2017年06月15日

◆トランプ対マスコミの対立は長丁場に

杉浦 正章



FBIとCIAを敵に回して低空飛行
 

一時は特別検察官解任へと動く
 

CNNから初閣議を「まるで北朝鮮の閣議だ」と酷評されては、トランプも形無しだ。どうもトランプの打つ手は田舎芝居じみており、稚拙だ。その原因を探れば、政権が素人集団だからだろう。ワシントンで昔から言われている政権維持の要諦は3つある。「連邦捜査局(FBI)を敵に回すな」「敵になりそうなものは抱え込め」「ばれるような隠ぺいはするな」である。1つでも守らないと政権は危機に瀕するといわれ、歴代政権が重視してきたポイントだが、トランプは3つとも破っている。まさにハチャメチャ大統領による五里霧中の低空飛行だ。
 

政権発足以来5か月たってやっと23人の閣僚がそろって12日に開いた閣議がなぜ「北朝鮮の閣議」かといえば、見え透いたお追従強要閣議であったからだ。冒頭20分間をテレビに公開したが、まずトランプが「我々は驚異的なチームで、才気にあふれている」と自画自賛。次いで閣僚に発言を求めたが、根回し済みとみえて、ごますり発言が相次いだ。史上初のゴマすり閣議だ。メディアが「賞賛の嵐」と形容したほどだ。CNNが「賞賛度第1位」に挙げたのが副大統領ペンス。


何と言ったかというと「大統領を支持するという国民への約束を守る。大統領に奉仕できるのは人生最高の特権です」と大ゴマをすった。そして次から次へと歯の浮くようなお追従を閣僚が繰り返した。まさに世界最強の民主主義国の閣僚が、皇帝トランプにひれ伏すの図であった。
 

司法長官セッションズの議会証言もトランプの意向が強く働いたものであった。もともとセッションズとトランプは不仲と言われており、一時は辞任説も流れた。ところが14日の議会証言では打って変わった“忠節”ぶりを示した。どのような忠節ぶりかと言えば、トランプが窮地に落ちいったロシアゲートの全面否定である。ロシアとの共謀を強く否定し、そのような主張は「おぞましく忌まわしい嘘」だと述べたのだ。
 

さらにトランプは身内を使ってすぐにばれるような芝居を続けた。親しい友人であるクリストファー・ラディに「大統領は特別検察官の解任を検討している」と発言させたのだ。ニューヨーク・タイムズは13日、トランプが実際にモラー解任に動き、夫人メラニアが止めたと報じている。先月特別検察官に任命されたモラーはワシントンで与野党を問わず信頼を集めている人物だ。ニクソン政権のウォーターゲート事件やエネルギー大手エンロンの粉飾決算事件を扱った経験者らを集め、強力なチームを編成してロシアゲートの捜査任務に着手している。ラディ発言には反発が大きく、ロシア介入疑惑を調べている下院情報特別委員会の民主党メンバーのトップ、シフ議員はツイッターで、「大統領がモラー氏を解任した場合は議会が直ちに独立検察官を設置し、そのポストにモラー氏を任命することになる」と述べたほどだ。慌てて報道官スパイサーに否定させたが、トランプはマッチポンプでモラーとFBIをけん制したつもりなのであろう。
 

こうしてトランプは身内を固めようとしているが、最大の問題は敵に回してはいけないFBIを敵に回していることだ。前長官のコミーは8日の証言で「トランプからロシアゲートの捜査中止を求められた」と述べると共に、トランプとの会談のメモを明らかにした。捜査中止命令は大統領による司法妨害であり、ウオーターゲート事件の核心でもあったほどだ。
 

FBIだけではない中央情報局(CIA)まで敵に回した。前長官ブレナンは23日に議会で「ロシアが昨年の大統領選挙にあからさまに介入し、非常に強引に米国の選挙に入ってきた」とロシアゲートの実態を明らかにしている。議会証言はFBIとCIAの前長官が疑惑の存在を明らかにして、“忠犬”に戻ったような司法長官セッションズだけが否定するという構図である。誰が見ても信用出来るのはFBIとCIAであって、司法長官ではあるまい。こうした捜査当局の資料を基に特別検察官が捜査するのだから、その結果は火を見るより明らかなものとなろう。
 

今後の展開としては@準レームダック化して来年の中間選挙までは続くA弾劾が早期に成立するB副大統領が大統領の執行不能を宣言するCいつかは不明だがモラーが政権直撃の捜査結果を公表してトランプが窮地に陥るーなどが考えられる。@についてはトランプの支持率が38.6、不支持率が56.0であることが物語るように、下院が中間選挙で民主党優位に逆転する可能性が高い。


従って過半数で弾劾を発議出来る可能性があるが、上院の3分の2の壁があり、共和党が弾劾に回らなければ困難だ。ニクソンの場合は民主・共和両党の合意で弾劾が可能となり、弾劾を待たずにニクソンは辞任している。そうした事態に発展するかどうかで決まる。従ってAの弾劾早期成立は困難だろう。Bの副大統領による解任も、トランプが精神的な異常を来すなどよほどのことがないと難しい。

アメリカ合衆国憲法修正第25条は副大統領が大統領の執行不能を宣言できるとしているが、まだ発動されたことはない。従ってトランプの低空飛行は継続するが、ホワイトハウスの記者団を中心とするマスコミとトランプの対立は衰えることなく長丁場化して継続する方向だ。


◆俳談(新規掲載中)

【老犬】

老犬の盲(め)しひゆくらし冬の山     産経俳壇入選

どうも飼っているホワイトテリアが目が見えなくなったり、耳が遠くなったりしているらしい。大声で怒鳴るように呼ばないと顔を上げない。しかし、めしをやる食器の音だけは聞き逃さない。ことりと音を立てただけですぐに起きてくる。食い意地だけは張っている。掲句は季語の冬の山と目が見えなくなりつつある老犬を響かせたものだが、一般の人には何で冬の山か分からないだろう。それはこのエッセイを読んでいる内に分かるようになる。俳句の要諦だ。
 

食事も亭主は粗食なのに、犬は牛刺しだ。牛刺しをやるようになってから、胆石の痛みも起きなくなったようだ。ドッグフードがいかに駄目かの証明となった。犬の牛刺しを食べたくなって、こっそり冷蔵庫を開けてつまむと、結構いける。ビールのつまみにいい。犬の食事を盗み食いするようになってはおしまいだが、今度女房の留守に盛大にやろう。犬めにはアジの頭しかやらない。

初嵐犬吠えカラス横っ飛び      東京俳壇入選

       <今朝のニュース解説から抜粋>        (政治評論家)

2017年06月14日

◆偏見と誤解に満ちた国連報告など不要だ

杉浦 正章



ケイは人権活動家に見事に操られている
 

大詰めを迎えたテロ等準備罪法案をめぐって、国際的な“陰謀”が展開されている。映画で活躍する女性工作員のごとく国連報告者らを意のままに操り、日本政府に打撃を与えるための工作を展開している女性がいるのだ。その手のひらで踊らされるがごとく、ジュネーブの国連人権理事会で特別報告者のデビッド・ケイがテロ法案の参院採決に合わせるかのように想像を絶するほどずさん極まりない左傾化調査結果を報告した。


国連報告者とは特定の国における人権状況について調査・監視・報告・勧告を行う専門家であるが、ケイは昨年4月の来日以来、英エセックス大人権センター・フェローと称する人権活動家藤田早苗の誘導のままに報告書を作成しているかのようである。読売も14日付けの社説で「日本の一部の偏った市民運動家らに依拠した見解」と位置づけている。藤田の“手腕”は“凄腕” という形容がぴったりであり、日本の女性としては希有な行動力を持っている。その講演は左翼関係者で満員になるほどの盛況だという。
 

そもそもケイの来日を画策したのは藤田と言われ、ジュネーブで暗躍して国連の組織を動かし、政府・与党をおとしめるのがその作戦の目的であるかのようである。まず藤田のネット発言をみれば「とうとう共謀罪法案が審議入りした。英訳して国連その他に提供した。専門家からは懸念の声が出ている」と、自らの国連機関への“貢献”を強調している。そして藤田は日本のメディアを取り巻く状況は悪化してきていると指摘し「権力監視という本来の役目を十分果たしているとはいえない」と分析している。


こうした立場からの“洗脳”をうけたのかケイは「日本政府が直接間接にメディアに対して圧力を掛けている」として、まず「政治的に公平であること」などと規定した放送法4条の見直しを23日までには報告書に記載する予定だ。これは電波停止を恐れる左傾化民放が主張してきていることであり、藤田らのレクを受けなければとても米国の学者ごときが知り得ない内情である。
 

ケイは日本の一部民放の偏向報道のひどさを知らないまま判断しているとしか思えない。民放の電波停止の可能性に関しては昨年2月には総務相高市早苗が「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」などと具体的な例をあげたうえで、「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と言及している。


またかつてテレビ朝日報道局長の椿貞良が「なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と他局に偏向報道を働きかけた事件があった。総務省は1998年のテレビ朝日への再免許の際に、政治的公平性に細心の注意を払うよう条件を付した例がある。しかし実際に停止命令が出された例はない。TBSやテレ朝はまたこうした動きが再発することを恐れており、ケイの報告書に書き込ませたいに違いない。
 

さらにケイの報告で偏見に満ちているのが慰安婦問題だ。中学校の教科書から慰安婦の記述がなくなったことを指摘して「政府の介入は市民の知る権利を損なわせる」と日本政府を批判した。これも朝日の慰安婦強制連行の大誤報と、社長以下が陳謝したという事実関係を知らぬまま、吹き込まれたことを未消化で報告しようとしているものだろう。加えて秘密保護法に関しても「表現の自由を犯す」として、見直しを勧告するのだという。
 

このように左翼人権活動家の“教育的指導”に踊らされてケイは、実情に疎いまま方向音痴の報告書を作成して、結果的に藤田らの反政府プロパガンダの一翼を担おうとしているわけだ。こうした藤田の動きを朝日は好意的に報道し続けており、構図としては野党ー朝日ー藤田ー左傾民放によるテロ法案阻止の連係プレーが実現していることになる。藤田の狙いは、戦後の教育で国連を理想的組織と印象づけられた国民の意識を最大限に活用して、ケイを利用して政府・与党を追い詰め、野党の力を拡大する事にある。
 

しかし、国連報告者などというと、特別に偉い存在であるかのように見えるが、その実は国連には80人もいて、権威などない。国連を代表した者ではさらさらない。事務総長アントニオ・グテーレスも首相・安倍晋三に「国連とは別に個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と説明している。そのような人物のレベルの低い、強制力などかけらもない報告書を大々的に報道する日本のマスコミも、いい加減に国際的な常識を身につけるべきだ。


策謀女に踊らされる偏狭なる一学者のたわ言を競って大きく報道する癖を直したらどうか。政府も雑魚相手にけんかしても仕方がない。放置すれば国際社会に誤解が広がりかねない。グテーレスに直接働きかけて対応を求めるべきだ。日本はアメリカに次いで世界第2位の国連分担金を払って、国連活動に貢献しているのであり、事務総長はそのような平和国家をおとしめる発言が国連内部から出るのを放置していいのかということになる。


(杉浦正章氏の「俳談の欄」を、13日から掲載。これから本誌で掲載します)。
<俳談>
【桜を詠む】

桜を詠むときは、季語のイメージが強すぎるので状況を素直に捉えるにかぎる。あれこれ考えすぎたり、技巧を凝らすと墨絵に油絵の具を塗るようになって、桜の爽やかさが出ない。

芭蕉の
さまざまのこと思ひ出す桜かな
が良い例だ。実際にはこれだけの俳句を詠むには、相当な技巧が必要だが、芭蕉はそれを感じさせない。読む者の気持ちの中にすっと入り込んで、いったん入ると忘れないフレーズとなる。

たましひが先に近づく桜かな     産経俳壇入選
桜へと急ぐ身体より心が先に桜へと到達することを詠んだ。

遙かなる桜吹雪に急ぐかな      東京俳壇入選

桜吹雪がまだ終わらないように祈るような気持ちで急ぐ心境だ。いずれも感じたままを読んだ。技巧はない。
夜桜や学舎の窓の闇深し       毎日俳壇入選

夜桜の明るさに学校の窓の暗さを対比させた。

今生に一睡すれば花吹雪        産経俳壇入選
庭のしだれ桜を前に花見酒に酔い、一眠りしたら花吹雪だった。

         <今朝のニュース解説・俳談>    (政治評論家)

2017年06月13日

◆政府・与党はテロ法会期内成立を図れ

杉浦 正章



支持率微減はメディアの空振りを物語る
 

メモ公表も「だからどうした」だ
 

「世の中に蚊ほどうるさきものは無し、『モンカだカケだ』と夜も眠れず」。一部新聞、民放は、外交・安保の重要局面や最重要法案をさておいて、あさっての方向に突っ走っているのではないか。あれだけ騒いでも内閣支持率も政党支持率も微減でしかない。俳句の会で論理先行で詩情のない句を冷やかすときに「だからどうしたい」と言うが、「加計学園」の獣医学部新設をめぐる文科省内部文書の再調査問題をめぐる論議も酷似している。文科省がもともとあるメモを見つけ出しても「だからどうしたい」そのものではないか。


野党が誰が作ったかも知れぬ無責任なメモを金科玉条とばかりに押し頂いても、事態が急転直下「加計疑獄」になる可能生はゼロだ。前文科事務次官前川喜平が退任させられた意趣返しのごとく発言を続け、これを“活用”してなんとか政局に結びつけようとする野党と朝日、毎日、一部民放の“魂胆”は見え透いている。政府・与党は終盤国会最大の焦点であるテロ等準備罪法案の成立に向け中央突破を断行し、ちゅうちょなく今国会成立を図るべきである。
 
NHKの調査では安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より3ポイント下がって48%で、依然として歴代内閣とは比較にならないほどの高水準を維持している。各党の支持率は、自民党が36.4%でマイナス1.1ポイント減、民進党が7.9%で0.6増、共産党が2.7%で変化なしであり、いずれも誤差の範囲内だ。


朝日、毎日、TBS、テレ朝が総力を挙げての反安倍キャンペーンが、いかに上滑りしているかを物語っている。国民の真偽を見極める目は衰えていないのだ。もっとも、NHKは論説では公正なる公共放送にあるまじき反安倍姿勢を示している。NHKは12日の持論公論で解説委員西川龍一が加計学園理事長加計孝太郎と安倍が親密な関係であることに関連して「恣意的な姿勢でなく透明性を確保したから客観的な評価に基づき検討された結果なのだと思える説明が必要」とかみついている。しかし、一言も国家戦略特区諮問会議の「客観的な審議」を経ている事に言及していない。NHKとは思えないずさんかつ不公平な論調であった。
 

首相・安倍晋三が、文科相にメモを「徹底的に調査するように指示した」問題について、民放ワイドショーが勝ち誇ったような番組を放映しているが、相変わらず民放は問題の核心を見逃している。というか核心を度外視している。内閣の命運に関わる文書であったら、政権側は何が何でも公表はしまい。いつになるかは不明だが、公表するのは「政局無関係」が確実であるからだ。少なくとも今治市への獣医学部招致は国家戦略特区諮問会議を経て実現へと動いているのであり、そこに安倍の「意向」は働かない。


諮問会議の議事録を読めば明白である。前川発言の最大の弱点は、一部マスコミが事細かに報道することに悪乗りしてメモの存在だけに的を絞り、それ以上の疑惑に言及できないことだ。メモが「あるある」といっても、金銭疑惑に直結するような証拠を指摘できないままでは、まさに印象操作にほかならない。印象操作の「あるある詐欺」なのだ。
 
おまけに野党の攻撃は口だけ達者だが、重要ポイントで大失策をやらかしている。まず国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチとやらが、テロ法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍宛てに送付したことを取り上げ、鬼の首を取ったかのように追及しているが、大誤算だ。


特別報告者など国連には80人もいて、ワン・オブ・ゼムの主張であり、権威などない。国連を代表したものではさらさらない。おまけに野党がどこかのルートを通じて入れ知恵したと言う説がある。マルタの大学教授のレベルが知れる。国連のしかるべき担当部署は国連薬物犯罪事務所であり、フェドートフ事務局長は法案の衆院通過に際して「条約の締結に向けての動きを歓迎する」と公式に発言している。民進、共産両党は国連にもピンからキリまでいろいろあることが分かっていない。愚者のごとく知らないで藪をつつくから蛇が出るのだ。
 

一方で、反安倍姿勢が著しい民放も、言論報道の自由を自ら規制するような重大な発言を池上彰にさせている。12日のテレビ朝日では前川の記者会見で、読売の記者が「在職中に得た情報を明らかにするというのは守秘義務違反に当たるのではないかという指摘がある」と質したことを録画を基に生々しく取り上げた。そして池上は「読売の記者は自分で自分の首を絞めている。この記者は前川さんをけん制している。ということは全国の公務員は読売が取材に来たら守秘義務ですからと言って、拒否していいのかということになりかねない。驚くべき事だ」とこじつけも著しい発言をした。まさにあさってを向いた発言だ。


ここで問題なのは、読売の記者の質問ではない。質問自体は前川の国家公務員の守秘義務に関わる発言を問題視して、「業務上知り得た秘密は退職後もこれはもらしてはならない」とする国家公務員法違反の疑いがある点を指摘したのであり、全く適切だ。問題は池上の発言がこうした質問をテレビという公共放送を“活用”して、抑圧しようとしていることだ。マスコミ人と称するものにあるまじき振る舞いだ。記者クラブで問題にしない方がおかしい。昔ならテレ朝は除名ものだ。
 
池上は、おこがましくも前川に対するお追従質問はいいが、前川の利益にならない質問は封殺しようというのだろうか。だいいち記者が質問の相手をけん制するわけがない。この場合も真実を知るための質問であって、けん制している様にはどう見ても見えない。記者側にけん制して何の利益があるのか。加えて前川には売春防止法違反の疑いもある。その部分にもっと突っ込んだら池上は、「驚くべき事だ」というのだろうか。少なくともメディアで飯を食わせてもらっている人間が、メディアを封殺するような発言をすべきではない。


池上は口八丁で一見理路整然としているように見えるが、その実はあらぬ事を早口でしゃべってごまかしているとしか思えない。理路整然と間違うタイプだ。こうしてメディアはとんちんかんを絵に描いたような傾向に陥っている。もう異論に耳を傾ける時期は過ぎた。政府・与党は、ちゅうちょなくテロ法案成立へと動くべきだ。


◆俳談(本日から本誌掲載開始=編集者)

【昼ビール万歳】

落花生両手で砕きビール汲む 杉の子

藤沢という街は湘南ムードもあって明るくて洒落た街だ。駅前の地下街に日本一うまい中華そば屋がある

「古久屋」という名前だが、なぜ日本一かというと、特に理由はない。他にうまいところを知らんからだ。江ノ島水族館でクラゲの写真を撮ったあとは必ずこの店に寄る。クラゲの撮影を10時45分で切り上げると、ちょうど開店の11時に間に合う。なぜ知ったかというと娘が高校時代しょっちゅう通って「特焼きそばにお酢をどばっとかけるとおいしい」と言っていたからだ。

この店で気付いたのは湘南というのは昼からビールを飲むことだ。私のような上品な白髪の老人が、一人手酌で焼きそばを前に一杯飲んでいるかと思えば、老夫婦が湯麺を啜りながら一杯飲んでいる。昼ビールのうまさは格別なことを知っているから、一度真似してみたいと思っていたが、気が弱いから一年ばかりちゅうちょ。昨日思い切って決断した。決断だから注文の仕方も並大抵ではない。つい「ちょっと、ビール」とかん高い声を出してしまうのだ。

店員は何で興奮しているのか分からないから、怪訝な客だと思っても顔に出さずに「はい」と受け止める。こうして決死の覚悟の昼ビールがのどをごっくんと通過したのだ。現役時代に一所懸命に働いて、今は自由の身。「世間よざまあみろ」と内心思うのだ。そして小粋なる湘南っ子の顔を装って、大和市のイモ爺さんが、またとくとくとくとビールを注ぐのだった。

ひたすらにビールを思ひ庭仕事 杉の子

◆本誌新企画。本誌「政治評論」後に新掲載

<杉浦正章氏記> 俳句歴は25年だが、新聞俳壇に投稿を始めて10年になる。入選句は年間100句から150句に達するようになった。毎日俳壇からは今年の「毎日俳壇賞」もいただいた。
<丈夫なり妻と昭和の扇風機>である。ますますやる気を強めている今日この頃だが、新聞への投句をする人向けに「投句ノウハウ」を書くことになった。初心者向けの実戦論として活用して頂ければ幸いである。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月08日

◆強まる「改憲・衆院ダブル投票」の公算

杉浦 正章
 


自衛隊の根拠規定を問う 
 

相乗効果で与党に有利か
 

長年にわたって神学論争を繰り返してきた国会の憲法審査会に、改憲問題を政局にすべきでないとする議論があるが、どうだろうか。筆者は改憲問題は政局そのものだと思う。長年の政党の主張がぶつかり合う戦後最大の政局マターだ。従って改憲の国民投票と総選挙を同日に実施して「改憲・衆院ダブル投票」を断行、国民の信を問うことは全く正しい。


9条への自衛隊根拠規定の追加など自衛隊を肯定する政府・与党と、否定する共産党との対決が最大の見物だが、流れは共産党の惨敗とみる。そして国民投票の実施時期が日程的に衆院議員の任期切れと接近するのであれば来年の同日投票は一段と現実味を帯びるのだ。
 

自民党の憲法改正推進本部の会合が6日開かれ、いよいよ本格的な改憲論議がスタートした。安倍の提示した「9条の平和主義の理念は未来に向けて堅持し、9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」構想の是非が課題となる。冒頭から予想通り、自民党が2012年に世に問うた9条1項、2項も改正して「国防軍」保持を明記する憲法改正草案を取り下げるのかどうかについて激突した。総裁選出馬を意識していいる元幹事長石破茂が「どうするのか」とクレームを付けたのだ。


しかし副総裁高村正彦は「12年草案をどうするかを決めないと新しい議論に入れないということはない。改正案を作ってから草案と比較すればいい」とぴしゃりと反論。結局大勢は草案にこだわらず、首相案について議論を進める方向が確認された。
 

まさに「党内政局化」が抑えられた瞬間であった。石破の主張は党内でも一定の理解はあるが、今回の改憲構想は従来の草案が開けられなかった改憲の岩盤をダイナマイトで崩そうとする政治的な意図がある。仏壇の奥からちりの付いた「歴史的文書」のような草案を持ち出しても政治的に動かせるものではない。石破はそこに気付いていないのだ。
 

もう一つ異論がある。「行政府の長である安倍が改憲を提示するのはおかしい」とする議論である。毎日も社説で「憲法改正案の発議権を持つ国会の頭越しで具体的な改憲方針を明示するのは異例だ」と安倍にかみついた。さらにその憲法発言で大局観のなさを露呈している衆院憲法審査会理事の自民党幹事船田元も「行政府の長や内閣に籍を置く者は改憲に抑制的であるべきだ」と苦言を呈している。


しかし、6月1日の衆院憲法審査会参考人として出席した東大教授の宍戸常寿と慶応大教授の小山剛は国会の発議権を安倍が害していることはないとの見解を表明した。宍戸は「議院内閣制では政党党首が同時に首相を務めることが想定されている。首相であるところの与党党首が、改憲をしかるべき場で、しかるべきやり方で発言することは、一般的に憲法尊重擁護義務に反しないと考えている」と発言、小山も同調した。どうも憲法調査会は、15年に集団的自衛権の行使を限定容認する安全保障法制を巡り大学教授らに「違憲」を言わせて、安倍の足を引っ張った“快感”が忘れられないとみえて、二度目の「参考人ショック」を狙ったようだ。しかし、柳の下にドジョウは2匹おらず、「逆ショック」を受けたのは審査会であった。
 

こうして反対論は勢いを得ない状況にあるが、まだ山あり谷ありとみなければなるまい。大きな流れは筆者が5月11日にあらゆるメディアに先だって「総選挙と国民投票のダブル選挙の可能性がある」と推測した方向に向いている。


朝日も7日「改憲発議現有勢力で狙う」と、与党が3分の2を維持している現体制での改憲を目指す方向を記事にしている。安倍も先月インタビューで憲法改正の是非を問う国民投票を国政選挙と同時に実施することの是非に関して「衆院選と参院選を国民投票と別途やるのが合理的かどうかということもある」と述べた。国政選挙との同時実施の可能性に言及した形だ。自身が憲法9条改正を提起した意図についても、「自衛隊論争に終止符を打つ」と強調した。
 

衆院議員の任期は残り約1年6か月で、安倍は国民投票で解散権を縛られないことを意図したものともみられる。官房長官・菅義偉も国民投票の実施が解散権を制約するかどうかについて「首相の衆院解散権への制約はないと思っている」と明言している。こうして改憲の日程は衆院議員の任期切れを意識して進展する方向が強まった。筆者は過去に2度実施された衆参ダブル選挙の場合、自民党が圧勝した原因は相乗効果にあると判断している。


衆院で自民党に投票した有権者は参院でも自民党に投票する傾向があるのだ。これは憲法改正とも共通する側面があるのではないか。自民党に投票する有権者は9条改憲を是とする傾向を必ず帯びると見る。従って相乗効果で自民党は負けないし、改憲は投票した国民の過半数を得られるだろう。具体的な日程としては、2020年に改正憲法を施行するとなると、早ければ2019年には憲法改正の国民投票に漕ぎ着ける必要が出てくる。急げば来年の通常国会末か遅れても秋の臨時国会で、3分の2以上の賛成で発議することとなろう。


その後最短60日で国民投票となる。従って国民投票は衆院議員の任期切れが来年末だから、総選挙とのダブル選挙になる公算がある。経費節約にもなる。参院選挙は2019年夏だが、事は憲法であり、参院ではなく政権の存否が問われる衆院選挙に合わせるべきだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月07日

◆露、北朝鮮の「緩衝国化」を推進

杉浦 正章



北方領土も戦略的位置づけ重視


垣間見せたプーチンの本音
 

プーチンがサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの公開討論の中で語った極東戦略は、北朝鮮を米戦略に対する緩衝国とはっきり位置づけ、核保有を容認したものである。一方北方領土も緩衝地帯としての戦略的価値を鮮明にさせた。一連の発言は日本にとっては極めて利個主義的な国家エゴと受け取れるが、ロシアにとっては将来を見据えた冷徹なる世界観に基づく極東戦略であろう。


プーチンの本音を垣間見せたこの発言は北の金正恩を増長させ、極東の緊張を一段と高めることになり、北方領土交渉にも影響を与えることが避けられない。

 

プーチンによる2日の発言は、まず北方領土でのロシア軍の軍備増強などについて質問されたのに対し、「北東アジアでは、アメリカが北朝鮮情勢を口実に韓国などでミサイル防衛システムの配備を進めている」と答えた。米国による韓国への戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備などを指すものだ。そのうえで、「これはロシアにとって懸念で、対応しなければならない。脅威を抑えるためには、島々が便利だ。島々が日本の主権下に入れば、アメリカ軍が展開する可能性がある。島々に軍事基地やミサイル防衛システムが配備されることはロシアにとって全く受け入れられないことだ」と述べた。


北方領土でのロシアの軍備増強は、ミサイル防衛システムの配備によってロシアの核戦力を無力化しようとするアメリカへの対抗措置だと正当化したのだ。この論理は昨年暮れに国家安全保障局長谷内正太郎がロシアの安全保障会議書記パトルシェフに対し、引き渡し後の北方領土に米軍基地を設置する可能性を否定しなかったといわれる情報が流れて以来のプーチンの立場を繰り返したものである。

 

さらに北朝鮮に関する発言は、軍事的圧力を強める米国を批判する中で出た。プーチンは「小さな国々は自らの独立や安全と主権を守るためには、核兵器を持つ以外、他の手段がないと思っている」と言明したのだ。加えて「力の論理が幅をきかせ、暴力が支配する間は、北朝鮮で起きているような問題が生じるだろう」とも述べた。プーチンはこれまで北の核保有に関しては「核クラブの拡大につながり反対する」との立場を表明してきたが、今回の発言はこれを大きく転換させる意思があると受け取れるものだろう。金正恩路線の支持でもある。


明らかに米国を念頭に置いたもので、そこには米国が北大西洋条約機構(NATO)で西から、日米同盟と米韓同盟で東からロシアに対する圧力を掛けていることへの不満がある。

 

事はそう簡単ではない。「核兵器拡散防止条約」(NPT)は、米国、英国、フランス、ロシア、中国の核兵器保有を認め、その他の国々の核兵器保有を禁止する「不平等条約」として1968年に成立した。しかし現在では190ヵ国が加盟しており、核の均衡にとっては欠くことの出来ない条約である。この5か国に加えてインド、パキスタン、北朝鮮が保有。イスラエルも、「核兵器保有を肯定も否定もしない」形で保有している。


しかし、核保有9か国のうち8か国と北朝鮮とは決定的な違いがある。8か国は極めて常識的な指導者がおり、冷戦終了後に核でどう喝した話は聞かない。しかし北朝鮮だけは「狂気の独裁者」が存在して、日米韓をどう喝しながら、核実験とミサイル実験を繰り返しているのだ。北の核は「気違いに刃物」の構図だが、他国は概ね「床の間の日本刀」なのだ。

 

発言から見る限りプーチンの基本戦略はこの独裁者を“活用”しようとしている魂胆がありありと見える。ロシアからみれば北の核ミサイルのターゲットは日米韓3か国であり、ロシアには向けられていない。これは北が米国の軍事力に対する緩衝国として極めて有用であることを物語っているのだ。毒薬であるべき北の核はプーチンにとっては「毒薬変じて薬となる」のである。金正恩が日米韓を核の対象にしている限りは、ロシアにとっては、願ってもない「子分」ができたということになる。


要するにロシアは北をロシアの対米戦略に組み込もうとしているのだ。万景峰号による定期航路を開通させたのもその戦略の一環であることは言うまでもない。

 
朝露関係は、1961年に当時のソ連と北朝鮮との間で「ソ朝友好協力相互援助条約」を結んだ。この条約はどちらか一方の国家が第三国から攻撃を受けた場合に共に軍事行動を行うという軍事同盟の条約であった。しかしソ連の崩壊で条約は破棄、1999年に新たに「ロ朝友好善隣協力条約」を締結したが、軍事同盟の条項は削除された。これでロ朝関係は軍事同盟の関係から、親密な友好国家の関係に切り替わったが、プーチンの姿勢は今後陰に陽に北との軍事的関係を深め、国際社会の制裁に対しても“抜け道”的な役割を果たすことになろう。

 
もちろんロシアだけでなく、中国も似たり寄ったりの対応である。北は中国の紛れもない緩衝国であり、習近平にとって金正恩は気にくわないが、北の体制は何が何でも守らなければならないのが基本だ。こうした極東における対峙の構図に日本は否応なしに巻き込まれる。天から平和が降ってくる時代はとっくに終わり、天から降るのは北の核ミサイルであり、国の防衛は根本から見直さなければならない時期に来ているのだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月06日

◆宙に浮く野党の政権追及

杉浦 正章 
 



金銭疑惑ゼロの壁で「政局化」は無理



「黒い霧」と似た“ムード依存”
 

「国会が森友問題とか加計学園ばかり。モリだとかカケだとか私も麺類は好きだけど、こればっかりで国民はうんざりです!」と質問者である自民党参院議員山田宏が嘆いたが、全くその通りだ。もっとも5日の衆参決算委員会での質疑は、満を持したのか首相・安倍晋三以下政府側の反論が徹底していて、野党側の第2選級質問者はふんどし担ぎが横綱にかかるような体たらくであった。「総理のご意向」文書も政府側の全面否定で空振り。切り札とばかりに提示した「総理のご意向メール」も、ネットでは「第二の偽メール事件だ」と盛り上がっている。


野党と朝日、毎日、民放などが足並みをそろえてありもしない魔女狩りのごとき政権追及も、金銭疑惑に結びつけようがなく宙に浮いた形となった。相変わらずテレビやラジオのコメンテーターらがあることないことしゃべりまくっているが、しゃべればしゃべるほどその中身は良識ある国民ならあきれる「根拠レス」であることが次第に鮮明になっている。


もう、この問題での追及は勝負があったのであり、いいかげんにした方がよい。まるで佐藤内閣時代に「黒い霧」と称する追及を野党が展開したが、結局追及が行き詰まり政権側が勝ったのと似ている。佐藤栄作は「黒い霧解散」で沈静化したが、この場面では解散するまでもあるまい。
 

5日の質疑を通じて浮かび上がった問題はいかに野党側の追及が「印象操作」に満ちあふれていたかということであろう。まず前文科次官前川喜平が今治市への加計学園獣医学部設置について「首相の意向が働いた」とマスコミに証言し続けている問題については、次官でありながらなぜ首相に面と向かって反対の意向を伝えなかったかが問われた。安倍は「事務次官で私に『お言葉ですが』と持論を展開される方もいる。3回お見えになっているがこの問題については全く話をしなかったことは当惑せざるを得ない」と発言した。


さらに前川の「総理の意向発言」についても「国家戦略特区諮問会議できっちりと議論することになっており、私の意向というものは入りようがない。それありきではなく、公募で決めたという経緯がある。そうしたものに一切触れず、延々と議論されるのは極めて不適切で印象操作だ」と反論した。
 

一方、前川が出会い系バー通いを繰り返した問題について官房長官菅義偉は「常識的に、青少年の健全育成、教職員の監督に携わる事務方の最高責任者が、売春、援助交際の温床になりかねないと指摘されている店に頻繁に通って、女性を外に引き出してお小遣いまで渡していることに違和感を感じる」と厳しく断定した。さらに菅は、かつて前川について「地位に恋々としている」と発言した経緯に言及、「昨年12月末に官房副長官に天下り問題の説明に来た際に、みずからの進退については示さなかった。


さらに、『3月まで定年延長したい、事務次官として続けたい』と打診があった。天下り問題を考え、『そんなことはダメだ』と言った。天下り問題に対する世論が厳しい状況になって初めてみずから辞めた。だから、私は『恋々としている』と申し上げた」と説明した。ここまで前川の人間性が露呈されれば、軍配は政府側に上がらざるを得まい。そもそも前川には売春防止法というれっきとした法律があり、あらゆる法律順守は公務員としての第一の義務であるということが分かっていないように見える。一部マスコミに悪乗りして発言を繰り返し、買春疑惑をそっちのけにしようとしても、「引かれ者の小唄」で無理があることが分かっていない。
 

さらにもう一つの焦点は民主党政権が、自ら獣医学部の招致を今治市に決めておきながら、なぜ今になって反対するのかの問題だ。安倍は「鳩山政権は22年度を目途にに加計学園問題を速やかに検討することを決めた」 と指摘し、菅政権も野田政権もこれを受け継いだと強調した。たしかにこれほどつじつまが合わない問題はなく、なんでも「政局」に結びつけようとする意図が先行しているとしか言いようがない。政治に邪心が入るとブーメラン返しを受けるよい例だ。
 

国会論議ですら根拠レスだから民放にいたっては、事実誤認どころかねじ曲げもいいところの論評が続いている。5日には反安倍の論調を貫くTBSラジオの「デイ・キャッチ」で、ジャーナリスト青木理が読売の「前川氏が在職中に出会い系バー通いをしていた」という大スクープにいちゃもんをつけた。「何であの時期なのか。朝日、毎日が『総理の意向』を伝えている中での報道だ」と、あさっての方向に疑問を投げかけた。


時期もへったくれもない。新聞は確信を得れば記事にするのだ。加えて青木は「杉田副長官は公安警察出身。こんな情報を集められるのは警察以外にない。官僚のプライバシーの情報を集めている」と警察情報であると断定した。くだんの出会い系バーはマスコミでも有名になっており、記者でも通っている連中がいるという。


文部次官が足繁く通えば、注目の対象となり、噂は広がりうる。次官専用車の運転日誌はどうだったのだろうか。警察でなくても情報は広がり得たのが実情であった。さらに青木は「政府に異議をとなえた途端にこんなものを出されたら縮こまる。官邸の意向に逆らうとこんな情報が出る」とまるで日本が警察国家であるかのような“危機感”を強調した。悪いことをすれば誰でも縮こまるのだ。


この発言の問題は出会い系バーが菅の指定したように売春の温床になっていることへの視点が全く欠けていることだ。売春防止法というれっきとした法律があり、戦後法律が出来た当初は、警察が頻繁に手入れで踏み込み、売春業者や女性、買春の客などを検挙したのだ。当時はニュース映画で何度も報じられたものだ。その法律違反をしておいて「縮こまる」はないだろう。
 

このように前川問題は、事の本質をあえて見逃しているメディアと、正すべきは正すマスコミや政治との正邪の戦いのような気がする。


一方で、読売は6月4日に社会部長の署名入りで「次官時代の不適切な行動、報道すべき公共の関心事」と題する説明記事を掲載した。この中で@教育行政のトップという公人中の公人の行為として見過ごせないA売春の客となるのは違法行為であるB青少年の健全教育に携わる文科省の最高幹部が頻繁に出入りし女性に金銭を渡して連れ出していたことは不適切な行為であるC次官在任中の職務に関わる不適切な行為は公共の関心事であり、公益目的にもかなうーと、編集方針を改めて鮮明にさせた。胸のすくようなジャーナリズムのあるべき姿として賞賛を送りたい。

       <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)

2017年06月02日

◆安倍「次官なら私に直接言うべきだ」

杉浦 正章



事務次官OBらも前川批判で一致
 

マスコミは「異次元の人」を英雄視するな


 前文科事務次官前川喜平が漏らし、朝日新聞が煽り、「盲目民放」が興味本位に追随する虚構の「加計学園疑惑」に対して、ようやく安倍政権は本格的な反論を展開し始めた。首相・安倍晋三自らが説明、閣僚や党幹部も積極的かつ具体的に反論し始めた。前川批判の焦点は何で次官在職中に身を賭して反対しなかったかに集中している。政治家ばかりではない事務次官OBらによる会合がこのほど開かれたが「疑問があるならなぜ在職中に首相と会って反対しなかったのか。


後でマスコミに向かって発言することは次官経験者がやることではない」との見解で完全に一致したという。心ある次官経験者らは前川総スカンなのであろう。確かにまっとうな官僚なら筋を通すはずではないか。一部マスコミも次官在職中に売春を斡旋するようなバーに足繁く通い、「女性の貧困」を調査したと言ってはばからない「異次元の人」の発言を、まるで権力に立ち向かう英雄であるごとく報道し続けるのは、心ある国民の新聞離れと、民放蔑視(べっし)につながるばかりであることに気付くべきだ。
 

まず安倍は1日、ニッポン放送の番組収録で「私の意向かどうかは確かめようと思えば確かめられる。次官なら大臣と一緒に私のところに来ればよい。そしてその場で反対すべきだった」と前川の姿勢を戒めた。そして「(加計学園の)理事長が友人だから私の国政に影響を与えたというのは、まさに印象操作だ」と厳しく断定した。

自民党国対委員長竹下亘も「問題があるのならなぜ現職の時に発言しなかったのか」と批判した。筆者もこの問題の根底には、天下り問題で辞任を迫られた前川の“逆恨み”があると思えて仕方がない。そこにはマスコミの操縦を心得た前川の巧みな世論誘導術がある。文科省のメモの漏洩に始まって、一見新しい疑惑のように見える事柄を毎日のように少しずつ漏らして、安倍内閣を政局に追い込もうとする。「次官の野望」が垣間見えるのだ。しかし、その発言の内容たるや「総理のご意向」メモに始まって、決定的な打撃力に欠ける話ばかりだ。
 

「総理のご意向」が犯罪につながるような証拠は一切提示せずに、矛盾にあふれ、まるで「引かれ者の小唄」のような発言ばかりだ。前川は16年9月に首相補佐官に呼ばれて「総理は自分の口からは言えないから」と獣医学部増設を求められたと主張する。しかし、学部新設は15年6月に閣議決定済みであり、閣議で決めた問題を、「自分が言えない」として、首相が人を介して次官の了承を求めることなどあり得ない。


さらに言えば加計学園獣医学部新設は民主党政権が推進した問題でもある。今治市は2007年以来、特区指定申請を15回も却下されたていたが、民主党が10年に「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げの閣議決定をしている。従って前川が「行政がゆがめられている」と主張し、民進党がこれに口裏を合わせているのは天に唾するものだ。


何をやっても「安倍の疑惑」と指摘するなら、当然民主党の疑惑も指摘され得る事態ではないのか。規制改革担当相の山本幸三が「(文科官僚が)既得権のことばかりを考えて行政をゆがめてきたのを正しただけだ」と反論しているのが正解だ。
 

そもそもこの前川対官邸の確執の本質は、規制改革を推進する官邸と既得権にしがみつこうとする文科省、応援議員団、獣医団体などとの戦いなのだ。反対派は50年も続けられてきた獣医学部新設却下が、時代の変遷と共に実情に合致しなくなってきていることを無視しているのだ。鳥インフルエンザや口蹄疫などという新事態は、獣医学部の新設却下と明らかなる矛盾を示している。旧態依然として岩盤を守ろうとする文科官僚は、その新事態に気付いていなかっただけのことだ。


その固い岩盤に安倍がダイナマイトを仕掛けなければ事は動かなかったのであって、政治は時に荒療治をしなければ官僚の既得権擁護を突破出来ないのだ。もともと朝日などマスコミの多くは規制改革推進論であったはずだが、なんとしてでも政局に結びつけたいという“邪心” が先行して「報道をゆがめる」結果を招いているのだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

◆安倍「次官なら私に直接言うべきだ」

杉浦 正章



事務次官OBらも前川批判で一致
 

マスコミは「異次元の人」を英雄視するな


 前文科事務次官前川喜平が漏らし、朝日新聞が煽り、「盲目民放」が興味本位に追随する虚構の「加計学園疑惑」に対して、ようやく安倍政権は本格的な反論を展開し始めた。首相・安倍晋三自らが説明、閣僚や党幹部も積極的かつ具体的に反論し始めた。前川批判の焦点は何で次官在職中に身を賭して反対しなかったかに集中している。政治家ばかりではない事務次官OBらによる会合がこのほど開かれたが「疑問があるならなぜ在職中に首相と会って反対しなかったのか。


後でマスコミに向かって発言することは次官経験者がやることではない」との見解で完全に一致したという。心ある次官経験者らは前川総スカンなのであろう。確かにまっとうな官僚なら筋を通すはずではないか。一部マスコミも次官在職中に売春を斡旋するようなバーに足繁く通い、「女性の貧困」を調査したと言ってはばからない「異次元の人」の発言を、まるで権力に立ち向かう英雄であるごとく報道し続けるのは、心ある国民の新聞離れと、民放蔑視(べっし)につながるばかりであることに気付くべきだ。
 

まず安倍は1日、ニッポン放送の番組収録で「私の意向かどうかは確かめようと思えば確かめられる。次官なら大臣と一緒に私のところに来ればよい。そしてその場で反対すべきだった」と前川の姿勢を戒めた。そして「(加計学園の)理事長が友人だから私の国政に影響を与えたというのは、まさに印象操作だ」と厳しく断定した。

自民党国対委員長竹下亘も「問題があるのならなぜ現職の時に発言しなかったのか」と批判した。筆者もこの問題の根底には、天下り問題で辞任を迫られた前川の“逆恨み”があると思えて仕方がない。そこにはマスコミの操縦を心得た前川の巧みな世論誘導術がある。文科省のメモの漏洩に始まって、一見新しい疑惑のように見える事柄を毎日のように少しずつ漏らして、安倍内閣を政局に追い込もうとする。「次官の野望」が垣間見えるのだ。しかし、その発言の内容たるや「総理のご意向」メモに始まって、決定的な打撃力に欠ける話ばかりだ。
 

「総理のご意向」が犯罪につながるような証拠は一切提示せずに、矛盾にあふれ、まるで「引かれ者の小唄」のような発言ばかりだ。前川は16年9月に首相補佐官に呼ばれて「総理は自分の口からは言えないから」と獣医学部増設を求められたと主張する。しかし、学部新設は15年6月に閣議決定済みであり、閣議で決めた問題を、「自分が言えない」として、首相が人を介して次官の了承を求めることなどあり得ない。


さらに言えば加計学園獣医学部新設は民主党政権が推進した問題でもある。今治市は2007年以来、特区指定申請を15回も却下されたていたが、民主党が10年に「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げの閣議決定をしている。従って前川が「行政がゆがめられている」と主張し、民進党がこれに口裏を合わせているのは天に唾するものだ。


何をやっても「安倍の疑惑」と指摘するなら、当然民主党の疑惑も指摘され得る事態ではないのか。規制改革担当相の山本幸三が「(文科官僚が)既得権のことばかりを考えて行政をゆがめてきたのを正しただけだ」と反論しているのが正解だ。
 

そもそもこの前川対官邸の確執の本質は、規制改革を推進する官邸と既得権にしがみつこうとする文科省、応援議員団、獣医団体などとの戦いなのだ。反対派は50年も続けられてきた獣医学部新設却下が、時代の変遷と共に実情に合致しなくなってきていることを無視しているのだ。鳥インフルエンザや口蹄疫などという新事態は、獣医学部の新設却下と明らかなる矛盾を示している。旧態依然として岩盤を守ろうとする文科官僚は、その新事態に気付いていなかっただけのことだ。


その固い岩盤に安倍がダイナマイトを仕掛けなければ事は動かなかったのであって、政治は時に荒療治をしなければ官僚の既得権擁護を突破出来ないのだ。もともと朝日などマスコミの多くは規制改革推進論であったはずだが、なんとしてでも政局に結びつけたいという“邪心” が先行して「報道をゆがめる」結果を招いているのだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年06月01日

◆パリ協定離脱で米欧の亀裂深刻

杉浦 正章

 

「トランプVsメルケル紛争」の現状
 

日本は双方の過剰反応を戒めよ
 

トランプ対メルケルの対立で、ただでさえ離反が目立った米欧関係に、「米パリ協定から離脱」という報道の追い打ちである。もはや亀裂は決定的なものとなりつつある。「アメリカ第一」を掲げるトランプの唯我独尊姿勢は、イギリスの欧州連合(EU)離脱でメルケルが牽引しているEUとの関係悪化を増幅し、抜き差しならぬ段階にまで至った。


幸い対ロシア軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)にひびが入る気配はないが、防衛費分担をめぐってギクシャクし始めたことは否めない。米欧の内輪もめにプーチンが小躍りしている事は確かだろう。日米関係はかってなく良好だが、首相・安倍晋三はサミットでも果たしたように米欧離反への接着剤として、双方の「過剰反応」を戒める必要があろう。
 

「トランプVsメルケル紛争」は根が深い。3月の米独首脳会談でもトランプはメルケルに視線も向けず、そっぽを向き握手すらしなかった。トランプの欧州訪問とこれに続くG7サミットでも激しく対立した。とりわけメルケルは、オバマが任期最終年に署名したパリ協定をトランプが受け入れなかったことに腹を立てたようだ。メルケルは「気候変動に関しては、非常に満足のいかないものだった。サミットでもパリ協定支持、不支持は6対1で、EUを加えるなら7対1の状況だった」とトランプへの不満を述べている。
 

このメルケルの不満が爆発したのが28日、ミュンヘンで開催されたパーティー形式の選挙集会での演説だ。ビール片手にメルケルは演説のボルテージを上げ、「私はこの数日で、ヨーロッパが他国に完全に頼れる時代はある程度終わったと感じた」と述べ、米国への不満を表明した。そのうえで、メルケルは、アメリカとの友好関係の重要性を指摘しつつも、「ヨーロッパは、自分たちの運命を自分たちで切り開いていくしかない」と述べ、ヨーロッパが地球温暖化対策などを主導していく必要性を訴えた。
 

発言について米国のNATO大使であったイボ・ダールダーはニューヨークタイムズ紙に「米国が導き欧州はついてきた時代の終末が来たようだ。米国は主要イシューで欧州と反対方向に向かっていて、メルケルの発言はこうした現実認識から出たもの」と論評した。さらにニューヨークタイムズ紙はG7サミットを論評して「過去ドイツおよび欧州は、自動的に米国に依存してきたが、もはやトランプは信頼すべきパートナーではないと結論づけた」と言い切っている。またワシントンポスト紙は「メルケル首相が米欧関係に新たなページが開かれたことを宣言した」と分析している。
 

一方米欧双方にトランプが、トルーマン以来歴代大統領が言及してきたNATO条約第5条への言及がなかったことへの懸念が生じている。5条は「NATO同盟の一つの国への攻撃を同盟全体への攻撃と見なし、集団的に防衛する」とし条約の要である。懸念の発信源はハーバード大学教授のニコラス・バーンズのようだ。バーンズは「歴代の米大統領は全て第5条への支持を表明した。米国は欧州を防衛するということだ。トランプ氏は、NATOでそうしなかった。これは大きな間違いだ」と指摘した。


これにメディアが乗った結果大きな問題となった。しかしウオールストリートジャーナル紙は社説で、トランプはNATO本部で開かれた「第5条とベルリンの壁」に関する記念式典で、「この式典は記憶と決意のためにある。われわれは2001年9月11日にテロリストによって残忍な方法で殺害された約3000人の罪なき人々をしのび、追悼する。われわれNATO加盟国は歴史上初めて第5条の集団防衛条項を発動し、迅速かつ断固たる態度で対応した」と述べた点を指摘している。直接的ではないが間接的には5条を支持したというのだ。さすがのトランプもNATOを全面否定すればどうなるか位のことは分かっているものとみられる。
 

メルケルは1次、2次世界大戦の敗戦国としてドイツがあえて米国に異論を唱えることのなかった長い間の慣習を打ち破り、米国の“独善”に勇気を持って発言したことになる。国内はこれを歓迎する空気が濃厚だが、ドイツが直ちに欧州の平和にとっての脅威として登場することはあるまい。しかし、長期的にみれば、大きな曲がり角と見るべきだろう。背景には9月の総選挙で4回連続で首相の座を狙うメルケルが、トランプに批判的な国内世論に訴えようとする意図もないとは言えない。ドイツの野党は「メルケルがトランプに寛容すぎる」と批判しており、トランプ批判は国内の政情に対応するメッセージでもあった。
 

こうした中で日米関係は安倍が昨年12月にトランプタワーで就任前のトランプといち早く会談したことが効を奏して、極めて良好である。とりわけ北朝鮮の「核・ミサイル亡者」が暴発している現状において、日米同盟の結束は不可欠だ。トランプにとっても欧州との亀裂が極東にまで及んでは米国の完全孤立になり、日米関係の堅持は基本戦略だろう。


一方、欧州も安倍がサミットでパリ協定の順守と、保護主義否定に回ったことで一目置いている。安倍は機会を捉えて双方に過剰反応を戒めるべきだろう。トランプも選挙戦のときのような「NATOは時代遅れだ」といった発言は控え、G7の首脳宣言に「保護主義と闘う」との文言を盛り込むことにも同意した。メルケルも基本的には親米的である。


トランプが数日以内にパリ協定脱退を宣言すれば、当面の米欧関係はこじれにこじれるだろうが、次回G20サミットが7月7日から8日にかけて、ハンブルグで開催される予定であり、こうした場を活用して米欧双方をなだめることも必要だろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月31日

◆馬脚を現した北のミサイル精度

杉浦 正章



「7メートルの誤差」はあり得ない
 

狙いは「日米分断」
 

大口を開けて馬鹿笑いをする金正恩のどアップは見飽きたが、今度ばかりは馬脚を現した。「7メートルの誤差」と「フェーク映像」である。朝鮮中央テレビは29日のスカッド改良型ミサイル打ち上げを報じて「操縦翼や小型エンジンでの速度制御で目標点に7メートルの誤差で正確に命中した」と報じた。しかし、軍事専門家の共通した分析では「7メートルの誤差はあり得ない」のだという。なぜなら米国の最新鋭ミサイルでも誤差は50mから80mであるからだ。


本当かどうかは疑問だが、中国の対艦弾道ミサイル東風でも誤差は30mから40mだといわれる。7mをGPS衛星利用による誘導で将軍様が達成したのだというが、だいいち軍事利用できる人工衛星そのものを北は所有していない。商業用のGPSの“盗用”ではミサイル制御は不可能とされる。
 

なぜ7メートルとしたかというと、米空母打撃群の駆逐艦でも狙う能力があることを示したかったというのだ。さらに北は地球の地形の中でミサイルが命中するコンピューター映像を放映したが、専門家は「あのような軌跡は間違いなく合成画像によるもの」だという。だいいち金正恩がミサイル発射を見物している部屋には、テレビのスクリーンは映っていない。軌跡を見るなら大きなスクリーンをいくつも設置したミサイル制御室で見るのが普通である。
 

こうしたフェーク映像の放出はかえって北の“背伸び” を世界に露呈する結果となった。問題は北の側近技術者たちが、他国の技術者がみれば即座に見抜く稚拙な公表をなぜ行ったかだ。おそらく無知な金正恩に誇大性能を報告して、「将軍様のお手柄」とおだて上げ、自らの地位の保全を図ろうとしているに違いない。金正恩政権内部のごますり合戦が手に取るように分かる。
 

一方北の外務省は対日どう喝のレベルを一段と引き揚げた。「これまでは再日米軍基地を照準に合わせてきたが、日本がアメリカに追随して敵対的になるなら、我々の標的は変わるしかない」とすごんでいる。しかし今のミサイル精度では横須賀を狙っても八丈島に向かうレベルであり、東京駅を狙っても朝鮮総連に当たるレベルになるにはまだまだの水準だろう。
 

金正恩の狂ったような中・小型ミサイル連発の背景には、米国がオスロの米北接触などを通じて、対話の働きかけをしたといわれることがその理由ではないかと思われる。ミサイルもICBMと受け取られるものの発射は避け、核実験も先延ばしにしている。ICBMや核実験を米国がレッドラインとしているのは暗黙の事実とされており、金正恩はそれが恐ろしいのだ。これは将来米国との会談へと発展した場合に備えて高値をふっかける戦術でもあろう。対日どう喝も、いざ瀬戸際という事態になれば、日本が米国に「ミサイル攻撃を受けてはたまらない。ミサイル発射をやめてくれ」と泣きつくように仕向ける意図であろう。


日本への攻撃は米軍事基地ばかりでなく大都市を狙う可能生を改めて示して、日本の世論を誘導し、日米分断を図ろうとしているのだ。しかし、もともと北は朝鮮労働党機関紙で攻撃対象を東京、大阪、横浜、名古屋、京都の5箇所を挙げ、また在日米軍基地として横須賀、三沢、沖縄を挙げてきている。いまさらうろたえる者はいない。見え透いた対応の背景には、米空母3艦隊に囲まれて、自らの寝首をかかれることを恐れる、小心な金正恩の姿が浮かびあがるのだ。ミサイル発射でもしないと夜も眠れない心理状態ではないか。故金正日が得意としてきた「瀬戸際外交作戦」を臆面もなく継承しても、もはや通用しないことを金正恩は一刻も早く悟るべきだろう。
 

こうした中で首相・安倍晋三が、韓国の大統領文在寅と電話会談で、「北朝鮮とは対話のための対話では意味がなく、今は北朝鮮に圧力をかけていくことが必要だ」と主張した。これは対話路線を重視する文にクギを刺したことを意味する。これに対し、文は先の先進7カ国首脳会議で北朝鮮に対する強い姿勢を示した首脳宣言が採択されたことに触れ、「安倍首相が主導的役割を果たしたことに感謝し、評価する」と答えている。当分文の公約である北朝鮮訪問はあり得ない情勢となっている。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月30日

◆朝日は「破廉恥次官」が正義の味方か 一部修正送信

杉浦 正章

 

読売を「御用紙」扱い


左傾化民放もいいかげんにせよ
 

朝日新聞が読売をなんと安倍政権べったりの「御用紙」呼ばわりしていることが分かった。前文科次官前川喜平の売春防止法違反疑惑に、川柳欄で「御用紙は印象操作で操たて」を選んだうえに、「出会い系報道」のコメントを付けている。たかが川柳ではない。川柳の選者は朝日の編集局内の読売批判の風潮を見事に詠んだから選んだのだ。極めて政治的な選考なのだ。前川の行動を“擁護”に出ていることを如実に物語る。


一方NHKは朝日と同様に「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」という文科省内のメモを入手しながら、破廉恥な前次官の疑惑に丸乗りして、首相を追及することは控えたという。民放はTBSとテレビ朝日がここを先途とばかりに朝日に同調、前川をまるで「正義の人」扱い。マスコミは朝日、TBS,テレビ朝日対読売、産経、NHKの構図がくっきりと浮かび上がっている。
 

まず朝日が25日夕刊の素粒子蘭で「前次官が出会い系バーに出入りの報道。個人の醜聞に矮小(わいしょう)化しようとするか。『共謀罪』後の監視社会恐ろし。」と論評した。朝日がまともに前川のバー通いを論評したのはこの素粒子欄だけだが、かなり読まれているとみえて、「何が何でも反安倍」路線をひた走る評論家片山善博が28日のフジテレビの真報道2001で同様の見解を述べたあげく「人事を官邸が握っていて物言えば唇寒しだ」と宣うた。これは、いかに朝日が反安倍のコメンテーターのよりどころとなっているかを物語る。
 

ひどいのは毎度のことだがテレビ朝日。テレ朝は、かつて報道局長の椿貞良が「なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と他局に偏向報道を働きかけ、再免許が危うくなった経緯がある。そんなことなどとっくに忘却の彼方とみえて、コメンテーターを使って反安倍キャンペーンだ。一方TBSも29日午後のラジオ番組「デイキャッチ」で前川を出演させ、司会が官邸が出会い系通いを戒めた問題についてなんと「どう喝ではないか」とごまをすった。


これに前川も「どう喝、威喝、脅迫とみようと思えばみえる」と悪乗りした。さらに加えて前川は「とにかく全く私的な行動であり、興味関心で話を聞いた」と弁明したが、本当だろうか。これに先立つ記者会見で前川は出会い系通いを「女性の貧困の調査」と臆面もなく発言したが、開いた口が塞がらないとはこのことだ。いま銀座のバーでは客がドアを開けると「女性の貧困の調査に来た」とママを喜ばすのがはやっている。ママはこのギャグに食傷気味だが、笑うふりをする。
 

さすがに普段は冷静な官房長官・菅義偉が憤って「『女性の貧困』には強い違和感を覚えた。常識的に言って教育行政の責任者がそうした店に出入りして、小遣いを渡すことなど到底考えられない」と発言したのは至極もっともだ。菅の指摘するように1度や2度の「調査」ならまだしも、審議官時代から次官時代を通じて毎週、時には毎日入り浸っていて、「調査」が聞いてあきれる。東大法学部というのは先にも指摘したが、本当に変わった人間を“輩出”する。
 

前川発言の核心は「行政がゆがめられた」と官邸の圧力で獣医学部の新設を認めさせられたことを指摘した点にある。蓮舫もこれに飛びついて「行政がゆがめられていないかを国会で問うべきだ」と発言した。しかしこれも蓮舫発言の常で、ブーメラン返しにあった。安倍は29日の本会議で「民主党政権時代の平成22年に閣議決定した新成長戦略で獣医教育のあり方について新戦略として行うことになった」ことを明らかにした。確かに、獣医学部の新設は、当時の民主党の鳩山内閣で実現に向けて検討が始まり、安倍内閣は、それをさらに前進させたものであり「行政がゆがめられた」と言う指摘は全く当たらない。江戸っ子なら「おととい来やがれ」だ。
 

こうした中で、大傑作なのは朝日の世論調査で内閣支持率が変化していないことが分かったことだ。朝日は29日の3面全てを使って「それでも崩れぬ安倍支持の理由」と大特集を組んでいる。この見出しから見る限り、これだけ加計問題で叩いてやったのに、支持率が変わらないと悔しがっている様が正直に現れている。


「朝日新聞が24〜25日に実施した緊急世論調査でも内閣支持率は47%になり、ほとんど動かなかった。相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計(かけ)学園の問題が噴出しても大きく崩れていない。」のだそうだ。そして「有権者は『他よりよさそう』という意識が広がるあまり『中身』の評価が甘くなってはいないか。異論に耳を傾けず、幅広く納得を求めない姿勢を許すことにつながらないか」と解説した。安倍政権の「中身」に目を向けよと、例によって“教育的指導臭”がふんぷんたる記事だ。しかし、この記事は読者を馬鹿にしている。


朝日の「安倍潰しキャンペーン」に、読者は自らの判断力で踊らされないことが分かっていない。そこには唯我独尊のみがあって、真の分析がなされていないのだ。だから発行部数がどんどん下がっているのが分かっていない。
 

スクープだとばかりに報道した「総理の意向」文書にしても、「だからどうした」と言いたい。贈収賄疑惑があるのなら別だが、そのかけらもない。文科省の公文書でもない単なるメモだ。安倍長期政権で官僚はどの省でも「総理の意向」で物事を成就させる傾向にあるだけの話だ。そこを見分ける能力を国民はもっているのであり、もういいかげんにばかなミスリードは辞めた方がいい。


北朝鮮が3週連続でミサイルを発射し、朝鮮半島を米空母3隻が取り囲む事態に、マスコミも国会もつまらん議論をしているときか。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月28日

◆G7、対北「国際包囲網」へ前進

杉浦 正章



安倍が「トランプ旋風」抑制、米欧離反へ接着剤  
 

中露がほくそ笑むわけにはいかない
 

タオルミナ・サミットは焦点の北朝鮮問題や、米欧対立の保護主義とパリ協定の是非をめぐって、首相・安倍晋三が日本の首相としてかつてない存在感を示した。安倍は北のミサイルを「新たな段階の脅威」と位置づけ、その脅威は極東にとどまらず「伝染病のように全世界に広がる」と訴え、共同宣言に「国際社会における最重要課題」と表現させることに成功した。


対北宣言でG7が一致したことは、隣接する中国、ロシアに対しても強いけん制効果をもたらす性格のものでもあり、さらなる経済制裁へとつながる効果をもたらす。また安倍は、米国第一主義と保護主義を臆面もなく打ち出そうとするトランプをなだめ、欧州諸国との激突、決裂回避へと動き、宣言に「保護主義と戦う」の文言を挿入させた。安倍が接着剤の役目を果たさなかったら、G7は存亡の危機に立たされたかもしれない。
 

G7の記事は新聞各社とも経済部が中心で書くから、北朝鮮問題より経済問題に焦点が向けられ、米欧の亀裂がクローズアップされているが、この編集姿勢には疑問がある。なんといっても米空母の3艦隊が朝鮮半島を取り囲む緊急事態であり、優先順位が違うのではないかと言いたい。ここは安全保障問題の方がトップにふさわしい。


安倍の記者会見も日本時間の深夜だから大きく扱われていないが、北朝鮮に関して極めて重要な発言をしている。安倍はサミットで冒頭発言を行い、北朝鮮問題について「20年以上平和的解決を模索したが対話は時間稼ぎに利用された。放置すれば安保上の脅威が伝染病のように世界に広がる」と極めて強い表現で危機感を表明した。次いで「国際的な包囲網を形成して、経済面での北の抜け道を出来る限りなくして、圧力を掛ける必要がある」と強調した。


欧州は北との国交がない国はフランスのみで英、独、伊は国交がある。しかし中東に比べて北朝鮮問題への関心は薄く、安倍は欧州の目を極東に向けさせて、国際世論を高めることを狙ったのだ。北の“抜け道”にならないよう暗に要求した意味もある。
 

各国からは賛同の声が相次ぎ、宣言は4月の外相サミットの「新たな段階の挑戦」の表現を「新たな段階の脅威」と一段と強めた。世界全体の脅威であるとサミットが確認した事は、国際政治的には大きな意味がある。北への決定的制裁をためらう中国や、臆面もなく万景峰号の定期航路を認めたロシアに対する、G7の意志表示でもあるからだ。次の課題は国連の場などで制裁強化をさらに進めると共に、決め手をもっている中国に対して、石油輸出や鉄鋼輸入の制限、金融取引の封じ込めなどの策を求めてゆく必要があろう。
 

一方、トランプと欧州諸国は、パリ協定をめぐって「湯気の立つような激論」(政府筋)を展開、安倍は“留め男”役を演じた。安倍は「環境問題でアメリカは電気自動車の技術をはじめトップランナーであるから、排気ガス問題などリードすべき事は多い。経済大国の役割でもある」とトランプを持ち上げたうえで対応を求めた。安倍は側近に「トランプがうなずくような場面を作ることが肝心だ」と漏らしていたといわれ、一種の“友情ある説得”を試みた。


この結果トランプは決定的な亀裂につながるような発言は避け、首脳宣言では「アメリカは、気候変動およびパリ協定に関する政策の見直し過程のため、コンセンサスに参加する立場にない」としたうえで、「アメリカのプロセスを理解し、ほかの首脳は、パリ協定を迅速に実施するとの強固なコミットメント=誓約を再確認する」と、いわば両論併記の表現で収まった。両論併記はサミット史上異例である。トランプは最終決断を先延ばしにした形となった。ツイッターでは「来週決める」と書いている。
 

さらに宣言には自由貿易に関して、「不公正な貿易慣行に断固たる立場を取りつつ、開かれた市場を維持するとともに、保護主義と闘うという、われわれの誓約を再確認した」と明記された。これは安倍が事前のトランプとの会談でサミットの存在意義がどこにあるかを諄々(じゅんじゅん)と説明した結果であるという。これまで「保護主義」的政策を打ち出しているトランプ政権は、3月のG20では、昨年のG20の声明で盛り込まれた「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言を削除するよう強く主張して、結局削除させた経緯がある。


今回のサミットでも当然強く要求するものとみられたが、西欧諸国首脳はさすがに譲らず、トランプは孤立して妥協へと動いた。妥協策として「あらゆる形態」という文言の削除で全体の表現を弱めて、トランプが応ずることになったのだという。
 

こうしてトランプ旋風はサミットでも荒れ狂った形となったが、空回りに終わり、それほどの威力は発揮できなかった。もともと自らの生命線でもある自由主義経済を翻弄(ほんろう)し、米国で通用する「わがまま」を世界でも通用させようというトランプの世界認識の浅はかさに問題がある。アメリカが何を言っても通用する時代は去りつつあるのだ。


世界はトランプの足下の米政局が揺らいでいることを知っている。サミットの亀裂が安全保障面にも及べば、重大な事態だが、北朝鮮への足並みがそろったことで、当面問題はないことが証明された。中国やロシアがほくそ笑むのは時期尚早だ。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年05月25日

◆トランプ、隠ぺいと捜査妨害で自縄自縛

杉浦 正章



ロシアゲートのリークが止まらない
 

「やっちゃだめを全部やっちゃうトランプ大統領」と、ニューズウイーク日本版にお笑い芸人パックンが書いているが、まさに至言だ。川柳で言えば「トランプは今日はどこまで掘ったやら」で、毎日自分の墓穴を掘っている。それもウオーターゲート事件を手本とするような隠ぺい工作と司法妨害の連続だ。本人は「アメリカ史上最大の魔女狩りだ」と息巻いているが、その魔女狩りの輪はひしひしと弾劾に向かって狭まりつつある。もがけばもがくほど深みにはまってゆく姿がそこにある。

 

まずロシアゲートの新たな展開が23日にあった。1月までCIA長官であったジョン・ブレナンが議会で核心に触れる証言をした。その内容は、ロシアによる大統領選挙への干渉を感知したブレナンが昨年8月にロシア連邦保安局長官ボルトニコフに電話し「ロシアが選挙干渉を続ければ、米国の有権者は激怒する」とどう喝した。ボルトニコフはその場では「プーチン大統領にに伝える」と取り繕ったが、ブレナンによると「明確な警告にもかかわらずロシアは大統領選に干渉した」と発言した。背景にはプーチンが影響力を行使できるトランプを何が何でも当選させたかったという重大な選挙干渉疑惑がある。


さらにブレナンは質問者から「トランプ陣営とロシア政府が共謀した証拠」を問われたのに対して「そのような共謀が実際に行われていた情報や諜報を目にした。ロシア当局者とトランプ陣営との間で行われた情報や諜報も知っている」と言明したのだ。中身の詳細な公表は避けたが、この発言が意味するところは、司法省が特別検察官に任命した元FBI長官モラーが、今後暴くであろう真相の方向を示したことであろう。モラーはとっくに情報・諜報を入手していることになる。

 

こうした動きはトランプがロシアとの共謀で選挙に勝ったことへの有力な傍証になるが、22日のワシントンポスト紙はそのトランプがロシアゲートの隠ぺい工作に動いたというリークを生々しく報道している。トランプは国家情報長官コーツと国家安全保障局長官ロジャーズに対してなんと「共謀に関する証拠は一切存在しないと公表せよ」と指示したのである。


これはトランプがいかに大統領職というものを理解していないかを物語る行為だろう。つまり大統領なら何でも出来るとの前提に立って、あからさまなもみ消し工作に出たのだ。「もみ消しのニクソン」ですら裸足で逃げる露骨な動きである。
 
 

さらにトランプは、明らかな司法妨害と受け取れる発言をした。ロシアの外相ラブロフに、FBI長官のコミーを解任したことに関して「私は大きな圧力を受けていたがそれば取り除かれた」と“正直”にも内実を暴露してしまったのだ。トランプはFBIの捜査を明らかに妨害したのであり、それを得々としてラブロフに話す神経は度しがたいと言うしかない。

 

こうしてどれ一つをとっても弾劾の理由になり得る隠ぺい工作、司法妨害情報が次々と集まりつつあるのがワシントンの現状だ。なぜこのように公式、非公式のリークが続くかだが、トランプ自らの“墓穴情報”の露呈は、各省の次官補など実際に政治を動かす人事が大幅に遅延しており、大統領が必要とする整合性のある情報が得られないことを物語る。


つまり、想定問答集を作れないから、支離滅裂で自らの利益にならない発言を繰り返すことになるのだ。さらに人事の遅延によって、トランプ陣営と敵対したオバマ政権時代の高官が多く地位にとどまっていることだろう。これらの高官は選挙中からトランプ陣営に批判的であり、これが現在もリークとして続く形となっているのだ。
 
 

今後は特別検察官が暴く事実が焦点となるが、特別検察官はFBI出身であり当然前長官コミーからの“引き継ぎ” を受けており、捜査のテンポは速いとみられる。加えてコミーは上院の公聴会での証言を求められており、30日以降に実現する可能性が高い。こうして「大統領の疑惑」はまさに佳境を迎えようとしている。


しかし弾劾実現には上下両院で過半数を維持している与党共和党の多くが、トランプ不支持に回らなければならないなど、難関も多く、トランプゲートは富士山で言えば3合目と言ったところだろう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)