2020年07月02日

◆原監督の賭けゴルフ?

馬場伯明


戸塚カントリークラブでのラウンド中にキャディさんが言った。「前は先の巨人監督の原辰徳さん(以下「原さん」)たちです。原さんは昨年(2016)のクラブチャンピオンです」と。そう、原さんはトップアマなのだ。前の組とは大きな技量の差があるので、また、キャディさんが配慮したのか、前の組に追いつきそのプレーなどを近くで見ることは終日なかった。

ラウンド後風呂に原さんがいた。裸同士、私は気軽に訊いた。「初めてお声をかけますが、後ろの組でした。今日の調子はいかがでしたか?」「ええ、まあまあでした・・」と。当時の原さんはハラが出ていた。

さて、表題の「原監督の賭けゴルフ?」。週刊新潮(2020.7.2号・以下「新潮」)が書いている(2人の証言の一部を抜粋する)。

《(1)スポーツ紙デスク。「2000年代後半に、宿泊先のホテルで朝、あるコーチが『昨日も(原)監督に50万(円)やられちゃって、どうせ今日も負ける・・』などとぼやいているのを耳にしました・・」(30p)。
(2)十数年前から一緒にラウンドしてきた50代の男性。「原さんはとにかく賭けゴルフが大好き。すごい腕前の上にとんでもないレートで握るから、これまで累計で何百万円持っていかれたことか・・・」(29~30p)。

「秋季キャンプが終わってから1月末までで、多い時には1年に2~3回はご一緒していましたね。ルールは『5・10・2:ゴットーニ』。1打5000円・ホールごと1万円・ハーフの勝敗ごとに2万円。・・・さらに『ラスベガス』というルールが加わる。・・レートは1打1000円。『ゴットーニ』と併せて100万円近くが動いていました」(30p〜31p)》。

当然、原さんは反論する。《当の原監督に質すと「(賭けゴルフを)いつやるって?俺、500円以上の賭けごとはしたことないよ。(ラスベガスというルールは)知るか、そんなもの」そう笑い飛ばすのだが・・(新潮・32p)》。

巨人球団からも・・反論があった(2020.6.24「東スポWeb」より)。
《本件記事は『十数年前から一緒にラウンドしてきた50代の男性』(以下「当該男性」)の証言を根拠に、原監督が高額の賭けゴルフを繰り返してきたと指摘していますが、そのような事実は一切ありません。

そもそも本件記事に掲載されている原監督と当該男性のツーショットの写真は、2007年12月に撮影されたものですが、その後、当該男性はゴルフ仲間と音信不通になっており、当然、原監督もこの10年以上当該人物に会ったことすらありません。本件記事は、このような当該男性の証言のみに依拠しこれを否定する当球団の回答を一方的に無視しており、裏付け取材を一切行っていない悪意に満ちた記事と言わざるを得ません。

・・原監督の名誉を著しく毀損するものです。・・週刊新潮編集部が本件記事の掲載を強行したことは甚だ遺憾で、速やかに本件記事を取り消し、謝罪文を掲載するよう求めた次第です》。

新潮が仕掛けた「賭けゴルフ」の真偽は、疑惑の森へ分け入っても、ボールは薮の中でロストとなってしまうだろう。新潮の記事は、顔写真が隠れた人とデスクの匿名者2人の「証言」だけであり、その他の確たる証拠がない。新潮は「続報」するのか? それとも・・マッチポンプか? 

私は長年のカープファンである。今最大の関心事は開幕したプロ野球の行方である。カープは最強のライバル球団である巨人からのペナント奪還を狙う。今のタイミングでこの記事は大いに迷惑だ。カープには正々堂々と原巨人と闘い優勝しもらいたい。原さんの賭けゴルフ疑惑(?)の追及は、シーズンオフにゆっくりやってもらいたい。

ところで、原さんは「『(ラスベガスというルールは)知るか、そんなもの』そう笑い飛ばすのだが、(新潮・32p)」。ゴルフのbet(ベット・賭け・握り)の一つである「ラスベガス」とは何か?普通のゴルファーなら知っており、やっているが、その「起源」まではどうだろうか。

有力説がある。勤務した川崎製鉄(現JFE)に楫西雄介さんという部長がいた。昭和59(1984)年に手書き印刷の「ラスベガスルールブック」を貰った。楫西さんは自著「旅・たび・三度び(1998)」で触れている(87p)。

《昭和53(1978)年、新日鉄・日新製鋼・川崎製鉄の亜鉛鉄板界営業の3K(傑)と呼ばれた三課長(楫西のKなど)が「ラスベガス」ルールを進化させた。次に紹介する。1.順位1・4と2・3のペア方式を考案。2.バーディまたはパー2個で相手のスコアを反転。ex(47)を(74)に。3.極端な下手にはハンディを付与するなど。

「ラスベガス」は鉄鋼業界から商社へ、商社から取引先へと瞬くうちに全国のゴルファーに広まっていった。私(楫西)はありうべきケースを網羅した「ラスベガスルールブック」を書きあげ、何十部と刷った》とある。 

ペアは打順の「1・3」番対「2・4」番と各ホールで入れ替わる。4人の実力が拮抗していれば勝敗の差は小さいが、極端な下手と上手い人がいたら、他の2人の実力に関係なく大きな差(金額)になり、ま、上手が勝つ。

たとえば、パー3でバーディが出て、(2・3)と(4・7)のスコアはありうる。この場合、47が74に反転し、2人パー以上で2倍となるルールなので、(74−23)×2=102となる。@100円でも、1ホールだけで、10,200円だ。原さんは500円以上の賭けごとはしたことないらしいが、もしそれが単価@500円ならば、1ホールで51,000円となる。ラスベガスは(下手にとっては)「ギャンブル」のメッカの名の通り相当危険な賭けである。

一方「ナッソー(Nassau)」は1900年発祥という伝統的な賭けだ。アウト・イン・合計の3分野のネットスコアで勝敗を決める。1,000円ナッソーなら、全部負けたら1人に3,000円。3人に全敗ならば9,000円だ。

「原さんとプレーする時のルールは、一般に『5・10・2(ゴットーニ)』と呼ばれるものでした(50代の男性・新潮30p)」。1打5,000円、ホールごと1万円、ハーフごと2万円(とあるが)、真実この「5・10・2」なら高額だ。仮に賭けていたとしても単価は@は一桁下ではなかったのか。

別件。神戸の震災後大阪のある事業部の責任者だった頃、初受注したゼネコン(M社)の部長らを兵庫県のゴルフ場(センチュリー三木GC)で接待した。M社4人、当社は私以下4人の2組。M社の課長から提案があった。「ラスベガス@500円、ナッソー@5,000円など・・」と。

普段ラスベガスは@100、ナッソー1,000だ。何とかラスベガス@300、ナッソー3,000にして貰った。私は部下の3人に厳命した。「OB打つな。半端なパットにOK出すな。絶対に負けるな!」と。結果は4人対4人の合計金額で10数万円の当方の勝ちとなった。18番ホールでは「プッシュ(勝てばチャラ、負ければ2倍)」を提案されたが「でも、万が一失敗されたときは、さらに危険でしょう・・」とやんわり拒否し、了解を得た。

私はM社の人の魂胆が読めていた。「接待だ。あいつらは、最後には負けてくれる」と思っていたのだ。だから、仲間内のゴルフの場合よりもレートを大幅に上げ、18番ホールでプッシュを要求したのだ。

M社は「スーパーゼネコン」ではなかったが、問題は企業規模の大小ではない。その品性を疑った。「あんたら、仕事(受注)はどうするんや?」と訊かれたら「『貴社からの仕事(受注)は成り行きで・・・』と応じろ」と私は指示していた。故意に大負けするつもりはなかった。

ところで、微妙な問題がある。この場合M社の立場を忖度しわざと負け続けたら、賭博罪(刑法185条)の構成要件に該当するのかどうか?「賭博とは、偶然の事実によって財物の得喪を争うことを言う」と定められている。故意による負けは、偶然の負けではなく必然の負けだ。賭博罪に該当しないと私は思うが、論争があるらしい。

個人企業ならともかく、大手企業間の接待で麻雀やゴルフの負けを企業の接待費で負担する「慣習」は国内企業ではあまり聞かない。敗けた個人が負担する。わざと負けた者はかわいそうであり、理不尽なことだ。

「魚心あれば水心」なのか?「ラスベガス@1,000円、ナッソー@10,000円」の高ルールで、接待側4人で30万円負け工事完了までに4回なら120万円だ。その場合追加工事の精算で戻ることがあるとも聞いた(ホンマ?)。でも、その増収分を敗者個人へどう戻すのか悩ましい。だから、サラリーマンの企業間接待の賭けゴルフはそれなりのレートにすべきなのだ。

私的なゴルフでも賭ける。ところが、上手なゴルファーが大半勝つ。なぜか?スタート前に勝ちが見えている。上手は口もうまい。下手の自尊心をくすぐり、ハンディキャップが不公正になる傾向にある(私の経験)。

上手は猫なで声で囁く。《馬場ちゃん、最近また飛ばしとるらしいな!調子がいいのか。すごいな。そいで、今日のハンディやけど、8ではあんたのプライドが許さんやろ。思い切って4でどうや。俺は今腰が痛うて飛ばんし・・。お願いや。4やったらあんたの今後の励みにもなるで・・》

私は思う。《そうか、腰が痛いんか。今D1は飛ぶ。4でやってみるか》という気になるから、不思議だ。ゴルフの朝は忙しい。受付、着替え、コーヒー、パット練習、雑談。その間隙で「HCP、8から4」への急な申入れ。スタート時刻も迫る。ついつい「ま、ええか!」となってしまう。

戦いすんで日が暮れる。18ホールの結果は、当然のごとく負ける。上手は軽く一言。《・・なんか、今日はパターがはいりよった。偶然、勝たせてもろた。ありがと。次に、がんばってや・・・》でチョンだ(笑)。

性格がいい人のゴルフの賭けは赤字になりがちだ。原さんは性格がいいように見えるので、ゴルフは上手いが大した儲けはないのではないか。

ゴルフはあくまでラウンド(プレー)が主である。ゴルフの賭けは泣き笑い。賭けで泣いても自分は性格がいい人間なのだと慰める。そして、ラウンドが終われば「お疲れさまの『ノーサイド』」にしたい。
原さんも、ほどほどがよろしいようで・・。(2020.7.1千葉市在住)


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