2007年12月10日

◆1月16日にテイクオフへ

                  毛馬 一三 

大都市圏で全国初の大阪ドクターヘリが、2008年1月16日に就航することが内定した。この日は、13年目を迎える阪神淡路大震災が起きた日の前日に当り、震災で亡くなった被災者の慰霊を兼ねると共に、重篤な患者や震災被害者を救済する今後の使命遂行を祈願して、この日が設定されたという。

皮肉にも、この日は任期満了に伴う大阪府知事選挙の真っ只中で、このドクターヘリ導入に多大の貢献した太田房江知事は、同選挙への出馬を断念したため、複雑な胸中で同機のテイクオフを見守ることになる。

大阪府ドクターヘリは、11道県につぐ13番機となるが、首都圏東京に先んじ、キッカケからわずか2年と3ヶ月でテイクオフに漕ぎ着けた。その背景には、先述の太田知事のほかに、大阪府議会の光澤忍府議(公明会派)や救急救命専門医らの功績は見逃せない。

府のドクターヘリは、大阪大学医学部付属病院高度救命救急センターを基地局と定め、同病院の屋上で常時待機中の「ユーロコプター式EC135型」のドクターヘリ1機(予備1機も待機)が、消防本部通信指令室のホットラインによる要請を受けて出動する。

同機には、操縦士、整備士、医師、看護師が同乗し、患者を運ぶストレッチャー1台も搭載。飛来するヘリは、患者を乗せた救急車の近くに着陸、そこでまず患者に対して、ヘリ搭乗の医師と看護師による救命処置が行われる。

それが終わると同医師、看護師が付き添って患者をヘリ搭乗させ、大阪府が指定する基地病院や近隣の医療機関に搬送するという仕組みだ。

運行時間は年中無休、午前8時半から日没までフル稼働する。既に府下で150箇所の離着陸場所が確保されており、近畿各府県との間でも具体的な離着陸場所の確保などについて調整が進められている。

気懸かりは、基地局から現場までの飛行所要時間が計画通りに進むかどうかだが、府の就航シュミレーションに基づき、ホットラインによる要請を受けて出動し、指定現場に着くまでの所要時間をこれまで10日間・10コースで、医師、看護師を同乗させて検証している。

その結果飛立つまでが5分、府下の指定現場までは15分と計画通り運行出来ることが確認された。また近畿各府県の指定現場にも、概ね30分で到着出来ることが実証されたという。

専門学識経験者などによる「大阪府ドクターヘリ運行調整委員会」によると、17年度の救急搬送症例の分析で、「搬送に30分以上を要した患者のうち、重度外傷、急性心筋梗塞、急性脳卒中などの症例で、ヘリ飛行が可能な昼間の搬送98例」など、312例がヘリ輸送が適応だった症例との指摘をうけている。

つまり、テイクオフする08年からからは、大阪府下だけで何と年間300人以上もの重篤患者の命を救うことが可能だと、実例を根拠にドクターヘリ効果を上申しているのだ。

だから産科医不足で妊婦を死亡させた奈良県が、大阪府ドクターヘリ運行との連携に積極的であるなど、山間部や僻地を多く擁する近畿府県では、今回の大阪府への参加を強く求めているのが実情だ。

ところで、この大阪ドクターヘリ導入のキッカケが、NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」の国松孝次理事長とメルマガ「頂門の一針」の常連執筆者の石岡荘十氏(友人)が、光澤府議と接触したことからだったことは、何度か触れている。

その国松理事長はこう言っている。「ドクターヘリを1機飛ばすのにかかるお金は、年間で4億円弱(内国庫8、790万円)です。大変な額のお金だと思うかもしれませんが、実は、国民1人当たりの負担として見ると160円で済みますから、これで助かる命が増えるのなら、安いものです」。

ドクターヘリ運行で掛かった患者の運送費用は、保険が適用されるという。その分患者の負担は軽くて済むし、それよりも何よりも毎年300人以上の命が助かるということ自体が拍手そのものだ。大都市圏は全国初の大阪ドクターヘリは、これから1ヶ月余にはついに稼動する。(了)    2007.12.09

◆上記原稿は、全国版メイル・マガジン「頂門の一針」1023号
    平成19(2007)年12月10日(月)に掲載されました。

(1023号 目次)

          ・1月16日テイクオフ:毛馬一三

  ・民 主 党:前田正晶

  ・拝啓 渡辺行革大臣閣下:平井修一

  ・ハノイ喜怒哀楽(55):渡邉由喜

  ・参謀本部「機密戦争日誌」:平井修一

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