2020年10月22日

◆人民元基軸への移行が

宮崎 正弘

 
令和2年(2020)10月21日(水曜日)通巻第6676号   

 中国、外貨準備からドル比重を減らしているが
人民元基軸への移行がほとんど不可能だと認識できている

中国の外貨保有高の主力は米国債券である。

2017年3月のピーク時点で1兆3000億ドルだった。2020年8月末の米国財務省発表によれば1兆0700億ドルに減少していた。

「中国は米国に報復するのなら、この米国債券を売却すれば良い」とする観測が流れていますが、これは無理です。なぜなら担保として、同額以上を中国は國際金融筋から借り入れておりますので。

国際金融筋は、北京の中央銀行ならびにシンクタンク、銀行関係者の発言や分析、レポート等を分析し、「戦後のドル基軸体制、つまりブレトンウッズ体制に挑戦し、ドル基軸から人民元相乗り体制への野心を抱き、徐々にドル比重を減らしてきた」としてきた。

国際間の決済は貿易、サービス、投資、送金にドルを必要とするが、これに代替できるのはユーロ、スイスフラン、英国ポンド、そして日本円である。直近のドルの比率は59%、ユーロは欧州域内の決済が多いが25%前後あり、日本円も3%台である。

しかし人民元は1・5%程度でラオス、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマーなどでしか人民元は通用しない。

デジタル人民を国内で実験し流通を試みているものの、人民元が、IMFのバスケット通貨でありながら国際的にはハードカレンシーには認められていない。
ドル保有の漸減は、中国が人民元決済の領域ならびに通用空間を拡大し、いずれドル交換停止という潜在的なシナリオに備えていることは確実である。

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【知道中国 2148回】      
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港30)

             ▽
香港では著名人から無告の民まで多くの人との出会いがあったが、そのうちの1人が「反共文人」で知られた司馬?だった。誰の紹介だったか。アポなしの直撃だったのか。今となっては定かではないが、尖沙咀の自宅兼事務所の佇まいが衝撃的で、印象に強く残る。

外国人観光客相手のインチキ土産物屋街の6〜7階建ての老朽雑居ビルの屋上に建てられたプレハブ式。室内は書籍と印刷物で雜然としていた。屋上の空地に隙間なく置かれた野菜を育てている木箱や鷄小屋を指し、「自力更生だ!」と胸を張る。気力充実・意気軒高。

彼は近代中国の思想的幕開けでもある五・四運動が起きた1919年に、江蘇省泰州に生まれた。地味豊かな農村でも、生活は悲惨だった。貧しく不器用な父親は軍閥に引っ張られた挙句、混乱に巻き込まれ無実の罪で銃殺された。母親は13歳の彼を残して「窮死」する。

貧しい彼を助け、彼の向学心を支えてくれた応援者は、じつは共産党関係者だったのだ。かくして運命の糸に操られるようにして共産党活動に加わり、盧溝橋事件勃発後の1937年末には「革命の聖地」へ向かっていた。

延安では、国民党や日本軍治下の秘密工作要員を養成する敵区工作幹部訓練班で学んだ。毛沢東による1、2週間に1回の政治報告はユーモアに溢れ、笑いを誘ったらしい。

「中国革命が勝利したら、どんな国家を建設しなければならないか。同志諸君、1人1人に洋風の瀟洒な家とステキな車を進呈しよう。みんなに海外旅行を約束しよう」。「兄弟(おれ)もまだ外国に行ってないから、その時になったら一緒に出掛け、見聞を広めたいもんだ」

──聴く者を愉快にさせるような毛沢東の発言には、「党の指導者の口からでたことだが、とても信用できそうにない。だが、確かにこう聞いて、誰もが愉快な気分になる」と感想を漏らす。稀代のアジテーターである毛沢東の片鱗が窺える。

もう1人の指導者である王明はソ連共産党史を講義した。颯爽と現れ、理路整然と畳みかけるような話し振りには説得力があり、全員が聞き惚れた。だがも講義は1回だけで後は他人任せ。

当時はレッキとした王明派で、常に周囲に「我が党の天才的指導者・王明同志万歳」と声を挙げることを求めた康生は、西洋商社の買弁風のキザな服装を好んだ。

革の長靴を履き、西洋種の猟犬を引き連れ、颯爽と馬に跨り狩猟に勤しみ、4人以上の護衛に守られ威風堂々と四囲を睥睨していたとか。王明も康生も、とかくモスクワ帰りのエリート臭プンプンだから、誰からも好かれそうにない。
やがて康生は毛沢東派に転じ、党内で特務活動を牛耳り毛沢東恐怖独裁体制確立に大いに貢献するが、それは後の事だ。

 陳雲、康生、李富春、王稼祥、張聞天など幹部から党組織、秘密工作、群衆運動、中国革命と武装闘争、階級闘争と民族闘争などの講義を受けた後、敵の国民党支配地区に送り込まれ秘密闘争に投入される。

死線を越え数々の成果を挙げるが、同志への拷問が日常化し、昨日までの同志を反革命・反党分子として処刑する。

だが翌日には、処刑を指令した幹部が同じ罪名で抹殺される。かくて「こんな組織生活に、正直言ってうんざりしはじめていた。・・・マルクス主義に対する素朴な信仰は心の中で脆くも壊れ果てた」そうだ。

組織への猜疑心と恐怖心は抑え難く、1949年5月の共産党軍入城を機に上海を脱出する。香港ではペンを武器に共産党を告発し続ける一方、豊富な経験に裏打ちされた共産党史研究を続けていた。

時折訪ねると、「大陸の仲間からの情報」を基にした鋭い情勢分析を聞かせてくれた。

もちろん日本で学んでいた中国共産党イメージは完膚なきまでに崩れ去っていた。いまから振り返れば、偶然がもたらしてくれた「最上の教育」だったと確信する。
 
1983年に香港を離れた後、延安時代の苦労を共にし、改革・開放初期の中国で異彩を放った女性ジャーナリストの弋揚とニューヨークで結婚。2019年には百歳を迎えた。香港の現状に対する思いを、気骨の「反共文人」としての彼に問い質してみたい・・・が。

     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜読者の声 どくしゃのこえ REASERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)20日の各メディアではメキシコの元国防相が「麻薬」の件で米国で逮捕されたと報じ、トランプ大統領は当初メキシコ国境に壁を建設すると言って反トランプのマスコミから人道に反すると散々非難されたが、大統領選挙も近い今となってはトランプの言ったことは正しいと選挙民の支持を得るには好材料であろうと。

しかし私はこれから2週間の間に起きかねない事態として、トランプ大統領に対する麻薬組織の「報復リスク」とバイデン候補の「コロナ陽性リスク」があると思っていますが如何でしょうか?

後者の場合はトランプが陽性になったときより、選挙に与える影響は大きいと予想します。
(SSA生)


(宮崎正弘のコメント)闇の司祭ならぬ米国のシンジケートですが、勝ち馬にのるのが大勢でしょう。ラスベガスのカジノ王たちはマカオの事実上の崩壊で、献金どころではないようですが。。。

熱狂的支持者を集めるトランプ集会が連続していますが、その激越な演説に「左翼の不敗メディア」とか「バイデン一家は犯罪者一家」というどぎつい表現が連発されています。

日本なら顰蹙を買いますが、アメリカ人はこのようなパンチの効いた語彙を好む。

小生がいつも注目している「ODD MAKER」のトランプvsバイデン掛け率ですが、8月下旬にバイデンが10ポイントの差をつけてリードしていました。直近のレートはイーブンです。

つまりODDでトランプの逆転が起きると(その可能性は三日以内とみています)トランプの再選は確実になります。

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(読者の声2)前号読者欄の関野通夫氏の、「日本製自動車の輸入をシェア2%以下に。。」ですが、小生は氏が帰国された頃?1980年に渡仏し、1983年まで現地に居住しました。

当時、日本のハイテク製品が集中豪雨的に欧州へ輸出されており、ウォークマン、VCR、CD、ハイファイ音響製品、そしてクルマ等で、黄禍論すら湧いておりました。パリのモンパルナス駅の正面の夜景は、SONY,
PANASONIC, PIONEER, JVC, AKAIなどのネオンが溢れ、壮観でした。
通関業務をツールポワチエへ移動して入超を抑えるという、厭がらせは仏政府特有の陰険なやり方で、効果はどうだったか?

少なくとも、広報のインパクトはあったと思います。クルマの輸入を2%以下に抑えるというのは、当時産業調査をやっていたので、ハタと気がついたのは、日本からのFOB価格がクルマ1台百万円とすると、確か6万台までが輸入のリミットだったようです。

逆に、ビデオ機器1台がFOB6万円とすると、百万個までが輸入リミットで、それ以上はポワチエへの発動なのかな?と想定しました。

つまり仏政府にとっては6,000億円の外貨流出が限界線なのだろうと見ておりました。間違いかもしれませんが、、そこで日本のメーカーは部品にバラして通関して現地で組み立てる所もあったやに聞きました。すると日本側とフランス側で統計が合わないのでした。可笑しいな、規制をしても外貨が流出しているなと。(MKM生)

   ♪
(読者の声3)大統領選挙に立候補している民主党のバイデン氏だが、息子のハンター氏のパソコンからウクライナ・中国との不正関与が暴露された、と世界を騒がせている。

バイデン氏は、前回の大統領選挙には、長男のボー・バイデンが2015.5.30に脳腫瘍で46歳で亡くなった。

その年の10月、翌年の大統領選挙には立候補しないと言った。期待する息子を失った落胆では、自他共に、ヒラリーに勝てないと悟ったのだろう。

日本でも、長宗我部元親は、期待していた長男の信親を戦で失った。その後は荒れた。人は親を失うより、期待していた愛息を失う方の衝撃が大きいようである。

このようにナイーブなバイデン氏は、認知症も疑われ、果たして、海千山千のトランプに勝てるのだろうか。及川幸久氏のユーチューブでは、15日から、マスコミにも支持者にも姿を現さないと言う。

トランプのコロナ感染といい、今回のアメリカの大統領選挙は、サプライズ続きである。

トランプ氏は、少なくとも、2,3ヶ月前にはパソコンを知っていたのだろう。だからしつこく、政策を論ずるより、バイデン氏の個人攻撃に徹していたのではないだろうか。(斎藤周吾)


(宮崎正弘のコメント)トランプ、あと一息で逆転できる情勢になって来ましたね。22日のテレビ討論会が決定打になると思います。「万一、トランプが負けても、2024年に再度挑戦するだろう」と予言しているのはスティーブ・バノンです。彼のような選挙のプロでも苦戦を感じているわけです。
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