数年前から花粉症になった。シーズンになると外出しようものなら鼻水
と涙が止まらない。目は痒くて堪らない。今年(2008)も3月入り。そろそ
ろかと戦いている。
花粉症は体内から寄生虫を撲滅しすぎたためとする説を唱え、自ら腸内
にサナダ虫を入れた教授がいる事は耳にしていたが、4日朝、ラジオ深夜
便に登場した。「皆さん」の放送局もアジなことをするじゃないか。
<藤田 紘一郎(ふじた こういちろう)、1939年生まれ医学博士。東京
医科歯科大学名誉教授。花粉症の原因を寄生虫を撲滅しすぎたためとす
る説を広めたことでも知られる。
自身の研究の一環として、自らの腸内で“きよみちゃん”と名付けた寄
生虫と共生している。人間総合科学大学教授。専門は、寄生虫学、感染
免疫学、熱帯医学。
中国東北部(旧満州)生まれ。感染免疫学・寄生虫学の視点から公衆衛
生についての執筆多数。特に寄生虫関連の一般書で広く知られるように
なった。>出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
インターネットで追跡したら2004年4月18日に福井県職員会館101号室で
のご講演速記録に出合った。第22回「ちょっといって講座」での「人と回
虫とウイルスの深い仲」。ご好意に甘えて部分引用をさせて頂こう。
<アトピー、ぜんそく、花粉症は40年前にはなかった病気ですが、なぜ
今日こんなに増えてきたかです。
スギ花粉症になる日本人は5人に1人です。日本で初めてのスギ花粉症
の症例は1963(昭和38)年に出ました。日光のスギ並木は17世紀に植えら
れましたから、17世紀からスギ花粉は飛んでいるということです。
17世紀の日本人は回虫にかかり、いろんな細菌がいましたから、それが
アレルギーを抑えていたのです。ぜんそく、花粉症、アトピーは1950(昭
和25)年には全くなかった。それが1965(昭和40)年以降急激に増え出した。
1950年の回虫感染率は62%でした。回虫の感染率が5%を切った1965年
から増えだしたわけです。
35年前には奄美大島の住民の5%〜10%がフィラリア病にかかっていま
したが、われわれの研究で1978年フィラリア病は日本から完全になくな
ってしまいました。回虫などの寄生虫も同じように減ってきました。
その後インドネシア・カリマンタン島に調査に行きました。カリマンタ
ン島の子供たちは、うんこが流れている川で元気に水遊びをしているわ
けです。
私が、こんな汚いところで遊んでいると病気になるよというと、子供た
ちはうんこ・おしっこがなぜ汚いのかと聞き返すのです。
ところが、この子供たちの肌はつるつるしておりアトピーがない、ぜん
そくがない、花粉症がないのです。なぜアレルギー病がないのかという
のが私の生涯の研究テーマになりました。
50年前、私が小学生の頃はほとんど全員が回虫を持っていました。駆虫
のために、用務員室で海人草をグツグツと煮たものを飲まされました。
ものすごく苦いのです。
夜になると、肛門から回虫が出てくるのですがそれを引っ張り出して、
洗って学校へ持って行くのです。一番長いのは1等賞、数が多いのは最
多賞です。翌日は先生の机の上には回虫が山盛りになっていました。
しかし、誰も変には思っていませんでした。寄生虫は全員いるものだと
思っていました。そのころ杉鉄砲という遊びをしていました。竹筒に杉
の実を入れてパチンと打つわけです。
その実を取るときには全身花粉まみれになっていましたが、誰も花粉症
になっていませんでした。私は子供の頃の経験とインドネシアの調査か
ら回虫がアレルギーを抑えている!と思いました。
ところで、一旦アトピーやぜんそくになると、なかなか治りません。ア
レルギーを完全に治す薬がないのです。簡単に言うと、肥満細胞が破れ
た状態がアレルギーです。
肥満細胞はいろいろな部位の粘膜にあります。鼻の粘膜の肥満細胞が破
れヒスタミン、セロトニンが出ると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりになり
ます。
気管支の肥満細胞が破れると、気管支喘息に、皮膚の粘膜の肥満細胞が
破れると皮膚が赤くなりアトピーになります。アレルギーを治す薬とい
うのはこれまでは抗ヒスタミン剤が主です。肥満細胞が破れて出てきた
ヒスタミンを中和する働きをします。
アトピーになると肥満細胞が破れ続けているわけです。その出てきたヒ
スタミンを中和するわけですから、根本的な薬ではないわけです。
ところが、寄生虫から取り出したアレルギーを抑える薬は肥満細胞を覆
い、肥満細胞を破れなくする根本的な治療薬になるわけです。この寄生
虫由来の薬の遺伝子を決めて、これを大腸菌の遺伝子の中に入れて増や
せば大量の薬を手に入れることができるわけです。
15歳の女の子ですが顔がアトピーでタダレて人前にも出られず、3度自
殺しかけたというのです。そこで、私にサナダムシで治療して欲しいと
いうのです。
その子にサナダムシを飲ませ、ナオミと名前をつけ、お腹にナオミちゃ
んがいるんだから勝手に自殺してはいけないと諭しました。その後彼女
はだんだんアトピーが治り今年早稲田大学に入りました。
しかし、寄生虫での治療は日本では出来ないことになっています。先日、
学長に呼ばれました。「藤田君2つ質問する。サナダムシは食べ物かい」
というので、「食べ物ではないと思います」と答えました。
次に「サナダムシは薬かい」というので「まだ薬にはなっていないと思
います」と答えました。すると学長は「薬事法違反と食品衛生法違反で
逮捕する」というのです。
そこで私は「学長は納豆を食べるでしょう。ヨーグルトを飲んでいるで
しょう。生きたバイ菌を食べているじゃないですか、寄生虫と同じでしょ
う」といいました。すると学長は「違う、サナダムシは腸管を食い破る」
というのです。
「とんでもない、私はサナダムシを数年間飼っています。最初はサトミ
ちゃん、次はヒロミちゃん、キヨミちゃん、今はナオミちゃんがいます。
私はこんなに元気です。おかしいじゃないですか」と反論しました。
私は寄生虫体からアレルギー反応を抑える物質を分離し、その特許を取
り、アメリカのベンチャー企業と組んで薬をつくりました。ところが困っ
たことが起こりました。
この薬は、アトピーは一発で治すのですが免疫のバランスを崩してしま
い、ガンになりやすくなるのです。
免疫はTh(ヘルパーT細胞)1とTh2という2つの工場でできてい
ます。ガン細胞を見つけてやっつけるのがTh1、アレルギーを抑える
のがTh2です。この2つがちょうどシーソーの上に乗った状態にあり、
バランスをとっています。
みなさんは毎日3000個以上のガン細胞が出来ているのをご存じですか?
でも、われわれが簡単にはガンにならないのはTh1が見張っていて、
インターフェロンを出したり、ナチュラルキラー細胞に命令してガン細
胞をやっつけているからです。老化するとガン細胞を見逃すことが多く
なり、ガンになりやすくなるわけです。
私が作った薬は、免疫のバランスを崩しTh1が小さくなってしまうの
です。ガン細胞が出てきても見逃す確率が多くなるわけです。私の研究
は西洋医学の限界を示しているといえます。
寄生虫はみんな悪者かというとそうではないのです。人の寄生虫は人の
中でしか子供を産めないわけです。だから、人の寄生虫は人を大事にす
るわけです。動物の寄生虫は動物を大事にするわけです。
寄生虫、ウイルス、細菌というのは独りでは生きられない。必ず宿主が
必要です。だから、その宿主は大事にする
若い女性の膣炎が非常に増加しています。原因は洗いすぎです。小便の
度に洗っている。洗うときれいになると思っているようです。
しかし、女性の膣がきれいなのはデーデルライン乳酸菌がいるからです。
グリコーゲンを食べて乳酸をつくっています。乳酸は酸性です。だから
膣は酸性に保たれており、雑菌が入り込んでも死んでしまう。
ところが、膣を洗うとデーデルライン乳酸菌が流れて膣は中性になりま
すから、雑菌が増えて膣炎を起こし、おりものが増えます。
トリコモナス膣炎というのがあります。トリコモナス原虫が寄生して起
こりますが、トリコモナス原虫は何の悪さもしません。トリコモナス原
虫を膣の中へ入れるとデーデルライン乳酸菌の餌になるグリコーゲンを
横取りしてしまいます。
餌が無くなりデーデルライン乳酸菌は死んでしまい、膣内は中性になる
ので雑菌が増えて炎症を起こします。膣の洗いすぎと同じです。
西洋医学で手をつけられないのは免疫のバランスが重要因子である疾患
です。アレルギーとガンは免疫の両極端にあります。日本癌学会は何十
億円と使って研究していますが、ガンの発生を止めることはできていま
せん。
アレルギー学会も何十億円と使っていますが、毎年アレルギー患者が増
えています。今こそ、東洋医学的な発想が必要です。東洋医学とは個人
個人のバランスを見る学問です。
ガンの治療薬に丸山ワクチンがあります。最高のワクチンだと思うので
すが、西洋医学はそのようなものを認めないのです。丸山ワクチンを投
与するとTh1が大きくなります。
ところが丸山ワクチンにはいろんな成分が入っているのでTh2も大き
くなるのです。丸山ワクチンではガンも抑えられるし、アトピーも抑え
られるわけです。西洋医学ではどちらに効くかをはっきりさせようとす
るから認めないのです。
西洋医学的な考え方で足りないことは「自然治癒力」という概念です。
それをもっと大切にしなければなりません。自然治癒力とは、自然の中
で生きてきた力です。2008・03・04
第22回「ちょっといって講座」
http://www.mitene.or.jp/~ryuzo/chotto/22fujita.htm