五輪開催は成功だ、皆喜んでいる
━━━━━━━━━━━━━━━
櫻井よしこ
日本ルネッサンス 第961回
7月23日金曜日、「東京2020」五輪が始まった。武漢ウイルス禍の中で本
当にいろいろあったが、よくここまで辿り着いた。よかった、の一言である。
私は毎週金曜日の夜9時に生配信している「言論テレビ」で、西岡力氏と
洪熒氏をゲストに、きっちり1時間、朝鮮半島情勢を伝えて、途中から開
会式を見た。素直に感動した。
第一、選手の皆さんの表情が何ともいえないほどよかった。マスクはして
いたが、どの選手もどの人も喜びを体全体で表し、目が笑っていた。マス
クの下では大きな笑みがこぼれていたことだろう。五輪中止を叫んだ人た
ちに、こんなに晴々とした選手たちの様子を見てほしいと心から思ったも
のだ。
視聴率調査会社のビデオリサーチによると、約4時間にわたった東京五輪
開会式の視聴率は56.4%、実に多くの人が見たのだ。
開会式には日本の文化文明の穏やかさと、物みな全てに対する日本人の優
しさが詰まっていた。決して派手ではない澄んだ輝きが胸に沁み込み、不
思議な落ちついた気持ちにしてくれた。
空に浮かんだ市松模様のエンブレムが静謐な光を放ちながら、形を変えて
次第に地球になっていく。なんと美しい地球生成か。
市松模様の一片一片が浮遊し、位置を変え、新たな形を作っていくその動
きは1824機のドローンで表現したそうだ。こんなに繊細で雅な動きをド
ローンを駆使して表現できる技術力の冴え。そこで表現されたのは人工的
に創造したものというより、まるで群れをなす蛍のように、自然に生まれ
出た光が自分の意思で群れ合って、和の心でひとつの世界を創ったという
感じだった。
豊かな緑の森と澄んだ水に恵まれている日本の自然そのもののように、そ
こに存在し、息づき、命をつないでいく美しい日本と美しい地球を表現し
ているのではないだろうか。この光の地球の映像に、何千万人、何億人と
いう人々が、世界各国の町や村で釘づけになっていたはずだ。
そして聖火台の美しさは何と表現すればよいのだろうか。大坂なおみさん
が聖火を掲げて富士山を上ると、その頂上に魂が吸い込まれるような雅で
研ぎ澄まされた聖火台が出現した。こんなに美しい聖火台はこの世に二つ
とないだろう。
聖火台の炎は、福島県浪江町から運んできた水素による炎だそうだ。この
水素を製造した福島水素エネルギー研究フィールドを、私は過日訪ねたば
かりだった。福島で故郷の復興に力を尽くしているハッピーロードネット
の西本由美子さんはこう語る。
「このオリンピックは復興五輪。そのことを私たち福島の住人はとても大
事に思っています。浪江町の水素や福島のトルコ桔梗が聖火やブーケの形
で五輪に登場しています。うれしい気持ちです」
挨拶は長すぎた
夜中近くになって、五輪組織委員会の橋本聖子会長や国際五輪委員会の
バッハ会長が挨拶をした。橋本さんはあの混乱の中で会長を引き継ぎよく
やった。けれど挨拶は長すぎた。バッハ氏の話も長すぎた。
一方、天皇陛下の開会のお言葉は短く、あっという間に終わった。開会宣
言とはそういうものであろうから致し方ないとしても、陛下の御紹介は
もっときちんとして差し上げるべきだ。
天皇陛下はまだワクチン接種を一度しか受けておられない。ご臨席をお願
いするのであれば、政府として二度の接種をお願いし、当日までに済ませ
ていただけるよう手配すべきだった。皇室への姿勢にはもう少し敬意と配
慮が払われて然るべきだ。
さて翌日から種々の競技や試合が始まった。原稿を書いていても、つい見
てしまう。それにしても阿部家の詩さんと一二三さんの仲よし兄妹の活躍
は凄かった。二人で一緒に金を取るなんて、あり得ないことが起きてし
まった! おまけに、詩さんも一二三さんもご挨拶がすばらしい。
「このオリンピックを開催していただいて、金メダルを取ることができた」
金メダルのようにキラキラと光る汗を額や首筋にしたたらせながら、きち
んとした言葉遣いで詩さんは言った。「お兄ちゃん」もさわやかだ。
日曜日に戻りたい。各紙が柔道男子60キロ級の高藤直寿選手の金メダルを
一面で大きく伝える中、朝日新聞だけが体操の王者、内村航平選手の落下
を一面トップにもってきた。朝日らしい。
この日私は、新潮社から出版予定の単行本のゲラをチェックする合間に、
言論テレビの放送で見られなかった開会式の前半を見ることにしたのであ
る。すると姪の慶が言った。
「開会式の音楽がすぎやま(こういち)さんのドラクエだったの。聞いた
途端に全身に電気が走ったみたいで、泣きそうになった」
彼女は大のすぎやまさんファンでドラクエの子なのである。秘書の鈴木麻
也も言う。
「これだ!って思いました。日本人全員が感激の涙、涙ですよ」
すぎやまさんに電話
なのに、NHKは曲の紹介ですぎやまさんのお名前も、ドラクエだという
ことも言わないといって、二人は不満そうだった。しかし、言わなくても
皆がすぐにわかるので大丈夫ということにもなった。
私はすぐにすぎやまさんに電話した。すぎやまさんの所には、明らかに多
くの人から連絡があったようで、お元気そうな声で、「ありがとう!」と
返ってきた。ドラクエの生みの親は、真に日本のアイドルなのである。
この五輪から私たちが学べることの第一は、平凡かもしれないが前向きに
考えることの大切さだという気がする。五輪開催に反対する朝日新聞や毎
日新聞、各テレビ局のワイドショーのコメンテーターはおよそ全てについ
て、足りないところ、不完全なところを探し回る。あげつらう。斜に構え
て批判する。
だが、物事を決めて、目標に向かって進む人々は文句を言わずにひたすら
努力する。五輪開催が決定したときから、多くの人々が誰も見ていなくて
も凄まじい努力を重ねて、五輪を成功させようと歩んできた。大会に寄せ
る日本と世界の期待に応えようとしてきた。それがこんなにすばらしい大
会につながった。
武漢ウイルスに世界が振り回され、日本も大変な状況だが、それでも日本
はよく制御している。河野太郎氏の稚拙な手法ゆえに遅れがちではある
が、ワクチンの普及も進んでいる。そうした中で、日本が五輪をきちんと
やり遂げることがどれだけこれからの日本にとって励みとなることか。多
くの人々、国々にとっても同じである。困難に打ち克ってやってみせる。
その気持ちを持つことの大切さを学んで、それを私たちのメダルとしたい。
━━━━━━━━━━━━━━
太陽光発電の闇と小泉純一郎氏
━━━━━━━━━━━━━━
乾正人
閉会式が終わり、「東京五輪ロス」になってしまった。
連日連夜、アスリートたちが繰り広げた筋書きなきドラマに一喜一憂
し、緊急事態宣言の禁を破って一杯やりに外へ出かけたいとは17日間、一
度も思わなかったのは、五輪の効能だった(もちろん連日のように過去最
多を更新した新型コロナウイルスの感染者数増も抑制効果大だったが)
さて、五輪期間中、あまり大きく報道されなかったが、注目すべき出来
事が、永田町であった。
東京地検特捜部が、公明党議員の議員会館事務所を家宅捜索したのであ
る。国会閉会中とはいえ、国会議員の事務所が、地検特捜部に「ガサ入
れ」されるのは、よくよくのことだ。
案件は、太陽光発電関連会社の「テクノシステム」社長らが起訴された
融資詐欺事件に絡んで公明党の議員秘書が、無登録で政府系金融機関の融
資を仲介していた貸金業法違反容疑というのだが、秘書が勝手にやった、
というわけではなかろう。何しろ公明党は、自民党と違って党内の統制が
厳しく、議員の許可無く秘書が独自の行動をとるとは考えにくい。
地検特捜部の狙いは、別のところにありそうだが、「テクノシステム」
社長の生田尚之容疑者は、政治家との交遊を自慢し、商売にも利用してい
たという。
最大の広告塔として利用されたのが、小泉純一郎元首相である。
日本経済新聞には、生田容疑者と小泉元首相の対談広告記事が、昨年2
回にわたって掲載されている。この中で、反原発論者の小泉元首相は、
「すごいな、生田君の仕事は夢がある。(中略)ぜひこれからも頑張って
ほしい」などと、手放しで褒めあげている。
小泉元首相の長男、孝太郎氏もテクノシステム社のコマーシャルに起用
され、小泉家に「太陽光マネー」が転がり込んでいた。
原発を目の敵にし、何かというと太陽光発電を推奨する進次郎環境相の
足もとは大丈夫だろうか。
小泉一族を使った広告効果は大きく、地方銀行をはじめ多くの金融機関
が実体のない事業へ多額の融資をしてしまい、「太陽光詐欺」に易々(や
すやす)と引っかかってしまった。結果的に詐欺の片棒をかついだ小泉家
の責任も免れまい。
猫も杓子(しゃくし)もSDGsだ、クリーンエネルギーなら太陽光だ
と騒いでいるが、読者の皆さんもおいしい話にはご用心、ご用心。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 採録
━━━━━━━━━━━━━━━━━
チベットのラサ空港に第三ターミナル
━━━━━━━━━━━━━━━━━
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)8月10日(火曜日)
通巻第7009号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 チベットの
ラサ空港に第三ターミナル
標高3570メートル、年間900万の観光客と8万トン貨物輸送を見込んで
**************************
総工費6億ドル強。しかもBRI(一帯一路)プロジェクトの一環。
標高3570メートルのチベット高原。中国は州都のラサ空港に第三
ターミナルを建設中だが、2025年完成を目指している。完成すれば、
年間900万の観光客と8万トン貨物輸送が見込めるという。
対外発表では、第三ターミナルは国際線専用とし、ひろく東南アジア諸
国からの観光客を呼び込むという。これまで外国人ツアーは隣の四川省成
都で旅行代理店を通じて五人集まると組織できた。国内ヴィザ(団体旅行
許可書)が必要だった。
すでに青海省西寧からラサまでの青蔵鉄道は完成し、鉄道ファンやビジ
ネス客を運んでいるが、工事期間中には労働者の多くが高山病にかかっ
た。しかも十月から四月は気候変動により、工事は中断する。
四川省でも新幹線工事は続けられており、ラサとニンチ間が開通した。
この区間は印度のアナチャルブレデシュ州との国境まで僅か15キロ。
要するに新幹線も航空路も兵力輸送が真の目的である。
中印国境は3488キロにも及び、印度の保護領であるネパールとブー
タンが、安全保障上の脆弱性をもつ。
インドはブータン防衛に本腰を入れているが、ネパールのほうは、マオイ
ストの跳梁によって反インド感情が拡がり、この隙に入り込んだ中国がカ
トマンズへ直行便を飛ばし始めると、ネパール中が中国人で満員となった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
♪
(読者の声1)『路地裏中国』を熟読しました。(宮崎正弘『日本人が知
らない 本当の路地裏中国──乗って歩いた! 全33省旅遊記』啓文社書房)。
世界一乱暴な国の民たちがどんな生活をしているのか、政治はどうなっ
ているのか、新幹線の全乗車を通して浮き彫り。地図と照らし合わせなが
ら拝読しました。実に面白い!
奇妙で、田舎者で、元気が良くて、気にしなくて、ずるくて、人なつこ
くて、そして、ほんとに怖い中国人。
そしてまた、気の毒な中国人。と思っていると、日本はどうなのか、こ
れが見えてきて、少々しょんぼり。
前著『地図にない国を行く』(海竜社)もそうですが、宮崎さん旅本の
根底にあるのは、ニーチェ的肯定論ですね。楽天的な捉え方を最終にも
つ。読後感がとても爽やかなのはそのためですね。
読みながら、吉田松陰『西遊記』の序文を思い出し、あらためて序文・本
文を通読しました。
「序、道を学び己れを成すには、古今の跡、天下の事、陋室黄巻にて固よ
り足れり。豈に他に求むることあらんや。顧(おも)ふ に、人の病は思
はざるのみ。則ち四方に周遊すとも何の取る所ぞと。曰く、「心はもと活
きたり、活きたるものに必ず機あり、機なるものは触に従ひて発し、感に
遇ひて動く。発動の機は周遊の益なり」と。
松陰は西遊日記を綴りました。「そうだ、私も旅をしよう!」と思えど、
コロナの怖さかな。
次の旅本を楽しみにしております。暑さが応えます。ご自愛を。(HN
生、新潟)
♪
(読者の声2)貴著最新刊『日本人が知らない 本当の路地裏中国』啓文
社書房)を興味深く拝読しました。最大の特色は現地を歩くというフィー
ルドワークですね。情報はやはり現地、現物で自分の目耳など五感を総動
員したものでなければ、真実を穿つことはできないと思いました。中国の
各地、それこそ小生は一度も行ったことがない中国の路地裏まで目撃され
る現場感覚の作品にかなう物なしと思うに到りました。
食事やアルコールも現地に適応されることは敬服に値しますし、なんぴと
も真似の出来る業では有りません。
(TF生、練馬区)
♪
(読者の声3)イベルメクチンについては、期待しているのですが、ある
呼吸器科のドクターが、 「効果がある」という証拠のもとになった論文
を見に行ってみたら、正式論文として発表される前の論文が掲載される
サーバーに置いてあって、パスワードがかかってくるそうです。
つまり、著者に許可をもらった人にしか読めない!
しょうがないので、読んだ人のレポートを見たら、年齢に偏りがあり、ほ
かにも突っ込みどころ満載のようです。
たくさんの論文を集めて、集計して、「効果あり」という結論を出してい
る論文には、その論文が組み込まれていて、「効果なし」という結果を出
している論文には、該当の論文が組み込まれていない、ということのよう
です。
ワクチンは、私は2回目も何ともなかったですが、息子は39度以上の熱
が出て、「死にそうや」って、言っておりました。大げさな! 若い人は
打たずに済むのなら、それに越したことはないと思いますが、今では、
「やめろ」とも言えませんね。
お二方の著名な学者が反対しておりますが、ファイザーの元副社長さん
の、「治療薬があるから」っていうのはちょっと無理があると思います
し、エイズウイルスを見つけたモンタニエ博士のご著書も拝見しました
が、専門分野以外のことも「あれも危険、これも危険」って、どうか
な?って思いました。
こんなことを言うと失礼ですが、いろんな専門分野でも、第一人者が、新
しい理論を受け入れられずに、しばらく進歩を止めてしまうということが
よくあるようです。
素粒子理論を認めなかったアインシュタイン。ブラックホールを認めな
かったエディントン。消毒によって、産褥熱を激減させた人に対して、
「医者の手は神聖なものだ。汚れているとは何事だ」って反対して、精神
病院送りにしてしまったウイルヒョー。
伊邪那岐命が伊邪那美命を裏切って、人間が死ぬようになったからか、彦
彦火瓊瓊杵尊が、石長比売を送り返してしまったために寿命というものが
できてしまった。どちらかはわかりませんが、正解だったのかも?(TT生)
(宮崎正弘のコメント)最後の段にある「彦彦火瓊瓊杵尊が、石長比売を
送り返してしまったために寿命というものができてしまった」。
これは記紀にあるニニギノミコトの嫁取りで、美女のコノハナサクヤヒ
メの姉君は不美人だったため、追い返されたので、神々も死ぬことになる
という「不老長寿の象徴」となった女神のことですね。
♪
(読者の声4)一時はトランプを偲ぶ勢いで次期大統領候補に有力とまで
言われたクオモNY知事ですが、セクハラで告発されて弾劾寸前。民主
党って、この類いの偽善者が多いですね。クオモの政治生命はまもなく終
わりでしょう(DJ生、喜多見)
(宮崎正弘のコメント)クオモ黄昏の日々ですが、さて、クオモ支持の
NYタイムズが、クオモやめろと主張し、バイデンも辞職を勧告。という
ことは民主党がクオモを鼻つまみにしているということでもあり、同時に
セクハラに引っかかると、民主党の有力者といえども、民主党支持のメ
ディアの支持を失うということでもあり、党派をこえて、目に見えない反
差別のうねりが米国社会を席巻している実態がうかびあがります。
森五輪委員長を辞任に追い込んだ、あの圧力。凄まじい魔物です。
2021年08月14日
五輪開催は成功だ、皆喜んでいる
at 09:29
| Comment(0)
| 櫻井よしこ
この記事へのコメント
コメントを書く