2008年03月01日

◆巴里だより「こころの新陳代謝」

岩本宏紀(在仏)

★捨てられない性分
次から次へと買換えていつも新しいものをもっているよりは、
いいものを手に入れてそれを永く使いたいとぼくは思う。そのせいか古くなったものがなかなか捨てられない。 

十年以上前のこと。 ほとんど聴かなくなったカセットテープやCD、手にすることもない古い雑誌などがぼくの棚を占領しているのを見て、家族がこう言ったことがある。
「いらなくなったものは早いとこ処分したほうがいいわよ、おとうさん。
古いものをずっともっているとね、新しいエネルギーがやってこないよ。」

たしかにそうだ。もう聴きたいと思わなくなった、読みたいと思わなくなったということは、その音楽や文章を卒業し次の段階へ行く準備ができたということに違いない。未練を断ち切り思い切って処分すれば、新しい道に歩き出せるだろう。

★野球選手のロッカー
松井秀喜がロッカーの大掃除をしたことを週刊文春に書いていた。 調子が落ち込んでいたとき、ふとロッカーの掃除を思い立った。ニューヨークヤンキーズ球場にある自分のロッカーから中身を引っぱり出してみると、何か月も使っていないもの、存在すら忘れていたものがわんさか出てきた。片っ端から捨てて必要なものだけにすると、爽快な気分。おまけに翌日から急にヒットが出始めた、という話だった。

★別れを告げてごみ袋へ
今はものを溜め込んでも文句を言われることもないひとり暮らしのだが、年に二、三回は押入れやたんす、本棚の整理をしている。 もう着なくなった服やネクタイ、興味の失せた本やCD。手に取ると思い出が蘇ってきたり、まだ使う機会があるかも知れないと思えたりして心は迷う。けれども「ながい間ありがとう。今日でさよならだ。」とつぶやいてごみ袋に放り込む。 すると古い自分に別れを告げたような気分になれる。新しい何かが起こる予感すら感じる。

★大掃除、大賛成
敢えて師走の忙しい時期に大掃除をすることを、ぼくはよしとする。 一年の埃を払い落とし、ご用済みの品々を処分してすがすがしい気分で新年を迎える。陳腐化したものを捨去ってできた空間に、新しい生命力を迎え入れる。年末の大掃除はフランスやオランダではお目にかかったことのない、紛れもなく素晴らしい日本の伝統行事である。

添付画像 : 塵ひとつない厨房。 磨き上げられた銀食器が整然と並ぶ様は、
あたかも美術館の展示のよう。清潔なこの空間から一流の料理が生まれる。 
 巴里の高級ホテルにて
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