2020年07月09日

◆中国製品不買運動、インド全土に拡大

宮崎 正弘

 
令和2年(2020)7月7日(火曜日)通巻第6573号  

 中国製品不買運動、インド全土に拡大
  ゲームアプリ禁止から中国人宿泊拒否のホテルまで

6月15日の軍事衝突で、インド側に20名の犠牲がでた。国境未確定のまま中国軍とインド軍のにらみ合いが続いてきた地域での衝突だが、中国側が軍事構造物を建設したため、これを解体していたインド兵が襲撃された。

直後から、インドでは中国製品の不買運動が開始され、各地では「中国出て行け」、「中国製品買うな」とプラカードを掲げて座り込み、抗議集会、デモが巻き起こった。

デリーの上野・秋葉原に相当する商店街では、「当店はスカイビジョンなど中国製品を棚から撤去しました」と張り紙、露天商でも中国製品が見つかると抗議を受ける。

ゲームアプリ59種類も接続を中断し、フェデックスなどはインド向け配送業務を中断している。

「全インド貿易商工会」(CAIT)は「およそ500品目の中国製品の販売禁止キャンペーンとなるでしょう」としているが、中国と長年、敵対関係にあったインドですらこれほどの中国製品の洪水だったとは!

実際に販売されているのは電気製品からスピーカー、扇風機、スマホから、靴、サンダル、スポーツシューズ、化粧品、ゲーム、玩具等々。

さらに全土3000のホテルは「中国人の宿泊お断り」の措置を講じた(もっとも中国人ツアーは催行中止だから、宿泊者は不在だが)。

 マスクにも「中国禁止」デザインが登場し、ファーウェイ、OPPO専門店は襲撃を恐れて店を閉めシャッターを下ろしている。スーパーの食品棚からも中国の加工食品(即席麺など)が姿を消した。
          
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集中連載 「早朝特急」(36) 
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第二部 「暴走老人 アジアへ」 第二節 南アジア七カ国(その3) 
 
第二章 仏教国・スリランカの憂鬱

 ▲中国にNOを突きつけたが。。。。

「ポルトガルの前に、やってきたのは鄭和艦隊でした」。
 コロンボ港でガイドがいきなり説明を始めた。

歴史は1410年に鄭和がスリランカに寄港したと印している。鄭和は七回の世界航海を成し遂げ、東アフリカへの港も訪問し、その海図をジェノバで入手したコロンブスが、世界大航海時代の幕をあけたことになっている。

マレーシアの西南マラッカにはポルトガル村がいまも残るが、チャイナタウンの入口にぽつんと建つ石碑は「鄭和、ここに寄港」とあることを急に思い出した。

スリランカについて考えるとき、日本人の認識と現場のリアルとには幾分かのずれがある。

第一に、この国は民主社会主義共和国である。人口は2200万、このうちの4分の3がシンハリ人だ。タミル人とは仲が悪い。

仏教徒が主流だが、ヒンズー、イスラム、そしてキリスト教徒がいる。言語はシンハリ語とタミル語、英語の3つが、たとえば道路標識に並記されている。

いつだったか日本語の源流はタミル語だと主張する頓珍漢な国語学者がいたっけ。

首都はコロンボと思いこんでいる人が多いが、じつはコロンボの近くにあるスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテである。

宗主国はポルトガルからオランダ、英国。

独立は1948年で国の名前をセイロンからスリランカ(聖なる美しき場所)と改称するのは1972年、ときの首相は女性のバンダラナイケ。世界初の女性宰相だった。
以後、南アジアにはインド、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマーと女性宰相が輩出。西側でも英国、NZ、ドイツ等々、東南アジアでも、フィリピン、韓国、インドネシア、現在の台湾総統は女性である。だから次は日本でも?

コロンボ港が見渡せるコロニアル・スタイルで白亜の5階建て。いかめしい建物はグランド・オリエンタルホテル。全体が英国植民地の臭いが残る偉容。

ここに宿泊した。周囲は繁華街から外れていて夜はひっそりとした地区だった。目の前のコロンボ港の近代化工事を中国が請け負っていた。建材、コンプレッサー、鉄骨などが店ざらしになっていた。工事は中断している様子なのだ。

歩いて5分ほどの鉄道駅は「フォート(砦)」駅。オランダ時代に建てられ、旧式の汽車には屋根にも鈴なりの乗客が、大きな荷物と一緒に乗っていて、貧困の度合いが知れるのだが、人々は気にしている様子がない。

そこから東西にメインストリートが延び、野菜市場やバザールの奧がバスセンター。いずれも疲れ切ったおんぼろバスで、このバスも屋上に乗客が乗る。運賃が半額以下になるらしい。

ラジャパクサ元大統領が親中路線を突っ走って決めたプロジェクトとはハンバントタ港の99年貸与と、もう一つのプロジェクトは中国に唆されて、コロンボ沖に広大な人工島を建設し、そこをシンガポールと並ぶ「国際金融都市」とすることだった。

この位置はむかし砲台が並んでいた戦略的要衝で、旧大統領官邸の目の前、ちかくに海岸沿いには米国大使館がある。

ハンバントタ港を国際流通ルートのハブとする話にうっかり乗ったら、中国の軍港が出来ていた。世界が嗤う不名誉だが、ラジャパクサ一派は、これを屈辱とは捉えなかった。<カネが入ってくればいいジャン>

おまけにハンバントタはラジャパクサの選挙地盤、ちかくに空港も造成され、つけられた名は「ラジャパクサ空港」だった。

ちょっと立ち止まって考えればわかることである。他人の領海に人工島をつくって当該国の経済発展に寄与する? エゴイズム丸出しの国家が何のためにそれほどの犠牲的精神を発揮するのか。きっと別の思惑があるに違いないと考えるのは常識だろう。

シリセナ大統領となって、すべての中国プロジェクトの見直しが発表された。

しかし契約内容から中国のクレームが続き、もしプロジェクト中断となるとスリランカに膨大な返済義務が生じることが判明した。

まさに麻生財務相が「AIIB(アジア投資開発銀行)は阿漕なサラ金」と比喩したように、高金利が追いかけてくる、身ぐるみはがれる仕組みとなっていた。

不承不承、シリセナ政権は工事の再開を認可し、スリランカ南部に位置するハンバントタ港は熾烈な「反中暴動」が燃え広がったにも関わらず、99年の租借を追認した。同港にはすでに中国海軍潜水艦が寄港しており、近未来にインド洋を扼す地政学的な要衝となる。

インドがただならぬ警戒態勢を敷くのも無理はない。

 ▼経済発展は順調だったのだが。。。

コロンボ沖合の埋め立て工事のほうは2019年1月に完成した。東京ドーム80個分、おおよそ269ヘクタールの人工島は99年間、中国が租借する。

(えっ? ハンバントラと同じ条件ではないか)。

中国はいずれ軍事利用することは明白だが、いま中国が喧伝しているのは「ポート・シティ」とか。「シンガポール、香港にならぶ国際的な金融都市にする」と嘯いている。そのために中国は60階建て高層ビルを3棟建設するとしている。

大風呂敷を拡げるのは中国の特技だが、60階建ての摩天楼を3つ並べる?

数年前に、この現場で、まだ影も形もない沖合を見た。
夕日のきれいな海岸沿いには大統領迎賓館、その裏側が近代的なビルが立ち並ぶ一角であり、海岸線沿いにはシャングリラホテルなど世界の一流ホテルが土地を確保して、建設中だった。

局所的とはいえ、スリランカの発展も迅速である。

土木工事の常識からみても、海を埋め立てる工事は地盤固めが重要であり、シートパイルを打ち込み、セメントなどの流し込みほかの難題。日本は関空、中部、羽田、北九州空港の沖埋め立て工事でおなじみだが、かなりの歳月がかかる。何回も何回も踏み固めて地盤を強固にする。でなければ30年くらいで海に沈む。中国の工期が早すぎるため将来、島の陥没が予想されないのか?

それはともかく海に浮かぶ蜃気楼、例えばドバイは次々と人工の島を作り、モノレールをつなぎ、7つ星のホテルも建てて、繁栄の幻に酔ったが、加熱した不動産バブルは一度破産した。最大の投機集団は中国のユダヤと言われる温州集団だった。

 ▼紅茶の名産地、ほかに名産はナッツ。バナナ

スリランカは昔の名前がセイロン。紅茶の代名詞、日本人には仏教国としてなじみが深く仏跡巡りツアーなども時折見かける。

筆者がスリランカへ最初に行ったのは35年前。ヨハネスブルグへ行くためにコロンボ空港にトランジットしただけで、その掘立て小屋のような粗末なバラックが空港の待合い室だった。天井の扇風機が回っていたが、蚊が入り込んできた。

2014年に、およそ30年ぶりに訪れると、空港はすっかり近代化され、ビル全体に空調が行き届いており、快適だった。

日本の旅行者を通じて予め頼んでいたガイドは土建企業の下請けで日本に3年ほど働いた経験があると言う。その現場でなじんだのだろう、伝法な日本語を駆使した。
 
このガイドに「真っ先にチャイナタウンを案内して欲しい」と言うと、「コロンボにはチャイナタウンはありません。中華料理レストランが3軒あるだけ」と答えた。多くは橋梁の建設現場にいて集団生活をしていると説明しながら、こう呟いたのだ。

「そういえば中国人の建設現場周辺で不思議なことが起きてましてね」

 「何が起きたのですか?」

 「犬と猫がいなくなったのですよ。最近はカラスも」 
 思わず絶句してしまった。

世界中で嫌われている中国人のマナー違反と文化摩擦の典型のパターンがスリランカにも押し寄せているとは!。

中国人が夥しく在住しているのだが、特定の場所に集中している。それもこれもスリランカ政府が中国から膨大な資金と経済援助をもらい、こうした北京との癒着ぶりはインドばかりか欧米ジャーナリズムから批判されていた。

その後、2018年にモルディブへ取材旅行があり、スリランカ航空を利用した。行きも帰りもスリランカで乗換だった。バンダラナイケ空港はみちがえるほど立派になっていた。

スリランカの第2の都市はキャンディ。観光名所でもあり、仏教の寺院が林立し、静かなリゾートでもある。
中世から近代にかけて、この地に首都が置かれた。

一日に2本、コロンボから鉄道も出ているが、つねに西欧人のツアーで満員、切符は取れない。ドライブで4時間ほどかかる。

道路はのびやかなカーブが多く、途中に洒落た喫茶店もあって、珈琲フレーク。キャンディに近付くと渋滞となったので、前方を見ると象が道を塞いでいた。

「のんびりしてるなぁ」と思ったのは誤りで、象をつかって車を止め、通過料を取るのである。私設の関所?

キャンディでは、世界中から押し寄せる観光客は小さなキャンディ湖を見下ろす、緑に囲まれた高台に宿泊し、朝、湖の周囲を散策する。ちょうど1時間である。

緑の高台には日本語の旅館の看板が何軒かあって、日本の仏教団体が宿泊するという。本願寺や高野山の「坊」の発想だ。

やはり白亜コロニアル風のクィーズホテルに宿ることにした。この付近にある王宮跡も、博物館も仏歯寺も歩いていける距離、湖畔には散歩にきている住民の憩いの場でもあり、寺にはいるときは靴を脱がなければならない。

仏歯寺には紀元前5、6世紀に釈迦入滅のさいに歯を譲り受け、代々の王家が守護してきたという伝説が附帯しており、いってみれば正統王権の3種の神器のひとつということになる。長い行列ができていた。

王宮跡は小高い丘の上に聳え立つが、中には入れなかった。規模からして、かなりの広さがあると推測され、当時の王権の強靱さが偲べる。

スリランカはポルトガル、オランダ、つづいて英国の植民地となった歴史的経緯は見てきたが、王朝は衰滅して、独立後の共和制へ移行した。

さて午後6時前に、鳥が一斉に帰巣するため、凄まじい音響が町中に鳴り響く。日没とほぼ同時に鳥の鳴き声、叫び声が静まり、メインストリートの2階のテラスでビールを飲んでいると、鳥たちの鳴声と同様に五月蝿い西洋人の酔客ががやがやと入店してきた。この町はすっかり国際化され、同時に仏教の聖地というより俗化された町になったようだ。

 ▼暴動が頻発する

この静かな町が突然の騒擾に巻き込まれた。
 
2018年3月7日、シンハリ派の仏教徒過激派がムスリム居住区を襲撃し、モスクや商店に火をつけ、みるみるうちに暴動となった。警官隊が導入され、キャンディに非常事態宣言が出された。放火されたとみられる焼け跡から一人の焼死体が見つかった。

原因はムスリムの運転手が事故の処理を巡って仏教徒と対立したことだった。仏教徒過激派は武装し、ミャンマーの過激派とも連携があるとされるが、この背後にいるのが親中派のラジャパカス前大統領である。

セリスナ政権が暴動を制御できなくなって社会が混乱に陥れば、次の選挙での復活がある。ラジャパカスは金権政治の象徴、その背後には中国があるというのがもっぱらの噂だった。その悪い予感が当たって、2018年、シリスナは政権を投げ出し、ラジャパクサの実弟が大統領に当選した。

スリランカは30年にわたってタミル独立運動過激派との内戦が戦われた。それを終結させ、国内に治安が回復させた功績はラジャパカス元大統領派である。

シリセナ前大統領は2018年3月13日に来日し安倍首相主催の晩餐会に出席した。日本は追加援助を約束した。彼はベテランの政治家だった。青年時代から農業改革に挑んで、89年にはやくも国会議員。農業水利相もつとめて、タミル族過激派の暗殺部隊に2回襲撃され、窮地に立った経験もある。

シリセナが、5年前の選挙で勝った原因はラジャパクサ大統領とその一族の利権掌握、とりわけ外国支援をうけたインフラ整備事業、港湾整備などで利権が一族の懐を肥やし、スリランカは孫の代になっても借金を払えない状態に陥没したことへの不満の爆発だった。

 ▼日本人女性観光客の人気はシーギリア・レディズ

中国がインド洋から南シナ海にかけて展開している「真珠の首飾り」戦略の一環としてスリランカの港がいずれ中国軍の基地化しかねない不安があった。

インドは外交戦略上、シリセナ候補を間接的に支持するのは当然としても、旧宗主国の英国がメディアを動員してラジャパクサ一族の腐敗を暴き、シリセナ候補を間接的に支援した。選挙中もシリセナは「浅はかな外交でスリランカのイメージを破損した結果、スリランカは国際社会で孤立した」などと訴え、大統領宣誓でも「今後はインド、日本、パキスタン、中国との友好関係を強化し、新興国との関係も区別しないで促進する」と述べた。

こうした政治状況は2019年の大統領選挙でまたひっくり返り、ラジャパクサの実弟が辛勝した。すぐさま、弟は兄を首相に任命した。

つまり元大統領の傀儡政権が、スリランカのまつりごとを担うこととなり、腐敗が繰り返されそうだ。

スリランカ人は性根がやさしいので、コロナ禍前までは日本女性の一人旅も多かった。彼女たちのお目当てはギャンディからさらに3時間ほどバスで北上したシーギリアの岩山だ。

頂上に宮殿跡があり、岩盤にはフレスコ画の18人の美女が描かれている。英国人探検家が発見し、これを「シーギリア・レディズ」と名づけた。麓の博物館は日本が寄贈しJICAが建てたのである。
              
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読者の声 どくしゃのこえ REASERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「お笑い一帯一路」

(あ)問題発生:一帯一路は、中共が途上国に高額の貸し付けをして、払えない国から、布団はがし的に担保の海外施設を手に入れる仕組みだ。しかし最近その奸計に気がついた途上国側が、ケツをまくり、払えないと言いだし、担保も差し出さないと言い出した。信用制度の否定だ。
(い)コロナと借金棒引き:新型コロナ被害を利用して、コロナの病疫被害で借金をチャラにしたいと言い出したという。頭が良い。

(う)踏み倒しは現地の智恵:もともと途上国には、「金の貸主が最後のたより」という諺がある。ようするに借主が借金を踏み倒すといって逆に脅すのだ。シナでは借金の踏み倒しは常套であるが、中共は自分が踏み倒されるとは思っていなかったようだ。

(え)一帯一路は美味いアイデアだ、と中共幹部は皆で手を打って喜んでいたのだろうが、「天網恢々、疎にして洩らさず」だ。中共は五兆ドルもの外貨をコロナ原発国の汚名と共に、外国に献上することになりそうだ。決めるのは借りた国だ。(落合道夫)

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(読者の声2)河添恵子先生出版記念講演『習近平が隠蔽したコロナの正体
それは生物兵器だった!?』。
https://www.kokuchpro.com/event/6a1b742bb4a202ea6a90cd4d2eec0f25
【講師】河添恵子(かわそえけいこ) 先生 ノンフィクション作家
【日時】令和2年7月23日(木・祝)14時半〜16時半(開場:14時)
【会場】文京区民センター2F 2-A会議室(文京シビックセンター向かい側)
【参加費】事前申込:1500円、当日申込:2000円
事前申込の大学生:1000円、高校生以下無料
【懇親会】17時〜19時頃 参加費:事前申込3500円、当日申込4000円(先着25名迄)
【申込先】7月22日21時迄にメール又はFAXにて下記で受付(当日受付も可・懇親会は7月21日21時迄受付)
★当日は混雑が予想される為
事前申込の無い方の入場は講演10分前とさせて頂きます★
【主催】 千田会 https://www.facebook.com/masahiro.senda.50
https://twitter.com/Masahiro_Senda
 FAX 0866-92-3551
 E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp


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