今年は日本が対日講和条約によって、独立を回復してから69年たつ。
このあいだ、米国による占領下で強要された、とうてい憲法と呼ぶこと
ができない現行憲法を、こともあろうに「平和憲法」と呼んで1行も改め
ることなく戴いてきた。
世界のどの国であったとしても、前文で自国を腐(くさ)し、国を守る軍
を保有することを禁じた、憲法の名に価いしない憲法を独立を回復した後
に、急いで改 めたことだろう。
どうして、日本だけが例外なのだろうか。
日本は世界のどこよりも平和が続いた、特異な国だった。
日本は世界の主要国のなかで、女性上位の母性原理によって支配された
唯一つの国である。他の国では争いが絶えなかったから、戦いの担い手で
ある男性上位 の父性原理によって動かされてきた。
非常識な護憲主義は、日本の1万数千年かけて培われた国柄に深く根ざ
していると思う。縄文時代は1万2000年にわたったが、自然の恵みが豊か
なため に、平和だった。古墳から戦いによる傷を負った骨が発見されない。
戦乱の時代もあったが、世界に珍しい「和」を尊ぶ国である。日本列島
の外から多様な人々が集まったが、融合した。神武天皇即位の勅(みこと
のり)が「八紘 一宇(はっこういちう)」――天の下で差別することなく睦
(むつ)むことを命じている。 他国ではありえないことだ。
平安時代は400年、江戸時代に300年近くも平和が続いたのも、他国にない。
日本語ではなぜか、祖国を指す言葉として「母国」しかない。ヨーロッ
パ諸語にはドイツ語、英語のファターラント、ファザーランド(父国)、
ムターラン ト、マザーランド(母国)がありフランス語はラ・パトリ
(父国)しかない。中国語も「祖国」というが「母国」といわない。
父親ができる子供とできない子供を峻別するのに対して、母親は均しく
愛する。男性は競い、女性は変化を嫌って安定を求め、平和を好む。
日本では敷地にたつ主な家屋は、母屋と呼ばれる。母堂があっても、父
堂がない。女性用務員もいない男だけの学校も、母校だ。トラックや乳母
車にかけるホ ロを「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場に立つ時に後ろ
首を守るために、兜にかけ た鉄鎖の網のことだ。
「めおと」は、もともと「女男」と書いたが、江戸時代に入って武家が
男上位の社会がもたらしために、夫婦を「めおと」と読ませた。どうして
「夫」を、 「め」と発音できるのか。いまでも、和船に用いる両端が
尖っている釘は、女男(めおと) 釘(くぎ)と呼ばれる。
平安時代に外の世界では、女性はほぼ全員が文盲だったが、日本では女
性が洗練された文化を担った。今日でも、日本文化の柱となっているかな
文字は、「お んな文字」といわれて女性が創った。
日本では、男が女に甘える。西洋では、女が男に甘える。日本では男が
我儘だが、西洋では女が我儘だ。弱いほうの性が我儘になり、強いほうの
性が耐える。
現行の“平和憲法”は、成り立ちが怪しいうえに、日本の平和が守られて
きたのは“平和憲法”によるものでなく、米国の軍事保護によるものだが、
現行憲 法が日本の
母性文化に適合しているから、日本の土壌に深い根を降していると思う。
男は論理を重んじ、女性は感性によって生きている。男は簡潔に話す
が、女性は感情に訴えるから長い。
日本では男は女性に煽(おだ)てられて、男らしく振る舞う。西洋では男
が男に「男らしくしろ(ビー・ア・マン)というが、日本では女性が男に対
して「男らしくしなさい」と叱る。
日本が戦争に敗れ、日本の再興を恐れた米国が、日本から男らしさを消
去して、女性がいっそう強くなったのも、“平和憲法”を“不磨(ふま)の大
典”としているのだろう
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◆ 河野氏の曖昧な突破力
【阿比留瑠比の極言御免】
「突破力」を売りに、自民党総裁選レースで優位を保つ河野太郎ワクチ
ン担当相の言葉が、曖昧なのが気になる。政策実現の道筋と根拠をはっき
りさせないまま政権の座に就き、公約を守れず頓挫した民主党政権を連想
してしまう
消費税率ぼかす
「税率は、それだけが切り取られて先に出るからいわないようにしている」
河野氏は18日の日本記者クラブ主催の討論会でこう言葉を濁した。自身
が掲げる年金受給額に最低保障部分を設けたうえで、財源として保険料で
はなく消費税を充てる制度改革を実行した場合、どれほどの増税になるか
を高市早苗岸田文雄の両政調会長経験者に追及されてのことである。
岸田陣営幹部は漏らす。
「この問題は、これからドツボにはまっていくんじゃないか。消費税率
は20%くらいになってしまう」
高市陣営からも、こんな突き放した声が聞こえる。
「やれば消費税率は5%は上げなくてはならないし、やろうとしたら誰
も基礎年金は払わなくなる」
国民生活を直撃する大幅増税問題について、具体的な数字を示さずにぼ
かそうとする河野氏の手法は、後に手痛いしっぺ返しを招くのではないか。
民主党政権下でも
筆者は討論会を見つつ、民主党の菅直人政権当時の平成23年2月の衆院
予算委員会での質疑を連想した。民主党は、河野氏と同じく全額税方式の
最低保障年金(月額7万円)を政権公約(マニフェスト)で約束していた
が、政権交代して1年5カ月がたつ時点でも税率一つ示せていなかった。
問題の予算委で、公明党の石井啓一政調会長(当時)が「最低保障年
金、税方式でやるといくらになるのか」とただすと、菅(かん)首相はしど
ろもどろで答えた。
「まだ具体的な数字をこれまで固めていない」
これには民主党に所属していた財務省の桜井充副大臣も記者会見で、あ
きれてこう批判したのだった。
「マニフェストを作った人たちに、もう少し説明してもらいたい。ごく
一部の人が作ったので、われわれは情報が与えられないまま議論が進めら
れている」
現在、河野氏の考える増税率について、河野陣営の議員たちが具体的に
聞いているとは思えない。
首相になった瞬間に
また、河野氏は安全保障面でも曖昧である。弾道ミサイルを相手国領域
内で阻止する敵基地攻撃能力の保有に関しては、「昭和の時代n概念だ」
「敵基地ナントカ能力」と揶揄(やゆ)する一方で、自身は「日米同盟でい
かに抑止力を高めていくかだ」と述べるにとどめ、具体的なことは言わない。
さらに、河野家の「ファミリー企業」で実弟が社長を務めており、河野
氏自身も株主である日本端子が、中国でも事業展開していることから対中
政策への影響が懸念されている件への説明も、木で鼻をくくったようだっ
た。河野氏は21日の記者会見で強調した。
「私の政治活動に影響を与えることは全くない」
「資産報告を毎回しっかりやっており、何の問題もない」
だが、きちんと報告しているから問題ないという主張は、立憲民主党の
小沢一郎元自治相の資金管理団体「陸山会」が、多額の不動産を購入して
追及された際の反論(ほうふつ)を彷彿させる。
「今は騒がれなくても、もし首相になったらその瞬間に問題になるだろう」
自民党重鎮は予想する。確かに、対中関係で何かを決めるたびに、日本
端子との関連が取り沙汰されるのは想像に難くない。河野氏はもっと具体
的かつ丁寧に語るべきではないか。
(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
【産経ニュース】採録
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◆海航集団の規模を上回る負債
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)9月19日(日曜日)参
通巻第7060号
恒大集団の倒産は、中国金融システムをどれほど揺らすか
明天、安邦、海航集団の規模を上回る負債。不動産バブル崩壊が本格化
杜子春は芥川龍之介が中国の古典からヒントをえた短編小説だが、日本
では人生の激しい浮き沈みの喜怒哀楽と悲哀がただよっているため、感動
的に読まれた(中国古典には、似たような話があるが、杜子春はまったく
芥川の脚色)。
日暮れの町辻で金持ちの息子杜子春が放蕩の限りを尽くして無一文。
しょんぼりうなだれているところへ顕れた仙人が「ここを掘れ」という。
たちまち黄金がザクザクとでた。またまた放蕩三昧、贅沢の限りをなして
落ちぶれて乞食。そこにまた仙人が出現し、「あそこを掘れ」。またもや
黄金がザクザク。贅沢三昧に惚けるが、要はカネがあるときはちやほやさ
れ、人がなれなれしく寄ってくる。即席の友人もできる。或いはカネを
狙った愛人となる。ところがカネがなくなると誰も寄りつかない。世間の
冷たさ、友情の本質と打算を寓話にしたのだ。
『フォーブス』で「世界の金持ち」と称賛された中国人は山のようにい
る。アリババの馬雲はすっかり表舞台から消え、ハーバードビジネスス
クールに招かれ講演したほど意気軒昂だった王健林も、いまは落ちぶれ
た。うきしずみの激しさ!
飛ぶ鳥を落とす勢いだった許家印(恒大集団CEO)は、2017年の
ピークから、落剥して杜子春の如く烈風に曝されている。倒産は秒読みと
なった。
恒大集団が倒産すれば、あまりにも規模が大きく中国の金融システムを
揺らすだろう。なにしろ中国の株式市場の規模は邦貨換算で5000兆円
をこえる。
6月末の証券報告書に拠れば、恒大の社債、株式をファンドに組み込ん
でいた欧米勢のファンド、とくに「アシュモア・ファンド」(英国)は
440億ドルを保有していた。UBS、HSBCなど世界に名だたる名門
老舗銀行が名を連ねていた
恒大集団は不動産バブル時代、次々と強気に投資し、あちこちにマン
ションを建設し、頭金を集めて回転資金とし、次の投資へと、猪突猛進、
CEOの許家印は全人代委員にも選ばれ、また21年7月1日の共産党百
周年記念式典にも出席した。
恒大の負債は最大時に8700億元だった。21年六月末の証券報告に
拠れば、保有する物件価値が4568億元、表向きの負債は1兆9670
億元、有利子負債は5718億元、手元現金が867億元とされた(1元
は21年9月19日現在=17円)。
ファンドが投げ売りを始めたため恒大集団の株は下落、傘下の恒大自動
車は93%の株価暴落、恒騰ネットは85%の暴落
この時点で中国不動産大手の負債率は、恒大が88%、万科が83%、
碧桂園が85%、緑地が89%、融創が93%、華夏幸福が83%などで
あった。
メインバンクは慌てて「貸しはがし」に入る。物件の抵当処分、担保権
の設定強化、経営監視など、だが「時、既に遅し」。
リーマンショックの引き金となったリーマンブラザーズCEOは名言を
はいた。「皆がダンスを踊っているときに、ひとり逃げ出すわけにはいか
ない」。
銀行は顔面蒼白となった。
内蒙古省の包商銀行は明天証券系で、負債総額2059億元(9・5兆
円)で倒産し、国有銀行に衣替えした。安邦保険のメインバンクは成都農
業銀行だった。トウ小平の孫の女婿だったCEOの呉小輝さえ、土壇場で
救われなかった。
恒大のメインは盛京銀行で、ほかに200行以上の金融機関と取引がある。
安邦保険は高利の保険商品を売って巨額を集め、それを無謀なM&A
や、NYのウォルドルフ・アストリアホテル買収、まるでマルチ商法だ
が、2017年にCEOの呉小輝は詐欺罪で拘束され、翌年18年の禁錮
刑、個人資産1800億円没収となった。
日本にも500億円相当のマンション物件を保有していたが米国ファンド
に叩き売った。
なんとか倒産を免れた大連の萬達集団は、資産の殆どを売却して裸同然
となった。まるで杜子春である。
CEOの王健林は萬達ホテルチェーンが76軒、テーマパークをあちこち
に建設して運営、ショッピングモールにマンション建設、旅行会社、そし
て欧米の映画館チェーンAMCを買収したほか、ハリウッドの映画スタジ
オも買収した。飛ぶ鳥を落とす勢いで、「習近平主席とのコネの強さ」を
自慢したものだった。
しかし、その絶頂期に不動産バブル崩壊の危機を察知した王健林は迅速
に資産売却に動いた。なんとか滑り込みセーフとなった珍しい例である。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラ
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 2277回】
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港159)
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戯迷の道に迷い込んでしまったナゾは、今に至っても全く分からない。
どう考えても解き明かせない。解き明かせないままに、当時の京劇三昧の
日々を、少しばかりの慚愧の念を込めて振り返ってみたい。
検場になろうなどと無謀が過ぎたと大いに反省したことはもちろんだ
が、ならば決意も新たに第六劇場に通い詰めるしかない。かくして、とに
もかくにも第六劇場中心の生活へと突き進んだ。
当時の生活サイクルの一例を思い出してみると、夕方に研究室を出て第
一日文へ。授業は6時から9時まで。学生の相手をしているヒマはない。9
時以降の授業料はもらっていない。だから授業が終わると学生の質問は一
切拒否し、駆け足で近くのバス停へ向かい12号のバスに飛び乗った。学生
の間に京劇通いが知られるようになると、「先生、急いで」と半ば呆れ顔
で見送ってくれたものだ。
夜の9時を回っているから道路は空いている。バスは弥敦道(NAITHAN
ROAD)を一気に北上し、亜皆老街(ARGYLE STREET)の少し先で左に折れ◎
枝角道(LAI CHI KOK ROAD)に入る。
やがて終点の?園だ。正面入り口から入らず、手前を左折し壁沿いに少し
進む。客家料理レルトランの厨房入り口が、暗がりにポッカリと口を開け
ている。
そこから厨房の中を通って客席の脇を抜け、レストランの正面から外に
出て、第六劇場に走り込む。この無料入場ルートを教えてくれたのは、第
六劇場の戯迷仲間だった。
第六劇場は顔パスだから切符は不要。舞台を見詰めながら客席真ん中の通
路を進み最前列へ。左右の戯迷仲間に挨拶をしてからユックリと「指定
席」へ。
それから、当時は弥敦道界隈で最も大きく品揃えが豊富だった中原電器行
で大枚を叩いて買ったカセット・レコーダーを舞台袖に置いてスイッチ・
オン。もちろん、電気は舞台照明用のコンセントから拝借である。ここま
で、第一日文の教室から30分、40分。これから劇終(まく)までの1時間
ほどが至福の時だった。
こうしてライブの舞台を録音したテープは600本以上。先日、それを
引っ張り出して試しに動かすと、リッパに音が出る。舞台の声から童伶た
ちの舞台が思い浮かぶだけではなく、戯迷仲間の雑談も録音されているで
はないか。たちまち半世紀ほど昔の第六劇場が脳裏に蘇ったことは、言う
までもない。
さて家庭教師と第一日文で稼いだカネの大部分はレコード、カセット・
テープ、録音用のナマのテープ(いちばんお世話になったブランドは、
「SONY」のデザインそっくりの「SUNY」だった)、京劇観劇のための台湾
旅行費、京劇関連書籍代、それに時々の「タニマチ代」。第六劇場が顔パ
スになったのは通い出して1年ほどが過ぎた頃だから、やはり出費は少な
くはなかった。
京劇漬けの日々は、当然のように生活費全般を圧迫する。そこで食費を
切り詰めるしかない。かくして体調は狂い出す。留学当初は80キロを大幅
に上回っていた体重も、いつしか70キロから60キロ。やがて60キロを下回
り50キロ以下。じつに30数キロのダイエットである。「戯迷ダイエット」
と言えば聞こえはよさそうだが、完全に栄養失調状態。最悪時は痩せの危
険ラインを大きく下回るほどだった。
かくして日本から持って行ったズボンは、どれもがブカブカ。バンドは
腰を2周り寸前。体に合ったズボンやバンドの新品を買えばいいものを、
そちらに回す金銭的余裕はない。いや、そもそも、そんなことを思いつく
こともなく、京劇、京劇、第六劇場、第六劇場だった。
ともかくも夕方になるとウズウズ、ソワソワ・・・奇妙・奇態・妙・不
思議。
○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎
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■読者の声 ■READERS‘OPINIONS ■どくしゃのこえ■
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(読者の声1)貴誌前号に紹介のあったホイットニー・ドゥアン著『レッ
ド・ルーレット』ですが、アメリカで最初に出版されたのには理由があり
ますか? この類の本は先ず、香港で出版され、英訳されてきたのが定石
でしたから。やはり香港の弾圧、表現の自由がなくなったことが原因で
しょうか?
(HD生、西東京市)
(宮崎正弘のコメント)よく背景は解りませんが、ゴードン・チャンの
『来るべき中国との戦争』のように、最初から英語で書かれたのではと思
います。ユン・チュアンの『ワイルドスワン』が大ヒットして以来、中国
人作家はまず英語圏で勝負をかけてくる傾向がありますから。