2007年10月19日

◆忍び寄る耐性菌

                       渡部亮次郎

<耐性菌で死者1万8千人超 05年に、米保健当局推計

代表的な抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に全米で2005年に感染したのは約9万4000人で、そのうち約1万8600人が死亡したとの推計を米疾病対策センター(CDC)がまとめ、米医師会雑誌(電子版)に16日発表した。

日本を含め先進国で感染拡大が問題になっている薬剤耐性菌での推計は全米で初めて。医療関係者は「05年の米国内のエイズ感染による死者数約1万7000人を上回る」と警戒を強めている。>(ワシントン=共同)2007.10.17

感染は人口10万人当たり31・8人、死者は同6・3人となった。院内感染を含め、医療施設での感染が約85%を占め、病院外で広がる「市中型」も約15%あった、という発表である。街を歩いていて感染する事もあるということだ。

85%が院内感染とは当然だろう。なぜなら病院こそは病気のデパート。様々な病気、知らないうちに知らない黴菌に感染している人々が集まっている場所なのだから。

CDCの担当者は「MRSAの蔓延(まんえん)は予想以上であり、病院など医療施設は感染防止をより重視すべきだ」と指摘している。

他人事(人事)ではない。このため永年の親友を亡くしたのである。
山崎康正君。2007年6月1日に死去。NHK記者を都合で途中退職。何の伝手も無いのにニューヨークへ渡ったにも拘らず、フリーのジャーナリストとして成功。

NHKのラジオ深夜便にも時折、現地から電話出演。その功績でNHKから会長賞を受けて笑っていた。真面目に働いていた時は何の沙汰も無かったのに、辞めて何年も経ってから出演者として表彰を受けるとは、と笑っていた。

ニューヨーク滞在20年。JALの旅客乗務員だった夫人とは2人の子供をもうけながら離婚。その後にNYに渡ったのだった。マンハッタンの中心の高級アパートで自炊生活。私は何回も泊めて貰った。

突然、2007年1月、急性白血病で倒れてNYの病院に入院。長くなるからという病院の奨めで急遽、帰国。母方の祖父が教授だったという縁で東京・信濃町の慶応大学病院に移ったのは4月。

抗癌剤の投与で容貌が変わり、誰にも見られたくないと私にさえ知らせなかった。実はNYの病院で耐性菌に院内感染していたのがわかった。しかし耐性菌とあっては施す術なし。死を待つだけとなり、
遂に6月1日、多臓器不全となって死去した。まだ67歳だった。


共同通信者の医学情報を添付して「警報」を鳴らす次第である。

<忍び寄る怖い耐性菌 難しいコントロール

院内感染による入院患者の死亡が各地で続いている。その背景には、抗菌薬(抗生物質を含む)が効かない耐性菌が増え、コントロールがますます困難になっているという状況がある。

「耐性菌はわれわれの体内に内在しているので、制御するのは新型肺炎(SARS)ウイルスと比べても極めて難しい。既に病院内だけでなく、町の中での感染も増加している。

交通手段の発達などにより、どこでアウトブレーク(大発生)が起きてもおかしくない」と東北大大学院の賀来(かく)満夫教授(感染制御・検査診断学)は指摘する。

  ▽代表格はMRSA

耐性菌といえば代表格はMRSA。正確には「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」だ。免疫力が低下した入院患者らにとっては脅威だが、今や全国各地で高頻度に検出されているという。

「主な大きな病院の入院患者と外来の患者を調べると、日本では平均して65%の人がMRSAを持っている。世界でも最悪のナンバーワン。多くの人が、MRSAを体の中に持っており、常在菌化している」(同教授)

肺炎を起こす菌として知られる「肺炎球菌」はペニシリンがよく効く菌だったが、これも耐性化が進んだ。

「耳鼻科領域では、子供の中耳炎を起こす菌で、現在、3歳以下の中耳炎では91%が耐性菌のためペニシリンが効かないというデータが出ている」(同教授)

緑膿(りょくのう)菌もどこにでもいる菌だが、5%前後が多剤耐性菌になっている。このほかにも有力な抗菌薬が効かない耐性菌がじわじわと増えつつある。

世界保健機関(WHO)は2001年に「先進国では抗菌薬の無意味な処方の増加、途上国では低用量の処方、そのいずれもが耐性菌の増加に関係している」との警告を出している。
 
 ▽堂々巡りを断ち切れるか

感染症で病気になれば、抗菌薬を使わざるを得ない。堂々巡りのどこで輪を断ち切れるか、そこが難しい。

米国は5年前、国家戦略として耐性菌対策をスタートさせている。日本では経費削減で病院の検査部の外注化が進むなど、院内の監視態勢の弱体化も指摘される。

「日本はあまりに危機意識が欠けている。まず不可欠なのが監視と予防。耐性菌には地域ぐるみの対応が必要でネットワークの構築や啓発・教育が重要」と賀来教授。

「抗菌薬の有効使用には血中濃度などの体内動態が大事なことが分かってきた。1つの薬を使い続けず、数種の薬を時間をおいて使い分けるサイクル療法など、耐性菌を減少させる方法も分かってきた」と話している。>

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