2018年12月07日

◆トリプルプル選は危険な賭けー来年の政局

杉浦 正章


失敗すれば自民党に大打撃

 五里霧中の改憲成否 来年の干支は己亥(つちのとい)で足元を固めて
次の段階を目指す年だが、国内政局は首相・安倍晋三の推進する「憲法改
正路線」をめぐって与野党が激突ムードを高めるだろう。

しかし改憲に関する国内の論議はまだ定まるに至っていない。なぜなら改
憲は戦後自民党が結党して以来の悲願だが、これまで「お題目」として唱
えても、国民の間に現実論として定着していないからだ。よほどの説得力
がない限り、改憲展望は五里霧中であり、失敗すれば自民党に大打撃とな
ると言わざるを得まい。

自民党は自衛隊の根拠規定の明記など改憲四項目については今国会の提出
を断念したが、来年の通常国会には提示する方針であり、政府・与党がま
なじりを決した対応ができるかどうかが成否を決める。  

既に実態から見れば、現行憲法第9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない」などはいまや空文に等しい。なぜなら米軍事力評価機
関の「Global Firepower」一つとっても、自衛隊を世界7位と位置づけて
おり、いざというときの工業力を計算に入れれば、日本の潜在的軍事力が
もっと高位に入るのは常識だからだ。

もはや吉田茂の言う「戦力なき軍隊」の時代はとっくに終わり、野党が仏
壇の奥からはたきをかけて、改憲反対論を持ち出しても、説得力に欠ける
傾向を強めているのだ。

安倍首相は「自衛隊が違憲かも知れないという議論が生まれる余地をなく
すべきと考える」と発言しているのは、保守派政治家としてイロハのイを
説いているにすぎない。

そのための改憲について安倍は「2020年を新憲法が施行される年にしたい」
と言い切り、期限まで区切っている。

憲法改正の手続きは、衆院は100人以上、参院は50人以上の賛成で改正原
案を国会に提出して始まる。その後、衆参両院の憲法審査会で審査し、そ
れぞれの本会議で総議員の3分の2以上の賛成を得れば、憲法改正を発議で
きる。発議後60〜180日以内に国民投票を実施し、有効投票総数の過半数
の賛成を得れば承認される。  

自民党保守派が現在を改憲の絶好のチャンスと判断するのは、衆参で3分
の2の改憲勢力を糾合し得ることから、来年の通常国会で改憲を発議し、
参院選挙と同時に国民投票にかけるという戦術があり得るからだ。

同党の一部には、参院だけの民意を問うのではなく、衆院の解散で衆院の
民意も問うべきだという“スジ論”が存在しており、そうなれば「衆院選・
参院選・改憲国民投票」という「トリプル選挙」の可能性が浮上しても不
思議はない。
過去1980年と86年に行われた衆参同時選挙は与党自民党に有利に作用して
いる。衆参の候補が補完し合う傾向が生じたからだ。これに改憲が加わっ
ても与党有利は変わらないという判断が自民党内には存在する。

しかし、来年春は地方選挙が行われるが、地方議員らは自分の選挙が終わ
れば、他人事の参院議員の選挙に身が入らない傾向が生じかねない。おま
けに亥年の参院選挙は過去5回行われているが、なぜか自民党は1勝4敗
で不利な戦いを強いられている。

12年前の参院選に至っては過半数割れ の惨敗をきっしている。民主党代
表小沢一郎が、小泉政権下で自民党に見 捨てられたと感じた地方層に訴
える戦略を活用して07年の参議院選挙に勝 利、参院の多数を握って「ね
じれ国会」をもたらした。  

自民党改憲案 は@自衛隊の根拠規定の明記A緊急事態対応条項B参院選の合
区解消C教育の 充実ーなどの項目となっており、保守層にとっては自衛隊
の根拠規定は悲 願とも言える。

来年の政治日程を見れば1月に通常国会召集、改憲案の提 示。4月に統
一地方選挙、予算成立後は参院選に向けて対決ムードが高ま る。5月1
日に新天皇即位、6月28,29日大阪でG20首脳会合。6月 か7月に参院選
挙、10月1日に消費税引き上げーなどとなっている。  

このうち与野党対決必死の改憲案発議は、戦後まれに見る保革対決の核
となり得るが、公明党が参院選前の発議に否定的なのは、「衆院議員の任
期半ばでの衆参同日選挙をやる以上は、必ず勝つ選挙でなくてはならな
い」(党幹部)と言う現実政治上の判断があるからだ。  

確かに「同日 選先にあり」の政局判断は無理筋の部分があり、負けた場
合には政権を直 撃する要素となり得る。 己亥(つちのとい)で足元を固
めて次の段階を 目指すこととは、ほど遠い結果になりかねない。

安倍首相の任期はまだ3年弱 あり、政治も経済も安定状態に入ったよう
な状況が続いている。これと 言った後継者も育っていないことから、場
合によっては中曽根康弘のケー スのように、総裁任期延長の可能性もな
いわけではあるまい。あえてトリ プル選挙という危険な“賭け”に出る必
要は、よほどのことがないかぎりあ るまい。

2018年11月29日

◆難問山積、激動の極東情勢

杉浦 正章


「米中第2次冷戦」は長期化へ

北方領土「五里霧中」、邪道の韓国

今年もはや師走が目前となったが、日本を取り巻く環境は地殻変動を起
こす前触れのような様相を見せている。まず大きな潮流を見れば米中関係
の潮目が変わり、米中両超大国が「第2次冷戦」ともいうべき状況に突入
した。

日本は多かれ少なかれ影響を受ける。一見、首相・安倍晋三との関係が良
好に見えるロシア大統領プーチンは、核心の領土問題で一歩も譲らぬ姿勢
をあらわにした。隣国韓国の大統領文在寅は、人気が落ちそうになると竹
島・慰安婦で対日世論を煽る邪道路線だ。

まさに「四面楚歌」のごとき様相だ。来年の干支は己亥(つちのとい)で
足元を固めて次の段階を目指す年だが、次の展望は五里霧中と言わざるを
得まい。

米ソ冷戦に勝った米国は、トランプが「一国主義」を前面に打ち出し、
「アメリカ・ファースト」で国を率いると宣言。この方向は一方の超大国
中国を刺激し、習近平は「一帯一路」構想を合い言葉に、臆面もなく地球
俯瞰型の勢力拡大に打って出た。

中国の歴代皇帝がそうしたように、「皇帝」習近平は陸路と海路で西進を
開始した。2017年10月19回の共産党大会で採択された党規約には、「共に
話し合い、共に建設し、共に分かち合うという原則を遵守して『一帯一
路』建設を推進する」と明記した。覇権主義が芬芬(ふんぷん)とにおう
大方針である。

9月30日には「航行の自由作戦」遂行中の米艦船に中国の艦艇が45メー
トルまで接近するという異常事態を現出させた。

こうした動きをとらえて米副大統領ペンスは、2017年の国家安全保 障戦
略の「中国は米国の安全と繁栄を侵食することで我々のパワー、影響 力
に挑戦している」との立場を再確認。同時にペンスは「中国は米国の最
先端技術を盗み、西太平洋地位域から米国を排除して、同盟国支援を妨げ
ようとしている」と強く批判した。これらの発言は、明らかに敵対国同士
の応酬段階のように見える。

こうして米中対立は長期化する可能性が高い情勢となって来た。米政 府
はキッシンジャーの隠密外交で1971年から始まったニクソン政権に よる
対中融和策から転じて、対決路線に大きく舵を切った。

ここで注目されるのは目前に迫ったブエノスアイレスでの主要20か国 首
脳会議である。G20は11月30日から12月1日の2日間開かれるが、米中は
水面下で首脳会談の下準備をしている模様だ。

この米中首脳会談が決裂す れば米中対立は修復不能の状態となることが
確実であり、両国とも薄氷を 踏むような調整をしているに違いない。し
かし、中国が一帯一路路線を転 換する気配はなく、唯一の超大国として
君臨してきた米国も、トランプが そう簡単には引き下がるとは思えな
い。大きな構造的な潮流は、米中冷戦 の継続だろう。

一方、安倍との個人的な関係を棚上げするかのようにプーチンは北方領
土で強硬姿勢を貫く構えだ。ロシア国内でのプーチン人気を押し上げるこ
とになったのは、紛れもなくクリミア・セヴァストポリの編入である。ロ
シアの領土は世界の総陸地の11.5%を占め世界第一を誇るが、大地主が境
界線に異常なこだわりを見せるのと同じで、国家も土地があるほど卑しく
固執する傾向がある。おまけに極東安保上の戦略が絡む。これに対して安
倍は4島のうち歯舞・色丹の2島先行返還でゆく方向に舵を切ったかのよ
うに見える。

とろろがプーチンはここにきてちゃぶ台返しに出た。安倍との首脳会談
でプーチンは、「日ソ共同宣言には日本に島を引き渡すと書かれている
が、どの国の主権になるかは書かれていない」と言い出したのだ。まるで
日本に引き渡しても主権はロシアにあるという、荒唐無稽な屁理屈であ
る。これは事実上プーチンに返す意図がないことを物語っている。

安倍が これに対して何も言わなかったのは、「2島先行返還」でも、な
んとか実 現にこぎ着けたいとの思惑があるからだろう。「安倍さんは2
島で腹をく くった」という説まである。

しかし、情勢は2島といえども容易でない感じが濃厚だ。なぜならクリ
ミア・セヴァストポリ編入で高まった人気で味を占めたプーチンが、自ら
の保身を考えたら、2島といえどもロシア人が3000人も住んでいる 「領
土」を返したら一挙に人気が瓦解すると思ってもおかしくないから だ。

こうして北方領土問題は五里霧中となったのが実情だろう。安倍と プー
チンは3年以内に平和条約を結ぶことで合意した。安倍の任期は 2021年
9月までだから任期中にと言うことだろう。安倍は「戦後70 年以上残さ
れた課題を次の世代に先送りすることに終止符を打つという強 い意志を
完全に共有した」と発言したが、ここで期限を切っては、事実上 歯舞・
色丹2島にとどまり、残る国後・択捉2島は永久に棚上げとなる心 配が
ある。

一方、竹島では韓国の国会議員が上陸した。上陸について、外相・河野太
郎は、上陸にあたっては政府が関与している可能性もあるとして、韓国政
府の責任も問いただす必要があるという考えを示した。

韓国大統領文在寅 は人気が落ちそうになると、竹島・慰安婦で日本の神
経を逆なでして、国 民を煽り、人気を取る癖があり、こんな大統領を相
手にまともな会談など できるわけはない。安倍は当分「無視」 すべきだろ
う。ただ河野の言う 「文在寅の責任」については、当然追及すべきこと
だろう。

2018年11月15日

◆危うい歯舞、色丹の「2島先行返還論」

杉浦 正章


プーチンは国後、択捉の現状固定狙う

日露首脳会談の焦点は言うまでもなく、北方領土問題であったが、首相・
安倍晋三の成果を急ぐ姿勢が目立ち、プーチンに「技あり」を取られかね
ない側面が生じた。なぜかと言えば日本が「四島返還」より「歯舞、色丹
の2島先行」に傾斜したと受け取れるからだ。

安倍は56年の日ソ共同宣言の「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行
い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」に回帰し
て、とりあえずは二島返還で平和条約交渉を先行させる構えを垣間見せて
いる。しかし、したたかなプーチンが先行返還と言っても他の2島を返還
する可能性はゼロに近いと見るべきだろう。

問題は、56年共同宣言に盛られた北方領土は「歯舞群島と色丹島」だけで
あり、国後、択捉への言及がないことだ。ロシアの「二島での食い逃げ」
は当然予想できることである。にもかかわらず2党返還で平和条約を締結
することになれば、ロシア側は日本の譲歩と国内的に喧伝する意図があり
ありだからだ。なぜならプーチンはかねてから「国後、択捉は議論の対象
にならない」と主張してきており、それが実現したと受けとれるからだ。

あきれたことにプーチンは、歯舞群島と色丹島についても「日本に引き
渡された後の2島に日露どちらの主権が及ぶかは共同宣言に書かれていな
い。今後の交渉次第だ」と、引き渡した後もロシアの主権が及ぶという姿
勢を貫こうとしている。したたかにも交渉のハードルを上げてロシアの主
権を主張する意図がありありだ。クリミア併合で国内の評価が急上昇した
“甘い汁”を北方領土でもう一度という魂胆が垣間見える。

プーチンは国際的にウクライナの領土と見なされていたクリミア自治共和
国、セヴァストポリ特別市をロシア連邦の領土に加えることに成功した。
1991年にソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦が成立した後、ロシアにとっ
て本格的な領土拡大となった。北方領土で譲歩すればクリミアで得た国民
の評価を、一挙に灰燼に帰することになるのが構図だ。

さらに重要なのはロシアには北方領土を日本に渡せば、米軍が常駐しない
までも、一朝有事の際は島々が米軍の不沈空母となりかねないと言う危惧
がある。地政学的には極東における日米の安全保障上の立場を強化するこ
とになる。当然予想される事態だ。

 最近の対露交渉で懸念されるのは、プーチンの「食い逃げ」である。
プーチンの狙いは、日本の経済協力であり、その発言から見る限り領土問
題での譲歩は、そぶりすら見せていない。日本側には通算22回も会談する
のだから「めどくらい立つだろう」との期待が強いが、表だって目立つの
はプーチンのしたたかさだ。安倍の会談の目的は領土問題だが、プーチン
には会談すること自体を重視しているかに見える。

加えて、プーチンは10月に公的な会合で「日露間に領土問題は存在してい
ない」と言明、交渉姿勢を分析すれば「ゼロ回答」ばかりが透けて見え
る。今後安倍は、月末のブエノスアイレスでの主要20か国首脳会議でも首
脳会談を行うし、来年には早い時期に訪露する方針である。

ロシア経済は原油価格の低迷によって2015年、16年と2年連続で景気後退
に陥ったものの、価格の持ち直しで2017年の同国の実質国内総生産が前年
比で1.5%増え3年ぶりのプラス成長を達成。2018年も2年連続のプラス成長
が見込まれている。

したたかなプーチンは堅調なロシア経済を背景に強気の外交姿勢を維持す
るものとみられ、突き崩すのは容易ではあるまい。安倍としては、来年夏
には参院選があり、急進展があれば別だが、対露外交はよほどの進展がな
い限り選挙のプラス材料にはなりにくいのが実情だ。

2018年11月08日

◆下院舞台に攻防段階へ突入

杉浦 正章


唯我独尊政治が極東外交にも影

中間選挙の結果米国は、民主党が下院を奪還し、多数党が上院は共和党、
下院は民主党という「ねじれ議会」となった。この大統領と下院の多数派
が異なる政治状態は、戦後の議会ではレーガン政権、ブッシュ政権、オバ
マ政権で生じている。

とりわけオバマ政権の2期目は、「決められない政治」で有名だが、トラ
ンプも多かれ少なかれ「決められない」状況に落ち込むだろう。2年後の
大統領選は、奇跡の逆転でトランプ再選がないとは言えないが、その可能
性は低い。勢いづいた民主党が反トランプの攻勢をかけることは必定であ
り、大統領弾劾の事態もあり得ないことではない。米国の政治は流動化の
傾向を強くする。

民主党にとっては8年ぶりの下院奪還であり、ねじれを利用してトランプ
政権への攻勢を強め、大統領の弾劾訴追も視野に入れるとみられる。その
ための圧力は、法案の成立数となって現れるだろう。米議会における法案
成立数は毎年通常400〜500本で推移しているが、議会がねじれた政権では
その数が著しく減少する。レーガンの成立率は6%、ブッシュ4%、オバ
マ2%といった具合だ。

法案は通常、上下両院でそれぞれ同時期に審議され、内容が一本化されて
成立の運びとなる。民主党は今後ポイントとなる重要法案の成立を阻むも
のとみられ、トランプは議会対策で苦境に陥る公算が強い。とりわけ下院
が主戦場となる。民主党の狙いは言うまでもなく2年後の大統領選挙でト
ランプを引きずり下ろすことにある。2年間でトランプをボロボロにし
て、再起不能にしようというのだ。

民主党はトランプの弱点を突く戦術を展開するものとみられる。弱点は山
ほどある。外交では北朝鮮の金正恩やロシアのプーチンとの親密ぶりばか
りを露骨に誇示して、同盟国である日本やカナダをないがしろにして、高
関税をちらつかせる。

内政では元女優との不倫に口止め料を支払ったのが露呈したかとおもう
と、女性やマイノリティに対する侮辱的な発言。議会が指摘する「嘘つき
政治」は日常茶飯事である。

よくこれで大統領職が務まると思えるほどの問題ばかりが山積している。
他国に対する制裁関税も、製造業が大不況で息も絶え絶えのラストベルト
地帯にこびを売るものにほかならない。トランプは国全体を見る視野よ
り、自分への支持層だけを大切にしているかに見える。

「我々はグローバリズムを拒絶し、愛国主義に基づき行動する」という発
言は、国際協調路線とは決別しているかに見える。現実に環太平洋経済連
携協定(TPP)や、地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱表明は、
釈迦も驚く唯我独尊ぶりだ。

この結果、米国民に分断傾向が生じている。国内に医療制度や移民問題を
めぐって対立が生じているのだ。もともと共和党支持層は地方の有権者や
白人が多く、民主党は若者や、有色人種、女性が支持する傾向が強い。本
来なら複雑な社会形態を統合するのが米大統領の重要な役割だが、トラン
プは分断が自らを利すると考えているかに見える。

よくこれで大統領が務まると思えるが、米国政治の懐は深く、弾劾などは
よほどのことがない限り実現しそうもないのが実態だ。米国では大統領と
議会の多数派が異なることを分割政府(divided government)と言う。

米国の政治制度の特質は、大統領と議会の多数派が異なる分割政府の常態
化を前提として政治運営や立法活動が複雑な駆け引きの下に行われる。大
統領が利害調整を行はざるを得ない場面が過去の政権でも見られた。

その傾向が常態化するのであろう。さすがに心配なのかトランプはさっそ
く「ねじれ」状態を踏まえ、「いまこそお互いが一緒にやるときだ」と
べ、民主党に連携を呼びかけたが、ことは容易には進むまい。

トランプの政治姿勢が続く限り、西欧や日本などの同盟国の国民は心理的
な離反傾向を強めかねない。そうすれば喜ぶのはプーチンや習近平だけで
あろう。トランプの対中対立路線が原因となる米中離反は、中国による対
日接近姿勢を強めており、国家主席習近平の来年の訪日など今後交流が強
まる傾向にある。

トランプの唯我独尊政治は、単に米国内にとどまらず、極東外交にも大き
な影を落としているのだ。しかし大統領が誰であれ、日米関係は重要であ
り、同盟関係を堅持し、通商関係の維持向上を図るべきであることは言う
までもない。


2018年10月30日

◆中国の対日大接近は「強国路線」の一環

杉浦 正章


米中は「新冷戦時代」突入 日本は“ラジエーター役”も

単なる貿易戦争と言うより米中二大超大国の覇権争いが始まったとみるべ
きだろう。中国は米国との冷戦状態に入ったが、日本とは関係改善に動く
など二股柔軟路線だ。

加えて今年は日中平和友好条約締結40周年の節目の年であり、首相・安倍
晋三訪中の極東安定に果たした役割は大きい。背景には米中貿易戦争が、
中国の態度に変化を促したことがあるのは確かだろう。

中国が日本との関係を強化しようとするのはパワーバランス上の狙いがあ
るからであり、喜んでばかりはいられない。日本は米中のはざまで、ただ
でさえ流動化している極東情勢が波乱の激動期に突入しないようラジエー
ター役を好むと好まざるとにかかわらず求められるからだ。

 日中関係は安倍訪中により戦後まれに見る良好な関係へと入りつつあ
る。安倍との会談で習近平は「この歴史的なチャンスをつかみ中日関係発
展の歴史的な指針とすべきだ」と強調した。

さらに加えて習は「日本訪問を真剣に検討する」と来年の訪日を確約し
た。過去には日本など眼中にないとばかりに、安倍と会っても何かくさい
臭いでも嗅いだかのような表情をしていたが、こういった態度をがらりと
変えたのだ。

これに先立ち下準備のために来日した首相李克強も関係改善 の必要を説
いており、中国の対日大接近は習政権挙げての大方針として固 まってい
たことが明白だ。首脳会談で安倍が「競争から協調へ、日中関係 を新た
な時代へと導いて行きたい」と応じたのは、まさに日中蜜月時代の 到来
を予測させるものであった。

世界も安倍訪中を固唾をのんで見守っており、仏の国営ラジオ放送局
RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は27日、中国語版サイト
で、日中関係について「米中の関係悪化により日中は対抗状態から抜け出
す」とする記事を掲載した。

記事は、「米国と中国との間の貿易戦争が、 世界の『長男』である米国
と『次男』中国との関係を全面的に悪化させ た。一方で『次男』の中国
と『三男』の日本が手を差し伸べ合うことを促 し、日中関係を7年間に及
ぶ低迷期から抜け出させた」と明快に分析して いる。

 日中関係は1972年の国交正常化で極めて良好な関係に入ったが、以来、
絶えず起伏があった。とりわけ、2012年から13年にかけては、尖閣問題や
歴史問題で最悪の状態にまで冷え込んだ。安倍は今回経済界リーダー500
人を率いて訪中し、500件を超える協定に署名し、「その価値は計26億ド
ル(約2900億円)に達する」とした。

中国の態度激変の背景には、米中貿易戦争のエスカレートがある。貿 易
戦争の結果経済は悪化しており、安全保障の分野にまで対立の構図がで
きつつあり、長期化する様相を見せている。筆者がかねてから指摘してい
るように中国と米国は、「新冷戦時代」に突入しているのだ。

こうした背 景を見れば対日接近が、経済的利益につながると同時に対米
牽制の狙いが あることは明白であろう。日米関係にくさびを打ち込もう
という狙いが透 けて見えるのだ。

この超大国の覇権争いに多かれ少なかれ日本は巻き込まれるだろう。地
政学上から言っても、それが宿命だ。だが、日米同盟の絆はいささかも揺
るがしてはならない。中国ばかりでなくロシアのプーチンまでが喜ぶこと
になりかねないからでもある。米中貿易戦争は始まったばかりであり、米
国は矛先を緩める状態にはない。

対中関係を過剰に緊密化すれば、良好なる安倍・トランプ関係にも影響
が生じかねない要素である。その線上で、日米関係が悪化すれば習近平の
思うつぼにはまることになる。安倍は日米同盟関係を維持しながら、対中
関係改善で経済的利益を最大化するという、サーカスでの“空中ブランコ”
を演じなければならないのである。

時には習近平の「強国強軍路線」とい う「新覇権主義」に手を広げて
「まった」をかける必要も出てこよう。国 連の場などを通じて世界世論
に働きかける手段なども必要となろう。


2018年10月25日

◆サウジの米、トルコとの軋轢深刻化

杉浦 正章


トランプは二律背反状態

なんともはやアラビアンナイトの千夜一夜物語を読むような凄惨さであ
る。サウジ人記者ジャマル・カショギ殺害事件は、サウジ皇太子ムハンマ
ド・ビン・サルマンの意向と深い関係なしでは考えられない。

本人は「下の者がやった」と日本のヤクザの弁明のような発言をしている
が、信ずる者はいまい。目撃者も多く真相はやがて確実に日の光を見るだ
ろう。当然国連でも採り上げるべき問題だろう。

サウジは最も重要な同盟国である米国、および中東で有数の軍事力を誇る
トルコ双方との間で大きな軋轢を抱えることとなった。米国はサウジとの
同盟関係を維持しつつ、皇太子の暴挙を批判しなければならない二律背反
状態に陥っている。

サウジ側の声明ではカショギが「けんかと口論の末殺された」としている
が、59歳の分別あるジャーナリストが、多勢に無勢のけんかを本当にした
のか。トルコ当局によると「殺害されその場で死体はバラバラにされた」
としているが、死体の解体によって隠ぺいできるという判断自体が幼稚で
度しがたい。実行犯は15人でそのうち5人が皇太子の護衛であったとい
う。護衛と言えば戦闘訓練を積んだプロであり、素人の殺人事件とは性格
を異にする。

外相アデル・ジュペイルは「皇太子はもちろん情報機関の幹部も感知して
いない」と関与を頭から否定しているが、信ずる者はいない。カショギは
従来から皇太子の独裁的な手法を非難してきており、殺害はその報復と見
て取れるからだ。ムハンマドも「自分は事件とは関係なく、下のレベルで
行われた」と述べているがこの発言も語るに落ちた。「下のレベル」とは
部下だからだ。

大使館内とはいえ国内で事件を起こされたトルコの大統領エルドアンは
「情報機関や治安機関に責任を負わせるのでは誰も納得しない」と、サウ
ジ側の発表に強い不満を表明している。加えてエルドアンは「殺害は偶然
ではなく、計画的なものだ。我々は動かぬ証拠を握っている」とも発言し
ている。

米大統領トランプも「目下のところ現地では皇太子が取り仕切っている。
上層部の誰が関与したかと言えば彼だろう。史上最悪の隠ぺいを行った」
と述べていたがその姿勢は揺れに揺れてる。

関係者のビザ取り消しなど厳しい対応を示唆したかと思うと、サウジへの
武器輸出は推進。しまいには「下の者がやったと皇太子は言っていた」皇
太子を擁護までした。

まさに右往左往の醜態を示した。米CIA(中央情報局)は、まさに活躍
の場を得たとばかりに、膨大な情報をホワイトハウスに送り込んでいるに
違いない。トランプは皇太子の発言を信ずるかCIAを信ずるかと言え
ば、いうまでもなくCIAだ。

一方米議会からは「米国の基本的な価値観は自由を守り民主主義を維持す
ることであり、マスコミ関係者を殺害するという行為を認めるわけにはい
かない」とのスジ論が巻き起こっている。

米国にもジレンマがある。もし制裁で武器輸出を禁止した場合には、喜ぶ
のはプーチンと習近平だからだ。サウジをロシアや中国からの武器輸入に
追いやることはなんとしても避けなければならないのだ。

なぜなら中東安定の構図にマイナスの要素が入り込むからだ。しかし、米
国内世論は圧倒的に皇太子への何らかの制裁を求める空気が濃厚であり、
トランプは中間選挙を目前にして苦しい選択を強いられる状況だろう。 

ムハンマド皇太子は24日、国際社会から激しい批判を浴びる中、サウジ政
府として、犯人を裁く考えを示した。皇太子は、「忌まわしい出来事で、
正当化されるものではない」と語っているが、今後国連などでのサウジ批
判噴出は避けられず、皇太子は外交面で困難な状況に直面した。


2018年10月17日

◆首相は為政者の義務感から決断ー消費税10%

                                   杉浦 正章

オリンピックで景気持ち直しか

 残る任期3年を前にして最大級の決断である。為政者は誰も国民に嫌われる増税などしたくはあるまい。首相・安倍晋三の消費増税10%の決断には為政者としての義務感が濃厚に存在する。タイミングとしても絶妙であった。リーマンショック級の事態がない限り、実施は確実だ。来春の統一地方選挙や夏の参院選挙への影響を最小限に食い止めるにはこの時期を選ぶしかあるまい。

 来年10月の引き上げを1年前に公表する狙いについて、選挙への影響を最小限にとどめることを挙げる論調が多い。しかし、ことはそう簡単ではあるまい。新聞や民放はおそらく参院選を来年秋の増税に向けての選択選挙と位置づけ、絶好の反自民キャンペーンを張るだろう。従ってボーダーラインの自民党候補は落選の危機にあるとみるのが正しいだろう。野党にとっては久しぶりの追い風となる。参院選は“負け”をどこまで食い止めるかの選挙となろう。

 安倍の決断について新聞は「財務省に押し切られた」との見方が強い。確かに、財務省には来年引き上げる以上、来年度予算案の準備のためにも首相の早期表明が不可欠との見方が強かった。消費税は景気に左右されにくく、年5・6兆円の税収増は大きい。ただ一省庁の思惑で一国の首相が不人気の源となる大きな政治決断をするだろうか。これは、疑問である。

むしろ、冒頭指摘したように為政者としての義務感がそうさせたのであろう。もともと2017年の総選挙の公約は「保育・幼児教育の無償化」であり、当時からそのための財源には消費税を充てるしかないと指摘されていた。

 消費税の税率10%への引き上げについては、過去2回延期してきている。当初は15年10月に引き上げられる予定を1年半延ばした。次に17年4月に予定されていたが、2年半先送りされた。今回は3度目の正直ということになる。

 景気への影響については、今後駆け込み需要が生じるが、先が1年間と長いため分散傾向を見せるだろう。19年の税率アップで景気は一時的には下降するが、2020年の東京オリンピックは持ち直しのきっかけとなることが予想される。おそらく政府も経済界も暗雲を断ち切るためにオリンピックという明るい舞台をフルに活用することになろう。

もちろんオリンピックが終われば不況感が漂う可能性も否定出来まい。五輪特需の終了で雇用が減り、建築・不動産バブルが弾け、五輪までに目いっぱい売った商品が市場にあふれて飽和状態になる恐れがあるからだ。官房長官・菅義偉は「リーマンショックのようなものがない限り引き上げる」と不退転の決意を表明している。経済危機が来ない限り引き上げはうごかないだろう。

 各党は公明党が事実上賛成の立場だ。1日の首相との会談で代表山口那津男は増税を支持する姿勢を示し、安倍も「必ず実行する」と約束した経緯がある。その他の野党はおおむね反対で。与野党対決ムードは高まろう。

2018年10月03日

◆改憲へ大きくシフトー第4次改造内閣

杉浦 正章


時期を見て中央突破の可能性も

与野党対決ムード強まる

第4次安倍改造内閣で明らかに改憲シフトは達成され、来年の参院選への
体制作りも完了した。首相・安倍晋三としては自民党の改憲案を直近の臨
時国会に提出して、自民党結党以来の宿願達成に動き出す。

佐藤内閣の安保改正に匹敵する政治課題を安倍政権は抱えることになり、
戦後まれに見る与野党対決ムードは一段と高まりをみせるだろう。しか
し、安倍は明らかに中央突破路線を推し進める方向であり、改憲は曲折を
たどりながらも実現へと動くだろう。

まず最初の突破口が党役員・閣僚人事で開かれた。一番顕著なのは総務会
長に竹下派ながら安倍に近い加藤勝信を据え、党内の改憲シフトを印象づ
けた。

一方内閣には法相に石破派の山下貴司を当選3回生にもかかわらず抜擢し
た。改憲を進めるに当たり答弁能力や知識を買ったが、「一本釣り」の印
象は否めまい。党内野党色を強める石破への牽制球という側面もある。

加えて憲法改正の「旗振り役」となる自民党憲法改正推進本部長に元文部
科学相下村博文を起用した。これら改憲シフトは安倍の本気度を示すもの
であり、ルビコン川を渡ってローマへ進軍するシーザーではないが「サイ
は投げられた」のである。

いち早く3選支持を表明して流れを作った幹事長・二階俊博は留任。安倍
政権へのあからさまな批判を繰り返した筆頭副幹事長小泉進次郎は交代の
可能性が強いようだ。その反面政調会長・岸田文男を続投させたのは、ポ
スト安倍の候補として認定した側面がある。女性登用は片山さつき1人に
とどまったが、原因は女性の人材難だろう。

憲法改正のために必要な手続きは、衆議院で100人以上、あるいは参議院
で50人以上の賛成により、改正原案を発議できる。衆議院で発議された場
合には、本会議で総議員数の三分の二以上の賛成を得ると参議院に送られる。

参院本会議で総議員数の三分の二以上の賛成を獲得できた時点で、国会と
して憲法改正案を発議したことになる。その後に、国民投票による承認が
求められる。

国民投票で過半数の賛成が得られると憲法改正が実現する。

 安倍は「自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、 とり
まとめを加速する。憲法改正には、衆参両院で3分の2を得て発議し、国
民投票で過半数の賛成を得るという極めて高いハードルを乗り越える必要
がある。」 と強調した。

また安倍は改憲への取り組みを「全員野球内閣でやる」と延べるととも
に、「幅広い合意を目指す」として、改憲勢力を糾合して実現を目指す考
えを明らかにした。

自民党が目指す改憲案は@9条を維持した上で自衛隊の根拠規定を加えるA
大規模災害条項を加えるB教育の無償化をうたうC参院選合区の解消ーなど
だ。与野党は9条改定で激しく対立する可能性があるが、その他の条項で
は必ずしも反対ではない内容もあり、対応はまちまちだ。

自民党内も石破茂が慎重論だ。「国民の理解なき9条改正をスケジュール
ありきでやるべきではない」と強調している。9条への「自衛隊明記」案
を前面に改憲を急ぐ首相に対し、石破は「あわててやる必要はない」と対
立を鮮明にしている。

若手の入閣で派を切り崩されたという不満が残った。与党内も現行の改正
案では公明党が難色を示しており、なお調整が必要なようだ。事を性急に
進めず、国民に対する説明を丁寧に行いつつ、進める必要があろう。

 一方野党も内閣改造について、共産党書記局長小池晃が「閉店セール内
閣」と批判、日本維新の会の片山虎之助共同代表も「自民党総裁選の論功
行賞や滞貨一掃の感じが拭えない」とこき下ろした。

これらの批判は、言葉が躍るばかりで説得力に欠ける批判だ。「閉店」ま
でにはまだ3年もあるうえに「滞貨」の人材はまだ山ほど居て、「一掃」
にはほど遠い。

もっとも安倍が性急に事を運べば、国論を二分させ、息も絶え絶えの立憲
民主党や国民民主党が国政選挙で揺り戻す可能性も否定出来ない。加えて
長期政権の与党はとかく弛みや驕りが目立つ側面があるが、引き締めを図
る必要があろう。


2018年09月28日

◆トランプのごり押しに手を拱く必要はない

杉浦 正章


日本はグローバリズムの流れを推し進めよ

EPA、TPP11の発効を急げ

「どうしてくれる」と片肌脱いで開き直っているトランプの姿はまるで超
大国ヤクザである。首相・安倍晋三との会談で「2国間交渉」をもぎ取っ
て、直面する中間選挙ばかりか2020年の大統領選まで有利に運ぼうとして
いるかに見える。

トランプのグローバリズムへのの拒絶反応は、選挙ばかりに目を奪われる
独善的な米大統領の姿を鮮明にさせ、歴代大統領が大切にしてきた世界の
リーダーとしての信望をかなぐり捨てた姿を浮かび上がらせた。

日本は EPA、TPP11の発効を急ぐ必要がある。

 米紙ワシントン・ポストは「トランプは世界の笑いものになった」との
識者のコラムを掲載した。トランプが25日の国連演説の冒頭で「2年足
らずの間に、我が政権は米国史上かつてないほど多くのことを成し遂げて
きた」と自賛すると、会場の各国首脳らからは失笑が漏れた。

まるで成金 が金歯を自慢するような演説だからだ。さすがのトランプも
しまったと 思ったのか「こんな反応は想像していなかったが、まあいい
だろう」と胸 を張り、会場のさらなる冷笑を生んだ。

国連憲章の基本を流れる精神はグローバリズムだが、トランプは臆面
もなく「我々はグローバリズムのイデオロギーを拒絶し、愛国主義を尊重
する。モンロー主義が我が国の公式な政策だ」と言ってのけた。

歴代大統 領の外交方針はおおむね独善的なモンロー主義の否定から始
まったもの だ。米国の外交主流派はこの方針採用をトランプに進言した
が、トランプ は臆面もなく無視したといわれる。演説の最中大統領補佐
官ジョン・ケ リーが「オー、ノー!」とばかりに片手で顔を覆ってうつ
むいていた。そ の写真が評判になり、ソーシャルメディアでは「全てを
物語っている」な ど絶妙なコメントが相次いだ。

 各国首脳が黙っているわけがなく、仏大統領マクロンは「身勝手な主権
を振り回し、他国を攻撃する国家主義を我々は目撃している」と手厳しく
批判。国連事務総長グテーレスは演説で、トランプを名指しこそしなかっ
たものの、「世界が20世紀史の、特に1930年代の教訓を無視して再び大衆
主義と孤立主義の道を突き進み、またしても世界的な紛争に転落していく
危険がある」と警告した。

2016年の大統領選挙でトランプと争ったクリン トンも、「トランプ大統
領の発言は危険だ」と警告した。まさに藪を突い て蛇を出し、四面楚歌
に導いたのがトランプ演説であった。

多国間貿易交渉の枠組みを重視してきた日本に対しても、トランプは 2
国間交渉で譲歩を迫った。結局安倍との首脳会談ではとりあえず2国間
の交渉に入ることで合意した。

日本はこれまで環太平洋経済連携協定 (TPP)への米国の復帰を求め
てきた。2国間交渉だと米国に有利とな るとの判断が背景にあったためだ。

しかしトランプは日本の対米貿易黒字 の6─7割を占める自動車・同部品
に目を付けており、日本側に高関税や 輸出数量規制を突きつけたよう
だ。このため日本側は交渉に入らざるを得 ないと判断に至った。当然な
がら首脳会談では交渉中は、輸入車への高関 税を日本に対してはかけな
いことで合意した。

ただ、米国が折に触れて自動車への関税をほのめかし、対日交渉を有利
に運ぼうとすることは確実であろう。このためこの際日本は対米追随だけ
でなく、トランプの「米国第一主義」に対抗するグローバリズムの旗を欧
州やアジア諸国と共に掲げる必要に迫られている。

既に進展している豪州 などとのTPP11の発効を来年早期に達成する
必要があるのではない か。世界GDPの13%、域内人口5億人をカバーし、日
本にとっては輸出や海 外展開の環境が整い、消費者にとっても食品値下
げなどの恩恵がある。

ま た欧州との経済連携協定(EPA)の発効も急ぐべきだ。自由貿易を
尊重 する国々の協力は、米国内の孤立化反対論やマスコミを勢いづけ、
変化へ と導く有効な手段となるに違いない。

2018年09月21日

◆安倍はひしめく重要日程で成果を

                        杉浦 正章


任期内解散も視野に入れよ 改憲は合区、非常事態を突破口に

自民党総裁選は今は盛りの横綱に小結がかかったようなもので、勝負は初
めからついていた。総裁・安倍晋三が石破茂の倍以上553票を獲得し、議
員票では82%に達したたことは、今後の政権運営にとって紛れもない安
定材料であり、内政・外交に亘る安倍路線に何ら支障は生じない。

20日で2461日目を迎えた安倍は2021年9月までの3年の任期中に伊藤博文
の2720日、佐藤栄作の2798日、桂太郎の2880日を越え史上最長の政権とな
る。安倍を支持した政調会長・岸田文男がポスト安倍の最有力候補とな
り、たてつく石破は今回の254票は限界だろう。岸田が出馬したら安倍支
持票の大勢は岸田に向かうからだ。

総裁選は党員・党友による地方票と合わせて開票された結果、安倍が69%
にあたる553、石破は254票となった。安倍はほとんどの派閥の支持を集
め、国会議員票(402票)では8割を超える329票に達した。その一方、地
方票(405票)では224票と伸び悩みを見せた。事務総長甘利明が55%と予
想していたが、55.3%で辛うじてクリアした。

安倍の勝因は何と言っても国会議員の大半の支持を得る流れを5年半の
政権運営で定着させ、それによって党員票も掘り起こした結果であろう。
地方票は従来からポピュリズムに流れる傾向があり、石破の「善戦」は、
政治判断力が未熟な地方党員には石破の存在が大きく映った結果であろう。

常に反安倍傾向の強いテレビ朝日、TBSなど民放番組は、悔し紛れの論評
が多かった。コメンテーターが「終わりの決まったリーダーは求心力が弱
くなる」としたり顔で述べていたが、相変わらずの素人の淺読みだ。民間
会社でも3年もの任期がある社長が軽んじられることはない。

経営権と人事権を握っているから社員は従来同様に従うのだ。安倍も毎年
改造して引き締め、3年の任期中での解散を断行すべきだろう。勝てば中
曽根が党規約改正によって総裁任期を1年延長した例もあり、延長しても
おかしいことではあるまい。

しかし、今後の政治日程を見れば、政局にうつつを抜かしているときは
終わった。重要政治日程がひしめいている。まず来週には日米首脳会談が
あるし内閣改造も想定内だ。安倍は25日には国連総会出席を契機にトラン
プとの首脳会談を行う方向で日程を調整している。

欧州、中国に黒字削減で厳しい要求を繰り返しきたトランプが、安倍と仲
が良いからといって日本だけ例外にする可能性は少ない。経済再生担当相
茂木敏充が、米通商代表部(USTR)代表ライトハイザーとの21日の閣
僚協議でどこまで事前調整できるかがカギだ。安倍は国連総会から帰国後
10月にも、内閣改造に着手し、安倍改造内閣を発足させる方向だ。副総
理・麻生太郎、幹事長・二階俊博、官房長官・菅義偉は続投となりそうだ。

石破派からも人材を閣僚などに起用して党内融和を取り戻すことが必要だ
ろう。小泉進次郎は、安倍批判が目立ちすぎた。そろそろ入閣待機児童だ
が、閣内不一致を招く危険がある。

30日には沖縄県知事選がある。安倍としては与党候補を勝利に導き、普天
間基地の辺野古への移転を推進したい考えだろう。訪中も重要テーマだ。
安倍は12」日、訪問先のウラジオストクで、中国国家主席の習近平と会
談、10月の訪中に向けて調整することで一致した。

10月23日が平和友好条約発効40年となるため、これに合わせて訪中するこ
とになろう。安倍は来年6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議
に合わせた習の来日を想定しているようだ。

改憲問題も安倍政権の重要テーマだ。10月26日にも招集する臨時国会で論
戦の火ぶたが切られる。安倍は「いつまでも議論だけを続けるわけにはい
かない」と、秋の臨時国会への自民党改憲案提出を明言している。

今後、改憲論議を加速させる構えだ。しかし、各種世論調査では国民の間
に改憲志向が生じていない。共同の調査によると、秋の臨時国会に改憲案
を提出したいとする安倍の提案に「反対」が49%で、「賛成」の36.7%
を12.3ポイント上回った。

日経の調査はもっと厳しく、「反対」が73%で「賛成」の17%を大き
く上回っている。国民の間には改憲イコール9条という認識が強く、改憲
内容をどうするかによって変わってくる。改憲論議は、もともと安倍が昨
年5月、9条1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持)の規定を維持して自
衛隊を明記する案を提起したことから始まっている。改憲アレルギーを除
去するためには9条を後回しにして、石破の主張するように、参院選での
合区の解消や、大規模災害など非常事態の際に政府に権限を集中させ、国
民の権利を制限する緊急事態条項などを手始めに考えるのも良いかも知れ
ない。



2018年09月19日

◆安倍3選につけいる隙がないー自民総裁選

杉浦 正章

200票超えないと石破は沈没

 荒ぶるトランプをどうなだめるかが最初の課題

政局が自民党総裁選を軸に動き始めた。総裁・安倍晋三が20日に三選され
る方向は間違いないが、水銀柱の下降と反比例するかのようにボルテージ
が上がりはじめた。

対立候補石破茂派の農水相斎藤健が「安倍陣営から石場さんを応援するな
ら辞表を書いてやれと言われた」と「圧力」を暴露。安倍は石破とのテレ
ビ党論で「あるはずはない。そういう人がいるのであれば名前を言っても
らいたい」全面否定したが、石破は「被害者に名乗り出よというのは財務
相のセクハラ疑惑に似ている」とかみついた。

自民党幹部らが「まあまあ」とおさめたが、近頃にない“茶番”が見られ
て、茶の間は喜んだ。

それでは総裁選の展開を予想すると、石破にとっては200票を上回るかど
うかが今後の展望が開けるかの分岐点となる。総裁選は議員票405票と地
方票405票の合計810票の奪い合いとなる。

安倍の圧勝は決まっているが、得票によって政治的効果に大きな違いが生
ずる。安倍は議員票では80%350票を突破する勢いであり、石破は自派と
竹下派を加えて50票前後がよいところだろう。

地方票で安倍は、70%突破を目指すことになる。少なくとも国会議員票と
地方票の合計は70%に達したい考えだ。安倍が70%をとれなければ石破に
200票獲得を許すことになる。

安倍が55%を割った場合は石破が250票を上回り今後に存在感を示すと
言って良い。従って焦点はまず石破の200票超えが実現するかどうかだ。
しかし、石破人気が沸くにはほど遠く、超えなければ石破は政治的に大打
撃を受ける。

地方票の動向も最大の見所だ。6年前の総裁選で石破は55%を獲得してい
る。安倍選対事務総長の甘利明が「55%を超えたい」という理由はここに
ある。

しかしこのパーセントは安倍がまだ首相になっていない時点であり、首
相・総裁としての存在感を示している現在ではラインを低く設定しすぎだ
ろう。議員票で80%取っておきながら、地方票で55%そこそこでは、永田
町と一般党員との乖離(かいり)が目立つことになる。

投票結果がどうあれ総裁選後の内閣改造はあるのかが焦点となる。 安倍
は16」日のNHK番組で「来年は皇位の継承もあり、G20(主要20カ国・
地域首脳会議)と、その先に東京五輪・パラリンピックがある。しっかり
した人材を登用したい」と述べ、3選を果たした場合、内閣改造・党役員
人事を行う方針を表明した。人事をほのめかされては入閣候補らの動きは
当然安倍に向かう。巧妙なる“一本釣り”だ。

首相の信任にとって最も重要なポイントは景気の動向だが、安倍の就任以
来戦後まれにみる好景気が継続しており、石破はつけいる隙がない。昨年
末には、安倍が首相に就任した2012年12月に始まった景気回復局面が高度
成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなったことが確定
した。

今の景気回復が2019年1月まで続けば、02年2月から73カ月間続いた戦後
最長の景気回復を抜く。戦後最長の景気を維持しようとする首相を降ろそ
うとすれば、降ろす方が“悪人”となる。石破の人相はどうみても良いとは
言えず損している。

一方安倍の地球儀俯瞰外交は、歴代首相の中でももっとも活発であり、こ
れもつけいる隙がない。同外交は安全保障と経済の両面から戦略的見地に
立って推進している。

その「積極的平和主義」路線は「一国平和主義」から脱して、世界平和を
俯瞰して、必要ならば自衛隊の活用を含め貢献する形だ。しかし難題は日
米関係だ。トランプは、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す可能性
に再び言及した。

3弾の関税発動を24日にも最終判断するが、早くも「第4弾」をちらつ
かせている。トランプの対中関税攻撃はとどまるところを見せない。中国
も対抗措置を取っており、貿易戦争がさらに激しくなる危険をはらむ。

日本も対岸の火災視できない。中国で製品を作って対米輸出している日本
企業も多いし、トランプは例外を認めない姿勢だ。この“荒ぶる”トランプ
をどうなだめるかは、安倍とトランプの個人的な関係が重要となるだろ
う。日米両国は首脳会談を9月25日に米国で行う方向で調整に入った。米
ニューヨークでの国連総会に首相が出席するのに合わせて開くが、これま
でにない難問を抱え、世界が注視する会談となりそうだ。

2018年09月11日

◆党員・党友票でも安倍が優勢

杉浦 正章


石破「正直・公正」撤回でつまずく

次期首相を狙う以上、安倍政治の欠陥をつき、自らの主張を鮮明にすべき
だと思うが、石破の10日の発言からはそれがうかがえなかった。むしろ
主張があいまいで「挑戦の限界」すら感ずる立ち会い演説会であった。

肝腎の改憲論にしても自衛隊条項新設の姿勢を鮮明にさせた首相・安倍晋
三に対して、石破茂は参院選の合区解消など緊急性の薄い問題を取り上げ
9条問題の本質に迫ることを避けた。相次ぐ災害など緊急事態を前にし
て、挑戦者が首相交代という“政争” ばかりにうつつを抜かせない現状を
鮮明にさせた演説会であった。

首相の座に挑戦する政治姿勢について石破は「なにものも恐れずただ国民
のみを恐れて戦っていく」と意気込みを述べたが、当初の「正直・公正」
をキャッチコピーとして打ち出すことには陣営内で個人攻撃に対する異論
が生じ、結局採用を避けた。安倍のどこが不正直でどこが不公平なのかは
指摘しにくく、もともとこのコピーには無理があり、最初からつまずいた
形だ。

安倍の「現職がいるのに総裁選に出るというのは現職にやめろと言うのと
同じだ」という主張に対しても、石破からは明確な理由の説明がなかっ
た。石破の「政治の信頼を取り戻す」と言う発言からは、意気込みばかり
が先行して、具体策に欠ける姿勢が鮮明になるだけだった。

石破は記者会見で「安定した政権運営は特筆すべきだ」と安倍政権をたた
えたが、賞賛しながら立候補という矛盾は総裁選の歴史から見ても珍しい。

焦点の憲法改正について、安倍は「あと3年間でチャレンジしたい」と、
任期中の9条改正に意欲を表明。これに対し、石破は「丁寧に説明してい
かないといけない」と拙速な動きをけん制、首相との対立軸を明確にした。

改憲論議は、もともと安倍が昨年5月、9条1項(戦争放棄)、2項(戦
力不保持)の規定を維持して自衛隊を明記する案を提起したことから始
まっている。

石破は従来「9条改正が緊急性があるとは考えていない。9条改正は国民
の理解を得て行うべきであり、スケジュールありきで行うべきではない」
との立場である。

しかし、安倍は「いよいよ憲法改正に取り組むときがきた。自衛隊が憲法
違反ではないと言いきることができる憲法学者はわずか2割に過ぎない。
自衛隊員が誇りを持って任務をまっとうできる環境を作るのは政治家の使
命だ」と9条の改正に踏み込んでおり、石破の姿勢とは異なる。憲法改正
をめぐって、安倍が意欲を示す「自衛隊の明記」について、石破は、かね
てから「緊急性があるとは思わない」と指摘している。

石破は「憲法改正は必要なもの急ぐものから取り組むべきだ」として参院
選での合区の解消や、大規模災害など非常事態の際に政府に権限を集中さ
せ、国民の権利を制限する緊急事態条項などを「喫緊の課題」とした。石
破は従来から9条改正について「国民の理解を得て世に問うべきだ。理解
なき改正をスケジュールありきで行うべきではない」と、その緊急性を否
定している。しかし、9条改正は自民党の結党以来の党是であり、改憲す
る以上は9条に取り組むべきであろう。

石破が主張している「防災省」の設置についても、安倍は「防災省を作っ
ても、自衛隊や海上保安庁、厚生労働省を動かすには総理大臣が指示しな
ければならない。そこをどう考えるかだ」と指摘するとともに、「スピー
ディに政府を糾合できるのは首相だけだ」と屋上屋を重ねることに否定的
な考えを示した。

総裁選の進展状況は、まず国会議員票で安倍が石破を圧倒的にリードして
いる。選挙は議員票405票と地方票405票で争われる。安倍陣営には党内7
派閥中、安倍の出身である細田派など5派と竹下派の一部が参加。国会議
員405人の85%は安倍支持に回るとみられている。

一方、石破に接近しているのは参院竹下派。尾辻秀久元参院副議長が選対
本部長として旗振り役を演ずる。尾辻は「武士道を真ん中に据え、正々
堂々、真正面から戦おう」と宣言しているが、広がりが見られないようだ。

石破が唯一活路を見出そうとしている地方党員・党友票についても首相が
先行しているとみられている。6年前は石破を大きく下回ったが、今回は
完勝を目指して安倍は47都道府県のうち7割超の地方議員と面会するなど
先行している。

安倍選対の事務総長を務める元経済再生担当相甘利明は10日、党員・党
友票について「6年前に石破茂元幹事長が取った得票率は超えたい」と述
べ、55%以上の得票率を目指す考えを示している。安倍の圧勝は動かない
情勢だ。

2018年09月08日

◆トランプ暴露本の波紋広がる

杉浦 正章


マティス国防長官「トランプは、小学5,6年生」

ワシントンポストの著名記者ボブ・ウッドワードが、短気で予測不可能な
トランプを制御しようと苦闘する米政府高官の実態を暴露した。11日に出
版される「Fear(恐怖)」は、米政府高官らの生々しいトランプ批判を報
じている。ウオーターゲート事件以来の内部告発である。内容はトランプ
の愚かさを告発しているが、一種の“舌禍事件”であり、政権にとってはイ
メージダウンになっても致命傷にはなるまい。

ウッドワードは74歳になるが、ウオーターゲート事件でカール・バーンス
タイン記者と共に内部告発者“デイープスロート”から数々のスクープを掲
載、ニクソンを退陣に追い込んだ。筆者はワシントンポスト紙が販売にな
る午前零時過ぎにワシントンの街角で購入、両記者の署名入りの特ダネ記
事を度々転電したものだ。

「Fear(恐怖)」の抜粋を報じたウオールストリートジャーナル紙な ど
によると、トランプ側近らが、いかにトランプを軽蔑しているかが分か
る。抜粋はまずトランプが、今年1月の国家安全保障会議(NSC)で、
在韓米軍の常駐に関し「あの地域にどうして軍事資源を投入する必要があ
るのだ」と疑問を提起。

これに対してマティス国防長官は「我々は第3次 世界大戦を防ぐために
やっている」と米軍のプレゼンスの重要性を説いた が、トランプの退席
後、側近に「行動も理解力も、まるで小学5年生か6 年生だ」と漏らし
たという。

この席でトランプはあきれたことに「我々は 愚かなことをしなければ、
もっと金持ちになれる」など発言して、不満気 であったという。「金持
ち」になることが政権運営の尺度であるとは恐れ 入った。

 トランプはダンフォード統合作戦本部長に対して北朝鮮への先制攻撃計
画を策定するよう指示するという、驚くべき行動もとった。 政権発足当
時から問題になったロシア疑惑に関しても、マーラー特別検察官の事情聴
取を想定して弁護士と打ち合わせたが、事実認識が全くなく、作り上げで
お茶を濁そうとして、弁護士をあきれさせた。

こうしたトランプについて、「Fear(恐怖)」は、トランプの側近や閣
僚からも不満の声が漏れ聞こえるようになっているという。大統領首席補
佐官のジョン・ケリーまでがトランプを「ばか」「錯乱している」「かれ
に何かを理解させるのは無理」と述べたという。

これについてケリーは声 明で、自身がトランプ氏をばか呼ばわりしてい
たというのは事実ではない と打ち消した。「トランプ氏との関係は強固
で率直に何でも言い合える」 とも述べ、不和説の打ち消しに懸命になっ
ている。トランプも4日のツ イッターで「Fear(恐怖)の証言は嘘ばか
りで国民をだますものだ」と憤 りをあらわにした。

 この舌禍事件はトランプ政権の裏側を余すことなく伝えていて興味深い
が、その本質はニクソン政権が倒れたウオーターゲート事件とは天地の違
いがある。ウオーターゲート事件は1972年6月17日にワシントンD.C.の民
主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まったアメリカの一大政治スキャンダ
ルである。

盗聴、侵入、司法妨害、証拠隠滅、特別検察官解任、大統領弾 劾発議、
大統領辞任と続いたが、盗聴、侵入は犯罪であり、今回の側近の 不平不
満とは性格を異にする。久しぶりに名前が登場したウッドワード も、老
記者の健在ぶりを示したが、本人が「この本で政権は終わる」と予 言す
るほど簡単には政権は倒れまい。ただ2か月後に控えた議会の中間選 挙
には民主党が下院で過半数を取る可能性が出てきており、そうなればト
ランプの政権運営は苦しくなる。