2022年09月21日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン


わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6266号
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   2022(令和4年)年 9月21日(水)


      折れた凌雲閣、無事だった浅草寺:鵜野光博

 戦争への備えはイスラエルに学べ:シーチン”修一 2.0

     本来は本日から休載の予定だったが:前田正晶      

       【風を読む】悔やみきれぬ思い:別府育郎

       これからの中国とのつきあい方:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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 折れた凌雲閣、無事だった浅草寺 
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            鵜野光博

【浅草物語】関東大震災 


秋に色づき始めたイチョウと、散策する修学旅行生の姿が目立つ9月の
浅草寺(東京都台東区)。99年前の9月、この境内は関東大震災の被災者
であふれていた。

「富士山を中心として関東の天変地異」「東京市中大惨状を呈す」「浅草
十二階倒壊し 火災四十八箇所に及ぶ」

大正12年9月2日付の大阪朝日新聞は、1面トップでこう報じた。地震発生
は1日午前11時58分。東京市内の新聞社の大半は火災などで発行不能とな
り、大阪発行の同紙は混乱の中で伝わってきた情報を刷った。見出しに浅
草十二階こと「凌雲閣」の倒壊がとられたのは、それが日本一の高塔で、
東京の象徴だったからにほからならない。

凌雲閣は8階から折れ、展望台付近にいた見物客十人あまりは1人を除い
て死亡。続いて起きた火災で浅草区の96%が焼失し、死者と行方不明者は
約3千600人に及んだ。その中で浅草寺は焼け残った。無残に折れた塔と、
奇跡的に無事だった観音様。これを「物語」と呼ぶには凄惨(せいさん)
すぎる現実が、震災によってもたらされていた。
[逃げ惑う人々、六区焼失]

「背負はれるだけ背負つてあえぎあえぎ走る人、子供を真中に夫婦で引き
ずり走る人、子供を両脇に引つかかへて走る人、老人や病人を背負つて走
る人、けつまづいて後ろから来る人に踏みにじられる人(中略)本能的に
生きようとするその人自身を超越した不思議な力で皆走つてるのですか
ら、其人々の顔の緊張さ、逆上した目は血走つて釣り上がり、足は全く地
についてはゐません」

火に追われ、隅田川の岸を逃げる人々の様子を、厩橋税務署の官吏が伝え
ている(内務省「大正震災誌」)。

昼食前で火を使う時間の揺れが被害を広げたのはよく知られている。た
だ、凌雲閣に近い浅草公園六区の興行街では、民家とは異なる情景があっ
た。エノケンこと榎本健一が、伝聞ではあるが六区の金竜館の観客と役者
の様子を書いている。

「皆んな命からがら戸外に逃げだしたが、出し物がカチカチ山だから、逃
げる観客の中に大きなタヌキやウサギも混っていた。(中略)他の芝居小
屋からも、カツラをつけないお姫様やら、お侍、毛ズネまるだしの女形な
ど、とんだ恰好の役者も混じって六区はたちまち大混乱」(自伝「喜劇こ
そわが命」)

榎本の筆致は軽快だが、揺れから半日過ぎた2日午前1時ごろには、六区
も炎に包まれる。動物園としても人気があった浅草花屋敷では、火におび
えた猛獣が暴れ出すのを防ぐため、トラなどを射殺した。東京の娯楽の中
心だった街は、混乱と猛火の中に消えていった。
[イチョウが守った?]

逃げ惑う人々が向かった先の一つが、浅草寺だった。

ここから隅田川を隔てて徒歩約20分の場所に、約3万8000人ともされる
最大の死者を出した陸軍被服廠跡があった。逃げ込んだ人々の多くが火災
旋風の犠牲となった。浅草寺の境内も大量の避難者で埋め尽くされ、炎上
すれば大惨事は免れなかった。

演歌師で「パイノパイノパイ(東京節)」作詞者の添田知道は、上野公園
で朝を迎えた。

「九月二日の夜が明けて、台東一望の焼け野原のなかに見た。十二階の半
折と、観音堂の無事の甍(いらか)。すぐ堂裏の銀杏(イチョウ)の大木
まで焼けたが」(随筆「子どもの時から」)

当時の浅草寺支院住職、壬生雄舜(みぶ・ゆうしゅん)は寺誌「大無畏
(だいむい)」で、「観世音菩薩の妙智力」のおかげと説くかたわら、
「境内の大きな公孫樹(イチョウ)が水気を吐き、自然防火壁にもなっ
た」と指摘している。「浅草区史 関東大震災編」も、第五消防署浅草公
園隊の「必死の努力」に触れた後、「高さ五十尺以上の公孫樹の境内に多
くありし事」を焼け残った理由に挙げる。ほかに浅草公園が整備された明
治17年に近くの建物を取り払い、周囲6カ所に水道消火栓があり、避難
者が一致協力して延焼した火を消した−などと列挙している。

添田は「下町ならではのしゃれ」と断りつつ、こんな人々の声を伝えた。
「そばに団十郎の『暫(しばらく)』の銅像があった。これが千束方面か
ら迫って来る炎の舌に手をひろげて『しばらく、しばらく』と構えていた
から、御堂が無事だったんだ」
[「震災めぇ」は遠く]

凌雲閣は3週間後の9月23日に残った部分が爆破、解体された。物理学
者の寺田寅彦は、残骸の山に数人が駆け上がり「バンザーイ」と叫ぶのを
見た。

「明治煉瓦(れんが)時代の最後の守りのように踏みとどまっていた巨人
が立ち腹を切って倒れた、その後に来るものは鉄筋コンクリートの時代で
あり、ジャズ、トーキー、プロ文学の時代である」(随筆「LIBER 
STUDIORUM」)

爆破は復興の第一歩でもあり、復興は時代の転換点でもあった。その一方
で、評論家の神山圭介は「浅草の百年 神谷バーと浅草の人びと」で、当
時の年配者の口癖に「震災めぇ(震災前)は、こんなじゃあなかったぜ」
があったと紹介し、「失われてしまったものへの切ない哀惜の響きがあっ
た」と書く。

空襲の戦災をくぐり抜けた浅草寺の神木とされるイチョウ=15日、東京都
台東区浅草(鵜野光博撮影)

都内で被災した詩人の堀口大学は、「昨日だれも知らなかつた/地震が
来た/今日だれも知らない/明日何が来るだらう/人間よ 人間よ」と詠
嘆した(「人間よ」)。浅草寺では無事の御利益にあやかろうと参拝者が
一層増えたが、昭和20年3月の東京大空襲では全焼。その焼け跡を残すイ
チョウが現在も境内にある。堀口が言う「今日だれも知らない」明日を、
私たちは今も迎えている。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

産経web 令和4年9月19日採録

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戦争への備えはイスラエルに学べ
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       “シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」92/通算524 2022/9/19/月】振り返れば小生の
「ゴミ出し」歴は、母の介護もあってサラリーマンをリタイアし専業主夫
になった2009年からだから13年になる。母を看取った2012年以降はのんび
り「余生」を酒と共に過ごしていたが、2016年にアル中で発狂して以来、
2Fキッチンから3Fペントハウスに追放され、今はゴミ出しや営繕は小生の
仕事、料理は時々の趣味・娯楽になった。

今年から脳ミソは随分クリアになってきた気がするが、何となく他者に
脳みそを乗っ取られ、変身(変心)しつつあるのではないかという感じも
する。「男子、三日会わざれば刮目すべし」、プラスならいいが、多重人
格(解離性同一性障害)だったりして・・・

15日の木曜日はプラスチック系のゴミ出し日。二か領用水路沿いのゴミ
集積場に行ったら、♪赤い花なら 曼珠沙華・・・真っ赤な彼岸花が咲いて
いた。満洲の壮大な原野を思い出させる。せめて満洲が残っていたらとセ
ンチメンタルな気分になったが・・・勝ち負けは兵家の常、今度は勝つ!
 ウクライナも「今度は勝つ!」と頑張っている、日台も頑張ろうぜ!

17日は久し振りに近所の「緑化センター」を散歩し、土も水遣りも不要
な「エア・プランツ」に大いに感動した。室内で放っておいても育つとい
うのだ。

<土が不要でも育つことや、場所を選ばず飾れることもあって、エアプ
ランツ(ティランジア)は人気です。成長はゆっくりのため、じっくりと楽
しむにもぴったりの植物。ゆっくりといえど、きちんと生長し、お花も咲
き、育てる楽しみもあります>(LOVEGREEN 植物と暮らしを豊かに)

しかし、冷静になって考えてみると「手間がかからない」というのは是
か非か・・・カミサンはいくつもサボテンを育てているが、最近は「花が
咲かない、面白くない!」とぶーたれることがある。「俺のことか?」と
思わないでもないが、手間暇がかかるからこそ開花した時の感動があるの
ではないか。

翻って思うに、ヒーヒー言いながら育てるのが子育ての醍醐味で、それ
を面倒だ、結婚しない、子供はいらない、と言うのは、人間として「どう
なのだろう」と小生は思うのだが・・・

園内の休憩室はボランティアのヂヂババにより来るたびにオシャレに
なっているが、本棚に幼児向けのウクライナ民話「てぶくろ(手袋)」が
あった。版元の福音館によるあらすじは――


<【動物がみんなで入って、手袋の中は満員!】おじいさんが森の中に手
袋を片方落としてしまいます。雪の上に落ちていた手袋にネズミが住みこ
みました。そこへ、カエルやウサギやキツネが次つぎやってきて、「わた
しもいれて」「ぼくもいれて」と仲間入り。手袋はその度に少しずつ大き
くなっていき、今にもはじけそう・・・

最後には大きなクマまでやって来ましたよ。手袋の中はもう満員! そ
こにおじいさんが手袋を探しにもどってきました。さあ、いったいどうな
るのでしょうか?>


「大きなクマ」・・・ロシアだろう。ウクライナにとってロシア民族はそ
の帝政時代から抑圧者、厄介者だった。1917年のロシア革命以降、レーニ
ン&トロツキーはウクライナの反ロシア勢力(小さな政府志向)を叩きま
くっていた。ウクライナの穀倉地帯が魅力的だったこともある。1921年頃
にウクライナが屈服するとロシア人が入植してきた。「てぶくろ」の挿絵
を描いたエウゲーニー・M・ラチョフもその一人だった。

<ラチョフはシベリアのトムスク生まれ。1924年クバン美術師範学校に
入学、さらに1928年からキエフ(今のキーウ)美術大学デザイン学部に
入って学び、在学中から挿絵画家として活動を開始した。1997年モスクワ
で没。

ラチョフの作品には動物が登場する民話や寓話に挿絵を描いたものが多
い。ライプツィヒ国際図書展銀メダル、ロシア連邦共和国人民芸術家など
国内外で多数の賞を受賞>(WIKI)

「てぶくろ」初版は1950年モスクワで刊行され、日本では福音館書店が
1965年に発刊した。「福音館は石川県金沢市のキリスト教系書店で、日本
メソヂスト教会(カナダ・メソジスト教会と合同)のカナダ人宣教師が伝
道を目的として設立した」という。

小生は「てぶくろ」を読んで、「大きなクマは共産主義独裁帝国ソ連の
ことだ」と直感したが、ソ連が自滅した今の人食いクマはもちろんプーチ
ン・ロシアである。

世界の嫌われ者、プーチン&習近平の戦狼ダーティペア。プーチンはソ
連への回帰を、習近平は文革時代への回帰を妄想している。痴呆症か狂気
だ! 猟友会の出番だが、声はすれども姿は見せず、ほんにお前は屁のよ
うな・・・米欧日は小粒のリーダーばっかり、がっかり、オーラが感じら
れない。

まあ、他者のことは言えやしないが・・・小生の以前の予測では、習近
平は遅くとも秋の党大会前に台湾&尖閣諸島侵略を始めるはずだったが、
プーチンが2月からウクライナ侵略を始め、極東におけるロシア軍の戦力
支援が期待できそうもないこと、異常気象で穀倉地帯の南部が大打撃を受
けたことから予定を変えざるを得なかったようだ。

ブルームバーグ9/5は「異常気象が重要な収穫時期にある中国の農作物
市場に混乱をもたらし、干ばつと過剰な雨量に交互に見舞われたピーナッ
ツは被害を受けた作物の一つ。四川省はこの60年で最悪の干ばつを経験
し、中国中部および南西部は猛暑、北東部は洪水に見舞われた」と報じて
いる。

空想から科学へ、今は科学から空想へ、神さま、どうか異常気象で中露
に鉄槌を!と祈りたい気分だ。

危機の時代には優秀な論客が現れるというが、勝股秀通氏に期待した
い。国家基本問題研究所(JFSS)によると氏は、

<千葉県生まれ。1983年に読売新聞社に入社。北海道支社などを経て東
京本社社会部。93年から防衛庁・自衛隊を担当。99年には初の民間人とし
て防衛大学校総合安全保障研究科を修了。ルワンダ難民支援、東チモール
PKO、インド洋給油活動、ソマリア海賊対策など自衛隊海外任務を取材。

編集委員や解説部長兼論説委員などを経て、2015年4月から日本大学総
合科学研究所教授、2016年4月から日本大学危機管理学部教授。JFSS政策
提言委員。著書に『自衛隊、動く』(ウェッジ)、『検証 危機の25年』
(並木書房)など>

読売出身なら信頼できる。勝股氏の「緊迫の台湾海峡 本当に日本は国
民を守れるのか」(ウェッジ2022/8/24)は秀逸だった。以下、長いが転
載する。読む価値あります!

<「我々は国に見放された」――。これは1996年3月、台湾初の総統選挙
を巡って、中台間で軍事的緊張が高まった第3次台湾海峡危機に際し、当
時、日本最西端の沖縄・与那国島の町長であった尾辻吉兼氏(故人)が、筆
者のインタビュー取材に対し、真っ先に発した言葉だった。

空には中国軍機が飛び回り、目と鼻の先の海にはミサイルが撃ち込まれ
た。「国境の守りは、国の守りそのものではないのか」との思いから、尾
辻氏は町議時代、何度も政府に島への自衛隊誘致を陳情してきたからだ。

それから20年後の2016年、与那国島に初の自衛隊部隊である陸自沿岸監
視隊(隊員160人)が配備された。そして今回、ナンシー・ペロシ米下院議
長の台湾訪問で緊迫化した台湾情勢に即応するように、自衛隊は護衛艦や
哨戒機などを出動させ、米軍と連携しながら周辺海空域の警戒監視にあ
たった。

20年前と比べ、国境の守りに対する政府の意識が変わったのは確かだ。
だが現状で、本当に国民を守ることができるのだろうか。そして、私たち
は「国から見捨てられていない」と言えるのだろうか――。ペロシ訪台に反
発する中国の激しい軍事演習、ロシアによるウクライナ侵略から、それら
の疑問を検証することが本稿の目的である。

【「衝撃と畏怖」ではじまる現代戦】8月4日に始まった中国の軍事演
習。台湾を包囲するように6カ所の演習海空域が設定され、中国軍は福建
省などの基地から、DF-16などの弾道ミサイルを次々と発射させ、多連装
ロケットランチャーからは、台湾本島を直撃できる射程500kmのロケット
弾を続けざまに撃ち出す映像がテレビで公開された。

防衛省によると、発射を確認した弾道ミサイルは9発(台湾は11発と公
表)で、台北市上空などを飛翔しながら台湾東部の海域に着弾、このうち
の5発が沖縄・波照間島や与那国島近くに広がる日本の排他的経済水域
(EEZ)内に落下した。弾道ミサイルやロケット弾の発射に続き、5日以降は
連日、中国空軍の戦闘機や爆撃機など30機以上が、台湾の基地や空港など
重要施設への攻撃を想定したとみられる訓練を実施した。

これら演習で見せた攻撃の流れを、ロシアのウクライナ侵略と重ね合わ
せてみる。

侵略初日の2月24日、ロシア軍は首都キーウ(旧キエフ)を含む複数の都
市に対し、ミサイル攻撃を敢行、標的としたのは、ウクライナの軍事施設
のほか、集合住宅や病院、学校などだ。国連によると、侵略から1カ月、
原子力発電所への砲撃を含めロシア軍の非人道的かつ無差別攻撃は激しさ
を増し、医療施設だけでも43カ所が攻撃され、子ども90人を含む1035人の
民間人が死亡したという。しかし、これは確認できた数字であり、実際の
犠牲者数は、3〜5倍に達すると指摘している。

実は、米英軍が2003年に行ったイラク戦争でも、開戦初頭の段階で、米
英軍はフセイン大統領やその親族を含むイラク指導者層の所在地と、イラ
ク軍の指揮・通信機能だけを標的にミサイル攻撃と空爆を集中、わずか3
週間でイラク政権を崩壊させている。

敵の弱点を集中的に攻撃し、相手の度肝を抜く――。これは20世紀前半の
英国人戦略家リデル・ハートが、敵の戦力そのものをせん滅するのではな
く、心理的な衝撃、つまりショックを与えることを目的とした「間接アプ
ローチ戦略」を唱えたのに通じる手法だ。まさに、ミサイルなどの精密誘
導兵器を中心とする現代戦は、中国の軍事演習やウクライナ侵略からわか
るように、狙った標的に対する「衝撃と畏怖」そのものだ。

【高まるサイバー攻撃と「認知戦」】ペロシ訪台の直前に公表された
2022(令和4)年版『防衛白書』では、台湾側の分析として、中国による
台湾侵攻のシナリオが初めて記載された。中国は演習名目で軍を中国沿岸
に集結させ、偽情報を流布させる「認知戦」を行使し、台湾民衆のパニッ
クを引き起こした後、ミサイルの発射とサイバー攻撃で重要施設を攻撃す
るという流れが示されている。

まさに今回の軍事演習は、分析通りのことが行われていた。台湾総督府
によると、公的機関に対するサイバー攻撃は、過去最多だった時の23倍と
いう膨大な規模の攻撃が確認され、攻撃に使われたIPアドレス(ネット上
の住所)は、中国やロシアが多かったという。8月5日付けの読売新聞によ
ると、台湾外交部や国防部のウェブサイトが一時ダウンしたほか、市民に
身近なコンビニの電光掲示板が至る所で乗っ取られ、「ペロシは台湾から
出ていけ」という文字が表示されたと伝えている。

これらの事実から日本が導き出さなければならない教訓は、ミサイル攻
撃とサイバー攻撃に対する強固な防衛体制の構築であることは明らかだ。
併せて、ミサイル攻撃から国民を守るシェルターの設置など、国民の避難
や保護を円滑に実行できる体制を早急に整えることにほかならない。

【迷走するミサイル防衛】北朝鮮の核とミサイル開発への備えとして、
日本は2004年に弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を開始した。日本
を標的に飛翔する弾道ミサイルを、洋上のイージス艦がSM3ミサイルを発
射し、大気圏外の宇宙空間で迎撃、撃ち漏らした場合は、地上に配備する
PAC3ミサイルが破壊するという2段階の防衛システムだ。

しかしその後、北朝鮮がミサイル発射を繰り返すようになり、虎の子の
イージス艦がミサイルを待ち受けるだけの“砲台”となってしまったため、
政府は17年、同じ能力を持つ「イージス・アショア」、いわゆる陸上配備
型イージスの導入を決め、24時間365日連続したミサイル防衛体制の確立
を目指してきた。ミサイル対応に専従する海上自衛隊の負担を減らし、
イージス艦を機動的に運用するのが目的だったが、20年6月、異変が起きた。

当時の河野太郎防衛相が突如、イージス・アショアの配備停止を決定し
たからだ。迎撃ミサイルを発射した後に、燃え尽きたブースター(ミサイ
ルの推進装置・重量約200キログラム)が発射地周辺の住宅地に落下する恐
れがあり、これを防ぐにはミサイルの改修に2000億円の巨費と10年の歳月
が必要だというのが理由だった。

だが、迎撃ミサイルを発射する事態とは、ミサイルが日本に着弾する恐
れがある時だ。弾頭に核兵器が積まれていれば、広島と長崎に続く第三の
被爆地が現実のものとなる国家危機にもかかわらず、極めて限定的な住民
被害が優先されるとは……。説明に耳を疑ったが、計画中止の口実に過ぎな
いことも明らかだった。

なぜなら、ブースターの落下が理由であれば、改修など不要な発射適地
を探せばいいだけだ。沿岸の埋め立ても可能だ。何より住民被害を理由に
するなら、地上配備のPAC3ミサイルも同じだからだ。

結局、代替地を探すこともせず、半年後の20年12月、イージス・アショ
アに代えて、イージスシステムを搭載する2隻の艦船を建造することが閣
議決定されてしまった。ミサイル防衛が迷走しはじめたと言っていい。

理由はいくつかある。安価な弾道ミサイルを超がつくほど高価なミサイ
ルで迎撃する費用対効果の視点がその一つ。加えて「弾道ミサイルを待ち
受けるだけでいいのか」と安倍晋三首相(当時)は、ミサイル防衛そのもの
を白紙的に再検討することを指示していたからだ。

【陸上イージスの再検討も俎上に】ミサイル防衛の白紙的再検討――。そ
の延長線上で長射程ミサイルの保有など、かつて敵基地攻撃能力と呼ばれ
た“反撃能力”についての検討が進んでいる。

だが、イージス・アショア導入を決めた大きな理由は、海自の負担軽減
だったはずだ。少子化で自衛官への新規応募は減り続け、そのうえ海自の
水上艦勤務は不人気職種の代表格だ。新たに建造する2隻の艦の運用をど
うやりくりするつもりなのだろうか。

最近の北朝鮮のミサイル実験でも明らかなように、ミサイル技術は高度
化し、旧来のBMDシステムだけで守れないのは事実だ。日本が衛星や電磁
波など使って迎撃能力を高め、同時に反撃能力を向上させておくことは必
須である。

だが、台湾有事を考えれば、中国が保有し、日本を射程内とする1600発
に上る短・中距離弾道ミサイルの脅威への備えは別だ。まさしく、今そこ
にある危機だからだ。

政府が白紙的に再検討してきたのであれば、その内容を国民に説明する
のは当然だが、中国と北朝鮮、ロシアというミサイル強国と対峙し続ける
日本が、安定して運用可能なミサイル防衛として、陸上イージスの再検討
も選択肢の俎上に載せるべきではないだろうか。

【サイバー攻撃できない足かせ】ロシアは2月、サイバー攻撃でウクラ
イナの変電所に被害を与えた後で軍事侵略に着手し、中国の8月の軍事演
習でも、演習開始前に台湾総督府や国防部、各地のコンビニなどへのサイ
バー攻撃が仕掛けられていた。「次の戦争はサイバー空間から始まる」と
の指摘は、もはや常識であり、武力攻撃前の平時の対応こそ重要なはずだ
が、日本にはさまざまな足かせがあって、ほぼ何もできないのが現状だ。

最大の足かせは「専守防衛」という呪縛だ。敵国からのサイバー攻撃を
「武力攻撃」と認定できるまで、自衛隊はサイバー攻撃ができない。しか
も、政府が反撃可能な事例としているのは、1)原子力発電所の炉心溶融
(メルトダウン)、2)航空機の墜落、3)人口密集地の上流にあるダム放水
――の3事例だ。これではミサイルや空爆などによる被害と同じような物理
的損害を受けるまで手も足も出せないということだ。

その上、憲法21条「通信の秘密の保護」により、自衛隊であっても、攻
撃元のサーバーに侵入しようとすれば、「不正アクセス禁止法」に抵触す
る可能性があり、ウイルスを作成すれば刑法の「不正指令電磁的記録罪」
(ウイルス作成罪)に問われる恐れがある。

18年末に閣議決定された「防衛計画の大綱」で、自衛隊が敵からのサイ
バー攻撃を「妨げる能力」を持つことが明記され、サイバー防衛隊は22年
3月、540人規模に拡充された。サイバー攻撃専門部隊が約3万人という中
国や北朝鮮の約6800人と比較されるが、これだけの足かせがあっては、単
に人を増やせばいいという問題ではない。

米国では、サイバー軍が軍事システムだけでなく、国家の重要インフラ
のシステム防護を担っており、日常的に他国のシステムを監視し、米国へ
のサイバー攻撃を探知した途端に反撃できる体制を取っている。それでも
サイバー攻撃を防ぎきることは難しいという。

これに倣えば、日本は急ぎ、「専守防衛」では対処できない現実を認
め、サイバー攻撃への備えを根本から見直す必要がある。最も重要なこと
は、相手のサーバーに入り込んで発信源を突き止めることであり、平時か
ら自衛隊に国家の重要インフラ防護に関わらせることを含め、国会は立法
府としての責任を果たさなければならない。

【避難場所整備のため「被害見積り」を公表せよ】ロシアのウクライナ
侵略以降、ミサイル攻撃に備えて避難できる場所として、地下鉄の駅舎な
どを指定する自治体が相次いでいる。6月1日現在、大阪市や仙台市、東京
都など409の地下鉄駅が指定され、地下街などを含めれば全国で436カ所に
上っている。昨年末に比べ、数字の上では3倍以上と急増しているが、安
全性は「?」だ。

なぜなら、ウクライナの首都キーウの地下鉄では、市民1万5000人が1カ
月以上も避難生活を続けていることが報じられたが、それは第2次世界大
戦後、駅の通路やホームなどを100mの深さに設けるなど、「核シェル
ター」として整備してきたからだ。それに比べ、国内で最も深い駅は都営
大江戸線「六本木駅」の42mで、各自治体が指定している地下鉄駅の多く
は深さ20〜30mほどしかない。

そもそも国民保護法に基づき、全国の自治体が指定する避難施設は約10
万カ所に上るが、そのうち地下施設は増えたといっても2000カ所にも満た
ない。しかも、台湾有事が勃発すれば、戦域内となる沖縄・南西諸島の
島々には地下施設はほぼゼロだ。

政府は25年度末までに、鉄筋コンクリートの構造物などで造られた強固
な緊急避難施設を増やす方針だが、その前に防衛省は、弾道ミサイル攻撃
による被害見積りを公表すべきだろう。弾頭に核兵器が積まれていた場合
と通常兵器の場合とでは、被害に極端な違いはあるが、ミサイル攻撃によ
る被害見積りが公表されなければ、必要な避難施設の数や構造について議
論することも、効果的な住民避難の訓練すらできないと思うからだ。

ウクライナ侵略でロシアは核の使用を示唆し、中国が保有する弾道ミサ
イルの多くは核兵器の搭載が可能だ。こうした現実を前に、遠方に避難す
ることができない島国の日本において、政府が国民を守るために、避難場
所を地下に確保することは必須なはずだ。

迷走するミサイル防衛と足かせだらけのサイバー攻撃、そしてシェル
ターなき国民保護。列挙した通り、いずれも問題は山積している。政治の
不作為で現状が放置される限り、国民はすでに見捨てられているといった
ら言い過ぎだろうか>(以上)

課題山積・・・「大丈夫か、ニッポン!?」の気分で戦意高揚にはなら
なかったが、政治・経済・軍の優秀な頭脳と行動力を動員して大車輪で頑
張ってもらうしかない。

論稿にあった「敵の弱点を集中的に攻撃し、相手の度肝を抜く(戦意を
喪失させる)」は興味深かった。考えてみれば日常生活でもよくある手
だ。大声で怒鳴りつけると中国人は一瞬「利」を考えて、「利」であれば
指示に従うが(ドライ?)、日本人はたとえその場では指示に従っても恨
みに思い「いつか報復してやる」という陰湿(ウェット?)な面が結構あ
るのではないか。昔から「忠臣蔵」とか仇討ちが大好きだ。

1945年の敗戦以来、米国占領下にある日本は安全保障の原点「攻撃は最
大の防御」を米軍に委ねて「専守防衛」という体制で80年間近くもやって
きたから、それを今さら改めるのはなかなか難しい。まともにやれば30年
くらいはかかるのではないか。その頃に日本が存続しているかどうかもす
こぶる怪しい。スポーツじゃあるまいし「準備ができてから攻撃してね」
と中露北にお願いするのか? お話にならない。

一番現実的なのは「核武装」である。人口わずか860万人の小国のイス
ラエルが敵性国家に囲まれているのに存続しているのは、徴兵制による通
常兵力16万8000人、さらに予備役40万8000人がおり、総動員時の兵力は57
万6000人にも達する戦力を備えているからだ。その上に「核兵器を持って
いるらしい、持っているはずだ、持っていないはずはない」と恐れられて
いるからだ。

徴兵制+核武装=安全。コストパフォーマンスも高い。ユダヤ人がイス
ラエル国家再建に乗り出したのは、日露戦争で日本が超大国ロシアに勝っ
て、捕虜となって日本に収監されたロシア兵のうち400人のユダヤ人が
「為せば成る」と勇気づけられたことも寄与している。その後の大戦でも
日本はユダヤ人をできる限り支援した。

多神教の日本は宗教的な偏見はあまりないのがいい。今、ウクライナで
対露戦を指揮しているゼレンスキー大統領など幹部はユダヤ人が多いと聞
く。イスラエルに学ぶことは多い。以下次号で考えていきたい。


 
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本来は本日から休載の予定だったが
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             前田正晶


昨19日夜のPrime Newsに出ていた大串博志の品性が余りにも下劣で卑し
かったので、間もなく病院に向かう前に彼と立憲民主党に対して一言述べ
ておきたくなった。

彼が繰り返し主張していたことは「立憲民主党の泉健太以下執行役員が国
葬を欠席するのは、岸田総理の姿勢が不実であり、何を訊いても「ゼロ回
答」では」だった。同じゲスト出演の慶応大学教授の松井孝治氏が、国会
対策委員会等々において水面下で自民党と折衝しなかったのかであると
か、閉会中審議で岸田総理に問い質さなかったのかとの質問に対しても
「岸田総理の態度が不誠実」であるとか「ゼロ回答」を理由に挙げて執拗
に欠席を正当化していた

「なるほど。如何にも民主党以来の彼らの体質だな」と思わせてくれた。
だが、品性下劣だと指摘する根拠は「国の為に8年の長きにわたって尽く
してこられた方が亡くなって、その功績を称えるための国葬を、自分たち
の言い分に対して『ゼロ回答』だった姿勢が気にくわないから欠席する」
と言うのでは死者に対する敬意と、ねぎらいと、感謝の姿勢を示す気には
なれないという亡くなった方を弔うことをしないという卑しさだけが際
立っていると聞こえた。

彼は野田元総理が参列するのは「同じ総理大臣を経験されて、重圧の下に
責務を果たされた者同士の弔意を示すのだし、執行役員でもないのだか
ら・・・」と嘯いたのだった。大串博志の東大法学部からUCLAでの修士号
取得という高学歴と、大蔵省勤務だったいう輝かしき職歴にも拘わらず、
この程度の品性かと思う時に、こういう連中には政治を任せておけないな
と、あらためて痛感した。

彼ら立憲民主党は故安倍晋三元総理を何処まで貶める気かと、暗澹とさせ
られた。入院前の精神状態に悪影響がありそうな一時だった。


           
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【風を読む】悔やみきれぬ思い
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        論説副委員長・別府育郎



安倍晋三元首相が選挙遊説中にテロリストの凶弾に倒れ、命を落としたこ
とは、日本の警察史上に残る最大級の痛恨事である。

警察庁は事件の検証結果を公表し、安倍氏の背後から容疑者の接近をやす
やすと許した杜撰(ずさん)な配置や、警備担当者間の連絡の不備、銃器
による殺意を想定外としていた致命的な緩みなどを指摘した。

安倍氏に同行した警視庁警備部の警護課員(SP)は1人だけだった。報
告書は、現役首相や海外の要人以外は警護警備計画を都道府県警任せとし
てきた警察庁の責任も大きいと指摘した。

「適切な対応があれば結果を阻止できた可能性が高い」とされた結論は、
安倍氏亡き後に聞いてもただただむなしく響く。

どんな言い訳も、重大な結果の前では通用しない。

そう頭では理解しつつ、直接の警備担当者の後悔を思うと、胸が痛い。痛
すぎる。

安倍氏の遺体が東京・富ケ谷の私邸に帰ると、昭恵夫人は別室で泣きじゃ
くる警護担当者の肩を抱いて慰めたのだと伝えられる。恐らく現場にいな
かったその担当者の悔しさは、どれほど大きかったろう。ましてや、現場
で凶行を防げなかった警備陣の後悔は―。

随分前だが、警視庁の元警護課員を取材したことがある。彼は長年、野党
の党首を担当した。

印象に残っているのは彼がこう話したことだ。

「警護の仕事とは、最後は自らが盾となることです。その覚悟と機転で
す」。相手の凶器が刃物であれ、銃器であれ、その基本は変わらない。こ
うも話した。

「警護対象者には、余計な感情を持ち過ぎない方がいい。とっさの判断の
邪魔になることもあり得ますから」。ただし、屈強なSPも鋼鉄製の盾で
はなく、生身の人間である。誰よりも身近で対象者と行動を共にして、情
が動かぬはずはない「言うは易(やす)く行うは難し、ですかね」

端的にいえば、多くのSPは警護対象者に情が移ってしまうのだという。
もちろん例外はあるだろうが。安倍氏の死に泣きじゃくった担当者もそれ
は職務上の悔恨の涙だけではなかったはずだ。

安倍氏の国葬は、27日に営まれる。海外から要人の来賓が多数参列する
一方で、反対を声高に叫ぶ勢力がある。警備の失敗は許されない。なんと
しても、無事に静かに送り出してもらいたい。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

産経新聞令和4年9月20日採録

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添付ファイル:
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これからの中国とのつきあい方
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)9月15日(木曜日)弐
        通巻第7464号 
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 リティジ財団報告書「これからの中国とのつきあい方」
  一方的に中国を封じ込める必要はないとトランプ流儀
*****************************

共和党保守陣営を代表するシンクタンク「ヘリティジ財団」がさきごろ、
『今後の中国対応の青写真』を纏めた。

「米国が今後数十年にわたって直面する永続的で重要課題は、中国の台頭
である。世界史の主要なプレーヤーとして台頭した中国に対して、米国は
長期的利益を保護する一方で、中国への毅然たる態度を維持する必要があ
る。米国は、経済的および政治的自由の原則を堅持し、独自的な強みに依
存する。それらは強力な世界的存在感と同盟国とのパートナーシップ、経
済的関与、軍事力のプレセンスなどを通じて実行される」と基本的スタン
スを明示している。

 もはや保守陣営の分析でも、アメリカが世界の警察官であるという認識
が稀釈していることに留意しておくべきだろう。
 
またポンペオ前国務長官の演説にあったように「中国の人々が問題ではな
く、人々を抑圧し、世界の幸福を脅かす共産主義の独裁政権が問題」とし
て、敵を中国共産党に絞り込んでいる。この主張は中国人民を敵とは認定
せず、意図的に独裁政党と峻別、中国人に心理的な亀裂をうませることを
考えているからだろう。

 「中国の脅威は表面的な軍事行動ばかりか、米国政府のサイバー ネッ
トワークに対する攻撃、米国企業の知的財産を盗み、公海を航行する船舶
や航空機の自由な移動を脅かす行為にあり、中国は米国の同盟国やパート
ナーの安全を侵害し、民主的なプロセスに干渉している」というあたりは
月並みな表現で、ペンタゴン報告や議会報告書にも書かれている。

ヘリティジ財団の報告が異色なのは中国の文化と法治意識、その政治シス
テムにおける西側との異質性を強調しているポイントにある。
 すなわち「米国は、中国の意思決定に影響を与える歴史と文化を理解す
る必要がある」とし、「中国は大陸性の大国であり、天然資源と人的資源
を備え、そのうえ中国は世界で最も経済的に活気のあるアジア太平洋地域
に位置し、世界経済の新たな中心にあり、グローバル・バリューチェーン
の重要な位置にあることが長期的に安全保障上の問題である」とする。

 ▲米国一国だけで中国に対抗するのは難しい

 そのうえで米国一国での目的達成はもはや不可能であり、また単純に
「中国封じ込め」を意味しない。米国の強みには、自由市場経済モデル、
強力な軍事力へのコミットメント、必要な場合、武力行使する意思、安全
保障同盟のシステム、政治的自由へのコミットメントにあるとする。

 さて同報告書は「中国を理解するには、三つの重要な観点があり、(1)
中国の政治文化と統治の歴史。(2) 中国が脅威を認識し、反応する方法と
パターン。(3)中国が主要な地理的関心領域であるインド太平洋における
他民族との関係の歴史」を挙げている。
 今日の中国の権力の政治的性格は、歴史、イデオロギー、5000 年にわ
たって国を統治してきた制度の産物であり、中国共産党の前の世代から現
在の中国の指導者が受け継いだイデオロギーと遺産は普遍であるとする。
「法の支配」の欠如。中国の歴史の中で、強力で独立した司法システムは
存在しなかった。これが中国史と西洋史の特質を別け、とくに文化を区別
する。だから人権を理解できない。
 
中国における「法」とは独立機関ではなく、権力構造を維持する手段でし
かない。したがって法律は統治の手段として機能したが中国共産党を制約
するものではなかった。国際関係でもルールを守ると言いながら遵守した
例がない。
 過日のウィグルにおける人権侵害、ジェノサイドという国連報告に関し
て中国外務省の反論(9月1日)は次であった。「OHCHR(国連高等
弁務官事務所)が発表した報告者は、反中勢力の政治的陰謀に基づく杜撰
な報告であり、内容は完全に虚偽情報のごった混ぜだ」

 法の番人である最高検察長に新たに任命されたのは応勇(前湖北省書
記)である。習近平側近として、もっと出世するべきが、閑職に追いやら
れたのは一族の腐敗が絶えないという悪評の所為だ。それはともかく法律
とまったく無関係なのである。習のイエスマンが最高検察長とは、これい
かに、だろう。

 中国は、国際空間に中国の権限を拡大することが国際法と矛盾するとは
考えていない。他人が図々しいと思っても、まるで気にしない。そういう
神経を持ち合わせてはいない。国際法は存在しても、中国としては便宜的
であれば活用するという政治戦争の一部と見なしている。
このヘリティジ財団報告が指摘するようにフィリピンがスカボロウ礁は自
国領と訴え、ハーグ国際裁判所が『中国の言い分には根拠がない』と裁断
したおりも、中国は「あれは紙屑だ」と言ってのけた。

 さてバイデン政権はトランプの対中制裁路線を引き継いではいるが、運
用面で遅れも目立つ。米議会は8月9日に次世代半導体開発の支援と大規
模な補助を目的の法律を可決し、バイデンが署名を済ませた。

 現在、上下両院で議事をすりあわせているのは、もっと強硬な「中国対
抗法」だ。ところがこの法案可決が円滑化しないのは中国からの妨害では
なく、米国実業界が、あまり規制を強化するとビジネスが失われることへ
の懸念が広がっているからだ。

 ▲なぜ十数万人の香港人は海外へ逃避したのか

 中国対抗法の眼目は投資審査制度で「米企業がロシアや中国など安全保
障上に深刻な懸念のある国への投資には事前の審査が必要で、そうした制
度の厳格化をはかるものである。大學や研究機関が中国から寄付金を受け
とることも厳しく監視される。また同報告者は「中国が政治権力の範囲外
で別個の「市民社会」を発展させたことがない」と指摘している。

 四つの近代化、白黒猫論、先富論をひっさげて現実主義の?小平が台頭
すると、中国共産党のイデオロギーの役割は、プラグマティズムを前に低
下したと見え一時期があった。このため、経済が豊になれば中国は自由化
するという幻想に酔った西側の楽観主義者は、中国は市民参加の新たなシ
ステムを中国が構築する義務があるとしてきた。

 ところが、香港では逆に言論、結社の自由は殺され、市民生活のおける
自由はなにひとつ達成されないばかりか、ネット上の意見も監視された。
政治的に自由は発言もできなくなり、多くの民主活動家が裁判となって、
香港人のおよそ十数万人が海外へ移住した。

 中国の言論統制は時代錯誤的に暗黒時代へ戻った。経済、政治、環境、
宗教の分野を問わず、中国共産党の監視を免除される団体はない。そのう
え中国共産党は金利、為替、通貨供給など経済をコントロールする最終的
な権限を保持している。甚だしい時代錯誤だが中国共産党は、この絶大な
権限を手放す意思はない。だから市場メカニズムが機能しないのだ。

 中国の産業分布図をみると、国有および国営企業は、国内総生産 (GDP)
の推定 40% と雇用の 20% を占めており、とくに航空宇宙、航空、造船、
化学、エネルギーなどの主要セクターだけでなく、銀行システムも含まれ
ている

▲中国は西側の脅威であり続ける

 他方、中国共産党のなかには米英留学帰りの経済学者が多く、中国が国
際システムから孤立している現実が中国経済の脆弱性の主な理由であるこ
とを正確に認識している。今日の中国は、さまざまな国際機関に積極的に
参加しているばかりか、国連関連組織で指導的地位を占める。

 自らも国際銀行を設立して (典型例がAIIB=アジア インフラ投資
銀行やシルクロード ファンドなど) を通じて途上国を支援している。し
かし多くが唯我独尊的で、ほかの参加国との間に摩擦を引き起こしている。
 
 中国の指導部の意見では、欧米列強は中国国民を転覆させ、政治的統一
を弱体化させようとすることで、中国を脅かし続けているとする。した
がって、「西洋化」、「平和的進化」、特に「分裂」を促進する努力は、
中国共産党の支配に対する脅威であるだけでなく、中国の国家の一体性に
対する脅威だと認識し、ソ連の崩壊を導いたゴルバショフは評価しない。

 「皮肉なことに、中国共産党がより現実主義的になり、毛沢東が提唱し
た極端なイデオロギー的要素を放棄するにつれて、中国共産党が国際シス
テムに与える挑戦は
増大した。(中略)米国は可能な限り自由で開かれた中国との貿易と投資
を行うべきであり、単なる接触に止まるのではなく新自由市場改革によっ
て双方にもたらされる機会を強調すべきである。最終的に、自由化を選択
し、経済改革に再び取り組み、すでに合意したルールに従うことを選択す
るような中国となれば、潜在的な米国のパートナーになり得る。しかし現
政権の有り様から推測できるのは、より封鎖され、経済的に弱まるであろ
う中国が、国際秩序に必然的に挑戦することになるため、より大きな脅威
であり続けるのだ」


━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━

◎現代の神曲ー−−永遠の命を求めて=北村維康

テーマ:ブログ
序文 
 国民的ヒーローであった安倍晋三元首相が突然亡くなった。彼の死を、
未だに多くの国民は納得してゐない。私も納得してゐない一人である。こ
の拙文は、自分なりに自分を納得させるにはどうしたらよいかの暗中模索
として書きつつある。貴方も、貴女も、納得して頂けるであらうか。

 やや唐突ながら、オカルトの世界では、並行世界(パラレル・ワール
ド)といふものが、最近ネット上で見られるやうになってきた。それは、
今我らが生きてゐる世界の他にも、似てはゐるが少し違ふ世界があるのだ
と言ふのである。一例として、米国で狂信的なファンによって、「お前の
音楽のやり方は気に食はない」と難癖をつけられ、ピストルで射殺され
た、ビートルズの一人である、ジョン・レノンが、なんと並行世界では生
きてゐて、新曲を発表してゐたといふ話がある。その曲は、『私自身に語
りかける』(Talking to Myself)として、それを録音したカセット・
テープを、並行世界で聴かされた人がゐたと言ふ話である。仏教的に言へ
ば、この世界で亡くなった人が生きてゐるとすれば、それはあの世(霊
界)である。人は、この世とあの世との間を、自由に行き来できるのだら
うか。


 では、神道的に言へば、どうなるのだらうか。神道の神典である『古事
記』によると、火の神を産んだイザナミノミコトは、やけどして死んでし
まふ。しかしその早すぎた死に納得できない、夫のイザナギノミコトは、
はるばる黄泉の国まで、妻を追ってゆくが、その会見が上手くゆかず、
却って妻を怒らせてしまひ、這ふ這ふの体で逃げ帰ってくる。しかし自分
の穢れた体を禊して清めるうちから、天照大神、月夜見の命、素戔嗚尊と
いふ、尊い子供たちを授かり、以後、これらの神々が、日本を経営してゆ
くことになるのである。これは、聖書にも匹敵する、壮大な叙事詩である
と言ってよい。またダンテも、聖書に関連して神曲を書いたので、大いに
関連があり、この拙文にも、その題名を拝借した。ジョン・レノンの新曲
と、音が似てゐるのも、単なる偶然ではないやうな気がする。

 この壮大な私の探索は、今始まったばかりである。もしかしたら、安
倍元首相の死を究める過程に於いて、今後の日本の、否、世界の、又は宇
宙の、進むべき方向が見えてくるかもしれない。それにほのかな期待を抱
きつつ、序文とする。(続く)


━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━
21日の東京湾岸は曇り。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎




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