2020年01月28日

◆累積赤字が拡大しているのに

宮崎 正弘

 
令和弐年(2020)1月22日(水曜日)通巻6348号   

中国新幹線、累積赤字が拡大しているのに、まだ新線を強気建設
  GDP拡大路線のツケが表面化しているゾ

 2008年北京五輪直前に、中国新幹線第一号「北京─天津」間が開通した。爾来僅か12年、全国に網の目のように拡大された新幹線の営業キロは35000キロ、とうに日本の10倍以上に達している。(中国では新幹線を「高速鉄道」と言う)。

 「三大無視路線」といわれるのは、環境破壊、安全性、財務バランス無視という基本の発想があり、ひたすら拡大することにある。経済性は最初からネグレクトされている。

測量しながら設計し、同時に着工するという3つ同時の離れ業!

事故は気にせず、手抜き工事は常識、安全性は保障されず、ひたすらレースを敷いて、橋を架け、トンネルを掘り、高架の連続。基本的に土地の収用は手間がかからず、立ち退かない場合は夜中にブルトーサーを投入、立ち退き家屋の保障も、地元幹部によってちょろまかされている。

工費対収入バランスはどうかと言えば、黒字化したのは北京─上海、広州─香港くらいで、しかも運賃が安いため、元が取れるかどうか。たとえば北京 ─ 張家口は運賃が僅か13ドル。一等車とグランクラスがあるが、金持ちはグランクラスに座るから、すぐに満席、一等車は三3両連結だが、いつもガラガラである。

どれだけの迅速さで営業キロ数を伸ばしてきたかと言えば、2010年に8358キロだったが、2015年には19000キロに達し、2018年には29000キロも工事をやってのけた。現在の推計で35000キロだ。

当然ながら下請け、孫請け業者からの賄賂が横行し、はては納品の弁当屋から、車内雑誌の印刷屋まで「上納金」が必要となる。上層部は賄賂漬けになる。鉄道利権は軍と江沢民派が支配してきた。
 
つまり2008年から2018年までに新幹線工事に投入されたのは7兆6761億元で邦貨に換算して130兆円(一元を平均17円で計算)以上が累積赤字となっているが、誰も気にしている様子はない。思い出しませんか。国定民営化の折、累積赤字は24兆円。

親方日の丸ならぬ、官僚的体質だから、究極の赤字は中華人民共和国が負うことになる。それは国民一人一人の将来の負債として重くのしかかるだろうが、中国人エコノミストは殆どが体制翼賛会的は御用学者だから、危険性を指摘しないのだ。

予算財源は「鉄道債」を起債してきた。
 
手品の一種であり、明るい展望だけを投資家に提示すれば、ジャンク債と分かっていても買い手がいるのだ。購入は国有銀行とファンド、金利は相当高いが変動する。無理矢理のGDP拡充の一環として、突貫工事が強行され、人のいない砂漠、誰も行かない山岳地帯にも新駅が造られた。

手許資金不如意となって、今度は新幹線網を、日本の国鉄分割のように、いくつかにわけ、黒字の北京─上海間の企業は上場させて、回転資金をかき集めた。ほかの路線の財政健全化の目処はまったく立っていない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜アメリカ宣教師が捏造した「史観」がまだ日本を呪縛している
  「反日」の宣教師史観はいかにして「創作」されたか

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池田悠『一次資料が明かす南京事件の真実』(展転社)
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南京事件とは、狭義の文脈では、国民党とアメリカがでっち上げ、いま中国共産党の政治プロパガンダに活用されている「南京大虐殺」のことを意味する、

真っ赤な嘘であることはすでに幾多の研究家、歴史家によって証明された。阿羅健一、北村稔、東中野修道、水間政憲、藤岡信勝、田中秀雄の各氏らの努力と地道な研究により、国民党に雇われたジャーナリストとかの扇動家たちの謀略放送であった。

ところがまだ資料が埋もれていた。

本書はアメリカ人宣教師たちの暗躍をしめす証拠書類を発見し、検証したのだ。

「彼らアメリカ宣教師団は、プロテスタントの中国布教という大きな目標を共有する結束ある集団であり、南京においては多くのメンバーが一つの屋根の下で生活し、一体となって活動していた」。

その名簿がある。南京に残留した外国人はラーベを筆頭とするドイツ人が5人、ロシア人が2人、オーストリア人がひとり、残りはアメリカ人で、大学教授、医者が隠れ蓑の宣教師軍団、14人だった。
 
なぜならもう一つの宣教師リストがあって、前掲リストのうちのアメリカ人14人の内、13人が宣教師だったことが判明している。トリマーという医者も、のちにラーベの記録から宣教師だったことが判明した。つまり、南京に残ったアメリカ人14人の全員が宣教師だったのだ。

彼らが東京裁判で証言したのである。

からくりはこれで了解できる。かれらは中国兵の犯罪を隠ぺいした。あるいは伝聞というかたちで日本軍が犯罪を犯したような逆の印象を作り出した。

彼らが嘘の情報の発信源であり、新聞記者らはアメリカ人の宣教師団の伝聞ということを明記しないで記事を送った。

フェイクは、こうした中国の支援によるアメリカ宣教師団のでっち上げによるものだったと本書は重厚に検証を繰り返す貴重な資料本である。 
           
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 読者の声 どくしゃのこ
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(読者の声1)貴誌前号に梅蘭芳の話が出ていましたので満州事変関連でご参考まで。(「黒幕はスターリンだった」落合道夫著 ハート出版から)

 「満洲事変の勃発」そこで、1931 年9月18 日石原莞爾rらの関東軍(在満日本軍)は張学良の兵営を榴弾砲で攻撃し張学良軍を万里の長城内に追放した。これが満洲事変である。この時北京で張学良を見かけた日本人の記録が残っている。

「劇場の張学良」9月18日私は北京の京劇の芝居小屋で名優梅蘭芳の宇宙鉾を見ていた。すると突然2階が慌ただしくなった。見ると第一ボックスに座ったのは、張学良と第一夫人の干鳳至だった。背後を一個小隊の護衛が囲んでいる。当時の張学良は事実上北京地域の王者であり、瀟洒な燕尾服を着用しワイシャツの胸が白く見えた。しかし彼は憂鬱そうで舞台を見入ることが無かった。舞台の梅蘭芳が仇っぽい目を投げたが、気づいたとも思えなかった。彼は檻の中に新しく入れられた豹のようにきょろきょろしていた。私は彼が芝居を見に来たとは思えなかった。11時頃、長身の男が駆け込んできて学良に何事か耳打ちした。とたんに彼はすっくと立ち上がった。侍者が彼に黒ラシャのマントを掛け与えた。その裏地の燃えるような真紅が何かの兆しのように見えた。バタバタと張学良の一行は慌ただしく劇場から立ち去った。翌日の北京の町では号外が売られ、奉天の張学良の北大営駐屯地が昨夜日本の関東軍によって突如砲撃されたと報道していた。(「北京十話」村上知行著から抜粋)。(落合道夫)
 
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(読者の声2) 26日放映された日本文化チャンネル桜のニュース解説番組【Front Japan 桜】は福島香織さんが「春節大移動直前に武漢コロナウイルス拡大」、そして宮崎正弘さんが「カジノが日本に? 澳門(マカオ)の教訓」です。

下記ユーチューブでご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=NtPlaLnhs6o
 宮崎正弘さんの「澳門の教訓」は45分頃から1時間5分くらいの箇所です。(日本文化チャンネル)

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(読者の声3)インターポールの総裁だった孟宏偉が、昨日(1月21日)の裁判で13年半という中途半端な禁錮刑。不思議ですね。中国代表の国際警察のトップが、汚職で裁かれるとは。家族はフランスに亡命できたのでしょうか?
  (DK子、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)昨年「重大な党規違反」として孟宏偉(66歳)は、党籍剥奪、爾来、取り調べが長引いていましたが、天津の裁判所で結審でした。

容疑は公安副局長時代の賄賂が210万ドル。フランス時代の職権濫用による賄賂が29万ドルとか。

北京に呼び戻される直前から、警戒していたらしく夫人の携帯電話に、ナイフの絵を最後の通信に使っていたことが報じられました。

権力闘争の奥が深いでしょう。夫人は「夫は無実、政治的な思惑で嵌められた」とハーグの国際裁判所へ訴えて、その後、フランス政府は亡命を認めたようです。


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