2020年01月29日

◆国民貧困化宣言

三橋貴明


この世には「絶対に否定できない経済原則」
が、いくつかあります。

セイの法則やら、リカードの比較優位論やら、
トリクルダウン理論やら、
クラウディングアウト理論やら、
マンデルフレミングモデルやらは、
特定の「政治目的」のために強引に
定義された「仮説」です。

これら「仮説」が現実化するためには、
無数の「有り得ない前提」が
成立しなければならないわけですが、
そうではないものもあります。

代表的なのが「GDP三面等価の原則」です。

我々「生産者」は、財やサービスを「生産」し、
消費や投資として誰かが「支出」し、
生産者に「所得」が生まれる。

上記、所得創出のプロセスにおいて、
生産、支出、所得は「必ず」
イコールになります(例外はありません)。

そして、生産の合計がGDP。というわけで、
生産面のGDP、支出面のGDP、
(所得の)分配面のGDPは、
必ず同じ金額になる。

いわゆる、GDP三面等価の原則ですが、
この「原則」は絶対に成立します。

何気に、三橋の過去の活動の中で、
最も日本国に貢献したのは、GDP三面等価の
原則を「誰にでも理解できるように」
説明したことのような気がしています。

それはともかく、もう一つ。
必ず成立する原則が、

「民間収支+政府収支+海外収支=0」

です。

何しろ、誰かの収支における黒字は、
確実に誰かの収支の赤字ですから、
上記の式も100%、成立します。
例外はありません(異次元にでも行かない限り)。

そして、日本政府は未だに
「政府のプライマリーバランス
(基礎的財政収支、以下PB)黒字化」
を目標に掲げているのです。

つまりは、政府収支を黒字にするという話
ですが、となると「海外」か「民間」の
何れかが黒字を減らすか、あるいは
赤字を膨らませなければなりません。

内閣府のシミュレーションでは、
海外収支の赤字(日本の経常収支の黒字)が
対GDP比4%弱と、極端な水準で
推移することになっています。

もっとも、
さすがに内閣府も海外収支の赤字が、
4%を超えて「膨張していく」という設定は
できなかったのです。

となると、政府の赤字圧縮分、
民間が黒字を減らさなければならない。
企業優先の日本政府の政策を見る限り、
黒字縮小もしくは赤字化を引き受けるのは
「家計」になります。

内閣府のシミュレーションから読み取れる
「政府の考え方」は、以下になります。

1. 海外収支の赤字(日本の経常収支の黒字)
 が、4%弱という「異常」に高水準で
 推移する前提

2. 海外収支の赤字を膨らませていくことが
 非現実的(4%弱ですでに非現実的)である
 ため、政府収支の黒字化(PB黒字化)の
 ためには、民間収支の黒字を減らすしかない。

3. 民間収支は2019年の対GDP比
 6.6%から、2029年には2.3%に
 減る前提

4. 民間収支は「民間家計収支+民間企業収支」
 だが、企業優先の日本政府は、黒字減少
 (あるいは赤字化)の負担を家計に
 押し付けざるを得ない

5. 今後、消費税増税や控除廃止、新税導入、
 社会保障負担引き上げなどの「増税」と、
 社会保障支出削減という国民貧困化政策が続く

と、政府は改めて「国民貧困化宣言」
をしたことになります。

が、内閣府のシミュレーションを受けた
国内メディアは、「成長実現ケース」で
あっても、目標年度である2025年に
PB赤字が3.6兆円となり、黒字化を
達成できないため、

「財政健全化へ多難な道のり
 アベノミクスに陰り(産経新聞)」

「財政黒字化、道険しく
 社会保障改革が急務―政府(時事通信)」

と、25年にPB黒字化「できない」ことを
問題視しています。

つまりは、国内メディアは、
「国民貧困化の勢いが足りない」と
批判しているわけでございます。

まさに、狂気の国です。

というわけで、何とかしなければなりません。
とりあえず、「誰かの黒字は、誰かの赤字」
という大原則を広め、政府のPB黒字化目標は、

「国民貧困化宣言である」

という事実を共有しましょう。

「PBを黒字化し、皆さんを貧乏にします!」

と、公約に掲げる政党を支持しますか?
という問いを、間もなく我々は
突き付けられることになるのです。

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