2020年04月05日

◆西側の失業保険(債務超過)の危機

宮崎 正弘

 
令和二年(2020)4月4日(土曜日)通巻6433号  

 西側の失業保険、インソルバンシー(債務超過)の危機
  米国は既に1000万人が失業保険申請。アイルランドの失業率25%

 1929年から33年頃までの世界恐慌時代、失業率は30%を超えた。大不況を帳消しにしたのは戦争だった。
 トランプ政権は2兆ドルの財政支出を電光石火のごとくに決めた。失業保険の申請は、弐週間でゆうに1千万人を突破し、原資の枯渇が憂慮されている。

EUは緊縮財政の掛け声をすっぽりと忘れ、1000億ユーロ(12兆円)の財政支援をとりあえず決定した。

アイルランドでは感染者が急拡大し、一日だけで402人(4月2日)、累計3849人。死者は合計で98人。すでに30万の失業者、中小零細が支援を求めて、悲鳴を挙げている。アイルランド中央銀行は、「まもなく失業率は25%になる」と警告した。

アイルランドは19世紀初頭からのジャガイモの不作により飢饉に襲われ、多くがカナダとアメリカへ移民となって、低所得の重労働に従事した。

アイルランド移民の末裔がJFKであり、レーガンだった。レーガンばかりかアイルランド移民の末裔は ビル・クリントンもバイデンも、マイク・ペンス副大統領も御先祖様たちはアイルランドからやってきた。

1820年代から始まったアイリッシュ移民は労働力として現場の重労働の堪え、そこへ苦力(クーリー)で中国からの労働者がじゃかすかとやってきたため、強烈な排斥運動が起きた。同じことが再現されることはないが、現在アメリカ国民の12%がアイルランド系だ。またアイルランドから米国への移民ブームが起こるか。BREXITで英国と揉めている場合ではなくなった。
      
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
【知道中国 2056回】                   
──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘17)
 橘樸「中國の民族道?」(大正14年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房 昭和41年)

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「家族主義に依る農村社會の組織」を「今少し詳しく言へば、男系の血統に沿ふて家族團體の結束を固め、之を基礎とした村落自治體」となる。この組織は「朝廷にとつて二重の利益」を意味する。

第一は社会の「無秩序から生ずる危險を防止するに足り」、第二は「新たに築き上げられた官僚政治の施行に著しい便宜が與へられる事」である。


じつは歴代王朝は精緻に築かれた官僚統制国家のようにみられるが、広大な領域に住む膨大な人口を一元的に支配・統治することは至難であり、財政的にも費用対効果が極端に悪い。そこで歴代王朝は、今風に表現するなら「大きな政府」としてではなく「小さな政府」として振る舞うことになった。

「偉大なる專制國家の官僚組織の神經末梢は知縣衙門に至りて止まり、而も其の組織が至つて小さい」ので、「官僚の手を其れ以下に伸ばす事は不可能であ」る。だから「縣以下の行政機關は之を人民の手に自營に委ねる外ない」のである。

そこで民衆の管理・監督を「鞏固な家族及宗族團體」を単位とする「村落自治體」に委ね、「知縣衙門」にまで伸びた中央権力の下請け組織に充て、「偉大なる專制國家の官僚組織」を維持・機能させることになる。

かくて「貧弱な知縣衙門の編成を以てしても大體に於て地方の治安を維持する上に不便を感ぜぬ事になる」わけだ。


つまり「中國では──少なくとも秦漢以來──朝廷が人民に對する最高にして最大の搾取者であり、官僚は朝廷の爲に搾取する任に當り且つ其序に自らの懷を肥やすところの番頭乃手代であります」。そこで朝廷が自らの「安寧、利益及威嚴を維持する爲に設けた道具立は法律及軍隊に外ならぬのであ」る。

「軍隊の事は本論と關係がないから」と省略した橘は、「中國の法律には被治者の權利利益を保證すると云ふ意味は──少なくも主觀的には──全くない」。

だから「中國の人民は朝廷の法律に信頼する事が出來ません」し、であればこそ「自身及び彼の屬する團體の安全を企圖する爲には是非共彼等自身の力に頼る外ない」のである。

こう見てくると、橘が説く封建王朝の「偉大なる專制國家の官僚組織」は、そのまま現在の共産党独裁政権の官僚組織──習近平を頂点とする中央政府から最末端の郷鎮レベルの地方政府まで──に酷似しているように思える。

「偉大なる專制國家」を維持・機能させるためには封建王朝においては官僚、共産党政権においては末端幹部の存在が必要となるわけだが、それが彼らの専横を許し、民衆に対する圧迫・搾取に繋がることになる。


ここで、橘と同じような視点から中国の官僚組織を捉えた佐野学(1892年〜1953年)の見解を紹介しておきたい。

昭和初期の非合法時代の日本共産党(第2次共産党)で中央委員長を務め、1933(昭和8)年に鍋山貞親と共に「共同被告同志に告ぐるす書」と題する「獄中転向」を発表して世間を驚かせ、戦後は早稲田大学商学部で教鞭を執り反共・反ソの立場で論陣を張ったアノ佐野である。

「旧中国の官僚は単に国家の機構であるのではなく寧ろ国家の主人であった。又それは単なる社会層ではなく、むしろ一つの社会階級であった。

旧中国国家は完全に支配階級たる広義の地主的階級の独占物で、この階級は在朝の官僚と在野の豪紳及び大地主より成り、官僚も官を罷めて帰国する時は豪紳となり、豪紳は官途に就けば官僚となる。

彼らは国家を通じてその財産制(土地私有)及び政治的特権を擁護するのみならず、国家を通じて人民より誅求した獲物(主として地代)を分配し、之を生活、逸楽及び階級分化の源泉とする」(『佐野学著作集』第5巻 1963 佐野学著作集刊行会)とした。
なお、引用文中の「帰国」は「官職を退職し故郷(自らが所有する土地)に戻ること」を意味する。
      
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘
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(読者の声1)新潟在住の読者です。これから桜が咲きます。さて、知人の知人(武漢在住)曰く、「町裏に死体がゴロゴロ転がっている」。

本当のように思えます。貴誌で指摘されたように死亡診断書は「コロナと書くな」。

武漢の火葬場は24時間。煙があがっているのに、感染も死者も減っていて、世界は中国に感謝せよ、などと中国政府の開き直り。
さすがに恥のない、羞恥心って何か分からない人たちですねぇ。(HN生、新潟)


(宮崎正弘のコメント)新潟といえば、市内のど真ん中、学校跡地の宏大な河添いの土地5000坪、中国領事館用に売却しましたが、その後、どうなっているのでしょうね?

5年前に見に行ったときは更地でしたが。
 
新潟から富山、福井に駆けて古代の「高志」(こし)という国の名前は古事記の表記ですが、出雲風土記では「古志」、日本書紀は「越」とされています。新潟の銘酒は越乃寒梅、お米はコシヒカリ。富山の文学館は「高志の文学館」。あ、後節は余計なことでした。

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(読者の声2)ハーバードが中国の病菌で汚染されている事実はCharles
Lieber教授の問題で明るみに出てきているが、学長が武漢ウイルスに感染というのも象徴的です。
https://www.epochtimes.jp/p/2020/04/54143.html
  (AO生、世田谷区)


(宮崎正弘のコメント)ま、東大も共産主義史観という中国ウィスルですっかり汚染されていますから。アカデミズムの世界ではまともな中国批判は出来ない雰囲気があり、ジャーナリズムの現職で中国の真実を報じられるのは産経くらいでしょう。

ですから『正論』、『月刊HANADA』、『WILL』などが売れるわけで、嘗て一世を風靡した岩波の『世界』は、いまでは図書館に行っても見あたりませんね。

SNSもユーチューブも、朝日批判ばっかり。このデジタル読者が活字メディアにも戻って欲しいものです。
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(読者の声3)ETFの信頼性。かつて投資信託と呼ばれ、バーテンダーがカクテルを作る様に、色々な会社などの株、債権などを適当に混ぜて、例えば、このETFは「米国最高のIT企業価値」を代表しますなどとし、素人が苦労して沢山の会社の株を買う手間が省けるので、広く大量に使われる様になった。

もちろん個人だけでなく、大きな年金基金の運営者も大量に使う。利点は手数料が少なく、一つのETFを売り買いすることで、多数の株式を操作するという便がある。その全世界的な極度の依存に問題がある。

火災保険とは、不慮の被害を、多くの加入者と分担し、防ぐという仕組みで通常の環境では機能する。かつては保険金を集めてズラカル悪者もいた。江戸の大火事、戦争などの大災害の際は保険会社も破産し、家も失い掛け金も無駄になる。

令和2年に始まった「CCP菌世界大恐慌」とは人類最悪の金融・経済崩壊になると予想され、現にあらゆる指標の降下率の世界記録を更新している。

この様な極めて稀な環境にあっては、ETFの様な人口的な産物は、化けの皮を剥がされ、ガッカリする可能性があると映画(BIG SHORT、2015年)にもなった高明な投機家マイケル・バリー氏が忠告している。

氏はスタンフォード大学医学部卒でもあり、CCP菌についても楽観していない。

過去の暗記した知識、経験、法則、保証などが役に立たない、大変危険な時代にいる。(KM生)

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(読者の声4)断食礼賛(だんじき・らいさん)、緑茶、海藻類、など。

自然界の動物は獣医師が居ないので、病気になると、断食をする。最近、インテリ、金持ち、科学者などが動物の真似をして、米国で、断食が流行している。

何遍も実験され証明されているが、断食、カロリーの摂取量を激減させる、と長寿になる。アウシュヴィッツの囚人が、透明なポテト・スープに耐え、痩せ衰えたが、娑婆に帰ると、皆長生きした、と言う例もある。

粥と沢庵3切れの痩せ坊主も元気でなかなか死なない。檀家の若い後家が迷惑するほど元気である。

武漢菌に対抗すべく、「美味しいものを食べて」良く寝て、と医者などが忠告しているが、これは戦後の貧困時代には通用したかもしれないが、現在の日本人には当てはまらない。

いわば、「国民を平和ボケの状態にして、戦争に備えろ」と言うのに等しい。

断食の効用の生理的な理由は解明されていないが、おそらく、3度の食事が消えると、人類の敵・飢餓危機の状態と認識され、備えの構え、つまり免疫と言う兵隊を増強する、などの反応が始まる、と推論されている。食べて、消化するには、かなりの努力が必要であり、そのため、食後は眠たくなる。断食の反対は肥満であり、あらゆる病気の原因である。

知人が断食をしている、と言うので好奇心で始めたが、もう20年になる。因果関係の証明は極めて困難であるが、今のところ風邪もひかず、定期的診断でも、医者を嘆かす。

これから日本にも戒厳令がしかれ、自宅待機となろうが、断食の術を覚えておくと、食糧が無くなっても、それほど悲観せずに済むし、料理の手間も省け、食費も減る。

「日常で緑茶をたくさん飲んで、海藻類をたくさん食べましょう」という「科学的な」発見もあるので、御参考まで。
https://indeep.jp/epigallocatechin-gallate-egcg-ingreen-tea-could-win-novel-corovairus/
  ((KM生)

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(読者の声5)用語の統一について

現在マスコミの用語は「新型コロナウィルス」であるが明治人がこれを見たら、何と思うだろうか。こんな漢字・カタカナの混ぜこぜ表現を明治人は絶対しないであろう。現代日本人は、特に戦後は何の抵抗もなく漢字・カタカナ表現に不感症となってしまった。

そこで提案したい。病原体と病気を先ず区別して、病原体を「武漢菌」、病気を「武漢肺炎」とすることを。菌とウィルスは違うと言った学者のような五月蝿い区別は取り敢えず措くとする。米でもWuhan
VirusやChina Virusと言っているではないか。

メルマガ「台湾の声」を以下に引用する。

1、「新型コロナウイルス」は間違っている。疾病に新旧はない。いつまで新型で、いつになったら旧型になるのか
2、Covid-19(coronavirus
disease2019)2019年に発生したコロナウイルスによる疾病。それなら同じコロナウイルスの一種である風邪もCovid-19?
3、事実に則し正確なネーミングは「武漢コロナウイルス」
引用終:(ちゅん)

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(読者の声6)アメリカ3月の新車販売の速報値が発表されました。

米国メーカーの3月販売では、GMが前年同月比37.3%減、フォードが26.6%減、FCAが36.3%減となった。第1四半期でもGMが7.3%減、フォードが12.3%減、FCAが10.4%減となった。厳しい環境の中、第1四半期でテスラが19.8%増、FCAのラムブランドが3%増を確保した。

日本車の3月販売では、トヨタが38.0%減、ホンダが48.0%減、日産が48.5%減、第1四半期でもトヨタが8.9%減、ホンダが19.2%減、日産が29.6%減となった。その他の日本車の3月販売は、スバルが47.1%減(第1四半期で16.7%減)、マツダが41.8%減(同4.5%減)、三菱が52.1%減(同15.5%減)だった。

韓国車の3月販売は、現代が42.4%減(同11.2%減)、起亜は18.6%減であったが第1四半期では1.0%増となった。

欧州車の3月販売は、VWが41.7%減(同12.8%減)、アウディが52.4%減(同14.0%減)となった。

高級車の3月販売は、バンを除いたメルセデス・ベンツが36.9%減(同10.1%減)、BMWが50.3%減(同19.5%減)、レクサスが46.7%減(同15.6%)となり、高級車の主要市場であるニューヨークやカリフォルニアなどの影響が大きく作用しているものと推測される。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2020

トヨタが銀行に1兆円の融資枠を求めたという報道も、この数字を見れば納得。新型コロナパニックが収まるまでの運転資金が確保できない企業は軒並み黒字倒産の可能性もありえます。

平成の出だしは小渕総理が野菜のカブを持って「株上がれ」だったのに橋本総理が消費税増税に踏み切り、以後景気は腰折れ、自殺者が年間3万人以上に急増という事態になりました。

その後は小泉総理の輸出主導による「実感なき景気回復」があり、派遣労働の規制緩和もあり正規雇用は減るばかり。郵政民営化を仕切った竹中平蔵は人材派遣のパソナの取締役会長ですからアメリカの金融筋(俗にユダ金とも)の手先といってもいいのかも。よく言えば雇用の流動化を進めたという見方もあるのでしょう。

平成時代を思い起こすとどうしても「停滞」という言葉がでてきます。1990年代末、JR東日本の大井町の駅ではソニーが開発したFelica搭載のICカードの実証実験をしていました。

香港ではいち早く実用化し、空港鉄道から地下鉄、バス、フェリー、コンビニ、自販機に至るまでカード一枚でOK。香港の大きくて重たい硬貨を持ち歩かなくて済む快適さに感動モノでした。

同じころ韓国のソウルではバスの利用客のほとんどが交通カードというICカードを入れたハンドバッグを読み取り機に押し付けるだけ。

インターネットにいたってはADSLの高速回線のソウルにくらべ日本は電電公社時代からのISDNという64kの回線が精一杯。ソフトバンクの孫正義がADSLモデムの無料配布をしたこともありNTTも渋々ながらADSL対応になりネットの高速化が実現しました。

銀行も海外では1990年代から当たり前の24時間ATMが日本では2000年代に入ってから。20年前のシンガポール・チャンギ空港のセブンイレブンではカード決済もでき、署名は電子ペンでした。

今では日本でも携帯・スマホの契約はすべてタブレットと電子ペンの署名になりましたが技術はあっても実用レベルでの普及にはそうとう時間がかかるのが日本の現状です。

今回のコロナパニックでも海外ではネット授業を充実させるなど対応しているようですが日本はそうとう遅れているように思えます。

今の時代、一家にパソコンやスマホの一台はあるでしょうから、教師がユーチューバーになったつもりで授業動画を配信すればいいだけの話。

ところがこんなことにまでパソコンやタブレット、通信端末を配布するといった利権にたかりたがる政治家・官僚がいるようで嘆かわしい限りです。(PB生、千葉)

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(読者の声7)三島由紀夫研究会から公開講座延期のお知らせです。

 4月24日、新保祐司先生をお招きしての公開講座ですが、時節柄、延期となりましたので、お知らせします。延期日程が確定次第、告示します。 (三島由紀夫研究会)

    

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