2020年10月23日

◆菅政権“デジタル化”の笑止

新恭(あらたきょう)



モリカケ桜の解明なくして日本は効率化できぬ

看板政策の1つにデジタル改革を掲げ、かつ安倍政権の継承を明言し船出を果たした菅内閣。デジタル化の機運はかつてないほどの高まりを見せているようにも感じられますが、総理の思惑通りすんなりと進むのでしょうか。

今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新
恭さんが、前政権から続く隠蔽体質を改めぬ限り、デジタル化に欠かせない国民からの政府への信頼を得ることは不可能とし、菅内閣がまず正面から向き合うべきこと、国民に示すべきことを記しています。


菅首相の隠ぺい体質はデジタル化の最大の障壁

平井卓也デジタル担当大臣は、この国のデジタル化に5年はかかると言う。ただでさえ遅れているのに、そんなにかかるのか。

いや、それさえも眉唾ものかもしれない。なぜなら、情報公開に後ろ向きの政権だからである。

安倍前政権を継承するといって憚らない菅政権。官房長官時代の菅氏ときたら、モリ・カケ・サクラといった安倍首相がらみの疑惑について徹底して国民への説明を拒んできたのだ。


森友疑惑の公文書改ざんについて、自ら命を絶った近畿財務局職員の妻が再調査を求めても、菅首相は調査は終わっていると素知らぬ顔だ。隠ぺい体質が菅首相にはしみ込んでいる。

デジタル政府には、マイナンバーカードの普及が不可欠だ。それは政府への信頼があってこそ可能なのだ。国に個人情報が筒抜けになることへの不安を払拭できないかぎり、マイナンバーカードを安心して使う気にはなれない。それでは、デジタル庁をつくっても、これまで通り、何も進まないだろう。

北欧の小さな国エストニアは電子立国といわれるデジタル先進国だが、それが可能になったのは、情報を包み隠さず国民に知らせる政府に信頼が寄せられているからだ。日本のマイナンバーにあたる国民ID番号とIDカードから個人情報が政府に悪用されたり、データが漏れ出したりする心配をする必要のないシステムになっているのだ。

『未来型国家エストニアの挑戦 電子政府がひらく世界』(ラウル・アリキヴィ、前田陽二共著)という本が出版され、デジタル化社会では世界の最先端を走るエストニアの取り組みが紹介されている。

その冒頭に、エストニア政府CIO、ターヴィ・コトカ氏が「発刊に寄せて」という文を寄稿しているが、それを読むと、なぜエストニアにデジタル化が進んだのか、その歩みがよくわかる。

エストニアでは130万人の国民がスイスやオランダよりも広い国土に点在して暮らしている。1991年にソ連の占領が終わって独立すると、独自の立法システムの開発をスタートした。ちょうどインターネットが発展する時期と重なっていた。「インターネットは国が小さな経済力で広い国土で効果的に機能するための唯一の方法でした」とコトカ氏はいう。

インターネットを活用して国づくりをするうえで避けて通れないのは、「認証」の問題だ。


コンピュータを操作している本人の身元を認証するために、政府は市民のための安全なデジタル・アイデンティティを開発する必要があった。…北欧の国々には数十年間前から、国民のためのユニークな識別子(国民ID番号)が存在し…国民ID番号の問題で混乱することはありませんでした。…最大の課題は、人々が電子サービスを利用し、安全なeIDカードを利用する方法を見つけ出すことでした。

eIDカード、日本でいえばマイナンバーカードにあたる。これを安心して保有、使用し、デジタル化のメリットを享受するためには、個人情報の漏洩、不正使用などが起こりえないシステムの構築とともに、政府の信用が欠かせない。

エストニアではeIDカードを義務化したが、広く市民に理解され、利用されるまでに5年かかったという。それでも実現できたのは、行政の情報公開が進んでいるからだ。


たとえば、政府が作成した文書はWEB上で公開するよう法律で定められている。機密文書については、その理由を政府が開示しなければならない。権力者が国民を監視する仕組みをつくったり、情報を隠ぺいすることは非常に難しい。そのうえ、報道の自由を重視し、誰であろうとメディアに圧力をかけることができない社会風土が醸成されている
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