だった筈の革命防衛隊は、いまや「国家」である。ボディガードが主役になったのだ。革命防衛隊はいつしかイランの利権を寡占し、特権階級を形成し、宗教指導者は飾りにちかくなって、宗教のドグマとは無縁の暴走を始めた。
肝腎要の国内経済を顧みずに、イラク、シリア、レバノンなどのシーア派武装組織を支援し、はてはオマーンからイエーメンにも武装組織支援のネットワークを拡大してきた

イラン国民は「(革命防衛隊は)そんな無謀な企みに巨額を使うな。われわれの生活向上に予算を使うべきではないか」と怒りの声をあげ、各地で反政府行動、抗議集会、デモ(反米デモではない)が連鎖的に起きている。

 イランの平均賃金は毎月318・53ドルだが、家計の支出は345・22ドルに達し、物価は平均で28%の高騰、イラン人の食卓に欠かせない米、卵の値上がりが顕著になり、交通費、光熱費、家賃が一緒にあがってしまった(数字はアジアタイムズ、1月13日)。

 革命防衛隊は武装、武闘、武器の使い方にはなれていても、経済政策は理解不能。やることなすこと誤謬に満ちている。
かといってエリートには直言できる逸材もおらず、日々、一直線に経済低迷、破綻への道を突っ走っているのが実情だろう。

 出生率は2015年から19年の四年間で25%の激減ぶり。
医薬、医療品の不足、とくにインシュリンが欠乏しており、薬局に行ってもろくな薬品がないという。
 つまり現在のイランは「反米」どころではないのである。「反米」は革命防衛隊のすり替え宣伝の手段と言えるのである。

 トランプはツィッタ─で書いた。
 「(ハメネイ師よ)言葉使いに気を付けよう」。

△□◇み◎○△□や○△□◇ざ◎○△□き△□◇◎ 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ)小誌は1月24日─30日が海外取材のため休刊となります。 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)貴誌前号の関岡英之さんの訃報には愕然です。以前から名前を知っていた彼と初めてゆっくり話したのは、共に国際理解促進図書優秀賞を受賞した2010年の秋、日比谷公園そばの授賞式会場でした。
 彼の作品は『帝国陸軍 見果てぬ防共回廊』、私のは『朝鮮で聖者と呼ばれた日本人』でした。奥様にもそのときお会いしました。しかし2年後に奥様はたしか癌で亡くなられて、その後一人で子供さんを育てられていると仄聞しました。
 大変だろうなと思っていましたが、色々と心労も重なっていたのかもしれません。
 潔癖な人でした。「竹中平蔵が慶應教授でいる限り、決して慶應の校舎内には足を踏み入れない!」と宣言していました。彼は慶應出身で、むろん母校への愛はありました。もっと本を書いて欲しかったです。合掌…。
  (田中秀雄)


(宮崎正弘のコメント)前号小生のコメントに追加しますが、関岡さんの映画の鑑賞眼も確かなものがあって、小生のように一年に一回か二回しか封切館に行かない人間も、氏が『シン・ゴジラ』と『帰ってきたヒトラー』を推薦するので、見に行きました。両作品とも秀作ですね。
逆に小生が推めているのは3月20日に公開の『FUKUSHIMA 50』で、福島原発の爆発を抑えるために戦った50人のサムライを、反原発などというイデオロギーを抜いて描いています。


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。