2007年09月27日

◆納豆は70過ぎから


渡部亮次郎

納豆菌は通常、極めて耐熱性の高い芽胞となって藁に付着しているから、
昔は藁苞(わらづと)に入っているだけだった。ところが科学が進んで、
発泡スチロール容器の普及は納豆の消費拡大に大きく貢献した。

ただし、藁に比べると通気性が悪く、また納豆の臭い成分を吸着しにく
いために、納豆独特の臭いがこもって強くなる傾向がある。

こうした風味の違いや、「自然食品」的なイメージから、一部の高級品
や自然志向の商品、土産物では現在でも藁や経木を使う場合がある。そ
こで現在の納豆には、カラシと納豆用のタレが付属することが多い。藁
苞だと漏れるから無かった。

私が東京で学生生活を始めた昭和29(1954)年春にはまだ早朝の納豆売り
がいた。流行歌手曽根史郎の歌でヒットした井田誠一作詞、利根一郎作
曲の「若いお巡りさん」の3番は「もしもし景気はどうだい納豆屋さん」
という出だし。

「卒業するまでへばらずやんな」と励ましているところを見るとアルバ
イト学生が早朝、納豆を売り歩いていたことが分る。歌は昭和31(1956)
年に大流行した。その苦学生は4年後には卒業していたが、納豆を売らな
くてもいい学生が安保闘争をやり、国会に突入、犠牲者を出した。

「納豆売り」の苦学生は「なっと〜〜、なっと〜〜ィ(語尾をあげる)」
と路地を徒歩で回った。

現在では主にスーパーマーケットの食料品売り場などで販売されている。
また、茨城県や埼玉県川越市などでは土産物として販売している場合も
ある。

納豆の本場は水戸という人が多いが、秋田県仙北郡美郷町には「納豆発
祥の地」の碑がある。ヤマダフーズの本社工場があり、東北随一の出荷
量を誇る。

茨城県水戸市では明治以降、産地としてもっとも知られている。毎年3月
10日に「納豆早食い大会」が開催されている。

熊本県も九州では例外的に古くから普及している。これは、加藤清正が
朝鮮出兵の際濡れた大豆を馬に積んでいたのが馬の高い体温で発酵し納
豆になったとの言い伝えがあるからだとされる。全国規模の納豆製造会
社がありスーパーマーケットで普通に売られていて、消費量も多い。

一般に消費量は東日本が多く、西日本(特に近畿)ではあまり食べる習
慣が無いとされる。特に北関東〜南東北で消費量が多い。生産量日本一
は茨城県だが、消費量日本一は福島県である(ちなみに消費量最下位は
和歌山県である)。

近年は関西地方でもスーパーなどで10銘柄程度の商品が普通に売られ、
陳列スペースもほとんど関東と変わらなくなっている。

私が単身赴任した頃(1973年)の大阪で納豆を食べる人は無かったらしく、どこにも売っていなかった。と言っても私は納豆は好物ではなかったから痛痒は感じなかった。幼少の頃、父母が納豆作りに失敗するから、味を知らないで育ったのである。

東京・向島生まれの家人は時々、無性に食べたくなるというほどの納豆好き。私が納豆を拒否しなくなったのは70歳を過ぎてからである。

納豆菌は通常、極めて耐熱性の高い芽胞となって藁に付着しており、100度で沸騰している湯に数分浸すと他の雑菌が煮沸消毒されて死滅し、納豆菌芽胞だけが生き残る。

その後、37〜42℃に保つと芽胞から納豆菌が発芽し増殖を始める。更に
旺盛な繁殖力で、他の芽胞菌類より先に栄養となる物質を盛んに消費し
て、繁殖を阻む、という。

したがって藁に囲まれて働いた父母が納豆作りに殆ど失敗したのは藁苞
に煮豆を入れた後に37〜42℃に保つことに失敗したものであろう。

ヒマラヤ、中国雲南省から日本までの照葉樹林地帯にみられる食品であ
るが、日本における伝来経路は不明である。納豆に関する研究は、少な
くとも明治時代末から行われている。

納豆の粘りに関する研究は、昭和30年代に初めて論文が書かれた。主成
分をポリグルタミン酸と言い、納豆は自分を守る為に作り出しているこ
とが分かった。

納豆から得られたポリグルタミン酸を放射線処理して樹脂化したもの
(納豆樹脂)は、高吸水性(1gで5Lもの水を蓄える事が可能)を持つと
ともに可塑性、生分解性を持つ。 このため化粧品、包装資材、土壌の保水剤などさまざまな目的に使えるとして期待されている。

7月10日が「納豆の日」の日とされている。これは1981年、関西での納豆消費拡大のため、関西納豆工業協同組合が7・10の語呂合わせで制定したもの。1992年、全国納豆工業協同組合連合会が改めて「納豆の日」を制定した。

しかし「納豆」「納豆汁」が冬の季語である事や、「納豆時に医者要ら
ず」という諺があったように、もともと納豆の時期は冬とされている。
そのため7月に納豆の日を設けることには異論もある。

なお、納豆を絶対食べてはいけない人がいる。血栓塞栓症の治療及び予
防(心房細動による脳塞栓症予防)のためワルファリンを処方されてい
る人。納豆、クロレラなどのビタミンKの多い食品を取るとワルファリンの効果は減ずるからである。

2007年1月7日に放送された関西テレビ・フジテレビの「発掘!あるある大事典2」で、納豆がダイエットに効果があると報じられ、品薄状態になったことがある。しかし、内容データがねつ造されていたことが判明した。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』2007.05.25



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