2008年04月11日

◆残せる?看板人形「太郎」

                  毛馬 一三

大阪ミナミの観光名物といえば、道頓堀川に向かって手を広げた「グリコの看板」、蟹専門店「カニ道楽」の特大カニの看板、それに飲食店「くいだおれ」の電気仕掛け等身大の人形太郎だと、誰しもが認めるところだ。

ところがそのユーモラスな「人形太郎」を売り物に60年も営業を続けてきた老舗「くいだおれ」が、突然7月8日で店仕舞いすることになった。「建物や設備の老朽化のうえに、若者の客離れで売上げが減少したため」だと、経営者。

道頓堀は、太閤秀吉の命を受けて安井道頓が開鑿したもので、以後この周辺は芝居小屋と食い物屋で繁盛し、大阪のくいだおれのまちの中核を為している。

まちが「くいだおれ」でも、食堂の屋号を「くいだおれ」にするのは、「食って倒れるなんて縁起でもないから、それだけはヤメなはれ」という身内全員の反対を押し切り、創業者が「くいだおれ」屋号のままで昭和24年6月に木造2階建の店を開店したのだそうだ。

その翌年、文楽人形をモチーフに、赤白のストライブの服に、黒縁の眼鏡姿で太鼓をリズミカルに叩く人形を店頭に設えたところ、家族連れや観光団体の来店が相次ぎ出し店は繁盛、そのお陰で昭和34年には鉄筋8階建ての店舗を構えるに至った。飲食店「くいだおれ」にとり、「看板人形・太郎」様々だった訳だ。

昭和64年の昭和天皇の崩御の時に、「太郎」に喪服を着せたことがTVニュースで全国に流れたことから、全国から注目されるようになり、前記の2大看板とともに、道頓堀観光シンボルの座を不動のものにした。                         

ところが、創業から約60年経ち、「店舗ビルや設備の老朽化が目立ち、また周辺地域の飲食業環境の激変などが経営自体を脅かす状況」となってきたことから、閉店に踏み切ることにしたという。

まちのシンボルとなった店名「くいだおれ」と「人形太郎」は、出来れば残したいという気持ちを経営陣は抱いているという。関係者によると、人形を含めたブランドを第三者に売却する方向でも検討しているという。<産経ニュース>

春の小雨が降る中道頓堀に「人形太郎」に会いに出掛けたが、店の前は大勢の人垣で大混雑していて、「太郎」とこれからも再会を願う子供たちのかん高い声が飛び交っていた。その様子を見ていると、これが大阪ミナミの文化への、浪速っ子の心のエールのような気がした。

果たして、店名「くいだおれ」と「人形太郎」を引継いでくれるところがあるだろうか。(了)  08.04.10

◆本稿は、全国版メイル・マガジン「頂門の一針」1151号・4月11日(金)に掲載されました(編集部)

<★「頂門の一針」1151号・目次>
・初の1ドル=6元台へ:宮崎正弘
・ダライ・ラマ14世と面会:阿比留瑠比
・マケイン氏の演説(上):平井修一
・残せる?看板人形:毛馬一三
・ラジオ歌謡の頃:渡部亮次郎


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