2007年08月29日

◆中国航空母艦隊の編成

                       渡部亮次郎

岡部文雄氏(元海上幕僚長・海将)は10年前に国際経済政策調査会で「う
みのバイブル」第2巻(中国海軍・南シナ海・尖閣、韓国海軍・北東ア
ジアの諸問題に関するに関する基礎的な論文)を発表し、

「歴史的事実は、中国が近隣諸国との問題解決を、平和的な交渉よりも、
軍事的解決に委ねていることを物語っている」と警告していた。

あれから10年、我々が油断している隙に「空母保有を目指す中国軍が、
空母艦載機を海外に発注したことが23日までに分かった」という事態に
発展した。

あの時岡部文雄氏が指摘した点は次のようなことだった。

<記憶に新しい最近の事実は、南シナ海の南沙群島をめぐる紛争(88年)
において、ベトナム及び、フィリッピンが領有を主張する小島を、武力
を用いて支配下においたことである。

また台湾をめぐり中国が実施した軍事演習(96年)である。明らかに「李
登輝の総統選出の阻止」を目的としたものであり、ひいては「台湾の独
立は仮令軍事力を行使しても許さない」と言う中国の強い意志を示した
ものである。

今後、中国が強力な海軍力を保有した場合、「政治的な影響力の行使や
紛争解決の手段に躊躇なく使用する恐れがある」ことを念頭に置いて、
近隣に位置するわが国は、それを顕在化させない対策を立てる必要があ
る。

そのため外交努力及び軍事政策・情報の公開や軍事交流を推進し、相互
の信頼を醸成することが大切であり、同時に日米安保体制の強化を図る
とともに、自ら相応の海上防衛力を保有し、常に練成しておくことであ
る。(平成9.7.31記)>
 
あれから10年が過ぎて現状はどうなり、日本人は如何に油断しているか。
2007年8月24日付の産経新聞によると、「中国、空母保有へ1歩 テスト
用艦載機を発注 」と題して次のように報じている。

<【北京=野口東秀】空母保有を目指す中国軍が、空母艦載機を海外に
発注したことが23日までに分かった。中国軍の動向を研究する軍事筋が
明らかにした。

中国による空母建造計画の全容は不明だが、保有に向けて着実に歩みを
進めているものとみられ、日米の防衛関係者は中国の動向に強い関心を
寄せている。

艦載機は「テスト用」で、ロシアの戦闘機スホイ27を艦載機に改良した
33型機を含む27型系統。発注先はロシアかウクライナとみられ、全
体で10機程度とされる。同筋は、テスト機は訓練と艦載機としての能力
評価などに使うためと推測している。

また、空母艦載機の着艦時に使う制動装置なども海外から一部購入して
いる模様だ。制動装置は、艦載機が着艦時に使う拘束ワイヤなどで、こ
の他にも空母用とみられる各種制御装置、電子系統の研究も進めている
とみられる。

関係者によると、中国の空母建造計画は、大連に係留され改修が進めら
れている旧ソ連海軍の未完成空母「ワリヤーグ」(約5万8500トン)を
「実験用」として使用するとの見方が浮上している。

2012年前後までに運用実験を終え、その経過を見たうえで、20年代まで
にワリヤーグと同規模の2〜3隻の国産中型空母を建造、作戦運用に必
要な3隻体制を目指す−との観測だ。

中国としては空母艦隊の保有により、海空戦力を劇的に向上させ、「遠
洋での防衛能力向上」を狙う一方、米海軍の空母部隊の軍事的介入の時
間を遅らせる「対台湾戦略」を描いているとみられる。

ただ、空母艦隊の運用には高性能レーダーなどハード面のほかに、艦隊
の編成や対空・対艦などの立体的な運用技術が必要なため、米軍のよう
な本格的な空母艦隊とは異なる限定的戦力になるとの見方は強い。>
(Sankei Web 2007/08/23 23:57)


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