宮崎 正弘
令和三年(2021)3月24日(水曜日)
通巻第6839号
全人代でも報告されていた中国のレアアース戦略
第十四次五カ年計画で優先事項
現在、世界のレアアースの85%を中国に依存している。
鉱区は内蒙古省のパオトウ(包頭)と江西省である。後者では毒性の強
い化学材を直接鉱脈に流して精製過程を短縮しているため地域住民に得体
の知れないに奇病の発生も伝えられている。
スマホ、EVのみならずタービン、ドローン、高性能電池、超音速航空
機、ジェット戦闘機、ミサイルなど、レアアースは軍用品でも枢要な基礎
材料だ。げんに2010年に中国はレアアースの対日輸出を禁止し、日本
の産業界は備蓄が無かったため、その脆弱性に悲鳴を挙げた。
米国はじつは世界最大のレアアース埋蔵を誇るが、精錬過程での環境が
劣悪なために原石を中国へ輸出して精錬を依存している。汚い仕事をしな
いのは米国内の環境保護団体の圧力による。
また供給源の多角化をはかるため、日本、米国、欧州勢はインド、マダ
ガスカル、豪などに鉱山投資、精錬所建設などを急ぐ。なかでも重視され
ていたのがミャンマーだ。
したがって欧米が制裁を強化すると、せっかくミャンマーに於けるレア
アース生産も暗礁に乗り上げる可能性がある。
三月の全人代では2021年のレアアース生産目標を8・4万トンとし
た。前年比27%増で、中国の産業情報技術部は「希土類管理条例」を発
令し、鉱山採掘から精錬、流通、輸出のプロセスを一過して管理すること
を優先するとした。
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う BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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オーストラリアが反中国に傾くまでの舞台裏では熾烈な諜報合戦があった
中国の脅しに屈せず、国益を守る教訓を日本は参考にすべきではないか
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アンドリュー・トムソン著 山岡鉄秀=翻訳・監修
『世界の未来は日本にかかっている ーー中国の侵略を阻止せよ』(育
鵬社)
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近世の日本において、知日派の元祖は、ザビエルとかフロイスになるだ
ろうか。江戸時代の知日派元祖はウィリアム・アダムスこと、三浦按針だ
ろう。
幕末の知日派は毀誉褒貶もあるが、フィリップ・フランツ・シーボルト
が飛び抜けている。爾後、陸続と日本にやってきた欧米の外交官たちは優
れた日本観察を残した。もっとも優れた作家はラフカデル・ハーン(日本
名=小泉八雲)だ。
戦中、戦後は極端な色眼鏡で日本の悪口を書き続けた外国人ジャーナリ
ストが夥しかったが、日本文学の源流から日本文化を理解し、広めた功労
者はハーバード・パッシン、エドワード・サイデンステッカー、ドナル
ド・キーンらがいる。親中派だが知日派でもあったエズラ・ヴォーゲル
も、この仲間に入れて良いかも知れない。
そして現在、日本語を流暢にあやつり、日本の味方を鮮明にする外国人
評論家には、英語で初めて三島由紀夫評伝を書いたヘンリー・スコット・
スト−クス、モルモン教の布教活動で日本にやってきてタレントとなった
ケント・ギルバード、麗澤大学のジェイソン・モーガンらがいる。
この戦列に新らしい論客がオーストラリアから加わった。
しかも中国語、アラビア語、そして日本語を流暢に操り、そのうえ元豪
国会議員であり、あまつさえ豪政府の五輪担当大臣をつとめ、国際経験が
豊かで、日本に移住し、日本の歴史の現場を訪ね歩いてきたオーストラリ
ア人論客の登場である。
なにしろ佐賀県呼子の西にある名護屋城跡にでかけて、秀吉がなぜ朝鮮
半島に攻め入ったかの歴史的な意味を考えるのだ。名護屋城の規模から巨
費が投下された理由を考えれば、明らかにキリスト教の侵略を防衛する予
防戦争だったことがわかるだろうが、トムソン氏は、現場に立って、その
ような分析にいたるのだ。
アンドリュー・トムソン氏は、中国にも赴任した経験があり、苛烈な豪
中貿易に最前線にいた。中国人との付き合いも豊富で、やがて気がつくの
だ。中国人はビジネスが究極の狙いではなく、間接侵略のための尖兵であ
ることに。
現実を見れば、夥しい豪の政治家、ジャーナリストらが中国の賄賂漬け
に浸って、ひたすら親中路線を驀進して、国益を損なっていることに気が
ついた。まさにサイレント・インベーションが着々と進んでいた。
歴代豪首相のなかでも、飛び抜けての親中派は、外交官出身のラッド元
首相だが、当然、トムソン氏は彼とも付き合いがあり、また親中派から反
中派に転向せざるを得なくなったターンテーブル前首相が、なぜ親米、親
日、反中のアボット元首相をおいやったのか。私たちが知るよしも無かっ
た豪政界の舞台裏を活写する。
ラッド元首相はオバマ政権下で緩慢にすすみつつあったアボット首相
(安倍首相と昵懇の中だった)を横に見ながらクアッド(日米豪印の軍事
同盟)構想の原形を積極的に壊した。
ラッドは国益を度外視した親中派だったが、いまは米国に移住したという。
若い上院議員で饒舌家だったダスティヤリは「オーストラリアは南シナ海
での中国の行動に干渉してはならないと述べました。これは、労働党の中
核的な外交政策に対する明らかな矛盾でした」
背景にあったのは「黄向墨という中国の不動産ビジネスマンが、ダスティ
ヤリの借金を肩代わりして法律事務所に支払い、シドニーの労働党事務所
に多額の現金を寄付していた(中略)。黄は明らかに中国共産党の統一戦
線工作部の工作員」だった(40p)。
ようやく豪にモリソンという、まともな政権が再生し、日豪米印のクアッ
ドが共同軍事演習を展開できるようになった。
以後の問題のひとつは「英国が中国を封じ込める目的でクアッドに英国海
軍を参加させるか、どうかです」と言い切る(180p)。
日本の視点だけで世界情勢を見る限り、この発想は浮かんでこないだろう。
なにしろ日本における中国のサイレント・インベーションは豪どころでは
ない。脳幹が侵された日本の政治家たちは国を売ろうとしているのではな
いのか、と日本滞在の長い知日派から見れば、日本の対応は異常に映るのだ。
欧米を「毒殺」したリベラリズムという名前のネオ・マルクス主義は、
キャンセル・カルチャーを産んだ。
アメリカの分断は「かれらの」思う壷であり、中国の対米戦略は、この米
国の左右対立、キリスト教的価値観と左翼の歴史否定勢力の鮮烈な分裂を
巧妙に衝く。
現在、展開されるアメリカ政界の分断は民主主義を信奉した西側全体の危
機でもあるとトムソン氏は鋭角的な指摘をしている。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読
者之声
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(読者の声1) 「未来ネット」(旧「林原チャンネル」)からのお知らせ。
本日1600から生番組です。「宮崎正弘の生インタビュー」 #7 渋沢
栄一を語り尽くす!
ゲスト 中村彰彦(直木賞作家)。下記サイトです。
https://youtu.be/r17wlNot-d0
(未来ネット事務局)
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(読者の声2)読者SSA氏が、「 通巻6819号で・・』と記者の『私
見』を『堂々と』あたかも客観的事実の如く記しています。」と米国、日
本の報道人の「中
立・客観性」が失われた、と指摘されていますが、日本では朝日新聞など
が、戦前、戦中、戦後、そして今に至っても確固とたる社是として貫いて
きた「言論統制・制御・捏造機関」として世論を作り、それに迎合し、煽
り、日本社会を破壊・分断そして統合して崩壊に導く「悪魔の組織」であ
ることは周知の事であるが、この誇るべき日本「文化」によって、最近米
国の超一流新聞と自他共に認識されてきたニューヨーク・タイムズ紙さえ
もが「日本化」されてしまった。
?「記者・社の『私見・結論』を客観的事実として、第一面(社説面
ではない)に堂々と、それもあやふやな「事実」を混ぜて載せる、という
操作は、もちろん記者個人で出来る訳はなく、社の編集員、全員の総意に
よるものである。
NYTの「ニセ記事・誘導・洗脳社説」は全国、世界的にも多くの報道が、
それを事実として、拡散される。その集積が巨大な世論を形成し、事実
上、文化・言論・政治・選挙・司法までも操作する結果を生み出す。
この解析は、故山本七平氏がペンダサン氏の翻訳者として『日本教につ
いて」という朝日(本田記者)の細かい具体的な解析がなされている。
1990年代日本のバブルがはじけて以来、日銀は国債・貨幣を乱発し、それ
を真似る他国の中央銀行を揶揄して「日本化・ジャパ似フィケーション」
と呼ばれ、現在世界の中央銀行の全てが日本化された。
そして近年、報道機関までもが朝日の真似をするようになった。世界を指
導する日本、ばんざあーい。誠に喜ばしい。
では次の日本化は何か、と思うと「援助交際」ではないか。倫理・価値観
を失った少女、そしておじさん達の合理的な経済行動。米国では「シュ
ガー・ダディー」と呼ばれる。AIに仕事を奪われ、人類最古で最後の職業
とされる売春業。
(KM生)
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(読者の声3)中国のメディアによれば、遼寧省に80年残っている日本
の神社があるとか。遼寧省はやはり親日的な地域でしょうかね。
http://news.searchina.net/id/1697836?page=1
日本人墓地に出向いて赤ペンキをかける彼らが?
(DH生、水戸市)
(宮崎正弘のコメント)阜新ですね。昔、日本が開拓した炭鉱町です。小
生は15年ほど前に瀋陽から汽車ではいりました。日本時代の水道塔から
炭鉱宿舎など、殆どそのままでした。駅も。
歩き疲れてふらっと入ったスナックでビールを飲んでいたら付近の女子
学生が集まってきて「英語の練習をしたいので」とか。そこに男子学生の
合流し、とうとう、夜汽車の時刻までかれらを居酒屋のようなところで呑
んでいたことを思い出しました。皆、一人っ子なので、男女を問わず兄弟
のような関係でした。中国は想定外に変化を遂げていることを実感できた
のです。それも旧日本人街の阜新で。
2021年03月28日
◆第十四次五カ年計画で優先事項
at 07:36
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| 宮崎 正弘
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