岩本宏紀(在仏)
イギリスの日本人学校の生徒が書いた作文が、読売新聞欧州版に掲載されていた。こんな内容だった。
「犯罪をおかした人の名前に「生」「清」「美」といった字が入っている。
健康で立派なひとになるよう願いを込めて名付けたはずなのに、犯罪者として報道された我が子の名前を見る親の辛さはいかばかりだろう。」
鋭い視線をもっと小学生だと感心した。
ぼくの名前はちょっと凝っている。「宏」は訓読み、「紀」は音読み。「ひろき」と正しく読んでくれるひとはまずいない。必ず「ひろのり」または「コウキ」と読まれる。名付け親は祖父、一生(イッセイ)である。ちゃらんぽらんな人だったらしいが、初めての男の孫だったので、真剣に考えてくれたのだろう。
マルチナ・ヒンギスのおかあさんはチェコのテニスの選手で、マルチナ・ナブラチロワと同世代に活躍した人だ。自分の娘もナブラチロワのようになって欲しい、と願ってマルチナと名付けたという話は有名だ。
タイガー・ウッズの場合はもっと深い事情がある。彼の父親はベトナム戦争で戦友に命を助けられたが、その恩人の居所がわからなくなった。なんとか見つけ出して礼を述べたい。そこで生まれてきた息子に恩人の名前、タイガーを付けた。
息子はきっと偉大な男になり、世に知られるようになるだろう。そうすればこの珍しい名前を目にした恩人が、連絡をとってくれるかも知れないと考えた。
残念ながら父親は数ヶ月前にこの世を去り、恩人と再会することは叶わなかった。
夏目雅子が三蔵法師役で人気を博したころ、ゴダイゴというグループの
「ビューティフル・ネーム」がヒットした。
「名前、それは燃える命 ひとつの地球に 一人ずつひとつ
Every child has a beautiful name, beautiful name, beautiful name
呼びかけよう名前を beautiful name, beautiful name」
苗字は生まれる前から決まっているが、名前はだれかが付けてくれなければ決まらない。おかあさん、おとうさんの祈り、おばあさん、おじいさんの願いの結晶が名前だと思う。
だからぼくはひとの名前は必ずフルネームでおぼえるようにしている。
2007年07月24日
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