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岩本宏紀(在仏)
セーヌにかかる橋はそれぞれに風情がある。ぼくが二番目に気に入っているのはビル・アッケン(Bir-Hakeim)だ。
エッフェル塔から旧日航ホテルへ歩くとすぐに見えてくる、二階建ての橋だ。下はひととクルマ、上を地下鉄が走っている。それをきくと機能一点張りのデザインを想像されるひとが多いだろうが、この橋は遊び心をうしなっていない。
アーチにはしぶい緑色の塗装。地下鉄を支える鉄柱にはわずかな曲線が施され、数十本が規則正しく二列に並んだ様は回廊の柱のようだ。ここでときどきファッションの写真撮影が行われるのも頷ける。
橋の中央は“白鳥の散歩道”という人工島の先端にのっかっている。そこにはエッフェル塔に剣を突き出す騎士の像が立っている。
“フランスの力”と命名されたこの騎馬像の躍動感。その先にどっしりと聳えるエッフェル塔の重量感。
ここから眺めるライトアップされたエッフェル塔もまたすばらしい。十二月の寒い夜、三脚を立てて写真を撮りクリスマスカードにしたこともあるくらいだ。巴里祭の花火もこのアングルが最高だと聞いた。
機能はしっかり果たしながらも見る人を楽しませてくれるこんな橋を作った街。豊かというか懐が深いというべきか、とにかく脱帽です。
2007年10月03日
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