2020年06月14日

◆米国、「ELリスト」に中国の2つの大学を加えた

宮崎 正弘

 
令和2年(2020)6月13日(土曜日)通巻第6534号 

米国、「ELリスト」に中国の2つの大学を加えた
哈爾浜工業大学、哈爾浜工程大学は日本の大学とも提携している

 哈爾浜(ハルピン)はエキゾティックな街である。
ロシア街あり、旧日本人街あり、往時は満蒙開拓団の拠点だった。伊藤博文が暗殺されたのも、この哈爾浜駅だった。

市の中心にある中央大街を歩くと、ロシア料理店、旧松浦洋行ビル、毛皮屋、ショッピングモール。地下街は名店街となって広く買い物客、観光客を集める。高級毛皮屋を覘くと長身のロシア系美人が売り子。テンの襟巻きの値段を聞いたことがあるが、屋台で売っている20倍ほどの価格帯だった。

さて哈爾浜は、学問の府でもある。中国のエリート校は北京大学、清華大学、上海交通大学、復旦大学のなを浮かべるが、同ランクに哈爾浜工業大学、哈爾浜工程大学が入っている。

老舗、名門の哈爾浜工業大学は1920年に設立された。創立時代は東進鉄道の技術部門としてエンジニア養成だった。理事会トップは張学良だった時期もあり、ロシアの傘下に入ると、授業はロシア語。そして満州時代には日本語で授業が行われた。

革命後、軍と密接な関係が築かれ、大砲、ミサイル、宇宙航空技術、コンピュータ分野へと拡がり、中国が打ち上げた宇宙船「神舟」プロジェクトの中枢を担った。

哈爾浜工業大学の卒業生は綺羅星のごとく、各界で活躍しているが、政治家も多く輩出し、現在の習近平の右腕、栗戦書。胡錦涛時代の番頭、李長春。トウ小平時代のライバル葉選平らがいる。最近はロボット工学、レーザー分野にも進出し、世界的レベルにある。軍事技術開発の先端を担っていて、米国が注目し続けてきた大学である。

今後の問題は、日本のアカデミズムとの交流、協同関係だ。哈爾浜工業大学は、千葉工業大、早大、山形、新潟、熊本大学と技術開発の提携をしているからだ。

もうひとつの哈爾浜工程大学は戦後の1953年に創立され、米国との関係が深い。元より軍の技術部門であり、人民解放軍工程学院が前身。大砲、火薬、原子力、ミサイル技術の開発に携わってきた。

卒業生には楡正声、毛沢東の孫、毛遠新がいる。

とくに楡正声だ。彼は前身の軍工程学院OBで、文革中は一家七名が犠牲になるという辛酸をなめた。

同じく文革中に半身不随となったトウ僕方(トウ小平の長男)との親密な交際が始まり、また当時、東北地方の自動車工場にいた江沢民の知遇を得た。楡はミサイル自動化の研究者でもあった。

1985年に実兄の楡強声が米国へ亡命したため、失脚寸前に追い込まれたが、トウ僕方の強い支援があって危機を乗り切り、また江沢民の強い推挽で習近平のあとの上海市書記をつとめた。僥倖に恵まれたうえ、2010年の上海万博を成功裏に終えたので、有望視され、習政権第1期では政治局常務委員に出世した。


▲米国の警戒心は、アカデミズムの交流接点にも及んだ

さて「ELリスト」とは米商務省が「輸出管理法」に基づいて、国家安全保障や外交政策上の懸念があると認定した企業を列挙するもので、リストに掲載されると、当該企業に物品やソフトウエア、技術を輸出する場合に許可が必要となる。

ファーウェイ、ZTE、テンセント、CASIC(中国航天工業)、JHICC(福建省晋華集成電路)、ハイクビジョンなどがリスト入りしている。ここに大学が初めて顔を出したことは注目するべきである。

さて米国はなぜこの2つの大学をELリストに加えたが。大学とはいえ、実質的には軍事技術開発センターの役割を担い、しかも世界の一流大学との提携関係は、とりわけ米国の技術を盗み出す立場にあるからではないのか。

   (註 楡正声の「楡」は「木」編をとる)
       

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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【知道中国 2091回】                  
──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘52)
橘樸「『官場現形記』研究」(大正13年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房 昭和41年)

             △

「朽木は雕(い)るべからず。糞土の牆は?(ぬ)るべからず」──朽(くさ)ってスカスカでグズグズの木を雕(ほ)ることはできない。糞(くさ)った土は塗り壁には使えない──という言葉が生まれた背景には、おそらく当時は「朽木」やら「糞土」の類が目につき、社会が乱れがちだったからだろう。


『荀子(彊国篇)』に「百吏は恭倹敦敬忠信・・・自宅の門を出ると官衙(やくしょ)に、官衙を出れば自宅に直行して私事なし。上司に追従せず同輩と徒党を組まず、高く心を持って万事に精通し私心なし」と見えるが、やはり当時から役人は「恭倹敦敬忠信」など忘れ、自宅と役所の間で道草を重ねヨカラヌことを謀り、「上司に追従」し、「同輩と徒党を組」み、「高く心を持」たず、「万事に精通」せずして「私心」だらけだった、ようだ。


荀子の時代から遥かに下った1906(明治39)年、東京帝国大学文科大学(現文学部)助教授だった宇野哲人(明治8=1875年〜昭和49=1974年)は、北京に留学した。

この間、中国各地を歩いているが、洛陽の県役所を訪れた折りのことを、「縣衙門に至る正堂に待つ間に儀門内の牌樓上に記せるものを見れば、/爾俸爾禄、民膏民脂、下民易虐、上天難凌/と題してある蓋支那の官吏には最適切の訓戒である。

若官吏皆この心を心としたならば民治まらざるを憂へず國強からざるを憂へず。然れども之を知つて、而して之を行ふもの果して幾人かある。言行相反せること支那官吏より甚だしきはあるまい」と記している。

つまり洛陽の県役所に出掛けたら、目だつ所にデカデカと且つ麗々しくも恭しく「爾俸爾禄、民膏民脂、下民易虐、上天難凌(キミ等の俸給は人民の汗の結晶だ。下々の民百姓は適当にあしらえるが、天の目は節穴じゃないぞ。権力を振り回しての不正を天は見逃さないぞ)」と書いた看板が掲げられていたのだ。


ということは洛陽の県役所で働く役人は、自分たちが手にする俸給を「民膏民脂」と考えることなく、「下は民」を「虐(しいた)」げ、「上は天」を「凌(おか)」すことが目に余ったからに違いない。だが、こんな注意書きを肝心の役人が気に留めるはずもないだろうから、単なるパフォーマンスに過ぎず、無意味だ。


今から8年前のゴールデンウイークに雲南省の西南端一帯を歩いた時のことだ。自らを「中国でインド洋に一番近い都市」と形容する芒市人民政府を訪ねると、先ず目に着いたのが「芒市人民政府領導工作動態」と「芒市人民政府弁公室領導工作動態」と記された表示板だった。


前者には上から市長、常務副市長、副市長(5人)、後者には上から主任、党総支部書記、副主任(2人)、副主任(信訪局局長)、党総支部副書記、副主任(4人)の名前と役職名が記されている。ということは、ここに記された市長以下7人の幹部と主任以下9人の実務責任者の総計16人が芒市人民政府の中核を構成し、地方政治を牛耳り、芒市人民の上に君臨しているということになる。


この表示板は日付入りで、日々の彼らの公務活動内容(在室、会議、出張、公休)が一目瞭然で判るようになっている。その日は、さすがに主任以下の実務責任者は在室となっていたが、市長以下の幹部は全員が終日会議と記されていた。
いったい、どれほどの懸案があって、こんなにも会議を重ねるのか。しょせんが小田原評定の類だろう。

 芒市人民政府庁舎本館の玄関ホールに誇らしげに掲げられていた「四項制度」には、「政府自らの建設を推進し、政府工作の改革を効果的に促進し、行政機関の作風を好転させ、行政効率を高める」と、ごリッパ極まりない「執務心得」が示されていた。

      
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)文化人放送局の渡邊哲也ショーに宮崎正弘さんが登場します。

https://www.youtube.com/watch?v=jhKIH0t6Yow

討議テーマは「アメリカの右と左」「偽慰安婦問題」など。出演はほかに西村幸祐氏ら。
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(読者の声2)武漢肺炎騒動迷惑料(特別給付金)

区役所から家内と2人合計20万円本日入金しました。スマホから申請したのが5月11日午後5時39分の記録あり 途中で役所にどうなっているかとのチェック。13日入金したので約1ヶ月かかりました。

自民党の諸君は申請もせずに即支払われているとのフェイクニュース紛いのものがあるが庶民の僕たちはネット申請でも1ヶ月かかりました。

いやその前にカードリーダーやらパソコンからやろうと思ってそもそもカードリーダーなどがパソコンの最新鋭ソフトに合致せずカードリーダー返品など合わせて5時間以上無駄にしました。

ああやっと金が入り これこそが使わないと経済効果がないので全部使います 何に使うか? 間違っても武漢の支那に経済波及効果のあるものは絶対に使いません 絶対に意地でも日本人による日本人のための日本人の出費。
  (名無しの権兵衛)

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