宮崎 正弘
令和三年(2021)7月20日(火曜日)
通巻第6987号
デジタル人民元は両刃の剣 いったいデジタル人民元 はどう
やってドルと交換できるのか!
中国がデジタル人民元の普及目的で、各地で実験を繰り返しつつ、メ
リットとデメリットを現場で会得している。一方で中国政府は潜在的な阻
害要因の駆除を行ってきた。具体的にはビットコインなどの暗号通貨の取
引所を閉鎖したことである。
暗号通貨は400種類ほどが出回っているが、中国人はビットコインに
集中的に投棄した。その世界シェアは80%にも及び、闇市場での現金化
ブローカーも出現した。また電力消費が膨大なため、国内取引所を畳み、
米国テキサス州へ移動する「業者」も目立つようになった。
消費市場に於いてはアリババ、テンセントのモバイル決済が国民から支
持され、最初は奨励してきた中国共産党だが、データ管理とデータ流失に
問題があるとして、規制を強化する。ともかく施策はジグザグ、朝令暮
改。それもこれもデジタル人民元を普及させ、国家がそのデータを管理す
るという、完膚無きまでの管理監査国家体制とするためだ。
筆者は前々から不思議におもってきたのは、デジタル通貨は国際的流通
性を獲得すれば、当該国の通貨管理、すなわち通貨発行という主権はどう
なるか、という問題である。
同時にこうした仮想通貨は、ドル基軸の世銀IMF体制と、どういう整合
性を取るのか、デジタル人民元などの仮想通貨は、どうやってドルと交換
できるのかという問題だ。
最近の中国のエコノミスト達の議論をみていると、ようやく、この問題
を論じ始めており、ドル交換の仕組みはどうなるか、デジタル人民元と
は、両刃の剣ではないのか、という議論が本格化した。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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深センへ行ってアリババ凄い、テンセントもの凄いと感動し、日本は追
い抜かれたと
表面の泡をみて騒いでいたのが日本の多くのジャーナリストだったっけ
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福島香織『習近平「文革2・0」の恐怖支配が始まった』(ビジネス社)
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香港から特急に乗って隣の深センへ行く。四十年前は人口八千人たらず
の極貧の漁村だった。その頃、評者(宮崎)外国人ツアーに紛れて深セン
に入ったが、ビールは冷えておらず、肉は露店で売っていた。辻々には恥
ずかしそうに自宅の不要品をならべて売っていた。
それがいまでは人口1100万人。町の景観は西側先進都市と変わらな
い。地下鉄が縦横に走り、飛行場も二つ。世界中から商談に訪れるビジネ
スマンで、ホテル料金は北京より高い。マンションも東京より高い。先進
国と違うのは行儀の悪い人々が町を歩き、礼儀を知らない人たちが高級レ
ストランを占拠していることだろう。
ともかくアリババ本社を見て、「日本企業より決断早いし、凄い」、テ
ンセントも見学して「もの凄い」とやたら感動し、日本は追い抜かれたと
騒いでいたルポを多くの読者は思い出しませんか。
まさに表面の泡(バブル)だけをみて浅薄な現象を報じていたのが日本
の多くのジャーナリストだった。
鴻海精密工業の深セン工場では高層階からの飛び降り自殺が相次ぎ、吹
き抜けの下層にネットを張っていた(これは映画にもなった)。鴻海の大
躍進も、萎みつつある。
習近平は民間人がのさばる光景は許せない狭量の人である。すべてが中
国共産党の支配下にないと気が収まらない小心翼々たる愚者である。
だから民間企業への弾圧が始まったのだ。
贅沢な邸宅に住み、ヨットを浮かべて高級なフランスワインを呑み、美女
を侍らし、リムジンにふんぞり返って札束を数えるという享楽は、共産党
幹部以外の人間が享受してはならないのである。
中国は古来より社会はピラミッド構造であって、皇帝と眷属、それを守る
傭兵のほかは奴隷でしかない。
民間企業とか中産階級とかはマオイズムの教科書には書かれていない。
弾圧はアリババ傘下の金融会社「アント」の上場延期から開始され、テン
セント、百度などに及んでいることは周知の事実である。だがアント弾圧
の前に幾つかの民間実業家が逮捕拘束される事件が続出していた。
本書はこの経過を詳しく描写する。
2020年7月には明天証券系の金融保険会社9社の資産が押収され
た。このグループの創業者は肖建華だった。
江沢民に近いとされ肖建華は数年前に滞在中だった香港の高級ホテルから
拉致され、いまだに北京で拘束されている。
農業実業家だった孫大牛は2020年11月に冤罪で逮捕された。アリバ
バ事件直後の20年11月17日には南京のIT企業でのし上がり、
フォーブス長者番付にもでた福中集団の楊宗義が逮捕された。楊は慈善事
業でも積極的だった。
かくして著者の福島さんは言う。
「民営企業家の多くは裸一貫から大企業家になったカリスマが多く、馬
雲のように国際社会からも支持されていたりする。習近平と比較しても指
導者としての資質が高い。自分の長期独裁政権確立の障害となりそうな有
能な政治家を、反腐敗キャンペーンの名目で排除してきた習近平にとっ
て、カリスマ経営者は自分の無能さを際立たせる脅威の存在に思えるかも
しれない」(166p)
まさにその通り、習の独裁を脅かす民間人カリスマの存在は排除の対象
となるわけである。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS
読者之声
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(読者の声1)東京五輪を開催する日本に、冷たい視線を向けたが米国の
ワシントンポストで、「東京五輪は失敗。日本国民の熱意は敵意に変わっ
た」と言いはなっています。バッハ会長の宿舎前には「五輪中止」のプラ
カードをもっての抗議集団。しかし国威をかけてここまできた東京五輪中
止を叫ぶのは大人げない気がします。
(FG生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)WP紙は余計なお世話。しかし、なぜ東京五輪の
失敗と、始まってもいない段階で誹るのか。プロの活動家が裏で連携して
いるのではないか、と思います。責任は中国の武漢ウィルスですから、中
国の損害賠償を言うべきではないでしょうか。
アメリカのメディアは中国責任を論じることを忌避し始めています。
♪
(読者の声2)貴誌7月17日号・読者欄・林秀行様へ。
このハイチ大統領暗殺等を報じる Resist The Main Stream なるソース
はフェイクニュースのサイトです。メールアドレスはテキサスになってい
ますが、実際は北マケドニアに住民によって運営され、主に閲覧数を増や
して広告代を稼ぐのが目的のようです。
昨今CNNなどもフェイクだらけですが、いっぽうで保守派を装ったこ
うしたフェイクニュース発信源も増えており、注意が必要。
聞いたことのないようなニュースソースが一見スクープのようなニュー
スを報じている場合、まずはネットで xxxxFake News と検索してく
ださい。(xxxxにニュースサイトの名前を入れます)
私も検索してここにたどり着きました。
https://www.rferl.org/a/macedonia-fake-news-sites-us-election-conservatives/30906884.html
「北マケドニアにアメリカ保守を装うフェイクニュース・サイト、大統
領選を狙う」
本当にメンドウな時代になりました・・・
(Stratocaster)
(宮崎正弘のコメント)旧ユーゴスラビアやアルバニア、そしてハンガ
リーからブルガリア、ルーマニアあたりにかけてフェイクで広告を荒稼ぎ
する副業が大流行。なかには高校生で高級車を購入した剛の者がいるとか。
2021年07月23日
◆デジタル人民元は両刃の剣
at 09:13
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| 宮崎 正弘
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