2008年05月19日

◆「先祖返り」成るか

石岡 荘十
 
米民主党の大統領候補は、「オバマ確実」と伝えられている。ニュースを
見てひらめいたのは、アメリカが10万年ぶりに「先祖返り」を果たすか
もしれないという人類遺伝学上の“結論”だ。

オックスフォード大学人類遺伝学ブライアン・サイクス教授はDNA遺伝子が、古い骨にも残っていることを突き止めたと‘89年の「ネイチャー」誌に発表した。

その直後、‘91年、ドイツの登山家がイタリア・アルプスで発見したのが5000年前の人類の死体だった。死体は後に「アイスマン」と呼ばれるようになる。

サイクス教授が鑑定したところ、アイスマンから取り出したDNAが現代のヨーロッパ人から取り出したDNA のサンプルとまったく同じ配列だったことを突き止めた---。

つまり、5000年前のアイスマンは、現代ヨーロッパ人のご先祖様だったことになる。その後の、詳しい研究経緯や成果は、「イヴの七人の娘」(ソニー・マガジンズ)に譲るが、結論はこうだ。

現代のすべての人類、ホモ・サピエンスのDNAサンプルを遡ると、10万年前、アフリカにいた1人の女性にたどり着く。サイクス教授は、この女性を「イヴ」と名づけ、その7人の娘たちこそがすべての人類、ホモ・サピエンスの“始祖”であることを科学的に証明している。

「イヴ」はじつは黒人だった。その7人の娘たちの子孫が、まず近東に、そしてヨーロッパに、さらにシベリアを経由してアメリカ大陸に、その途中でアジア---へと移動していった。

この考え方は、突飛な仮説ではなく、考古学にも支持されている。つまり、この論理を覆す科学的な反論は今のところ、ない。

では、イヴの父母は? という疑問が出てくるが、その先は、「ネアンデルタール人、ホモ・エレクトスであり、さらにその先は---キリがない」、人類以前の世界になってしまう。教授の人類遺伝学の分野を超えるというわけだ。

サイクス教授によれば、その頃(10万年前)、アフリカには異なったDNAを持つ13群(グループ)がいたが、イヴの群を除くほかの群の子孫は、この10万年の間に、女の子が生まれなかったか、厳しい自然条件の中で、世界へ移動する過程で途絶えた---としている。

DNAは女性によってのみ子孫に引き継がれる。女の子がいない親のDNAは
途絶えることが証明されている。

女の子がいて、10万年のさまざまな厳しい気象条件を克服してDNAを継承し、生き残ったグループが、DNAの一部に突然変異を起こし、白人や黄色人種となっていった。

さて、オバマ候補である。近いルーツはアフリカ・ケニアと伝えられている。

その先のルーツについての報道は目にしていないが、10万年単位で人類の歴史を見ると、オバマ候補こそ、肌の色といい、「七人の娘」の素質をきっちり引き継ぐホモ・サピエンスの正統な継承者といえるかもしれない。

つまり黒人のオバマ候補は人類遺伝学的には、本家筋の知性的なぼんぼんなのである。クリントンのような白人、われわれ黄色人種は「イヴ」から見ると、「変な色の子」、いわば“亜種”ということになる。

オバマ候補が、アメリカ大統領になるようなことがあれば、これは、イヴ以来の10万年ぶりの「先祖返り」だ。

この間、アフリカから黒人を”拉致“し、奴隷として酷使した悲惨な歴史がある。そして差別は今も厳然として存在する。

それも、オバマ候補の「先祖返り」を見越して、いってみれば”分家の本家苛め“を諌めるために、10万年かけて神が仕組んだ巧妙な必然、というのは考えすぎか。    20080303



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