小池達也(医師)
コモンディジーズ、つまり「ありきたりの病気」と呼ばれる疾患群があります。誰がかかっても不思議ではない、めずらしくない病気という意味です。
整形外科の分野では、腰痛・骨粗鬆症・変形性関節症などが含まれますが、そういう病気ほど原因がはっきりしていなくて、治療法も確立していません。そこで、今回はその代表である変形性関節症を取り上げてみましょう。
変形性関節症とは、炎症がひどくないのに関節を構成する軟骨が次第に減少し、疼痛が生じ関節の動きが悪くなる病気です。さらに進行すると、骨棘と言われる骨の出っ張りが周辺部に出現し、さらに関節の動きが悪くなります。世間でお年寄りが、「膝に水が溜まってね、大変よ」と言ってる病気です。
治療法には、運動療法・薬物療法・装具療法・手術療法がありますが、膝の変形性関節症を例にとって説明してみましょう。
運動療法として、最も有名で効果も証明されているのが、大腿四頭筋訓練です。
まず、実際の方法を示しますと、仰向けに寝て片足を膝を伸ばしたままで45度くらい持ち上げます。このとき足首も頭の方へそらせた状態で5つ数えて降ろします。
これが1回で、30回繰り返して1セット、一日に片足3セットずつ繰り返してください。これまで行われた研究で、この運動を繰り返していると、関節に溜まる水が減少し、痛みも軽減し、さらに関節内の水の粘度が上昇して正常に近づくことが報告されています。
お金もかかりませんし、副作用もありません。是非やってみてください。ただし、根気は必要です。
次ぎに装具療法です。変形性膝関節症の方は、O脚の方が多いことが分かっています。まっすぐに立って足をそろえて、それでも両膝の間が空いてしまう人です。力学的に考えて、O脚の方は膝の内側ばかりに体重がかかることになり、軟骨の「片減り」が起こってしまいます。
そこで、足の裏に外側が少し高くなった敷物を入れて、体重が内側に集中してかからないようにする方法がよく使われます。実際にこの装具を入れることにより、痛みがかなり軽減される方もおられます。ところが、考えてみてください、足の裏から膝まではかなりの距離があります。
足の裏に薄い敷物を入れただけで本当に効果があるのでしょうか?実際に、これを研究された先生がおられました。すると、足の裏と膝の間には足首の関節があります。せっかく足の裏に敷物を入れたのに、その効果が足首で吸収されてしまうという現象が観察されました。
どうすればよいか?
その先生の結論は、足首まで覆うような装具を作ればより効果が出るというものでした。実際に、そういう装具を作ってくれる装具会社もあります。足の裏に敷くだけでは効果の無かった方は試されても良いかもしれません。
大阪市立大学大学院医学研究科リウマチ外科学
(NPOおおさかシニアネット 転載許諾)
2008年04月05日
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