岩本宏紀(在仏)
年末久しぶりに風邪をひいた。咳がなかなか止まらないので潮風に当りたくなった。
巴里のサンラザール駅から電車で二時間。英仏海峡に面する隣りあわせのふたつの町、トゥルービルとドービルにやってきた。
この程度の距離(200Km)なら、いつもはクルマで移動するのだが、12月に手に入れた本、“プロジェクトX, リーダーたちの言葉”が読みたかったので敢えて電車にした。
トゥルービルもドービルもリゾート地。カジノとホテルがあり、巴里から手軽にくることができる。長い砂浜には板の散歩道がつくってあり、とても歩きやすい。
老紳士に連れられた豚犬に出合った。顔と毛並みが豚に似ているので、家族が勝手にそう名づけた。なぜか右前脚と右後ろ脚を同時に出す愛嬌者だ。十代の恋人たち、ベビーカーを押す若夫婦、60代半ばの4、5人のグループ・・・・。フランスはジョギングをするひとは少ないが、散歩するひとが多い。
確か16年くらい前、50フラン札(当時1000円くらいの価値だった)が、“星の王子さま”のデザインに変わったとき、ある経験をしたことを思い出す。巴里の南、300KmのサーキットにF1を観に行ったときのことだ。
売店でもらったお釣りに、ふるい50フラン札が混ざっていた。
“もうこれは使えないから、新札にかえてくださいよ”と言うと
“新しいお札は見たことがないですね”との返事。この頃巴里ではすでに、お店が旧札を受け取るのをいやがっていた。
“巴里はフランスではない。巴里は巴里という名のひとつの国である”という言葉をきいたことがある。気質だけではなく、経済的にもそうなのかと実感したものだ。
マルシェ(朝市)で買ったクロワッサンを食べながら砂浜を散歩。歩き疲れてホテル・ノルマンディのバーでセイロン茶を飲みながら、これを書いている。我ながら贅沢な日曜日だなあと思う。(完)
2008年01月24日
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