2020年07月09日

◆神を畏れぬ新聞

【変見自在】  高山 正之
 


ロサンゼルス特派員時代はサンタモニカのリンカーン通りに住んでいた。

目の前にルーズベルト小学校があって、右手、ウイルシャー通りに向かうと右側に聖モニカカソリック高校の教会が建つ。

黒人生徒が多い問題校で、プロムの夜、生徒同士の銃撃戦もあった。

ただ教会は珍しいカソリック系ということで日曜には驚くほど多くの市民がミサにやってくる。米国人の信仰の深さを見る思いだ。

ただ彼らの紡いできた歴史はそんな風には見えてこない。

「右の頬を打たれたら左の頬を出す」(マタイ伝5章)ような米国人にはお目に掛かったことがない。

因みに「右の頬を打つ」とは右手の拳骨で相手を殴ることではない。そうしたら左頬を殴ることになるからで、右手の甲で相手の右頬を叩く、つまり平手で相手を張り倒すことを言う。殴るより遥かに辱めの度合いが高いらしい。

米国の歴史ではそうやって黒人やインディアンの右頬を叩き続け、その上で彼らに「右頬を叩かれたら左の頬を出す」ように基督教化していった。

教化された米国人の下で働いた2万人のチェロキーは最後は追い払われ、オクラホマまで2000キロを歩かされた。厳寒の山道で彼らは讃美歌「アメージンググレース」を歌いながら、ほとんどが凍え死んだ。

米国人は「ローマ人への手紙」第12章も繰り返し教えた。「復讐はならない。復讐するは我(神)にあり。

神様が天罰を下すから復讐など考えるなと教える。黒人もインディアンもひたすらアメージンググレースを歌っていればいいのだ。

ただ虐めてきた黒人奴隷は400万を超える。殺戮しまくったインディアンも30万は生き残っている。

中には俺たちも白人の右の頬を打ちたいと思っている者もいるはずだ。

だから米連邦議会憲法修正2条「人民の武器所有」をすぐに成立させた。

右の頬を打ちにきた者には左の頬を出す代わりに鉄砲で返り討ちにしてもいい権利を保障した。

ジョージ・フロイドの殺害など最近の警官による黒人殺害は憲法修正2条の拡大解釈とも思える。

米国はよその国ともよく戦争をした。日本とも戦って原爆2発を落とした。

占領統治では日本人にキリスト教への改宗を迫った。

1500人の宣教師が呼ばれ、人々に「ローマ人への手紙」を読んで「原爆の復讐などはしてはならない」と説教させた。

核の平和利用が始まっても米国は日本人が核に触ることを警戒し、禁じた。

しかしエネルギー資源に不足する日本には原子力発電は絶対必要だった。

米国が拒絶するならと日本政府は英国と交渉して黒鉛減速型のコールダーホール原子炉を入れた。

燃料は安価な天然ウラン。黒鉛炉は東海村で発電を始めたが、実を言うと黒鉛炉はもともと核爆弾用プルトニウム(Pu239)の生産炉だった。

日本がその気なら報復用の核爆弾は即座に作れた。

吃驚(びっくり)した米国は、「軽水炉を提供します。だから黒鉛炉はやめてください」と懇願してきた。

軽水炉からもプルトニウムができるが、燃えないPu239が多くを占める。どんなに工夫をしても核爆弾は作れない。

日本はキリスト教など信じていないが、米国にはそのうちきっと天罰が下されると信じている。

青森六カ所村の再処理工場が完成した。日本のエネルギ資源はこれでかなり安定するが、馬鹿な朝日新聞がすぐ因縁をつけてきた。

社説で根本清樹が「核保有の意図か」と騒ぎ、科学班の川田某もコラムで「海外から批判が」と貶(けな)す。

二人が偉そうに指摘するのがまた「核爆弾6千発分のプルトニウム保有」だ。

軽水炉から核爆弾用のプルトニウムは作れないというのに。なぜ同じ嘘を繰り返すのか。

神は人を傷つける嘘を地獄へ落とす大罪としている。すでに若宮啓文が行き、本多勝一、植村隆らで予約もいっぱいなのに。



出典:『週刊新潮』 令和2年(2020)7月2日号

    【変見自在】神を畏れぬ新聞

著者:高山 正之

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松本市 久保田 康文 
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