2020年02月19日

◆不動産暴落、業界三位の「中国恒大」

宮崎 正弘

 
令和弐年(2020)2月18日(火曜日)通巻6371号  

 ついに表面化した不動産暴落、業界三位の「中国恒大」が「投げ売り」開始
 同社の米ドル建て債券は20億ドル起債、金利12%だった

中国のデベロッパー第三位は「中国恒大集団」(英語名はエバー・グランデ)。マンション販売利益で2017年には5000億元、18年は上半期だけで2900億元を超えていた。それゆえ鼻息荒く、2019年には異分野のEVバッテリー製造に進出するとして工場建設の青写真を拡げていた。

 コロナウィルス災禍により、物件販売が停滞、じつは中国110の都市で、不動産取引が停まっている。1月は6%程度の販売減だったが、2月に入ってから取引が行われていない様相である。そのうえ、マンション購入者のローン支払いが円滑に行われておらず、各社、深刻な経営危機に直面していた。

 2月17日、恒大集団は、向こう45日間に、811の物件を25%の割引販売を行うと発表した。年明けから現在も続けているキャンペーンは532物件で22%割引。
これを今後はさらに値引きするとした。手元資金が枯渇して目先の社債償還ができなくなったからだ。

 恒大集団は、香港市場でドル建て社債を起債しており、その金利は12%である。
 中国の公式発表によるGDP成長は2019年が6%だった。GDP成長率の2倍の金利をつけないと投資家が納得しないという意味であり、「優良企業」と往時は高く評価された中国の不動産開発業者の国際的な信用度は、ジャンク債なみの評価だった。

チャイナプレミアムは世界市場で共通で、2%以上の金利を上乗せしなければ、中国企業には貸さなかった。

 恒大集団の窮状から推定できること。すなわち中国の不動産大暴落が本格化しているという実態である。
     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@【知道中国 2033回】                   
 ──「彼等の中心は正義でもなく、皇室でもない、只自己本位でゐる」服部(15/16)
服部源次郎『一商人の支那の旅』(東光會 大正14年)

   ▽
 「支那は完全な國ではない」と見做す服部は、さらに「支那人は天下といふ思想はあるが、國といふ觀念はない」と続ける。そこで「余は、支那は世界に對し外交上中華民國として一國家の外觀をなすも、其實質に至つては御氣の毒ながら完全なる國家ではないと斷定」するに至った。

 古来、修身斉家治国平天下ということばがある。服部が言うように「國は諸侯即ち督軍を指すのである」なら、彼らのキバを抜かない限り「平天下」は果たせない。この法則を習近平に当てはめてみると、「平天下」を実現させるためには、省から末端の郷鎮に至るまでの地方政府に蟠踞する党委員会幹部を「治」めなければならない。だが、これが至難だろう。「上に政策あれば下に対策あり」である。「上」が強権発動という政策を振り廻せば、「下」は面従腹背の対策を弄する。カエルの面になんとやら、である。


「英國の東方政策」を論じて服部は、「支那は幾年ならずして英國のものとなる樣である」と、イギリスの大攻勢に警鐘を鳴らす。なにせイギリスは「香港上海を始め到る處經濟優秀の地位を占有し」、鉄道の主要幹線は「何れも彼の爪牙に罹」っているほど。「現に余は上海にて廣東人福建人北京人の三名が、お互いに支那語が通ぜぬから、英語で話しているのを見た」し、また「支那を旅行するに、一片の支那語のみでは通用せぬが、英語なら何處でも通用する」。だが、だからといって「支那は幾年ならずして英國のものとなる」ことはなかった。


ここで注意すべきは、彼らが多種多様な方言を話すことだろう。だから彼らの口にする言語を「支那語」として一括して捉えることは誤解のもとだ。共産党政権による漢語(=普通話)教育が全国で徹底している現在とは違い、かつて老百姓(じんみん)にとっては方言こそが第一言語だった。
中国語は、やはり基本的には漢字を並べた書き言葉である。同じ漢字でも地方によって発音は千差万別であり、方言のなかには既存の漢字では表現できない音もあるだけに、その方言独特の特殊な漢字を使うことすらあるほどだ。

 そこで「廣東人福建人北京人の三名が、お互いに支那語が通ぜぬから、英語で話してい」たとしても、さほど珍しいことでもない。英語を話せるなら、わざわざ意思疎通の不確かな方言で会話するより、英語を共通の言語とし使った方が簡便だろうに。
だから「英語なら何處でも通用する」から「支那は幾年ならずして英國のものとなる」などと即断すること自体が間違いなのだ。事実、「支那は幾年ならずし」たところで「英國のものとな」らなかったではないか。


 アメリカの対中姿勢については、「世界戰亂でウント儲けた米國は、其の經濟力的威力を東洋殊に原料の豐富で需要の多い支那に向けた」。目下のところは埋蔵量が
「驚く勿れ無慮一兆噸の多額になつてをる」し、「炭鑛の採掘企業に關し米國は頻りに策動してをる」。「白人の代表民族として英米の兩國が、?色人種四億を有する支那に向つて、百數年來經濟的侵略を續け、今や其の目的の大半を達せしにも拘はらず」、さらに掠奪を逞しくしている。「今や世界の問題は東洋に移つた。そして人種的大戰爭がアリアリと眼前に迫つて來た觀がある」と警告を発する。


「歐米白人の東洋侵略が益々亂暴を極め、滿洲を占め、朝鮮を併呑せんとするや、東海の島國我日本は奮然起つた」。
だが「協力して戰ふべき支那は無智なりしため、却て日本が支那を侵略するものと誤解した」。そこで「止むなく涙を呑んで友邦支那と戰ひ、朝鮮を保護した」とする。服部は「吾人の最も注目すべきは、中國人の國家的自覺の其であると」するが、はたして「友邦支那」と呼んでいいものか。首を傾げざるを得ない。
      
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆読者の声どくしゃのこREADERSO
PINIONS
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)今週末の土曜日、佐賀市において宮崎正弘先生の独演会が開催されます。北九州方面の愛読者の皆様、入場無料、予約不要です。
お誘い合わせの上、ご参加下さい。

とき   2月22日(土曜日)午後2時〜4時
ところ  佐賀市「アバンセ」大ホール
     https://www.avance.or.jp/riyou/_1280.html
講師   宮崎正弘先生
演題   「米中対決の狭間 日本はどうするのか(コロナウィルス災禍で中国経済沈没)」
入場無料、予約不要
主催   佐賀土曜サロン

  ♪
(読者の声2)習近平中国主席が国賓で日本へ来ますが、日本政府はアメリカの支持を取り付けたのでしょうか?
 日本では、世論で政治が動くはずもありません。そして、その後の展開は如何でしょうか。武漢肺炎でアメリカ世論は中国に同情的と思えます。
  (OZ生)

(宮崎正弘のコメント)米国が沈黙しているのは、容認していることであり、すでに安部首相とトランプの打ち合わせは出来ていると考えるのが普通ですが、ここで想定外のコロナウィルス災禍です。天皇誕生日の一般参賀が中止となり、東京マラソンは一般参加者お断りという時に、習近平が来日ですか? おそらく訪日は延期となるでしょう。
   ♪
(読者の声3)1970年代に高校生だったのですが、和同開珎に銀貨があったことさえ知らなかった。開珎の読みですがカイホウと習いました。
 近年ではカイチンが優勢。ですが珎を珍の略字とする説はおかしい。中国の開元通宝以来、日本でも寛永通宝などホウとなります。中国人研究者の説では寶の異体字から冠と貝を省略したものだろうという。
 米国大統領の予測。ブルームバーグ氏は悪名高きヒラリー・クリントン氏を副大統領候補者とするらしい。
これで軍産報道共同体・既得権益集団の熱烈なる支援を得る訳で、武漢問題による経済破綻の責任を取らされるトランプ氏は極めて不利になる。
   (MS生)

(宮崎正弘のコメント)ヒラリーが果たして「副」に満足するでしょうか? ブルームバーグは、前から「大穴」と予想してきましたが、3月3日のスーパーチューズディで、トップに立たなければ、民主党の正式候補の可能性は薄まります。
 サンダースが第三党を組織して、分裂選挙に臨む可能性も捨てきれず、共和党はまだ主要敵が定まらないために、対応策が決まらないというのが現状でしょう。

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。