2007年10月01日

◆健康百話―酸素をしながら自宅に帰る

                   寺内孝子(看護師)

昔は病院に入院といえば、元気で歩けるようになってから退院というのが普通でした。ところが病院の機能分化がされてからは「治療が終われば自宅へ帰る」という方向になっています。これは日本の膨大になった医療費を抑制するためです。そのため医療処置をもったまま退院される方が最近特に増えています。
 
医療処置をもったまま家に帰るのはどんな時でしょう。例えば酸素をした状態・点滴をした状態・管から栄養剤を入れた状態、オシッコの管が入った状態、褥瘡の処置や痰の吸引をしなければならない状態・・・しかし、ご家族は「そんな状態で家に帰れるの」と不安に思われるでしょう。

いえいえ、人工呼吸器を付けたまま自宅に帰ることもできるのです。そこで、できるだけ不安なく自宅で過ごすことができるよう、私たち病棟看護師や医師と連絡をとりながら応援していきます。

 今回は最近多い酸素をした状態で自宅に帰る「在宅酸素療法」についてお話いたします。様々な要因から肺機能が低下し呼吸することが困難になる慢性閉塞性肺疾患などで常に酸素を使用しなければならない方がいらっしゃいます。

昔は酸素が必要であれば入院が必要でしたが、最近は酸素濃縮器の普及により家庭での酸素吸入が容易になりました。また、軽量のボンベを使えば外出も可能です。そこでそのような方にはその人にあった酸素の器械を担当医が選択し、酸素濃縮器の業者へ連絡、自宅で使用する酸素の機械を入院部屋に設置し、入院中から患者様やご家族に使用方法を練習していただきます。


レンタル料は患者から病院に支払っていただき、病院が業者にレンタル料を支払う仕組みになっています。業者から器械の詳しい説明を聞いていただき、看護師からも日常で注意する点について説明します。

禁煙はもちろんですが、特に風邪をひかないよう気をつける点について説明いたします。ご家族の中には「火気の使用がこわい」と思う方もいらっしゃると思いますが、酸素を吸っている鼻から2m離せば安全です。また、停電になっても酸素濃縮器以外に酸素ボンベを準備されていれば安心です。

最低月に1回の受診は必要ですが、「何かあった時すぐ診てもらいたい」という時や、「通院が遠くて大変」というような場合にも自宅の近くにかかりつけ医をもち、定期的に身体の状態を見てもらっていればいざという時安心です。

また、通院が困難な時、自宅へ往診してもらうこともできます。他には訪問看護師さんに定期的に身体の酸素の量などを測ってもらい状態を見てもらうこともできます。

そのかかりつけ医や訪問看護師を探したり、患者の状態を情報交換してよりよい方法で安全に暮らせるように連絡調整する役目が私達の仕事です。もちろん酸素のことだけではありません。暮らしやすいようにヘルパーが必要、自分で食事が作れないというような悩みにも対応していきます。
 
酸素をしながら自宅に帰ることは決して難しい事ではありません。閉鎖的にならず酸素をしながら自宅だけでなく、公園・デパート・旅行など活動する場所を広げ、もっと人生を楽しみましょう。そのお手伝いを私たち「退院調整看護師」がさせて頂いております。
              <大阪厚生年金病院 主任看護師>
 

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