2017年06月08日

◆強まる「改憲・衆院ダブル投票」の公算

杉浦 正章
 


自衛隊の根拠規定を問う 
 

相乗効果で与党に有利か
 

長年にわたって神学論争を繰り返してきた国会の憲法審査会に、改憲問題を政局にすべきでないとする議論があるが、どうだろうか。筆者は改憲問題は政局そのものだと思う。長年の政党の主張がぶつかり合う戦後最大の政局マターだ。従って改憲の国民投票と総選挙を同日に実施して「改憲・衆院ダブル投票」を断行、国民の信を問うことは全く正しい。


9条への自衛隊根拠規定の追加など自衛隊を肯定する政府・与党と、否定する共産党との対決が最大の見物だが、流れは共産党の惨敗とみる。そして国民投票の実施時期が日程的に衆院議員の任期切れと接近するのであれば来年の同日投票は一段と現実味を帯びるのだ。
 

自民党の憲法改正推進本部の会合が6日開かれ、いよいよ本格的な改憲論議がスタートした。安倍の提示した「9条の平和主義の理念は未来に向けて堅持し、9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」構想の是非が課題となる。冒頭から予想通り、自民党が2012年に世に問うた9条1項、2項も改正して「国防軍」保持を明記する憲法改正草案を取り下げるのかどうかについて激突した。総裁選出馬を意識していいる元幹事長石破茂が「どうするのか」とクレームを付けたのだ。


しかし副総裁高村正彦は「12年草案をどうするかを決めないと新しい議論に入れないということはない。改正案を作ってから草案と比較すればいい」とぴしゃりと反論。結局大勢は草案にこだわらず、首相案について議論を進める方向が確認された。
 

まさに「党内政局化」が抑えられた瞬間であった。石破の主張は党内でも一定の理解はあるが、今回の改憲構想は従来の草案が開けられなかった改憲の岩盤をダイナマイトで崩そうとする政治的な意図がある。仏壇の奥からちりの付いた「歴史的文書」のような草案を持ち出しても政治的に動かせるものではない。石破はそこに気付いていないのだ。
 

もう一つ異論がある。「行政府の長である安倍が改憲を提示するのはおかしい」とする議論である。毎日も社説で「憲法改正案の発議権を持つ国会の頭越しで具体的な改憲方針を明示するのは異例だ」と安倍にかみついた。さらにその憲法発言で大局観のなさを露呈している衆院憲法審査会理事の自民党幹事船田元も「行政府の長や内閣に籍を置く者は改憲に抑制的であるべきだ」と苦言を呈している。


しかし、6月1日の衆院憲法審査会参考人として出席した東大教授の宍戸常寿と慶応大教授の小山剛は国会の発議権を安倍が害していることはないとの見解を表明した。宍戸は「議院内閣制では政党党首が同時に首相を務めることが想定されている。首相であるところの与党党首が、改憲をしかるべき場で、しかるべきやり方で発言することは、一般的に憲法尊重擁護義務に反しないと考えている」と発言、小山も同調した。どうも憲法調査会は、15年に集団的自衛権の行使を限定容認する安全保障法制を巡り大学教授らに「違憲」を言わせて、安倍の足を引っ張った“快感”が忘れられないとみえて、二度目の「参考人ショック」を狙ったようだ。しかし、柳の下にドジョウは2匹おらず、「逆ショック」を受けたのは審査会であった。
 

こうして反対論は勢いを得ない状況にあるが、まだ山あり谷ありとみなければなるまい。大きな流れは筆者が5月11日にあらゆるメディアに先だって「総選挙と国民投票のダブル選挙の可能性がある」と推測した方向に向いている。


朝日も7日「改憲発議現有勢力で狙う」と、与党が3分の2を維持している現体制での改憲を目指す方向を記事にしている。安倍も先月インタビューで憲法改正の是非を問う国民投票を国政選挙と同時に実施することの是非に関して「衆院選と参院選を国民投票と別途やるのが合理的かどうかということもある」と述べた。国政選挙との同時実施の可能性に言及した形だ。自身が憲法9条改正を提起した意図についても、「自衛隊論争に終止符を打つ」と強調した。
 

衆院議員の任期は残り約1年6か月で、安倍は国民投票で解散権を縛られないことを意図したものともみられる。官房長官・菅義偉も国民投票の実施が解散権を制約するかどうかについて「首相の衆院解散権への制約はないと思っている」と明言している。こうして改憲の日程は衆院議員の任期切れを意識して進展する方向が強まった。筆者は過去に2度実施された衆参ダブル選挙の場合、自民党が圧勝した原因は相乗効果にあると判断している。


衆院で自民党に投票した有権者は参院でも自民党に投票する傾向があるのだ。これは憲法改正とも共通する側面があるのではないか。自民党に投票する有権者は9条改憲を是とする傾向を必ず帯びると見る。従って相乗効果で自民党は負けないし、改憲は投票した国民の過半数を得られるだろう。具体的な日程としては、2020年に改正憲法を施行するとなると、早ければ2019年には憲法改正の国民投票に漕ぎ着ける必要が出てくる。急げば来年の通常国会末か遅れても秋の臨時国会で、3分の2以上の賛成で発議することとなろう。


その後最短60日で国民投票となる。従って国民投票は衆院議員の任期切れが来年末だから、総選挙とのダブル選挙になる公算がある。経費節約にもなる。参院選挙は2019年夏だが、事は憲法であり、参院ではなく政権の存否が問われる衆院選挙に合わせるべきだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月07日

◆露、北朝鮮の「緩衝国化」を推進

杉浦 正章



北方領土も戦略的位置づけ重視


垣間見せたプーチンの本音
 

プーチンがサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの公開討論の中で語った極東戦略は、北朝鮮を米戦略に対する緩衝国とはっきり位置づけ、核保有を容認したものである。一方北方領土も緩衝地帯としての戦略的価値を鮮明にさせた。一連の発言は日本にとっては極めて利個主義的な国家エゴと受け取れるが、ロシアにとっては将来を見据えた冷徹なる世界観に基づく極東戦略であろう。


プーチンの本音を垣間見せたこの発言は北の金正恩を増長させ、極東の緊張を一段と高めることになり、北方領土交渉にも影響を与えることが避けられない。

 

プーチンによる2日の発言は、まず北方領土でのロシア軍の軍備増強などについて質問されたのに対し、「北東アジアでは、アメリカが北朝鮮情勢を口実に韓国などでミサイル防衛システムの配備を進めている」と答えた。米国による韓国への戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備などを指すものだ。そのうえで、「これはロシアにとって懸念で、対応しなければならない。脅威を抑えるためには、島々が便利だ。島々が日本の主権下に入れば、アメリカ軍が展開する可能性がある。島々に軍事基地やミサイル防衛システムが配備されることはロシアにとって全く受け入れられないことだ」と述べた。


北方領土でのロシアの軍備増強は、ミサイル防衛システムの配備によってロシアの核戦力を無力化しようとするアメリカへの対抗措置だと正当化したのだ。この論理は昨年暮れに国家安全保障局長谷内正太郎がロシアの安全保障会議書記パトルシェフに対し、引き渡し後の北方領土に米軍基地を設置する可能性を否定しなかったといわれる情報が流れて以来のプーチンの立場を繰り返したものである。

 

さらに北朝鮮に関する発言は、軍事的圧力を強める米国を批判する中で出た。プーチンは「小さな国々は自らの独立や安全と主権を守るためには、核兵器を持つ以外、他の手段がないと思っている」と言明したのだ。加えて「力の論理が幅をきかせ、暴力が支配する間は、北朝鮮で起きているような問題が生じるだろう」とも述べた。プーチンはこれまで北の核保有に関しては「核クラブの拡大につながり反対する」との立場を表明してきたが、今回の発言はこれを大きく転換させる意思があると受け取れるものだろう。金正恩路線の支持でもある。


明らかに米国を念頭に置いたもので、そこには米国が北大西洋条約機構(NATO)で西から、日米同盟と米韓同盟で東からロシアに対する圧力を掛けていることへの不満がある。

 

事はそう簡単ではない。「核兵器拡散防止条約」(NPT)は、米国、英国、フランス、ロシア、中国の核兵器保有を認め、その他の国々の核兵器保有を禁止する「不平等条約」として1968年に成立した。しかし現在では190ヵ国が加盟しており、核の均衡にとっては欠くことの出来ない条約である。この5か国に加えてインド、パキスタン、北朝鮮が保有。イスラエルも、「核兵器保有を肯定も否定もしない」形で保有している。


しかし、核保有9か国のうち8か国と北朝鮮とは決定的な違いがある。8か国は極めて常識的な指導者がおり、冷戦終了後に核でどう喝した話は聞かない。しかし北朝鮮だけは「狂気の独裁者」が存在して、日米韓をどう喝しながら、核実験とミサイル実験を繰り返しているのだ。北の核は「気違いに刃物」の構図だが、他国は概ね「床の間の日本刀」なのだ。

 

発言から見る限りプーチンの基本戦略はこの独裁者を“活用”しようとしている魂胆がありありと見える。ロシアからみれば北の核ミサイルのターゲットは日米韓3か国であり、ロシアには向けられていない。これは北が米国の軍事力に対する緩衝国として極めて有用であることを物語っているのだ。毒薬であるべき北の核はプーチンにとっては「毒薬変じて薬となる」のである。金正恩が日米韓を核の対象にしている限りは、ロシアにとっては、願ってもない「子分」ができたということになる。


要するにロシアは北をロシアの対米戦略に組み込もうとしているのだ。万景峰号による定期航路を開通させたのもその戦略の一環であることは言うまでもない。

 
朝露関係は、1961年に当時のソ連と北朝鮮との間で「ソ朝友好協力相互援助条約」を結んだ。この条約はどちらか一方の国家が第三国から攻撃を受けた場合に共に軍事行動を行うという軍事同盟の条約であった。しかしソ連の崩壊で条約は破棄、1999年に新たに「ロ朝友好善隣協力条約」を締結したが、軍事同盟の条項は削除された。これでロ朝関係は軍事同盟の関係から、親密な友好国家の関係に切り替わったが、プーチンの姿勢は今後陰に陽に北との軍事的関係を深め、国際社会の制裁に対しても“抜け道”的な役割を果たすことになろう。

 
もちろんロシアだけでなく、中国も似たり寄ったりの対応である。北は中国の紛れもない緩衝国であり、習近平にとって金正恩は気にくわないが、北の体制は何が何でも守らなければならないのが基本だ。こうした極東における対峙の構図に日本は否応なしに巻き込まれる。天から平和が降ってくる時代はとっくに終わり、天から降るのは北の核ミサイルであり、国の防衛は根本から見直さなければならない時期に来ているのだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月06日

◆宙に浮く野党の政権追及

杉浦 正章 
 



金銭疑惑ゼロの壁で「政局化」は無理



「黒い霧」と似た“ムード依存”
 

「国会が森友問題とか加計学園ばかり。モリだとかカケだとか私も麺類は好きだけど、こればっかりで国民はうんざりです!」と質問者である自民党参院議員山田宏が嘆いたが、全くその通りだ。もっとも5日の衆参決算委員会での質疑は、満を持したのか首相・安倍晋三以下政府側の反論が徹底していて、野党側の第2選級質問者はふんどし担ぎが横綱にかかるような体たらくであった。「総理のご意向」文書も政府側の全面否定で空振り。切り札とばかりに提示した「総理のご意向メール」も、ネットでは「第二の偽メール事件だ」と盛り上がっている。


野党と朝日、毎日、民放などが足並みをそろえてありもしない魔女狩りのごとき政権追及も、金銭疑惑に結びつけようがなく宙に浮いた形となった。相変わらずテレビやラジオのコメンテーターらがあることないことしゃべりまくっているが、しゃべればしゃべるほどその中身は良識ある国民ならあきれる「根拠レス」であることが次第に鮮明になっている。


もう、この問題での追及は勝負があったのであり、いいかげんにした方がよい。まるで佐藤内閣時代に「黒い霧」と称する追及を野党が展開したが、結局追及が行き詰まり政権側が勝ったのと似ている。佐藤栄作は「黒い霧解散」で沈静化したが、この場面では解散するまでもあるまい。
 

5日の質疑を通じて浮かび上がった問題はいかに野党側の追及が「印象操作」に満ちあふれていたかということであろう。まず前文科次官前川喜平が今治市への加計学園獣医学部設置について「首相の意向が働いた」とマスコミに証言し続けている問題については、次官でありながらなぜ首相に面と向かって反対の意向を伝えなかったかが問われた。安倍は「事務次官で私に『お言葉ですが』と持論を展開される方もいる。3回お見えになっているがこの問題については全く話をしなかったことは当惑せざるを得ない」と発言した。


さらに前川の「総理の意向発言」についても「国家戦略特区諮問会議できっちりと議論することになっており、私の意向というものは入りようがない。それありきではなく、公募で決めたという経緯がある。そうしたものに一切触れず、延々と議論されるのは極めて不適切で印象操作だ」と反論した。
 

一方、前川が出会い系バー通いを繰り返した問題について官房長官菅義偉は「常識的に、青少年の健全育成、教職員の監督に携わる事務方の最高責任者が、売春、援助交際の温床になりかねないと指摘されている店に頻繁に通って、女性を外に引き出してお小遣いまで渡していることに違和感を感じる」と厳しく断定した。さらに菅は、かつて前川について「地位に恋々としている」と発言した経緯に言及、「昨年12月末に官房副長官に天下り問題の説明に来た際に、みずからの進退については示さなかった。


さらに、『3月まで定年延長したい、事務次官として続けたい』と打診があった。天下り問題を考え、『そんなことはダメだ』と言った。天下り問題に対する世論が厳しい状況になって初めてみずから辞めた。だから、私は『恋々としている』と申し上げた」と説明した。ここまで前川の人間性が露呈されれば、軍配は政府側に上がらざるを得まい。そもそも前川には売春防止法というれっきとした法律があり、あらゆる法律順守は公務員としての第一の義務であるということが分かっていないように見える。一部マスコミに悪乗りして発言を繰り返し、買春疑惑をそっちのけにしようとしても、「引かれ者の小唄」で無理があることが分かっていない。
 

さらにもう一つの焦点は民主党政権が、自ら獣医学部の招致を今治市に決めておきながら、なぜ今になって反対するのかの問題だ。安倍は「鳩山政権は22年度を目途にに加計学園問題を速やかに検討することを決めた」 と指摘し、菅政権も野田政権もこれを受け継いだと強調した。たしかにこれほどつじつまが合わない問題はなく、なんでも「政局」に結びつけようとする意図が先行しているとしか言いようがない。政治に邪心が入るとブーメラン返しを受けるよい例だ。
 

国会論議ですら根拠レスだから民放にいたっては、事実誤認どころかねじ曲げもいいところの論評が続いている。5日には反安倍の論調を貫くTBSラジオの「デイ・キャッチ」で、ジャーナリスト青木理が読売の「前川氏が在職中に出会い系バー通いをしていた」という大スクープにいちゃもんをつけた。「何であの時期なのか。朝日、毎日が『総理の意向』を伝えている中での報道だ」と、あさっての方向に疑問を投げかけた。


時期もへったくれもない。新聞は確信を得れば記事にするのだ。加えて青木は「杉田副長官は公安警察出身。こんな情報を集められるのは警察以外にない。官僚のプライバシーの情報を集めている」と警察情報であると断定した。くだんの出会い系バーはマスコミでも有名になっており、記者でも通っている連中がいるという。


文部次官が足繁く通えば、注目の対象となり、噂は広がりうる。次官専用車の運転日誌はどうだったのだろうか。警察でなくても情報は広がり得たのが実情であった。さらに青木は「政府に異議をとなえた途端にこんなものを出されたら縮こまる。官邸の意向に逆らうとこんな情報が出る」とまるで日本が警察国家であるかのような“危機感”を強調した。悪いことをすれば誰でも縮こまるのだ。


この発言の問題は出会い系バーが菅の指定したように売春の温床になっていることへの視点が全く欠けていることだ。売春防止法というれっきとした法律があり、戦後法律が出来た当初は、警察が頻繁に手入れで踏み込み、売春業者や女性、買春の客などを検挙したのだ。当時はニュース映画で何度も報じられたものだ。その法律違反をしておいて「縮こまる」はないだろう。
 

このように前川問題は、事の本質をあえて見逃しているメディアと、正すべきは正すマスコミや政治との正邪の戦いのような気がする。


一方で、読売は6月4日に社会部長の署名入りで「次官時代の不適切な行動、報道すべき公共の関心事」と題する説明記事を掲載した。この中で@教育行政のトップという公人中の公人の行為として見過ごせないA売春の客となるのは違法行為であるB青少年の健全教育に携わる文科省の最高幹部が頻繁に出入りし女性に金銭を渡して連れ出していたことは不適切な行為であるC次官在任中の職務に関わる不適切な行為は公共の関心事であり、公益目的にもかなうーと、編集方針を改めて鮮明にさせた。胸のすくようなジャーナリズムのあるべき姿として賞賛を送りたい。

       <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)

2017年06月02日

◆安倍「次官なら私に直接言うべきだ」

杉浦 正章



事務次官OBらも前川批判で一致
 

マスコミは「異次元の人」を英雄視するな


 前文科事務次官前川喜平が漏らし、朝日新聞が煽り、「盲目民放」が興味本位に追随する虚構の「加計学園疑惑」に対して、ようやく安倍政権は本格的な反論を展開し始めた。首相・安倍晋三自らが説明、閣僚や党幹部も積極的かつ具体的に反論し始めた。前川批判の焦点は何で次官在職中に身を賭して反対しなかったかに集中している。政治家ばかりではない事務次官OBらによる会合がこのほど開かれたが「疑問があるならなぜ在職中に首相と会って反対しなかったのか。


後でマスコミに向かって発言することは次官経験者がやることではない」との見解で完全に一致したという。心ある次官経験者らは前川総スカンなのであろう。確かにまっとうな官僚なら筋を通すはずではないか。一部マスコミも次官在職中に売春を斡旋するようなバーに足繁く通い、「女性の貧困」を調査したと言ってはばからない「異次元の人」の発言を、まるで権力に立ち向かう英雄であるごとく報道し続けるのは、心ある国民の新聞離れと、民放蔑視(べっし)につながるばかりであることに気付くべきだ。
 

まず安倍は1日、ニッポン放送の番組収録で「私の意向かどうかは確かめようと思えば確かめられる。次官なら大臣と一緒に私のところに来ればよい。そしてその場で反対すべきだった」と前川の姿勢を戒めた。そして「(加計学園の)理事長が友人だから私の国政に影響を与えたというのは、まさに印象操作だ」と厳しく断定した。

自民党国対委員長竹下亘も「問題があるのならなぜ現職の時に発言しなかったのか」と批判した。筆者もこの問題の根底には、天下り問題で辞任を迫られた前川の“逆恨み”があると思えて仕方がない。そこにはマスコミの操縦を心得た前川の巧みな世論誘導術がある。文科省のメモの漏洩に始まって、一見新しい疑惑のように見える事柄を毎日のように少しずつ漏らして、安倍内閣を政局に追い込もうとする。「次官の野望」が垣間見えるのだ。しかし、その発言の内容たるや「総理のご意向」メモに始まって、決定的な打撃力に欠ける話ばかりだ。
 

「総理のご意向」が犯罪につながるような証拠は一切提示せずに、矛盾にあふれ、まるで「引かれ者の小唄」のような発言ばかりだ。前川は16年9月に首相補佐官に呼ばれて「総理は自分の口からは言えないから」と獣医学部増設を求められたと主張する。しかし、学部新設は15年6月に閣議決定済みであり、閣議で決めた問題を、「自分が言えない」として、首相が人を介して次官の了承を求めることなどあり得ない。


さらに言えば加計学園獣医学部新設は民主党政権が推進した問題でもある。今治市は2007年以来、特区指定申請を15回も却下されたていたが、民主党が10年に「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げの閣議決定をしている。従って前川が「行政がゆがめられている」と主張し、民進党がこれに口裏を合わせているのは天に唾するものだ。


何をやっても「安倍の疑惑」と指摘するなら、当然民主党の疑惑も指摘され得る事態ではないのか。規制改革担当相の山本幸三が「(文科官僚が)既得権のことばかりを考えて行政をゆがめてきたのを正しただけだ」と反論しているのが正解だ。
 

そもそもこの前川対官邸の確執の本質は、規制改革を推進する官邸と既得権にしがみつこうとする文科省、応援議員団、獣医団体などとの戦いなのだ。反対派は50年も続けられてきた獣医学部新設却下が、時代の変遷と共に実情に合致しなくなってきていることを無視しているのだ。鳥インフルエンザや口蹄疫などという新事態は、獣医学部の新設却下と明らかなる矛盾を示している。旧態依然として岩盤を守ろうとする文科官僚は、その新事態に気付いていなかっただけのことだ。


その固い岩盤に安倍がダイナマイトを仕掛けなければ事は動かなかったのであって、政治は時に荒療治をしなければ官僚の既得権擁護を突破出来ないのだ。もともと朝日などマスコミの多くは規制改革推進論であったはずだが、なんとしてでも政局に結びつけたいという“邪心” が先行して「報道をゆがめる」結果を招いているのだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆安倍「次官なら私に直接言うべきだ」

杉浦 正章



事務次官OBらも前川批判で一致
 

マスコミは「異次元の人」を英雄視するな


 前文科事務次官前川喜平が漏らし、朝日新聞が煽り、「盲目民放」が興味本位に追随する虚構の「加計学園疑惑」に対して、ようやく安倍政権は本格的な反論を展開し始めた。首相・安倍晋三自らが説明、閣僚や党幹部も積極的かつ具体的に反論し始めた。前川批判の焦点は何で次官在職中に身を賭して反対しなかったかに集中している。政治家ばかりではない事務次官OBらによる会合がこのほど開かれたが「疑問があるならなぜ在職中に首相と会って反対しなかったのか。


後でマスコミに向かって発言することは次官経験者がやることではない」との見解で完全に一致したという。心ある次官経験者らは前川総スカンなのであろう。確かにまっとうな官僚なら筋を通すはずではないか。一部マスコミも次官在職中に売春を斡旋するようなバーに足繁く通い、「女性の貧困」を調査したと言ってはばからない「異次元の人」の発言を、まるで権力に立ち向かう英雄であるごとく報道し続けるのは、心ある国民の新聞離れと、民放蔑視(べっし)につながるばかりであることに気付くべきだ。
 

まず安倍は1日、ニッポン放送の番組収録で「私の意向かどうかは確かめようと思えば確かめられる。次官なら大臣と一緒に私のところに来ればよい。そしてその場で反対すべきだった」と前川の姿勢を戒めた。そして「(加計学園の)理事長が友人だから私の国政に影響を与えたというのは、まさに印象操作だ」と厳しく断定した。

自民党国対委員長竹下亘も「問題があるのならなぜ現職の時に発言しなかったのか」と批判した。筆者もこの問題の根底には、天下り問題で辞任を迫られた前川の“逆恨み”があると思えて仕方がない。そこにはマスコミの操縦を心得た前川の巧みな世論誘導術がある。文科省のメモの漏洩に始まって、一見新しい疑惑のように見える事柄を毎日のように少しずつ漏らして、安倍内閣を政局に追い込もうとする。「次官の野望」が垣間見えるのだ。しかし、その発言の内容たるや「総理のご意向」メモに始まって、決定的な打撃力に欠ける話ばかりだ。
 

「総理のご意向」が犯罪につながるような証拠は一切提示せずに、矛盾にあふれ、まるで「引かれ者の小唄」のような発言ばかりだ。前川は16年9月に首相補佐官に呼ばれて「総理は自分の口からは言えないから」と獣医学部増設を求められたと主張する。しかし、学部新設は15年6月に閣議決定済みであり、閣議で決めた問題を、「自分が言えない」として、首相が人を介して次官の了承を求めることなどあり得ない。


さらに言えば加計学園獣医学部新設は民主党政権が推進した問題でもある。今治市は2007年以来、特区指定申請を15回も却下されたていたが、民主党が10年に「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げの閣議決定をしている。従って前川が「行政がゆがめられている」と主張し、民進党がこれに口裏を合わせているのは天に唾するものだ。


何をやっても「安倍の疑惑」と指摘するなら、当然民主党の疑惑も指摘され得る事態ではないのか。規制改革担当相の山本幸三が「(文科官僚が)既得権のことばかりを考えて行政をゆがめてきたのを正しただけだ」と反論しているのが正解だ。
 

そもそもこの前川対官邸の確執の本質は、規制改革を推進する官邸と既得権にしがみつこうとする文科省、応援議員団、獣医団体などとの戦いなのだ。反対派は50年も続けられてきた獣医学部新設却下が、時代の変遷と共に実情に合致しなくなってきていることを無視しているのだ。鳥インフルエンザや口蹄疫などという新事態は、獣医学部の新設却下と明らかなる矛盾を示している。旧態依然として岩盤を守ろうとする文科官僚は、その新事態に気付いていなかっただけのことだ。


その固い岩盤に安倍がダイナマイトを仕掛けなければ事は動かなかったのであって、政治は時に荒療治をしなければ官僚の既得権擁護を突破出来ないのだ。もともと朝日などマスコミの多くは規制改革推進論であったはずだが、なんとしてでも政局に結びつけたいという“邪心” が先行して「報道をゆがめる」結果を招いているのだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月01日

◆パリ協定離脱で米欧の亀裂深刻

杉浦 正章

 

「トランプVsメルケル紛争」の現状
 

日本は双方の過剰反応を戒めよ
 

トランプ対メルケルの対立で、ただでさえ離反が目立った米欧関係に、「米パリ協定から離脱」という報道の追い打ちである。もはや亀裂は決定的なものとなりつつある。「アメリカ第一」を掲げるトランプの唯我独尊姿勢は、イギリスの欧州連合(EU)離脱でメルケルが牽引しているEUとの関係悪化を増幅し、抜き差しならぬ段階にまで至った。


幸い対ロシア軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)にひびが入る気配はないが、防衛費分担をめぐってギクシャクし始めたことは否めない。米欧の内輪もめにプーチンが小躍りしている事は確かだろう。日米関係はかってなく良好だが、首相・安倍晋三はサミットでも果たしたように米欧離反への接着剤として、双方の「過剰反応」を戒める必要があろう。
 

「トランプVsメルケル紛争」は根が深い。3月の米独首脳会談でもトランプはメルケルに視線も向けず、そっぽを向き握手すらしなかった。トランプの欧州訪問とこれに続くG7サミットでも激しく対立した。とりわけメルケルは、オバマが任期最終年に署名したパリ協定をトランプが受け入れなかったことに腹を立てたようだ。メルケルは「気候変動に関しては、非常に満足のいかないものだった。サミットでもパリ協定支持、不支持は6対1で、EUを加えるなら7対1の状況だった」とトランプへの不満を述べている。
 

このメルケルの不満が爆発したのが28日、ミュンヘンで開催されたパーティー形式の選挙集会での演説だ。ビール片手にメルケルは演説のボルテージを上げ、「私はこの数日で、ヨーロッパが他国に完全に頼れる時代はある程度終わったと感じた」と述べ、米国への不満を表明した。そのうえで、メルケルは、アメリカとの友好関係の重要性を指摘しつつも、「ヨーロッパは、自分たちの運命を自分たちで切り開いていくしかない」と述べ、ヨーロッパが地球温暖化対策などを主導していく必要性を訴えた。
 

発言について米国のNATO大使であったイボ・ダールダーはニューヨークタイムズ紙に「米国が導き欧州はついてきた時代の終末が来たようだ。米国は主要イシューで欧州と反対方向に向かっていて、メルケルの発言はこうした現実認識から出たもの」と論評した。さらにニューヨークタイムズ紙はG7サミットを論評して「過去ドイツおよび欧州は、自動的に米国に依存してきたが、もはやトランプは信頼すべきパートナーではないと結論づけた」と言い切っている。またワシントンポスト紙は「メルケル首相が米欧関係に新たなページが開かれたことを宣言した」と分析している。
 

一方米欧双方にトランプが、トルーマン以来歴代大統領が言及してきたNATO条約第5条への言及がなかったことへの懸念が生じている。5条は「NATO同盟の一つの国への攻撃を同盟全体への攻撃と見なし、集団的に防衛する」とし条約の要である。懸念の発信源はハーバード大学教授のニコラス・バーンズのようだ。バーンズは「歴代の米大統領は全て第5条への支持を表明した。米国は欧州を防衛するということだ。トランプ氏は、NATOでそうしなかった。これは大きな間違いだ」と指摘した。


これにメディアが乗った結果大きな問題となった。しかしウオールストリートジャーナル紙は社説で、トランプはNATO本部で開かれた「第5条とベルリンの壁」に関する記念式典で、「この式典は記憶と決意のためにある。われわれは2001年9月11日にテロリストによって残忍な方法で殺害された約3000人の罪なき人々をしのび、追悼する。われわれNATO加盟国は歴史上初めて第5条の集団防衛条項を発動し、迅速かつ断固たる態度で対応した」と述べた点を指摘している。直接的ではないが間接的には5条を支持したというのだ。さすがのトランプもNATOを全面否定すればどうなるか位のことは分かっているものとみられる。
 

メルケルは1次、2次世界大戦の敗戦国としてドイツがあえて米国に異論を唱えることのなかった長い間の慣習を打ち破り、米国の“独善”に勇気を持って発言したことになる。国内はこれを歓迎する空気が濃厚だが、ドイツが直ちに欧州の平和にとっての脅威として登場することはあるまい。しかし、長期的にみれば、大きな曲がり角と見るべきだろう。背景には9月の総選挙で4回連続で首相の座を狙うメルケルが、トランプに批判的な国内世論に訴えようとする意図もないとは言えない。ドイツの野党は「メルケルがトランプに寛容すぎる」と批判しており、トランプ批判は国内の政情に対応するメッセージでもあった。
 

こうした中で日米関係は安倍が昨年12月にトランプタワーで就任前のトランプといち早く会談したことが効を奏して、極めて良好である。とりわけ北朝鮮の「核・ミサイル亡者」が暴発している現状において、日米同盟の結束は不可欠だ。トランプにとっても欧州との亀裂が極東にまで及んでは米国の完全孤立になり、日米関係の堅持は基本戦略だろう。


一方、欧州も安倍がサミットでパリ協定の順守と、保護主義否定に回ったことで一目置いている。安倍は機会を捉えて双方に過剰反応を戒めるべきだろう。トランプも選挙戦のときのような「NATOは時代遅れだ」といった発言は控え、G7の首脳宣言に「保護主義と闘う」との文言を盛り込むことにも同意した。メルケルも基本的には親米的である。


トランプが数日以内にパリ協定脱退を宣言すれば、当面の米欧関係はこじれにこじれるだろうが、次回G20サミットが7月7日から8日にかけて、ハンブルグで開催される予定であり、こうした場を活用して米欧双方をなだめることも必要だろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月31日

◆馬脚を現した北のミサイル精度

杉浦 正章



「7メートルの誤差」はあり得ない
 

狙いは「日米分断」
 

大口を開けて馬鹿笑いをする金正恩のどアップは見飽きたが、今度ばかりは馬脚を現した。「7メートルの誤差」と「フェーク映像」である。朝鮮中央テレビは29日のスカッド改良型ミサイル打ち上げを報じて「操縦翼や小型エンジンでの速度制御で目標点に7メートルの誤差で正確に命中した」と報じた。しかし、軍事専門家の共通した分析では「7メートルの誤差はあり得ない」のだという。なぜなら米国の最新鋭ミサイルでも誤差は50mから80mであるからだ。


本当かどうかは疑問だが、中国の対艦弾道ミサイル東風でも誤差は30mから40mだといわれる。7mをGPS衛星利用による誘導で将軍様が達成したのだというが、だいいち軍事利用できる人工衛星そのものを北は所有していない。商業用のGPSの“盗用”ではミサイル制御は不可能とされる。
 

なぜ7メートルとしたかというと、米空母打撃群の駆逐艦でも狙う能力があることを示したかったというのだ。さらに北は地球の地形の中でミサイルが命中するコンピューター映像を放映したが、専門家は「あのような軌跡は間違いなく合成画像によるもの」だという。だいいち金正恩がミサイル発射を見物している部屋には、テレビのスクリーンは映っていない。軌跡を見るなら大きなスクリーンをいくつも設置したミサイル制御室で見るのが普通である。
 

こうしたフェーク映像の放出はかえって北の“背伸び” を世界に露呈する結果となった。問題は北の側近技術者たちが、他国の技術者がみれば即座に見抜く稚拙な公表をなぜ行ったかだ。おそらく無知な金正恩に誇大性能を報告して、「将軍様のお手柄」とおだて上げ、自らの地位の保全を図ろうとしているに違いない。金正恩政権内部のごますり合戦が手に取るように分かる。
 

一方北の外務省は対日どう喝のレベルを一段と引き揚げた。「これまでは再日米軍基地を照準に合わせてきたが、日本がアメリカに追随して敵対的になるなら、我々の標的は変わるしかない」とすごんでいる。しかし今のミサイル精度では横須賀を狙っても八丈島に向かうレベルであり、東京駅を狙っても朝鮮総連に当たるレベルになるにはまだまだの水準だろう。
 

金正恩の狂ったような中・小型ミサイル連発の背景には、米国がオスロの米北接触などを通じて、対話の働きかけをしたといわれることがその理由ではないかと思われる。ミサイルもICBMと受け取られるものの発射は避け、核実験も先延ばしにしている。ICBMや核実験を米国がレッドラインとしているのは暗黙の事実とされており、金正恩はそれが恐ろしいのだ。これは将来米国との会談へと発展した場合に備えて高値をふっかける戦術でもあろう。対日どう喝も、いざ瀬戸際という事態になれば、日本が米国に「ミサイル攻撃を受けてはたまらない。ミサイル発射をやめてくれ」と泣きつくように仕向ける意図であろう。


日本への攻撃は米軍事基地ばかりでなく大都市を狙う可能生を改めて示して、日本の世論を誘導し、日米分断を図ろうとしているのだ。しかし、もともと北は朝鮮労働党機関紙で攻撃対象を東京、大阪、横浜、名古屋、京都の5箇所を挙げ、また在日米軍基地として横須賀、三沢、沖縄を挙げてきている。いまさらうろたえる者はいない。見え透いた対応の背景には、米空母3艦隊に囲まれて、自らの寝首をかかれることを恐れる、小心な金正恩の姿が浮かびあがるのだ。ミサイル発射でもしないと夜も眠れない心理状態ではないか。故金正日が得意としてきた「瀬戸際外交作戦」を臆面もなく継承しても、もはや通用しないことを金正恩は一刻も早く悟るべきだろう。
 

こうした中で首相・安倍晋三が、韓国の大統領文在寅と電話会談で、「北朝鮮とは対話のための対話では意味がなく、今は北朝鮮に圧力をかけていくことが必要だ」と主張した。これは対話路線を重視する文にクギを刺したことを意味する。これに対し、文は先の先進7カ国首脳会議で北朝鮮に対する強い姿勢を示した首脳宣言が採択されたことに触れ、「安倍首相が主導的役割を果たしたことに感謝し、評価する」と答えている。当分文の公約である北朝鮮訪問はあり得ない情勢となっている。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月30日

◆朝日は「破廉恥次官」が正義の味方か 一部修正送信

杉浦 正章

 

読売を「御用紙」扱い


左傾化民放もいいかげんにせよ
 

朝日新聞が読売をなんと安倍政権べったりの「御用紙」呼ばわりしていることが分かった。前文科次官前川喜平の売春防止法違反疑惑に、川柳欄で「御用紙は印象操作で操たて」を選んだうえに、「出会い系報道」のコメントを付けている。たかが川柳ではない。川柳の選者は朝日の編集局内の読売批判の風潮を見事に詠んだから選んだのだ。極めて政治的な選考なのだ。前川の行動を“擁護”に出ていることを如実に物語る。


一方NHKは朝日と同様に「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」という文科省内のメモを入手しながら、破廉恥な前次官の疑惑に丸乗りして、首相を追及することは控えたという。民放はTBSとテレビ朝日がここを先途とばかりに朝日に同調、前川をまるで「正義の人」扱い。マスコミは朝日、TBS,テレビ朝日対読売、産経、NHKの構図がくっきりと浮かび上がっている。
 

まず朝日が25日夕刊の素粒子蘭で「前次官が出会い系バーに出入りの報道。個人の醜聞に矮小(わいしょう)化しようとするか。『共謀罪』後の監視社会恐ろし。」と論評した。朝日がまともに前川のバー通いを論評したのはこの素粒子欄だけだが、かなり読まれているとみえて、「何が何でも反安倍」路線をひた走る評論家片山善博が28日のフジテレビの真報道2001で同様の見解を述べたあげく「人事を官邸が握っていて物言えば唇寒しだ」と宣うた。これは、いかに朝日が反安倍のコメンテーターのよりどころとなっているかを物語る。
 

ひどいのは毎度のことだがテレビ朝日。テレ朝は、かつて報道局長の椿貞良が「なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と他局に偏向報道を働きかけ、再免許が危うくなった経緯がある。そんなことなどとっくに忘却の彼方とみえて、コメンテーターを使って反安倍キャンペーンだ。一方TBSも29日午後のラジオ番組「デイキャッチ」で前川を出演させ、司会が官邸が出会い系通いを戒めた問題についてなんと「どう喝ではないか」とごまをすった。


これに前川も「どう喝、威喝、脅迫とみようと思えばみえる」と悪乗りした。さらに加えて前川は「とにかく全く私的な行動であり、興味関心で話を聞いた」と弁明したが、本当だろうか。これに先立つ記者会見で前川は出会い系通いを「女性の貧困の調査」と臆面もなく発言したが、開いた口が塞がらないとはこのことだ。いま銀座のバーでは客がドアを開けると「女性の貧困の調査に来た」とママを喜ばすのがはやっている。ママはこのギャグに食傷気味だが、笑うふりをする。
 

さすがに普段は冷静な官房長官・菅義偉が憤って「『女性の貧困』には強い違和感を覚えた。常識的に言って教育行政の責任者がそうした店に出入りして、小遣いを渡すことなど到底考えられない」と発言したのは至極もっともだ。菅の指摘するように1度や2度の「調査」ならまだしも、審議官時代から次官時代を通じて毎週、時には毎日入り浸っていて、「調査」が聞いてあきれる。東大法学部というのは先にも指摘したが、本当に変わった人間を“輩出”する。
 

前川発言の核心は「行政がゆがめられた」と官邸の圧力で獣医学部の新設を認めさせられたことを指摘した点にある。蓮舫もこれに飛びついて「行政がゆがめられていないかを国会で問うべきだ」と発言した。しかしこれも蓮舫発言の常で、ブーメラン返しにあった。安倍は29日の本会議で「民主党政権時代の平成22年に閣議決定した新成長戦略で獣医教育のあり方について新戦略として行うことになった」ことを明らかにした。確かに、獣医学部の新設は、当時の民主党の鳩山内閣で実現に向けて検討が始まり、安倍内閣は、それをさらに前進させたものであり「行政がゆがめられた」と言う指摘は全く当たらない。江戸っ子なら「おととい来やがれ」だ。
 

こうした中で、大傑作なのは朝日の世論調査で内閣支持率が変化していないことが分かったことだ。朝日は29日の3面全てを使って「それでも崩れぬ安倍支持の理由」と大特集を組んでいる。この見出しから見る限り、これだけ加計問題で叩いてやったのに、支持率が変わらないと悔しがっている様が正直に現れている。


「朝日新聞が24〜25日に実施した緊急世論調査でも内閣支持率は47%になり、ほとんど動かなかった。相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計(かけ)学園の問題が噴出しても大きく崩れていない。」のだそうだ。そして「有権者は『他よりよさそう』という意識が広がるあまり『中身』の評価が甘くなってはいないか。異論に耳を傾けず、幅広く納得を求めない姿勢を許すことにつながらないか」と解説した。安倍政権の「中身」に目を向けよと、例によって“教育的指導臭”がふんぷんたる記事だ。しかし、この記事は読者を馬鹿にしている。


朝日の「安倍潰しキャンペーン」に、読者は自らの判断力で踊らされないことが分かっていない。そこには唯我独尊のみがあって、真の分析がなされていないのだ。だから発行部数がどんどん下がっているのが分かっていない。
 

スクープだとばかりに報道した「総理の意向」文書にしても、「だからどうした」と言いたい。贈収賄疑惑があるのなら別だが、そのかけらもない。文科省の公文書でもない単なるメモだ。安倍長期政権で官僚はどの省でも「総理の意向」で物事を成就させる傾向にあるだけの話だ。そこを見分ける能力を国民はもっているのであり、もういいかげんにばかなミスリードは辞めた方がいい。


北朝鮮が3週連続でミサイルを発射し、朝鮮半島を米空母3隻が取り囲む事態に、マスコミも国会もつまらん議論をしているときか。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月28日

◆G7、対北「国際包囲網」へ前進

杉浦 正章



安倍が「トランプ旋風」抑制、米欧離反へ接着剤  
 

中露がほくそ笑むわけにはいかない
 

タオルミナ・サミットは焦点の北朝鮮問題や、米欧対立の保護主義とパリ協定の是非をめぐって、首相・安倍晋三が日本の首相としてかつてない存在感を示した。安倍は北のミサイルを「新たな段階の脅威」と位置づけ、その脅威は極東にとどまらず「伝染病のように全世界に広がる」と訴え、共同宣言に「国際社会における最重要課題」と表現させることに成功した。


対北宣言でG7が一致したことは、隣接する中国、ロシアに対しても強いけん制効果をもたらす性格のものでもあり、さらなる経済制裁へとつながる効果をもたらす。また安倍は、米国第一主義と保護主義を臆面もなく打ち出そうとするトランプをなだめ、欧州諸国との激突、決裂回避へと動き、宣言に「保護主義と戦う」の文言を挿入させた。安倍が接着剤の役目を果たさなかったら、G7は存亡の危機に立たされたかもしれない。
 

G7の記事は新聞各社とも経済部が中心で書くから、北朝鮮問題より経済問題に焦点が向けられ、米欧の亀裂がクローズアップされているが、この編集姿勢には疑問がある。なんといっても米空母の3艦隊が朝鮮半島を取り囲む緊急事態であり、優先順位が違うのではないかと言いたい。ここは安全保障問題の方がトップにふさわしい。


安倍の記者会見も日本時間の深夜だから大きく扱われていないが、北朝鮮に関して極めて重要な発言をしている。安倍はサミットで冒頭発言を行い、北朝鮮問題について「20年以上平和的解決を模索したが対話は時間稼ぎに利用された。放置すれば安保上の脅威が伝染病のように世界に広がる」と極めて強い表現で危機感を表明した。次いで「国際的な包囲網を形成して、経済面での北の抜け道を出来る限りなくして、圧力を掛ける必要がある」と強調した。


欧州は北との国交がない国はフランスのみで英、独、伊は国交がある。しかし中東に比べて北朝鮮問題への関心は薄く、安倍は欧州の目を極東に向けさせて、国際世論を高めることを狙ったのだ。北の“抜け道”にならないよう暗に要求した意味もある。
 

各国からは賛同の声が相次ぎ、宣言は4月の外相サミットの「新たな段階の挑戦」の表現を「新たな段階の脅威」と一段と強めた。世界全体の脅威であるとサミットが確認した事は、国際政治的には大きな意味がある。北への決定的制裁をためらう中国や、臆面もなく万景峰号の定期航路を認めたロシアに対する、G7の意志表示でもあるからだ。次の課題は国連の場などで制裁強化をさらに進めると共に、決め手をもっている中国に対して、石油輸出や鉄鋼輸入の制限、金融取引の封じ込めなどの策を求めてゆく必要があろう。
 

一方、トランプと欧州諸国は、パリ協定をめぐって「湯気の立つような激論」(政府筋)を展開、安倍は“留め男”役を演じた。安倍は「環境問題でアメリカは電気自動車の技術をはじめトップランナーであるから、排気ガス問題などリードすべき事は多い。経済大国の役割でもある」とトランプを持ち上げたうえで対応を求めた。安倍は側近に「トランプがうなずくような場面を作ることが肝心だ」と漏らしていたといわれ、一種の“友情ある説得”を試みた。


この結果トランプは決定的な亀裂につながるような発言は避け、首脳宣言では「アメリカは、気候変動およびパリ協定に関する政策の見直し過程のため、コンセンサスに参加する立場にない」としたうえで、「アメリカのプロセスを理解し、ほかの首脳は、パリ協定を迅速に実施するとの強固なコミットメント=誓約を再確認する」と、いわば両論併記の表現で収まった。両論併記はサミット史上異例である。トランプは最終決断を先延ばしにした形となった。ツイッターでは「来週決める」と書いている。
 

さらに宣言には自由貿易に関して、「不公正な貿易慣行に断固たる立場を取りつつ、開かれた市場を維持するとともに、保護主義と闘うという、われわれの誓約を再確認した」と明記された。これは安倍が事前のトランプとの会談でサミットの存在意義がどこにあるかを諄々(じゅんじゅん)と説明した結果であるという。これまで「保護主義」的政策を打ち出しているトランプ政権は、3月のG20では、昨年のG20の声明で盛り込まれた「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言を削除するよう強く主張して、結局削除させた経緯がある。


今回のサミットでも当然強く要求するものとみられたが、西欧諸国首脳はさすがに譲らず、トランプは孤立して妥協へと動いた。妥協策として「あらゆる形態」という文言の削除で全体の表現を弱めて、トランプが応ずることになったのだという。
 

こうしてトランプ旋風はサミットでも荒れ狂った形となったが、空回りに終わり、それほどの威力は発揮できなかった。もともと自らの生命線でもある自由主義経済を翻弄(ほんろう)し、米国で通用する「わがまま」を世界でも通用させようというトランプの世界認識の浅はかさに問題がある。アメリカが何を言っても通用する時代は去りつつあるのだ。


世界はトランプの足下の米政局が揺らいでいることを知っている。サミットの亀裂が安全保障面にも及べば、重大な事態だが、北朝鮮への足並みがそろったことで、当面問題はないことが証明された。中国やロシアがほくそ笑むのは時期尚早だ。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月25日

◆トランプ、隠ぺいと捜査妨害で自縄自縛

杉浦 正章



ロシアゲートのリークが止まらない
 

「やっちゃだめを全部やっちゃうトランプ大統領」と、ニューズウイーク日本版にお笑い芸人パックンが書いているが、まさに至言だ。川柳で言えば「トランプは今日はどこまで掘ったやら」で、毎日自分の墓穴を掘っている。それもウオーターゲート事件を手本とするような隠ぺい工作と司法妨害の連続だ。本人は「アメリカ史上最大の魔女狩りだ」と息巻いているが、その魔女狩りの輪はひしひしと弾劾に向かって狭まりつつある。もがけばもがくほど深みにはまってゆく姿がそこにある。

 

まずロシアゲートの新たな展開が23日にあった。1月までCIA長官であったジョン・ブレナンが議会で核心に触れる証言をした。その内容は、ロシアによる大統領選挙への干渉を感知したブレナンが昨年8月にロシア連邦保安局長官ボルトニコフに電話し「ロシアが選挙干渉を続ければ、米国の有権者は激怒する」とどう喝した。ボルトニコフはその場では「プーチン大統領にに伝える」と取り繕ったが、ブレナンによると「明確な警告にもかかわらずロシアは大統領選に干渉した」と発言した。背景にはプーチンが影響力を行使できるトランプを何が何でも当選させたかったという重大な選挙干渉疑惑がある。


さらにブレナンは質問者から「トランプ陣営とロシア政府が共謀した証拠」を問われたのに対して「そのような共謀が実際に行われていた情報や諜報を目にした。ロシア当局者とトランプ陣営との間で行われた情報や諜報も知っている」と言明したのだ。中身の詳細な公表は避けたが、この発言が意味するところは、司法省が特別検察官に任命した元FBI長官モラーが、今後暴くであろう真相の方向を示したことであろう。モラーはとっくに情報・諜報を入手していることになる。

 

こうした動きはトランプがロシアとの共謀で選挙に勝ったことへの有力な傍証になるが、22日のワシントンポスト紙はそのトランプがロシアゲートの隠ぺい工作に動いたというリークを生々しく報道している。トランプは国家情報長官コーツと国家安全保障局長官ロジャーズに対してなんと「共謀に関する証拠は一切存在しないと公表せよ」と指示したのである。


これはトランプがいかに大統領職というものを理解していないかを物語る行為だろう。つまり大統領なら何でも出来るとの前提に立って、あからさまなもみ消し工作に出たのだ。「もみ消しのニクソン」ですら裸足で逃げる露骨な動きである。
 
 

さらにトランプは、明らかな司法妨害と受け取れる発言をした。ロシアの外相ラブロフに、FBI長官のコミーを解任したことに関して「私は大きな圧力を受けていたがそれば取り除かれた」と“正直”にも内実を暴露してしまったのだ。トランプはFBIの捜査を明らかに妨害したのであり、それを得々としてラブロフに話す神経は度しがたいと言うしかない。

 

こうしてどれ一つをとっても弾劾の理由になり得る隠ぺい工作、司法妨害情報が次々と集まりつつあるのがワシントンの現状だ。なぜこのように公式、非公式のリークが続くかだが、トランプ自らの“墓穴情報”の露呈は、各省の次官補など実際に政治を動かす人事が大幅に遅延しており、大統領が必要とする整合性のある情報が得られないことを物語る。


つまり、想定問答集を作れないから、支離滅裂で自らの利益にならない発言を繰り返すことになるのだ。さらに人事の遅延によって、トランプ陣営と敵対したオバマ政権時代の高官が多く地位にとどまっていることだろう。これらの高官は選挙中からトランプ陣営に批判的であり、これが現在もリークとして続く形となっているのだ。
 
 

今後は特別検察官が暴く事実が焦点となるが、特別検察官はFBI出身であり当然前長官コミーからの“引き継ぎ” を受けており、捜査のテンポは速いとみられる。加えてコミーは上院の公聴会での証言を求められており、30日以降に実現する可能性が高い。こうして「大統領の疑惑」はまさに佳境を迎えようとしている。


しかし弾劾実現には上下両院で過半数を維持している与党共和党の多くが、トランプ不支持に回らなければならないなど、難関も多く、トランプゲートは富士山で言えば3合目と言ったところだろう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月24日

◆TPPはベトナム・マレーシア説得がカギ

杉浦 正章



11か国結束で米国復帰を目指せ
 

日本は「橋渡し」と「防波堤」のジレンマ
 

菊池寛の「父帰る」は、かつて家族を顧みずに家出した父が、落ちぶれ果てた姿で戻って来たことをテーマに据えた戯曲だが、まるで環太平洋経済連携協定(TPP)のアメリカの姿を見るようである。やがて帰らざるを得ないと見る。捨てられそうになった家族である11か国は、長兄日本の努力で漂流気味の状態から離脱して、命脈を保つことが出来た。


今後の焦点は、アメリカへの輸出拡大ができると国有企業改革や、外資規制の緩和などで譲歩したベトナムやマレーシアが、「アメリカ抜きでは話が違う」と強い不満を抱いていることだ。日本としては11月のTPP閣僚会合までにあの手この手で両国を説得して「TPP11」の結束を保って発足にこぎ着け、将来の米国復帰を待つという両面作戦を展開することになる。レベルの低い自由貿易協定で発足させようとしている中国主導の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に、席巻される事はなんとしてでも回避して、TPPの高い理想を維持しなければなるまい。
 

首相・安倍晋三はかつてからトランプの離脱表明について「日本が意思を示さなければTPPは完全に終わってしまう」と危機感を募らせ「TPPは決して終わっていない。アジア太平洋の発展に大きな意義があり、なんとか推進したい」と前向き姿勢を堅持してきた。その根底にある戦略は@11か国でスクラムを組み、高いレベルの自由貿易協定を維持すれば、たとえトランプがTPP以上の自由化要求をしてきてもはねつけることが出来るA中国主導のRCEPは国有企業改革や投資の自由化に消極的であり、日本としてはTPPを先行させてRCEPの水準を引き揚げる必要があるーという対米対中両にらみのものである。
 

この基本構想に対してTPP11内部は大きく3つに割れた。オーストラリア、ニュージランドは対日農産物輸出増をにらんで賛同し、カナダ、メキシコはトランプの北米自由貿易協定(NAFTA)反対に忙殺され傍観、ベトナムマレーシアは前記の理由で消極的であった。


今後の焦点は米市場を重視して慎重姿勢をとるベトナムやマレーシアをいかにして説得するかだ。ベトナムなどは現在の協定内容の大幅な変更を求めかねない状況にあり、協定内容の大幅な変更を避けつつ、いかに意見の相違点を克服できるかがポイントだ。


日本の主導権が問われる場面だが、ここは視点を広く持って日本とベトナム・マレーシアとの経済的な結びつきを深め、経済援助や技術者研修制度の拡充なども推進して良好な関係を構築することだろう。例えば両国首脳を個別に日本に招待して、安倍との首脳会談で根回しをすることも考えられる。
 

もう一つの焦点は対米関係である。21日の閣僚声明では、アメリカを念頭に、「原署名国の参加を促進する方策も含む選択肢」を検討することが盛り込まれた。TPP11の本当のゴールは、11か国にとどまるのではなく、最終的にアメリカの復帰を促して、もとのTPPの形を復元することであり、これこそが、日本がTPP11の実現に力を入れる真の狙いと言ってもよい。


これは一見荒唐無稽に見えるが、米国の政局を見忘れてはなるまい。筆者は米国の政局が政権発足早々からロシアゲート事件を軸に流動性を帯びており、トランプの支持率も35%と最低水準にあり、政権は長くて4年の任期を全うすることが精一杯ではないかと思う。場合によっては来年の中間選挙前に副大統領マイク・ペンスに代わる政変すらないとは言えない。従って新大統領がかたくななトランプの保護貿易主義を転換させる公算もあり得るのだ。
 

保護貿易主義の流れが世界経済を停滞させて、マクロで見れば自国にブーメランとして帰ってくることは戦前の歴史が証明している。トランプはTPP11が結束し、日本が欧州とも自由貿易協定を結び、ある意味で対米包囲網を実現させれば、自らの主張する2国間協定に影響が出ることは避けられないことを悟るだろう。関税にしても多国間協定以上に下げられなければ、2国間協定にこだわるメリットがなくなるからだ。
 

こうしていまや日本は好むと好まざるとにかかわらず自由貿易を推進する旗手の役割を果たさざるを得ない状況になりつつある。TPP11と米国との橋渡し役になると同時に、トランプ保護主義の防波堤になるという、二律背反の役目を演ずることになるのだ。


まずは日本の提唱で、7月に高級事務レベル会議が開催される。11カ国の中で経済規模が最大の日本がリーダーシップを発揮する機会でもある。安倍は週末のサミットでも会議をリードする役割を果たす必要があり、時にはトランプに「友情ある説得」をする必要も出てこよう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月23日

◆G7は「北朝鮮集中討議」が不可欠

杉浦 正章
 


中国に「行動」を求めよ
  

安倍は大演説を行うべきだ
 

朝鮮半島を米空母艦隊が取り囲むというサミット史上にない異常事態でのシチリア・サミットである。首相・安倍晋三はとかく中東、ウクライナ情勢に集中しがちなサミット参加国首脳の目を朝鮮半島に向ける大演説を展開すべきである。G7は一定時間を朝鮮半島情勢に割いて集中討議をする必要があるのではないか。もちろんかつてない事態にはかつてない取り組みをG7が一致して表明する必要があることは言うまでもない。


安倍はソウルと東京を人質に取った金正恩のどう喝戦術の実態、金正恩の性格分析、韓国新政権の動向などを各国首脳らにレクチャーする役割を担う必要がある。ことは軍事機密が絡むから、公表しないオフレコベースの話でもよい。北の真の姿を浮き彫りにすべきであろう。
 

お座なりというと外務省がカンカンになって怒るかもしれないが、少なくとも事前準備のG7外相会談を見る限り、北朝鮮問題の扱いは二の次三の次であった。岸田文雄が「最古参」として臨んで、北朝鮮情勢をめぐる議論で口火を切って、軍事的挑発を繰り返す北朝鮮を「新たな段階にある」と認定し、各国の賛同を取り付けた事は確かだ。


しかし、焦点は米のシリア攻撃容認、アサド政権を支援するロシア問題など中東情勢に集中したのが実態だ。声明も北朝鮮については、「最も強い表現で非難」することと、自制を求めることにとどまった。拉致問題の早期解決に向けた対処も付けたりだった。岸田外交は、どこか理詰めなだけでかったるいのだ。
 

26日からのサミット加盟国を見渡せば米、英、仏が新首脳の登場となり、メルケルと安倍が古参である。これまで朝鮮半島情勢は西欧首脳らの関心が低く、前回の伊勢志摩サミットですら、長時間の集中討議にはいたらなかった。しかし、半島一触即発の状況は、G7にも大きな関わりをもたらす。なぜなら朝鮮戦争は休戦状態にあるのであり、国連軍対北朝鮮・中国の対峙の構図に変化はないからだ。G7では米軍50万人、英軍1万5千人、仏軍7400人が戦っている。その大戦争の後方司令部は現在でも米軍横田基地にあり、3か月に一度駐在武官による会合が行われている。
 

そして北の指導者は「偏執病」(米国連大使)の異常度を日々深めており、ミサイルの発射を繰り返す。さすがに核実験とICBMの実験は、米国の攻撃を恐れて控えているが、隙あらばのどう喝姿勢の度を強める。最近では日米分断を狙って、しきりに在日米軍基地への攻撃を放送や新聞などを使って表明させるようになった。米国が圧力を掛けても金正恩の態度に変化はなく、あまり有能とは言えないティラーソンら米国首脳はお手上げの状況と言ってもおかしくはない。金正恩はともかくその側近らは米国に打つ手がないことを経験則から熟知しているのだ。
 

その最たる経験則がクリントン政権時代の94年に行われようとした北への攻撃を断念したケースである。当時の国防長官ペリーの回顧録によれば、断念の理由は米国が核施設を攻撃し、38度線を越えた戦争に発展した場合は米軍の死者5万2千人、韓国軍の死者49万人、民間人の死者100万人とでた。ペリーは驚がくして、着手しようとしていた作戦を中止に至らしめたのだ。この事実はトラウマとなって、米国内に対北主戦論の火の手が上がるたびに、消火される結果を導いている。
 

しかし専門家によれば作戦次第ではやってやれないことはないという。38度線に沿って地下などに展開されている前近代的な野砲陣地などは大規模爆風爆弾(MOAB)で粉砕し、金正恩の中枢やミサイル基地はトマホークミサイルや空爆などで徹底的に潰す作戦だ。


しかし、その場合はソウルや東京が1発や2発のミサイル攻撃に遭うことは覚悟しなければならない。原爆や化学兵器、細菌兵器のミサイルなら被害は甚大だ。金正恩だけを殺害できても、それより比較にならないほど大切な一般市民を多数犠牲にすることになり、これもまず不可能な選択だ。
 

従って、G7では戦争の選択肢は極めて困難であることを安倍は主張すべきであろう。もちろん秘密裏にだ。これはトランプに向けてのけん制にもなる。ではどうするかだが、現在考えられる唯一の選択肢は中国が、中途半端な制裁でなく本格的な制裁にむけての行動することを促すことだろう。


中国は北の体制が崩壊することは避けたいが、金正恩はどうなってもいいという姿勢が感じ取られる。金正恩の息の根を止めるには、北の外貨収入源を断ち、石炭だけでなく鉄鋼の輸入停止、2006年に実施したような北の金融取引に対する締め付け、北と取引関係がある中国企業への制裁などで、真綿で首を絞める戦術しかないのだろう。この方向でG7の考えを一致させて、中国に「行動」をG7の一致した考えとして求めることだろう。


安倍は21日夕、北朝鮮による弾道ミサイル発射について「国際社会の強い警告にもかかわらず、一週間のうちに、またもや弾道ミサイル発射を強行した。国際社会の平和的解決に向けた努力を踏みにじるもので、世界に対する挑戦だ」「サミットでは明確なメッセージを発出したい」と述べるとともに、「国際社会と連携して毅然と対応していく」と強調した。

確かにいまほどG7が金正恩に明確なメッセージを表明する必要があるときはない

       <<今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2017年05月19日

◆朝日と民共の「加計疑惑」は空鉄砲に終わる

杉浦 正章  
         


偽メール事件と虚偽性で共通項
 

野党は国家戦略特区の成果を見よ                


朝日新聞が勝手に作った「加計疑惑」は、読んでいる方が恥ずかしくなるような根拠レスなセンセーショナリズムに満ちあふれている。政府内部の政策調整で「総理の意向」と使われた言葉を、まるで「首相の犯罪」と言わんばかりのおどろおどろしい紙面構成である。長期政権でその力をまざまざと感じている官僚たちは、勝手に水戸黄門の印籠よろしく「総理の意向」を振りかざして他省庁をひざまずかせる傾向がある。しょっちゅうやっている事なのだ。もちろん違法性などはゼロである。


おまけに官房長官・菅義偉が「怪文書」呼ばわりしているように、悪名高き「天下り文科省」の備忘録のような脈絡のない文書だ。蓮舫は鬼の首でも取ったかのように「究極の忖度(そんたく)があったと聞いている。内閣総辞職に値する」と息巻いているが、偽メール事件で民主党執行部が総退陣に追い込まれたことを忘れたかと言いたい。文書は偽ではないとみられるがその虚偽性には共通項がある。根も葉もない“疑惑”追及は、必ずブーメラン返しにあう。おそらく追及は空鉄砲に終わるだろう。
 

それにこの加計学園問題は既に3月に国会で取り上げられ首相安倍晋三は「もし私が働き掛けて決めたならば責任を取る」と究極の否定をしている。福島瑞穂に「安倍政権のイメージを落とそう、安倍晋三をおとしめようと質問するのはやめた方がいい」と色をなして反論した。この発言でけりが付いているにもかかわらず、朝日はぶり返した。その内容は加計学園が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと内閣府から文科省が言われたというもの。


民共はこの記事に飛びつき、例によって「朝日+民共」による追及の構図が出来上がった。昔社会党が強かったころは、独自の調査によって自民党政権の虚を突いたが、今は朝日の記事を見て追及するというだらしのなさだ。
 

記録文書はおそらく本物の備忘録であろう。文科省の幹部間で共有されていたたものだが、リークの背景を推定すれば、天下り問題でマスコミから完膚なきまでに叩かれ、組織がガタガタになった文科省の実態がある。それに加えて内閣府から加計学園問題で主導権を奪われ、獣医学部の今治市誘致が実現することになった。おそらく人事で左遷されそうな幹部が、安倍を逆恨みして破れかぶれのリークをしたのではないかとさえ思われる。
 

朝日の追及の根底には、安倍が加計学園理事長加計孝太郎とロサンゼルス留学中から40年来の付き合いであることから、怪しいという邪推があるように思える。しかし、首相たるものは、人脈の形勢によって成り立っている側面があり、その幅が広いほど安定政権となる傾向がある。新聞の首相動静を見るがよい。まさに人脈のるつぼの中心に首相がいることが分かる。しかし、その人脈といちいち怪しげな関係を持っていたら、首相職はとても持たない。すぐに潰れる。朝日の“読み”は甘いのだ。
 

加えて朝日の示唆しようとしている核心は、国家戦略特区の推進がらみで安倍が加計学園の頼みを聞いて今治市に設置するように動いたという疑惑であろう。しかし、国家戦略特区はアベノミクスの柱であり、安倍が特区を推進したのは加計との癒着があるからではあるまい。


全く逆だ。推進した特区の中に今治と加計が存在したのだ。おりからアベノミクスは社共の反対と、マスコミの懐疑論にもかかわらず、GDPの年率2.2%増の長期間成長を達成した。06年以来の快挙だ。有効求人倍率は東京で2倍であり、銀座を歩けば世の中は「平成元禄」の様相だ。まさにアベノミクスの推進という大局観がそこにあり、加計の新学部などは、安倍の眼中にはない。安倍が全国に散らばる戦略特区推進にハッパを掛けたからといて、民共は「ハッパ罪」で追及出来るのだろうか。例えば、民進党最高顧問江田五月と加計孝太郎の写真がネットに出回っているが、蓮舫はそれだけで江田を追及するのだろうか。
 

官房長官・菅義偉は18日「国家戦略特区は、何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度だ。獣医学部の新設も、長年実現できなかったまさに岩盤規制だ」と述べた。75年から15回申請しても文科省が却下していた学部新設が実現できたのは、特区推進のたまものであり、さらさら左翼から疑惑の焦点とされる類いのものではない。


繰り返すが加計問題の構図は金銭の授受など贈収賄めいた事実は全くなく、そこに存在するのは文科省の逆恨みだけということだ。矜持(きょうじ)あるマスコミなら狂ったようにトップで報道する類いのものでもない。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)