2008年04月21日

◆巴里だより  屋根瓦

127ParisToits.jpg 
                  岩本 宏紀(在仏)

ヒースロー空港からロンドンへ移動する電車の窓から、ぼくは民家の屋根を何気なく眺めていた。

灰色の瓦、茶色っぽい瓦が多い。素材はセメントのようだ。曇り空のせいか、壁は立派なレンガ造りなのに、なぜかみすぼらしい家に見えた。

そのとき急に高松の民家を思い出した。2004年の夏、四国に死者を出した台風が去った翌日、今治から高松に高速バスで移動していたときのことである。

緑の斜面に点在する民家は純粋な日本式の木造住宅で、屋根は銀色の瓦。縦横寸分のずれもなくまっすぐに並び、瀬戸内の夕日を受けて品のある輝きを放っていた。

ぼくの故郷広島は島根県に隣接しているせいだろう、石州瓦(せきしゅうがわら)の家が多い。

通称「あかがわら」と呼ばれ、白壁とのコントラストがすばらしい。回りに何もなくて、田んぼのなかにぽつんと建っている一軒家、それも母屋と納屋がある家は、赤、白、緑の三色の調和が見事である。

しかし高松の家を見たときほど、日本家屋の屋根が美しいと思ったことはなかった。

その夜、一緒に飲み一緒に歌った高松の人たちにこの話をすると、
「近くにいい土が採れる所があり、瓦の工場があるからでしょう。
でも高松の家が全部立派な屋根とは限りませんよ。
高速道路沿いの家が立派なのは、立退きの補償金のおかげでしょう」
との答えが返ってきた。

4年前の夏を懐かしく思い出しながら、街の景観にとって屋根がいかに大切かを感じた今日の朝だった。(完)       2008年4月18日





★添付画像:巴里の屋根 1986年7月27日 
チュイルリー公演に組み立てられた観覧車からバンドーム、オペラ座、モンマルトルの丘を望む。
回転が速くて一番上に来たときには放り出されそうで恐かった。

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