櫻井よしこ
日本ルネッサンス 第980回
岸田文雄政権発足から日も浅い為、評価を下すのには慎重であるべきなの
は当然だ。しかし、早くも先行き不透明感が顕れてきたのではないか。宏
池会に脈々と伝わる何ともいえない対中宥和姿勢、優柔不断、結果として
の手遅れ感が否めない。
支持率も安定しているかに見える岸田政権だが、北京五輪に関して首相が
どのように考えているのか、明確ではない。北京五輪にどう対処するの
か、選手団だけでなく政府関係者も参加するのか、選手は参加しても政府
としては不参加のいわゆる外交的ボイコットを選ぶのか。この選択は中国
との向き合い方を象徴することになる。
米国はすでに外交的ボイコットを決めた。英豪加なども同様だ。他方、主
要国の中で日本は態度表明をしていない。
12月13日の衆議院予算委員会で自民党の高市早苗政調会長に外交的ボイ
コットの可能性について訊かれ、岸田氏は「総合的に判断していきます」
と答えた。これまで繰り返してきた、事実上何も言わない空疎な回答であ
る。まともに答えないという意味では林芳正外相も同様だ。
国際社会は中国共産党のウイグル人弾圧政策を「ジェノサイド」と認定
し、人権侵害を改めない中国に北京五輪外交的ボイコットという圧力で臨
んでいる。岸田首相もウイグル人弾圧を問題視し、人権問題を重視する考
えから、これまで以下のように語ってきた。
「ウイグル、チベット、モンゴル民族、香港など、人権等を巡る諸問題に
ついて、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めます」(自民党総
裁としての公約)、「私の内閣では、人権をはじめとした普遍的価値を守
り抜く」(12月9日、衆院本会議)、「深刻な人権状況にしっかり声を上
げていきます」(民主主義サミット)。
ここまで明確に発信しておきながら、なぜ、現段階に至っても岸田氏は、
日本国首相として、外交的ボイコットを宣言できないのか。米中が対立す
る価値観の戦いにおいて、日本の立ち位置をなぜはっきりさせないのか。
中国共産党の魔の手
中国共産党はウイグル人、モンゴル人、チベット人の弾圧政策を改めるど
ころか、逆に監視態勢の強化に乗り出している。
悪魔のような中国共産党の魔の手は海外にまで及ぶ。わが国で働き、或い
は学ぶ前述の三民族の人々を中国共産党工作員は恒常的に監視し、恫喝す
る。中国にいる家族を人質に取って密告を強いる。こうした悪行を彼らは
わが国で行っている。それだけではない。わが国の国民、少なくとも7人
が正当な理由を示されずに中国で逮捕され、長年拘束されている。
人権問題以外にも日本には中国共産党に抗議し、北京五輪を外交的にボイ
コットすべき理由は少なくない。尖閣諸島のわが国海域には中国の武装公
船4隻がほぼ常駐している。中国の艦隊は10月中旬、ロシア艦隊と共にわ
が国を一周し、挑戦的な軍事訓練を展開した。歴史問題では、中国共産党
の機関メディアが「日本は慰安婦70万人を強制連行した」という途方もな
い歴史の捏造を始めている。北京五輪への対応ではこうした中国の振舞全
体を考慮するのは当然だ。
米英豪加諸国と共に、日本政府は北京五輪に祝意を送らず、外交的ボイ
コットの先頭に立つべきなのである。にも拘わらず、岸田首相、林外相共
に、中国に対して沈黙する
彼らの沈黙は次の事例でも明らかだ。バイデン米大統領は12月9、10日の2
日間、中国など強権国家の脅威に対処すべく世界110か国・地域を招いて
「民主主義サミット」を開催した。サミットに合わせて「輸出管理・人権
構想(イニシアチブ)」を立ち上げると発表した。これは、人権侵害を助
長しかねないデジタル監視技術、たとえば監視カメラや顔認証、スマホな
どから情報を抜き取るスパイウェアといった技術等を、中国企業などに輸
出しないように、今後1年かけて有志国が協力して輸出管理の行動規範を
作ろうというものだ。
同構想の参加国として署名したのは米国の他には豪州、デンマーク、ノル
ウェーである。賛同し、支持を表明した国々は英仏加などである。だが日
本はどちらにも入っていない。前述のように岸田首相は、人権など普遍的
価値を守り抜くと度々決意表明してきたにも拘わらず、である。
なぜこんなに後ろ向きなのか。もうひとつ奇妙なのは、中国を念頭に置い
た米国発のこれらの動きが、岸田政権内で必ずしも共有されていないこと
だ。国際人権問題担当首相補佐官に就任した中谷元氏は、12月7日の日本
経済新聞の記事「人権侵害を阻止 多国間輸出規制」で、初めてバイデン
氏が「輸出管理・人権構想」を発表することを知った。外務省が情報を上
げていなかったというのだ。
なぜ消極的なのか
明星大学教授の細川昌彦氏が指摘した。
「外務省は中国との関係から、中国を対象にした規制などには一貫して否
定的です。中国を追い込む国際的枠組みについての情報を日本側に伝えな
いというようなトリックは、民主主義サミットでの輸出管理・人権構想に
ついての事例で行われただけではありません。6月のG7首脳会合の共同声
明の中の関連部分についても、外務省が要約した資料からは省かれていた
のです」
そもそも外務省には、バイデン政権の民主主義サミットに対する不信感が
ある。どの国を招くのか外すのかの基準も定かではない。ASEAN10か
国から招かれたのはフィリピン、マレーシア、インドネシアの3か国のみ
で、シンガポールもベトナムも排除された。ASEANを分断するかのよ
うな手法は、中東や欧州に対しても使われている。多くの国をまとめると
いうより分断しかねない選別が目につく。確かにバイデン政権への信頼が
揺らぎそうな事例だ。
「しかし」と萩生田光一経産大臣は語る。
「日本国の戦略の基本は米国との緊密な協力を守ることです。ですから、
米国提案の枠組みにもっと前向きの姿勢で取り組むのがいいでしょう。今
すぐ署名できなくとも、たとえば来年早々に署名国になれる状況を作り出
す姿勢が大事。それが国益だと考えます」
経産省に比べて外務省はなぜ消極的なのか。とどの詰まり、中国には十分
に物を言えないということではないか。伝統的と言ってもよいほどの対中
宥和の姿勢が外務省にはある。それは宏池会の対中姿勢の根本と重なるの
ではないか。まだ断定には早いと思いながらも、岸田政権のこれからに危
惧を抱いてしまう理由である。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆雀庵の「開戦前夜/3 文武両道、備えなければ亡国へ」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/414(2022/1/6/木】小生が出版業界に入った
1975年頃、書籍の出版点数(年間)は2万点で、「多過ぎる、悪貨は良貨
を駆逐する、良書が悪書に追放される!」と学術書や古典など良書系の出
版人は不安視していた。「良書」の定義はないが、「一時的なブームでは
なく、数十年、時には数百年以上読み継がれる本」あたりだろう。初版
3000部売るのに3年かかったとかいう本は珍しくない。
書店は「売ってナンボ」の世界だから売れる本を棚に並べる。良書でも売
れない本はどんどん返品され、結果的に書店は娯楽系やノウハウ系の本ば
かりが目立つようになる。
出版年鑑、出版指標年表によると、書籍出版点数は2013年8万2589点が
ピークで、以降はマイナス成長の連続で2019年は7万1903点へ。かつては2
万点でも多過ぎたのに8万、7万はまるでパンデミックのよう、それでも50
年後どころか10年後にも読まれているようなロングセラー本はほとんどな
いだろう。
書籍の売上は1996年の1兆931億円からずーっと下り坂。2020年は6661億円
で半減に近い。出版点数が多くても、特に教養・学問系の本は返品率80%
なんていう惨状が常態化しているだろう。
「これって文化か? 民度が向上したのか?」なんて野暮なことは言いた
くないが、ベストセラーを追いかけてもオツムの肥やしにはならない。ス
マホをいじくっていないで、たまにはロングセラー本や超ロングセラーの
古典なんぞにも触れた方がいいと思うが・・・余計なお世話か。新聞購読
者も年々減っているから「良質な活字文化」は衰退する一方だろう。
<平成十七年法律第九十一号 文字・活字文化振興法
(目的)第一条 この法律は、文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で
蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養並びに健
全な民主主義の発達に欠くことのできないものであることにかんがみ、文
字・活字文化の振興に関する基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体
の責務を明らかにするとともに、文字・活字文化の振興に関する必要な事
項を定めることにより、我が国における文字・活字文化の振興に関する施
策の総合的な推進を図り、もって知的で心豊かな国民生活及び活力ある社
会の実現に寄与することを目的とする>
ひどい文章、まるで官僚の書いた法律文書そのもの・・・これが「活字文
化」の見本なら小生は嫌だなあ。まずは隗=公文書より始めよ。
老生の天職というか趣味は「中共殲滅」だが、並行して「読書」「作文」
「散歩」「庭いじり」も好きだ。その時々で何かに興味を覚えると「どう
なんだろう」とネットで調べたり関連した本を読むことが多い。ネットの
場合は情報収集が安直、便利すぎて「身につかない」感じがする。カップ
麺と本物との違いみたいで、何となく重厚さがない、軽薄短小の趣。
毎晩、読書しながら眠りにつくが、脳みそはその本の続きみたいなことを
思考しているようで、「ああ、なるほど、そういうことか(そうすればい
いのか)」と解を見つけることも結構多い。時々メモを取ることもある。
こんな事を思うのは元旦の産経に「文藝春秋」の気になる広告があったか
らだ。同社の月刊誌「諸君!」は小生が2003年あたりからアカ思想を除染
する上で大いに有効だったが、2009年に廃刊になりがっかりした。部数が
伸び悩んだかららしいが、それでも5万部ほどの実売部数はあったのだ
し、続けようと腹をくくればできたはずなのだ。
儲からなくても「いつか青空」を信じて大事に書籍・雑誌を育てる・・・
多くの出版社はそれを矜持に耐え難きを耐えて踏ん張っているのではない
か。戦前の山本実彦が起こした「改造」のような“売らんかな主義”と文藝
春秋は似ているような気がする。小生はそういうのは嫌だなあと思う。
永井荷風の日記「断腸亭日乗」を読むと荷風は文藝春秋の創業者、菊池寛
を蛇蝎の如く嫌っている。文士あがりの菊池は「文士のタニマチは出版社
である、誰のお陰でメシが食えるのか、よーく考えろ」という人のよう
で、聖人君子ではなかった。親分肌というかガサツというか、カネをばら
まけば人は付いて来るという、成り上がり者の思考が強かったようであ
る。金持ちながら「はかない美」が大好きな荷風とは肌が合わない。
<昭和4年(1929)3月27日の日記から。
「三月二十七日細雨糠の如し、雨中の梅花更に佳なり、大窪詩仏の年譜を
編む。晡時(午後四時頃)中洲に徃く、帰途人形町にて偶然お歌に会ふ。
市川団次郎待合の勘定百円ばかりを支払はざるにより、催促のため辯護士
を伴ひ明治座楽屋に赴きし帰りなりと云ふ。銀座通藻波に飰す、春雨夜に
入りて猶歇まず、風また加はる、お歌自働車を倩うて帰る。
是日偶然文藝春秋と称する雑誌を見る、余の事に関する記事あり、余の名
声と富貴とを羨み陋劣なる文字を連ねて人身攻撃をなせるなり。文藝春秋
は菊池寛の編輯するものなれば彼の記事も思ふに菊池の執筆せしものなるべし
昭和11年(1936)7月2日。
「七月初二。雨ふりてはまた歇む。文藝春秋社活版刷の手紙にて、同社賞
金授与に関し推選すべき出版物の事を問来れり。同社は昭和四年四月その
雑誌文藝春秋の誌上に於て、甚しく余が事を誹謗したり。然るに今日突然
手紙にて同社営業の一部とも云ふべき事を問合せ来る。何の意なるや解す
べからず。文藝春秋の余に対する誹謗の文には左の如きものあり。
――今日荷風の如き生活をしてゐる事は幸福な事でも又許すべき事でもな
い。かくの如く社会に対して冷笑を抱いてゐ、社会に対して正義感を燃焼
させないとしたなら当然社会は彼を葬ってもいゝ。
――今日かくの如き社会に於て財産を唯一の楯として勝手に振舞ふといふ事
ハ許すべからざる卑怯である。
昭和12年(1937)『墨東奇譚』から。
「ここにおいてわたくしの憂慮するところは、この町の附近、もしくは東
武電車の中などで、文学者と新聞記者とに出会わぬようにする事だけであ
る。この他の人達には何処で会おうと、後をつけられようと、一向に差閊
(さしつかえ)はない・・・
ただ独(ひとり)恐るべきは操觚の士である。十余年前銀座の表通に頻に
カフエーが出来はじめた頃、ここに酔を買った事から、新聞という新聞は
挙(こぞ)ってわたくしを筆誅した。
昭和四年の四月『文藝春秋』という雑誌は、世に「生存させて置いてはな
らない」人間としてわたくしを攻撃した。その文中には「処女誘拐」とい
うが如き文字をも使用した所を見るとわたくしを陥れて犯法の罪人たらし
めようとしたものかも知れない。彼らはわたくしが夜窃(ひそか)に墨水
をわたって東に遊ぶ事を探知したなら、更に何事を企図するか測りがた
い。これ真に恐るべきである」>(引用:東京さまよい記「永井荷風と菊
池寛」2016/5/8)
文藝春秋は傲慢不遜の俺さま主義の伝統があるのか。競馬じゃあるまいし
“売らんかな”見え見えの芥川賞や直木賞。出版社は黒子、縁の下の力持ち
になり、表には作家やライターを出した方がいい・・・ここまで書いて寝
床に入って加瀬英明先生の「日本と台湾」を読んでいたら「諸君!」のこ
とが出ていた。引用する。
<私は1960年代から、中国が日本と相容れない専制国家であり、3000年に
わたるおぞましい政治文化によってつくられており、警戒しなければなら
ないと説いてきた。田中内閣によって日中国交正常化(1972年9月)が強
行された時には、雑誌「諸君!」などの紙面を借りて反対し、朝日新聞を
始めとするマスコミが安酒に酔ったように日中国交正常化を煽ったことを
批判した。その翌年に宮崎正弘氏が著書「新聞批判入門」の中で、
「田中首相が訪中した時の大新聞の『秋晴れ 北京友好の旗高く』とか
『拍手の中しっかりといま握手 とけ合う心 熱烈歓迎』といった見出し
を見ていると、日本、ナチス・ドイツ、イタリアの間に三国同盟が結ばれ
た後に、松岡ミッションがベルリンの目抜き通りをパレードした時の新聞
の熱狂的な見出しのように思えて仕方がない」
と揶揄した。あの時も新聞はヒトラーのドイツに憧れて世論を煽り立て
た。(今は)毛沢東が新しいヒトラーとして祭り上げられた。
私は田中首相が北京空港に降り立った時の朝日新聞の熱に浮かされた病人
の譫言(うわごと)のような記事に唖然とした。この朝日の特派員は朝か
ら酒でもあおっていたのだろうかと疑った。
「[北京25日=西村特派員]その時の重く、鋭い静寂を、何と表現したら
いいのだろう。広大な北京空港に、いっさいの音を失ったような静けさが
おちてきた。1972年9月25日午前11時40分、赤いじゅうたんを敷いた飛行
機のタラップを、黒い服の田中首相がわずかに体を左右に振りながら降り
てきた。まぶしそうに空を見上げ、きっと口を横に一文字に結んで、周首
相の前に進んだ。
これは夢なのか、いや夢ではない。今、間違いなく日中両国首相の手が、
かたく握られたのである・・・
実際には、その時間は一分にも満たなかったはずであった。記者団の群れ
にまじった欧米記者たちの無遠慮な声もしていたかもしれない。しかし、
その時間は、もっと長く感じられた。何の物音もしなかったと思う。40年
も続きに続いた痛恨の時間の流れは、このときついにとまった。その長い
歳月の間に流れた日中両国民の血が涙が、溢れる陽光の中を陽炎のように
のぼっていく――ふとめまいに誘われそうな瞬間のなかでそんな気がした」
この記事に対して当時、私は次のように記した。
「新聞記者は、どのような状況にあっても、めまいを起こしてはならな
い。しっかりして欲しい。それに、日本であれ外国であれ、記者たちはい
つも『無遠慮な声』を出しているものではないだろうか」>
「諸君!」にテーマを戻すと、文藝春秋社内の左右対立で廃刊にされたと
いう見方もあるようだ。同社は今年、文藝春秋100周年記念事業をするそ
うだが、月刊文藝春秋1月号のメニューを見ると70翁の小生から見ても壮
大かつ無意味、陳腐、時代遅れのテーマばっかり。80歳前後の団塊世代
だって関心を寄せないだろう。
今は日本、台湾などアジア太平洋諸国が中露など強権独裁国家に侵略され
かねない戦後最大の未曽有の危機にある。時代の「今」を切り取れない
「バックミラー雑誌」を誰が読むのか。勇気を持って自ら変身しなければ
月刊文藝春秋は年内で廃刊になるだろう。
━━━━━━━━━━━━━━━━
◆次世代技術の流れは面妖な方向へ
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)1月6日(木曜日)
通巻7180号
SONYのEV参入は「大決断」か、愚挙か?
ダムは決壊した。次世代技術の流れは面妖な方向へ。
1月3日、NY市場でアップル株の価時価総額が3兆ドルを突破した。
じつは同日、テスラ株も14%の暴騰、時価総額が1・2兆ドルとなり元
に戻った。先月、テスラのイーロン・マスクが保有する株式の10%を売
却したため、テスラ株は1243ドルから886ドルに下落していた。
テスラは2020年に50万台生産した。2021年は93万台、このう
ち、31万台が中国国内の販売実績だったが、20万台が中国でリコール
となった。
EVの販売は2022年前半に絶頂を迎えるだろう。そして22年の後半
から売れ行きは鈍るか、激減するだろう。理由は簡単で、中国政府のEV
への補助金制度が終わるからだ。
皮肉なことに全米自動車販売で、トヨタがGMを抜いた(1月4日)。
フォードを抜き、クライスラーを寄せ付けず、「黄金の時代」を築いた
GMが、まさか黄色い猿と罵った国に追い抜かれたのだ。
しかし何故に自動車がガソリンからEVに変わるのか。
ガソリン車が深化したハイブリッド車が全盛期をむかえようとしていた時
に、横合いから吹き荒れた竜巻は地球温暖化だった。熱病のように世界で
気象問題が人類の危機だと煽られ、流れが変わった。これが嘘だったこと
は明らかなのに、流れ出した激流は、もはや止めようがない。ダムが決壊
したとき、防ぐ方法はないように。
インテルもSONYも、他社との提携とはいえ、EVに乗り出すという。
極めつけはアップルのEV進出である。他方、事実上倒産している恒大集
団は昨年、EVに進出し、まだ一台も車を作っていないのに上場し、カネ
を集めた。まるで詐欺師の手口である。
嘗ての禁酒法しかり、禁煙運動しかり、フェミスズムからヘイトスピーチ
禁止、LGBTなど、基本の流れ方、熱病のような熱狂と興奮は客観的で
科学的、合理的考察を吹き飛ばす爆発力がある。
▼米中経済戦争の決戦場
次世代技術の争奪戦、開発レースが熾烈に進んでいるが、米国と中国の技
術覇権戦争という本質が顕現してきた。
第一に従来、ペンタゴン主導だった新技術開発が、インターネットの民間
企業によるイノベーションによって、軍民汎用から民間主導に置き換わっ
たことである。宇宙衛星までが民間企業の躍進ぶりだ。
1997年までインターネットという言葉はなかった。GAFAMの興
隆は、ネット社会実現以降であり、いまや選挙までSNSによって甚大な
影響を受け、活字媒体はおおきく後退した。次はメタバースだと市場関係
者は騒ぐ。
第二に従来、技術後進国だった中国が先進国から技術を盗み出すことに
よって、米国の追いつき、宇宙開発では、あろうことか中国が優位に立っ
た。超音速ミサイルとて、もし真実だとすれば、米国を追い越したこと意
味する。
暗号通貨、スパコンから量子コンピュータ。中国の猛追は凄まじい。
すなわち中国は国家中枢が立案した戦略的長期計画に基づき、集中して目
的を達成できるという専制政治の強みがあり、自由主義社会とは体質が異
なる。
民主主義社会は中央集権的な整合性を摂れないという脆弱性、意思決定の
遅行性というアキレス腱がある。
第三に「貿易」「投資」「研究」のデカップリング現象だろう。米国は貿
易が恒常的な赤字体質であるのは物作りを放棄し、工場を海外へ移動し
た。したがってハイテク兵器の部品も国内で調達できなくなった。
補給を間断なく効率的に埋める世界サプライチェーンは疫病と経済制裁の
欧州で機能しずらくなった。
投資はウォール街がシティから主導権を奪い、株、債券、FX、商品市場
で世界を牽引し、さらには研究、イノベーションは米国が圧倒的に優位に
立っている。このデカプリングのひずみが各所に現れている。
第四に通貨の変容、つまり支払いが手形、クレジットカードから、ディ
ヴィッド・カード、電子決済、スマホ決済が主流となって後発組のほうが
有利となる。
膨大なデータが集約されると、これを国民監視、統治の絶対的武器として
活用する全体主義国家、対してプライバシー保護でデータを保護しようと
する民主国家という二極化である。
第五は世界覇権の性格が艦船、戦闘機、火力、核兵器、軍事援助、無償支
援など従来型から、シルクロードに象徴されるように当該国家指導部を巻
き込んだ政略主導の形態に移行し、SNSネットワークへ戦場が移動しつ
つあることだ。
日本は嘗ての世界一も数えるほどになった。衰退一途なのか、巻き返せる
のか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
♪
(読者の声1)39歳独身寮に住む非正規ライン工員の日々を綴る動画に
160万回の再生。結婚、子供の可能性ゼロ。手取り月に16万円。唯一の楽
しみは「玉子や」が工場に配達される450円の豪華な昼飯という動画を見
て、初めて「日本人の幸福度」は世界で最低、少子化が止まらない、結婚
しない、出来ない、孤独死、などの原因を垣間見た。
この様な恒常的な「絶望」は他国では暴動、焼き討ち、一揆、革命に繋
がるが、大人しい無口な「ライン工」は静かに「一人で」与えられた暮ら
しを受け入れ、自分の非を弱さを責め、ただ死を恐れる。
国から、文科省から、社会から見捨てられた大部分の日本人の深い嘆き。
彼らが投票しないのは当たり前だ。日本の未来など視野にない。労働者の
味方、共産党でさえ票にならない人間は無視する。
https://www.youtube.com/watch?v=5IpKNerRfGU
https://www.youtube.com/watch?v=0Uxe1qMctmw
(在米のKM生)
♪
(読者の声2)宮崎正弘先生の『歩いてみて解けた「古事記」の謎』(育
鵬社)を地図帳と睨めっこしながら、三週間ほどかかりましたが、読み終
えました。
老生、定年後は俳句を趣味に、あちこち吟行してはいましたが、春になっ
て暖かくなると、この本を片手に、まずは神武東征コース、つぎにヤマト
タケルの御幸路をあるく計画を練っております。現地踏査の有益な旅の指
南書でもあります。 (DJ生、横浜)
♪
(読者の声3)「日本安全保障フォーラム」第7回講演会ご案内
新年おめでとうございます。今年が疫病退散、四海平穏の歳になるこ
とを祈念申し上げます。昨年は弊会にご参加ご支援を賜りありがとうござ
いました。本年もよろしくお願い申し上げます。
新年初の弊会第7回講演会のご案内です。コロナ禍の中ご多用中と存じ
ますが、是非とも御来駕のほどよろしくお願い申し上げます。
本第7回講演会ではYouTubeを通じ前段のみZOOMで同時配信致します。全
国配信可能ですので、遠路の方も奮ってのご視聴のほどお願い申し上げます。
日本安全保障フォーラム会長 矢野義昭
記
とき 1月16日(日)15:30〜18:30
ところ りそな九段ビル5階「ナレッジソサエティ」会議室(5階正
面入口左奥)
テーマと講師 前段: 東北大学名誉教授田中英道先生『歴史から見た
中国文化の特色』
後段: 元みずほ銀行法人企画部参事役山口洋一氏『司
馬遼太郎の知らない日露戦争の秘密外交を歴史探検する─天皇家の密使山
口菅三の事績を検証する』
●なお出入り口は、九段下駅6番出口前「ひらい商会」角左折20mの「り
そな九段ビル」通用門からお願い致します。通用門が開かなければ栗山
090-6006-3479までお電話下さい。
〇共催: Channel AJER 栗山勉
〇参加費: お一人様3,000円
〇お申込み: yyano0248@gmail.com
〇YouTube 配信を希望される方は、2,000円をゆうちょ銀行総合口座
「記号10140-2、番号73815141、名義国家生存戦略研究会(コッカセイゾン
センリャクケンキュウカイ)」に2月19日中までにお振込み下さい。お振込
み頂いた方はその旨メールにて、yyano0248@gmail.comにご連絡下さい。
ZOOM会議参加用アドレスをお送りします。
〇コロナ対策のため、マスク着用、5階入り口での消毒・検温を御願い
申し上げます。
2022年01月08日
◆岸田首相の危うい「宏池会路線」
at 09:17
| Comment(0)
| 櫻井よしこ
この記事へのコメント
コメントを書く