2020年10月21日

◆中国がまた大嘘の数字

宮崎 正弘

 
令和2年(2020)10月20日(火曜日)通巻第6675号   

 中国がまた大嘘の数字。GDP成長率は4・9%に回復、失業率5・4%
  874万人新卒の20%が依然就活中、この上に80万人の帰国組(海亀派)が

中国国家統計局は10月19日、「2020年第3四半期(7月─9月)のGDP成長が4・9%に回復した」と発表した。

大本営発表に似て、誰も信じない数字である。

そもそも国家統計局は嘘の殿堂、王保安・前局長は数字改竄の常習で、巨額の賄賂を受け取り、愛人と欧州への逃亡を企て、4枚の偽名チケットに偽パスポートを保有していた。

2016年に逮捕され、愛人も空港で逮捕された。

「4・9%回復」なる数字は、対米輸出が想定を越えて伸びたことが一因だが、あとは無理矢理の投資、財政出動による土木工事によるもので、GDP成長の「虚像」を支える財政出動である。

その裏面にある赤字の増大に関しては眼を瞑っている。株価と不動産相場が暴落を免れているのは、当局からの「売るな」&「買え」という指令である。

現実に銀行倒産が急増し、地方債務ならびに国有企業が起債したドル建て債券は債務不履行を繰り返し、不動産大手の恒大、碧桂園、万科の三大成金不動産開発は借り入れの償還に窒息寸前ではないか。

株式市場にしても、ウォール街でインチキ上場がばれて排斥に追い込まれた中国企業が目立つが、新興ベンチャーなどが急遽、深せん、上海、香港へ重複上場をつづける。

同時に審査基準を緩和して新興のユニコーン企業であるアント集団や、ファーウェイへの半導体を一挙供給することになったSMIC(中芯集積電路)を香港市場にも上場させて、巨額を集めさせ、株価を維持しているのである。

 

 ▼失業率のからくり、新卒にまともな職場がない

失業率が5・4%という発表も、人工的に操作された、「低すぎる」数字である。

第一に農村からの出稼ぎを計算に入れていない。これはあくまでも「都市部」の「出稼ぎ」の失業を参入していない数字なのだ。

第二に新卒者の就労事情が悪化している。

中国の大学新卒は874万人。脅威の数字である。しかも「まともな職」に、あるいは「希望する職」につけたのは三割台、のこりは中小零細、現場労働に散るか、浪人、詐欺、五毛幇にはしるか。それでも20%が就活中なのだ。すなわち「失業状態」にある。

この数字のうえに海外からの帰国組(海亀派)が加わるから、就労状況も悲惨なことになっている。

景気回復局面で新卒は青田刈りになるのが常識ではないのか。

ジェトロ香港は、進出日本企業を照査し、およそ34%が撤退を含む「見直し」を考慮中であると発表した。

中国進出の日本企業の撤退表明が、1700社になっていることは既報しているが、國際金融都市として自由な商環境にあった香港でも、習近平の強引な「香港安全法」の施行以来、将来のビジネス展開の縮小が予測され、日本企業にも不安視されていることがわかる。

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読者の声 どくしゃのこえ REASERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)渡邊惣樹さんの『英国の闇 チャーチル』(ビジネス社)に次ぎ、黒い表紙カバーと字体が同じ『戦後支配の正体 ─1945〜2020』(宮崎正弘/渡辺惣樹著、ビジネス社)を読み終えました。

ペトロダラーシステムが始まった頃はロンドンで石油を扱っていましたので懐かしさもあってからか、私が同書の中で特に注目したことは第4章の「戦後経済の正体」の部分で、渡辺氏が「やはり今の経済学者に欠けている議論は中央銀行とは何か、貨幣とは何かの議論です。これらの持つ怪しさについて一切触れない・・・貨幣とは何かについてはいまだにわからないことがある」と二度にわたって強調しておられることでした。

これは私が他の経済本を読むたびに考えていた印象と完全に一致していたので、「渡辺氏もそういったお考えなのか!」と知り、とても心強く感じました。

同趣旨は私の知る限りピケッティ/スティグリッツはじめ少数の著名な学者がそれに近いことを述べているものの、「それではそれはいったい何か?」について明確な回答を「戦後」つまり1945〜2020年の間に「戦後支配の正体」として「力強く」主張・指摘された学説は(MMTがこれに近付いてはいるものの)いまだ出現していないような気がいたします。

本書においては、特に「戦後」における経済分野での支配の「正体」を、「ブレトンウッズ体制」、「ペトロダラーシステム」「プラザ合意」などなどの制度面とケインズ・ハイエク・フリードマンなどの学問的見解が交差して形成されたものがそれである、と述べられていると思います。

しかし私は同書で「中央銀行や貨幣」の本質をもっと考えつくすことが必要だと渡辺氏が強調しておられるお気持ちからすると、「本当は戦後支配の正体の本命は、根本的な経済の仕組みや構造が変化してしまったことから生じる何かであり、それは中央銀行や貨幣の本質を旧来的解釈から「歴史修正主義的に脱却」し、現代的に解き明かさない限り明確に示せないはずだ」という「直感的ご認識」が渡辺氏の心中にはおありになるに違いないと感じました。

つまり政治のみならず経済においても「歴史修正主義」的理論が求められているのです。)(SSA生)

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(読者の声2)貴誌前号「中国の輸出規制」に絡んで、フランスがソニー製品の通関に意地悪をしたとありますが、同様の経験を私もしました。

私は、1975年から1980年までフランスに駐在しましたが、フランスのやり方は、かなり陰湿で、これも大っぴらではなく、日本製自動車の輸入をシェア2%以下に自主規制するよう陰で画策、日本のメーカーを呼び、口頭で自主規制を要求、従わねば、型式認定の申請書類を、いつも書類の山の一番下に回すぞと脅し、そして申請の受付場所を、西部のロアール川の南の小都市ポアチエで行うことにしました。

ポアチエと言えば、かつてイスラム教徒が現在のスペインを制し、さらにピレネーを越えてフランスへの侵入を図った時、ツール・ポアチエの戦いで阻止した古事に習った一種のユーモア或いは皮肉とも解釈できました。

つまりポアチエで、日本車の侵攻を阻止するという寓意でした。(関野通夫)

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(読者の声3)薔薇十字社から発売が予告されていたものの、三島氏の死によってお蔵入りとなった写真集「男の死」ですが、この度米国で
http://www3.tky.3web.ne.jp/~taqueshi/otokonosi.html
YUKIO MISHIMA THE DEATH OF A MAN
 と題して出版されました。
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