2022年02月12日

◆今、米国の足らざる点を日本が補え

櫻井よしこ


日本ルネッサンス 第985回

1月19日、就任1年を記念してバイデン米大統領が記者会見を行った。1時
間51分、79歳の老大統領は立ったまま、語り続けた。

米中対立の構図が明らかないま、世界の命運は事実上バイデン氏の肩にか
かっている。とりわけ日本は憲法の制約もあり唯一の同盟国に大きく依存
している。バイデン氏の世界戦略こそ、日本の最大の関心事だ。

演説で大統領が語ったことは2点だった。武漢ウイルス(バイデン氏は
COVID-19としか呼ばないが)と、インフレである。

前者については、就任時にワクチン接種済みの国民は200万人だったが1年
後は2億1000万人に増えたと実績を誇った。3度目のワクチン接種の加速、
PCR検査、マスク、飲み薬の普及などについて実績を大いに誇った。後
者に関してはインフレ抑制策として三つの具体策を詳述した。他方、中
国、ロシア、北朝鮮などには言及がなかった。米国は元々内向きの大国だ
が、外交、安全保障について冒頭のスピーチでは一言も触れないのだ。但
し、記者達の質問でやむなく語りはした。

バイデン氏は冗長だ。四方八方に話が広がり、主旨不明瞭だ。会見では政
権批判の質問が続いた。

〈インフレは加速、議会は停滞、大統領推進の投票権保護法案の失敗は明
らかで、コロナウイルスの死者は日々1500人、米社会の分断は埋まらな
い。大統領は米国民に能力以上を約束したのではないか〉

このように大統領及び民主党政権全体の能力を疑う質問が続いたのに対
し、バイデン氏は果敢に答えた。

「私は、皆の期待以上によくやっている。ウイルスによる死者の数は、少
し前はその3倍だった。状況はよくなっているんだ」「過去の大統領の誰
よりも自分はよくやっている」と繰り返した。世界が落胆したアフガニス
タン撤退の拙劣さについても「弁解はしない」と、強い自信を見せた。

失礼な質問が飛び出す

米国民のコロナによる犠牲者が100万人に近づきつつある中、昨年11月、
習近平中国国家主席との3時間半にわたるオンラインの首脳会談で、な
ぜ、武漢ウイルスについて追及しなかったのか、子息が中国の銀行が関わ
る投資案件に関係しているためか、との問いへの答えが振るっている。

「その問題は提起した。私は彼(習近平)と長い時間を過ごした」

―ではなぜ、その件は会談後の発表に含まれていなかったのか。

「側近達は会談全体を通してずっと私の側にいたわけじゃないんだ」

バイデン氏は、米中首脳会談の一定の時間、側近が席を外して一人で習近
平氏と語り合っていたと言っていることになる。そんなこと、あるわけが
ない。

ロシアによるウクライナ侵攻の危険性については、バイデン氏の主張は、
控え目に言っても不明瞭だ。「小規模侵略なら、我々は何をすべきか、す
べきでないか争うことになる」「国境に展開した軍隊を動かせば、米国と
同盟国はロシア経済に多大な犠牲を払わせる」「ウクライナ侵攻はロシア
側に多大な犠牲を生む。彼らは時間をかけて勝利する(prevail)だろう
が、その結果は重く、生々しいはずだ」とも語っている。

凄まじい犠牲は伴うが、ロシアは勝利するだろうなどと、米国大統領が
言ってよいのか。ロイター通信が、プーチンに小規模侵略を許すつもりか
と質したのも当然だ。バイデン氏の回答は次のように迷走気味だ。

「大国はハッタリで脅すことはできない」「プーチンの目的はNATOの
弱体化だ」「万が一のときはロシアにドルとの交換停止措置を取るが、ロ
シア、米国、EUにとってその衝撃は大きい」「ロシア軍がウクライナに
侵攻すれば状況は一変する」「しかし、彼(プーチン)が何をするかによ
る。我々が何をどこまでするかはNATO全体がまとまりきれるかにもよ
る」と答えた。

文章が文章になっておらず、言い間違いも少なくない。何度も言い直すた
めに、最終的に何を言っているのか、明確でない。こうした状態は一体何
を示すのか。

「ニュースマックス」が「ポリティコ/モーニングコンサルト」の世論調
査を引用して尋ねた。「ジョー・バイデンは精神的に健全(mentally
fit)か」との問いに、49%が「否」と答え、民主党員の過半数も否定的
に答えたが、何故このような疑問が生じると思うか、と。

右の問いに大統領は「わからない」と答えたが、会見のあとの方で「私は
世論調査は信じない」と言い切った。こんな失礼な質問が飛び出すほど、
バイデン氏の評価は落ちているということだろう。

砂上の楼閣

日本はどのように対処するかである。バイデン氏の欠点は忘れて、米国と
力を合わせることが最も重要だとまず確認しなければならない。バイデン
氏本人の能力ではなく、米国の能力と意思に注目することだ。相対的に力
を落としても米国は依然として世界の超大国で、わが国の唯一の同盟国
だ。米国の足らざるところを日本が最大限の努力で最速で補い、中露に対
する抑止力を築くことがわが国の国益だ。

中国の脅威は深刻だが、彼らの力が長く続くはずのないことも認識してお
きたい。中国の勢いはまず内側から殺がれていくはずだ。人口減である。
中国の合計特殊出生率は1.3、わが国の1.34より低い。米国は1.7、欧州の
平均は1.5だ。ついでに言えば韓国は0.84である。

統計によると、2030年までに中国の生産年齢人口(15歳から60歳)は7000
万人も減る。他方、高齢者は1億人も増える。中国は人口が大きいため
に、一度は米国のGDPを抜いて世界一の経済大国になる。その時期は当
初33年と見られた。中国経済が好調でこれが28年に繰り上げられたのだ
が、今再び33年に見直された。米国は中国に一旦抜かれても、今世紀中に
再び中国を抜き返して世界最大の経済大国に戻る。

中国共産党は社会保障制度も医療保険制度も整えていないために、超高齢
化社会で国民の不満は募り、国家運営が安定する保証はない。2億台の監
視カメラで国民を雁字搦(がんじがら)めにしても、それが平和的、安定的
な統治を可能にするわけではない。

ウイグル人、チベット人、モンゴル人に対する弾圧と虐殺の統治はおよそ
全ての心ある人々、民族、国々に忌み嫌われている。中国には真の友人な
どいない。軍事力に特化した強さを有していても、人間を幸せにしないの
であるから全て砂上の楼閣のようなものだ。

中国がいずれ力を落としていくのは避けられない。そのときまでたとえば
あと10年、私たちはこの一番大変な時期を米国や欧州、インド、豪州、ア
ジア諸国と共に頑張ればよいのだ。日本が強くなることだ。

            
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◆雀庵の「開戦前夜/19アジア版NATOの創設を急げ」

“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/429(2022/2/10/木】父が食料品店を開業、次い
で株式投資も始めた関係で、小生も小5あたりから「日経」を読みだし
た。近所の寿司屋の親父(第2の父、文藝春秋を読んでいたインテリ)の
ところでは「週刊新潮」も読んだ。もっとも当初は日経は「私の履歴
書」、新潮は「黒い報告書」くらいしか興味はなかったが・・・横浜市立
大学商学部に進学したのは日経の影響が大きかった。

<森泰吉郎(もり たいきちろう、1904/明治37年3月1日 - 1993/平成5
年1月30日)は、日本の実業家、経営史学者。森ビルおよび森トラスト・
ホールディングスの創業者。学者として横浜市立大学で商学部長・教授な
どを務めた。

1946年に横浜市立経済専門学校(横浜市立大学の前身)教授となる。
1954/昭和29年からは同大の商学部長となった。

横浜市大では大学に通うのは週に2、3日程度で、残りの時間は土地の整
理やビル建設に取り組み、1955年(昭和30年)に森不動産を、翌1956年に
は泰成(現・森トラスト・ホールディングス)を設立して第1森ビルが竣
工した。

積極的に事業展開を進め、1970年頃には高度経済成長や都市集中のトレ
ンドをうまく捉えて、小規模な会社を大企業に成長させることに成功し
た>(WIKI)

森泰吉郎、森ビル・・・ニュービジネスが大好きな日経は称賛しまくっ
て、小生も随分、その影響を受け、横浜市大商学部に進んだわけだ。初め
の一歩の「簿記」で挫折してしまったが・・・

<「黒い報告書」は 1960(昭和35)年11月に連載が開始。男と女の愛
憎や欲をめぐって起きた現実の事件を読み物化した。「週刊新潮」の名物
連載である>(amazon)


「週刊新潮」とは縁があり、部下が新潮編集部員の親戚で、一度だけだが
取材を受けた。目黒のバーのチーママは新潮の表紙を描いていた谷内六郎
の随分年下の妹で、男と女の“大人の愛”を教導してくれた。のめり込んで
いたら「黒い報告書」のネタになっていたろう。

まあ「人生を知る、社会を知る」という点では日経、新潮ともに勉強に
なったが、簿記とか経済をそこそこ学んでいれば人生は随分変わっていた
かもしれない・・・多分、カネと女、蓄財畜妾美酒美食を追いかけるとい
う“つまらない”方に傾斜ていたかもしれない。つまるか、つまらないかは
人それぞれだろうが、小生は「欲少なく足るを知る、足るを知りて分に安
んずる」、知足安分の生き方を選んで良かったと思う(アンタは世間知ら
ずのお坊ちゃま!と罵倒されたが)。

ひたすら「もっともっと」とカネ儲けに夢中になると「兜町の風雲児」
と持てはやされた人のような、あまりいい死に方をしないのではない
か・・・彼は2020年2月20日、月4万8000円のアパートで焼死(自死?)、
それから2年になろうとしている。

小生は経済音痴なのに一時期「旅行産業アナリスト」なんていう肩書を
使っていた。決算報告書を見ても「経常損益」「経常外損益」「繰越損
益」くらいしか知らなかったが、それで事足りた。リクルートから依頼さ
れて学生相手に「旅行産業の今」とかのテーマで講演したこともあった。
随分アバウトなことをしたものだが、若いから勢いがあったのだろう。

今は中共バッシングのために「七十の手習い」で経済学を勉強し始めた
が、水野和夫著「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」は難しくて歯が立
たなかった。経済学の素養のあるインテリ向けなのだろう。一方、野村総
合研究所(NRI)のサイトにあった「木内登英の Global Economy &
Policy Insight」はそこそこ理解できた。野村證券の顧客の多くは普通の
人だから「分かりやすく」書いているわけだ。

<木内 登英(きうち たかひで、1963年11月29日 - )は、日本のエコ
ノミスト。元日本銀行政策委員会審議委員。元野村證券金融経済研究所経
済調査部長>WIKI)。NRIには「証券会社エコノミスト、政策当局者の経
験を踏まえ、内外の経済・金融情勢分析、金融・財政政策評価、マーケッ
ト分析など、幅広いテーマで木内登英が解説します」とある。氏の論稿
「習近平体制下で顕著となった『国進民退』」2021/4/16から。( )内
は修一。

<中国当局は中国電子商取引大手のアリババ・グループに対して独占禁
止法違反で巨額の罰金を科すとともに、その傘下で金融プラットフォー
マー(GAFAなどネット上で大規模なサービス提供する企業)のアント・グ
ループに対して、当局の監視下に置く再編案を固めた。

プラットフォーマーに対する規制強化は、2020年末から急速に進み始め
たが、その底流には、習近平が長らく進めてきた、民営企業に対して国有
企業の影響力を高め経済活動に対する国家の統制を強化する「国進民退」
の動きがある。

国有企業の効率性の低さが長らく問題視されてきた中国では、1990年代
には、国有企業の民営化などの改革が政府によって進められてきた。しか
し、習近平体制となってからはその改革の勢いも落ち、逆に国有企業の強
化が図られている。「政府による経済の統制強化」の傾向が強まっている
のである。

習近平は(民間ではなく)「共産党の指導体制」こそが中国の「奇跡の
高成長」をもたらした原動力として、その維持、強化を志向している。さ
らに、米国との間で生じた激しい貿易摩擦によって、中国のハイテク製品
の製造に必要な半導体などの部品の海外からの供給が制約を受ける中、半
導体の内製化を一気に進めるなど、海外に依存するサプライチェーン(供
給連鎖、供給網)を見直して、できるだけ自国内で完結できるように、
「自力更生」を進める必要に迫られたのである。

こうした習近平自身の経済思想と外的要因の2つが重なり、政府・党の
影響力が直接的に及ぶ「国有企業を重視」する傾向が強まっていったので
ある。その反面、民営化などの国有企業改革は進みにくくなった。こうし
た傾向は「国進民退」と呼ばれている>

トウ小平の「改革開放」にブレーキをかけ、王政復古のように毛沢東式
の国有企業優先、共産党員だけが旨い汁を吸う、非効率で、孤立的な経済
へ戻そうというのが習近平の「中国の夢」なのだろう。中共版“アンシャ
ンレジーム=党員の、党員による、党員のための国家”再興だ。

確かに共産主義独裁体制は、トップの指示ですべてが素早く動くから効
率が良い。その半面、トップダウンの計画経済では「市場の今」に即応で
きないために無駄、無理、無謀が多くなり、人民のニーズについぞ応えら
れずにソ連は崩壊した。

共産主義経済は「勘定合って銭足らず」になりやすい。小麦1000トンを
モスクワに送れ、と中央が地方に命令する→ 不作や猫ババで800トンしか
集まらない→ 機関車が来る駅の倉庫は500トンしか収納できないから300ト
ンは野ざらしになる→ 機関車は待てど暮らせど来ない(修理するための部
品が届かないため)→ 雨が降って300トンは腐る→ どうにか送れたのは500
トンだが、書類上は1000トンにしてある。そうしておかなければ関係者す
べてが反逆罪で収容所送りになるからだ。

この話は殺人鬼スターリンに殺された殺人鬼トロツキーの論稿が元ネタ
だが、スターリンは2000万〜3000万人を、毛沢東は4000万人を餓死させ、
北の金3代は1000万人を餓死させているだろう。人民が餓死しても気候の
せいにするから独裁者は平気、反省なんてしないのが共産主義者の原点で
ある。カンカラ菅、鳩ポッポ、江の傭兵=河野洋平、村山・・・他国のこ
とを嗤えやしないが「国民は民度に合う為政者しか持てない」のは真理だ
ろう。

1945年からの戦後にユーゴスラビアのチトー大統領は共産圏ではいち早
くソ連式経済から脱退して(ソ連からすればユーゴを追放)「自主管理社
会主義」という「ボトムアップ」体制にし、多民族国家をまとめ、そこそ
こ上手くやって民生は安定していた。しかし、カリスマ的なチトー亡き後
はタガが外れて各民族は疑心暗鬼、昨日までの隣人を恐れ、やがて憎悪す
るようになり内乱勃発。1990年代以降はスロベニア、クロアチア、ボスニ
ア・ヘルツェゴヴィネ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアに分裂して
しまった。

習近平・中共は「社会主義独裁&市場経済」みたいな“いいとこどり”を
狙っているようだが、上手く行くかどうかはすこぶる怪しい。「中国版
『新しい資本主義』か――共産党の巧みな投資で蔚来汽車が復活」
Bloomberg 2022/2/7から。

<新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020
年前半、中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO)は破綻の瀬
戸際にあり、米テスラのライバルになると期待を寄せていたベンチャー
キャピタルや外国人投資家からも見放されていた。この時、米ナスダック
上場のNIOに手を差し伸べたのは中国共産党だ。

安徽省の省都、合肥市はNIO中核事業の株式17%を50億元(約910億円)
で取得。同社は幹部を上海から合肥に移し、上海から500km近く内陸に
入った合肥で増産を始めた。中央政府と安徽省も出資に参加した。民間企
業への規制と関与を強める習近平政権の特徴的な動きにも見えるかもしれ
ない。だがそう単純な話ではない。

NIOは21年の早い時期に初めて黒字に転換し、同年末までに9万台余りを
売った。合肥市は出資を通じて経営権を握ろうとするのではなく、株式取
得から1年以内に持ち株の大半を売却。ロンドンやニューヨークの民間投
資家のように、NIOの株価急騰に合わせ保有株を手放し、最大で5.5倍のリ
ターンを確保した。

合肥市トップの虞愛華・党委員会書記は昨年6月のテレビ放送されたイ
ベントで、「NIOへの投資でわれわれは遠慮なく稼いだ」と述べた。同社
創業者の李斌氏は「政府のために稼ぐことに戸惑いはない。人民のために
稼いでいる」と語った。

中国の資本主義はここ数年で一段と変化しており、地方政府が民間企業
の少数株主となる事例が増えている。合肥市はいわばパイオニアだ。1950
年代から科学研究の中心地だった合肥市は、巧みな投資により人口約500
万人の活気ある大都市に変貌。経済成長という観点からすれば中国メディ
アが「合肥モデル」と呼ぶ手法が機能しているようで、2020年までの10年
間、合肥の域内総生産(GDP)は目覚ましい伸びを記録した。

米シカゴ大学と中国の清華大学、香港中文大学の研究者は、中国のあら
ゆる登記企業3700万社余りを分析。これらの企業が最終的に6200万人、お
よび中央政府から市や村に至る約4万の公的機関・組織によって所有され
ていることが判明した。つまり中国の「資本家」総数は6200万ということ
になる。

主要起業家と国とのつながりは深まっている。19年時点で最も裕福な個
人所有者7500人(所有企業への投資資本の規模から判断)の半数強が、公
的機関が投資している1社以上を所有していた。

シカゴ大ブース経営大学院教授でこの調査プロジェクトに携わったチャ
ンタイ・シエ氏によれば、「完全な国有企業でもなく本当の民間会社でも
ない」企業がトレンドだ。「この曖昧な灰色の領域が今、中国で支配的だ
と私が考える企業構造だ」と同氏は話している>

日本で言う半官半民企業のよう。NTT、JR、JT、日本郵便、ゆうちょ銀
行、NEXCO・・・独占的で親方日の丸、首切りなし、待遇も悪くな
い・・・公共的な企業だから国がバックになって支えているわけだが、中
共の「国進民退」は「共産党員利権拡大」そのものではないのか。

対内的には「6億の貧困層の民生の向上」や、対外的には「自由で公
平、公正な通商」という国際ルールに近づける場面なのに、習近平一派は
「公共」を装って「社会主義独裁&市場経済」という、プーチン・ロシア
のような「利権経済」で低成長からの国威回復を狙っているようだ。

李克強総理が2021年12月23日に主宰した「国務院常務会議」では、貿易
の安定的発展の推進に向けた政策などについて討議が行われた。真家陽
一・国際貿易投資研究所 特任研究員/名古屋外国語大学教授「RCEPを中心
とした2022年の中国の通商政策」2022/1/14 によると、李克強らは現状を
こう厳しく危惧している。

<2021年の中国の貿易は急速に増加し、経済成長の安定に重要な貢献を
果たした。しかし、現在、貿易は不確定、不安定、不均衡要因の増加に直
面している。市場開放をさらに拡大し、困難に対する対応措置を打ち出
し、貿易の安定的発展を促進しなければならない。

RCEP(包括的経済連携協定、アジア・太平洋の11か国が加盟)は2022年
1月1日、正式に発効する。企業がこの契機を捉え、国際市場への参入競争
力を向上させ、貿易と投資の水準を高め、国内産業の高度化を図ることを
支援しなければならない>

G7など先進国や近隣諸国と対立する場面ではない、と政治的に閑職に追
い詰められた李克強(共産主義青年団派)は同じくアンチ習近平の江沢民
派(上海閥)に「習近平降ろし」共闘をアピールしたのだろう。効き目が
あるかどうかは分からないが、習近平は警察部隊と中共軍兵士の多くを農
村戸籍=低学歴=忠実の人材にしているらしいから、ルーマニア軍が独裁
者チャウシェスクを処刑したような武力での「習近平降ろし」はまず不可
能だ。米国によるピンポイント攻撃はあり得るが、現実的ではない。

習近平は「国進民退」「共同富裕」で党と貧困層(主に農村戸籍)の支
持を固め、アジア征服・軍事制覇で版図を拡大し、「偉大なる中国の復
興」を狙っている――これは間違いない。毛沢東と並ぶ、あるいは毛沢東を
超えるのが「習近平の夢」なのだから。

5年に1度開かれる今秋の中共党大会で3期目就任を狙う習近平一派と、
それを阻止する反習近平派の派閥抗争は表には出ないが、激烈な工作合戦
が進んでいるだろう。しかし「良い予感は外れる、悪い予感は当たる」か
ら、そんな中共の内紛を当てにはできない。日台・アジア太平洋諸国に
とって最大の危険要因である習近平一派を排除する、さらに諸悪の根源で
ある中国共産党を消滅させるために何をすべきか、EUを含めた中共包囲網
「アジア版NATO」の創設は「平和を愛する諸国民」の義務である。

   
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◆中国初の半導体製造装置

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月9日(水曜日)
      通巻7212号
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米商務省、上海マイクロを「輸出監視リスト」に追加
  中国初の半導体製造装置メーカーを米国が警戒
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 2月8日、米国商務省はエンティティリスト(輸出監視リスト)に
SMEE(上海マイクロエレクトロニクス)を加えた。追加リストは合計
33社となった。
 トランプ政権の中国制裁路線を引き継いだバイデン政権は、NY株式市
場からチャイナモバイルなど通信三社を含む十数の中国企業を排斥し、ま
たファーウェイなど軍に繋がりの深い中国企業との取引も禁止し、米国の
半導体製造メーカーのインテルなど中国に半導体を供給している企業に
は、輸出許可が必要とした。

 インテルは政府補助金を得て、新工場をアリゾナ州に造成するが、台湾
の「台湾積体電路製造股?有限公司(TSMC)も同州進出を決めてい
る。熊本県が誘致したTSMC工場は最先端のチップを精算するのではな
く汎用製品だ。
 
米国のエンティティリストには、ファーウェイ、ZTE、中国航天、
JHICC、SMICなどが含まれるほか、海外ではおよそ無名の中小企
業である杭州ゾンケマイクロエレクトロニクス社、湖南ゴケ、新HIC、
西安電気などが含まれる。

 問題はSMEE(上海マイクロエレクトロニクス)である。
 この企業は中国初の半導体製造装置メーカーで、半導体の自製、自給体
制を急ぐ中国にとっては極めて重要なベンチャー。米国はすぐに「監視リ
スト」に加えて警戒態勢を敷いたことになる。

 現在世界の半導体メーカーは日・米・オランダに集中しており、オラン
ドのASMLがトップ、米国アプライド、日本の東京エレクトロン、特別
仕様のソニー、キアノンなどがある。

業界筋はSMEEの技術ではまだ28ナノという、先端技術とは言えない
レベルであり、世界が競合しているのは7ナノの世界だから、気にするこ
とはないという。
      
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2327回】         
 ─英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港209)

   △
 彼女と広州に住む姪との手紙の遣り取りを「仲介」したことから、文革
期の中国とまでは拡大する積もりはないが、少なくとも広州地域における
庶民生活の一端を垣間見せて貰った思いだ。
曽妹を通して知った彼女と広州に住む親戚の「関係」は印象深い。

 或る日、日本に荷物を送ろうと梱包していると、「ドレドレ何をしてい
る」とばかりに近寄ってきた。それから梱包用に入手した厚手の紙を手に
取って、「これはなんだい?」。これで荷物を包み紐で縛って日本に送ろ
うと思うと説明すると、「お前は世間を知らない」とばかりにニヤニヤし
ながら、「お前も、しょせんは日本仔だ。知恵が足りないなァ。いいか
い、荷物というモノは紙ではなく布で包んで送るものに決まっている。そ
うすれば、荷物を受け取った相手は包んでいた布を使うことも出来るだろ
うに」

 「ハイハイ。だけど、ここまで梱包しちゃったから」と。
すると、「どうしようもないヤツだ。物事が解っていない」などとブツブ
ツ言いながら、向こうへ行ってしまった。

 そう言われれば彼女は時に洋服生地、時に何枚ものタオルを縫い合わせ
て作った大きな布で小包を梱包し、セッセと広州の親戚に送っていたっ
け。荷物の中身は多くは中国製の食用油であり、梱包した布もタオルも中
国製だったように思う。
沙田駅前の墟市で中国製の缶入り食用油や布やタオルを買って、広州の身
内に送っていた。つまり中国製品が香港に渡り、香港の人々に買われ、そ
れが中国にUターンして消費されていたことになる。

 曽妹は春節を1か月半ほど前にする時期になると、独り身の生活では使
い切れないほどの日用品を買い込んだ。毎年そうだった。そんな大量の
品々を、どうやって消費するのか。
 じつは毎年春節を挟んだ1か月ほど、彼女は家を空けることが常だっ
た。親戚と春節を祝うために広州に出掛けていたのである。

 その出で立ちがモノすごい。何枚も上着を重ね着し、ズボンの上にまた
ズボンである。モッコモッコに着ぶくれた姿で、様々な生活必需品を天秤
棒の前と後に振り分けて、勇躍と広九鉄道に乗り込む。
あの姿で、よく歩けるモノだと感心するばかり。春節を前にした広九鉄道
の車両が超着ぶくれした乗客ですし詰め状態になるのは、毎年のことだった。

 誰もが広九鉄道で羅湖まで行って、そこで深セン河に架かる橋を歩いて
渡り、深セン駅で広州行き列車に乗り込む。広州へ、広州へ。さらに広州
から親戚の待つ田舎へ、である。

 春節が過ぎてしばらくすると、彼らはUターンして香港に戻ってくる。
その姿は出掛けた時とは大違で、着の身着のままに近い。身につけていっ
た大量の衣服は脱いで、天秤棒で担いだ大量の日用雑貨と共にキレイさっ
ぱりと親戚に置いてくる。
あれほど大量の荷物を運んだ天秤棒にブラ下がっているものは、せいぜい
故郷特産の干した鶏、臘鴨、それに乾燥雪菜など。当時は、この程度でも
貧しい親戚からすれば精一杯のお礼だったはずだ。

 これでは出掛けた時の「勇姿」とは金銭的に釣り合いが取れないはずだ
が、なぜか彼らの顔はニコヤカ。曽妹にしても事情は同じ。疲れた様子を
みせはしても、2、3日が過ぎると、また以前のようなオ節介な曽妹に戻っ
ていた。

 当時の中国は四人組の絶頂期であり、孔子(儒教)や『水滸伝』への批
判運動が展開されていた。内外のメデイアにしても、表面的で公式的な中
国報道はあったにせよ、四人組政治の下での庶民の姿──この段階で、「上
に政策あれば下に対策あり」のメカニズムが動き始める──に関しては知る
ことはできなかった。だが幸いなことに、曽妹との日々から「下に対策あ
り」の「対策」の一端を窺うことが出来たわけだ。

 「上」が掲げる「自力更生」という「政策」に、「下」は香港の血縁か
らの手助けという「対策」で対抗した。

 国外の血縁によるカネやモノが文革時代の貧しく混乱した「下」の生活
を支えたなら、「下」による面従腹背式の「自力更生」では・・・アッパレ!
       
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読者の声  どくしゃのこえ   READERS‘ OPINIONS
  
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  ♪
(読者の声1) 第23回公開シンポジウム開催のお知らせ
靖国神社崇敬奉賛会では例年開催している公開シンポジウムを本年は、
ネット配信でも実施致します。
       記
第23回公開シンポジウム「生きるということ ━日本を守る。未来を拓く━」
【講師】  衆議院議員 高市早苗氏
      麗澤大学大学院客員教授・モラロジー道徳教育財団教授 ?
橋史朗 氏
      司会進行 ジャーナリスト 葛城奈海氏
【日時】  令和4年2月19日(土)
      14時 第一部 基調講演 高市早苗
          第二部 質疑応答
詳しくは下記をクリックしてください。【配信チャンネル】崇敬奉賛会公
式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCJWj--GyjMzw5xzT0l5YQWQ
(靖国神社崇敬奉賛会

  ♪
(読者の声2)ネットで第二次大戦関連の地図を検索していたら面白いも
のがあった。1943年12月のTIME誌による地図で[TURKEY at the
CROSSROADS]というもの。Google Earthのように地平線が丸くバルト海以
北は描かれない。
https://i.redd.it/x8n8ppqjzvf81.jpg
 ドイツは黒海に注ぐドナウ川沿いに勢力を伸ばし、地図でもチェコ、ハ
ンガリー、ユーゴ、ルーマニア、ブルガリア、トルコを勢力圏にしようと
したのが一目瞭然。もう一つポーランドからベッサラビア(ソ連時代はモ
ルダビア共和国、現在のモルドバ)を経て黒海に注ぐ川はドニエステル
川。河口のすぐ東はオデッサ、クリミア半島は目前である。ドニエステル
川のポーランドからベッサラビア周辺がガリツィアであり、イスラエルの
指導層のほとんどはガリツィアに行き着く。
 アメリカ国務省のブリンケンやヌーランドも元をたどれば東欧の出自で
あり、ウクライナは大統領も首相もユダヤ系だからロシアのガス代金の踏
み倒しなど当然、私欲の塊でウクライナが破綻しようがどうでもいいのか
もしれない。
アメリカのロシア非難は韓国の日本非難と同じく自分の悪だくみを相手に
投影しているようにも思える。
 TIME誌の地図に話を戻すと、地中海には英米連合軍、黒海にはソ連軍、
ブルガリアはすでに爆撃されている。欧州戦線では英米は戦略爆撃でドイ
ツを破壊したが、ベルリンまでの地上戦はソ連軍が主役。クリミア半島の
ヤルタで脇役だったチャーチルが東欧へのソビエト覇権を認めざるを得な
かったことがよくわかる。
ドイツのポーランド侵攻で始まったはずの戦争が、終わってみればロンド
ンのポーランド亡命政権など事実上なかったことにされた。ヤルタの密約
が戦後体制の基本となり、ロシアが第二次世界大戦の勝者を自認する根拠
なのだから、プーチンがクリミア半島を手放すことなどありえないだろう。
 現在とは地名や国境も異なっている。ギリシャのサロニカ(テッサロニ
キ)、トルコのスミルナ(イズミール)とも第一次世界大戦で戦略上の要
衝。ガリポリの戦いはチャーチルが失脚する原因としても有名。
 ギリシャは第二次世界大戦ではドイツの支配下となり、商業で栄えた
テッサロニキなどのユダヤ人は収容所へ送られた。収容所から生還した少
女の手記ではギリシャのユダヤ人とはフランス語が共通語。
収容所内のユダヤ人の序列はドイツ出身が上層、次いで東欧中心のドイツ
語話者、西欧などのフランス語話者がその下、ドイツ語もフランス語も話
せないのが最下層となる。戦争のたびに国境が変わるのだからユダヤ人が
語学に強いのも当然か。
 トルコの戦略上の重要性は100年前から変わらず、着々と軍事力を強化
する様はオスマン帝国の再来を目指しているようだ。
リビアやシリアに介入し、ドイツにトルコ人移民を送り、さらにアラブの
難民を送り込む。100年単位で見れば、欧州ではトルコ系やアラブ系政治
家が台頭しイスラム教徒の繁殖力で欧州を乗っ取るのかもしれない。
  (PB生、千葉)


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重 要 情 報
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身 辺 雑 記
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12日の東京湾岸は快晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60台に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎
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