2020年01月27日

◆中国新幹線、累積赤字が拡大しているのに

宮崎 正弘

 
令和弐年(2020)1月22日(水曜日)通巻6348号   
中国 新幹線、累積赤字が拡大しているのに、まだ新線を強気建設
  GDP拡大路線のツケが表面化しているゾ

 2008年北京五輪直前に、中国新幹線第一号「北京─天津」間が開通 した。爾来僅か12年、全国に網の目のように拡大された新幹線の営業キロ は35000キロ、とうに日本の10倍以上に達している。(中国では新幹 線を「高速鉄道」と言う)。

「三大無視路線」といわれるのは、環境破壊、安全性、財務バランス無視 という基本の発想があり、ひたすら拡大することにある。経済性は最初か らネグレクトされている。
測量しながら設計し、同時に着工するという3つ同時の離れ業!

事故は気にせず、手抜き工事は常識、安全性は保障されず、ひたすらレー スを敷いて、橋を架け、トンネルを掘り、高架の連続。基本的に土地の収 用は手間がかからず、立ち退かない場合は夜中にブルトーサーを投入、立 ち退き家屋の保障も、地元幹部によってちょろまかされている。

工費対収入バランスはどうかと言えば、黒字化したのは北京─上海、広州─ 香港くらいで、しかも運賃が安いため、元が取れるかどうか。たとえば北 京 ─ 張家口は運賃が僅か13ドル。一等車とグランクラスがあるが、 金持ちはグランクラスに座るから、すぐに満席、一等車は3両連結だが、 いつもガラガラである。

どれだけの迅速さで営業キロ数を伸ばしてきたかと言えば、2010年に 8358キロだったが、2015年には19000キロに達し、2018年には29000キロも工事をやってのけた。現在の推計で35000キ ロだ。

当然ながら下請け、孫請け業者からの賄賂が横行し、はては納品の弁当屋 から、車内雑誌の印刷屋まで「上納金」が必要となる。上層部は賄賂漬け になる。鉄道利権は軍と江沢民派が支配してきた。
 


つまり2008年から2年まで2018に新幹線工事に投入されたのは7兆 6761億元で邦貨に換算して130兆円(一元を平均17円で計算)以 上が累積赤字となっているが、誰も気にしている様子はない。思い出しま せんか。国定民営化の折、累積赤字は24兆円。

親方日の丸ならぬ、官僚的体質だから、究極の赤字は中華人民共和国が負 うことになる。それは国民一人一人の将来の負債として重く乗りかかるだ ろうが、中国人エコノミストは殆どが体制翼賛会的は御用学者だから、危 険性を指摘しないのだ。

予算財源は「鉄道債」を起債してきた。

手品の一種であり、明るい展望だけを投資家に提示すれば、ジャンク債と 分かっていても買い手がいるのだ。購入は国有銀行とファンド、金利は相 当高いが変動する。無理矢理のGDP拡充の一環として、突貫工事が強行 され、人のいない砂漠、誰も行かない山岳地帯にも新駅が造られた。

手元資金不如意となって、今度は新幹線網を、日本の国鉄分割のように、 いくつかにわけ、黒字の北京─上海間の企業は上場させて、回転資金をか き集めた。ほかの路線の財政健全化の目処はまったく立っていない。


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