2020年07月08日

◆GIRL’S KEIRIN「顔より太もも

馬場伯明

 
新橋駅日比谷口改札を出ると広場の正面に蒸気機関車(SL)がある。夕刻のサラリーマンの待ち合わせ場所である。クリスマスの夜には美しいライティングが施される。右のビルを見上げれば巨大な看板CMがある。公益財団法人JKA:GIRL’S
KEIRINの「顔より太もも」だ。

キャッチコピー「顔より太もも(腿)」の下地には、若い女子競輪選手の鍛えた「太もも」の画像があり、すごい迫力だ。夕暮れのSL広場で、人待ちの男たちが斜め上を向きあんぐり口を開けている。どこを、何を?・・・女子選手の太ももを見ている。私は男たちのうしろ姿を見てニヤリとする。自分もその1人だから(笑)。

「顔より太もも」の左横にはサントリーの角瓶ハイボールの看板CMがある。大人の女性の色気が漂う井川遙がこちらを見下ろし微笑んでいる。1976年生まれの井川遥は三代目の角ハイボール女優である。初代の小雪は1977年、二代目の菅野美穂は、1976年生まれと、3人ともアラサーであり、同年代の「太ももより・・顔」系統のいい女である。 

「太ももより、ハイボールでしょ」とでも言いたげに、隣で「やっぱり、新橋の、角ハイボールが、お好きでしょ」と色っぽい目線が流れくる。

だが、そのCMの右側には、若い女子競輪選手の「顔より太もも」のピチピチした新手の画像CMが次々と登場し、「まくって」くるので、井川遙たちは年齢差が露わになり、その迫力に押され気味である。

2つのCMを見ながら「うんうん、太もも女子も、ハイボール姉(あね)さんも、いいねえ・・」とうなずきつつ、新型コロナウイルスなど何のその。私たちは、夕闇の新橋の飲み処へ、三々五々、消えていく。

(世間的にはまだマイナーである)GIRL’S KEIRIN
(女子競輪)が飲み処で多くの人たちの話題になれば、「顔より太もも」と「ハイボールがお好きでしょ」の隣同士のCMの相乗宣伝効果があるということになる。 

それにしても、宣伝(CM)は「視覚」に働きかける方法がもっとも効果が大きいと思う。新橋駅の「顔より太もも」はその証明の一つである。さらに、テレビの動画CMのように音響(音楽や言葉)が加わると、いやでも影響を受けてしまう。

その視覚効果であるが、「メラビアンの法則」という聞きなれない言葉がある。Wikipediaより抜粋する。

《・・感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかという実験に基づく法則。結果は、1.話の内容などの言語情報(Verbal)が7%、2.口調や話の早さなどの聴覚情報(Vocal)が38%、3.見た目などの視覚情報(Visual)が55%だった。そこから「7-38-55の法則」「3Vの法則」とも言われている》。

ところが、この実験結果を「外見が一番」とか「話の内容より喋り方のテクニック」が重要だという短絡的な理解のままで結論に持っていく「俗流解釈」が、世間にはびこるようになってしまったという。

その典型が「人は見た目が9割」という本だ(2005 竹内一郎)。「人は顔より性格」であるという(床の間の)正論を、「人は見た目」という(井戸端の)俗論が完全に打ち砕いた。ベストセラーとなり100万部を売った。

「メラビアンの法則(俗流解釈)」をベースに出版社が意図的につけた題名が功を奏した。「表題の見た目」が読者を一瞬で洗脳したのである。しかし、著書の本文をじっくり読めば、「人は見た目が9割」ではなく、やっぱり、「人は中身が大事である」ということがわかる。

この本は大半が買ったら終わり、最後まできちんと読んでいる人は多くはなく、表題の「見た目」フィーバーの後は売れていないとも聞いた。

競輪場で車券を買うときは、「(俗流解釈の)メラビアンの法則」により「視覚(55%)聴覚(38%)言語(7%)」の順番で判断するのがよい。そのときは、視覚と言っても、押さえるべきポイントは、やはり「顔より太もも」であろう。

女性の前で、公然と「『顔より太もも』です」と言えば、「この変態オッサンは、何を言っているのだろう!」と顰蹙を買うのかな。

勤務先の若い女性にCM「顔より太もも」の話を振ったら、「そんなCMを出すなんて、競輪関係団体はセクハラっぽいオヤジが仕切っている印象です。女性蔑視も感じます。CMは逆効果じゃないですか?」と。また、「でも、オヤジの街である『新橋のSL広場』での掲示ならば、よろしいかも(笑)」と軽くあしらわれた。私はひどいドヤ顔をしていたのかなあ(笑)。

総武快速のグリーン車を待ち、東京駅の地下ホームで並んだら、ヒップが左右に張った若い女性が前にいた。ぴちっとしたジーンズに包まれたヒップから太ももにかけてのゆるやかで丸い曲線が美しい。
(・・・でも、こう書くと、また「スケベオヤジ!」と非難される一因になるかも。とかく、文章は災いの元である)。

最後に、別件だがうれしい出来事があった。水泳の池江瑠璃子さんが復
活に向けて動き出したのだ。池江さんが白血病の治療とリハビリテーションの訓練する様子をNHK・TVで観た。ついに、プールで泳ぐまでに回復してきたのである。

しかし、その姿はまだ痛々しいものであった。長身の池江さんが、ファッションモデルのように、首と腕が細くなり、肩の筋肉も落ちてしまっている。胸のふくらみも減退し、脚も太ももも細くなった。抗がん剤治療により髪の毛も抜け落ちていた(帽子・ウイッグ着用)。

かつての、たくましく太い腕、盛り上がった両肩の筋肉、堂々とした腰の張り、何よりも推進力の源泉であった、はちきれるような立派な太ももの復活を私は心から望みたい。遠いパリ五輪というよりも、2021東京五輪での復帰を目指してほしい。戦う世界は違うけれども、池江さんには、女子競輪選手同じく「顔より太もも」の精神でがんばってほしい。

早くコロナ禍の目途がついてほしい。GIRL’S
KEIRINの観客有りのレースが再開されたら、競輪場(女子)へ出かけてみよう。(2020.7.6 千葉市在住)
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