2017年08月04日

◆安倍再起動内閣が「改憲なし解散」にかじ

杉浦 正章
 


年内もあり得る情勢
 

岸田と連合、石破は孤立
 

改造人事から見た首相・安倍晋三の政局運営方針は来年末の任期満了選挙から「改憲なし解散」に大きく舵を切ったことだろう。今年中の解散か遅くても来年夏の「6月解散7月選挙」へと動きそうな雲行きだ。いまだに「解散は来年末」などと公言しているコメンテーターがいるが、信用しない方がいい。党内的には岸田文男を政調会長に据えてより強固な執行部体制を整えたが、野田聖子を閣内に取り込み石破茂を完全に孤立化させる形となった。


岸田は「ポスト安倍」レースのトップを走る勢いとなり、来年9月の総裁選は安倍・岸田連合対石破の構図が強まり、石破の目は極めて困難となった。この内閣を命名すれば「安倍再起動内閣」だろう。パソコンも使いすぎると動きが遅くなるが、再起動で元のスピードを取り戻すのだ。
 

安倍は改造後の記者会見で憲法改正について「スケジュールありきではない。高村さんが『党に任せて』と言うとおりだ」と述べて、改正案を秋の臨時国会に提出する方針を転換させた。この最大の理由はハト派の岸田が「9条改正は直ちに必要ない」と発言するなど消極的であり、政調会長に据える以上その主張に妥協せざるを得なくなったと言える。力の構図を「安倍一強」路線から「安倍岸田連合」による協調路線へと転換せざるを得なくなったことを意味する。
 

当初岸田は、朝日新聞の「岸田外相留任」という7月21日の大誤報を多くのメディアが追随、留任かとみられた。しかし政調会長への流れは7月初旬のブリュッセルにおける安倍・岸田会談で決まっていた。岸田は「どのような立場になっても安倍政権を支える」と言明、安倍は「どんなポストでも選んでください」と述べ、この時点で外相以外のポストの流れが出た。朝日は7月20日の会談で岸田が「外相を外してほしい」と安倍に要請したのに、この会談を誤解して「留任」と打ってしまったのだ。3日の朝日は稲田朋美の防衛相辞任で痛手を負ったことを理由に安倍が方針を変えたなどと書いているが、とんちんかんな言い訳に過ぎない。
 

岸田の戦略は「待ち」に徹する方向に固まった。本人は来年9月の総裁選でも安倍に協力し、4年間待つくらいの気持ちであるようだ。岸田にしてみれば安倍に挑戦してリスクを背負うより、恩を売って安倍の支持を得た方がよいとの判断だろう。基本的に“熟柿作戦”だ。安倍、岸田、石破の3人が立候補すれば、安倍と岸田が食い合いになり、石破に漁夫の利を占めさせる可能性があった。


しかし、岸田の指南役の古賀誠は、安倍が1年しか持たないと踏んでいるフシがあり、その立場から「首相の人事には全てイエスとこたえる方がいい」と入れ知恵しているようだ。権謀術数の権化のような顔をした古賀らしい発想だが、ドロドロとした思惑が水面下では渦巻いているのである。岸田は4年半の外相の重任を解かれ、政調会長として地方行脚などで支持勢力を拡大して、将来に備えることが出来る。
 

党内で反安倍色を強めてきた石破は入閣しなかった。今回の安倍の人事で一番際立っていたのは石破とともに反安倍で騒いでいた野田を閣内に取り込んで石破を孤立させたことだ。朝日によるとこの人事について石破は「受けるとは思わなかった」と漏らしていたというが、切り崩された無念さが伝わってくる。石破派からは3人入閣したがいずれも石破への相談もなく一本釣りの形であり、領袖としての面目も失った。石破は「首相は俺の手足を縛ろうとしている」と漏らしたと言うが、厳しい立場を自認している。
 

一方、もともと安倍と野田は同期会で「私のこと嫌い」と野田が尋ね、安倍が「全然」と答えるような仲であり、「晋ちゃん」「聖子ちゃん」と呼び合っていたのを石破は知らない。しかし、野田は閣議後記者団に「来年の総裁選挙には必ず出る」と息巻いている。「総裁選候補者全てが政策を戦わせ、国民とつながる場面であり、よい習慣だ」と発言。まるで佐藤3選阻止に閣僚として挑んだ外相三木武夫のようなことになりかねないが、安倍は獅子身中に虫を抱えたことになろう。


佐藤は三木出馬に対して「不明の至りであった」と述べたものだが、入閣冒頭からこんな発言をするようでは、首相をなめている。三木より悪い。果たして安倍が野田を懐柔できるかどうかがポイントだ。
 

意外な人事は河野太郎の起用だが、ワシントンのジョージタウン大学を卒業した国際派であり、今回の改造では期待できる。一匹狼の異端児が外相というポストで成長するかどうかが見物だ。憲法や原発で安倍の方針と真逆の発言をしていたが、閣僚になったら発言を控えるだろう。既に安倍内閣で、内閣府特命担当大臣を務めており、問題発言はない。
 

今回の改造人事は安倍が捲土重来、乾坤一擲を賭したもので、これで失敗したらどうしようもなかったが、大成功の部類だろう。支持率が焦点だが、これは新聞によってまちまちの結果が出そうである。総じて上向きの傾向が出れば、早期解散へとつながりうる。少なくとも下落傾向にはよほどのことがない限り歯止めがかかるだろう。安倍が述べる「仕事人内閣」の気迫は国民にも伝わるはずだ。


折から北朝鮮をめぐる極東情勢は一発触発の危機とも言え、野党のカケだのモリだのの追及などにかかわずらっている暇などない。臨時国会などは当面開く必要ない。断末魔のような民進の体たらくなら、293議席維持は無理でも260から70議席はいくだろう。それでも、3選へと動く。

【筆者より=原則として夏休みに入ります】
            <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)


◎俳談
【きもいのは主婦】
 驚いた。鰯の頭と腸(わた)がないやつが食膳にでた。小生、鰯や秋刀魚の味は腸があって初めて成り立つと信じていた。ところが生協で売っているのはないのだという。鰯は頭から食らいつく小生としては、食べれば食べるほどまずさが募った。わさびのないマグロよりもっとまずい。醤油のない卵かけご飯よりもっとまずい。ついに一匹食べるのが精一杯であった。
 一体、頭と腸なしの鰯を食べるのは誰だろうと想像してみた。味を知らない若い夫婦だろうか。この人達は、鰯も食べられない貧しい食卓で育ったのだろうか。というより、親が教えなかったのか。生協の魚屋は「気持ち悪いからとって」と言われるらしい。気持ち悪いのは腸が食べられない火星人のような主婦の方だ。もう駄目だ。地球は火星人に占領された。
頭腸なしの鰯の食べ残し       杉の子

            <俳談>    (政治評論家)
 

2017年08月02日

◆米に日本置き去りの対北“現状凍結”構想

杉浦 正章



中距離核ミサイル容認で妥協模索
 

ゲーツが頭越し米中交渉案
 

安全保障分野において米政府の高官としてもっとも経験が豊かな元国防長官ロバート・ゲーツが対北朝鮮政策の大転換を唱えている。内容は米国が北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策を破棄して平和条約を締結するというもので、その際中距離核ミサイルは容認するという“現状凍結”構想だ。背景には米国内に北が1年以内に核搭載のICBM保有に成功するとの見方が強まっており、放置すれば米国にミサイルが到達し、核戦略の転換を根本から迫られるという危機感が存在する。


しかし、その場合日本はどうなるかだ。中距離核ミサイルを認めれば、日本は常に核どう喝の対象になり、脅かされることになる。間違いなく日本には核武装論が台頭し、非核3原則など吹き飛ぶ。ゲーツ構想は如何に危急存亡時においては、米国がエゴイズムを発揮するかを如実に物語るものだ。政府は外務省を通じて米側に懸念を伝達すべきだ。
 

ウオールストリートジャーナル紙とのインタビューで、現在ウィリアム・アンド・メアリー大総長のゲーツは「中国が依然としてカギを握る」として、中国に対して1)旧ソ連とキューバ危機を解決したときと同様に、北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策の破棄を約束する用意がある、2)北朝鮮と平和条約を締結する用意がある、3)韓国内に配備している軍事力の変更を検討してもいい――と提案する。この見返りに、米国は北朝鮮の核・ミサイル開発計画に対して強い制約、つまり基本的には現状での凍結を要求し、国際社会や中国自身が北朝鮮にこれを実施させることを求める必要があることなどを提唱している。


このうちとりわけ重要なのは「現状での凍結」が意味する問題である。詳細は後で述べるが日本や韓国が受け入れられるかどうかを度外視している。加えて「北朝鮮に核兵器をあきらめさせることはできないと思う」「金氏は核兵器を体制存続のために欠かせないと考えている。しかし運搬手段(ミサイル)の射程をごく短距離にとどめさせることはできるかもしれない」などと述べた。
 

さらに米国は中国に対して、「これを受け入れられなければ、われわれは中国が嫌がる手段をアジアで講じる」と、中国をどう喝している。「米中間でこうした合意形成ができない場合、米国は韓国や日本、太平洋の米軍艦上を含め、アジアに多くのミサイル防衛システムを配備し、さらに米国は北朝鮮から発射された大陸間弾道ミサイルと思われるもの全てを撃ち落とすと宣言する。


要するに、外交的な解決策がなければ、この政権を封じ込めるために必要な手段が何であれ、われわれはそれを実施するということだ」と言明している。そしてゲーツは「レックス・ティラーソン国務長官とジム・マティス国防長官がこの計画を中国に示し、中国が支持すれば、その時初めて北朝鮮との直接協議が始まる。」と強調している。
 

この構想は金正恩を小躍りさせるものであり、逆に日韓両国は、米国のエゴイズムに置いてけぼりを食らう形となる。日本にしてみればいくら北朝鮮問題が行き詰まり状態にあるとはいえ、米国が中国との間で日本頭越しの戦略を展開されては、日米同盟の基本を崩しかねない問題へと波及し得るものだ。米国はニクソンの対中頭越し外交の伝統が物語るとおり、行き詰まると日本を度外視して超大国間の直取引に傾きがちな傾向を示す。問題は安保ど素人のトランプを始めティラーソンらが、ゲーツ構想に乗りかねない点であり、日本としては米国にクギを刺す必要がある。そうでもしなければ国会で野党から「それみたことか」と追及を受けるのは安倍となる。
 

もっとも今のところ米政府はゲーツ構想では動いていない。米国内では北が本格的な核搭載のICBMを配備してからでは遅いという立場から「今後1年以内が軍事行動に残されたゴールデンタイムだ」とささやかれている。国連大使ヘイリーは声明を発表し、制裁強化に消極的な中国を名指しで「協議の時は終わりだ」とし、協力するのかどうか決断するよう迫っている。


また中央情報局(CIA)長官マイク・ポンペオは、「朝鮮半島から核兵器を排除し、非核化すれば素晴らしいが、それに関して最も危険なのは現在それらをコントロールしている人物だ」と指摘するとともに「そのために、われわれにできる中で最も重要なのは2つを分けること。能力と、(核開発の)意図を持つ人物を分け、引き離すことだ」と強調した。これは言うまでもなくCIAが金正恩暗殺を狙って動き出していることを意味する。今後斬首作戦の展開は言うまでもなく、クーデターの誘発、各種の方法での宣伝や謀略を北朝鮮国内で展開してゆくことになろう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>


◎俳談

【寂しさ】

 残りしか残されゐしか春の鴨    岡本眸
 春深くなって鴨は北辺の地に帰るが、まだ帰らずにいる鴨を「残る鴨」という。春の季語だ。句意は自らの意思で残ったのか、それとも仲間から外されて残されたのだろうか、あの春の鴨は。これから酷暑を生き抜けるのかなぁ。根底に底知れぬ淋しさがある。やはり岡本の句に
 日向ぼこあの世さみしきかも知れぬ
があるが、これと通ずるものがある。

 淋しさも茶柱と呑む炬燵かな  東京俳壇入選

     <俳談>        (政治評論家)
 

2017年08月01日

◆あまりにひどいワイドショーの印象操作

杉浦 正章



反作用で言論の自由を毀損する恐れ
 

民間人によるチェック機構が必要だ
 

端的に言って、内閣支持率を30%台にまで落とした民放ワイドショーに如何に対応するかが、「安倍長期政権」のカギをにぎるとみなければなるまい。防衛大臣の言動をめぐる安倍内閣袋だたきの構図はいったん小康状態となったが、TBSやテレビ朝日のワイドショーは今後、まるで「水に落ちた犬は叩け」 とばかりに、かさにかかって首相・安倍晋三叩きの手をゆるめる気配はないだろう。


朝日、毎日などの論調の“請け売り”といってよいほど新聞記事の強い影響下にあるコメンテーターらは、両紙が「反安倍」を基調とし続ける限り、論拠に事欠かない構図だ。これにどう対処すべきかだが、この新聞、民放“連携の構造”は一筋縄では打開できない。もちろん内閣改造人事くらいで局面突破できる問題ではない。最終的には、ケースごとに訴訟を起こすか、放送法を適用して偏向報道の局の放送免許を停止するくらいの対応が必要になるかも知れない。政権側にそれくらいの腹がないと収まらないだろう。
 

ワイドショーの影響をいちばん受けやすいのは退職後の高齢者層だろう。読売の調査を見てもしょっちゅう家に居てワイドショーを見ている層に安倍アレルギーが強い。読売の内閣支持率を年代別にみると支持は20代65%、30代60%、40代50%、50代45%、60代35%、70代45%と高齢化するほど低下している。これは人口構造で大きな割合を占める高齢者が、朝から晩まで安倍たたきに精を出すワイドショーの影響下にあることを物語る。


年寄りなら分別が付きそうなものだが、政治についての分別が付く判断力を持っている高齢者は少ない。ほとんどの高齢者はもっともらしい数表を並べ立て、根拠レスの根拠を言い立てるコメンテーターらの主張に安易に乗ってしまうのだ。
 

一方若手の支持率が高いのは、まず自らの生活が成り立っている基盤を重視するからだ。給料は安倍内閣になって初めて上昇基調をたどり、経済は活況を呈している。外交安保も安倍に任せておけば安心感がある。若年層はそれがワイドショーのフィルターをかけずに分かるのだ。昼間っからワイドショーを見ている社員は首を切られるのが落ちだ。


だいいち「ワイドショーでこう言っていた」などと主張すれば、自らの知性、人格を疑われる。それほどコメンテーターなるもののレベルは低いのだ。これが分からないのが高齢者、分かるのが若者であり、これが支持率の「断絶」を形成しているのであろう。
 

実際にコメンテーターらの反安倍感情はとどまるところを知らぬほどのたかぶりを示している。例を挙げれば伊藤惇夫は口に出すこと全てが反安倍感情に根ざしているといってよい。安倍が被災地を視察しても「地元に負担をかけている」と批判する。外交日程を終えて最初に駆けつけてもこうした目で批判するのだ。加計疑惑についても「加計さんが友人だから面倒を見ちゃいましたとは言えない」と、名誉毀損すれすれの表現で安倍との関わりを暗示する。


前宮城県知事浅野史郎は挙げ足取りの名人だ。何を言っても揚げ足を取る。挙げ足取りをし過ぎて訴訟事件まで招きそうになった。浅野は7月25日放送の「情報ライブミヤネ屋」で美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が民進党の大西健介、蓮舫らに総額1000万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした裁判についてコメント「高須クリニックを悪徳と言っても事実だから名誉毀損にならない」という発言をした。高須は浅野の発言に警告「提訴する」と息巻いた。結局ミヤネ屋は番組中で公開謝罪した。このレベルの輩がコメンテーターなる存在なのだ。


例えば安倍が秋葉原で「こんな人たちに負けるわけには行かない」という発言を「秋葉原舌禍事件」に仕立て上げてしまったのはコメンテーターらだ。安倍は大音響のスピーカーでがなり立てて選挙演説を妨害する極左暴力集団中核派のメンバーらを指して「こんな人たち」と発言したのだが、コメンテーターらは、連日取り上げてさも一般有権者に対する非難のように仕立て上げた。都議選に致命的な打撃となったのは言うまでもない。フェークニュースを作り上げる印象操作をコメンテーターらはこともなくやり遂げるのだ。それにしても警察当局は大音響の選挙妨害を野放しにしてなぜ取り締まらないのか。怠慢の極みだ。


こうした野放図なコメンテーターらの言いたい放題の発言が、この国を再び全体主義国家に誘導しないかと筆者は心配する。作用には必ず反作用が生ずるのが政治力学の世界である。それを食い止める為の法的措置は既にほどこされている。放送法および電波法に違反した場合には電波法第76条を根拠とした無線局の運用停止や免許の停止・取り消しなどを行うことができると規定されているのだ。


過去に椿事件(1993年)がある。当時テレビ朝日の取締役報道局長であった椿貞良が民放連の会合で「自民党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と発言、テレビ朝日は免停寸前にまでいった。しかし、こうした感情が現在のテレビ朝日やTBSにも連綿と受け継がれている感じは濃厚だ。
 

このような規制は新聞にはない。その理由は新聞は読者の“選択”に委ねられており、自らの考えに合致しなければ購読しなければよいからだ。逆に民放は否応なしに視聴者を“洗脳”してしまうほどの影響力を持っている。
 

最近のコメンテーターらの反安倍の言動も、報道に関しては一方的で偏った報道を禁ずる放送法違反の色彩が色濃く浮き出ている。解散・総選挙が接近する中でこのような民放の意図的な反自民戦略を看過、野放しすれば、いずれは反動が生ずる。報道の自由を毀損するような全体主義的な反動は生じさせてはならない。


政府自民党は、悪名高き戦前の検閲の繰り返しのような対応をしてはならない。内調などが番組内容を掌握して、民間有識者らによる組織に提示し、同組織ががチェックして、あまりにひどいものは法的な対応を勧告するようなシステムを作ってはどうか。そうでもしなければ、民放はますますつけあがるだけだ。

           <今朝のニュース解説から抜粋>

◎俳談

【水鉄砲・水遊び】

蒙古斑狙ひて撃ちし水鉄砲    産経俳壇
蒙古斑はモンゴロイドのあかし。日本人は99%にある。庭先できゃっきゃっと逃げる子に水鉄砲。しまいにはホースでかけたりたりして。

これが
兄妹のあれが別れか水遊び    朝日俳談
となると、突然物語性が開ける。俳句はその空想と解釈を読者に委ねる部分が大きい。

        <俳談>     (政治評論家)        

2017年07月28日

◆安倍は持ち直すが民進はメルトダウン

杉浦 正章



ダブル辞任がもたらす衝撃度
 

小池新党が政局のカギ
 

いやはや稲田・蓮舫のダブル辞任とは恐れ入った。二度にわたって辞任の解説を書く手間が省けてありがたいが、このテーマは駆け出し政治記者たちと異なり、老練な評論家らしく大きな俯瞰図から描かなければならない。だから難しい。


まず辞任劇が首相・安倍晋三に痛手か、民進党に痛手かと分かりやすくとらえる。そうすると、見えてくるのが民進党の断末魔の光景だ。対照的に安倍は支持率にはマイナス要素だがしょせんは一閣僚の辞任だ。閣僚が辞任して首相がその責任を取って辞めるなどということは古今東西聞いたことがない。おまけに、民進党は原発で言えばメルトダウン・炉心溶融の段階に入った。もう崩壊しか待っていないかのように見える。


政治論としては安倍はこの野党第一党の崩壊過程をチャンスととらえ、秋以降衆院解散という伝家の宝刀を抜く勝負に出ることが出来る。小池百合子の出方が政治を左右するポイントの一つとなる。
 

それにつけても蓮舫は自ら記者会見で認めたように攻撃型であって、政治家としての総合的な判断に疎い。指導力などかけらも感じられない政治家であった。都議選で2議席減のたったの5議席という大惨敗の責任をとらずに済むと考えたのが甘い。大きな読み違いだ。最初は幹事長・野田佳彦だけの首を切って逃げようと試みたが、甘かった。党内の大反発を受けてやっと自分の置かれている立場を理解するに至ったのだ。


背景にあるのは社会党ー民主党ー民進党と、だましだましで維持してきた政党としての賞味期限が完全に切れたということだろう。とりわけ民主党政権時代の「2馬鹿1利口首相」への国民の反発と落胆が、いくら拭っても拭いきれない汚点となって作用し続けているのだ。ちなみに1利口とは野田だ。
 

一方で安倍は内閣支持率の急落という事態に直面しているが、今後政権を維持するだけで支持率上昇に“活用”できる内政・外交・安保上の課題が山積している。折から北の“馬鹿大将”が、安倍の窮地を救うかのようにICBM 発射の準備を整え、発射しようとしている。1回発射すれば安倍の支持率は数%上昇する。核実験をすればさらに数%上昇する。国民は身の危険を感じて初めて、やはり安倍でなければ対応できない安保上の課題があることが分かるのだ。


野党と左傾メディアが結託したカケだのモリだのの支持率引き下ろし工作より、直面する自らの生命の危機にやっと気付くのだ。衆愚というのはそうしたものなのだ。経済でもアベノミクスの成功で有効求人倍率が何と東京で2倍、地方でも1.5倍前後という状況にあるありがたさにもやがては気付くだろう。就職したいものには全てに職があるなどという状況は、歴代政権でも、世界的に見てもまれであり、財界を敵に回した民主党政権ではあり得ない数字であった。したがって内閣支持率も長い目で見れば上向きとなるだろう。
 

一方で5〜7%と低迷している民進党支持率が上向くかと言えば難しいだろう。蓮舫に代わって代表になり得る人物は前原誠司と枝野幸男だろうが、前原は党内右派だが線が細い。過去に民主党代表を偽メール事件で辞めており、外国人の献金問題で外相を辞任した。一方、枝野は顔が憎々しげで支持率を上げるようなタイプではない。悪名高き革マルの根城となっている東労組などとの交流も過去にあり、これについて安倍は、「鳩山由紀夫内閣の時に、JR総連やJR東労組について革マル派活動家が相当浸透しているとの答弁書を、枝野氏が行政刷新担当相として署名している」、などと指摘している。答弁書は枝野にとって身の証であったかのようだ。


左右どちらが代表になるかだが、前原がなった方が民進党としてはいいのだろう。枝野になれば攻撃材料がありすぎて自民党を喜ばす。若手からは幹事長代理玉木雄一郎を推す声もあるが、玉木はかつて前原グループに所属しており、前原の支援に回る可能性もある。玉木は悪名高き獣医師連盟から100万円の献金を受け取っており、そもそも加計追及の先頭に立てる人物ではない。前原なら共産党との選挙共闘を断ち切るだろうが、枝野は進めるだろう。


まるで難破船からネズミが逃げ出すように、民進党から離党者が続出している。やがて「離党ドミノ」へとつながりかねない状況でもある。民進党内で一るの望みとしてささやかれているのは、小池百合子が新党を作り「国民ファーストの会」などと称して国政進出を決断した場合に、これと連携するか、大挙してなだれ込むかなどが語られているのだ。しかし当面を糊塗する愚策だろうと思う。第一小池にとってはゾンビに抱きつかれるようで、迷惑な話だろう。要するに民進党は八方塞がりということだ。自民党の受け皿になることなど逆立ちしても出来ない。
 

一方自民党内は改造人事を前にして干されてはたまらぬと、表だった反安倍の動きは台頭していない。安倍は来月早々の改造人事で新規まき直しをはかり、今秋以降解散のチャンスをうかがうことになろう。民進党の崩壊現象は自民党を有利に導くことになるが、小池新党が登場すれば打撃を被る可能生はある。しかし、現在の293議席は取り過ぎだ。取り過ぎた結果三流若手議員の不祥事が頻発して、党のたがが外れたような印象を持たれている。昔田中角栄が沖縄返還選挙後に「300議席は取り過ぎた」と漏らしたことがあったが、次期衆院選では260から70台に乗れば十分とみた方がよい。党内が締まるのだ。


いずれにしても改造から解散に至るまでは安倍長期政権にとっての正念場だ。それにつけても安倍は女を見る目がない。辞任した閣僚6人のうち3人が女だ。

            <今朝のニュース解説から抜粋>


◎俳談

【俳句の擬人化】
◆小隼一直線なり一途なり     産経俳壇一席
 擬人法とは、植物や動物や自然などを人に見立てて表現することだ。例えば、鳥が笑う、花が泣く、などといったもの。初心者のうちはついつい使いたがるが、陳腐の極みであることに早く気付いた方がいい。駄句のことを月並み句というが、まずその部類に落ちてしまう。掲句は小隼(ハヤブサ)が一途だと言っている。小隼を己に見立てた。擬人法を使っているから、悪い句であるとは一概には言えない例として挙げた。擬人法は難易度が高く、成功すると良い句になる。

◆海に出て木枯(こがらし)帰るところなし 山口誓子
は木枯らしが帰るところがないと言っているが、これは特攻隊で散った若者を暗喩(あんゆ)で表現しているのだ。しかし、初心者はまず写生から始めるのが無難だ。

       <俳談>     (政治評論家)

2017年07月25日

◆文科省は解体的出直しをするしかない

杉浦 正章



前川とメディア結託で政局化を狙う
 

閉会中審査は平行線
 

左傾メディアは朝日がリードして、「疑惑が強まった」としか報道をしないだろうと予言したとおり、朝日の25日付朝刊の見出しは閉会中審査について「数々の疑念残ったまま」だそうだ。もう見る前から見出しが分かる。はっきり言って首相の前文科事務次官前川喜平の言い分と、全面否定する首相補佐官和泉洋人の主張は平行線をたどった。


いったん「ある」と主張したものを「ない」と否定することは“悪魔の証明”であり、不可能とされるが、あると主張する方に特定の「意図」があるかどうかによって判断することは可能であろう。それでは前川の「意図」はどこにあったかといえば、事態の政局化である。繰り返される前川発言が安倍内閣の信用度を傷つけ、内閣支持率を急降下させたのは紛れもない事実であり、24日の衆院予算委閉会中審査は、前川にとってそれをダメ押しする位置づけであったと言えよう。左傾メディアと“結託”しているのは言うまでもない。
 

これに待ったをかけたのが和泉であった。前川は例によって和泉が「総理は自分の口から言えないから私が言う」と述べたと主張し、「これは加計のことと確信した」と言明した。加計学院獣医学部の今治市への早期開学の手続きを進めるよう迫られたという主張である。この表現から見れば紛れもなく、印象によって事態を操作しようとする意識が濃厚だ。裁判の場では弁護士が裁判長に苦情を呈する場面であろう。和泉は「そういう極端な表現をしていれば記憶があるが、全く記憶がない。言っていない」と全面否定した。どちらを信ずるかの判断には材料がまだ足りない。
 

その判断材料として第一に考慮されるべきは、前川の「狙い」である。文科省は昨年来天下り問題が白日の下に露呈されて、前川は責任を取って辞任せざるを得なくなった。発言の根底にはその辞任劇への「意趣返し」があるとしか思えない。もともと前川は文科省が52年間もの間獣医学部新設を認めず、既得権を擁護したい獣医学会との癒着の構図で愛媛県の申請を拒否し続けてきた路線の継続を内心考えていたのだ。これは官邸主導の岩盤規制突破の方針と真っ向からぶつかる性格のものであった。
 

しかし、最大の問題は前川が次官在職中に一切反対の声を上げなかった事である。前川は辞任後一部マスコミの動きが反安倍へと流れるのを見て、政権の攻撃に取りかかったのだ。邪道の意趣返しであり、そこにはずる賢い人間性しか感じられない。次官を首になって失うものがなくなった者の開き直りでもある。


この前川の動きを見て、一部文部官僚も戦後聞いたこともないような「官僚による政権降ろし」の動きを開始し、疑惑のメモ類をマスコミにリークし始めた。漏れれば安倍を窮地に陥れることになることを知っての上の行為である。こうして左傾メディアが音頭を取り、前川と一部文部官僚の結託の構図が出来上がったのだ。既得権益が失われることに危惧を抱いた獣医師会と、国益そっちのけで省益が狭められることを恐れた文科省が、岩盤規制の突破という国民にとっての至上課題とかけ離れた場所でうごめいたのだ。


問題は日本国民は愚民だと思いたくないが、そこに国民の目が届かず、朝日、毎日、TBS、テレビ朝日などの反政権マスコミの“誘導”のままに支持率を低下させ安倍批判の傾向を見せていることだ。
 

前愛媛県知事加戸守行が文科省のあまりの体たらくについて「橋下徹前大阪市長だったら文科省解体を唱える」とあきれていたが、3流文科官僚の度しがたさはいかんともしがたい。自民党内にも行政改革推進本部長河野太郎のように文科省解体論も台頭している。河野は「文部科学省は、解体して国の教育行政をスリム化すべきだ。初等中等教育は、財源とともに地方自治体へ移行させる。また、高校についても、都道府県に委譲する。大学については、国が管轄するしかないが、文科省からの現役出向は禁じて、本当に必要ならば出向ではなく転籍させる。現在のように、文科省にお伺いを立てなければならないようなシステムは壊し、国立大学法人化したときに目指した原点に立ち返るべきだ」と主張している。この際時期を見て腐れ切った文科省を解体して新たな教育行政の組織を打ち立てる時かも知れない。
 

安倍は支持率低下などに臆することはない。党内野党は少数いるが、何時の世にもこうした輩は存在する。自民党の大勢は安倍を支持している。24日の閉会中審査を見る限り、民新、共産両党も追及の種は尽きた。安倍は内閣改造を断行して、重厚実務型新体制で新規まき直しを展開すべきだ。トランプの真似をせよとは言わないが、どの国も政権というものは、人事を繰り返して体制を強化してゆくものだ。


我が国を取り巻く状況を見れば、北朝鮮が核ミサイルの“仕上げ”段階に突入し、中国が陰に陽に北の政権を支持し続けるという、ゆゆしき事態が生じている。極東における戦略上のパラダイムシフトが起きているのだ。ノーテンキの左傾マスコミや野党が作り上げた加計疑惑のぬかるみに足を取られている時ではあるまい。安倍が率先して日米韓豪印など主要国による「東京会議」を開催して対策を練ってはどうか。

                <今朝のニュース解説から抜粋>

 
◎俳談
【女性観察句】

◆泳ぎ初めパンツに縫いし守り札  東京俳壇3席
 昔はプールなどないから、もっぱら川で泳いだ。田んぼの間を流れている川だから時々馬糞も流れていた。そんなことは気にも留めないのがガキ大将で、頼もしいあんちゃんだった。母親は心配して海水パンツに守り札を縫い付けてくれた。初めての川泳ぎの時は背が立たないにもかかわらず飛び込んで、溺れてしこたま水を飲んだ。ガキ大将がすぐ助けてくれた。
 
学生時代は東京プリンスホテルのプールによく行った。昔はアランドロンに似ていたから、ビギニの女性が「火貸して」と寄って来た。ロンソンのライターでつけてやったりした。観察していたら最初は髪を濡らしたくないのか平泳ぎだったが、濡れてしまうと観念したようにクロールになった。

◆髪濡れてよりクロールで泳ぐかな  産経俳壇入選
 これも一種の観察句。女性観察の句だ

    <俳談>     (政治評論家)

2017年07月22日

◆俳談

(杉浦 正章 (政治評論家) 7月22日) 
  


【さりげない時事句】

◆冷房を贅沢として老いるかな      読売俳壇1席
 早くも冷房の季節が巡ってきた。最近は毎日冷房だ。年をとると暑さ寒さが体にこたえるので、冷暖房はきちんと入れている。これは去年節約論議が激しいので、作ってみたものだが、時期的に新聞の選者の感性と一致した。選者はさりげない時事句ととらえてくれたのだろう。

◆丈夫なり妻と昭和の扇風機       毎日年間俳壇賞
 これもさりげなく節電に触れている。時事句はニュース性を持たせてはならない。持たせた途端に軽くなる。

2017年07月21日

◆超低空飛行のトランプ政権半年

杉浦 正章

 

極東“金縛りの構図”に打つ手なし
 

本人は4年後の再選へ資金集め
 

就任以来半年のトランプ政権における無策ぶりは極東情勢を見れば明白だ。オバマ政権のレガシー(政治的遺産)を次々と壊したトランプは、北朝鮮問題でもオバマ政権の「戦略的忍耐」と決別し、圧力強化にかじを切ったはずであった。しかし朝鮮半島を取り囲んでいた空母「カール・ビンソン」と「ロナルド・レーガン」はいつの間にか姿を消した。「もともと訓練のため」というのがその理由であるが、首をすくめていた金正恩は大喜びするかのように4日にICBM「火星14号」を発射した。そして「今後米国には大小の贈り物を贈り続ける」とトランプをなめきった方針を明らかにした。トランプは金にまるで猿の尻笑いをされているかのようである。


金正恩は米国がICBMとならんでレッドラインとしてきた核実験の準備も着々と整えており、その傍若無人ぶりは佳境に達している。中国も北朝鮮を自らの「属国」で、対米防波堤であるかのような位置づけを鮮明化させ、金を野放しにしている。こうしてトランプの対北政策はデッドロックに乗り上げた形である。
 

トランプは金を「この男は他にやることがないのか」とお手上げのような状態だが、金にしてみればトランプの無策ぶりをあざ笑いたいところだろう。トランプはオバマの批判など出来ない状況であろう。


就任当初は勇ましかった。習近平との会談に合わせてシリアに巡航ミサイルを打ち込み、習の度肝を抜いた上で、対北制裁圧力を求めたのだ。トランプは「中国がやらなければ米国がやる」と勢いづいたものだ。習は最初のうちはトランプの強硬方針に屈するかのごとく、石炭の輸入を一年間凍結するなど対北制裁に乗り出すかに見えた。しかし、その後は逆に北を勢いづかせるかのような貿易量の増加である。


1-3月期の北からの対中貿易は37.4%も増加している。中国と北の貿易は“だだ漏れ”状態なのであり、平壌は好景気を満喫しているという。G20におけるトランプとの会談で習は「中国は対話と協議に基づく問題の解決を主張している」と言いきって、トランプの強硬姿勢を軽くいなしている。
 

要するに習も金もトランプの足元を見ているのである。その背景には極東に確立しつつある戦略的な構図がある。要するに金正恩が核ミサイルに磨きをかけ、東京とソウルを人質に取って、どう喝外交を繰り返し、中国はこれを陰に陽に助長するという構図である。これに対して米国連大使のヘイリーは、「やむを得なければ軍事力を行使する用意がある」としているが、米国防長官マティスは、北朝鮮が戦争を挑発する以外、「戦争はありえない」という立場である。


もちろんマティスは東京に核ミサイルが飛来して爆発すれば、北に壊滅的な報復をしても戦略的には敗北を意味することを知っているからだ。この動くに動けない「極東金縛りの構図」を、トランプは打開する策を持っていないかのようである。逆に言えば就任半年かけてオバマの「戦略的忍耐」の意味が分かったのだろう。
 

こうしてトランプの半年間は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、パリ協定からの離脱だけは大統領令で実施に移したが、その他の公約は議会の反対にあって大きく頓挫している。オバマケアに代わるる新たな医療保険制度は挫折して内政上のつまずきをみせた。国境にメキシコの資金で壁を作る構想、法人税削減、シリア内戦の終結などは全くめどが立っていない。


対メディア関係も最悪の状況であり、トランプや長男はツイッターなどを通じてCNN戦闘機撃墜やCNNとの格闘など子供だましの映像を放出している。新たにロシア疑惑で登場した長男のジュニアは「ばかの見本」 と国民の間で評判が悪い。
 

政権の基盤になる議会承認人事も全く進展していない。高級官僚569ポストのうち埋まっているのはたったの48であり、如何にトランプ陣営の政権運営能力が欠落しているかの証拠となっている。こうした中で共和党内には来年の中間選挙を戦えるのかという危機感が生じている。政党支持率も民主党が上向きに転じており、共和党の苦戦は必至と予想されている。


4年後の大統領選挙に向けて米政界は動き始めているが、報道によると7月14日に開催された米国全国知事会で会議の議長を務めたバージニア州知事のテリー・マコーリフは「2020年の大統領選挙で誰が候補になるのか大きなトピックスだったが、民主党の知事からも、共和党の知事からもトランプ大統領の名前は一度も出てこなかった。誰一人、トランプ大統領について語ろうとしなかった」と、述べたという。
 

大統領に就任して半年で早くも無視されているような状況だが、本人は全く意に介していない。それどころか何と4年後の大統領選に向けて資金集めを開始しているのだ。就任後100日で数百万ドルを集め、4-6月には800万ドルを集めている。この男の権力欲は飽くことを知らぬものがある。


しかし、トランプとメディアの戦いはまだ端緒に就いたばかりだ。今後の焦点はロシアゲートを捜査している特別検察官ロバート・モラーが、どんな報告を公表するかにかかっている。場合によっては既に議会の一部で生じている弾劾の動きが大きなうねりとなる可能性もないとは言えまい。米政局から目が離せない状況が続く。

       <<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)


◎俳談

【さりげない時事句】

◆冷房を贅沢として老いるかな  読売俳壇1席
 早くも冷房の季節が巡ってきた。最近は毎日冷房だ。年をとると暑さ寒さが体にこたえるので、冷暖房はきちんと入れている。これは去年節約論議が激しいので、作ってみたものだが、時期的に新聞の選者の感性と一致した。選者はさりげない時事句ととらえてくれたのだろう。
◆丈夫なり妻と昭和の扇風機  毎日年間俳壇賞
 これもさりげなく節電に触れている。時事句はニュース性を持たせてはならない。持たせた途端に軽くなる。

     <俳談>         (政治評論家)



2017年07月19日

◆実態は保守対左翼メディアのデスマッチだ

杉浦 正章



安易な妥協は保守票まで失う
 

安倍は改憲より解散時期が重要
 

この戦いは保守対革新のデスマッチととらえるべきだろう。安倍一強政権と左翼メディアを率いる朝日との戦いである。根底には左傾化メディアが秘密保護法、安保法制、テロ防止法と連続して敗北した“遺恨試合”がある。加計問題の力を借りて保守本命の安倍政権を揺さぶる戦術とみるべきだろう。


これを自民党反安倍の「輩」は気付いていない。自民党はふんどしを締め直して、“左翼との戦い”に臨むべきなのだ。現状は都議選大敗のショックで安倍が軟化の気配を見せて追い込まれているように見えるが、来週24日にも行われる予算委閉会中審査で踏みとどまれるかがカギだ。首相・安倍晋三はよもや一地方選挙の敗北くらいで鷹から鳩に変貌しようとは思っていまい。変貌すれば、朝日が「許してくれる」とも思ってはいまい。朝日は嵩(かさ)にかかって掃討作戦に入るだけだ。逆に安易な柔軟路線は政権維持の核である保守票喪失につながると心得た方がよい。
 

これまでのところ安倍の考えは都議選の歴史的惨敗について「大変厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければならない。政権奪還した時の初心に立ち返り、全力を傾ける決意だ」として、政策の遂行で政権を立て直す考えを強調している。問題なのは自民党が突っぱねようとした閉会中審査を、安倍自身が開催する方向に舵を切ったことだ。これが安倍の“弱気”から出ているとすれば考えが甘いが、おそらくそうではあるまい。加計疑惑を徹底的に打ち消した上で改造を断行することしか政権を立て直す方策は無いと見ているのだろう。
 

しかし、安倍が閉会中審査で何を言おうと、左傾メディアは朝日がリードして、「疑惑が強まった」としか報道をしないだろう。サソリは刺すのであって、刺さない選択はないのだ。このデスマッチの根源は遠く第一次安倍政権まで遡る。朝日最大の弱点である慰安婦強制連行誤報問題の遠因は第一次安倍内閣が2007年に「政府発見の資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった」とする答弁書を閣議決定したことにある。


朝日はこれをを無視し続けたが、第二次安倍政権になって無視の継続が極めて困難となった。この結果、14年になってついに朝日は慰安婦報道をめぐり、朝鮮人女性の強制連行の虚偽報道を認め、記事を取り消した。社長以下が陳謝の記者会見に臨んだ。安倍はその後「閣議決定は批判されたが、改めて間違っていなかったことが証明されたのではないか」と強調した。さらに「報道によって多くの人たちが悲しみ苦しむことになったのだから、そうした結果を招いたことへの自覚と責任感の下、常に検証を行うことが大切ではないか」とも述べた。


まさに第一次対朝日戦は安倍の圧勝に終わったかにみえた。しかし、安倍は14年に国会答弁で「安倍政権打倒は朝日の社是」と発言している。この発言は同社の元朝日新聞主筆の故・若宮啓文が、評論家から「朝日は安倍というといたずらに叩(たた)くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものなのか」と聞かれて「できません。社是だからです」と答えたことに立脚している。
 

昨年11月のトランプとの初会談で、安倍はこう切り出した。「実はあなたと私には共通点がある」。怪訝な顔をするトランプを横目に安倍は続けた。「あなたはニューヨーク・タイムズ(NYT)に徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った…」。これを聞いたトランプは右手の親指を突き立ててこう言った「俺も勝った!」と。意気投合した二人だが、トランプはCNNやNYTとの戦いが佳境に入っている。安倍も朝日との戦いは白熱化している。


こうした経緯の中で来週閉会中審査が開かれるが、繰り返すが朝日などは安倍が何を答弁しようと、自分の都合のよいようにしか報道しないだろう。すでに著しい先例がある。それは10日に開かれた閉会中審査における重要発言の無視だ。学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐって前愛媛県知事加戸守行は「ゆがめられた行政が正された」と文科省の過去の対応を批判した。しかしこの発言を、朝日と毎日は無視して報じなかった。まさに報道による印象操作である。
 

まだある、普段は一行も報じない時事通信の世論調査を15日付朝刊で「時事の調査で内閣支持率が29.9%になった」と報じた。しかし時事の調査は、各社の調査に比べて普段から全体的に低めの数字が出るのが特色であり、時には10ポイントくらい低いケースもある。時事の29.9%は報道各社の30%後半であるとみた方がよいのだ。朝日はそんなことは百も承知で、支持率が紛れもなく20%台に落ちたとの印象操作を展開したのだ。
 

朝日および毎日、TBS、テレビ朝日は冒頭挙げた秘密保護法、安保法制、テロ防止法成立への意趣返しに何が何でも内閣支持率を低下させて保守の牙城を崩壊させようとしているのだ。左翼がよく使う陰険なる手段による報復である。正面から攻めずに加計問題のような実態のない脇筋の些細な問題から攻めるのだ。従って安倍は、“軟化”したからといって追及の手が緩むと考えたら甘い。
 

この場をしのぐには内閣改造も重要だが、秋以降通常国会に向けてチャンスを見て解散を断行することしかない。解散を断行した場合には改憲勢力で3分の2議席を維持出来るかどうかは極めて難しいとみなければなるまい。しかし、改憲より優先すべきは政権の継続であり、来年の暮れの解散では確実に三木政権と同様の追い込まれ解散となる。勝負の解散で政権を維持し、来年総裁3選を実現すれば2021年までの間に再度の解散で3分の2を獲得することも不可能ではないのだ。

          <今朝のニュース解説から抜粋>


◎俳談
【ニュースは詠まない】

◆恐ろしき昭和を見たり昼寝醒(ざめ)
 
俳句に時事詠(えい)というジャンルがある。そのときのニュースを詠むのだが、ほとんど成功しないのはなぜか。それは地名を読み込むのと同じでニュースの印象が強すぎて、詩情を壊すからだ。加えて俳句は永遠なる感情を詠むものであり、一過性の感情を詠まない。
 
これと異なり短歌は時事詠を大切にする、俳句より長いから他の言葉で詩情を述べることが可能だからだ。従って俳句で「津波」「福島」はまず成功しない。しかしさすがにプロの句はいい物がある。

◆いくさにもつなみにも生き夕端居(ゆうはしい)  小原啄葉
成功したのは「つなみ」ではなく夕涼みをしている老人を詠んだからだ。

◆命あるものは沈みて冬の水  片山由美子
いつまでも変わらない万古不易を詠んで津波を思わせるからだ。
 掲句「恐ろしき」は時事詠で、戦争、原爆という昭和の有様をよんだ。朝日俳壇1席だ。

    <俳談>       (政治評論家) 
 

2017年07月14日

◆自民に「大型倒閣議連」は出来まい

杉浦 正章 



石破は孤立気味となった


改造後の支持率上昇が重要


大統領ドナルド・トランプの長男であるドナルド・トランプJrがTwitterでCNNのロゴを貼り付けたロシアのジェット機をトランプが攻撃する動画を公開している。トランプは「お前はクビだ!」という決めゼリフを吐き、ミサイルを発射、撃墜している。さしずめ首相・安倍晋三がやるとしたらマスコミは1社にとどまらないから、敵が多すぎる。自民党内なら主敵は石破1人だから簡単に撃墜できる。


冗談はともかくとして、各派領収の中で石破の“孤立”が著しい。なぜ孤立しているかと言えば、このところ朝から晩まで口を開けば安倍批判を繰り返す“特異”な存在となっているからだ。メディアは何とかして「安倍降ろし」政局を実現したいからやんやの喝采を送るが、党内的には“浮いて”しまっているのだ。
 

昔の長期政権でも浮いた人がいた。佐藤政権時代の外相三木武夫だ。佐藤は政権当初は三木への禅譲を示唆していたが、その後次第に福田赳夫と田中角栄を競わす形で“育成”をはかりだした。そして総裁選で佐藤が3選に出馬することが分かると、やっと禅譲はないことを知った三木は「男は1度勝負する」と外相を辞任して出馬した。佐藤はなんと国会で「三木君を外相に起用したことだけは不明のいたりであった」と答弁。総裁選は佐藤が圧勝して三木は以後干された。しかし結果的には首相になれたのだから、三木は「いい勝負」をしたことになる。
 

安倍は紳士だから石破に対して「閣僚に起用して不明のいたり」 などとは言わないが、不愉快であることは間違いあるまい。石破は三木のように「いい勝負」をしたいに違いない。13日も「負けに不思議の負けなしだ。都議選の結果をどう考えるかという機会を党全体として持たないと記憶は薄れる」と発言した。明らかに安倍の責任を問おうという構えだ。しかし、党内は「第一義的には小池にやられた」 (党幹部)という見方が支配的であり、副次的に安倍側近らの責任に言及する程度だ。それも公言する者は少ない。
 

こうした中で麻生の読みは早かった。都議選開票日の2日夜安倍と、菅義偉、甘利明との会合で明らかに安倍支持と受け取れる姿勢を示し、その後も「安倍政権をど真ん中で支えてゆく点で一点の乱れもない」と言い切った。一方外相・岸田文男も13日の同派会合で「数字や批判に一つ一つ振り回されるのは情けない限りだ。安倍政権をしっかり支え、与党の責任を果たす」 と言明して、安倍支持を鮮明にした。岸田は「安倍支持」を二度にわたって繰り返している。明らかに現段階での安倍退陣は無理と判断、“禅定路線”の追求となった。


自民党幹事長・二階俊博に至っては都議選前の2月の段階から「支障がない限り3選支持は間違いのないわれわれの方針だ。国際的に見ても首相が進めている外交は今のところどれ一つ取ってみても非の打ち所がない」と延べ、いち早く支持している。都議選敗北後に発言しないのは敗北の責任が自らにあるからにほかならない。
 

こうしてこれまでに合計して250人に近い派閥の領袖が支持を表明するに至っている。そもそも政権を引きずり下ろそうとした場合、自民党内には議員連盟が出来て、これが核となって反政権の戦いを展開するケースが多い。「三木おろし」の挙党体制確立協議会(挙党協)が有名だし、「宮沢降ろし」も「政治改革議員連盟」が出来て、内閣不信任案の可決へと導いた。


石破が吠えまくっても、不満分子は集まって気勢を上げる可能性はないではないが、大きな倒閣議員連盟が出来るような動きには発展しそうもない。むしろ党内は内閣改造へと焦点が移りつつあるように見える。党内には「石場さんは来年の総裁選に立候補しても20人の推薦人が集まるのか」という声すら聞こえる。テレビばかり見ているとまるで石破が党内をリードしているかのように見えるが、実情とは天地の差がある。
 

こうした党内の空気を読み取ってか安倍は13日、野党が求めている衆院予算委員会の閉会中審査に月内に出席する意向を固め、国対委員長竹下亘に伝えた。竹下は当初から審査を拒否する方針であったが、安倍の意向を尊重した。安倍は自信がなければ出来ない対応である。安倍はこれまで加計学園の今治市誘致に関連して「もし私が働き掛けて決めたならば責任を取る」と究極の発言をしており、野党の質問を突っぱねるものとみられる。その上で8月初旬に改造に踏み切るものと予想される。今回の改造ほど長期政権を維持出来るかどうかのカギを握るケースは珍しい。


まず改造で支持率が上がるかどうかがポイントだ。これまで安倍は14年、15年、16年の改造で下降気味の支持率を上昇させてきた。今回の支持率下落は側近の疑惑やヒステリー女が足を引っ張ったケースであり、安倍本人を直撃するものではない。いわば指導責任が問われているだけであり、改造に成功すればおそらく読売と産経の支持率は上昇するだろう。


しかし、朝日、毎日、TBS、テレビ朝日がすぐに上がるかどうかは微妙だ。もともと世論調査などはいい加減なところがある。編集方針によって恣意的に動くのだ。調査員の言葉遣いや聞き方の順序で回答者の反応が異なるからだ。これらの反安倍メディア対策も長期政権維持には欠かせない。安倍は3日に毎日とのインタビューに応じているが、あの手この手でメディアの敵を少なくしてゆくことも重要だ。

           <今朝のニュース解説から抜粋>


◎俳談

【稲妻は楽しむべきもの】

◆豊作や山野豊かに稲光     NHK俳壇入選
 
稲光はの傍題。稲妻は稻の夫(つま)の意味で、稻が雷光と交わって実るとの言い伝えから生まれた。掲句はそれを意識して作った。まず豊作と置いて実りの秋を強調し、続く中、下の句で稲光が山野にいっぱい生じている様を詠んだ。気をつけねばならないのは雷(かみなり)は夏の季語で、稲妻とは全く性格を異にするということである。稲妻は鑑賞の対象になる。現に、「稲妻観賞会」をする粋人を知っている。

秋になって海と空が雷雲に覆われ、真っ暗になった頃。冷たい缶ビールと枝豆なんぞを用意し、部屋の灯りを消し、準備万端で待機するのだ。今日の稲妻は60点などと点をつける。ワシントンにいたころ、マンションの高層の部屋から、バージニアの大平原に走った集中爆撃のような稲妻の光景は忘れられぬ。一方雷の方は、慌ただしくてそのゆとりはない。

中村汀女も稲妻を楽しんでいたのであろう。
◆稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ 中村汀女
がある。橋本多佳子の句は名句中の名句だ。

◆いなびかり北よりすれば北を見る 橋本多佳子
ごく当たり前のことを言いながら稲光の本旨を貫いている。

              <俳談>   (政治評論家)
 

2017年07月11日

◆前川証言は「引かれ者の小唄」だ

杉浦 正章
 


独善的虚構の「ゆがみ」発言に終始
 

与党は極東情勢で閉会中審査を
 

前文部次官前川喜平の言うように「行政をゆがめた」のか、地方創生相山本幸三がいう「一点の曇りもなくゆがめていない」のか。衆参両院の閉会中審査をつぶさに聞いたが、両者の主張は平行線をたどった。いったん「ある」と主張したものを「ない」と否定することは“悪魔の証明”に似て極めて困難だが、第三者の証言があれば概ね証明できる。


今回の場合前愛媛県知事と国家戦略特区諮問会議の議員による「ない」の主張が、完璧であり、前川の主張は「引かれ者の小唄」の感を否めないものであった。その主張は憶測と推測が多く、反安倍指向の強い一部新聞や民放など大向こううけを狙う魂胆が見え見えであり、買春疑惑とも相まって次官たる者の人格を疑う様な発言に終始した。
 

最大の問題点は、前川が次官在職中に加計学院による今治市への獣医学部新設の動きに待ったをかけないで、今になってマスコミ受けをよいことに「決着のプロセスが不透明」などと“反安倍”とみられる発言を繰り替えしていることだ。前川発言は都議選結果にも大きく作用して、国政に重大な影響をもたらしている。衆院でも前川は「なぜ次官時代に発言しなかったか」を質されて「内心じくじたる思いがあるし、反省をしている」と答弁した。


しかし事は今更反省して済むような話ではない。次官時代に疑問点があるなら堂々と首相に訴えるのが、その職務であったはずだ。前川は続けて「国民が知らなければ行政のゆがみを是正することが出来ないという考えから発言するようになった」と述べたが、前川の言う「国民」とは誰か。朝日、毎日やTBSやテレビ朝日のことか。勝手に国民という言葉を使われても心ある国民は憤懣やるかたないのであろう。
 

なぜかといえば前川の言う「行政のゆがみ」はあまりにも独善的であるからだ。むしろ行政のゆがみは文科省が半世紀にわたって獣医学部の新設を認めず、獣医の独占を許し、「獣医ぼろもうけ」の実態を放置したことにあるのではないか。「岩盤」を死守しようとしたことの方が「ゆがみ」でなくてなんだろうか。その岩盤にドリルで穴を開けようとした安倍政権の改革に、次官在職中に待ったをかけずに、今になって一部の反政府マスコミにこびるがごとく発言を続ける前川は人間性が疑がわれても仕方があるまい。


 「ゆがみ」発言に対して前愛媛県知事加戸守行が82歳の老体にむち打つように参院で証言に立ち「10年間にわたり誘致を働きかけたが、熱い岩盤規制で跳ね返され、やっと国家戦略特区の枠で認められた。長年ゆがめられた行政がただされたと言うのが正しい」と発言した。まさにその通りである。また国家戦略特区諮問会議のワーキンググループの委員を務める原英史は「『加計学園』ありきなどという指摘は全くの虚構であることは、議事録を見ればすぐにわかることだ。


根本的な問題は、獣医学部の新設禁止という規制が正しいかであり、従来のゆがみをただすための取り組みを進めたものだ」と証言した。前川は公開されている諮問会議の議事録を読んだことがあるのか。ないのだろう。あれば独善発言を繰り返せなくなるはずだ。
 

さらに前川は文科省のあきれんばかりの天下り人事の責任をとらされて次官を退任した経緯についても未練たらたらの発言を繰り返した。参院で官房長官・菅義偉は「昨年11月に杉田官房副長官の求めに応じて説明に来たときに進退についての意向を示さなかった。」と、あれだけの天下り問題が指摘されても、責任を取る姿勢がなかったことを明らかにした。

さらに菅は「1月に文科省の事務局から定年延長の打診があり、杉田副長官は『難しい』と回答した」ことを明らかにした。これに対して前川は「1月4日には引責辞任を決意していた」と弁明したが、決意していたのなら一刻も早く辞任すべきであったのではないか。菅は記者会見で「辞めた経緯についてあのような誤った説明をしたのは理解に苦しむ」と発言したが、まさに“虚構ねつ造パーソナリティー”前川の度しがたい対応が露呈した一幕であった。
 

こうして閉会中審査は前川の特異な性格だけを浮き彫りにさせて終わったが、朝日は11日付朝刊でも「加計ありき疑念消えず」と、大見出しで前川・野党寄りの紙面を展開している。しかし、朝日が「疑念消えず」と、洞察力のなさを露呈するのは勝手だが、審査はこれ以上継続しても、不毛の論議を繰り返し、政権をおとしめる作用を増幅させるだけだ。安倍が出席しても全く変わらない。従って加計問題などでの閉会中審査は、これ以上は不要だ。


民新、共産両党など野党もマスコミ受けを狙って空鉄砲を撃つことはいいかげんにしたほうがよい。自民党は逆に極東情勢に関する閉会中審査を要求すべきではないか。極東情勢に目を向ければ、狂ったような指導者がICBMと称するミサイル実験を断行し、核実験も行おうとしている。野党は閉会中に衆参で議員を集めながら、国民の生命を如何にして守るかの議論は素通りしていいのか。
         <今朝のニュース解説から抜粋>

◎俳談

【夏の遊び】

◆蒙古斑狙ひて撃ちし水鉄砲  産経俳壇入選
蒙古斑はモンゴロイドのあかし。日本人は99%にある。庭先できゃっきゃっと逃げる子に水鉄砲。しまいにはホースでかけたりたりして。

これが
◆兄妹のあれが別れか水遊び  朝日俳談入選
となると、突然物語性が開ける。俳句はその空想と解釈を読者に委ねる部分が大きい。
 
        <俳談>     (政治評論家)

2017年07月10日

◆得点挙げた「安倍鳥瞰図」外交

杉浦 正章
 


EUとのEPAでG20をリード
 

「北ミサイル」で習近平をけん制
 

なみいる各国首脳の中でもその活躍ぶりが目立ったのは掛け値なしで首相・安倍晋三だろう。大局観に根ざした鳥瞰図外交を展開、国益を大きくプラスに導いた。まず第一に日本と欧州連合(EU)の間で、簡単に言えば「チーズと車の交換」とも言える経済連携協定(EPA)締結で大筋合意を達成。その勢いを駆ってG20の大勢を自由貿易推進・保護貿易排除でまとめ上げた。2日間の討議の成果をまとめた首脳宣言は「あらゆる不公正な貿易慣行を含む保護主義との闘いを続ける」と明記された。 さらに安倍は「北朝鮮の暴挙」をG20はもちろん2国間交渉でも取り上げ、世界世論の大勢を北批判に誘導した。


この結果日米韓首脳会談では経済制裁強化で一致。中国の習近平の心胆を寒からしめたが、同時に一路一帯への協力姿勢も示して習を“くすぐり”、関係悪化を最小限にとどめた。国際舞台におけるこうした積極外交は、これまでの歴代首相が成し遂げ得なかったことであろう。カケだモリだと葦の髄から天井を覗いて、首相の足を引っ張る民放コメンテーターの「輩」も、そろそろ国益に目覚める時刻ではないか。それを言っても馬の耳に念仏か。馬耳東風か。安倍はコメンテーター原因の支持率低下など気にする必要はない。
 

フランスの公共放送フランスドゥは、EUと日本のEPA成立を手放しで賞賛した。これを伝えるアナウンサーは最初から最後まで笑顔を絶やさなかった。まるで英国の離脱でつまずいたEUが、福の神に出会ったような報道ぶりであった。まず「ヨーロッパの経済を活性化させる世界最大の自由貿易圏が誕生した」 で始まり、「G20開催の直前に発表されたことは象徴的だ。EUはトランプが手放した日本市場を獲得出来ることになった。これがアメリカの保護主義への返事だ」 とトランプの保護主義を切って捨てた。EU委員長のジャン=クロード・ユンケルも「合意のインパクトは世界に広がる」と言明、トランプが阻止に動いた自由貿易の波が広がることを予言した。
 

一方アメリカでとかく政権擁護に動くウオールストリートジャーナル紙は、社説で取り上げたが、日本批判の言葉は一切なく、トランプの無策ぶりを戒めるトーンで貫かれていた。同紙は大筋合意を「トランプへのメッセージが込められている」と前置きして「米国の農家や輸出業者は日本への販売増加を享受できたはずなのだが、そのチャンスは欧州に与えられた」と残念がった。そして「米国が取り残されるリスクがある」と警鐘を鳴らした。


こうした同紙の姿勢は、多くの米国民にトランプの貿易政策の失敗を印象づけるものであり、政権にとってはボディブローとして利いてくるだろう。今後環太平洋経済連携協定(TPP)を米国をのぞく11か国で推進すれば、やがては「父帰る」につながるような気がする。
 

一方北のICBMらしきミサイル発射に関連して安倍はチャンスとばかりにG20の場を活用した。もちろん習近平へのけん制を込めての言動だ。焦点の日米韓3か国首脳会議で安倍は「北朝鮮に真剣に対話する意思などないことを示すものだ。今は圧力をかけていくことが必要不可欠だ」「北の態度を変えるためにも経済制裁をさらに強める必要がある」 と主張して、トランプもこれに完全同意。文在寅も渋々ながら同調して3国首脳の見解としてまとまった。


文はこれに先立つベルリンでの演説で「今が北が正しい選択の出来る最良の時期」として北との対話を改めて呼びかけているが、この姿勢ばかりは度しがたい。どちらかと言えば日米よりも中国やロシアに近い考え方であり、浅薄なる対北認識が3国の結束を乱す可能性は十分あるとみておかなければなるまい。中露と韓国の融和姿勢は金正恩を一層増長させるだけだ。
 

一方習近平は北に関してはいよいよ開き直りとも受け取れる“本音”をちらつかせた。トランプが「何らかの行動を取らなければならない」 と促したのに対して習は「中国は対話と協議に基づく問題の解決を主張している。国際社会は対話を促進し、危機管理を強める努力が必要だ」とこれまでになく姿勢を鮮明にさせた。それもそうだろう。中国は北との貿易交流を抑制するどころか推進している。石炭の1年間輸入禁止表明の陰で対北貿易は拡大の一途をたどっている。


北の対中貿易は1-3月期でなんと37.4%も増加しており、北は好景気の状態となってきているのだ。この中国の国際社会を欺く姿勢は国連などでも糾弾されるべきだが、習の姿勢は変わらないだろう。変わらないどころか、北の核武装によって米国を極東から追い出し、日本が中国にひれ伏すまで止めないという長期戦略に主眼を置きつつあると見るべきであろう。
 

日韓両国が北の核どう喝の人質となっている現状下においては、トランプは振り上げたこぶしの落としどころがないのが実情だ。トランプが、下手な軍事行動を取れば、日韓に核爆弾が落ち、米国が報復して北を消滅させても手遅れという構図だ。しかし軍事的な“締め付け”は不可能ではない。その一つが ジョージ・W・ブッシュ政権が提案した「拡散に対する安全保障構想」を復活させる事である。同構想とはいわゆる海上封鎖を伴った行動で、基本原則は、大量破壊兵器および弾道ミサイルの拡散を阻止するために、各国が連携し、関連物質の移送や関連技術の移転を防ぐ。各国の連携方法として、国際法・国内法の枠内で軍・警察・沿岸警備隊などによる阻止行動を断行して封鎖するのだ。


さらに北の打ち上げるICBMを米軍が撃墜する事なども含まれる。こうしたいわば寸止めの軍事行動で圧力をかけてゆくことしか残された解決策はないかも知れない。折から読売と朝日の世論調査で内閣支持率が30%台に落ち込んだが、NHKの調査によると長期政権では佐藤内閣が一時は20%台に落ちたがおおむね40%代前後で推移、中曽根政権も当初は30%台だったが40%台で推移していた。40〜50%で推移したのは小泉政権だけだ。うろたえることではない。これは都議選現象が継続したものだろう。大水害で安倍外交がかすんでしまったこともある。早期改造と外交・安保、経済政策で対処すればよい。

     <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)


◎俳談

【笑点見るにも俳句モード】

◆蜆汁目玉映して啜るかな  毎日俳談3席

落語に貧乏所帯で汁に具がなく、映った目玉をシジミと間違って食べる話があった。句意は異なるが、この落語を早朝のNHKで聞いて作った。実際にお椀に水を入れて目玉を映してみたら、光りの加減では映った。おそらく選者も目玉を映してみたに違いない。落語を聞くにも俳句モード。笑点見るにも俳句モード。シジミは春の季語。

       <俳談>     (政治評論家)



2017年07月05日

◆小池はオリンピック棚上げの“政局狂い”か

杉浦 正章
  


国政進出を狙って尽きぬ“野望”
  

流動性帯びる解散時期
 

「都民ファーストならぬ国民ファーストということをベースに考えてゆく必要がある」。この発言から見る限り国政進出を目指すとしか考えられない。一体“野望の女”小池百合子の戦略はどこまで広がるのだろうか。いまや国民的事業であるはずのオリンピック準備など「知ったこっちゃない」と言わんばかりの“政局狂い”だ。


待ってましたとばかりに自民党を離党した小池側近の衆議院議員若狭勝が「新党を作るのならば多分今年、作らなければ来年も再来年もそのまま作らないで終わる」と民放に言い放っている。
 

若狭が言いたいのは国会議員5人をを年内に確保しない限り、政党として認められない。簡単に言えば政党交付金をもらえないのだ。しかし、5人程度はわけもないことだと筆者は思う。今の勢いから見る限り、昔田中角栄が言った「池を飛び出る鯉」は、民進党を中心に5匹を大きく上回るだろう。


すでに都議選では民進党を除籍された衆院議員長島昭久、日本維新の会を除名された参院議員渡辺喜美、無所属の参院議員松沢成文らが都民ファースト候補を応援している。いずれも二選級マイナークラスだが、実現すれば都民ファーストの国政進出が実現することになり、政界流動化の「核」 になり得るとみなければなるまい。


都議選でも民進党から公認候補16人が都民ファーストに逃げ込んだ。蓮舫率いる民進党はまさに難破船のごとき様相であり、難破船からはネズミが最初に逃げ出すといわれている。船長を交代させなければならないときなのに、蓮舫は続投宣言をしてはばからない。自民党にとっては誠にありがたいことであろう。
 

しかし、小池が「オリンピック知ったこっちゃない」というなりふり構わずの国政進出の動きに出た場合、国民の批判の対象は小池に焦点が絞られる公算が大きい。ただでさえ都庁内部には「あんまり都政に身が入っておられない」と幹部が慨嘆する空気が生じている。オリンピックは国民が期待する最大の行事であり、この準備をおろそかにして、自らの野望達成に狂奔すれば、自民党にとっても最大の攻撃対象になり得る。都民ファーストごときは地方では理解されにくい。
 

自民党内も問題山積だ。まず最大の失敗は政府・与党幹部が都議選でメディアと大げんかしてしまい、「ワイドショーによる敗北」を喫したことだ。幹事長二階俊博に至っては先頭に立って「新聞をお金を出して買っている。そのことを忘れては駄目だ。落とすなら落としてみろ。マスコミが左右すると思ったら大間違いだ」と抜き差しならぬ発言をした。結果はマスコミに左右されてしまった。


副総理麻生太郎までが「マスコミは言っているだけで責任は何もとらない」と批判。こうした発言に「しめたと」ばかりに朝日、毎日が批判記事を書けば、これを請け売りして朝から晩までコメンテーターがしゃべりまくる。TBSやテレビ朝日の民放ワイドショーはいまや選挙の最大の判断材料と化してしまった。
 

しかし、ヤクザとまともにけんかする人はいない。けんかすれば刺されることを知っているからだ。全く同じで二階がマスコミ批判をすれば、半可通コメンテーターどもに連日、倍返し三倍返しのコメント材料を提供してしまっているのだ。暇に任せてテレビを見る判断力が失せた高齢者は、コメンテーターごときの主張で、選挙を判断してしまうのだ。自民党はけんかの仕方を全く知らない。


こういった連中に対抗するには、放送の中立性逸脱を理由に民放の放送免許を取り消す動きに出るとか、報道番組やコメンテータ個人に対して訴訟を起して法的判断に委ねるのが一番だ。批判してもその批判を好材料にあることないことしゃべりまくって1回5万円の報酬を受け取る連中には法的な対応をして司法の判断に委ねるべきなのだ。訴訟をすれば国民もどっちが正しいかの判断材料になるが、二階や麻生流の対応は、国民の誤解をマイナスの側に増幅させるだけでリーダーに全くふさわしくない。すくなくとも改造で二階は代えなければ総選挙が持たない。
 

したり顔のコメンテーターどもは、過去の例を得々としてあげつらい、今回の事例に何が何でも結びつけようとする。その最たるものが1993年と2009年の政変劇だ。93年は都議選で日本新党が2議席から20議席に増やしたのをきっかけに総選挙で宮沢喜一が大敗、非自民連立政権を許した例だ。09年は都議選で38議席に減らし民主党に第一党の座を譲った麻生が事実上の任期満了選挙に追い込まれて大敗、民主党に政権を奪取された。


しかしその結果と言えば細川護熙は顔だけが殿様顔で立派だが中身が伴わないことが分かってわずか9か月で退陣。民主党政権もルーピー鳩山以下無能な首相が3回政権を担当して、そのばかさ加減にあきれて、国民に絶対に2度と政権を取らせないという“決意”をさせてしまった。「衆愚の選択」が日本の政治に教訓をもたらしたのだ。宮沢も麻生も支持率10%台で、もともと断末魔であった。それぞれ曲がりなりにも受け皿があった。
 

安倍はこの「衆愚の選択」を2度と惹起させてはならない。したがって総じて40%台を確保している支持率と、自民党の37〜38%という超高支持率を背景に自信を持った政権運営を展開し、既に規制事実のようになている来年秋の解散・総選挙などにこだわらないことが肝心だ。


来年秋だと、今の情勢から見れば必ず麻生の例と同じで追い込まれ解散になりやすい。小池が態勢を整えるのを待つ必要はない。小池新党の動きも察知しつつ、今秋以降果断に解散の機会を狙うべきだ。憲法改正は重要なテーマだが、それより優先するのは解散判断となって来た。


また自民党の石破茂など反安倍勢力は、北朝鮮がまたまたミサイルを排他的経済水域に撃ち込んでいる状況下で、小池旋風に踊らされているときかと言いたい。

          <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)

◎俳談

【一点凝視】

◆指確と曲げてシンクロスイミング      東京俳壇2席
 
俳句は一点凝視だ。あれもこれも詠もうとすると、読者の視点が分裂してしまう。シンクロスイミングの水中から突きだした足の指先に着目した。皆しっかりと曲がっている。不安なのは読者が分かるかどうかだが、やはり衆目が注目するところは一致しているものなのだ。

                     (上記 政治評論家)

2017年07月03日

◆佐藤政権は都議・知事選敗北でも最長

杉浦 正章
 


地方選の政局影響は限定的
 

早期改造が長期政権への正念場


 宰相たるものこれでなければならない。1964年から72年まで2798日続いた佐藤政権は歴代第一の長期政権だが、都議会選挙でも破れ都知事選でも敗れている。そのときの佐藤栄作日記を取り出して読んだが面白い。どうしても都議選と政局を結びつけたい近頃の政治記者はおみおつけで顔を洗って読んではどうか。まず65年の都議会選は議長選挙に絡む汚職事件が明るみに出て都議会野党の社会党が第1党に躍進した。これに対し、都知事与党の自民党は過半数61議席を大きく下回り、定数の3分の1を割り込んで第2党に転落した。


しかし、翌日7月24日の佐藤日記では「わずかに38で第二党に、社(社会党)は45で第一党。残念だが仕方がない。再建を図るのみだ。ゴルフに出かける。これも芳しくない」とある。都議選結果など歯牙にもかけていないでゴルフに出かけている。ただし安倍はこれを真似してゴルフをしてはいけない。昔と変わって悪意を持った新聞、民放が幅を利かせており、叩かれる。
 

もっともさすがに佐藤も知事選はちょっとこたえたようだ。1967年佐藤は内務官僚出身の鈴木俊一を推し、共産・社会両党は共産党系の美濃部亮吉を推す選挙だった。6月17日の日記には佐藤は「朝刊は美濃部勝利を大見出しで取り扱う。一寸不愉快なり。幹事長は九時過ぎにやってくる。見るも無惨。ほんとに気の毒。小生以上に気落ちした様だ。然し『勝敗は戦いの常』、悲観することもよろこぶこともない。要は如何に戦ったか、次の戦を如何にすべきかのみ」 とある。


傑作なのは幹事長福田赳夫を「気の毒」とまるで他人事のような書きっぷりであることだ。確かに国政選挙と違って地方選挙などの第一の責任は幹事長にあるという認識なのであろう。佐藤の強みは「勝敗は戦いの常」と達観し、「次の戦を如何にすべきかのみ」と割り切っていることであろう。常に前向きなのだ。これが長期政権のコツだ。
 

うれしそうに朝日が「首相の求心力低下」とか「安倍一強に大打撃」と見出しを躍らせているが、たかが地方選挙で、この見出しは意図的であり、希望的な観測だ。社是の公正中立な報道などかなぐり捨てている。確かに自民党は過去最低の38議席を下回る23議席と歴史的な大敗を喫したが、安倍はトラウマを引きずらないことが重要だ。


長期政権への正念場と解して、まず最初の反転攻勢は早期に内閣改造を断行、「心的外傷」を取り除くことだ。NHKの調査で安倍内閣の支持率は48%で堅調であり、自民党支持率も36.4%と高止まりしている。これは共産党系候補やお笑いタレントを知事に選ぶ東京都民の「伝統的な特殊性行」というか「民度の低さ」が地方に伝染していない証拠であろう。まず人事では幹事長を交代させることだ。


このテンポの速い時代にブツブツと説得力のない発言を続ける二階俊博はどうもテンポが合わないし、訴求力がない。票を稼ぐタイプではない。この調子では衆院選でも負ける。むしろ二階は自ら都議選大敗の責任をとって進退伺いを出すべきだろう。加えて“側近”を重用しないことだ。


今回の選挙で一番安倍の足を引っ張ったのは「加計疑惑」がとりざたされた防衛相稲田朋美と、こともあろうに東京都連会長の下村博文。そして萩生田光一ら側近であり、下村は「責任を取って都連の会長を辞任したい」と発言しているが当然だろう。また陣笠だが豊田真由子のヒステリー的な暴言、暴行も大きなマイナスだった。今度の改造ばかりは閣僚や党役員経験者で「疑惑」が生じていない人物を登用した「重厚実務型」内閣とする必要がある。今回ほど求心力確保が求められるケースは無い。従って派閥順送りで聞いたこともない陣笠を登用して、スキャンダルが発覚、またまた閣僚辞任を引き起こしてはならない。
 

選挙結果を見れば地域政党「都民ファーストの会」が49議席を獲得し圧勝、第1党に躍進したことが全てに波及した。小池が生んだ「都民ファ」は、小池の人気低下と共に消滅するだろうが、それまで都議会自民党は艱難辛苦の時代に入った。捲土重来を期するしかない。加えて自民党が23議席と過去最低となったのは、朝日、毎日、TBS、テレビ朝日の「4大政敵」に攻撃の口実を与えてしまったことが最大の原因だ。高年齢層が大きく都民ファーストに傾いたのは、暇に任せてワイドショーをみれば、朝から晩まで加計疑惑と反安倍の報道に徹しており、選挙妨害もいいところであった。これに爺さん婆さんも“洗脳”されたのだろう。保守的であった高齢者層も判断力を低級コメンテーターの発言に委ねてしまったのだ。
 

哀れをとどめたのは民進党だ。蓮舫は「演説を重ねるたびに立ち止まってくれる人が増えた」と述べていたが、立ち止まった人は首を傾げていたのではないか。あれだけ安倍批判を展開したのに効き目は全くなく7議席から5議席に減少した。逆に共闘した共産党は17議席から19議席に増えた。これは国政選挙でも共闘は共産党を利するだけであることを物語る。蓮舫のリーダーシップの欠如は大問題だが、自民党への打撃が大きすぎて、責任問題がかすむ可能性がある。留任してくれた方が自民党にとっては総選挙に向けてありがたい。


公明党は、素早く小池人気に乗り換えて1議席増やした。“巾着切り”のような対応で、自民党を裏切った。いかに信用出来ない政党かが白日の下にさらされたが、自民党は国政選挙での共闘は嫌でも推進しなければなるまい。そのうちに裏切り政党は“仏罰”が下るから見ていればよい。
 

自民党内は反安倍色を強めている元幹事長・石破茂らが手放しで喜んでいる。「負けたことを総括しないと次も負ける」だそうだが、だからといって人望のない石破に議員らがなびくかと言えばとてもその状況にはない。もう1人端倪すべからざるのが小池百合子。国政への進出を否定しているが、これは勝ちすぎの反動が恐ろしいからではないか。ほとぼりが冷めて機が熟したとみれば国政進出も考えないとは言えまい。身の程を知っていたら政治家にはなるまい。


もっとも都議会の小池チルドレンの愚論愚行がやり玉に挙がるのはそう遠いことでもあるまい。とても国政へとつなげられる立派な集団とはほど遠く、いずれは馬脚が現れる。

<今朝のニュース解説から抜粋>     (政治評論家) 


俳談

【季語を響かせる】
◆反戦で神田の生まれ唐辛子      産経俳壇1席

 
俳句のすべては季語にある。他の言葉はこの「季語様」のためにあるのだと言っても過言ではない。その季語が響けば俳句は成功する。唐辛子は激しい辛味の香辛料で秋の季語だ。猛禽類の鷹の爪の形をしているから「鷹の爪」も同様に季語である。上五中七の「反戦で神田の生まれ」というぴちぴちした生きの良い頑固爺さんが、唐辛子とぴったり合う。広沢

            <俳談>       (政治評論家)