2020年09月27日

◆ドルの流動性クランチが中国企業を

宮崎 正弘

 
令和2年(2020)9月24日(木曜日)通巻第6650号  

ドルの流動性クランチが中国企業を襲っている
  ドル建て社債の償還は年内にまだ1018億ドル、返済の見通しは真っ暗

 天津物産集団(英語名 TEWOO GROUP)がドル建て社債の債務不履行に陥ったと発表したのは2019年11月22日だった。デフォルトは12億5000万ドルで、過去最悪の負債額となった。同社集団は国有企業であるにもかかわらず、中国人民銀行は黙殺、中国銀行なども追加の緊急融資ができなかった。すなわちドルが手当てできないからだ。

 中国企業全体のドル建て社債の償還は年内期限だけでも、あと1018億ドル、金融筋によれば、この他に「隠れドル債務」が17億ドルあるという。いずれにしても返済の見通しは真っ暗で、中国が理由とするのはコロナ禍だが、それは口実でしかなく、実態は会社管理が杜撰なうえ、財務情報に一つも透明性がないことだ。

 2021年のドル建て社債の償還は1120億ドル前後、2020年には1200億ドルを超える。それなら中国の外貨準備高が3兆1000億ドルもあるのだから、それを取り崩せば良いではないかと考えるのは素人。とうに食いつぶしており、ドルを外銀から借りているのが実態なのである。それも貸し渋りが生じており、金利が14%というのもザラである。

 借り換えのために新規社債を起債するという妙手を思いついたが、今年8月末までの新規ドル建て起債はすでに400億ドルに昇り、市場はドル流動性がとまり、ドル需要があっても、外銀は貸し出しをとめているから、債務不履行は時間の問題である。

 こうした危機に関して筆者は小誌でもたびたび指摘したし、田村秀男氏との共著『中国発の金融恐慌に備えよ!』(徳間書店))でも一番問題視してきた。
        
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■読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴著新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)を一気に拝読しました。いかにも宮崎さんらしい闊達な筆の運びに快哉です。
 放哉の以下の句を思い浮かべました。
 「にくい顔思い出し 石ころをける 自らをののしり尽きず あおむけに寝る」
 日本人、こんな気分になり始めている気がします。
   (渡邊利夫)

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(読者の声2)貴著新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)を拝読し、小生も神社巡りをしたくなりました。また文中にでてきた中国文学の傑作「騒土」ですが、早速、注文しました。(福井義高)

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(読者の声3)御新刊の『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)を拝読しつつ、文中に「平和」をめぐっての若泉敬先生とハーマンカーン博士にやりとりの箇所で、膝を打ちました。個人的にもおつきあいいただいた若泉先生は、すばらしい立派な学者でしたが、若くして亡くなられました。日本のために尽力された多くの人々が、鬼籍には入られ、滂沱の日々です。(SK生、長崎)
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(読者の声4)樋泉先生の香港時代の回想を興味深く読んでいます。本日(23日付け貴誌)の黒社会の話は面白いですね。

シナの秘密結社については、宮崎先生も寄稿されている「中国謎の秘密結社」(新人物往来社)を読むと、支那には古来多数の組織があったことがわかります。これは国民にとって政府が敵なので互助会を作り相互防衛をしていたということでしょう。

今問題の中共も、近代の政治集団ではなく伝統の秘密結社とみることができる。ただこれは政治から国民を守るのではなく、国家を乗っ取り、国民を殺し、収奪しているから、国民は守りあう集団が必要で、それが法輪講を作っているのではないか。

なお中共は共産主義政党ではない。私の見立ては、毛沢東はソ連の植えたスラブ共産党を乗っ取り、共産主義者を粛清し、自分の私党に変えたという意見です。

だから共産党は看板だけで、統治の実体は世襲の特権階級がおり平等など何処にもありません。近年北京大学でマルクス研究会が禁止されています。共産党は人民の革命を恐れているのです。

この中共の正体論は世界も日本もまだ分っている人は少ないようです。米国政府高官も中共を共産主義国と見なしています。そろそろ中共の正体に気づいて良さそうです。何の正統性も権威もない犯罪秘密結社集団にすぎないのです。(落合道夫)


(宮崎正弘のコメント)御指摘の新人物往来社のものは雑誌ですね。単行本としては上梓した記憶がありませんので。また中国共産党の本質ですが、あれは山賊、匪賊が国を乗っ取ったもので、強盗が突然、貴族階級となった。中国四千年、つねに同じパターンです。

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(読者の声5)私は、上下水道民営化問題について長年にわたってフォローしている者であるが、菅義偉首相の官房長官時代の実績、見識については、この問題(PFI問題は内閣府所管)に関連した動きを見ただけでも、大きな疑問符がつくと思っている。

しかるに、菅義偉首相が、18日午前、竹中平蔵氏と東京都内のホテルで朝食を取りながら1時間余り懇談した、という報道を知って、完全に呆れてしまった。

たまたま、期を一にしてと言うべきか、竹中氏のこれまでの軌跡を追ったレポートである佐々木実著『市場と権力』(2013年4月、講談社刊)が、『竹中平蔵 市場と権力』という題名で文庫化された(講談社文庫、2020年9月15日第1刷)。

この文庫化に合わせてだろうか、「竹中平蔵と小池百合子、平成を象徴する『二人の権力者』の意外な共通点」なるテーマでの、対談なども行われているようだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/975ecff253aa9d0771d36e474802613fd95964a0?page=1

さっそく文庫本を購入して、再読した。あらためて読み返して、読み返すたびに、竹中平蔵という人物のおぞましさに気分が悪くなってくる。

奥田経団連会長が不信感を露にして「竹中が動くときには必ずうしろにカネの話があるんだ」ともらしたというが(文庫版、p344)、要するに、やることがセコく、その言動に賢慮、品格、志、一貫性、責任倫理、が全く感じられない。

その言動の醜悪さにもかかわらず、「自分のやっていることが正しいと、心から思っています」(p231)というのであるから、たいした思いこみである。
 
中谷巌氏の著作(『資本主義はなぜ自壊したのか』)に対し「細かいことがだんだん分からなくなってくると、みんな思想と歴史の話をします。大いにされればいいが、それで政策を議論すると間違えます」などと評しているようである(p374)。

恐ろしいセリフで、謙虚さを全く感じさせないその「自信」がおそろしい。

ただし中谷厳氏の著作については、私も一応は読んだが、粗雑な内容だと感じた。この程度の粗雑な頭だから、簡単に「新自由主義」を信じられ、そして、簡単に「改宗」できるのだろう。

西部邁氏は、その遺著『保守の真髄』の中で、「構造改革とは何ぞやということであって、本来ならばストラクチャー(構造)という言葉は歴史的に形成されきたった物事の在り方のことを指すのである。

つまり、時間と費用をかけて少しずつしか変えられないし、また変えてしまっては単なる破壊に終わってしまう。それが構造をめぐる変化というものなのである」と述べておられる。竹中の思考は、多くの「歴史的に形成されきたった物事の在り方」を無視していいほどに立派なものなのか? 

この佐々木実著『市場と権力』は、新潮ドキュメント賞を受賞しているが、この時の選評で、藤原正彦氏は、次のように述べておられる。

「受賞作『市場と権力』は、竹中平蔵氏を、経済学者(?)、政治家、実業人、人間の各側面から調べ上げたものである。本書を読むと、アメリカの属国でしか生れない人物であり、学界と政界を遊泳した『一代の詐欺師』との感を深くする。

この人物の巧みな弁論術にここ十数年、政治家、マスコミ、そして国民が欺されてきた。彼は今も安倍政権に食い入っている。何故にかくも多くの人々が、かくも長期間、かくも簡単に欺されてきたのか。真贋を見抜く力を失った国民、これは民主主義の根幹に関わる問題だが、これについての考察があればより完全なものになったであろう。」

文庫版は、一読した限りでは、単行本に見られた初歩的な事実誤認が修正されているのみで、藤原要望は取り入れられておらず、ほとんど増補がなされていないのは残念であるが、文庫版が広く読まれることを期待したい。

竹中が「権力」に連なった期間は、わが国経済が低落、減衰した期間とほぼ同じであると言ってよい。

その竹中と、首相就任の多忙な時期に、1時間も会談するという菅新首相は何を考えているのだろうか?
藤原正彦氏の(そして私の)評価と直感に誤りがないとすれば、菅新首相には、ほとんど期待できないと私は考えている。(椿本祐弘)



(宮崎正弘のコメント)竹中氏は二階氏とおなじく和歌山県出身ですね。ふたりには共通する何かがありませんか?

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(読者の声6)明日(25日)夜、放送予定の「フロント JAPAN」は、河添恵子さんと宮崎正弘さんのコンビでお送りします。テーマは「大阪都構想、再批判」など。
 深夜からはユーチューブでもご覧になれます。
   (日本文化チャンネル桜)

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