2008年05月09日

必読!◆再び天皇のお見送りについて

                    渡部亮次郎

来日中の胡錦濤中国主席は9日はホテル・ニューオータニを引き払い横浜を経て関西に向かうため、慣例により天皇皇后両陛下は見送りの挨拶をされるべく、午前10時から胡氏宿泊先のホテルに出向かれる。

これに対して国賓接遇の慣例を知らない人から、天皇のお見送りは必要ないとか、総理大臣にやらせればいいとか頓珍漢な意見で反対意見のみならず、デヴィ・スカルノ夫人のように『反対』呼びかけまでしている人がいる。

結論から言うと、国賓を両陛下がお見送りするのは慣例であって
これまでは殆どの国賓を迎賓館に出向いて見送ってこられた。尤も相手が国家元首ではあっても国賓でない場合は、なさらない。

国賓とは「広辞苑」に拠れば「国家元首が接待する海外からの賓客。主に外国の元首や首相が来日する場合で、歓送迎会(歓迎と歓送)への天皇の出席、21発の礼砲、宮中晩餐会の行事がある」と説明している。礼砲は弾丸を撃ち尽くして敵意が無い、歓迎するという意味。

国賓・公賓など外国賓客(平成11年以降)(宮内庁HP)

ルクセンブルク国大公ジャン同妃両殿下(国賓) オーストリア国大統領夫妻(国賓) ヨルダン国国王アブドッラー王妃両陛下(国賓) ハンガリー国大統領夫妻(国賓)

ノルウェー国国王ハラルド五世王妃両陛下(国賓) 南アフリカ共和国大統領夫妻(国賓) フィリピン国大統領及び同夫君(国賓) インドネシア国大統領及び同夫君(国賓) メキシコ国大統領夫妻(国賓)

モロッコ国国王モハメッド六世陛下(国賓)インドネシア国大統領夫妻(国賓)

平成19年はスウェーデン国国王カール16世グスタフ陛下及び王妃シルヴィア陛下(国賓) ベトナム国主席夫妻(国賓)だった。

今年平成20年は胡錦濤中国主席夫妻が初めてである。

要人は毎年勿論他にも沢山来日されており国家元首や首相も多いが、政府の賓客(公賓)か公式実務か、お構いなしである。国家元首も国賓待遇が複数回は殆ど聞かない。

<国賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の元首やこれに準ずる者で,その招聘・接遇は,閣議において「決定」されます。

皇室における国賓のご接遇には,両陛下を中心とする歓迎行事,ご会見,宮中晩餐,ご訪問がありますが,両陛下はじめ皇族方は心をこめて国賓のご接遇をなさっています>(宮内庁HP)


<公賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の王族や行政府の長あるいはこれに準ずる者で,その招聘・接遇は閣議「了解」を経て決定されます。皇室における公賓のご接遇には,両陛下によるご引見や宮中午餐があります。>(同上)宮中の晩餐会でなく午餐会(昼食会)か首相の歓送迎会が付く。

<国賓とはいえ、万世一系の、世界のロイヤルファミリーの中でも最も古く最も格式の高い、日本の象徴であられる天皇皇后両陛下が、自らわざわざお見送りのためにホテルにお出向かれになられると言うのは、国民の一人として大変忍びがたく、本来あってはならないことと感じ、日本人として懸念しております。>とデヴィ夫人の悔しさがよく判る。同じような感想を持って反対を叫んでいる人が多い。

しかし今回の措置は縷々説明したように政府も宮内庁も慣例に従ったまでのことであり、迎賓館の改装工事と重なっての止むを得ない、しかし当然のことをしているに過ぎない。宮内庁は胡錦濤氏だからと言って儀典上、特別のことを何らしていない。

又私のところに届いているご意見の中には天皇陛下ではなく首相の見送りで十分というのがあった。しかし国賓は天皇陛下のお客であって首相のお客ではない。主人の客を使用人に見送らせるようなもので失礼である。

両陛下が外国に国賓として行かれて相手国から失礼な事をされても怒れなくなる。外交は相互主義が原則なのだから。

今更あり得ないことだが、デヴィ夫人らのような言い分を容れて両陛下がホテル訪問を取りやめでもされたら相互主義の儀礼を破ったとして国際問題に発展する事は避けられない。無知が鞭を引き寄せる。2008・05・08

この記事へのコメント
「お見送り」を「単なる慣例」と手続き上何ら問題がないとする意見は、大局的な外交という観点で見るとき、果たして意味があるのだとうかと疑問に思います。

「政府も宮内庁も慣例に従ったまでのこと」というお話は、現場の公務員である外務省職員が言いそうな言い訳に聞こえました。

外交とは、「国益を守るため」のものだと理解しておりましたが、外務省はそうした意味で、完全な失敗です。

やはり危惧していたとおり、
天皇皇后両陛下がご訪問された日、中国国営テレビは、天皇皇后両陛下が胡錦濤国家主席夫妻が宿泊するホテルを訪ね、別れのあいさつをされた模様をトップで報じていました。
また同様に、新華社通信は、天皇皇后両陛下が胡錦濤国家主席夫妻を「わざわざ」訪ねたと報じておりました。

外交における招待客の待遇は、当事国同士の関係性を互いに示すだけでなく、国際社会に対して、当事国間の関係性を示す明確なメッセージとなります。
国際儀礼での歓待序列では、天皇陛下は世界序列第一位です。

94年の平成天皇陛下ご訪米の折、米国はエリザベス女王よりも更に上の最上級の扱いで、両陛下を迎えられました。

その米国では、一昨年の胡国家主席の訪米の際に、「国賓」扱いにするかどうかで、中国政府とのあいだで「かけひき」があり、結局は、国賓並みの厚遇をすることで胡主席の面子を立てはしましたが、最後まで「国賓」にすることは譲らなかったという経緯がありました。

米国政府が、中国政府の再三の要求に対して折れずに「国賓」とはしなかったのに対し、日本政府は、どれだけの交渉を重ねたのか、「国賓」としただけではなく、序列第一位の陛下を結局は政治の道具として貶め、国際社会に対して二重の意味で、誤ったメッセージを発っしてしまった訳です。

「お見送り」をいち早く抗議した方達は、このことを指摘されていたのだと思います。

デヴィ夫人は、天皇陛下が民間施設にお出向きになられることを知り、瞬時にこれが何を意味するかを理解し、即座に宮内庁などへの抗議の意を発信されたのだと思います。それは、外交や国際儀礼を実際に長年経験し熟知している夫人だからこそ、成しえたことだと思います。

どちらが無知かは歴然としています。
Posted by 桜子 at 2008年05月11日 14:31
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