2018年06月20日

◆自民総裁選は安倍独走の形勢

                             杉浦 正章


尖る石破・野田、岸田は禅譲狙いか

英語のdead angle を語源とする死角が自民党総裁選挙にあるだろうか。
まずない。首相・安倍晋三は圧倒的にリードしていて、死角を探してもない。

自民党内を見渡したところ虎視眈々とその安倍にチャレンジしようとして
いるのが元幹事長・石破茂だ。大勢は首相・安倍晋三3選支持の流れであ
り、石破は孤立気味だ。石破は昔、佐藤栄作の長期政権を阻止しようとし
た三木武夫を思い起こす。

「男は1回勝負する」とチャレンジしたが、敗北。その後ロッキード事件
が幸いして首相になったものの、党内の支持は得られず、すぐに潰れた。
しかし、立候補者がいないと自民党内は活気が出ない。石破に限らず、野
田聖子など例え売名でもオリンピック精神で出馬すればよい。

総裁候補としては事実上安倍が独走している。森友・加計問題はまるで朝
日と民放と野党の独壇場だったが、贈収賄疑惑があるわけでなし、予算委
の終了と共に影を潜めた。

攻め手がなく、今後も忘れた頃にぽっとか細く火が付く程度のものだろ
う。内閣支持率もモリカケがなくなって回復しはじめている。読売の調査
では45%で支持が不支持を逆転した。

朝日や産経、民放の支持率も同様の上昇ぶりを示している。長期政権は一
時的な高支持率より、30から40%を安定して維持することが大切だ。佐藤
内閣がそうであった。

これを反映して6月10日の新潟知事選では、事前の世論調査では、接戦と
の見方が多かったが、開票結果は花角英世54万6670票に対して池田千賀子
50万9568票と、3万7000票余りの差を付けた。与党系は「快勝」であり、
政局で安倍にプラスの結果となった。

こうした中で、総裁候補とされる面々は,動くに動けない情勢である。国
会会期は7月22日まで延長されるが、この間は表立った動きをすれば世論
の反発を受けるし、国会終了後総裁選まで2か月しかない。短期決戦を余
儀なくされるが、安倍の独走を阻止できる候補は存在しない。

政調会長・岸田文男も、早々に旗を巻きそうな気配だ。4月16日に安倍と
会談したのに続き、18日にも2時間半にわたって会食している。岸田は記
者団に「北朝鮮、終盤国会、(自民党)総裁選の話をした」と語ったが、
内容については「ノーコメント」とした。

岸田の狙いは秋の総裁選で奪い取るのではなく、安倍の3選を認めて3年
我慢をして禅譲を狙うところにあるのかもしれない。昔池田勇人にオリン
ピック花道論があった。池田は癌であることをひた隠しに隠して、任期を
残して退陣する演出を行った。

東京オリンピック閉会式翌日の10月25日に退陣を表明、自民党内での後継
総裁選びの調整を見守った上で11月9日の議員総会で佐藤栄作を後継総裁
として指名したのだ。佐藤は「待ちの佐藤」といわれたが、岸田も「待ち
の岸田」として、昔のインスタントラーメンではないが「3年待つのだ
ぞ」が、今考えられる最高の戦術だろう。

総裁選への流れは、安倍が楽勝のように見えるが、油断は出来ない。問題
は党員らの投票による地方票の動向も作用する。12年総裁選では、石破が
党員らの投票による地方票で安倍を上回っだのだ。

決選投票で議員票を固めた安倍に敗れたが、決選投票に地方票を加えた現
行制度なら、石破が当選していたといわれる。閣僚を離れた石破は、活発
に地方行脚を繰り返している。

しかし、石破にとっての致命傷は派閥の人数が少ない点だ。国会議員の人
望がないから数が集まらない。衆参合わせて20人で6番目では、なかなか
突破口を開くのは難しいだろう。安倍は5年の在任の結果、地方票がかな
り集まる状況にあり、油断しなければ、石破はそれほど獲得出来ないかも
知れない。

総務相野田聖子も、発言を先鋭化させている。15日に日本記者クラブで記
者会見し、選択的夫婦別姓の導入などを総裁選の主要政策に掲げる考えを
示した。安倍との対立軸を明確にする狙いがあるが、支持の広がりには全
く欠けているのが実情だ。空回りな発言も目立ち、20人の推薦人確保がで
きるかどうかも不透明だ。

安倍は意気軒昂だ。16日の読売テレビでは「まだまだやるべきことがたく
さんある。北朝鮮の問題、拉致問題、これはやはり私自身の責任で解決を
しなければならないという強い使命感も持っている」と政権維持に強い意
欲を表明している。そして最終決断の時期については味な発言をした。

「東京近辺のセミの声がうるさいと感じられるようになってきたら」だそ
うだ。もっとも、考えてみればこの発言は事実上の出馬表明にほかならない。

2018年06月15日

◆トランプの「軍事演習中止」発言の浅薄さ

杉浦 正章


「カネ節約」と商売人根性丸出し 安倍は日朝首脳会談も視野に

群盲象をなでるというか、百家争鳴というか。トランプと金正恩の会談を
めぐって議論が百出している。その理由はトランプが「詰め」を怠った結
果だ。

アバウトで危うい「合意」が、混乱や困惑を世界中にまき散らしているこ
とをトランプ自身も分かっているのだろうか。首相・安倍晋三も金正恩と
の首脳会談を実現し、極東の安全保障を確立させるための直接対話を実現
させるべきだが、それには拉致問題の成果もある程度見通せるようになる
必要がある。

日米は非核化で北朝鮮から大きな譲歩を引き出せない限り、軍事的な圧力
を弱めるべきでないことは言うまでもない。

トランプの高揚感は、自己顕示欲もともなってすさまじい。会談後「金委
員長と私はたった今、共同声明に署名した。

彼はその中で『朝鮮半島の完全な非核化への揺るぎない決意』を再確認し
た」と、記者会見で“成果”を強調した。「われわれはまた、合意実現のた
めできるだけ早期にしっかりした交渉を行うことで一致した。

彼(正恩氏)がそれを望んでいるのだ。今回は過去とは違う。一度もス
タートすることなく、それゆえやり遂げることもなかった政権とは違う」
と述べた。どうもトランプは過去の政権との比較を臆面もなく持ち出す傾
向が強いが、オバマをはじめ歴代大統領なら、現状に合わせた対応は当然
している。トランプこそ唯我独尊の露呈を戒めるべきだ。

トランプと金正恩が決めた合意文書自体は「朝鮮半島の平和と繁栄に貢献
する」ことを約束し、「トランプ大統領は(北朝鮮に)安全の保証を提供
することを約束した」となっている。極めて大まかな合意である。

金正恩の述べた「朝鮮半島の完全な非核化への揺るぎない決意」は立派だ
が、その非核化の時期や方法、具体的な対象についての細部は文書に存在
しない。

トランプは記者会見でこれを「時間がなかった」せいにした。だが、極め
て重要な意味を持つのはその細部なのだ。というのも過去に米政権が細部
を詰めなかった結果、北朝鮮は何度も約束をほごにしてきた。

北の「やらずぶったくり」路線は、毎回成功してきたのだ。合意文書に
は、正恩がトランプの主張する内容を確実に実行することを示す部分はほ
とんどない。

会談での譲歩に加えて、トランプは米韓軍事演習を「ウォーゲーム」と軽
視するかのような発言をして、交渉が順調に進んでいる間は中止する意向
を表明した。北が「極めて挑発的」と非難を繰り返してきた演習は、裏を
返せば効果があるのであり、独断で中止してしまえるようなことではある
まい。「会談後最初の重大かつ一方的な譲歩」(ウオールストリート
ジャーナル)を行ったのだ。

非核化の道筋すらおぼろげなのに、クリヤーカットに軍事演習中止の「見
返り」を与えてしまうとは恐れ入った。欧米メディアは非核化の具体的な
手法や期限が決められなかったことについて懸念する見方が多い。

トランプは「ウオーゲームの中止で、カネを大幅に節約できる。ウオー
ゲームは挑発的だ」と述べている。ここでカネの節約を言うとは商売人根
性丸出しで、安全保障の重要性を理解していない。

まるでベニスの商人のごとく、方向性を間違っている。米韓軍事演習は北
朝鮮に対する圧力のシンボルであり、これが実施され、米軍の装備が白日
の下に照らされるからこそ、北が南進を思いとどまってきている現実を分
かっていない。

日本に関係の深い拉致問題については国務長官ポンペオが「大統領は複数
回にわたって取り上げた。拉致家族の帰国のための北朝鮮の義務を明確に
伝えた」と言明した。トランプに対して金正恩は「分かった」と述べたと
言われる。

しかし金正恩が具体的な反応をした形跡はない。トランプは安倍との電話
協議で「金委員長は日朝会談にオープンだ」という趣旨の説明をしたという。

政府は北朝鮮の動向を慎重に見極めながら交渉の機会を模索する方針で
あり、政府部内には早ければ7月か8月の首脳会談もありうるとの見方が
ある。夏がない場合、9月にロシア・ウラジオストクで開かれる「東方経
済フォーラム」に金正恩が出席すれば、安倍との会談を実現させる構想も
あるようだ。

実現すれば2004年の小泉純一郎訪朝以来となるが、安倍は金正恩との会談
について「ただ話しをすれば良いのではなく、問題解決につながる形で実
現しなければならない」と、慎重な姿勢であり、情勢を見極める構えだ。

拉致問題は被害者家族にとっては極めて重要だが、まずは極東安保という
大事を最優先させ、その結果として拉致問題の解決につなげることが重要
だろう。安倍が発言したように日本は拉致問題に関しては「主体的」に対
応するしかない。



2018年06月13日

◆非核化時期、検証、工程未定のまま

                            杉浦 正章


日本はおいそれと「経済カード」を切ることはない

トランプは口癖の「素晴らしい」を繰り返すが、どこが素晴らしいのか。
会談したこと自体が素晴らしいのか。それにしては、「北の壁」ばかりが
目立つた未完の会談であった。

金正恩は米朝共同声明で「完全な非核化」を約束したが、具体的な非核化
の範囲や工程や期限への言及はなかった。これでは、歴代北朝鮮トップに
よる「約束反故の歴史」を誰もが思い起こさざるをえないだろう。

トランプは会談の“成果”に胸を張るが、その内容は会談したこと自体に意
義がある程度にとどまりそうだ。要するに北朝鮮の核兵器廃棄への工程は
ほとんど示されず、非核化のタイミングや検証方法は今後の交渉に委ねら
れることになった。

会談を受けてトランプは北朝鮮への経済的支援については、「米国が支出
すべきだとは思わない」と主張し、「遠く離れている米国ではなく、日本
や中国、韓国が助けるだろう」と、経済援助をたらい回ししたい口ぶりだ
が、会談結果から見る限り日本はおいそれと「経済カード」を切れる状態
でもあるまい。

まず米朝合意文書に書かれた文言は、4月に開催された韓国と北朝鮮の南
北首脳会談で署名された内容をコピーしたかのようであり、北朝鮮による
核・ミサイル実験の凍結に関しても明文化されなかった。

米国が6カ国協議を通じて主張してきた非核化の原則である「完全かつ検
証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言がない。休戦から65年にわたる
敵対関係と20年あまりにわたる核武装路線に終わりを告げる文言が、合
意に至らなかったことを意味する。

北が核武装を放棄する意思がないことを物語っている。トランプはCVIDが
合意に至らなかったことを記者団から突っ込まれて「時間がなかった」と
弁明したが、焦点の問題を時間のせいにするのはおかしい。

合意文書は「朝鮮半島の完全な非核化」と表現しただけで、北朝鮮の非核
化をいかにしていつまでに成し遂げるのかという、首脳会談最大のテーマ
は、盛り込まれなかった。非核化の時期と検証方法も不明のままだ。検証
可能と不可逆的という言葉なしに、北の核武装に歯止めをかけようとして
も無理がある。

さらにトランプの主張の核心であった「朝鮮戦争終結」の宣言も合意文
書にはない。朝鮮戦争で米朝が戦火を交えて以来のトップ会談であり、宣
言には事実上終結している戦争を再確認する意味合いがあるが、盛り込ま
れなかった。

さらに北朝鮮による核・ミサイル実験の中止の明文化もな かった。核・ミ
サイル実験場の閉鎖にも言及していない。多くの課題が、 先送りされ、
具体性に欠けた会談であったことを物語る。要するに大山鳴 動してネズ
ミ一匹の感が濃厚なのである。トランプにしてみれば秋の中間 選挙への
プラス効果が出れば良いのだ。

一方金正恩は、会談から多くのポイントを稼いだ。合意文書では金正恩
体制をトランプはギャランティーという表現で保証した。特異な社会主義
体制を敷く金王朝を、自由主義の雄であるはずの米国が体制保証するとい
う奇妙な会談となった。

今後金正恩が体制の正当性を世界に喧伝し、国際 的な孤立から離脱する
材料に使うことは言うまでもない。加えて米韓軍事 演習の見直しや在韓
米軍の削減にトランプが言及したことは、金正恩に とって大きな成果で
あった。

しかし、ことは極東の安全保障に関する問題である。重要な同盟国であ
る日本にろくろく相談もなく、安全保障に関する問題を軽々に発言するト
ランプのセンスを疑う。拉致被害者の問題については、首相安倍晋三の要
望に応じて、トランプが金正恩との会談で言及したが、単なる言及にとど
まったようである。もともと拉致問題は日本政府が解決すべき問題であ
り、安倍が「日本の責任であり、日朝間で交渉する」と述べている通りで
ある。

日本外交の真価が問われるのはこれからであるが、かくなる上は北との
関係正常化を推し進め将来的には、国交正常化を視野に入れるべきであろ
う。正常化して、経済的な結びつきを強めることにより、北の暴発は抑え
られる可能性が高い。拉致、核、ミサイルが国交正常化の前提条件だが、
棒を飲んだような姿勢でなく、緩急自在の姿勢で日朝首脳会談の開催を視
野に入れるべき時だろう。

トランプはまた、国務長官マイク・ポンペオと大統領補佐官ジョン・ボ
ルトンが来週、合意の「詳細を検討する」ため北朝鮮当局者と協議する予
定だと述べている。またトランプ自身も「また会う、何度もだ」と延べ、
金正恩をホワイトハウスに招待する意向も示した。「恐らく再度の首脳会
談が必要になる」と語った。トランプ自身も会談の不十分さに気付いてい
るのかも知れない。


2018年06月09日

◆シンガポール会談はプロセスの出発点

                                杉浦 正章



「戦争終結宣言」のあとは日本の支援が焦点

12日の米朝首脳会談で最優先となるのは、安全保障と引き換えに、北
朝鮮の朝鮮労働党委員長金正恩に核兵器開発を放棄する用意があるという
確約をとりつけることだろう。

事態は戦争勃発以来70年ぶりの「朝鮮戦争の終結宣言」に向かう。拉致問題
はトランプが取り上げる方向だが環境整備にとどまるだろう。安倍自身が
金正恩との直接会談で話し合うしかない。トランプはシンガポール会談
を、「複数の首脳会談へのプロセスの出発点」と位置づけており、解決は
長期化するだろう。

シンガポール会談では終戦宣言を発出することで一致するだろう。しか
し、具体的には当事国が米朝に加えて中国、韓国の4か国による調印とな
る必要があるから、早くても秋以降となる可能性が高い。

トランプも「シンガポールでは戦争終結に関する合意で署名できる」と述
べている。1950年に始まった朝鮮戦争は53年に米国と北朝鮮、中国に
よって休戦協定が結ばれたが、平和協定が締結されていないため、現在も
法的には戦争が継続状態となっている。

4月27日の韓国と北との板門店宣言では「今年中に終戦を宣言、休戦協定
を平和協定に転換して恒久的で堅固な平和体制の構築に向けた南北米の3
者または南北米中の四者会談を開催する」方針が確認されている。

北の非核化で米国が理想とするのは南アフリカの例だ。南アは1989年の
F・W・デクラーク大統領の就任後、自主的に6つの核兵器を解体。核不拡
散条約(NPT)に加盟し、自国施設に国際原子力機関(IAEA)の査察団を
受け入れた。 

北朝鮮の場合には、兵器や技術が隠されている可能性があり、北が申告し
た施設だけでなく大々的な査察が必要になる。ただ金正恩は「段階的かつ
同時的」アプローチを呼び掛けており、そこに北のトリックがあるという
見方もある。北朝鮮が核兵器放棄を正直に進めるのか、可能な限り非核化
を先延ばしする“策略”なのかは分からないからだ。過去の例から見れば信
用出来ない最たるものなのだ。

トランプは秋の米中間選挙に北朝鮮問題を結びつけようとしていることが
歴然としており、そのための象徴となるのが「朝鮮戦争の終結宣言」とな
ることは間違いない。まさにこれといった成果のないトランプにとって、
北朝鮮問題はアピールするにうってつけの材料だが、事実上終結している
戦争終結を改めて宣言しても、米国のマスコミが成果として認めるか疑問
だ。 

日本にとって核問題と並んで重要なのは拉致問題だが、トランプと金正恩
との会談での優先順位はどうしても非核化に置かれるだろう。おそらく金
正恩もそれを見抜いており、従来の「解決済み」との方針から離脱するの
は難しいかも知れない。

4月29日に韓国大統領文在寅は安倍に電話で「金正恩委員長は日本と対話
の用意がある」と伝えてきたが、北との融和の過程としての日朝首脳会談
は極めて重要なものとなることは確かだ。

なぜならトランプがたとえ拉致問題を取り上げても、それは「交渉」には
なりにくいからだ。交渉はあくまで日朝間で行うことになる。トランプは
「拉致問題が解決すれば日朝関係が劇的に変わる」と述べているが、これ
は3人の米国人の解放と米国の変化を重ね合わせたものだろう。安倍もそ
の辺は認識しており、「最終的には金正恩委員長との間で解決しなければ
ならないと決意している」と述べている。

一方、経済問題が密接な関わり合いを持つが、国務長官ポンペオは、「経
済支援は北朝鮮が真の行動と変化を起こすまであり得ない。日本による経
済支援も同じだ」と述べており、一挙に経済支援に結びつける方針は示し
ていない。安倍も「国交正常化の上で経済協力を行う用意がある」とクギ
を刺している。

しかし、最終的には日本の経済支援を、北朝鮮ばかりか米国も当てにして
いることは間違いないことだ。総書記金正日が日本人拉致を認めた2002年
には、首相小泉純一郎が、北朝鮮に100億ドルを支払う構想があったが、
実現していない。気をつけなければならないのは北による“やらずぶった
くり” であろう。


2018年06月05日

◆北と文在寅の“術中”にはまる危険ートランプ

杉浦 正章


7日の日米会談でCVID堅持確認を

 今朝の朝日の森友文書の扱いにはあきれた。一面から5面までを使って狂ったように報道している。なんとしてでも政局化して、倒閣に結びつけたい思惑を露骨に見せる異常さだ。極東情勢が緊迫化していることなどまるで眼中にない。平衡の感覚があるジャーナリストは朝日にはいないのだろうか。政府・与党はバランスを欠いた朝日の術中にはまってはならない。

 同じ術中でも、12日の米朝会談に向けてトランプが北朝鮮の術中にはまりそうな気配を見せ始めている。焦点の非核化をめぐって1回目の会談だけでは説得が困難との見地から、トランプは「12日が素晴らしいスタートになる」などと発言しはじめたのだ。韓国大統領文在寅も唱える北の段階的な核廃棄の対応に応じそうなのである。米大統領が最初から妥協に傾斜し、腰折れ気味ではその先が案じられる状態だ。そもそも米大統領が金正恩と度々会談するなどと言うことは、自らを安売りすることにほかならない。首相・安倍晋三は7日の日米首脳会談で、北朝鮮問題の現状をトランプに再認知させる必要が出てきた。

 米朝会談の焦点は日米が既に確認している「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)へ、金正恩を説得出来るかどうかにかかっている。トランプは当初からこの方針維持を基本としてきたが、文在寅との会談から方針があやふやになりつつある。文在寅は金正恩との二度にわたる会談を通じて、北の「段階的な措置で合意すべきだ」との立場を受け入れている。段階的措置とは、非核化を一挙に進めず、いつでも核・ミサイル実験が可能な状態を維持することにほかならない。文在寅はもともと左派の大統領であり、加えて北と同一民族としての感情に流され、極東安保情勢という大局を見失っているのだ。

 文に吹き込まれたトランプも「段階的な措置」とは、北が米国との会談に向けて仕組んだ“罠”であることを知るべきなのだが、トランプはそれが分かっていないかのように唯々諾々と北の戦術を受け入れ兼ねない危うさがある。米大統領がだまされるとすればまさに3度目となる。米国は既に1990年代と2000年代の交渉で北から同様の提案を受け、これに応じたが、金一族は臆面もなく合意を反故にして裏で核・ミサイル開発を推し進め、ついに大陸間弾道弾とこれに積載する核爆弾の開発に成功しつつあるのだ。

それに歯止めをかけなくてはならない時に、トランプは米国に届く核ミサイルだけにストップをかけ、日本を狙う200発の中距離ミサイル・ノドンについては言及しないままだ。トランプは国連による北朝鮮制裁決議が機能する前に、制裁の影響力を弱めてしまっているのが実情だ。

 金正恩が自らの体制が崩壊することを一番恐れている事は言うまでもない。体制維持のためには何でもするのが基本方針であり、その体制維持に不可欠なのは核ミサイルなのだ。核ミサイルがあってこそ、大国と肩を並べられるという小国の誇大妄想が、一貫して北の政策には流れているのだ。金正恩は、非核化を小出しにして、見返りの経済援助を得ようとしているのが実態だ。文在寅はこれにまんまとはめられているのだ。

 一方、もともと北を「緩衝国家」と位置づけている中国は、金正恩を“鼓舞激励”こそすれ、ブレーキをかけることなどしない。国際的にはきれい事を言っても、その実態は深層でつながっているのだ。ロシアも中国に同調している。南アフリカを訪れた中国の王毅、ロシアのラブロフ両外相は3日の会談で、朝鮮半島情勢をめぐり「引き続き協調を強化する」ことで一致している。

中露は「段階的な非核化」など北朝鮮の主張をバックアップしており、北問題で結束を固めた。こうしたトランプの浅慮と中露の思惑を最大限活用して北は、三度(みたび)国際社会を欺こうとしていると受け取るべきだろう。こうした中でCVIDへの適切なる対応が何と言っても焦点となる。CVIDへの対応が不十分なままであれば北朝鮮が外交上の有利なポジションを得てしまう。CVIDは全面的な制裁実施が困難な事態を避けるための唯一の方法でもある。

 これに対して安倍政権の対応は、クリアーカットで適切である。安倍は「核武装した北朝鮮を日本は容認するわけにはいかない。圧力を高めて抜け道を許さない」と言明。官房長官菅義偉も「拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決なしに、北朝鮮との国交を正常化することはあり得ないし、経済協力も行わない」と断言している。安倍はこうした姿勢をトランプとの会談で繰り返し強調し、CVID堅持を中心にトランプの事態への認識を確たるものとさせねばならない。トランプは安倍とは盟友関係にあり、安倍の友情ある説得には耳を傾けるだろう。

 またトランプが、北が説得に応じた場合の見返りとなる経済援助について「韓国と日本には北への支援を準備すべきだと伝えた。支援は隣国の日中韓3か国が行うべき」と、ばか丸出しの論法を展開しているが、ことはそう簡単ではない。日本には拉致問題という重要課題が未解決のまま残っており、これを残したままの援助など極めて困難だ。トランプにはこのイロハを教えておく必要がある。国連を中心に援助をする状態が生ずれば米国も参加すべきことは言うまでもない。金を出さずに口を出すのはいただけない。 

2018年05月31日

◆野党質問は“冷め切ったピザ”だ

杉浦 正章

形骸化した党首討論はもうよい

イギリス議会における二大政党のクエスチョンタイムをモデルにして、日本でも1999年7月に党首討論が開始された。内閣総理大臣小渕恵三に対して民主党代表鳩山由紀夫が行った質疑が草分けだ。鳩山は「きょう総理は朝何を召し上がったでしょうか。私は、けさはピザを食べてまいりました。」と質問。小渕は「いつものとおり日本食の食事をいたしてまいりました。温かいピザを食べられたということでありますが、アメリカのオルブライト国務長官から以前、冷たいピザもまたおいしいと言われたことがあります」と皮肉った。

ニューヨーク・タイムズが取り上げて小渕を「冷めたピザ」と評したことから有名になった。30日の首相安倍晋三と野党の質疑を聞いたが、野党の質問は既に出た話しの繰り返しで「冷め切ったピザだ」やめた方がよい.

とりわけ立憲民主党代表の枝野幸男の質問は、何ら進展のないモリカケ論争に終始した。従来と同じ質問を繰り返す枝野の姿勢には、「もういいかげんにした方がよい」という茶の間の声が聞こえるようであった。片山虎之助が「もう党首討論のあり方を全面的に見直した方がいい」と述べているがもっともだ。
 枝野は安倍が「贈収賄では全くない」と答弁したのをとらえて、「急に贈収賄に限定したのはひきょうな振る舞いだ」とくってかかったが、贈収賄でなければなぜ追及するのか。安倍も夫人も潔白が証明済みであり、贈収賄でもない事柄を性懲りもなく過去1年半にわたって繰り返し追及する方が、重要な国会論議という資源の無駄遣いをしているのではないか。枝野は「金品の流れがあったかどうか。

森友問題の本質とはそういうことだ」と断定したが、大阪地検の捜査からも政界を直撃する問題は、何も出てきそうもないではないか。贈収賄があるがごとく国会で発言する以上、金品の流れの証拠を提示すべきだろう。
 枝野に比較すれば外交問題を取り上げた国民民主党共同代表の玉木雄一郎のほうが聞き応えのある質問をした。安倍からプーチンとの個別会談について「テタテでは平和条約の話ししかしていない」との答弁を引き出したのは1歩前進であった。

 総じて論戦は野党の焦点が定まらないため深まらず、開催意義そのものが問われる結果となった。当初は英国議会の例にならって2大政党の党首による政策論争を想定したが、現状は少数野党の分裂で、質問時間も立憲民主党19分、国民民主党15分、共産党6分、日本維新の会5分と細分化された。野党は自己宣伝が精一杯であり、まともな質問をしにくい傾向を示している。

 枝野は「追及から逃げるひきょうな姿勢」と「ひきょう」という言葉を何度も繰り返すが、こういう質疑の構図が生じたのはひとえに野党の議席減という自ら招いた結果であることを忘れるべきではあるまい。終了後、枝野はただ一ついいことを言った。「党首討論は歴史的意味を終えた」である。確かに与野党党首の真剣勝負の場は形骸化した。野党も分かっているなら開催要求をすべきではない。国会にはちゃんと予算委員会という総合質疑の場があるではないか。あれもこれもと要求しても、あぶはち取らずが関の山だ。

2018年05月30日

◆米朝会談へ向け動き急

杉浦 正章


金正恩側近がNYで事前協議 韓国に「終戦宣言」構想

6月12日の米朝首脳会談に向けて鼎(かなえ)が煮えたぎってきた。
ニューヨーク、板門店、シンガポールの3個所で接触が進展、大詰めの協
議が展開されている。焦点は北が「非核化」にどの程度応ずるかにかかっ
ている。

米朝ともあきらかに首脳会談前に重要ポイントでの合意を目指しており、
一連の会談の焦点は米国で開かれることが予想される労働党副委員長の金
英哲と国務長官ポンペオの会談に絞られそうだ。

まさに北朝鮮の金正恩は自らの体制維持、しいては国家の命運をかけた、
選択を迫られつつある。

一連の会談を通じて米国は北に対して「核兵器の国外への搬出とともに、
完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)を完了すれば北の体制を保
証する」との立場を伝達するものとみられる。

さらに「北朝鮮のすべての核関連施設に対する国際機関による自由な査察
を認め、全ての核を廃棄する」ことを要求。これに対して北は「米国が望
むレベルの非核化を実現するには、米国の確実で実質的な体制の保証が必
要だ」と金正恩体制の継続を要求するもようだ。

また北は非核化に合わせた制裁緩和や国交の正常化などを要求しており、
対立は解けていない模様だが、一方で融和の流れがあることは無視できない。

金正恩の外交を補佐してきた金英哲は、おそらくニューヨークで ポンペ
オと会談することになろう。北朝鮮の高官が米国を訪れ政府要人と会談す
るのは2000年に国防委員会第1副委員長趙明禄がクリントンと会談して以
来のことだ。

トランプが金英哲の訪米を明らかにしており、おそらく表敬訪問を受ける
ことになるかもしれない。板門店では駐フィリピン米大使のソン・キムが
外務次官崔善姫と会談して、首脳会談の議題を詰めた模様だ。

こうした中で韓国大統領文在寅は「早期終戦宣言」の構想をトランプに伝
えたようだ。同構想は米朝首脳会談後に韓国、北朝鮮、米国の3国で現在
「休戦」状態にある現状を「終戦宣言」に持ち込もうと言うものだ。

文在寅は「米朝会談が成功すれば南北米3か国首脳の会談を通じて終戦宣
言を採択すれば良い。期待している」と言明した。文にしてみれば非核化
をめぐって駆け引きが激化している米朝双方を説得するためのカードとし
て宣言を使いたいのだろう。

 文在寅がこうした軟化姿勢を取る背景には26日に予告なしで行われた
南北首脳会談がある。この席で金正恩は「韓半島の完全な非核化の意思を
明確ににして、米朝会談を通じて戦争と対立の歴史を清算したい。

我が国は平和と繁栄に向けて協力するつもりだ」と述べたという。仲介役
の文に対してトランプは「金正恩氏が完全な非核化を決断して実践する場
合、米国は敵対関係の終息と経済協力に対する確固たる意思がある」旨伝
えているようだ。

こうして米国は当面北朝鮮に対する制裁強化を見送る方針を固めた。米国
はこれまでロシアや中国を含む約30の標的に対して大規模な制裁をする方
針を固めていたといわれる。米当局者によれば、ホワイトハウスは当初29
日にも北朝鮮に対する追加制裁を発表する予定だったが、首脳会談をめぐ
る協議が続く間は実施を延期することが前日になり決まった。

こうした米朝和解ムードの中で米政界では慎重論が台頭している.前国
家情報長官ジェイムズ・クラッパーは「北朝鮮は彼らの典型的な『二歩前
進一歩後退』の行動様式を見せている。

北朝鮮が考える『非核化』が太平洋での米軍戦略兵器の縮小を意味すると
いうことが心配だ」と懸念を表明した。また共和党上院議員のマルコ・ル
ビオは「金正恩朝鮮労働党委員長は、核兵器に病的に執着してきた。核兵
器が正恩氏に今の国際的地位を与えた。

これが北朝鮮の非核化を期待でき ない理由だ」と強調。元中央情報局
(CIA)長官マイケル、ヘイデン は、「首脳会談の結果で北朝鮮のす
べての核兵器をなくすことは不可能だ。

トランプ氏は会談で不利益を被ることになるだろう」と見通しを述べてい
る。さらに注目すべきは元在韓米軍司令官バーウェル・ベルは、「在韓米
軍の撤収を目的に北朝鮮と平和協定を締結することは、『韓国死刑』文書
に署名することと同じだ」と強く警告した。

「強大な北朝鮮軍兵力が非武装地帯のすぐ前にいる状況で米軍が去るな
ら、北朝鮮は直ちに軍事攻撃を通じて韓国を占領するだろう」と予測して
いる。

 韓国大統領府は文在寅の金正恩との会談やトランプとの会談で、極東情
勢が大きく前進したと判断し、和解への道筋が立った段階で米朝間の相互
不可侵条約と平和条約の締結へと事態を進めたい気持ちのようだ。これが
実現すれば極東情勢は大きく緊張緩和へと進展するが、北が狡猾にも世界
を欺いてきた歴史は歴然としており、楽観は禁物だ。

2018年05月25日

◆米朝会談中止の背景を探る

杉浦 正章

 
文在寅の「仲裁外交」失敗 トランプ、段階的非核化で“呼び水”

世紀の米朝会談が流れた。トランプが6月12日の会談予定を中止した。そ
の背景には韓国大統領文在寅のトランプへのミスリードがあったようだ。

経緯を見れば、まず22日の米韓首脳会談に先立つ米韓調整で急速にトラ
ンプと金正恩との会談へのムードが盛り上がった。文が“垂涎の話し”を伝
えたからに違いない。

ところが北の対米強硬路線は変化の兆しを見せず、トランプは文在寅に対
し電話で「なぜ、私に伝えた個人的な確信(assurance)と北朝
鮮の公式談話内容は相反するのか」と詰問している。従ってトランプと文
の会談は文の言い訳で、相当気まずいものとなったようだ。

これを裏付けるようにニューヨークタイムズ(NYT)は20日、「トラ
ンプ米大統領がかけた電話は文在寅韓国大統領の訪米のわずか3日前だっ
た」とし「これは文大統領がワシントンに来るまで待てないという、トラ
ンプ大統領の不満(discomfort)を表しているという解釈が米
政府で出ている」と報じた。

要するに、トランプは韓国から伝え聞いた北朝鮮の非核化交渉の意志を
信じていたが、違う状況へと展開し、韓国の「仲裁外交」が失敗したと言
うことだ。

トランプは金正恩に送った書簡で6月12日の会談断念の理由について「会
談を楽しみにしていたが残念なことに北朝鮮の最近の声明で示されている
怒りや敵意を受けて私は現時点で会談を開くことは適切でないと感じた」
と述べた。

トランプが会談を断念した理由をもう一つ挙げれば、何と言っても水面下
の交渉で米国の北に対する非核化要求の内容が極めて厳しかったことが挙
げられる。これが北を硬化させたことにあるのだろう。

また補佐官ボルトンが北の非核化でカダフィ殺害に至る「リビア方式」に
言及したが、金正恩は自分もカダフィと同様の運命をたどりかねないと感
じて拒絶反応を示したのだろう。

北朝鮮外務省第1次官の金桂冠は16日「我が国は大国に国を丸ごと任せ悲
惨な末路を迎えたリビアやイラクではない」として、「リビアモデル」と
これに言及したボルトン補佐官に強い拒否感を示している。

この発言に対してトランプは、怒りをあらわにして「このまま会談をやっ
てもいいのか」と周辺に漏らすに至った。副大統領ペンスも「トランプ大
統領を手玉に取るような行動は大きな過ちとなる。

会談で大統領が席を立つ可能生もある」と会談決裂の可能性まで示唆し
た。しかし北の“挑発”発言は止まらず、外務省で対米交渉を担当する次官
崔善姫は公然とペンスを批判「米国問題に携わる者として、ペンス副大統
領の口からそのように無知でばかげた発言が飛び出したことに驚きを禁じ
得ない」とのべた。

加えて「我が国は米国にこれまで経験も想像すらもしたことのない恐ろし
い悲劇を味わわせる可能性がある」とすごんだ。「米国は『核対核の対
決』で北朝鮮と相まみえることになる」ともまくしたてた。

この崔善姫発言は米朝首脳会談の中止を改めて確定的にしたものと言えよう。

一方、日本政府には早くから会談の実現性に疑問を持つ空気が強かった。
外相河野太郎は「条件が整わないなら米朝会談をする意味がない」と述べ
ると共に「会談をすることが目的ではなく、北朝鮮の核、ミサイル、拉致
問題の解決が究極の目的」と日本の立場を強調している。

官房副長官野上浩太郎は、「トランプ大統領が米朝首脳会談延期の可能性
に言及したことは北朝鮮の具体的行動を引き出すためのもの」と分析して
いる。

こうして6月12日の会談は実現しない方向が定まったが、トランプが完全
に断念したかというとそうでもなさそうである。トランプは「今は適切で
はない」と述べており、望みを捨てていないのだろう。

とりわけトランプの反移民政策やロシアとの不透明な関係への不満から野
党・民主党に追い風が吹いている秋の中間選挙をひかえて、北との和解は
大きなプラス材料になる。

トランプは北への圧力を維持しつつ、秋までに会談実現に向けてのアヒル
の水かきが続くのだろう。トランプが北に求める非核化について「直ちに
完了してほしいが、段階的に行う必要が少しあるかもしれない。段階的で
も迅速に行うべきだ」と述べたのは、北への呼び水の一環であろう。

2018年05月24日

◆米韓、北への「不可侵」を表明

杉浦 正章


米朝首脳会談前に和解ムード トランプ南北統一に言及


韓首脳会談は、6月12日に予定される米朝首脳会談に向けて、慎重姿勢の
トランプを韓国大統領文在寅が説得する構図が浮かび上がった。結局22
日の会談では、トランプと文在寅は「米朝会談が支障なく開かれるよう最
善を尽くす」方向で一致した。

ワシントンでは曲折をたどっても会談は実現するとの見方が強まってい
る。しかしそれも「金正恩はノーベル賞を待望するトランプに対して時間
がたてば消える程度の非核化の約束をしようとしているかもしれない」と
ニューヨークタイムズ(NYT)が皮肉っており、水面下のやりとりがどう
進むかが焦点だ。

発表によるとトランプと文は「北が信用出来るような体制保障について意
見を交わし、北に対する『不可侵』の約束が必要なことで一致した」とい
う。また南北が板門店での首脳会談で合意した「終戦宣言」を米国、韓
国、北朝鮮の3か国で合意に持ち込むことでも一致した。

ただトランプは北朝鮮との首脳会談について「会談が開かれればいいが、
今回開かれなければ次回に開かれるだろう」となお懐疑的な立場を崩して
いない。「来週分かる」とも述べた。まだ米朝会談の延期もあり得るとい
う姿勢である。
 トランプは文との会談で、朝鮮半島の将来についての鳥瞰図を描いて見
せた。「南北朝鮮はいつかは一緒になり一つの国に戻る。南北がそれを望
むなら私もそれで良い」と述べた。トランプは既に机上にある「北の非核
化と終戦宣言。その後の経済協力」から大きく歩を進め、南北統一への支
援に初めて言及したことになる。
 これに関連して3月末と5月の二度にわたって金正恩と会談した米国務
長官ポンペオは23日、下院外交委員会の公聴会で、金正恩との会談で正
恩が「体制保証」を求めたことを明らかにしている。さらに金正恩はポン
ペオに対して「朝鮮戦争を終結させ、平和条約を締結する」意志を表示す
ると共に「我々の非核化の方針と意思を疑わないでほしい」と伝えたと言
われる。ポンペオは公聴会に提出した文書で米朝首脳会談について、「適
切な取引が机上になければ、丁重に立ち去ることになる」と述べた。これ
は水面下で進んでいるとみられる米朝調整に向けて“牽制球”を投げたもの
だろう。

一方でNYTはトランプの参謀の懸念として「大統領がノーベル賞を待望し
ている一面があり、これを看破した金正恩が時間がたてば忘れるような約
束を準備している可能性がある」と、金が“ノーベル賞”を“まき餌”にして
トランプをおびき寄せようとしている側面を報じている。

さらに同紙は、米政府関係者が「金正恩が米朝会談で今後半年以内に核兵
器の一切を放棄し、関連施設を閉鎖するタイムテーブルに同意する」と予
想したことをとらえて「こうした日程は極めて無理な計画だ」と否定的見
解を述べている。

北朝鮮の後ろ盾の中国は中国外務省報道局長の陸慷が23日、米国と北朝鮮
の双方に対し、「問題の政治解決プロセスは得難い歴史的好機を迎えてお
り、米朝双方が好機をつかみ、それぞれの懸念を解決してほしい」と強調
した。

トランプは中国を強く牽制する発言も繰り返した。「金正恩氏が習近平国
家主席と2度目の会談をしてから態度が変わり、落胆した。」と述べた。
これは金正恩が習近平に操られている側面に不満を抱いていることを物語る。

トランプは習近平を「世界一流のポーカープレーヤー」と皮肉った。国連
安保理事会の常任理事国であるにもかかわらず中国は制裁決議の完全なる
履行をしているかどうか疑わしい。国境線を越えて北に物資が続々と届い
ているとの情報もある。

一見日本の出番が無いように見えるが、今後米朝会談が進めば非核化の工
程表作りが俎上(そじょう)にのぼる。日本は積極的に核兵器解体と国外
への搬出や、専門家による検証に参加する必要がある。

安倍が北への見返りについて「先に核の完全放棄、後に補償」方式を強調
しているのは当然である。要点は金正恩が新年から打ち出している経済重
視路線をいかにして国際社会が定着させるかにあるのだろう。  

2018年05月23日

◆野党の「加計疑獄」狙いは不発に終わる

杉浦 正章



安倍は7対3で3選の方向

「またも負けたか八聯隊(はちれんたい)、それでは勲章九連隊」は、昔
大阪出身の陸軍連隊が虚弱であったことを茶化しているが、これは今の野
党にもそっくり当てはまる、総力を挙げた加計問題が愛媛県による内部文
書の信憑性が問われる事態になってきたからだ。

核心部分である15年2月の安倍の加計との面会が完全否定され、文書ねつ
造が問われるフォントの混入までが明るみに出ており、野党の追及は限界
が見えた。自民党内の空気も「政局化不可能」(党幹部)との見方が支配
的となってきており、9月の総裁選で安倍が3選される流れは7対3で強
まった。

朝日だけを購読している人は今にも「政局」かと思うだろうが、ミスリー
ドされてはならない。読売か産経を併読した方がいい。23日もトップで
「加計の面会否定の根拠示せず」と大見出しを踊らせているが、野党をけ
しかけているかのようで、平衡の感覚に欠ける。

朝日は、加計問題を1年半も取り上げ続けて、けたたましく騒いでいる
が、夢と描く昔の造船疑獄や昭電事件の再来などはあり得ない。なぜなら
安倍や自民党幹部をめぐって贈収賄事件に発展する可能性はゼロだから
だ。発展するならきな臭さが漂うものだが、まったくない。

 そもそも愛媛県の内部文書はテニオハもままならないレベルの県庁職員
が書いたもののようで信憑性のレベルが低い。その核心部分には
「2/25に加計理事長が首相と面談(15分程度)。

理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設定予定の獣医
学部では国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは『そ
ういう新しい獣医学部の考えはいいね。』とのコメントあり。また柳瀬首
相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料
を調整し、提出する予定。」とある。

文書は基本的に、明朝体と思われるフォントで構成されている。ところ
が、「首相からは『そういう新しい獣医学部の考えはいいね。』とのコメ
ント」の部分と「柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示」
の核心部分だけがゴチックになっている。

なぜ肝腎の部分だけがゴチック体なのかは、おそらく後から挿入された可
能性が強い。この継ぎはぎの字体を見ても慌てて中途半端な改竄が行われ
たのではないかと疑いたくなる。強調したいのならアンダーラインを引く
とか、太文字にするとかが考えられるがそうではない。マスコミは、信憑
性のない文書でカラ騒ぎのしすぎだ。

 安倍と加計との会談について、安倍は「指摘の日に加計氏と会ったこと
はない。加計氏から(学部新設の)話をされたこともないし、私から話を
したこともない」と全面否定。2015年2月25日の官邸の記録でも「加計氏
が官邸を訪問した記録は確認できない」と“動かぬ証拠”で反論している。

これに対して立憲民主党の福山幹事長は記者会見で、「首相が国会で虚偽
答弁を繰り返してきた疑いがより強まった。首相の進退が問われる重大な
局面を迎えた」と述べ、無理矢理政局化を目指している様子がありありだ
が、ネズミが猫を狙うようで痛ましい。

また自民党では村上誠一郎が1人「今までの行動パターンをみたら、総理
が本当のことを言ってると思えない。愛媛県の職員がなぜウソをついてま
で書く必要があるのか。ウソは書いてない。柳瀬(元首相秘書官)より信
用がおける。ということは、総理の信用は愛媛県の職員より落ちちゃっ
たってことだ。」と太鼓腹を揺すって毒舌を吐いているが、党内議員で同
調するものはほとんどいない。

自民党の安倍支持勢力は依然として安定している。これまでのところ国会
議員405人のうち安倍支持御三家の細田派94人、麻生派59人、二階派44人
は動かない。細田派は22日の総会で満場一致で早々と連続3選を決めて
いる。トップを切ったのであり、今後各派が態度決定を迫られる。

加えて官房長官菅義偉の影響が強い74人の無派閥も、大勢は様子見なが
ら安倍へと流れる傾向を示している。会期末の6月20日まで1か月を切っ
ており、夏休み入リすれば事態は消え去る。安倍は地方行脚で党員との親
密度を高め、緊迫感漂う極東情勢でも活発な外交を展開する。9月に3選
を達成して5年間好調であった景気の維持に全力を傾注しつつ、2020年オ
リンピックを迎えるのが王道だろう。

2018年05月19日

◆米朝会談へ神経戦が最高潮

杉浦 正章

米「半年以内の核搬出」要求 北「体制の保障と平和協定」で瀬踏み

6月12日に開催予定のトランプと金正恩の米朝首脳会談に向けて、神経戦
が展開されはじめた。分析すれば米国が、「完全なる非核化」を要求し、
北はこれを拒否した上で体制の保障を求めている構図が浮かび上がる。

米国は北に対して核弾頭や大陸間弾道弾を半年以内に国外に搬出するよう
要求、その代償としてテロ支援国家指定の解除と金正恩体制の存続をちら
つかせているようだ。しかし金正恩が命と守る核兵器を半年以内に搬出す
る可能性はゼロに近く、米提案は駆け引き材料に過ぎまい。溝が埋まるに
はほど遠い。

北朝鮮は16日、米韓空軍の定例合同訓練を理由に、南北閣僚級会談の中
止を一方的に通知し、第1外務次官金桂官が談話を発表した。談話は「大
統領補佐官のボルトンをはじめ、ホワイトハウスと国務省の高位官僚は
『先に核放棄、後に補償』方式を触れ回りながら、リビア核放棄方式だの
『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』だの、『ミサイルの生化学武器
の完全放棄』だのという主張を厚かましく繰り返している」と米国の要求
を批判。

「これは対話を通じて問題を解決しようとするものではなく、本 質にお
いて大国に国を丸ごと任せきりにして、崩壊したリビアやイラクの 運命
を尊厳高い我々に強要しようとする甚だ不純な企てだ」と強調した。 さ
らに金桂官は「一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、首脳
会談に応じるかどうかも再考せざるを得ない」と首脳会談再考も示唆して
いる。

これに対しトランプは「われわれは何の知らせも受けていない。様子を
みてみよう」と述べ、北朝鮮の今後の出方を見極める考えを強調した。さ
らにホワイトハウス報道官のサンダースは、米朝首脳会談について、「重
要な会談だ」と指摘し、準備を進める考えを示す一方で「トランプ大統領
は、困難な交渉には慣れていて、その準備も整っている。

ただ、北朝鮮が 会いたくないのなら、それでもいい。その時は、最大限
の圧力をかけ続け るだけだ」とすごんで見せた。北朝鮮が対話を選ばな
ければ、圧力を強め る考えを示して、けん制したことになる。

しかし、“口撃”の厳しさは半島民族の“特性” であり、隘路を探してい
ることは間違いない。その一つとして、韓国大統領文在寅を通じてトラン
プの説得を要求している可能性が高い。

米韓首脳会談は22日に予定され ており、北朝鮮が米韓合同航空戦闘訓
練『マックスサンダー』を理由に南 北閣僚級会談を一方的に中止したの
は、米韓首脳会談に向けた思惑がある からにほかならない。

その意図は韓国を動かして、米国との首脳会談の際 の北朝鮮の立場をよ
り正確に説明させようとしているのかもしれない。既 に北朝鮮は韓国と
の閣僚級会談を中止することで、F22などの戦略兵器が 朝鮮半島に飛来す
ることを望んでいないという意思を明確に示している。

金正恩は北朝鮮の立場をあらかじめ文在寅を通じてトランプに伝達して
け ん制しているのだろう。

そもそも北朝鮮の狙いは今年早々から明白だ。正月に金正恩は対話攻勢
に転じて、まず米国の同盟国である韓国の取り込みを図ってきた。金正恩
と文在寅の会談で準備段階を終え、いよいよトランプとの会談に向けた総
仕上げ段階に入っているのだろう。

北は体制の保障と平和協定締結を最終 目標としている。また一連の言動
は米朝会談で主張する予定の重要なメッ セージを米側にあらかじめ伝え
て、瀬踏みをしているのだろう。これに対 して米側も半年以内の核搬出
という“高値”をふっかけて、妥協点を模索し ているのが現在の図式だろう。

2018年05月18日

◆米朝会談へ神経戦が最高潮

杉浦 正章


米「半年以内の核搬出」要求

北「体制の保障と平和協定」で瀬踏み

6月12日に開催予定のトランプと金正恩の米朝首脳会談に向けて、神経戦
が展開されはじめた。分析すれば米国が、「完全なる非核化」を要求し、
北はこれを拒否した上で体制の保障を求めている構図が浮かび上がる。

米国は北に対して核弾頭や大陸間弾道弾を半年以内に国外に搬出するよう
要求、その代償としてテロ支援国家指定の解除と金正恩体制の存続をちら
つかせているようだ。しかし金正恩が命と守る核兵器を半年以内に搬出す
る可能性はゼロに近く、米提案は駆け引き材料に過ぎまい。溝が埋まるに
はほど遠い。

北朝鮮は16日、米韓空軍の定例合同訓練を理由に、南北閣僚級会談の中
止を一方的に通知し、第1外務次官金桂官が談話を発表した。談話は「大
統領補佐官のボルトンをはじめ、ホワイトハウスと国務省の高位官僚は
『先に核放棄、後に補償』方式を触れ回りながら、リビア核放棄方式だの
『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』だの、『ミサイルの生化学武器
の完全放棄』だのという主張を厚かましく繰り返している」と米国の要求
を批判。

「これは対話を通じて問題を解決しようとするものではなく、本 質にお
いて大国に国を丸ごと任せきりにして、崩壊したリビアやイラクの 運命
を尊厳高い我々に強要しようとする甚だ不純な企てだ」と強調した。 さ
らに金桂官は「一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、首脳
会談に応じるかどうかも再考せざるを得ない」と首脳会談再考も示唆して
いる。

これに対しトランプは「われわれは何の知らせも受けていない。様子を
みてみよう」と述べ、北朝鮮の今後の出方を見極める考えを強調した。さ
らにホワイトハウス報道官のサンダースは、米朝首脳会談について、「重
要な会談だ」と指摘し、準備を進める考えを示す一方で「トランプ大統領
は、困難な交渉には慣れていて、その準備も整っている。

ただ、北朝鮮が 会いたくないのなら、それでもいい。その時は、最大限
の圧力をかけ続け るだけだ」とすごんで見せた。北朝鮮が対話を選ばな
ければ、圧力を強め る考えを示して、けん制したことになる。

しかし、“口撃”の厳しさは半島民族の“特性” であり、隘路を探してい
ることは間違いない。その一つとして、韓国大統領文在寅を通じてトラン
プの説得を要求している可能性が高い。

米韓首脳会談は22日に予定され ており、北朝鮮が米韓合同航空戦闘訓
練『マックスサンダー』を理由に南 北閣僚級会談を一方的に中止したの
は、米韓首脳会談に向けた思惑がある からにほかならない。

その意図は韓国を動かして、米国との首脳会談の際 の北朝鮮の立場をよ
り正確に説明させようとしているのかもしれない。既 に北朝鮮は韓国と
の閣僚級会談を中止することで、F22などの戦略兵器が 朝鮮半島に飛来す
ることを望んでいないという意思を明確に示している。

金正恩は北朝鮮の立場をあらかじめ文在寅を通じてトランプに伝達して
け ん制しているのだろう。

そもそも北朝鮮の狙いは今年早々から明白だ。正月に金正恩は対話攻勢
に転じて、まず米国の同盟国である韓国の取り込みを図ってきた。金正恩
と文在寅の会談で準備段階を終え、いよいよトランプとの会談に向けた総
仕上げ段階に入っているのだろう。

北は体制の保障と平和協定締結を最終 目標としている。また一連の言動
は米朝会談で主張する予定の重要なメッ セージを米側にあらかじめ伝え
て、瀬踏みをしているのだろう。これに対 して米側も半年以内の核搬出
という“高値”をふっかけて、妥協点を模索し ているのが現在の図式だろう。



2018年05月17日

◆米朝会談へ神経戦が最高潮

杉浦 正章


米「半年以内の核搬出」要求

北「体制の保障と平和協定」で瀬踏み

6月12日に開催予定のトランプと金正恩の米朝首脳会談に向けて、神経戦
が展開されはじめた。分析すれば米国が、「完全なる非核化」を要求し、
北はこれを拒否した上で体制の保障を求めている構図が浮かび上がる。

米国は北に対して核弾頭や大陸間弾道弾を半年以内に国外に搬出するよう
要求、その代償としてテロ支援国家指定の解除と金正恩体制の存続をちら
つかせているようだ。

しかし金正恩が命と守る核兵器を半年以内に搬出する可能性はゼロに近
く、米提案は駆け引き材料に過ぎまい。溝が埋まるにはほど遠い。

北朝鮮は16日、米韓空軍の定例合同訓練を理由に、南北閣僚級会談の中止
を一方的に通知し、第1外務次官金桂官が談話を発表した。談話は「大統
領補佐官のボルトンをはじめ、ホワイトハウスと国務省の高位官僚は『先
に核放棄、後に補償』方式を触れ回りながら、リビア核放棄方式だの『完
全かつ検証可能で不可逆的な非核化』だの、『ミサイルの生化学武器の完
全放棄』だのという主張を厚かましく繰り返している」と米国の要求を批判。

「これは対話を通じて問題を解決しようとするものではなく、本質におい
て大国に国を丸ごと任せきりにして、崩壊したリビアやイラクの運命を尊
厳高い我々に強要しようとする甚だ不純な企てだ」と強調した。

さらに金桂官は「一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、首脳
会談に応じるかどうかも再考せざるを得ない」と首脳会談再考も示唆して
いる。

 これに対しトランプは「われわれは何の知らせも受けていない。様子を
みてみよう」と述べ、北朝鮮の今後の出方を見極める考えを強調した。さ
らにホワイトハウス報道官のサンダースは、米朝首脳会談について、「重
要な会談だ」と指摘し、準備を進める考えを示す一方で「トランプ大統領
は、困難な交渉には慣れていて、その準備も整っている。

ただ、北朝鮮が会いたくないのなら、それでもいい。その時は、最大限の
圧力をかけ続けるだけだ」とすごんで見せた。北朝鮮が対話を選ばなけれ
ば、圧力を強める考えを示して、けん制したことになる。

しかし、“口撃”の厳しさは半島民族の“特性” であり、隘路を探してい
ることは間違いない。その一つとして、韓国大統領文在寅を通じてトラン
プの説得を要求している可能性が高い。

米韓首脳会談は22日に予定されており、北朝鮮が米韓合同航空戦闘訓練
『マックスサンダー』を理由に南北閣僚級会談を一方的に中止したのは、
米韓首脳会談に向けた思惑があるからにほかならない。

その意図は韓国を動かして、米国との首脳会談の際の北朝鮮の立場をより
正確に説明させようとしているのかもしれない。既に北朝鮮は韓国との閣
僚級会談を中止することで、F22などの戦略兵器が朝鮮半島に飛来するこ
とを望んでいないという意思を明確に示している。金正恩は北朝鮮の立場
をあらかじめ文在寅を通じてトランプに伝達してけん制しているのだろう。

そもそも北朝鮮の狙いは今年早々から明白だ。正月に金正恩は対話攻勢に
転じて、まず米国の同盟国である韓国の取り込みを図ってきた。金正恩と
文在寅の会談で準備段階を終え、いよいよトランプとの会談に向けた総仕
上げ段階に入っているのだろう。

北は体制の保障と平和協定締結を最終目標としている。また一連の言動は
米朝会談で主張する予定の重要なメッセージを米側にあらかじめ伝えて、
瀬踏みをしているのだろう。これに対して米側も半年以内の核搬出という
“高値”をふっかけて、妥協点を模索しているのが現在の図式だろう。