櫻井よしこ
日本ルネッサンス 第971回
米国の対中政策が変化している。「中国とは強い立場」から交渉すると
言ってきたバイデン米大統領が、必ずしもその強さを維持できていない。
日本にとっては切実な問題である。岸田新政権はこの米中関係の変化を見
てとり、全ての面で日本の地力を強める手立てを急がなければならない。
振り返れば、ブリンケン国務長官は上院での指名承認公聴会で、中国によ
るウイグル人の扱いを「ジェノサイド」と認めた。その厳しい対中姿勢は
3月18日、アラスカにおける米中会談での楊潔篪国務委員との烈しいやり
とりにつながった。
ブリンケン氏の中国に対する姿勢の厳しさは、バイデン氏の対中姿勢と一
致しているはずだ。現にアラスカ会談のひと月前、2月10日に行われた米
中首脳電話会談でも、バイデン氏の強気は明らかだった。
米中首脳の初の電話会談は2時間も続いた。双方が発表した情報から、習
近平氏が「両国関係の改善」を熱望し、米中協力の必要性を訴えることに
時間を割いたことが見てとれる。
習氏が特に強調したのが米中対話の枠組み再構築だった。バイデン政権が
人権問題などで強く出てくることは織り込み済みだ。中国は状況が不利な
時は時間稼ぎをする。それがハイレベル対話の再開であろう。意思疎通の
機会を増やすことで、リスクを管理しやすい状況を作る思惑があったと考
えるべきだ。
一方、バイデン氏は、習氏の求める「対話」や「協力」とは距離を置く姿
勢をとり、中国が中国封じ込めの枠組みと見て強く反発している「自由で
開かれたインド太平洋」戦略の維持が政権の優先事項だと明言した。香
港、台湾に対する中国の圧政に関しても、米国の「根本的な懸念」を伝え
ている。
中国側は米中関係について、「協力」や「対話」という言葉を両首脳の発
言として強調したが、米側は「関与」というより控え目な表現にとどまっ
ており、中国の方が米中関係の維持に前のめりだった。
こうした中、4月14日、バイデン氏が重要演説をした。9月までにアフガニ
スタンから撤退、軍事力を中東からアジアに移し、中国の脅威に対処する
方針を明確に語った。そのために、日本を含む同盟諸国の協力拡大を求めた。
2日後の16日に、バイデン氏は就任以来初めての対面首脳会談にわが国の
菅義偉首相(当時)を招いた。米国の要請に応える形で菅氏は、自衛隊を
強化し、日米同盟をさらなる高みに引き上げ、日米間の協力で抑止力を強
化すると語った。国土、文化など主権に関わることについては絶対に譲歩
しないとも語った。これらすべては中国を念頭にした発言で、日本政府は
ルビコン河を渡ったと評価されたゆえんである。
だが、バイデン氏のアフガン撤退作戦はこれ以上ない程、拙劣だった。7
月2日、アフガン全土を監視できるバグラム空軍基地を捨てて、米軍は文
字どおり夜陰にまぎれて撤退した。タリバンは勢いづき、一気に全土制圧
に向かった。
負の効果
丁度この頃、米国務副長官のシャーマン氏が中国の天津を訪れ、王毅国務
委員兼外相と会談した。王毅氏は高圧的とも言える対応に終始し、中国側
はファーウェイ副会長、孟晩舟氏の釈放を含む対米要求事項の数々を長い
リストにして渡した。
米軍のアフガン敗走は、明らかに米国の威信を傷つけ、その負の効果は中
国による米国への侮りとなって外交交渉に影を落としている。9月1日、
ジョン・ケリー大統領特使(気候変動問題担当)が天津を訪れた。相手は
ベテランの解振華氏である。ケリー氏はCO2を削減しなければ地球が滅
びるとでも考えているような人物だ。米中関係には多くの懸案事項がある
が、それらに関わりなく、「世界2大CO2排出国は純粋に協力しなければ
ならないと、中国に懇願した」(9月2日、ウォール・ストリート・ジャー
ナル紙)。
CO2のことなどほとんど気にしていないのが中国の本音であろう。彼ら
にとってケリー氏のような環境問題が全てだと思い込んでいる人物はカモ
である。CO2削減に協力するか否かで条件闘争ができるからだ。予想ど
おり、中国側は気候変動問題のみを特別扱いにはできない、中米関係全体
の中で考える、と冷たく言い放った。このとき中国側は米国に提出済みの
「二つのリスト」に回答せよと求めたという。
二つのリストとは、1米国が必ずやめなければならない誤った言行のリス
ト、2中国が重大な関心を持つ重点個別案件のリストである。
前者は、中国共産党員およびその家族のビザ制限、中国の指導者・政府高
官・政府部門への制裁、中国人留学生へのビザ制限、中国企業や孔子学院
への圧力などについてだ。先述の孟晩舟氏の引き渡し要求も入っている。
後者は、中国人留学生の訪米ビザ申請の拒絶などを解除すること等だ。
「貿易戦争で米国に勝利した」
国際社会で米国への信頼が揺らぐ中、9月9日、バイデン氏は習近平氏と2
度目の電話会談に臨んだ。中国側は「米国側の求めに応じて」会談したと
報じた。会談に応じてやったと言わんばかりだ。
WSJ紙によると、約90分の会談で、習氏はもっぱら米国批判に終始した
が、2大国は共に働けるとの楽観的見通しも示した。同紙はバイデン氏は
特別の目的を定めて会談に臨んだわけではないが、中国からの輸入品に対
する懲罰的関税の削除を交渉してほしいと、米国経済界が圧力をかけてい
ると報じた。バイデン氏の国内政治における立場は苦しく、氏は中国が要
求した二つのリストを丸呑みしたと、批判されている。
現に、孟晩舟氏は9月24日に解放された。ファーウェイは中国政府とは無
縁の民間企業だという主張だったが、孟氏は中国共産党のシンボルカラー
である真っ赤なドレスで深圳の空港に舞い降りた。テレビ局は帰国の模様
を生中継し、人民日報は「中国は貿易戦争で米国に勝利した」と狂喜の社
説を掲げた。
バイデン政権発足10か月目にして、米中関係は変わりつつある。10月4
日、米通商代表部のキャサリン・タイ代表が「米中貿易関係の新戦略」に
触れ、翌5日にはシンクタンクでの講演でこう語っている。
「米中の経済切り離し(ディカップリング)は非現実的だ。より建設的な
リカップリングが必要だ」
8日、タイ氏は劉鶴副首相とリモートで話し、両者は、米中貿易はより強
化されるべきだと合意した。年内に米中首脳会談がリモートで行われるこ
とも発表された。
米中の動きを時系列で辿れば、バイデン政権が徐々に後退しているのが明
らかだ。中国の無法やジェノサイドは許さない、という米国の気概が失わ
れつつある。日本よ、岸田首相よ、しっかりしなければ国を守れないぞ。
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◆米は中国の攻撃から台湾を守る
北野幸伯
バイデンが歴史的発言の衝撃度
先日掲載の「追い詰められた習近平。米英豪のAUKUS設立で世界に広がる
中国包囲網」等の記事でもお伝えしているとおり、各国の中国に対する姿
勢が厳しさを増している中にあって、バイデン大統領の住民対話集会での
「台湾防衛宣言」とも言うべき発言が大きな注目を集めています。今回の
無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナ
リストの北野幸伯さんが、その発言の「歴史的意義」を解説。さらに現役
米国大統領がたった一言で世界をより平和にし、「バランスオブパワー」
を回復させたと絶賛しています。
バイデンの【歴史的】発言、「アメリカは中国の攻撃から台湾を守る!」
の効果は?
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロは、歴史の転換点でした。このこ
とは、みんな知っています。
しかし、世界には、「あまり知られていない転換点」もあります。たとえ
ば、2003年3月20日。イラク戦争がはじまった日です。アメリカは、「フ
セインは大量破壊兵器を保有している」「アルカイダを支援している」と
いうウソの理由でイラク戦争をはじめた。国連安保理の承認を得ず。私は
当時、「これがアメリカ没落の原因になる」と書きましたが、実際そうな
りました。
表歴史では、06年の「米不動産バブル崩壊」、07年の「サブプライム問題
顕在化」、08年の「リーマンショック」で「100年に1度の大不況」がはじ
まり、「アメリカは没落した」ことになっています。
しかし、裏歴史では、ドイツ、フランス、ロシア、中国を中心とする「多
極主義陣営」と呼ばれる勢力が、ドル基軸通貨体制を攻撃することで、ア
メリカを没落させたのです「多極主義陣営」はイラク戦争に反対していま
した。
2012年11月14日、中国がロシアと韓国に「反日統一共同戦線」創設をよび
かける
2015年3月「AIIB事件」
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、オーストラリア、イス
ラエル、韓国などいわゆる親米諸国がアメリカを裏切り、中国主導AIIBへ
の参加を決める。アメリカはこれで、中国を「最大の脅威」と認識2018年
10月4日、ペンス演説から「米中覇権戦争」がはじまる
などなど、普通の人たちがあまり「歴史的」と自覚していない「歴史的で
きごと」もあります。そんな「歴史的できごと」が、また起こりました。
なんでしょうか?
台湾有事の際、アメリカは、中国から台湾を守る宣言
バイデン大統領が、「台湾が中国に攻撃されたら、アメリカは台湾を防衛
する」と宣言したのです。ブルームバーグ、10月22日を見てみましょう。
バイデン米大統領は21日、米国には台湾を守るコミットメントがあり、台
湾が中国から攻撃を受けた場合には米国は防衛に向かうと表明した。
もう少し詳しく。
バイデン大統領はCNNがメリーランド州ボルティモアで開いたタウンホー
ル集会で、「中国は米国が世界最強の軍を有することを知っている」と述
べ、懸念するのは中国が深刻な間違いを犯しかねない活動に従事している
ことだと付け加えた。
中国が台湾を攻撃しようとした場合、台湾防衛に向かうのかと強く問われ
た大統領は、「イエスだ。われわれにはそうするコミットメントがある」
と明言した。
私はこの発言を【歴史的だ】と考えています。なぜでしょうか?アメリカ
はこれまで「台湾有事の際、アメリカが中国から台湾を守る」と宣言した
ことがなかったからです
アメリカは1970年代、ソ連に対抗するため、中国と事実上の同盟関係にな
る選択をしました。1979年、アメリカは台湾と断交し、中国と国交を正常
化させた。アメリカは以後、中国が台湾に侵攻した際どう動くのか、はっ
きりした態度を示さなかったのです。もし「守る」といえば、米中関係は
悪化し「対ソ連同盟」が機能しなくなるでしょう
1991年末、ソ連は崩壊しました。だから、米中関係は「対ソ連同盟」では
なくなった。しかし、1993年から米中関係は、「金儲け同盟」に転化。ア
メリカを牛耳る「国際金融資本」は、世界一の人口を持ち、なおかつ極貧
の中国を育てることで、「大儲けできる」と考えた。そして、実際彼らは
大儲けしたのです。
では、70年代末から現在に至るまで、なぜ「台湾を守らない」と断言しな
かったのでしょうか?そうなると、中国は安心して台湾に侵攻し、武力に
よって強制併合を成し遂げるでしょう。アメリカは、地政学的に重要な位
置にある「民主主義国家」台湾を、完全に捨てることもできなかったので
す。それで「あいまい戦略」でこれまで来た。
ところがバイデンは、この「あいまい戦略」を捨て去り、台湾有事の際、
「アメリカは中国から台湾を守る」と宣言した。だから【歴史的】です。
この宣言の効果は?
バイデン歴史的宣言の効果は、どうでしょうか?
台湾にとって、非常に大きな抑止力になることは間違いありません。中国
は、1970年代に入ってから尖閣の領有権を主張しはじめました。そして、
2010年から「尖閣は固有の領土で核心的利益だ」と宣言しています。しか
し、11年経っても、尖閣に侵攻していません。なぜでしょうか?唯一の理
由は、「米軍が怖いから」です。
バイデン政権の高官は、しばしば「尖閣は日米安保の適用範囲だ」といい
ます。この言葉が、「抑止力」になっている。習近平は、「尖閣に侵攻し
ようかな」と考えます。「海上保安庁、海上自衛隊はなんとかなりそう
だ」と考える。しかし、唯一の懸念材料は、米軍の動向です。米軍が出て
きたら負ける可能性が高い。そこで彼は、側近に問います。「尖閣に侵攻
したら、米軍は動くかな?」側近は、「バイデンもブリンケンもオース
ティンもサリバンも、『尖閣は日米安保の適用範囲」と明言しています。
動く可能性が高いでしょう」と答えるでしょうそれで習近平は、「では、
やめておこう」となる。
今回、バイデンは、「台湾を中国から守る」と宣言した。この歴史的宣言
によって、習近平は、台湾に侵攻する決断を下すのが難しくなるでしょう。
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◆バイデン、対中輸出規制を大幅に緩和
令和三年(2021)10月23日(土曜日)弐
通巻第7091号
バイデン、対中輸出規制を大幅に緩和
またも中国へハイテク輸出を連続して許可
米国のメーカーが中国の輸出に際して、商務省がブラックリストに掲載
した相手先には逐一の許可が必要だった。
トランプ前政権が中国を締め上げるための政治的な措置だったが、バイ
デン政権になって、この許可件数は鰻登りとなり、法は大きなザルのよう
な「抜け穴」だったことが判明した。
米国の半導体企業などに米商務省はファーウェイ向け輸出案件で申請の
あった113件の輸出許可を与え、610億ドルのビジネスを展開してい
た。(2020年11月〜2021年4月速報)。
SMIC向けには188件、420億ドル(同)。
しかもファーウェイは米国グーグルと組んで、海外でHONOR50シ
リーズの生産を海外で行うと発表している。
9月24日にファーウェイの副社長兼CFOの孟晩舟がカナダから釈放
となり、深センに凱旋帰国した。バイデンはトランプ政権の「引き渡し」
を忘れたかのように、「これはカナダの司法の独立である」として一切の
追加措置を講じなかった。背景に米国実業界の親中派の商行為があったこ
とになる。
実際には米国司法省が、カナダの頭越しに中国との司法取引に応じ、ま
たカナダは中国で人質となっていたカナダ国籍の二人の釈放との交換とい
う条件に応じた。つまり中国の人質外交が成功したことになる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜書評 しょひょ
う BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 サイバー戦
争の究極の目標は相手の脳幹の造り替えだ
ロシアと中国のサイバー工作の実態と、その効果ならびに未来
♪
佐々木孝博『近未来戦の核心 サイバー戦』(育鵬社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
著者の佐々木氏は元ロシア駐在武官、海将補。サイバー戦争の専門家で
ある。
ロシアにはハッカー攻撃部隊が幾つかあるが、その「証跡(攻撃に遣わ
れたIPアドレスなどの帰属、プログラムに遣われた言語、攻撃の行われ
た時刻帯、過去の同種の攻撃行動との比較など)から分析すると、
GRU、FSB、SVRと関係が深いとみられる組織が対外的な任務を
担っている」(135p)
代表例が五つ。
IRA(インターネットリサーチエージェンシー)
APT28(ファンシー・ベア)
APT29(COZY・ベア)
ベノモウス・ベア
ブードオ・ベア
なかでもIRAは常時3〜400名の24時間態勢。「偽のアカウント
を取得するため、実在の米国市民の社会保障番号などを用いてなりすまし
を行い,PAYPALに口座をひらき、フェイスブックに政治広告を掲載
していた」。
2016年の主戦場は、ヒラリー攻撃だった。
APT8と29はファイブアイズの命名分類であり、ほかの二つの組織
も、宇宙航空、科学技術など極めて特殊な知識をもちエネルギーなど重要
なインフラを狙う。
しかもロシアは中国の「超限戦」を深く研究しているという。
トランプの「ロシアゲート事件」なるものは民主党がでっち上げた「事
件」だ。実際にはロシアが「ボランティア」のハッカー部隊を組織 し
て、ヒラリー陣営に不利となるフェイクニュースを流していた。
ロシアの情報機関はヒラリーの落選を企図していたらしい。そうした活
動をトランプ陣営は知らなかった。ただしロシアの代理人が複数回、トラ
ンプ陣営の幹部に接触していた事実はある。
いずれにしても、あれほど力瘤を入れたロシアゲート捜査だったが、何ひ
とつ証拠が挙がらず、トランプ弾劾は成立しなかった。其れはそうだろ
う、民主党と左翼メディアが仕組んだでっち上げだったのだから。
以前にも書いたが、ロシア政治の暗黒部分を仕切る「戦争請負業」(ロシ
ア版ブラックウォーター)の最高幹部はプーチンのお友達、ロシアが展開
するハイブリッド戦争とは、中国の展開する「超限戦」である。
プーチンがハイブリッド戦争を世界戦略の基軸においた動機は、ロシア
の軍事的劣勢を認識したからである。
ロシアはたしかに核大国だが、アメリカの核戦力と比較すれば、嘗ての優
位は崩れた。あまつさえ宇宙空間では中国が優位に立った。
「火種がなければ火をおこせない」状況に陥ったロシアは諸外国の政治に
経済支援や軍事援助などの露骨な介入ができず、影響力の行使もままなら
ず、しかし選挙や政府への抗議行動がおきた国では、ハイブリッド戦争を
仕掛けてロシア の対外能力を発揮する。
ロシアに戦争請負会社は20社近くあり、アフリカ各地へ数百名単位で派
遣されている。あの絶体絶命に追い込まれたベネズエラのマドロゥ体制
が、その後も独裁を維持できているのはロシアの支援である。
げんにウクライナで米国が仕掛けた民主化の東進を防いだ。
シリア内戦ではアサド体制維持で勝利した。ジョージアの対露戦争で
勝った。ドイツやチェコにもサイバー攻撃を仕掛けて、かなりの成果をあ
げた。なにしろNATOの結束に亀裂を入れ、マクロン仏大統領は欧州軍
の設立を言い出すまでに欧米関係が信頼を損ねる状況を造りだしたから。
本書も参考文献にあげている廣瀬陽子『ハ イブリッド戦争 ──ロシア
の新しい国家戦略』(講談社現代新書)は、ハイブリッド戦争を定義して
こう言う。
「政治的目的を達成するために軍事敵脅迫とそれ以外のさまざまな手段、
つまり、正規戦、非正規戦が組み合わされた戦争 の手法である。いわゆ
る軍事的な先頭に加え、政治、経済、外交、プロパガンダを含む情報、心
理戦などのツールの他、テロ や犯罪行為なども公式、非公式に組み合わ
されて展開される。ハイブリッド戦争は、2013年11月の抗議行動に
端を発するウクライナ危機でロシアが行使したものとして注目されるよう
になった」
ロシアの新思考が軍事戦略に適用された。
「新しい戦争の形態や方法を再考すべきであり、21世紀の戦争ルール
は大幅に変更される。とりわけ非軍事敵手段は、特定の場合には軍事力行
使と比較してはるかに有効であること」(ゲラシモフ・ドクトリン)。
ロシアと中国はお互いがサイバー攻撃を仕掛けないと約束したのも、西
側へのサイバー攻撃と謀略に忙しく、「仲間同士」で、エネルギー をす
り減らすようなことはやめようというわけである。
ただし筆者はロジャーズ前サイバー軍司令官と対談した際にこう言われた
という。
「中国の影響工作の目標・ツールは、ロシアと異なる。中国は自国の評
価、プレゼンス、立ち位置を高めようとしている。一方、ロシアは自国の
ことはさておき、相手国の国力を貶めるため、相手国の社会情勢の不安定
化、分断、民主主義の信頼度の崩壊選挙の民主プロセスの崩壊などを企図
している。また政治指導者の意思決定をロシアにとって有利な状況に導く
という『認知領域』での戦いをおこなっている」(210p)
とどのつまり、ロシア、中国が狙うのは認知領域における戦争である。
偽情報を大量に流し、陽動などの情報をリークし、情報を操作して世論
を動かす。
すなわち「影響工作の主眼は、これらの手法を使って人間の脳内をコン
トロールすることである」(185p)。
もっとも深刻な、ほとんど無防備なのが日本である。
世界で一番サイバー攻撃に脆弱な国、なにしろ国民に国防意識が希薄なう
え、国防予算は微々たる額、自主防衛が不可能な、 主権を半ば放棄した
かたちの日本が、サイバー攻撃を防衛するにはどうすればよいのか。
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読者の声 READERS‘OPINIONS どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声1)仮想・暗号通貨、その5 ビットコインの政治性
もう遥かな昔、2019年7月に当時(実は今も)米国大統領・トランプ氏
がシェルトン氏(Judy Shelton)を連邦銀行FRSの理事に推薦した。この
人選は極めて異例で重要だったが、米国でも日本でもほとんど無視された。
氏は近年稀に見る「金本位制通貨」の積極的な支持者。更に昔、1999年ご
ろ、シリコン・ヴァレー、I T起業家には珍しい虎さん支持者であるピー
ター・ティール氏(Peter Thiel)が既に、仮想・暗号通貨などの開発状
況、その利点、なぜ必要か、という演説をしている。
米国の政治政党は主に2つ、3番目はリベテリアン党
(Libertarian)。社会主義という語は、悪い印象があるので、彼らは勝
手に自分達を「リベラル」だと言い始め、それが受け入れられてしまった
ので、リべテリアンは名前を盗まれて迷惑している。
しかし本来は、かつては、ほとんどの米国人の価値観を代表していた。つ
まり「個人の自由を保障し、それを阻害する政府は最小限に抑える」=共
産主義の真逆。
ロシアから逃れてきた思想小説家故アイン・ランド氏(Ayn Rand)が
1943年に書かれた「ファウンテン・ヘッド」はいまだに聖書に次ぐベス
ト・セラーだという。
更に余談、上院議員ランド・ポール氏の父ロン・ポール氏は息子の名前を
尊敬するランド氏に因んでつけた。両者とも医師、であり全く主義主張の
ぶれない稀有の政治家。武漢菌問題でも、政府に迎合することなく、論理
的医学的立場から強く政府に反論している。彼らは妥協して共和党と組ん
でいるが、本来は、そのうちに、リベテリアン党に属す。
最小限の政府がすべき事として、正しい通貨の発行、運営。遺憾ながら
ほぼ全ての政治家はドコモ、利己的、短期的な思考を持ち、常に躊躇なく
通貨を乱発し、財政を危うくしインフレで国民の富を破壊する。それを防
いでいたのが歴史的に有効だとされている「金本位制に元ずく通貨」で
あった。
そんな背景があって、フィアット(Fiat、無から有)の通貨ではなく、有
(金など又は、裏ずけの資産など)に元ずく、種々の暗号通貨も発行され
ている。
国家、政府の権力は、かつては主に武力、戦争能力に因ったが、富がな
くては賄えない。故に、経済力、金が最大の必要条件になる。「富国強
兵」とは今も昔も簡潔に正しい。
故に、ビットコインの挑戦とは、世界の全ての国家からその権力を奪う、
根源的な氾濫・百姓一揆であり、極めて政治的な大きな意義を持つ。2019
年、武漢菌が始めた「世界同時独裁政治化」が始めて世界の人民に、真の
政府の凶暴な「裸の王様」姿を見せた。
これが起爆となって、世界の人民の自由が回復されるのならば、武漢菌人
体実験で亡くなられた方々も、英霊として大義を得られる。
失敗すれば、世界が暗い悍ましい北朝鮮になる。
(在米のKM生)
2021年10月27日
◆バイデンの対中政策に異変あり
at 06:41
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| 櫻井よしこ
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