2020年08月07日

◆「さよなら中国」。日本企業の第一陣は

宮崎 正弘

 
令和2年(2020)8月6日(木曜日)通巻第6611号  

「さよなら中国」。日本企業の第一陣は87社が中国から離脱「ただいま」と、そのうち57社は日本へ復帰。
焦燥感漂う中国

 ピークは2012年だった。中国進出の日本企業は14393社だった。
 2013年からエクソダスが始まり、2016年に13934社となった
 2019年には13685社(帝国データバンク調べ)。

 中国にとって日本は最大の貿易相手国。日本にとっても弐番目の貿易相手である。
 ようやく全体の1%未満だが、87社がコロナ以後の経済の落ち込みを理由に撤退を決めた。日本政府がしずかに奨励し、補助金、低利融資に舵を切ったことが、じつは最大の契機である。

 2020年七月末、ジェトロの統計に拠れば、このうち57社は日本へ復帰する。のこり30社はアジアの、ベトナム、ミャンマーなどへ工場を移転する。日本政府の補助金は、第一陣に対して6億5300万ドル(日本円で692億円=一ドル=106円で計算)。
 第二陣が近日中に続く。作業が遅れているのはコロナ災禍で人の行き来が止まったからである。

 撤退理由には、アメリカが中国のハイテク企業を排斥し始め、米中摩擦が激突の段階へ突き進むと、従来の中国の未来図に暗雲が拡がり、企業戦略としても、中国との関係を根本的に偏向する必要が生じたからだ。

 サプライチェーンに組み込まれている以上、電気、電子、とりわけコンピュータ、スマホ、そして自動車とその部品メーカーは、「いますぐ」に撤退というわけにはいかない。そればかりか、トヨタなどは工場増設を決めている

 日本が中国と切れることはないとタカを括ってきた中国は焦燥感に取り憑かれ、習近平のメンツを失いかねない動きではないか、と政治的に神経質になった。

 一方、アメリカはトランプ政権の対中政策の強硬措置が連続し、「同盟国」である日本にもファーウェイ排斥、ELリスト掲載の中国起業との取引停止などから、今後「新ココム」の制裁対象として日本企業を監視することになる。
 「とくに強要はしないが、日本企業は独自の賢明な判断をするだろう」(CSIS幹部)。

 というのもジェトロの在中国日本企業の調査によれば、進出日本企業のうちの80%以上は「撤退など考えていない」と回答している。また中国の国内市場を狙って進出した産業は「販路拡大が今後の課題だ」と撤退には背を向けているという。

 基本的には国家安全保障の問題であって、私企業の利益ではない。極小化、供給源の多角化は、基幹的な戦略であり、これを怠った日本企業にはそもそも「戦略的思考」が苦手なのだ。
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2113回】                  
 ──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘73)
  「中國共産黨の新理論」(昭和2年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房) 

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「(二)『農民革命』の方式の確定」に関し、橘は「中國共産黨農民運動の根本的なる確定政策が樹立せられたわけである」と評価する。この政策を打ち出した瞿秋白の「農民政権と土地革命」を根拠に、「國民革命の目的は帝國主義の羇絆から中國を解放することになり、而して帝國主義は國内の軍閥及び買?をその手先とし、軍閥の地盤は農村内の土豪劣紳にある」とした。


つまり帝国主義(国外勢力)と軍閥(国内勢力)が結託した中国支配をひっくり返すためには、軍閥の基盤である郷紳(地主)を支えている土地制度を徹底して改める必要がある。「郷紳の社會的・經濟的及び政治的勢力は、十の九まで農民に對する搾取の上に築かれて居る」。そこで瞿秋白は「農民政權を樹立するところの土地革命を實行」することを提唱した。帝国主義から中国を解放するためには、土豪劣紳から土地を取りあげ、農民が自らを解放しなければならない、というわけだ。


軍閥を温存したままに反帝国主義を掲げた孫文を批判していただけに、橘からすれば瞿秋白が打ち出した新方式は「我が意を得たり」だったろう。

 ここで改めて橘の中国社会分析を簡単に整理しておきたい。
 橘は封建中国においては、「官僚階級は、軍閥・官僚及び郷紳から成立つところの支配的社會階級」であり、「この三つの中で、政治方面を代表するのが官僚又は軍閥、社會經濟方面を代表するのが郷紳である。而して土豪劣紳は惡質の郷紳を意味する」。
「官僚及び軍閥と郷紳との關係は、現役と豫備との差に過ぎず、同じ畑で互いに循環し合つて居る」。「郷紳の農民に對する直接關係は、地主と小作人の關係であり、間接には『財閥』として商業的搾取を行ふ」。「郷紳はその餘剩資本を商工業に投下して、親近者をして匿名組合的の企業を經營せしむる」。
「此の種の企業者は、申す迄もなく地方の小資産階級中に有力な地位を占得する」。


 いわば封建社会の根幹に官僚階級が位置し、一方では軍閥となって外国帝国主義の手先として中国侵略に加担し人民を苦しめ、一方では郷紳となって土地を仲立ちに農民を搾取し、さらには企業経営者として経済・商業活動を支配し、中国の権力を独占し富を壟断する。土地(農地)が郷紳の力の源泉であればこそ、郷紳から土地を取り上げることで郷紳の力を、というわけだ。

 ここで些か話題を転ずるが、この郷紳層こそが中国であったと考える。
秦から始まり清に至るまで歴代王朝は漢族のみで築かれたわけではない。漢族にしたところで、家系を同じくしたわけでもない。漢族以外の異民族出身であれ、どこの馬の骨なのか分からない人物であれ、権力を握れば「中華王朝の皇帝」に変じ、その皇帝が統治する王朝は同じく「中国」とされる。それは郷紳が歴代王朝を一貫して支えてきたからだ。いわば中国とは、権力と富とを独占して郷紳による統治・支配のカラクリということになる。これを言い換えるなら、郷紳による官僚階級が中国を操ってきたのである。


このカラクリを変えない限り、中国は変わりようがない。これを逆説的に捉えるなら、このカラクリを変えてしまったら中国ではなくなってしまう、となるかもしれない。


 閑話休題。かくして共産党は「第五回全國大會に於て、資産階級との敵對關係及び土地革命を工作の中軸とする國民革命と云ふ二つの新方針を明らかにした」わけだが、それが共産党を危機的状況に陥れる一方、蒋介石に反発する勢力を糾合した国民党左派にも複雑な影響を与えることとなる。
コミンテルンをも巻き込んで、事態は紛糾の度を増すのであった。
      
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS  
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(読者の声1)「天照大神と日食」
 この場にしばしば邪馬台国論が登場し、その中で紀元240年代後半に連続して起こった日食と天照大神や卑弥呼が結び付けられることが多いようです。
それらの論は、安本美典氏や井沢元彦氏の論が下敷きとなっているようです。もしそうであれば、その論拠は甚だ危うく、再検討されるのが妥当だと考えますので、一言述べさせて頂きます。
 ご承知のように、古代日食については「日食月食宝典」渡辺敏夫、雄山閣として出版されており、その中に247年と248年に日本付近で起こった日食についての記載があることは事実です。
 然し乍ら、よく見れば、247年の日食は中国大陸で始まり日没直前に朝鮮半島の南部で終了しています。また、248年の日食は朝鮮半島東部で夜明け頃に始まり日本の北部(北陸地方北部から東北地方南部)を経て太平洋上に抜けています。
 皆既日食が天照大神の伝承と結びつくためには文字通り皆既日食でなければならず、部分日食では暗くなり方がそれほどでもないため、神話の伝承に見られるような劇的な現象は起こりません。因みに、太陽は月に比べて46万5千倍明るいため
99%欠けてもその明るさは満月の4万6千500倍も明るく、日の出前や日没直後程度の明るさはあります。
 皆既日食では皆既の直前に急速に暗くなり、数分の文字通り真っ暗の時間の後、太陽が月の陰から出る直前に月の山の切れ目から僅かに覘く瞬間によく知られたダイヤモンドリングが見られます。この現象は、真っ暗闇の中で日神がほんの少しだけ顔を出す、神話の伝承とよく合いますが、それは皆既日食でなければならず、部分日食ではそのような感激とは程遠いものです。
 247年と48年の日食は日本列島ではいずれも部分日食で、しかも日没直前または
日の出直後であり、曇りの日の日没や夜明けと大して違わない程度の暗さであり、古代の人が日食に気がついたかどうかはっきりしない程度の日食なので、これを神話の伝承と結びつけるのはまず無理なのです。
 かなり以前になりますが、私が東京天文台で確認したところ、このことは東京天文台の方々もよく承知しておられ、安本氏に対して「まず成り立たない」ということを申し入れられたそうですが、安本氏はそのことを全く無視して自説を強弁しておられるようです。
 安本氏の研究姿勢はこの場では置くとしても、240年年代後半に我が国付近で起こった日食を、天照大神や卑弥呼と結びつけるのは大胆さを通り越した無謀な論だと申し上げたいと思います。
    (高柴昭)
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(読者の声2)ニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物取引の中心である20年12月物は日本時間5日の取引で大きく上昇、一時1トロイオンス2048.6ドルと、前日に続き中心限月としての最高値を更新した(15:54
日経速報ニュース )。
また金の現物は、ロンドンのドル建て取引価格で、5日に一時1トロイオンス2040ドル前後まで上昇した(18:47
日経速報ニュース)。
自分などは、これは近づいてきた全世界的な貨幣価値の低落、インフレ化への先行指標ではないかと思う。
 ところで、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)の8月11/18日号は、「2020年後半 日本・世界経済大展望」なる特集を行い、シンクタンク、証券会社など計13社の金価格予測を載せている。これを見ると、13社が予測する2020年8〜12月の金価格上限は1800〜2000ドル。全13社の金価格上限予測平均値は1935ドル。 雑誌発売直後でありながら、もう既に13社全社が予測を外している。
 「金と銀」と題するコラムでは、コモディティアナリストと称する方が「金は年内2000ドルへ」と題して「年内に2000ドルは達成できない水準ではないだろう」「2000ドルの可能性も」などと述べている。 まことに、「未来予測」は難しい。
 上記特集では、ドル・円の予想については、28社が参加しており、全28社の平均値は、2020年8〜12月で、下限102円、上限112円、21年1〜12月で、下限102円、上限113円
 そして、「ドル・円」と題するコラムでは、大手銀行チーフストラテジストと称する方が、「円、ドル、ユーロの主要3通貨の強弱関係は、日本の解散総選挙への警戒はあるものの、決定的なダメージの少ない円が消去法的に、まずは対ドルで、やがては対ユーロで買われるという展開を予想する。
・・・・・・基軸通貨として世界にバラまかれたドルの価値は、大量に供給されたものの価値は下がるという経済原理にのっとり、ドル売りを引き起こす。来年3月に1ドル=100円割れの場面も予想する」などと述べている。
 藤巻健史氏が述べる円暴落説、日銀破綻説は、一般的にはまったく認められていないようである。
しかし大幅税収減が見込まれる一方で、20年度の歳出は160兆円超に上るといい、「財政黒字化一段と遠のく、政府目標は困難」(日本経済新聞・8月1日朝刊)という
ような日本経済・財政の現状の中で、「決定的なダメージの少ない円が消去法的に、まずは対ドルで、やがては対ユーロで買われる」というのも自分の「感覚」に合わないし、「大量に供給されたものの価値は下がるという経済原理にのっとり、ドル売りを引き起こす」という点についても、もちろん、要は相対的な問題であろうが、それでは円は大量に供給されていないのか、と思ってしまうがどうだろうか? 
  8月5日付の日経新聞朝刊では「長期金利、プラス圏推移、国債増発懸念、海外勢の買い鈍る」という見出しの下で、「長期金利がプラス圏で推移している。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは6月12日の取引時間中にマイナスになったのを最後に、プラス圏での推移が定着している。新型コロナウイルスを受けた財政出動による国債増発の懸念が根強く、海外勢の買いが鈍っているためだ」などと述べられている。
これなどを読むと、自分などは、いよいよ、「国債増発懸念 → 金利上昇
→・・・・・・・」が近いのではないか、と思ってしまうのであるが、はたして現実はどう展開するのであろうか。
  (椿本祐弘)

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