2021年02月24日

◆リーマン・ショックが近い

宮崎 正弘

 
令和三年(2021)2月20日(土曜日)
通巻第6805号 

ダンスを皆が踊っているときに抜け出すわけには行かない
リーマン・ショックが近いことをブラザーたちは知覚していた。

 リーマン・ブラザースが破綻する一年前にベア・スターンズが事実上倒
産していた。JP・モルガンが、静かにベア・スターンズを買収したの
で、危機は深刻に認識されなかった。しかし、無茶苦茶な貸し出しを続け
てきたサブプライムローンがいずれ大爆発を起こすだろうと警鐘を鳴らす
エコノミストも大勢いた。

 リーマン・ショックをいまさら解説する必要はないが、「百年に一度」
の金融危機と言われ、時のFRB議長だったベン・バーナンキは「ヘリコ
プター・ベン」の異名を取ったように金融緩和を強引に牽引する一方で、
米国金融界の大再編が起こった。この激越なTUNAMIは日本にも深甚
は悪影響を及ぼし、日本の証券、銀行が再編された

後日、リーマン・ブラザーズの幹部が語った。
「皆がパーティに集まって、ダンスを踊っているときに抜け出すわけには
行かない」と。

EVが大躍進を遂げて、自動車産業界はなにか「リーマン・ダンス」を
踊っているのではないのか。EVは走行距離が短く、大型車両には不向き
なうえ、スピードも出ないことは誰もが知っている。そのうえ電気消費が
二倍になるが発電の手当が伴っていない。充電スタンドも決定的に不足し
ている。

斯界では「株価をつり上げる情報操作が目的」とか「補助金を予算化する
ため」とかの説も出回っている。

先週、ビットコインが5万ドルを突破したが、直接の原因はテスラが15
億ドルを投資したことが判明したからだ。しかしビットコインは環境社会
企業統治という企業トップの重点的目標からは乖離している。
テスラ率いるイーロン・マスクは市場の特性を巧妙に掴んでの冒険主義の
暴走が見られ、いずれ信長のように高転びに転ぶことにならないか。



 ここで、次の記事を参考にかかげたい。というのも、この加藤康子氏へ
のインタビューはたいへん重要なことを発言しており、その重要部分を抄
録する。(「未来ネット・メルマガ」、2月19日号)。

▲脱炭素政策は素材産業を日本から追い出す政策、

 (加藤康子)環境と労働に優しくすると社会コストが高くつきます。電
力や労働規制、環境規制、税金などの社会コストが高い。マーケットは大
きくない。そういう悪条件下で製造業が頑張り続けるのは大変です。
 今のまま工場が全部外国に出ていったら、政策を一歩間違えれば日本は
本当に借金まみれの貧しい国になってしまう。いったん海外に行ったら日
本に戻すのは至難の技です現地で再投資をしたほうが効率がよい場合が多
いからです

カーボンニュートラル(脱炭素)政策は素材産業を日本から追い出す政
策、絶対に避けなくてはいけない。
 今の日本政府が地球環境を救いたいなら、まずすべきは中国の製造業を
分散させることであって、日本じゃない。

CO2の排出は、中国とインドが主な問題ですから。
 製造業にとって社会インフラ面のコストは人と土地と電力と水です。こ
のうち日本で競争力があるのは水だけです。あとはいろんな規制があって
日本で生産するのは諸外国に比べてものすごくコストがかかる。
だから企業は、固定資産税をタダにしますよ、電力を安くしますよ、と誘
致政策をしいた街に行くわけです。利益は電力や水などの総合的なコスト
を引いた後のものだから。

 ▲製造業は心臓の部分を輸入に頼った瞬間から没落が始まる

 (加藤康子)これはEV(電気自動車)と共通ですが、製造業は心臓の部
分、船なら主機、車ならエンジン、これを海外からの輸入に頼った瞬間
に、その産業は没落が始まります。
 日本は今まで優れたエンジンを20年、30年、40年かけてイノベーション
を起こしてきましたし、今や世界に冠たる自動車製造大国をつくってきま
したが、それがモーターと電池になると別のビジネスモデルに変えられて
しまう。

そもそも100%EVにするということ自体はありえません。
電池の産業廃棄物をご存知ですか? 全然、環境にエコじゃない。なのに
それをエコと言い切って進めること自体が、ある意味すごいと思う。ペテ
ンですよ、本当に。
 
電池の廃棄物の毒性はすごいですから。イタイイタイ病みたいな公害をま
た引き起こすつもりなのかと。
有害物質がものすごく出る。電池は基本的に有害だと思わなきゃいけない
のです。だって有害物質に依存した物なのだから。
 
リチウムイオン電池をつくるために、コバルト、ニッケル、リチウムなど
の資源が必要ですが、コンゴのコバルトは資源もあと数十年といわれてい
ます。レアメタルは経済安保を考えると中国に依存するのはとても危険です。

 ▲EV政策は重工業を弱体化させ日本の経済を丸裸にする謀かも

「(加藤康子) 「環境」が金融商品化して今の騒ぎを作っていることが
大問題です。
いかに産業を強くするかという産業政策をしていたのだけど、今はいかに
お金を流通させるか、投機をいかに呼び込むかという政策をやっています
ね。それに乗ると国民が最後はワーッと、それこそレミング現象みたいな
こと(集団で自殺)になる可能性があるわけです。
 日本の自動車産業はこのままEV推進政策に取り込まれると危険です。
カーボンプライシングでEVへの補助金を捻出しようと考えているのでしょ
うが、税金の無駄遣いでしょう。日本が強かった内燃機関から、中国や韓
国が強い電池産業に自動車産業の産業構造を切り替えるという話ですから。
 EV推進政策は重工業を弱体化させて日本の経済をストリップアウトし、
国際競争力のある日本の自動車産業を弱体化させます。
  カーボンニュートラルは、結局日本の素材産業を中国に追い出してし
まう話ですよ。日本で鋼板が作れなくなります。国の予算をかけて、何兆
円産業を日本から追い出す。そんなことして本当にいいのか!と誰も大き
な声を上げないのが、本当に大問題。

(加藤康子(かとう こうこ)プロフィール:産業遺産情報センター長。
慶応大学文学部卒。米ハーバード大学ケネディスクール(公共政策大学
院)で都市経済学修士課程(MCRP)修了。一般財団法人「産業遺産国
民会議」専務理事。2015年7月から19年7月まで内閣官房参与を務
め、「明治日本の産業革命遺産」(長崎など8県)の世界文化遺産登録に
尽力した。著書に『産業遺産「地域と市民の歴史」への旅』(日本経済新
聞出版)他。
………………………………………………………………
★『明治日本から令和へ』加藤康子(zakzak by 夕刊フジ)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210202/dom2102020001-n1.html 
   
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム  
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【知道中国 2200回】           
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港82)
 
        ▽
 一方、寧陽会館からの書簡では、30個の骨箱に収めて託送した105柱の
遺骨を「転交香港台山商会、俾得運入寧城義荘」、つまり香港に住む台山
県出身商人で組織した台山商会に移した上で、寧陽会館が故郷に造成した
「先友」のための共同墓地の寧城義荘に埋葬するよう依頼している。
この書簡の日付は特定できそうにないが、1918年から1925年の間と見られる。

 以上の2つの書簡から、肇慶総会館にせよ寧陽会館にせよ、当時すでに
香港で活動する支部なりの関連組織を持ち、サンフランシスコ=香港=故
郷を結んだ運棺ネットワークが機能していたことが読み取れる。
このネットワークが棺や骨箱だけではなく、じつはヒト・モノ・カネを運
んでいた。その中にアブナイモノが含まれていたとしても不思議ではない。

では、託送された棺なり骨箱を引き取る遺族が現れない場合はどう処理
するのか。そこまで心配することもないとは思うが、ここまで調べた以上
は、その先を知りたくなるのが人情、いや「業」というものだろう。

 1927年2月28日付けの東華三院から出された金山寧陽餘慶堂宛の書簡
は、1年前にアメリカの定期船で託送されてきた「先友骸骨九十七箱」は5
月22日に東華義荘に安着し保管しているが引き取りに現われない遺族がま
だ多数いる

今回、遺骨を収めている布袋が劣化し破れてしまったことから遺骨が散乱
してしまい、どれが誰の遺骨か判明しない。遺族が引き取ることを望んで
も渡せない──と綴った後、次のように小言を添えた。

 「竊かに思うに此の先友は身を異邦に喪う。貴堂列翁の骸骨を?拾する
を経て付返す。理さに宜しく運び故里に帰し、俾みて首邱を正すべし。
今、竟に此れらの骨殖は零乱するに因り、認め領ける能わず。諸々の情理
を揆れば、心に於いて殊に不安有り。別埠の付来する骨殖を査らかにする
に、具毎に白の鉄箱を用いて貯好め、外面に加えるに木箱を用い、先友の
姓名、籍貫を木箱の外面に書写し(以下、略)」。

 つまり願い通りに故郷の土に還してやりたいと苦労して収集した遺骨な
のに、ぞんざいに扱うから処理に難儀をするんですよ。袋は腐り破れ骨が
交じり合ってし
まい、どれが誰のものやら判らない。人情において忍びないではありませ
んか。「別埠」──サンフランシスコ以外の都市を指すのだろう──にある華
僑組織から送られるてくる遺骨は白の鉄箱に収められ、さらにそれを木箱
で覆い

箱の表面には死者の名前と還るべき故郷の地名まで書かれていますよ。だ
から今後は布袋なんぞに放り込まないで、「別埠」のように手厚く丁寧に
処理してくださいよ。イイカゲンにしてくださいよ。今後は梱包をシッカ
リ頼みます、ということだろう。

 北米であれ中南米であれ、各地の華僑組織と東華三院との間でやりとり
された書簡をみる限り、「入土為安」までの一連の作業は、以上に示した
サンフランシスコからの場合と同じような処理がなされている。

 最後に面白い例を1つ挙げておく。それは横浜中華会館理事長孔雲生か
らの書簡で、日付は「中華民国拾六年十月二十七日」というから1927年10
月27日になる。

 その文面によれば(a)横浜中華会館前董事・譚玉階の棺を今年の冬季に
香港宛に託送するので東華義荘で保管を願いたい。(b)子息の譚理平が神
戸から香港に向かうので蝦苟艇を雇い、棺を故郷の高明県に運搬し葬って
もらいたい。(c)費用につき返信願いたい──と求めたが、東華医院からの
返事がない。譚理平からは「東華医院からの返事はどうなっているんだ」
と何回も言って来るが、曖昧な返事しかできない。そうこうしているうち
に棺を船積みする日が近づく。はたして当方の希望は叶うのか。
返信次第では今回の措置は中止せざるをえないかもしれない。そこで「専
候玉回」と返信を求めるのであった。
       
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読 者之声
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(読者の声1)貴誌前号「この『デジタル通貨』はフェイスブックが『リ
ブロ』を提唱し、主要国の反対で流れたが、あたらしく『ディエム』の発
行計画に改めた。BISの調査報告では、日米欧の中央銀行は導入に慎重
だが、新興国のカンボジアは『バコン』を発行した」(引用止め)

定義がカオス化しているので書きます。
通貨とは法定通用力を持つ貨幣のことです。電子マネーは3種類ありま
す。前払い、即時払い、後払い。それぞれ、paypay他、デビットカード、
クレジットカードです。最初のは各フィンテック企業がやっていますが、
規模はあくまでも微々たるもの。ずば抜けて多いのはクレジットカードで
す。したがって便利であって副作用はありません。

 五万ドル越えたビットコイン他はブロックチェーンの暗号資産です。定
義上、通貨の範疇には入りません。ビットコインと基軸通貨ドルの為替市
場などありません。
 デジタル通貨とはシナのような全体主義国家や、カンボジア、パナマの
ような小国でのみ可能です。

マイナンバーにこれほど抵抗感がある個人情報保護に厳しい通常の国家で
は不可能です。オーエルの言ったように『1984年』的な全体主義国家に変
容しない限りは。
なぜなら、デジタル通貨とは人民全員が中銀に口座保有することを意味す
るからです。現在、日本では銀行以外は日銀口座を持てません。なお、
フィンテックは日銀口座を持っていません。

人民全員が中銀口座を持てば、政府中銀は人民が何に金を使ったか、すべ
てわかることになります。そこでは量子コンピューターが使われる。
既に日本財務省は官庁用語「調査する」で「デジタル通貨はやらない」と
断言済みです。
一方、グーグルなどは国家を超越した権力へ成長しましたが、国家を越え
た暗号資産をさらに強力なパワーとなるために、やりたくて仕方ないよう
です。
シナではスマホでデジタル通貨を扱えない高齢者向けに、カードを発行す
るようです。10年後の世界が大変化しているのは間違いない(Z生、逗子)


(宮崎正弘)複雑怪奇な金融状況地図ですが、明快に定義しなおしていた
だき、有り難う御座います。

   ♪
(読者の声2)貴誌連載中の樋泉克夫先生のコラムは現在、華僑として外
国に死んだ中国人が死んだら故郷に帰りたいと、棺を香港経由で運びこむ
話ですが、似た話を聞いています。

 嘗て日本の統治により治安が確立した満洲には、多くの漢民族がやって
来ました。地の利から山東省が多かったようです。苦力も多かった。
 ハルビンの中国人街はフ─ジャデンと言いましたが、そこには大観園と
いう「三不官」(政府、警察、軍も手を出せない、アンタッチャブル地
帯)の一帯がありました。時々、その大観園からは、素っ裸の干からびた
阿片患者の死体が路傍に放り出される。ここは売春宿でもあり、阿片窟で
もあるのです。「魔窟」と呼ばれていました。

 死体はしょうがないから、ハルビン市のゴミ収集車がやってきて、共同
墓地(万人抗)に身元不明者として埋葬されます。専売制度で阿片患者漸
減政策を取っていた満洲国政府は怖気づいていました。
何でこういうことが起きるのか、理由がわからない。
そこで調査に入ったのが中国語も達者な佐藤慎一郎先生でした。孫文の革
命運動で亡くなった山田良政の甥ですから、蒋介石の国民政府も知ってい
る人物。戦後、拓殖大学の名物教授として著名な先生です。
先生が調べると、死体は抛り棄てられるだけではない。干からびた遺体の
腹を開け、そこに阿片を詰め、死人の故郷である山東省に棺に入れて送っ
ていたということが判明しました。

漢民族の願いである故郷に土になりたい思いは、そのようなあくどい阿片
密輸にも利用されていたわけです。私はこの「魔窟」大観園の跡地を見に
行ったことがあります。今でも荒涼としていましたね。
(田中秀雄)


(宮崎正弘のコメント)佐藤慎一郎先生は中国史の研究家でもあって拓殖
大学海外事情研究所におられましたが、田中角栄の日中国交回復は拙速と
して、中国側の文献や文書の解釈を鮮明に展開され、田中外交を批判して
いたことを思い出しました。



  ♪
(読者の声3)三島由紀夫研究会事務局から二月と三月の「公開講座」の
お知らせです。
2月は井上隆史先生が「21世紀の三島由紀夫」を語る
     ============================
憂国忌の発起人一人。白百合女子大学教授の井上隆史先生による公開講座
「21世紀の三島由紀夫」が開催されます。
              記
日時   2月26日(金)18時開演(17時半開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   井上隆史先生(いのうえ たかし、文芸評論家、白百合女子大
教授)
演題   「21世紀の三島由紀夫」
講師略歴 昭和38年生。横浜市出身。東京大学文学部国分科卒。主な著
書に『「もう一つの日本」を求めて 三島由紀夫『豊饒の海』を読み直
す』(現代書館)、『暴流の人 三島由紀夫』(平凡社)など多数。
参加費  おひとり2千円(ただし会員と学生は1000円)。
@@@@@@

3月公開講座は三浦小太郎氏が講演

日時   3月26日(金)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   三浦小太郎氏
演題   未定
講師略歴 昭和35年生。評論家、アジア自由民主連帯協議会事務局長
     東京都生れ。獨協医科大中退。保守派の論客として諸方面で寄
稿、発言。
著書   「ドストエフスキーの戦争論『作家の日記』を読む」
参加費  おひとり2千円(ただし会員と学生は1000円)。
     (三島由紀夫研究会)


(読者の声4)隠し文学館「花ざかりの森」でよみがえる三島由紀夫展が
あります。
憂国忌発起人でもある杉田欣次氏が主催する隠し文学館花ざかりの森(富
山市)において「三島由紀夫の読書と創作の変遷 展」が、以下の通り富
山市で開催されますのでご紹介します。
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