AC 論説No.861
バイデンのアフガン総退却はアメリカの歴史始まって以来最悪の事態だと
思っていたら、アフガン総退
却から二週間もたたないうちにミリー統合本部議長(参謀長)が敵である
中国の李作成参謀長に電話し
てアメリカは戦争の意図がない、もしもトランプが暴走するなら事前に伝
えると約束した事件が起き
た。バイデン政権が発足して八ヶ月だけでアメリカの崩壊はアフガン退却
だけでなく、軍隊の参謀長が
敵に通報するといった米軍の崩壊が起きたのである。こんな軍隊は最低、
あり得ないことである。
バイデン政権は機能しない。世界で最強を誇っていた米軍の軍隊でも最高
司令官が通敵行為を行なっ
た。バイデンは国の総帥であるのに米軍の参謀長が敵に寝返った国家反逆
事件について「私はミリー将
軍を絶対信頼している」と宣ったのだ。バイデン政権の崩壊に続く軍隊組
織の崩壊である。アメリカ
の崩壊はどこまで続くのか。
これは既に全世界で報道された事件だが、事の起こりは来週に発刊するワ
シントンポストのBob
WoodwardとRichard Costa共著の「PERIL」という暴露本で暴いたミリー大
将の叛逆(反トランプ)
と中国への通敵事件である。WoodwardとCostaはこんなに重大な事件を
知っていながら一年近くも公
表しなかった。二人はアメリカの崩壊である大事件を隠して暴露本の売れ
行きを優先したのである。
この本によると、米軍のミリー参謀長官が去年の選挙の前の10月30日
に中国の参謀長である李作成
大将に電話して、「アメリカは中国を攻撃することはないが、万が一トラ
ンプが(選挙に負けて?)暴
走するようなことが起きたら私が事前に通知する」と伝えたのである。
二回目の電話はインチキ選挙に抗議した群衆が1月6日の国会議事堂に乱
入した事件の後、ミラー参謀
長がペロシ国会議長と電話会談を行い、ペロシがトランプは気狂いだから
何が起きるかわからないと
言ったら「全面的に賛成」と答え、その翌日8日に中国の李作成参謀長に
電話して「我々は落ち着いて
おり全ては順調だが民主主義は時に杜撰なことになる」と伝えたと言う。
トランプが中国を攻撃するかもしれないというのは根拠のないことでミ
リー個人の想像である。トラン
プの命令に従わないのは叛逆罪である。しかし敵国の参謀長に事前に知ら
せるのは国家反逆罪である。
ところがバイデンは記者に対して「私はミリー氏を絶対に信用する」と答
えたのである。
軍隊の上級司令官が敵に寝返っても大統領は彼を信頼できると言う。バイ
デンは正邪の判断ができな
い。反トランプならOK。反トランプは免罪符である。
CNNやMSNBCに登場した人物は皆トランプが悪い、トランプはキチガイだか
ら叛逆でも通敵でも当然
だと述べていた。ある人物は、トランプがミリー大将を統合参謀本部議長
に任命した。だから反逆はト
ランプの責任だと言った。民主党、サヨク、メディアはみんな腐っている。
ある人はこれはアメリカの文民統制の崩壊だと述べた。軍隊の参謀長が敵
国の参謀長に電話したのは政
治行動で軍人がやるべき事でないと言うのだが、そうではない。たとえ軍
隊の指揮系統が文民統制で
あっても「敵の軍隊」に戦争をするぞと通報する人がいたら軍人、公務
員、政治家でも国家叛逆罪であ
ることに違いはない。
ミラー参謀長の報道官であるDave Butler大佐は、「ミラー参謀長の二回
の電話は参謀長としても任務を
果たすためだった」と述べたが、この弁解は通用しない。トランプは大統
領であり国の総司令官であ
る。トランプの下に国務長官ポンペオ、国防部長エスパーがいて、ミラー
統合参謀本部議長はエスパーの
部下である。仮にトランプ暴走の可能性があったと自己判断しても上司で
あるエスパーとポンペオに報
告し相談すべきだった。トランプの暴走を止めるのは国内問題であって、
敵国の軍隊に通報するのは絶
対に反逆罪、弁解の余地はない。軍のトップが勝手に通敵行為を行ったら
この国の軍隊は戦争などでき
るはずがない。軍法会議にかけて絞首刑または銃殺刑にすべきである。
トランプが気狂いと思っているのは彼個人の意見である。個人の判断であ
る。独断で行なった通敵行為
は弁解の余地がない。ところがバイデン大統領はミラーの個人行動を信頼
すると述べ、ミラーの通敵行
為を裁くことをしない。トランプに反対だから自己判断で行なった通敵行
為が国家の正当な裁きを受け
ることがないなら、「ミラーだけでなく誰でも、トランプでもバイデンで
もクーデターを起こす」行為
が正当化される。国家の制度が壊れて無政府状態になる。ミラーの国家反
逆罪、それを裁こうとしない
バイデンのアメリカ合衆国はどこまで崩壊を続けるのか。
立場を変えて見れば良い。もしも中国の李作成参謀長官がアメリカのミ
ラー参謀長官に電話して「我々
は米国と戦争をするつもりはない、もし戦争になるなら事前に通報してあ
げます」と伝えたとしたら、
習近平は李作成を「絶対に信頼する」と言うだろうか。
ロシアのプーチン、英国のジョンソン、ドイツのメルケル、フランスのマ
クロンはアメリカの国家反逆事
件をどう思っているのだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆雀庵の「常在戦場/85 キリスト教 vs イスラム教/中」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/365(2021/9/19/日】踏切がカンカンと鳴り、遮
断機が下り始めたのに突破したチャリ男が「やったーっ!」と一瞬喜んだ
ら天網恢恢、お巡りさんにとっつかまった。5万円以下の罰金である(遮
断踏切立ち入り)。
嗚呼、彼の心情は如何であろう。一般的には反省する(二度と過ちは犯し
ません、心に占める比重20%)、不運を嘆く(今日は仏滅かなあ、運が悪
かった、30%)、再起三起を誓う(クソッ!油断してしまった、二度と捕
まらないように気を付けよう、今度は上手くやるぞ、50%)あたりか
このチャリ男は「不運を嘆く」感じが強そうだったが、仕事を休むわけに
はいかないから何とも複雑な面持ちだった。余り見ていると「あんた、何
か用かよ」、こちらに火の粉が飛びそうだからそこそこに現場を離れ
た・・・
小生は本質的には「再起三起を誓う、70%」あたりの「懲りない派」だ
な。「大体、電車が踏切を越えてから100m離れないと遮断機が開かない
というのがおかしい、さっさと開けろよ」なんて騒いだりして。随分嫌な
性格だが、現実には断酒歴4年で好々爺を演じるのがすっかり板についた
からそんなことにはならないが、男にはそういう“勇武、戦士、反逆、激
情、暴発”的DNAがあるのではないか
子育てには父親の「鳥の目」と母親の「虫の目」が大事だと教えてくれた
のはカトリックの方だった。育児のみならず物事を観察し方向性を判断す
るにも有効な言葉で、近年では「魚の目」、さらには「コウモリの目」も
加わったらしい。目の玉が8個、現代人は疲れるのだ。
鳥の目で全体を俯瞰する、虫の目で細部を見つめる、魚の目で潮の流れを
読む。さらにコウモリのように「逆さまにモノを見てごらん」という。
要は、様々な場所から見る、発想を変えて逆の立場で見る、視点の数を増
やしてごらん、ということだが、平素から余程考え込んでおかないと、イ
ザという時に立ち往生してドジることになったりするのだろう。
大体「論客」として名を馳せる人は常に取材や執筆・講演依頼に備えて
「テーマ」ごとにノート(今はPC)に自分の考え、主張を記録し、常に最
新情報を加えて更新(上書き保存)している。レシピが豊富かつ新鮮、そ
れでないと“過去の人”になってしまう。
外交評論家の草野徹氏は軍事関係者が読む「朝雲」に月に1回、寄稿して
いるが、防衛省か外務省の現役、在米の高官のようで、実に小生には勉強
になる論稿が多い。氏の「アフガン戦争 米軍撤退の“受益者”は」朝雲
2021/9/16から。
<アフガニスタンからの米軍の撤収完了を受けて「歴史上比類のない大成
功」(バイデン米大統領の国民向け演説、8/31)と自賛しても、リアリ
ティーはゼロ。退避作戦中の米兵13人が自爆テロの犠牲になった上、彼ら
の遺体を出迎える式典で最高司令官が「腕時計をしきりと気にしていた」
(遺族)のでは、なおさらの事だ。
外交政策決定の根幹は「国益」が基準だろうが、考えてみれば、米軍撤退
が正確にはどのように米国にとっての「益」になるのか。左右を問わず、
米軍撤退の提案・擁護者から説得力ある論を見聞きした覚えがない。
「20年(の戦争)はあまりに長い」というのはその通り。その変形とも言
える「際限のない戦争を終えなければ」が、最も一般的に聞かれる撤退推
進の論拠だが、いずれも情緒的な意見であって、筋の通った議論とは言え
ない。
今回の撤収では既に兵士13人が死亡した。アフガンで1日に米兵が死亡し
た人数としては、2014年6月以来、最も多い。アフガンで死亡した米兵士
の数を「年間」で調べると、15年22人、16年9人、17年14人、18年14人、
19年21人、20年11人――となる。
どう見ても、米兵士の犠牲が甚大だからアフガンを撤退するとの主張には
無理がある。半面、撤兵から得る益は何もないのに、被った打撃は計り知
れない。同盟国としての信望、強大な国家という評判など、米国の威信へ
のダメージは強調しすぎることはない。
米国は北大西洋条約機構(NATO)と何の協議もせず、事前通告もしなかっ
た。民主党は再三、トランプ前政権は同盟を傷付けたと批判したが、今回
NATOに与えた衝撃はその比ではない。第一、前政権が同じことをしたら、
同党と仲良しメディアが一緒になって、天と地が引っくり返るような大騒
ぎをしていただろう。
一方、慌ただしい撤退と引き続く混乱は米国の弱さ、脆さのメッセージを
世界に発信。中国、北朝鮮、イラン、ロシアや、イスラム系テロ組織に大
きな益を与えた。
西側は昨年、中国の圧政に直面した香港を見捨てた。台湾も有事の際の米
の支援は期待できない。対イラン関係修復の“願望”は相変わらず強く、米
国はイランの行動に関係なく、核協議再開に向けた交渉を進める方針でいる
ウォールストリートジャーナル(8/29)によれば、北朝鮮が寧辺の核施設
で原子炉を再稼働させた可能性が国際原子力機関(IAEA)の報告書で判
明。ロシアに対する宥和策もいつも通りだ。すべて、同盟国の支援には消
極的な西側、特にそのリーダー・米国の姿勢の証明。アフガンは単に、同
盟国放棄の最新例なのかもしれない。
「我々はより強く、より安全になる」(前掲の大統領演説)そうだが、そ
んなファンタジーとは逆の結果が遠からず出るだろう>
古森義久先生もバイデン・民主党の“ボケ”振りにウンザリしている。「バ
イデン大統領は腕時計を見ていた」Japan In-depth 2021/9/6から。
<バイデン大統領の支持率が急降下した。人気が就任以来、最低となった
ことを多数の世論調査が明示した。アフガニスタンからの米軍撤退の方法
が失敗だったとする非難が国内の多方面から浴びせられた結果だった。
だが、なかでも最も厳しいバイデン非難は、アフガンで戦死した米軍将兵
の遺体の帰還の式典の最中、彼が時間を気にして腕時計を何度もみていた
ことに対して浴びせられた
同時に、戦死した将兵の遺族たちとの会話でバイデンは自分の長男の病死
のことを何度も話して、遺族側からたしなめられた事実も広く報じられた。
戦死した海兵隊のカリーム・ニコウリ上等兵の母シェーナさんは、もっと
も激しくバイデンを非難した。彼女のフェイスブックでの発信は「私の息
子の遺体が他の12人とともに祖国に着陸したという厳粛な瞬間にバイデン
は5回以上も腕時計をみて、時間を気にしていた。
祖国のために命を犠牲にしたアメリカ人の若者の霊に最大限の弔意を表す
べきアメリカ大統領が他にもっと重要な用事があるかのように時間を気に
するとは、死者への冒涜だ」と、激しい言葉での糾弾だった>
認知症のようなバイデンが任期中に引退すれば、カマラ・ハリスが大統領
になるが、ハリスは移民問題などで味噌をつけ人気がいまいちだ。日刊サ
イゾー9/17によると、
<グアテマラから米国境に殺到する不法移民に向けて、「米国とメキシコ
の国境まで、危険な旅をしようと考えているこの地域の人々に、私ははっ
きりと言いたい。来ないで。来てはいけない。我々の国境に来れば、追い
返されるだろう」と呼びかけた。
グアテマラでの一連の失言から3カ月がたつ。その後、ハリスが失地回復
に何らかの具体的行動を取ったとの声も聞かれない。
世論調査データ収集サイト「リアル・クリア・ポリティクス/RCP」による
と、ハリスの支持率は41.2%で、不支持率が50.4%(引用した各世論調査は8
月7日から9月7日まで)となっている>
RCPの数字は主要メディアの調査の平均値で、9/17付けの数字ではバイデ
ン支持45.6%、不支持49.6%、ハリス支持41.4%、不支持49.8%。
世界がイスラム過激派、中共帝国主義、コロナの「3大禍」に見舞われて
いる現状では、米国に限らずリベラル≒アカモドキの自虐的、融和的、
「敵の善意を信じる」ような脳内お花畑的「私はいい人、みんな地球市
民、仲良くしましょう」的な政治ではとても危機を乗り切れないだろう。
小生は身近にコロナで死んだ人を知らない。幕末の江戸を中心に猛威を振
るったコロリ(コレラ)では将軍をはじめ7万3000人がバッタバッタと死
亡した。コロナで死んだのが全国累計で1万7000人(多くは高齢者)で、
全年齢で見ると致死率は0.1%〜4%。ちなみに季節性のインフルエンザの
致死率は0.1%程。
「1347年から1351年にかけてヨーロッパを襲った黒死病のパンデミックは
史上最悪の規模となり、ヨーロッパ人口の3分の1が命を落とした」とか。
医療がゼロの時代と今では比べようがないけれど、コロナが「大禍」なの
かなあとは思うが・・・
目の前の中共の脅威については小生は随分書いてきたが、イスラム教につ
いては勉強し始めたばかりであまり知らない。それはキリスト教との角逐
の歴史でもあり、「平和をもたらすはずの宗教が戦乱を招いている、どう
なっているんだ」ということで、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラー
ムの常識がわかる小事典」を元にインタビュー形式で学んでいこう。
・・・・・・・・・・・・・・・・
――唯一神アッラーの代理人である預言者、つまり始祖のムハンマド(モハ
メット、570頃〜632)の死後からイスラーム教の分裂が始まった。タガが
緩んだようですね。
「ムハンマドは死の間際に後継者(カリフ)を指名し、4代目までまあま
あ上手くいった。2代目の時はペルシャ勢力、ローマ軍との戦争があった
が、降伏すればキリスト教にも寛大だった。しかし2代目はペルシャ人キ
リスト教徒に暗殺されてしまった。
3代目で版図は北アフリカまで広がったんだが、人種、言語、慣習の違い
目立ち、問題が増えてきた。融和政策で『不正蓄財以外はOK、儲けられる
者から儲けろ!』とやったんだが、やがて富裕層がのさばり、一方で貧し
い民衆の不満が溜まり、3代目は暴徒に暗殺された」
――中共はそれを真似ているような感じがしますが・・・それはともかくと
して、2代目がイスラーム教への転向を拒否したキリスト教徒に殺され
た・・・つまり両派は一神教ですからガチガチの「共に天を戴かず」、イ
スラーム教とキリスト教は永遠の敵になったようです。3代目は“富裕層は
喜捨、寄付して貧乏人に施せ”と、福祉政策を取り入れたそうですが、こ
れでは民は働く意欲を失い、国家も停滞しかねない。4代目も内政重視で
すか?
「4代目は始祖ムハンマドのいとこであり、かつムハンマドの娘の夫、血
筋がいい上に武勇に優れていた。即位で事態は沈静化すると期待されてい
たが、ただ、質素清貧、直情型で、政治的な配慮や手法に欠けていたよう
だ。
“先代の暗殺事件の責任追及が甘すぎる”など、部下には不満分子が多く、
657年にはシリア総督軍と内戦になり、シリアは事実上独立、失意の中で4
代目も暗殺されてしまった。
それでもムハンマド後の正統4カリフの時代はイスラーム帝国の「黄金時
代」だったが、その後は政治の中心がシリアになり、アラビア半島に戻る
ことはなかった。シリアではカリフの地位は世襲制に堕し、シーア派とい
う分派の成立も世襲制が深く影響している」
――東西のイスラーム勢力が対抗したり権力争いを始める。一枚岩ではなく
なった。
「この虚を突いてキリスト教徒の十字軍遠征が始まる。11世紀末から13世
紀末まで続いたが、彼らの「聖地奪還」というのは名目だけで、実際は軍
事侵略と収奪でしかない。我々はそれを宗教運動とは見ていない。
実際、1099年に聖地エルサレムを攻めた十字軍は組織的な軍隊ではなく、
無差別の虐殺、略奪の限りを尽くし、地中海沿岸は占領された。1148年の
第2回十字軍遠征に対してはアラブ・イスラーム側の準備が整い、迎え撃
つことができ、1187年にはエルサレムも奪回した。1190年の第3回十字軍
遠征では和平協定が結ばれた。
1204年の第4回十字軍はムスリム世界を攻撃せずに、東方キリスト教会の
コンスタンチノープルを攻撃して殺戮と強奪に終始した。
1218年の第5回十字軍のエジプト攻撃あたりから様子が変わってくる。エ
ジプトが勝ったのだが、1229年に聖地エルサレム割譲の密約を結んだの
だ。アラブ世界は大反発したが、当時は「タタール」と呼ぶモンゴルが東
からイスラム世界侵攻を開始しており、西からは十字軍の攻勢により、未
曽有の災厄に見舞われていたから、やむを得ない措置だったかもしれない」
――モンゴル帝国軍は1229年にはアフガニスタンやイランに到達している。
侵攻を退けた国は日本とエジプト王朝(スンナ派のマムルーク朝)だけ
だったそうですね。続きは次回にお願いします。