2007年10月04日

◆煮詰まったテイクオフ・プラン

                    毛馬 一三

08年1月にテイクオフする大阪ドクターヘリの運行プランがほぼ固まり、具体化へ大きく前進する見通しとなった。「妊婦たらい回し死産問題」で揺れる隣県奈良県が、大阪ドクターヘリ事業に連携していく意向を示すなど、大都市圏では全国初の同機運行開始だけに大きな期待が集まっている。

大阪ドクターヘリは、大阪府が2007年度2月定例府議会で「ドクターヘリ1機」導入の予算額9500万円を提案し、翌2008年1月の就航を目指す方針を明らかにしたことから、同機の本格テイクオフに向けての動きが軌道に乗った。

全国では12番機となる同機導入だが、大阪導入に向けた最初のキッカケからわずか2年と3ヶ月でテイクオフに漕ぎ着けられたのは、異例のスピードといっていい。まして過密都市部での導入に対する府庁内外の消極論を抑え、首都圏東京に先んじて実施に踏み切ることは、大いに評価される所であろう。

そんな中、今開かれている9月定例府議会で、同機テイクオフに向けた具体的な事業プランが大きく浮かび上がってきた。

大阪府議会の光澤忍議員(公明)が4日の代表質問で、「ドクターヘリの運用の準備はどこまで進んでいるのか。府下の救急医療体制の強化を図るだけではなく、近畿各府県と連携し相互に活用する事業とするべきではないか」と質したのに対し、太田房江知事がこう答えた。

<現在、消防本部や災害拠点病院等で作っている「大阪府ドクターヘリ運行調整委員会」で詰の協議をしており、焦点の着陸地は150箇所を確保することで協議している。また15分で府内全域、約30分でほぼ近畿全域をカバーできるため、この機動力とアクセスの良さを生かした広域活用のシステムづくりによって、近畿各府県との連携をも進めている。>

この知事答弁は、この3ヶ月後に迫ってきたテイクオフを前に準備が着々進んでいることを述べたものだが、府関係者の話によると、それに向けた体制は更に進んでいることが分かってきた。


それは下記のようなものである。
・発着する基地病院は、大阪大学医学部付属病院高度救命救急センターで、病院屋上ヘリポートを離発着の拠点とする
・ヘリの仕様は、ユーロコプター式EC135型。定員7人乗りを6人で運用。患者監視用モニター等医療機器を搭載する
・運行時間は、土・日・休日を含む365日、午前8時30分から日没まで。
・運行内容は、平時の救急搬送と事故・災害時の医療救護活動の2分野とする。
・150箇所の離発着場所は、学校運動場・運動施設・青少年施設・公園・自然公園内の広場などを候補地として推薦を受け、航空法の手続きを経て内定中。等々である。

そして最大の関心事である出動件数は、年間300件を想定していると関係者は明かす。この中には病院間の搬送、重度外傷・急性心筋梗塞・急性脳卒中などの症例、すなわちヘリ搬送が不可欠な患者のことだ。「道路渋滞に巻き込まれることなく、医療過疎地からも迅速な搬送で、救命率の向上に貢献できる」との見通しを付け加えている。

このよう大阪府の大阪ドクターヘリ事業に対して、「妊婦たらい回し・死産問題が起きたばかりの奈良県で早くも動きが出た。同県議会少子高齢化対策特別委員会で岡史朗議員(公明)が救急搬送システムの確立を質したところ県側は、「大阪のドクターヘリ事業と連携したい」と答えた上、ヘリポート基地は県立医大病院を念頭に置いていることを表明したという。テイクオフの連携は、滋賀県・京都府にも広がりそうだと関係者は指摘する。

ところで、この大阪ドクターヘリ導入のキッカケを拵えたのは、NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」の国松孝次理事長と元NHK記者の石岡荘十氏だったことは既に触れている。その国松理事長を石岡氏同席の上で、大阪府議会公明会派の光澤忍議員に筆者が引き合わせたのが、丁度2年前の05年9月だった。

以来、光澤議員の動きは素早かった。同議員は、「ドクターヘリの搬送システム」を府議会代表質問で太田知事の同意を取り付けた。知事も、光澤議員の進言を受け入れて國松理事長と事務当局を接触させ、いわゆる「ドクターヘリに関する特別措置法」の成立後の第1号ドクターヘリのテイクオフにこぎつけたわけだ。

前出の国松理事長の言葉を思い出す。
「ドクターヘリを1機飛ばすのにかかるお金は、年間で2億円程度です。仮にヘリを各都道府県に1機ずつ配備し、約50機のヘリを運航すると、年間で100億円必要になります。大変な額のお金だと思うかもしれませんが、実は、そうでもないのです。国民一人当たりの負担として見ると80円ですから、これで助かる命が増えるのなら、安いものです」。

まさに同感である。                                              07.10.05


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック