2008年04月12日

◆C型肝炎訴訟の終結に向けて

川原俊明(弁護士)

薬害肝炎救済法が国会で成立したのは、平成20年1月11日です。C型肝炎訴訟に関わっている当法律事務所としても、誠に喜ばしい事態と考えています。

昭和49年、血液製剤フィブリノゲン投与を受けたため、C型肝炎に罹患(りかん)し、重篤な状態に陥って入院中の奥さんを抱えるMさん。

今までの勤めを辞め、病状が悪化する奥さんの看護に専念してこられたのでした。

奥さんは、息子さんから生体肝移植を受け、命を取り留めたものの、依然として事態は悪化しています。肝臓ガン、さらには体全体を病巣がむしばもうとするに至っているのです。

Mさんの奥さんは、自らが被害に遭いながらも、訴訟に至らない多くの肝炎患者が全国に散らばって苦しんでいることを知りました。

もともと、国や製薬会社に対する損害賠償請求訴訟という形での責任追及だけでは、究極の解決にならない。そのように考えたMさんと奥さんは、集団原告訴訟団から離脱して、独自の訴訟をめざし、訴訟に及んでいない多数の肝炎患者の救済を図るために、「肝炎家族の会」を発足させたのでした。

そして、多くの肝炎患者に救済の手をさしのべようと、Mさんが中心となり、肝炎に苦しむ多くの患者救済の受け皿となるべく、何度も国会を駆け回って国会議員と折衝を重ねました。

また、厚生労働省にも掛け合い、幅広く肝炎患者救済体制確立の必要性を主張してきたのでした。

当法律事務所は、Mさんの行動を全面的に支援すべく、弁護団から離れたMさんの奥さんの訴訟代理人となりました。その結果、訴訟を遂行する一方、「肝炎家族の会」を支援する体制をとることにしたのです。

今回の薬害肝炎救済法成立にあたっても、Mさんたちの肝炎患者全体救済の考え方が全面的に採用されています。C型肝炎訴訟は、まもなく全面終結の予定です。

Mさんたちは、平成19年12月13日、大阪高裁が提案した和解案についても、いち早く和解受け入れを表明し、訴訟の早期終結を訴えてきました。


Mさんたちの肝炎患者全体に対する救済活動は、今からが本番です。「肝炎家族の会」は、内閣府にNPO(特定非営利活動法人)法人設立申請を行い、さらに力強く救済活動に踏み切ったのです。私たちも、福田首相の決断を大いに評価したいと思います。(完)


★補足―<厚生労働省は4月11日、C型肝炎感染の危険性のある血液製剤フィブリノゲンを原料とする縫合用接着剤「フィブリンのり」を使用していた可能性のある計556医療機関名を公表。「フィブリンのり」は、C型肝炎の原因となったフィブリノゲンが、納入先で他の薬剤と調合された「のり」として止血や縫合に使われていたもの。

肝臓、肺がん、大動脈瘤、心筋梗塞、狭心症などの手術、尿路結石や骨折などにも遣われていた。(朝日新聞4月12号)―ネットモウ編集部>




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