頂門の一針 6287号
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2022(令和4年)年 10月12日(水)
岸田首相の明確な意見こそ聞きたい:櫻井よしこ
ブーメラン政党でいいのか:阿比留瑠比
同胞とも先祖とも切り離された:伊勢雅臣
フィリピン不動産投資は壊滅:栗原将
ペーボ博士にノーベル賞:宮崎正弘
重 要 情 報
身 辺 雑 記
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頂門の一針(まぐまぐ)
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岸田首相の明確な意見こそ聞きたい
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櫻井よしこ
安倍晋三元総理銃撃事件はなぜ防げなかったのか。日本国の歴史に残る痛
恨の事件について、8月25日、警察庁が検証結果及び警護の見直しに関す
る報告書を発表した。50頁を超える同報告書を読んで、安倍総理暗殺事件
の総括がこんな中途半端なものなのか、と憤りが湧いてくる。
報告書は「現場における警護の問題」の項で「本件結果(安倍総理殺害)
を阻止することができた可能性はなかったとはいえない」とした。
また安倍総理が到着する前、奈良県警警備部警備課長が現場で「たまた
ま」、犯人の山上の近くにいたが不審者として認識できなかった、その時
点で総理後方が警備の空白となっている状況を見ているのであるから、対
応措置をとるべく指揮する必要があった。そうしていれば、「事件阻止の
可能性は高かった」と書いて、奈良県警の責任を印象づけている。
現場で安倍総理の身辺を警護した4人については以下のように書いた。4人
とは奈良県警の警察官3人と警視庁の警護員、つまりSP1人である。
「いずれの身辺警護員」も「被疑者(山上徹也容疑者)による接近を認識
しておらず」「発砲音を銃器によるものと即座に認識するに至らなかっ
た」、そのため「本件結果を阻止することは実際上困難であった」、しか
し、身辺警護員は山上の接近に「気付いている必要があった」。
一発目の砲撃音を聞いてもほぼ全員がただ立っていたあのシーンを想い出す。
現場における前述の4人の具体的な動きも説明しているのだが、同じよう
な内容が繰り返されている。「犯人の接近に気付かなかった」「発砲音が
あったが総理が銃撃されたと理解できなかった」「それはやむを得なかっ
た」というものだ。
「やむを得ないと認められる」という記述は幾度も登場し、その度に溜息
が出る想いだった。
警視庁の責任
報告書を読んで心に残るのは次の二点の主張である。➀奈良県警が安倍総
理後方の警備の空白地帯を埋めておくべきだった(前述したように、これ
は奈良県警の責任に焦点を当てる書き振りだ)、➁奈良県警3人、警視庁派
遣のSP1人の現場における状況はやむを得ないことばかりで責任は問え
ない。
加えて、もう一点報告書には書かれていないことがある。警視庁の責任に
全く言及していないのだ。総理の身辺警護を担うSPは警視庁が派遣す
る。SPの訓練も全て警視庁の責任の範疇だ。にもかかわらず、警視庁に
よる警護体制の欠陥について全く指摘がないのである。
第一に問いたいのは、安倍氏が現役の首相でなくなったからといって、
SPを1人しかつけないという対応でよかったのかということだ。総理を
退けばSPは2人――1日交替のため、常に随行するのは1人というのが規定
だそうだ。規定であるから致し方ないと警視庁は言うのであろう。しか
し、安倍氏は注目度も高く影響力も強い政治家だった。特定の勢力は安倍
氏を強く敵視していた。であれば、人員配備については状況をよく見たう
えで、ふやしておくべきだった。
報告書は、以降は要人警護を強化するとしたが、なぜ、あの時点で配慮し
ていなかったのか。警視庁の姿勢を質すべきだと思う。
もうひとつ、SPの緊急時対応について、訓練は十分だったのか、という
点だ。報告書はSPが対応できなかったのは「やむを得ない」と繰り返す
が、身内に甘すぎないか。奈良県警の責任も大きいが、一番責任を負うべ
きは警視庁なのだ。
一般論で言えば日本の警察はよくやっている。しかし今回の事件は、世界
のセキュリティ関係者が呆れる大失態だった。にもかかわらず、検証作業
では肝心の問題に全く触れていない。十分な反省なくして日本警察の立て
直しは難しいだろう。
安倍総理殺害犯の山上が統一教会への恨みに言及したことから、統一教会
問題について狂騒曲とでも言うべき報道が始まった。危機管理の観点から
岸田文雄首相は同問題について自身の考えを基軸にして取り組むべきだ。
世論の動向に振り回されるのでは何も解決しない。
統一教会による犯罪的商行為、霊感商法は今でも続いているのか、安倍総
理は被害者救済の法整備を2018年に行ったが、効果は出ているのか。国会
に特別委員会を設置し、徹底的に調べさせるべきだ。
その上でメディアが過熱報道を続ける「統一教会の関連団体」と政治の関
係についてはきちんと整理して論ずるべきだ。「関連」とはどういう関係
なのかなど明確に定義すべきだろう。
反共新聞の誕生
立憲民主党幹事長に返り咲いた岡田克也氏が、8月26日、統一教会の「関
連団体」とされる日刊紙「世界日報」の取材を受けていたことについて陳
謝した。「極めて申し訳なく、残念なことだった」「当時、世界日報と旧
統一教会の関係は承知していなかった」「弁解の余地はなく反省してい
る」などと述べている。
そこで「世界日報」に質した。同紙いわく、1975年、内外を共産勢力が席
巻する状況下、自由主義体制を守るという動機で創刊された。創刊時は朝
毎読日経産経、5大全国紙とNHKの記者たちが社員となって紙面作りや
営業に携わった。そのような日刊紙の必要性を説いたのが文鮮明氏だっ
た。渡部昇一氏はかつて、反共新聞の誕生は評価するが、なぜ、日本人で
はなく、韓国人が言い出したのか、それが残念だと語っている。
ただ、創刊時から今日まで世界日報と統一教会の間に資本関係は全くない
という。編集内容も、たとえば「竹島は日本の領土」という立場をとって
おり、韓国に傾いているわけではないともいう。
資本面、編集面において統一教会との関係で不都合な点はない、それなの
に「関連団体」とメディアで言われただけで、なぜ、関係を断ち切られる
のか、と世界日報側は問う。報道の自由の侵害だと彼らは言う。岡田氏は
「弁解の余地がない」と陳謝したが、本来このような陳謝は不必要だろう。
岸田首相は、「聞く力」だけでは首相は務まらないことを学ぶべきだ。自
身の判断ができないために聞くのでは、日本国が漂流する。自身の考え方
や判断をもっと前面に出して、国民を主導することが求められる。
安倍総理の国葬儀において、弔意表明の閣議了解を見送ったのはなぜか。
世論を恐れたとの印象が残る。立派な功績を残した類い稀なる政治家への
敬意と感謝を表するために国葬儀を執り行うとなぜ、言えないのか。そん
なことだから支持率も下がるのであろう。
「朝日新聞」などが不条理に叩いても、安倍総理は戦い続けた。安倍総理
は自分の判断を信じた。日本のためになると信じて、戦うことを決意した
気概が安倍総理への固い支持を生み出していた。政治家は信念、芯を持つ
ことが大事だ。それなしには長持ちしないと私は感じている。
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ブーメラン政党でいいのか
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【阿比留瑠比の極言御免】
「あなたが示した一枚紙はまったく説明不足。もっと真相を語るべきだ」
立憲民主党の泉健太代表が5日の衆院代表質問で、世界平和統一家庭連
合(旧統一教会)との関係が指摘される細田博之衆院議長に迫るのを聞き
ながら、一体いつまでこんな「ブーメラン劇場」を繰り返すのだろうと嘆
息した。この臨時国会も、不毛な議論に終始するのだろうと―。
立民は旧民主党時代から、ブーメラン政党と言われてきた。今回の問題
をめぐっても、旧統一教会との接点が判明した所属議員は17人に上り今後
も増える可能性がある。
[「質違う」強調も]
つい最近も、辻元清美参院議員が旧統一教会の関連団体勉強会に出席
し、会費まで支払っていたことが明らかになった。その辻元氏は9月の沖
縄県知事選では、有権者にこう呼びかけていた。
「(旧)統一教会と関係している方を知事に選ぶことは、みなさん絶対
に避けなければなりません。油断しないでください」
「あの人はブーメランのプロだ」(日本維新の会の馬場伸幸代表)と評
されるだけのことはある。この件について立民の逢坂誠二代表代行は3日
のBSフジ番組で、視聴者に「自民党は許されないが身内は許されるの
か」と問われ、自民の事例とは異なると強調した。
「全く質が違う。知人に誘われた勉強会で会費を払った。しばらくたっ
て領収書を見るとあれ、これはもしかして・・・ということなんです。質
が全く違う」
とはいえ、立民はこれで自民議員が「関連団体とは分からなかった」と
説明したらそれで納得してきただろうか。辻元氏が勉強会に出席した平成
24年4月は民主党政権時代であり、辻元氏は与党の一員だったのである。
それが今では、自分は知らずに巻き込まれただけの被害者のような口ぶり
で、「細田氏を見過ごすわけにはいかない」というのには開いた口がふさ
がらない。
[20年近くのお家芸]
そもそも彼らは、いつ頃からブーメランの使い手となったのか。本紙
データベースを検索すると、19年1月の産経抄に《民主党のことを「ブー
メラン政党」と言うのだそうだ。自民党のスキャンダルを攻撃すると、常
にそっくり自分の所に返ってくる》との一文章があった。
筆者も22年6月、菅(かん)直人内閣の発足直前の紙面で、次のように書
いている。
《鳩山(由紀夫)首相の場合、「秘書の罪は国会議員の罪」などと断じ
た過去の発言がブーメランとなって自身を傷つけた。だが、ブーメランと
いえば菅氏こそ元祖使い手≠名乗る資格がある。
平成16年、年金未納問題で自民党を追及していた菅氏(党代表)は、後
に自らの未払いが発覚して代表辞任に追い込まれ、頭を丸めてお遍路姿で
四国八十八カ所巡りを行っている》
つまり、民主は政権交代前からブーメラン政党と呼ばれ、その後裔(こう
えい)たる立民もそのお家芸を20年近く途絶えることなく継承し続けてい
るのである。
安倍晋三元首相は平成28年の今頃、民主から名称変更した当時の民進党
について、こう語っていた。
「この政党に入ると、みんな同じようなタイプになるようだ。彼らの質
問は、こっちにダメージを与えることはあるかもしれないが、支持は広が
らない」
近隣国の弾道ミサイルが日本上空を飛び、排他的経済水域(EEZ)に
着弾する緊迫した時代に、いつまでブーメランを投げていていいのか。
(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
産経新聞令和4年10月6日号採録
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同胞とも先祖とも切り離された
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伊勢雅臣
共同体の中での自己実現
〜 サンデル教授の『公共哲学』に学ぶ
同胞とも先祖とも切り離された「負荷なき自己」か、縦糸横糸のつながり
の中での「位置ある自己」か。
■1.外国人に地方参政権を与えるべき?
「日之出(ひので)先生、一つ質問があるのですけど、よろしいでしょう
か?」と花子は大学の政治学の授業の後で、聞きました。以下、二人の対
話です。
日之出先生(以下「日」と略記): もちろんいいとも。君の質問はいつもい
いところを突いてくるから、僕の研究にも刺激になる。
花子(以下「花」): 私の友達で在日韓国人の女性がいて、彼女は常々、住
民税を払っているのだから、地方参政権ぐらいは認めるべきだ、と言うの
です。先生は、この問題に関してどう思いますか?
日: それは以前の授業でも一度、話したけど、住民税というのは警察や消
防、学校、図書館などの住民サービスに対する対価であって、それを払っ
ているから、その自治体の意思決定に参加できるということではないね。
例えて言えば、マンションを借りている人は、家賃を払っているからと
言って、所有者たちの管理組合には入れないのと同じ理屈だよ。
花: 私もその例えを使って話したのですけど、国とマンションは違うって
言うんです。自分は日本に生まれたのに、両親がたまたま韓国籍で、その
ために地方参政権も持てないのは同じ人間としての差別じゃないのかって
言うんです。
日: それは日本人でもリベラルの人たちが、よく言う主張だね。彼らは
「国民」ではなく、「市民」という言葉を使いたがる。同じ市民同士なの
に、なぜ国の違いを持ち込むのか、もっと「開かれた社会」になるべきだ
とね。
■2.慰安婦問題で謝るべき?
花: ええ、そうなんです。そう言われると、私も「ちょっとおかしい」と
は思うんですけど、どう反論していいのかわからなくて。
日: その友達は 慰安婦問題についてはどう言っているのかな?
花: 日本は戦前から韓国に対して植民地統治をして、それらの酷いことを
したのだから、補償をする必要があるというのです。
日: やはり日本の左翼と同じ主張だ。まず慰安婦問題は歴史的なプロパガ
ンダであることはすでに史実で明らかになっている[JOG(1247)]。ただ、
今回はたとえそれが史実だったとしても、左翼の主張が論理的に破綻して
いる、ということを述べてみよう。
花: 「論理的に破綻」ですか?
日: そう、まず日本が国籍の違いにとらわれずに、外国人にも平等の権利
を与えるべきだという考えは、日本人も韓国人も生まれた国の歴史や文化
に関係なく、同じ人間として扱われるべきだというリベラルな人間観に基
づいている。
そういう人間観なら、我々が生まれる前に先祖のした行為は我々には関
係ない。たとえ我々の先祖が彼らの先祖に酷いことをしたとしても、お互
いに生まれる前のことなのだから、我々には何の責任もない。だから補償
する必要もないわけだ。
花: なるほど、そうですね。私たちが生まれる前に起こったことについ
て、私たちには何の責任もないということですね。
日: 逆に我々が先祖の行為についても責任を負うべきなら、その子孫とし
て先祖の遺産も引き継ぐ権利がある。現在の日本の安心安全で高い生活水
準は、我々の先祖が残してくれた遺産なのだから、今頃、ほかの国民が勝
手に入ってきて、その一部でも享受することは許されない。
花: でも、それって狭小な愛国主義という感じがするんですけど。
日: いや在日韓国人でも、きちんと日本国籍を取った人は別だよ。当然、
我々の同胞として同じ日本国民になり、地方参政権だけでなく、すべての
国民としての権利を享受できる。国籍が簡単にとれてしまう、という問題
は今は横に置いておくけど。
昔から我が国では半島から戦乱などを逃れてきて、朝廷に忠誠を誓った
人々は、天皇から姓と土地を与えられ、朝廷で活躍した人々も多かった。
日本は帰化人にも開かれた国だったんだ。
しかし在日韓国人で日本国籍を取らないということは、我々の仲間にな
ることを拒否しているのだから、当然、同胞として同じ権利を持つことは
できない。日本国籍をとるということは、日本の歴史を引き受けて、先祖
の遺産も負債も自分のものとして受け継ぐということだからね。
■3.「負荷なき自己」と「位置ある自己」の使い分け
日:『白熱教室』で有名なハーバード大学のマイケル・サンデル教授はこ
ういう人間観を「位置ある自己」と呼んでいる。自分を先祖から子孫への
縦のつながりと、家族や地域、国家の中での横のつながりの中でも自己を
位置づける。そういう縦糸横糸がなす織物の中での「位置ある自己」とい
う意味なんだ。
それに対して前に述べた祖先の歴史など関係ないという人間観を教授は
「負荷なき自己」と呼ぶ。先祖からのしがらみや子孫への使命、隣人同胞
への責務などの「負荷」から完全に解放された自由な個人という意味だね。
我々が「負荷なぎ自己」なら、他国民が自由に入ってきて、同じ権利を
享受するのも平等だろう。しかしそれなら先祖のことについても、我々に
は全く責任はない。だから歴史問題など全然関係ない。
我々が「位置ある自己」ならば、我々の同胞に入るためには、一緒に
「負荷」を引き受ける意思を表明してもらわなければならない。その場
合、先祖の負債も引き受けるから、もし先祖の行為について謝るべき点が
あれば、一緒に謝って貰わねばならない。
花: そうすると、私の友達は、地方参政権については「負荷なき自己」の
立場から要求し、歴史問題については「位置ある自己」として先祖の行為
に関して謝罪や補償を要求している、ということですか。都合よく立場を
変えて、両方の要求をしているということでしょうか?
日: サンデル教授ばりに政治哲学の次元から考えると、そういう論理矛盾
が見えてくる。
花: 日之出先生は、「日」の「サン」が「出る」から、日本のサンデル先
生ですね。
日: おいおい、それは駄洒落にしても、褒め過ぎだね。(と、まんざらで
もなさそうな表情)
■4.「負荷なき自己」とリベラリズム
花: 「負荷なき自己」と「位置ある自己」というのは、直観的によく分か
りますけど、そういう考えはどこから来たのでしょうか?
日: 欧州では宗教戦争に見られるように宗教的な対立が長く続いた。そう
した宗教的道徳的な論争から自由(リベラル)な政治を目指して、価値中立
的な政府が理想とされたんだ。そこでは国民はどのような思想信条を抱く
のも自由だし、政府は特定の思想信条に肩入れしてはいけない、と考えら
れた。
そこでの国民は歴史のしがらみから解放され、地域や家族、教会などに
も束縛されない自由な個人として考えられた。ここから「負荷なき自己」
という人間観が出てきたんだね。
花: なるほど「負荷なき自己」が集まって「価値中立的な国家」になって
いるわけですね。でも、そんな社会には互いへの同胞感なんか、生まれる
のでしょうか。
日: サンデルは、まさにそれが現代アメリカで起こっていると指摘してい
るんだ。
__________
この数十年でわれわれは、同胞の道徳的・宗教的信念を尊重するという
ことは、(少なくとも政治的目的に関係する場合)それらを無視し、それ
らを邪魔せず、それらに――可能なかぎり――かかわらずに公共の生を営むこ
とだと思い込むようになった。だが、そうした回避の姿勢からは、偽りの
敬意が生まれかねない。[サンデルa、5,507]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
日: 「偽りの敬意」とは、互いの道徳的・宗教的を尊重するふりをしなが
ら、無関心でいることだね。それでは国全体のことを損得でしか議論でき
なくなり、結局、民主主義を支える国民同胞感が失われてしまう。
国民としての同胞感がなければ、多数決で負けても、多数派の意見を
「自分たちも含めた国家全体の決定」だと潔く認めることはできなくなる
だろう。
花: この前の大統領選でも、選挙後に不正があった、なかったで、混乱が
続きましたが、それは民主主義の基盤となる国民同胞感が失われていた為
なのですね。
日: そう思う。そして、それは政府は価値中立的でなければならず、国
民は「負荷なき自己」としての自由を持つというリベラル思想の帰結だ
と、私には思えるんだ。
■5.アリストテレスの考えた共同体
花: 国民同胞感とは、まさに「位置ある自己」の出番ですね。
日: その通り。この人間観の源流はとても古く、サンデル教授はアリスト
テレスまで持ち出している。アリストテレスは、都市国家(ポリス)を単な
る防衛共同体や経済共同体とは捉えなかった。
__________
政治の目的は、まさに、人びとが人間に特有の能力と美徳を養えるように
することだ。共通善について熟慮し、実践的判断力を身につけ、自治に参
加し、コミュニティ全体の運命に関心を持てるようにすることだ。[サン
デルa、3,990]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「人間は政治的動物である」とはアリストテレスの有名な言葉だけど、日
本語では「政治」とか「動物」には良くない語感が籠もってしまうので、
誤解しやすい。彼が言うのは、人間だけが高度な共同体を作れる、という
現代の進化人類学にも通ずることを言っているんだね。
その共同体の中で歴史を通じて深めてきた「共通善」があり、それを学
び、さらに維持し深めるよう他者と智慧と力を合わせる、そういう姿が共
同体の理想だと考えた。
花: えー、それは先生が以前、教えてくれた神武天皇が「大御宝としての
国民が力を合わせて、一つの屋根のもとに暮らしていこう」という建国の
理想と、ほとんど同じじゃないですか。
日: 人間の叡智が深まれば、人類として共通の根っこにつながっていく、
ということだろうね。
■6.共同体の「共通善」を伝える歴史物語と歴史教育
日: 自分がある国家共同体に生まれたのは、自分の選択の結果ではない。
「負荷なき自己」なら、他の国の方が良いから移民してしまおう、という
ことになってしまけど、「位置ある自己」はその共同体の中で親や地域の
人々に育てられ、共通の国語で感じ考え、先人が残した「共通善」、すな
わち伝統的理想を学ぶ。
そういう「位置ある自己」なら、縦軸横軸の「負荷」を自分自身の一部
として感じて、ありがたく引き受けるだろう。そして、そういう共同体の
中で、自分なりの処を得て、自分の適性や能力を発揮していく。そういう
共同体の中でこそ、人間は生きがいを得られるんだ。それこそが真の自己
実現と言うべきだろう。
共同体の「共通善」は、その共同体で言い伝えられた歴史物語によって
表現される。サンデル教授は、こう言っている。
__________
私の人生の物語はつねに、私のアイデンティテイの源であるコミュニ
ティーー家族や町、部族や国家、政党や運動―の物語に埋め込まれてい
る。・・・こうした物語はわれわれを世界のなかに位置づけ、われわれの
人生に道徳的独自性を与えるのである。[サンデルb、230]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
自分の人生の物語が埋め込まれるべき、共同体の物語を学ぶことは、そ
の共同体の「共通善」を学ぶことであり、それこそが歴史教育の目的だと
思う。平成18(2006)年に改訂された教育基本法でも、前文で「公共の精
神を学び」「伝統を継承し」という言葉が入れられたのも、「位置ある自
己」として将来の国民を育てようという姿勢だと思う。
■7.多様な考えが「共通善」を深めていく
花: よく分かります。ただ、そういうと、それは一つの道徳・宗教を全員
に押しつける全体主義になる、という反論が、私の友達からすぐに出てき
そうです。
日: そう言わないと、リベラルは存在意義を失ってしまうからね。しか
し、イギリスは「位置ある自己」の共同体として自由民主主義を発展させ
てきた。日本も長い歴史のほとんどの期間、八百万の神々でも仏教でも自
由かつ多様な信仰を持ち、高度の農村自治を行って、平和で安定した国と
して続いてきた。
「位置ある自己」とは、全体主義に操られるロボットではない。その共同
体の行く末を「我が事」として考え、子孫のためにそれを少しでも良くす
るよう「共通善」をどう深めていくか、考える。
そういう「位置ある自己」にとって、その「共通善」に賛同しない人々
は、かならずしも「敵」ではない。そういう人は「共通善」の到らない処
を考えているかも知れない。そういう人々とよく対話をすることで、「共
通善」はより深まっていくだろう。
そういう智慧を深める方向を一切考えずに、いきなり「価値中立的な政
府」と「負荷なき自己」に走ってしまったのが、リベラル思想の迷走だ
ね。欧米思想から学ぶには、こういう浅薄な部分ではなく、アリストテレ
スから現代のサンデルに到る本流を学ばないといけないね。
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フィリピン不動産投資は壊滅
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中国人4万人強制送還でフィリピン不動産投資は壊滅。元現地不動産仲介
業者が語るフィリピン不動産の活況から没落への道=栗原将
一時期、フィリピン不動産投資が流行っていました。しかしこの投資は、
オンラインカジノで働く中国人頼みでした。最新のニュースでは、オンラ
インカジノの営業停止が決まり、4万人の中国人が強制送還されるとのこ
と。フィリピン不動産には壊滅的な影響を与えそうです。(『海外移住か
ら帰国した50歳男子の北海道くらし日記』栗原将)
【関連】「円安=日本の国力低下」論に騙されるな。2011年、1ドル70円
台の超円高で日本は強かったか?=
中国人4万人がフィリピンから送還
海外不動産売却が円安で追い風になっているタイミングで、ちょっと
ショッキングなニュースが配信されてきました。
※参考:フィリピンがオンラインカジノ175社営業停止、中国人社員送還へ
-REUTERS
新型コロナ下でも、中国系オンラインカジノ運営会社は完全に営業禁止と
ならず、存続してはいたのですが、今回、175社が営業停止処分となり、
所属する中国人社員4万人が送還されるというニュースです。
新型コロナ前のフィリピン不動産活況の要因は、中国系オンラインカジノ
だった。
フィリピン不動産は中国ありき
以前からの読者さんでしたら、このことは私が何度も書いて来ましたか
ら、よくお分かりと思います。
フィリピン不動産については、よく人口ピラミッドとか、海外フィリピン
人労働者(OFW)の送金とか、アピールされてきましたが、私自身、フィリ
ピンで不動産仲介ビジネスをやっていて痛感したのが、とにかく“中国”で
した。
なにしろ、セブの事務所にいたら次々と中国人が来て「空いてる部屋はな
いか?」あるいは「売り物件はないか?」とひっきり無しだったのです。
ところが、まずは、新型コロナで訪れる中国人は激減し、さらに今回の規
制、送還というのはフィリピン不動産にとっては、かなり痛手と見ていま
す。
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ペーボ博士にノーベル賞
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)10月4日(火曜日)
通巻第7482号
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ネアンデルタール人と私たちは交配していた
DNAから解き明かしたペーボ博士にノーベル賞
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10月3日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は「2022年度の
ノーベル生理学・医学賞」を、独マックス・プランク進化人類学研究所の
スバンテ・ペーボ博士に授与すると発表した。
ペーボ氏は、人類学にDNA解析の手法を取り入れ、人類進化理論に大胆
な仮説を唱え、その著作『私たちはネアンデルタール人と交配した』は世
界的ベストセラーとなった。
ダーウィンの進化論は猿人から人類への中間段階でネアンデルタール人
など古人類がいたとうい説だが、ペーボ理論では両者が交雑していたとい
うのだから、仮説に過ぎないとはいえ、画期的な「発見」といえる。
4万年前に絶滅したとされる「ネアンデルタール人」の骨からDNAを
抽出し、ゲノム(全遺伝情報)を解読、現代人のゲノムにネアンデルター
ル人の遺伝子が1〜4%受け継がれており、現代人の祖先は欧州ではネア
ンデルタール人と共存・交雑していたとした。
ネアンデルタールの発見は1856年、ドイツである。従来、31万年
前から80万年前に生存したとされた。また現代人は新型コロナ感染症を
重症化させる遺伝子も、ネアンデルタール人から受け継いでいるとする。
ネアンデルタール絶滅の仮説にはアフリカからホモ・サピエンスとの交
雑で、ネアンデルタール人に感染症が広がったとする「疫病仮説」がある
が、多くは気象変動によるとされる。
基本的にネアンデルタール人はホモ・サピエンスに近い能力を持っていて
石器や洞窟壁画(スペインの洞窟壁画はネアンデルタール人のもの)、衣
服を着用し、航海術にも長けていたことなどが出土した遺物から判明した。
□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□
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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
【知道中国 2430回】
──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習96)
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後にハノイは、ヴェトナムを犠牲にしてでも自らは生き延びようと画策
する北京の身勝手な振る舞いを「拡張主義」「大国覇権主義」と罵倒する
──このように越え難い現実政治の溝も、ヴェトナム人は中国人を嫌悪する
一方で、中国人はヴェトナム人を軽蔑する歴史的・民族的因縁を包み隠し
ながら、両国人民の「深く厚い友誼」は演出され続けた。やはり外交と
は、ホンネをタテマエでコーティングした一種の芸術作品で もあるようだ。
中国新聞工作者代表団の訪越から14か月ほどが過ぎた71年11月、「我国
人民の偉大な指導者であり中国共産党中央委員会主席の毛沢東同志は、11
月22日、ヴェトナム
労働党中央委員会政治局委員でヴェトナム民主共和国政府のファン・ヴァ
ンドン同志と彼が率いるヴェトナム労働党とヴェトナム民主共和国政府代
表団全員と会見し」、「会見は極めて友好的な雰囲気の中で行われ、〔中
略〕毛主席は前に進み出て(一行を)迎え、反米闘争の前線からやってき
た兄弟であるヴェトナム人民の友好の使者に熱烈なる歓迎の意を表した」
と、『中越両国人民牢不破的戦闘団結』は記す。
ここで思い出してもらいたい。
天下公認の毛沢東の後継者であった林彪と葉群夫人らが慌ただしく乗り
込み、モスクワを目指し飛び去った小型ジェット機がモンゴル領内に墜落
したとされるのは1971年9月。毛沢東暗殺に失敗しての逃避行(?)とい
うのが北京の公式発表だが、権力闘争と謀略で明け暮れる北京の奥の院に
おける話だけににわかには信じられそうにない。
ヴェトナム代表団を迎えた当時、北京の政権内部での動揺は激しかった
はずだが、毛沢東の振る舞いは見事と言うしかない。政治指導者は同時に
巧みな役者でなければならない。そこは海千山千の「千両役者」の毛沢東
である。見事な演技で遠来の客を煙に巻く。
共同声明では、「中国人民は、英雄的なヴェトナム人民がホー・チミン
主席の遺した『米帝を駆逐し、傀儡政権を打倒せよ』と『我が国土に1人
でも侵略者が踏みとどまっている限り、我々は戦いを継続しなければなら
ない。その全てを追い出すのだ』との偉大な教えを固く守り、勝利に向
かって前進し、米帝国主義者の侵略を徹底的に打ち破ると共に、南部の解
放、北部の防衛、祖国の平和的な統一を実現することを深く信ずる」と表
明した。
続いて、「ヴェトナム側は、兄弟である中国人民が敬愛すべき毛沢東主
席を頭とする光り輝く中国共産党の指導の下で光栄ある革命事業において
極めて巨大な成果を成就したことを最高度に讃える」と記す。
またヴェトナム党機関紙の社説(11月27日付け)は、「中国人民の我が
国の党と政府代表団に対する熱情溢れる対応は、ホー・チミン主席の説い
た『同志に兄弟を重ねる』関係の現われであり、毛主席が語る『ヴェトナ
ム人民の堅固な後ろ盾』である7億中国人民の崇高な精神をものの見事に
体現している」と、中国側の対応を絶賛してみせた。
ところが71年7月には、米国務長官のキッシンジャーは秘密裏に訪中
し、ニクソン大統領訪中の段取りをつけていたのである。つまりヴェトナ
ムが「同志に兄弟を重ねる」関係やら「ヴェトナム人民の 堅固な後ろ
盾」やらと、歯の浮くようオ追従をしている頃には、米中両政 府の実務
者間ではニクソン訪中に向けての準備が着々と進んでいたのだ。 知らぬ
はハノイばかりなり、である。
ヴェトナム訪中団帰国から3か月後の72年2月、ハノイにとっては憎ん
でも憎みきれない不倶戴天の敵である米帝国主義の頭目のニクソン大統領
が、大統領専用機で中国を訪問した。
タラップを颯爽と降り立つニクソン。満面の笑みで迎える周恩来。2人
は固い握手を交わす。このシーンを見せつけられたら、「ファン・ヴァン
ドン同志」以下の「英雄的なヴェトナム人民」は臍を噛み、中国への怨念
を滾らせないわけがないだろうに。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読
者之声
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(読者の声1)貴志7481号にて KM生様は 「通貨、金とは価値の単
位で」あり、「究極的には人間が使った時間の総和が富・財産となる。」
とおっしゃいましたが、的を射ておられると思います。
私は「モノが存在する」ということは、「時間」があってこそ、それが
可能となるのだ、と考えていましたから。
つまり損益計算書とおなじで、ある時点で何かがあると認識したことは、
そのあとで再度確認した時にそれがまだある、と再確認できてこそ存在が
明らかになるからです。もし時間がこの世になければ富も財産も、そして
すべてが存在を認識し得ないのです。
また「通貨、金とは価値の単位」であり、道具であって、価値そのもので
はないのです。然し「価値イコール通貨」とみなさねば、人間の経済活動
は回ってゆかないので、便宜的にやむを得ずそうしているのが今までの
「この世」であり、それを前提としたものが今までの経済学です。
ところが「通貨が印刷される」ことが普通になった「この世」は、今まで
の経済学では整理できず、且つ収拾できなくなりつつあるのです。このこ
とに気が着いた学者(ニーチェが根源的・総括的ですが気づいていたとお
もわれます)はポツポツ出てきました。
例えば「十分に豊かで貧しい社会」(ロバート/エドワード・スキデルス
キー、筑摩書房)、「経済学のどこが問題なのか」(ロバート・スキデル
スキー、名古屋大学出版会)、「さらば欲望」(佐伯啓思 幻冬舎)、
「ANTHRO VISION}(ジュリアン・テッド 日本経済新聞出版)、「価値論
なきロゴス経済学の限界」(拙書 三省堂)などですが、まだほとんどの
(日本の)学者たちはそんな根本的なことを考えずに、教科書で頭に詰め
込まれた「学説」を相変わらず社会に垂れ流しているのだと思います。
(SSA生)
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(読者の声2)今日は故中川昭一氏の命日、享年56歳。日本再建の為の貴
重な稀有な人材が無駄に失われた。早々と故安倍総理の遺体・証拠は荼毘
に臥され、暗殺の真相はもう既に霞みの彼方に葬り去られてしまった。警
察、検察、全ての政治家、報道陣も、下を向いて黙って、話題を逸らす。
20年前には石井紘基議員殺害事件があったが、これも霞ヶ関が消してし
まった。37年前には日本航空123便が破壊され500名以上が殺害され、いま
だに世界最大の航空機事故であるが、これも霞の彼方へ行ってしまった。
これらを医学・精神医学的に観察すれば、患者も医師も、危険な病気の
症状が顕著になっても、無視し、あたかも健康であるかの様に振る舞う。
当然に、病気は悪化し、手当の出来ない末期となり、ある日「突然に」お
亡くなりになる。そんな日が近い様な予感がする。ソ連も同様に内部の荒
廃、それを治療する仕組みが無かった故に崩壊した。勿論、多くの民間企
業が同じ理由で倒産する。現在進行中の1ドルが145円に急落しているの
も、免疫反応で体温が40 度ほどに上がって、患者が最後の抵抗をしてい
るとも考えられる。円の暴落を予想する記事がやっと遅ればせながらも頻
繁になり、MMT支持 者・信者が責任をとって腹を切る時期が近いと思ふ
が、最近の学者、論者 にそんな倫理観を持つ者はいない。20年前、通
貨・財政の隠された巨大な政府による組織的犯罪を、一人で 丹念に調査
し証拠を集め、国会で暴露する予定の2日前に暗殺されたのが 故石井紘基
氏である。氏の解析が正しいとすれば、「いくら借金をしても大丈夫、日
本の資産は 膨大である」と政府は擁護するが、蓋を開けてみると、ある
はずの巨大な 資産は不思議にも消えていました、となるらしい。氏の死
亡により補欠選挙が行われ、民主党公認の小宮山洋子氏が石井氏の 遺志
をついで、悪を暴くと宣言し氏の遺族の応援を得て当選し、種々の大 臣
も歴任するが、全く何もしなかった。因みに、小宮山氏は元NHK解説委
員、実父は元東大総長。(注、NHKと東大などが、諸悪の根源、)「赤信
号、みんなで渡れば青信号」と国内では、報道陣、有識者、経済 評論家
などが、「赤を青に見せる・変える」ことも出来るが、外国人はそ んな
手品にはかからず「安全に渡っている」と信じている全日本国民 が、轢
き殺される。そんな交通事故は、世界の金融・通貨歴史上では頻繁に起
こっており、今のところ例外は無い。
(在米のKM生)
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重 要 情 報
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◎大谷翔平はアメリカンリーグのMVPに
選ばれるだろうか:前田正晶
昨日、この点をスポーツに精通した人物と語り合ってみた。彼の主張は
「当然、投・打の両面(both wayであり、私は「二刀流」などと言う戯け
た表現は採らない)で抜群の歴史的な活躍をして実績を残した大谷が選ば
れて欲しい。だが、アメリカの人気球団であるニューヨークヤンキースの
アーロン・ジャッジ(Aaron Judge)が選ばれてしまうのではと懸念して
いる。
ジャッジの記録はホームランのアメリカンリーグの記録と3冠王(にな
るのだろうか)だろうが、大谷は前例のない両面での規定打席と回数を達
成しているので、そこを記者たちがどのように評価するかだ。だが、ヤン
キースの所属であることとアメリカ人であることを考える時にジャッジに
票が入るのではないかと思っている」だった。
私は永年アメリカ人の中で仕事をして実際に経験したと言うか見聞して
きた事例から考える時に、ジャッジに票が流れてしまうことは十分に考え
られると思っている。問題は何分にも今回は二者択一になってしまうだろ
うから、投票する記者たちが何処まで公平にと言うか、微妙な言い方にな
るが、偏見なしに選ぶかにかかってくると思う。個人的には大谷翔平に2
年連続で取らせてやりたいと思うのは言うまでもない事。
実は、我々2人の間で意見が一致したことがあった。それは「大谷翔平
が投・打の両面でシーズンを通して出場する為の体力と気力が何時まで続
くのか」と懸念しているということ。前人未踏であるというのは、それが
どれほどの体力と気力と技術を必要としているかを示しているし、我々が
怖れていることは大谷が限りある身を削って頑張っている以上何処まで両
面体制を維持できるのか」なのである。
即ち、「何時かは何れか一方に絞っていく必要に迫られるのではない
か」なのである。彼は来年も決して強いとは言えないエンジェルスに43億
円で残るのだが、如何に彼が金銭に執着しないと言っても、それでは安す
ぎるだろう。だが、彼はスポンサーからの収入を合算すればMLBでも最上
位の部類になる年収を得ているとも聞いている。彼が将来を見据えたとき
に、野球が終わったときにどの道を選ぶかの問題だと思う。
MLBで一定以上の成績を何年間か続けて残して、それに見合う年俸を得
て、MLBの年金を貰える資格を得れば、そのままアメリカで安定した生活
が出来て気楽だろうとは思う。現地で「周囲に気兼ねせずにいられること
の有難味」は、ノーベル賞を受賞された真鍋淑郎氏がスピーチで語られた
通りだろう。だからこそ、鈴木一朗も松井秀喜も松坂大輔も上原浩治も生
活の拠点をアメリカに置いたままではないか。大谷翔平もその点は視野に
入れていると思うし、そうなくてはなるまい。
話があらぬ方向に進んでしまったかと思うが、最後にもう一つ本題から外
していこう。それはカタカナ表記のことだ。大谷とMVPを争うだろうAaron
Judgeのファーストネームの表記だ。Aaronは「エアロン」に近い発音で
あって、ローマ字読みにした「アーロン」ではないのだ。以前にハンク・
アーロンという選手がいたが、英語の氏名のややこしい点は、Aeronが
ファーストネームになるし、ファミリーネーム(ラストネーム)にもなる
点だ。
矢張り、MVPは大谷翔平に取らせたいと思う。
◎静かな怒りから激しい怒りへ、我ら日本人は立ち上る時が来た
テーマ:ブログ:北村維康
安倍晋三元総理と言ふ国民的英雄が、非業の死をとげたことはショック
であった。そしてまだ見えぬ犯人への怒りは、コーヒーカップの底に沈ん
だ滓(おり)のやうに、私達の心の底に沈み、消えることはない。そんな
時、国葬があった。私も、国民の一人として、団地のヴェランダには日の
丸に黒ネクタイを喪章として付け、掲げた。そして、仕事の休みを取り、
何者かに動かされるやうにして、国葬の場に向った。余りにも献花の行列
が長く、数時間歩いたが、日は落ち、夕闇が迫って来た。止む無く、持っ
てゐた花束を、傍の女性に託し、家に帰った。心の中では、ねんごろに献
花して、祈りは安倍元首相にお届けしたつもりである。後でその女性か
ら、滞りなく献花しましたといふメールを頂いた。尚、私が属してゐる、
防人と歩む会の会長である、葛城南海さんの記事が出てゐたので、以下に
転載する。↓
国葬の日の「海ゆかば」に思う 第二の国歌として危険視、教科書から抹
消も「戦後レジームからの脱却」へ静かに時代の歯車が動き出した(夕刊
フジ - Yahoo!ニュース
URL:
https://news.yahoo.co.jp/articles/0be922c8ee7624c4af1ab1ac4f7ef3c9aeb565ef
さて、昨日は又「決して沖縄を見捨てない!沖縄防衛強化求める緊急
国民集会」が、参議院会館であったので、ヴォランティアとして参加し
た。部屋は超満員の盛況であった。本土からも、沖縄からも、元米海兵隊
のロバート・エルドリッヂ氏も参加し、流暢な日本語で、これからの日本
の進むべき道を訴へた。また今日の情報では、ロシアと交戦中のウクライ
ナが、何とロシアが奪った北方領土は、日本のものだから返すべきだと
言ってゐる。過去の大東亜戦争で日本が失ったものは、余りにも大きい
が我らはひたすら、静かに耐へてきた。戦後、マッカーサーは、余りにも
強い日本を恐れ、警戒するあまり、我らの歴史、文化、そして言語まで、
勝手に改変した。私が、正仮名遣ひをあくまで踏襲するのは、それこそ安
倍元首相が提唱した、戦後レヂームからの脱却の一環としてなのである。
国葬の、数キロにも及ぶ献花の列は、日本人が本当は静かに怒ってゐる
ことを実証した。これからもその怒りはあちこちで噴出するだらう。それ
は自分自身をも守る防衛活動として、否、国家全体を守る愛国運動とし
て、谷口雅春師が警鐘を乱打された通り、本来の大日本帝国憲法復原運動
として発展するに違ひない。大方の読者諸氏の、御賛同を祈る事、切なる
ものがある。
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身 辺 雑 記
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12日の東京湾岸は晴。
渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。
元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。
仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。
兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。
渡部 亮次郎
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渡部 亮次郎