2020年07月13日

◆1,000円カットの散髪屋さん

馬場伯明


いつから1000円カットの散髪屋さんへ行くようになったのか。そう、あのときだ。午後に急ぐ用事があったのに、朝行きつけの散髪屋さんに電話したら、3人待ちだった。

ふと、駅の近くの店に飛び込んだ。若い理容師が「どう、しますか?」と。「耳が出るくらいに短くして」。「はい」。あとは無駄口も言わず彼は仕事に専念した。15分で完了。ひげ剃りやシャンプーがないので急ぎ自宅へ戻り風呂ですませた。

それから私は1000円カット派となった。「速い、安い、仕上がり並」である。じつはもう一つ要因があった。その頃から頂門つまり頭のてっぺんの毛髪が激減してきていた。「すだれ化」である。

電車内などで、ほぼ総退却の毛髪状態なのに、両耳の上に残る毛髪を刈りそろえている人がいる。正直言って「整髪料金4,000円って、毛が少ないのに、ムダじゃん!う〜〜ん、自分も近い」と思った。

従来の散髪屋さん(A)と、1000円カットの店(B)とを比較してみる。長所・短所がある。

まず(A)の長所は丁寧であること。刈り上げも髪をおおざっぱに掴むのではなく、少しずつ掴んで小刻みにカットする。自分という人間が、何だかわからないけれども「大事にされている」と感じる。職場や家庭で頻繁にあることではない。うれしくなる。

つぎに、一つ一つの仕事(作業)が卒なくきちんとなされる。正しくカットされ私が思い通りの仕上がりの髪になる。長年同じ店に行っていると、私のために積み上げた個別技術かと思えてくる。満足感がある。

(A)の短所は、価格が高いこと、4,000円。次に、時間が長くかかりすぎる。刈り上げのハサミが少しずつしか進まず、終わっても、肩を揉み、背中にマッサージ器を当て、頭を指で押し揉む。ひげ剃り前には熱い蒸しタオルを使う(家では水だ)。また、耳掃除や、何と鼻毛まで切りそろえる。急ぐときは「いい加減にしてくれ」と思う。でも、暇な人にはこれが長所かな・・・。

(B)の長所は単純明快、「速い、安い。そして、仕上がりは並」であること。短所は、まあ、長所以外である(笑)。まとめれば、(B)は毎月の散髪が簡単に終る。夜に風呂で髪を洗い、朝、ひげを剃ればいい。

住んでいる千葉市稲毛区に、「1,000円カット」つまり格安店はいくつあるのか?WEBを見れば10店舗+アルファ。しかし、消費税アップで1,000円ぽっきりではなくどこも値上げしている。列記する。カット専門店FastCut
SQ:1,200円、haircut leaf
clover:1,300円、QBハウスペリエ稲毛店:1,200円。カットオンリークラブ稲毛駅前店:1,650円。・・・13店舗目ビズダイエー千葉長沼店などでる(以下、略)。

いくつか試した後利用する店を固定した。私が通う店はWEB検索では、さっとは出ない。「なぜ?」と若い店長に訊いたら「宣伝はしていない」と。「商売っ気がないなあ」に対し「ま、食っていければいいです。女房も働いているし・・」と。しかし、せっかくだから、どんな店なのかを述べる。

場所は、JR稲毛駅西口を出て、千葉銀行前を通り、交番の交差点を右に曲がり直進2分、三叉路の手前右側にある。
稲毛東三丁目16-17。3席あるが理容師は店長と、平日の女性専用カットの人。腕がよく中高年女性に隠れた人気があるという。

散髪作業はカットのみ。「何も足さない、何も引かない」。どっかのウイスキーの宣伝コピーと同じである。料金は消費税5%据え置きの1,050円ぽっきり。稲毛区でも最安値であると思われる。

髪を湿らせ、ハサミとバリカンでカット。頭に残るカット髪くずを吸引機で吸いとり、ドライヤーでさっと仕上げる。鏡で後ろ頭を見せ「いいですか?」。「いいよ」。手渡された濡れティッシュで顔を拭き、終わる。約20分。さっぱりして店を出る。

しかし、最近の店主はよくしゃべる。彼の得意分野はバイクと釣りであり、こだわっている。もともと、散髪屋(床屋)さんの親父(店長ら)は全員、「ハサミを持った週刊誌」であり四方山話は何でも持ってこい、の物知りである。「床屋談義」とは店員と顧客の掛け合い漫才みたいなもの。あらら、漫才が終わったら散髪(カット)が終わっている。

店長はゴルフの経験は少なく(話だけなら)私が自慢できる。たとえば「ゴルフは心の強さだ。「タイガーウッズは『自分は10歩いたら、ミスショットは忘れる。次のショットに集中する』という。すごい」などと稀少ネタを披露する。「なるほど!」。店主は相槌もうまい。

ここで、関連話を2つ。1つ目。江戸時代から、男の楽な暮らしのことを「髪結いの亭主」のようだと言った。私の中高の同級生N君は長崎県から上京し東京都の職員となったが、同郷の姉さん女房が修行しパーマ店経営者となり、3人の息子を立派に育てた。

彼は悠々と酒好きの人生を満喫し(仕事もし)、退職後は勲章までもらった。私たち関東地方の同級生は夫婦を招きお祝いの会を開いた。

2つ目。私が幼い頃父から聞かされた。田舎の床屋の親父(店長)の話だ。仰向けであごひげなど剃ってもらっている最中には眠くなる。すると「ちょっと、ちょっと・・手が滑って、ここ(頸動脈)を突っ切るかも・・(笑)」と店主がつぶやく。「おまい(お前)なんば(何を)言いよっとか!」と叱ると、「いやいや・・よかと」と笑う。「こいじゃ、おちおち眠れん。『命預けます』状態たい」と父は笑いながら、ぼやいた。

コロナ禍で1,000円カットの店長もぼやく。お客さんの散髪間隔が30日から40日になった。25%の減収だ。ところが、他の格安店のお客さんが移ってきているような気がするという。この店の安値も魅力だが、店長の技術力と軽妙な「話術」がお客を引き付けていると私は思う。

ところが、1,000円カットの店よりさらに進化しているのが本誌主宰者の散髪方法である。長い間奥様にお任せされていると何回か本誌にあった。夫婦円満の秘訣の一つでもあろう。私も家人への依頼を考えたが、確実に拒否されると思われ、また、(頸動脈あたりで)ひげ剃りの手が滑ったらいやだから、このまま1,000円カットを続けることにする。

最後に、お世話になってきた稲毛の店長に対し1,050円/月の他には何も報いるものがない。せめて少しのPR行為として、本誌上で店名を披露させていただくこととしたい。

「CUTPRO1000稲毛店 043-244-1352」。千葉市(稲毛区)の人は機会があれば、店長のバイクについての専門的な講釈を聴きにお出かけください。ついでに、髪のカットも・・・。(2020.7.12 千葉市在住)

(追記)
「CUTPRO1000稲毛店」美容院サイトの評判より。(1)ここ十数年間、ここの店長さん以外の人には、カットしてもらっていません。(2)今まで、カットしてもらった中で最高です。(3)カットの腕前最高 親切な対応。勉強家、細かな要望に気付いてくれる信頼出来るカットマンです。(4)話好きの愉快な方、相談しながらカットしてもらえます。
・・・私(馬場)があえて宣伝する必要もなさそうだ(笑)。(了)

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