2015年01月08日

◆70年問題は「遠交近攻」の先手打て

杉浦 正章




習近平の反日キャンペーンは湿った花火となる
 


中国戦国時代の諸子百家の一つ「縦横家」(じゅうおうか)が諸侯に述べた外交戦略に「遠交近攻」があるが、今年の極東情勢は日中双方がこの策略を軸に対峙(たいじ)するだろう。


中国国家主席・習近平は自らの権力基盤総仕上げの年と位置づけ、戦後70年問題を軸に「遠交」を展開、対日政治圧力を加えて日本を外交上ねじ伏せようとするだろう。


これに対して首相・安倍晋三は就任以来繰り返して主張してきた「積極的平和主義」に軸足を置き、やはり「遠交」による中国の覇権路線封じ込めを展開するだろう。「遠交」の焦点となるのは米国取り込みだ。流れは米国におけるプロパガンダ合戦の様相を示す方向だ。際どい接戦が展開されるが6対4で安倍が勝つだろう。


新年のテレビ評論を黙って聞いていたが、国際情勢を述べる外交評論家の使う枕詞に「米国の衰退」がある。何かの一つ覚えのように「米国の力が弱まった」と言うが、この認識は間違っている。それならば主要国の状態はどうかと言えば、日本以外はおしなべて衰退だ。


ヨーロッパは「ギリシャ危機」が本格化しようとしており、景気は低迷。統合の危機にすら直面している。ロシアはプーチンの場違いで時代錯誤の大国主義が石油暴落で危機に瀕している。民族主義を刺激して支持率を上げようとする邪道ポピュリズムのツケが回っているのだ。


中国は日本の浅薄な評論家が「習近平は毛沢東、ケ小平なみの権力基盤を築いた」と唱えるが、どうだろうか。筆者は習近平には毛沢東やケ小平にあったライオンのような「陽性」がなく、は虫類のような「陰性」が際立つと思う。


この「陰性」が災いして内政外交の展開は限界が生じよう。「陰性」の象徴が、権力基盤を対抗勢力への汚職の摘発と、国民世論を日本軍国主義批判など策略のみでまとめようとしていることだ。要するに「陰険」なのである。陰険と受け取られる指導者が、ことをなした例は古今東西においてない。


米国はどうかと言えば、筆者はベトナム戦争時代にワシントンに滞在したが、その時代の米国ほど衰退していない。当時はベトナム戦敗退とウオーターゲート事件でのニクソン退陣もあって、米国は外交どころではなく世相もすさみ、モンロー主義的な閉じこもりの雰囲気が横溢していた。


現在はむしろシェールガス革命と石油価格暴落の恩恵を享受する流れであり、オバマはヨーロッパと中東の泥沼に足を突っ込むことはほどほどにしたいだけなのである。それより世界第3位の経済大国で、集団的自衛権の行使など安全保障意識がようやく芽生えた日本と組んで、アジアにおけるリバランス(再均衡)を展開したいのだ。


正月の浅薄評論には「米国は日本より中国重視」という噴飯物があったが、それはない。もちろん中国とは経済的な結びつきは日本同様に強化の流れであるが、外交・安保政策では、アジア太平洋経済協力会議(APEC)における米中首脳会談が“物別れ”的であったことが象徴するように、中国の覇権主義と対峙する姿勢に変化は感じられない。


一方日本は詳しくは明日の評論で述べるが、近年まれに見る明るさである。正月の財界人の経済見通しを昔「あてにならない」と漏らした愚かな内調室長が小泉政権時代に居たが、大企業社長らの年始の見通しほどあたるものは無い。ある意味で命がけの予想であるからだ。


それがおしなべて「今年はいける」だ。株価も年度末2万円超の予測が多い。アベノミクスに神風となることは言うまでもない。全くあたらない経済評論家の言は信用しないのが一番だ。選挙圧勝といい、原油暴落といい安倍はここ数代の首相で最もついている。政治家にとってツキほど重要な政治要素はない。


その安倍に対して習近平は、唯一の「隙」を歴史認識問題とみなして、戦後70年を機会に古傷を突こうとしている。朝日新聞など一部日本のマスコミがこれに同調することは目に見えている。


安倍は中国とメデイアが合体した形での70年問題展開を覚悟すべきである。その焦点は冒頭述べた遠交近攻戦略の通り米国が70年問題にどう対応するかである。米国内ではニューヨークタイムズなどリベラル派が中国に同調する可能性があることを警戒しなければならない。


そもそも習近平は、共産党政権が対日戦争に勝ったような発言を繰り返すが、その正統性には疑問がある。日本と主に戦って勝利したのは国民党政権であり、中共はそれほど顔を出してはいない。それに70年問題とは何か。単に節目であるだけであり、日本をおとしめる思惑があるから存在するだけだ。日本が痛がるから傷口に塩をすり込むだけのことでもあろう。うまくいったら次は71年問題かと言うことになる。


それなら英国のアヘン戦争にも記念日を作ってはどうか。危険なドラッグの製造「輸出」を看過しているのは世界に対するアヘン戦争の仕返しなのかと思いたくなる。


しかし、国内を「反日」で統一したい習近平は昨年、立法機関である全人代の常務委員会会議で、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」に、9月30日を「烈士記念日」に、そして12月13日を「南京大虐殺殉難者国家追悼日」にするなど、一連の日中戦争関係記念日に法的地位を与えた。


今年は当然米世論にも働きかけて一大プロパガンダを展開するだろう。しかし米国の朝野が挙げて70年問題で対日批判を展開して中国に同調することはあり得ない。親日家でコロンビア大学教授のジェラルド・カーチスは「70年前のことをとやかく言う必要は無い。むしろ70年後に日米が中国などアジア情勢にどう対応すべきかが問題だ」と述べているが至言だ。


またオーストラリア首相アンソニー・アボットが「日本は公平に見て70年前の行動ではなく、今の行動で判断されるべきだ」と述べているのは心強い。安倍は、大使館など外交機能をフルに使ってこうした国際世論を一層高めるべきだろう。


戦後近隣諸国と戦争を繰り返してきた好戦的中国共産党に比べ、自由を守り平和に徹して、莫大(ばくだい)な政府開発援助(ODA)を続け、世界平和に貢献してきた日本の立場を堂々と主張すればよい。


安倍は5月連休の訪米の焦点の一つに70年問題を加え、オバマに「戦後レジュームからの脱却」の真意を説明して、終戦記念日から抗日戦勝利記念日にかけて展開される習近平の反日キャンペーンに確かな同盟の礎を築くべきだろう。先手必勝ということだ。習近平の打揚花火を水をかけて湿らせる必要がある。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月19日

◆ルーブル暴落でトラバサミのプーチン

杉浦 正章




アベノミクスには原油安の“神風”が吹いた
 


まるで大統領プーチンはロシアンルーレットの引き金を独りで引き続けているかのようである。ルーブル暴落という経済危機に直面しながらウクライナ介入をやめようとはしないプーチンは、国際政治の仕掛けたトラバサミのわなにはまって抜け出すすべを知らない。


仕掛けたのは米国とサウジアラビアであると記者会見で名指ししたが、そうだとすれば胸のすくように見事なる“陰謀”である。石油・天然ガスに輸出の7割を依存するロシア経済に目を付け、その暴落を謀れば確かにロシア経済は危機に瀕する。


プーチンは進退窮まった様相である。逆に日米経済にとってはエネルギー価格の低落は願ってもないクリスマスプレゼントとなる。アベノミクスには紛れもなく“神風”である。
 

石油減産が議題となった石油輸出国機構(OPEC)総会でサウジが減産に反対したときから、なぜ自らの利益に反することをするのかと頭に引っかかっていた。狙いはロシア経済にあったのだ。


プーチンが18日の記者会見で「石油価格についていろいろなことが言われている。サウジとアメリカが共謀したとかだ」と憤まんをぶつけたが、ロシアの一番弱い脇腹へのオバマの一撃であり、膠着状態のウクライナ情勢の転換を狙ったものであろう。国際政治の「恐ろしさ」をつくづく感じさせる。


プーチンはまるっきり油断していたことになる。もともと米欧の経済制裁の効果が出るのはまだ時間がかかると見られてきた。ところが押している欧米がつんのめるようなロシアの経済危機である。


オバマはさらなる一撃を用意している。それは議会で通った経済制裁追加発動法案の署名である。オバマは近く署名する姿勢であり、プーチンの方向転換を迫り続け、手を緩める気配はない。水に落ちた犬は叩かれるのだ。
 

そもそもプーチンは、クリミア併合で国民的英雄視されて支持率が80%台となり、これを維持するためウクライナ東部への軍事介入を続けている。まさにポピュリズムの極致のような政策をとり続けており、国際的には孤立化の色彩が濃厚だ。


逆に国内経済は石油天然ガス依存のOPEC並みの「不労所得経済」に徹して、産業基盤を整えることなどつゆほども思いが至らなかった。産業の近代化などより、手っ取り早いエネルギー輸出に力を傾注して、人気を保ってきたのだ。


おりから米国では格安のシェールガスが大量生産の時代に移行し始めて、これが石油価格の低落に大きな要因として作用した。西欧、中国などの不況も石油の需要を鈍化させ価格低下を後押しした。この石油安の流れは構造的なものであり、中期的には反騰の気配はない。


この西側の制裁と原油安というダブルパンチの窮地をプーチンが脱するには、欧米にひざまずいてウクライナへの介入をやめ、制裁解除を求めるしかない。制裁解除を得て国内経済の近代化を成し遂げ、石油に依存しない経済構造を作り上げるしかない。


プーチンは金融危機を「中央銀行の為替介入が早ければ、この事態にならなかった」と発言したが、自らの責任を転嫁するような姿勢ではこの危機を脱することは出来まい。


一番危険なのはロシアの民族主義をあおって、ウクライナへの介入強化を売りにして自らの地位を保つという方向を選択することであろう。だが「戦時経済」が長続きすることはあり得ない。いくら外貨準備が4190億ドルあると言っても、じり貧では展望は開けない。


プーチンがかつてのソ連のように米国と対峙するような方針がなり立つと思っているとすれば、時代錯誤もいいところであろう。


ロシアの国内総生産(GDP)は200兆円で米国の7分の1。軍事費は9兆円で米国の8分の1。もはや大国ではないのである。自らの大きさに合わせた穴を掘るべきであろう。プーチンは身分不相応の「火遊び」を早期にやめるべき時だ。


日本経済への影響は短期的にはプラスに作用するものとみられる。エネルギー価格は1割低下すれば国富が2兆円流出しないで済むといわれる。夏以来バレルあたり100ドルが50ドル台半ば。4割の低下は大きい。


地方が苦しんだガソリン価格も1週間でリッター3円下がっている。灯油も値下がりしている。電気料金も引き下げに動かざるを得まい。プラスチックなど原材料も値下がりする。原油安は、産業の生産コストを引き下げ、活性化させる。円安による値上がりを相殺して、アベノミクスには追い風だ。


安倍はこのチャンスを活用してアベノミクスの定着を図るべき時だ。米国経済も、「シェールガス」効果と相まって、消費や企業業績の好転につながるとみられている。米国株も日本株も上がり始めた。


    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月18日

◆選挙圧勝は日米同盟深化と対中抑制に

杉浦 正章




オバマはリバランスにプラスと判断
 


総選挙の結果を極東情勢と照らし合わせて見た場合、紛れもなく日米同盟の深化と対中抑止力の強化に資する傾向を示した。


自民党は今後の日米安保体制の要となる集団的自衛権の行使容認を選挙公約に掲げて圧勝を果たしたのであり、反対派が見る影もなき惨敗となったことは、アベノミクスと共に外交・安保も「この道しかない」流れを導き出したのだ。


大統領・オバマが総選挙結果について安倍にわざわざ電話して「衆院選の目覚ましい勝利に感銘を受けており、称賛したい。引き続きシンゾウと一緒に働くことを楽しみにしている」と述べたのは単なる外交辞令ではあるまい。総選挙結果は、自らのリバランス(再均衡)政策にとって安倍の路線が不可欠かつ信頼の置けるものとなった事を意味するからだ。
 

17日の電話会談でオバマは「近年、日本の政治は不安定だったが、国民が安倍政権への信任を示したことは、日本のみならず米国にとっても重要だ」と述べた。


オバマにしてみれば、安倍への国民の信任は対中抑止力に大きくプラスに作用することであり、安倍のリーダーシップが強化されたことは、日米2国間関係にもプラスの作用をもたらすという打算があるのだ。


選挙結果でとりわけ米国が重視しているのは日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定と環太平洋経済連携協定(TPP)交渉へのプラス効果だ。
 

ガイドラインについては年内合意の予定だった改訂方針が来年夏の集団的自衛権の行使に関する安保法制実現後に延期されることになったが、これはかねてから予想していたとおりだ。なぜなら法律が実現しないうちにガイドラインを先行させるのはどう見ても本末転倒だからだ。


そもそも昨年末の日米外相、防衛相による2+2で今年末と決めたのは、秋の臨時国会での法制化を前提としていたからだ。これが統一地方選後に延期になれば、日米合意も延期にならざるを得ないのだ。さらに加えて延期には重要ポイントがある。


それは沖縄事情である。知事選で普天間移転推進の仲井真弘多が敗北し、「沖縄ポピュリズム」の権化のような知事が誕生してしまったことだ。翁長雄志は極左政党の基盤の上に乗って「あらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地はつくらせない」と主張しており、政府を「日本政府」と呼ぶ異常さだ。


沖縄をまるで「独立国」化しようとしているとしか思えない愚かさだが、政府としては乗りかかった辺野古基地建設を推進するしかない。ガイドラインの中核となるべき問題であり、改訂までにできる限り基地建設の既成事実を積み上げる必要があるのだ。


誰が見ても普天間固定化は避けるべきであり、海兵隊のグアム移転を推進するためにも辺野古移転を粛々と実現させるべきなのだ。政府の路線は沖縄100年の計のためにも正しい。躊躇せずどんどん建設を進めるべきである。


一方TPPに関しても、米政府内に安倍のリーダーシップが強化されたことで交渉妥結に向けての流れが速まるという期待感が強まっている。


総選挙の公約ではTPPについて「国益にかなう最善の道を追求する」と妥結に前向きな姿勢を打ち出している。焦点は農産物や自動車を巡る米国との関税協議だ。特に牛・豚肉や乳製品など農産物の重要5項目を巡って膠着状態が続いている。


これまでは経済財政担当相・甘利明が一手に引きうけてきたが、安倍が妥結に向けての高度の政治決断を下すべき時期が迫っている感じが濃厚だ。安倍が前面に出る必要が生じて来よう。


さらに日米関係にとって重要なのは、ニューヨークタイムズなど米国のリベラル系マスコミ対策である。米外交当局者などはNYタイムズの記事を見て発言する習癖があり、ワシントンの世論形成への影響力は絶大だ。


例えば同紙は2日、朝日新聞が今年8月に慰安婦問題の記事を撤回して以来、安倍晋三政権を含む「右派勢力の(朝日新聞)攻撃」が強まっているとする記事を掲載した。これは事実誤認どころか高級紙にあってはならない、事実の歪曲である。


安倍が国会で述べたように「安倍政権打倒は朝日の社是」なのであり、攻撃を受けているのは安倍の側だ。官房副長官・世耕弘成が「安倍政権が朝日新聞やその記者を攻撃している事実は全くない。日本政府が求めていることは、正しい事実認識に基づいて、日本の取り組みに国際社会から正当な評価を受けることだ」と反論したのは当然だ。


抜かりはないだろうがこういう記事が出たらすぐに反論を送り、掲載を要求すべきであろう。また社長宛に抗議文書を出すべきだ。同紙は歴代エキセントリックな東京特派員が多いが、その都度正確さを要求して、更迭につなげることが肝心だ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月17日

◆結局岡田と細野の争いが軸か

杉浦 正章



誰がなっても「待ち」しかない
 
テレビで民主党政調副会長の岸本周平と後藤裕一の話を聞いたが、総選挙はすさまじい戦いだったらしい。岸本が「拒否されるならまだ関心があるからいい。有権者は民主党に無関心だった」と述べれば、後藤も「握手をしても相手はそっぽを向いていた」のだそうだ。

二人とも駄目かと思っていたが、投票ぎりぎりになって「自民党に300議席取らせていいのか」という訴えが利いて、やっと当選できたのだという。まさに九死に一生を得た選挙だったようだが、党建て直しのための代表選挙が動き始めた。来年1月に党員サポーターも参加して実施することになった。

しかし、候補者の顔ぶれを見ると「昔の名前で出ています」ばかりだ。細野豪志、岡田克也、前原誠司、枝野幸男、馬淵澄夫らの名前が挙がるが、賞味期限の切れた納豆がまだ食べられないか匂いを嗅いでいるような状態だ。

唯一若手で論客の玉木雄一郎の名前があがっているが、知られていないだけの新鮮さではどうしようもない。問題は枝野がどうして候補になり得るかだ。党幹事長は民主党代表だった海江田万里と同じで、選挙敗北の一級戦犯である。ここは本人が辞退した方がよい。「代表選マニア」の馬渕も「出ると負け」で、もう新鮮味はない。

有力候補を分類すると政界再編を売りにする再編派と党再建を重視する再建派に分けられる、前原、細野が再編派、岡田、枝野が再建派だ。

前原は維新共同代表・橋下徹と密接な関係を維持しており、再編派筆頭と言える。民主党内には民主党の73議席と、維新の41議席を合わせれば100議席を超えて政権交代の基盤となり得るという見方が出ている。

しかし失礼ながら駄目政党と駄目政党が合流しても駄目の二乗になるだけで、何ら躍進ムードを感じさせない。単なる数合わせの野合をしても、一強自民に勝てるだけの勢いは生じようがないのではないか。

連合、日教組などを基盤とする党内左派と前原や維新系など右派との対立が激化することは目に見えている。したがって再編派は再編する前から破たん気味なのだ。前原は党を分裂させてでも再編に動くかといえばそうでもあるまい。

かねてから「大きな家論」を唱えており、基本的には民主党が維新を吸収する構想だ。

再編派の細野も原発担当相だったころ私的検討会(核不拡散研究会)が、こともあろうに韓国の使用済み核燃料の受け入れ先に、日本の青森県六ヶ所村を候補として挙げたことが、強いひんしゅくを買うなど、政治家としての方向性が今ひとつぱっとしない。

かつて元アナウンサーの山本モナとの不倫関係がやり玉に挙がったりしており党内的な人気の広がりが生ずるかどうかは不明だ。しかしこれらマイナス要素は、細野の立候補を止めるほどの内容とはならないだろう。

一方再建派の枝野は、こまっちゃくれが原因してか選挙でも国民的な人気が盛り上がらず、選挙戦への貢献度は少ない。岡田は再建派ながら野党再編を否定しているわけではない。

「野党も一つの固まりを作る努力をしなければならない」と述べている。しかし左派からの支持を意識して、声高に再編論を唱えないだけだ。左派はどう動くかだが、候補がいないのが実情だ。

労組系には元衆院議長・横路孝弘を推す動きもないわけではないが、まだ海の物とも山の物とも言えない状況だ。日教組幹部で参院副議長・輿石東を軸とする左派が、岡田でやむなしに固まれば、岡田が最有力候補になり得る。

消去法で消してゆくと1人も候補が居なくなてしまうのが実情だが、ここは岡田の再登板が一番安定した流れとなりそうな気配も感ずる。夏の「海江田降ろし」でも岡田を担ぐ動きが見られた。細野と岡田の対決が軸となれば結構まともな代表選の流れとなる。

いずれにしても、民主党は予見しうる将来にわたって「待ち」の政党を余儀なくされる。「待ち」とは自民党が大失政や大スキャンダルでずっこけるのを待つしかないということだ。

首相・安倍晋三による長期政権はよほどのことがない限り崩しようがないだろう。万一安倍が高転びに転んでも、自民党は総裁を交代させるだけであり、政権交代にはなかなか結びつかないだろう。

3年間の大失政政権で失った民主党への信頼が回復するには、地道な草の根からの地盤作りを続けるしかあるまい。それには時間がかかる。魔法のような「風」は誰が党首になっても吹くことはない。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月16日

◆厳冬の日中、日韓に薄日が差し始めた

杉浦 正章




待ったなしの安倍外交
 


中国も韓国も優秀な特派員は全てワシントンに配置して、東京には二選級ばかりを置いているのだろうか。特派員らが本国に送った総選挙結果の反響を分析すると首相・安倍晋三が「今にも改憲に動く」の大合唱である。


中国の環球時報が「一層憲法改正への加速を意味する」と論ずれば、朝鮮日報は「憲法改正の足場を確保した」と断定。おまけに安倍が戦後70年の来年「村山談話を傷つける談話を出す」と付け加えた。まるで誤報と憶測の山を築いている。


これで中韓両国民や政府に誤判断されてはかなわない。両国はもっと優秀な特派員を東京に出すべきだ。いうまでもなく改憲は安倍自身が「高いハードルがある」と述べている通り、まだ参院で3分の2に達しておらず、衆院でもブレーキ役の公明党と合わせて3分の2なのだ。


自民党の悲願の党是であるから、総裁たるものが前向き姿勢を示すのは当然であるが、優先順位はトップではさらさらない。さらにたとえ国会の発議が実現しても、最終的には国民が投票で決める制度であり、関門は大きいのだ。


民主主義国家における選挙制度もよく理解していない。選挙結果は国民の意思の反映であり、安倍がひとりでに長期政権の基盤を築いたわけではない。その国民の意思について特派員らは中韓両国の対日姿勢が大きく作用していることに全く気付かない。したがってそれを解析出来た記事もない。


「安倍自民」への票は、中国が他国の領海へ公船をさしむけたり、韓国がありもしないことが判明した慰安婦強制連行など歴史認識に固執していることに、反発した結果である。中韓両国がこうした姿勢を繰り返している限り、「安倍自民」は有権者に支持され安泰であることが分かっていないのだ。


それでも両国首脳の、立場は微妙な変化を見せており、さすがに特派員レベルとは異なる。まず中国国家主席・習近平が周恩来の「二分論」を紛れもなく踏襲し始めた。周恩来の「二分論」とは日本軍国主義者と一般国民を分けて対応するというものである。


周恩来は「日本人民も吾が人民と同じく日本軍国主義者の犠牲者であり、賠償を請求すれば同じ被害者の日本人を苦しめることになる」と述べて、軍国主義と日本国民を区別している。習近平は「少数の軍国主義者が侵略戦争を起こしたことによって、その民族を敵視すべきではない」と言明したのだ。


13日に開いた旧日本軍の南京占領時の犠牲者を追悼する式典での演説だが、一方で習は「歴史を顧みない態度と侵略戦争を美化する一切の言論に断固反対しなければならない」と強調。「南京大虐殺の事実を否定しようとしても、30万の犠牲者と13億の中国人民、平和と正義を愛する世界の人々が許さない」と、口を極めて事件を非難している。


この立場は習近平指導部が来年を「抗日戦争勝利70年」と位置づけ、歴史認識問題で安倍政権に妥協しない姿勢であることを鮮明にしている。


共産党内部の権力抗争対策や国内世論の統一のためには「歴史認識での反日」と「領土問題」を前面に打ち出すのが最良の道と判断している証拠だが、日本国民と区別することにより経済文化交流を深めたいという思惑がある。


72年の田中角栄・周恩来会談はまさにこの「二分論」で日中復交が実現、以後莫大(ばくだい)な日本の対中経済援助と技術支援が行われ、中国躍進の原動力となった。その流れの踏襲に他ならない。


一方で朴槿恵は去る1日、経団連会長の榊原定征と会談した際、歴史問題の解決について「韓国側の環境整備」を進める意向を示した。「日本側には慰安婦問題で誠意ある態度を示して欲しい」と言う発言は相変わらずであったが、「日本側から誠意ある姿勢を期待するが、韓国側としてもその環境整備に努力したい」と一定の配慮とも言える発言をしたのだ。


「環境整備」とはあきらかにこれまでの棒を飲んだような姿勢からの変化が感じられる。北京における11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の夕食会で安倍と朴は隣り合わせになって長時間“会談”しており、その内容は明らかにされていない。何らかの進展があった可能性がある。


こうして日中、日韓関係は厳冬期ではあるが若干の薄日が差し始めた感もある。3国は来年早々にも外相会談を行う流れも生じており、これを手始めに本格的な首脳会談への道筋を探ることになりそうだ。安倍は総選挙での国民の圧倒的な支持を背景に、安易な妥協を避け、自信を持って対応すればよいことになる。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月15日

◆新55年体制で安倍長期政権へ

杉浦 正章
 



経済と外交・安保への期待感が大勝導く
 


民主政権時代へのアレルギー消えず
 

この総選挙圧勝が意味するものは、自民党長期政権が保守合同以来38年間続いた55年体制が形を変えての再現であるかのように見える。新55年体制とも呼べる長期政権の体制が視野に入ってきたのだ。


自公3分の2の325議席の達成はアベノミクスが成果を上げれば16年の参院選に向けてもプラスに作用しよう。万一参院で過半数を割っても憲法の規定で衆院における法案再可決が可能となり、自公政権の下野はあり得ない。


2度にわたり総選挙で自民党を大勝に導いた首相・安倍晋三の功績は大きく、長期政権の基盤は整った。安倍はアベノミクスの仕上げの時間を確保し、来年早々公約である原発の再稼働、通常国会後半の集団的自衛権行使のための安保法制を断行する。長期的には憲法改正への動きを見せるだろう。
 

保守合同以来20回の総選挙で自民党が290議席を上回った例は池田勇人296議席、中曽根康弘300議席、小泉純一郎296議席、安倍信三294議席と今回の290議席の5回ある。安倍は2度にわたって290を達成したのであり、前代未聞の功績である。


この結果来年9月の自民党総裁選では再選が確定的となった。最有力後継候補の石破茂が負ける総裁選に立候補するかどうかが焦点だが、ここは自重した方が本人のためだ。
 

自民圧勝の背景は、何と言っても野党の選挙準備が整っていない内に断行した「急襲解散」という戦術面にあるが、最大の勝因は有権者の民主党政権時代へのアレルギーがなお継続していることを物語っているのだろう。


民主党に勢いが戻っていたなら100議席台を確保して次の政権交代への基礎を固めることが出来たが、73議席がやっとでは予見しうる将来の政権復帰は考えられない。代表・海江田万里が議席を失って辞任するという事態が全てを物語っている。まだまだ有権者は民主党の政権政党としての復活を許していないのである。


さらに政権交代可能な2大政党時代を招くとした小選挙区制が、3回連続で一強多弱型選挙結果をもたらしたことは、当初の構想が誤判断であった事を意味する。死票が多すぎる現行選挙制度は、有権者の多様な民意を反映できない。中選挙区制の方が2大政党の色彩が濃かったくらいだ。


導入への旗振り役であった元衆院議長・河野洋平が陳謝を繰り返しているが、日本型政治風土に馴染まない制度は早期に中選挙区制に戻すべきだろう。


加えて長期にわたるデフレにあえぐ有権者は、アベノミクスに賭けた側面が大きい。デフレ脱却の手段を持たないまま民主党がアベノミクスを批判しても説得力がなく、「この道しかない」というサッチャーの名言を踏襲した安倍の方が信頼感を発揮したのであろう。


さらに逆説的に重要ポイントとしてあげられるのは中国と韓国の選挙への「貢献」である。中国公船は尖閣諸島の領海への侵入を常態化させており、習近平の安倍との会談で見せた無礼な態度は逆に安部への支持を高めている。


太平洋を米国と2分割して海洋進出を図ろうとする中国に対して安倍は集団的自衛権の行使容認を軸に日米安保関係を強化するとともに、豪州、インド、フィリピン、ベトナムなどとの対中けん制包囲網を築いてきた。


過去2年間のこの姿勢は周辺国から軽視され切った民主党政権時代の外交・安保政策を反転させるものであり、国民の支持を獲得したのだ。対韓外交も大統領・朴槿恵と歴史認識などで安易な妥協に走ることなく毅然と対応していることへの評価もプラスに作用した。


安倍が維持してきた姿勢の内原発の再稼働と集団的自衛権の行使の法制化は自民党の公約にも掲げられており、今後は着々とその実現を図ることになろう。原発再稼働はこれまで停滞しがちであったが、川内原発を皮切りに早期に再稼働を果たすべきであろう。原子力規制委もサボタージュのような遅延策を取るべきではない。


また再稼働の条件を設定した以上、その条件に合致した原発新設も推進すべきであろう。まだまだ原発に代わる代替エネルギーなどは遠い将来の話であり、一部マスコミや野党のように夢物語をして世界一高い電気料金で国民を窮状に置き続けるべきではあるまい。


集団的自衛権の行使への安保法制も粛々と進めるべきであろう。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改訂は、国内論議を配慮してか遅滞しており、極東情勢の激変を念頭に早期に「対中抑止力」を前面に打ち出すべきだろう


憲法改正について安倍は14日「憲法改正はわが党にとっては悲願であり、立党以来の目標だが、衆参で3分の2の多数を形成しなければいけないという高いハードルがあり、まだそこには至っていない。それに向かって努力していくと同時に、憲法改正に向けた国民的な理解が深まっていくよう努力していきたい。憲法改正の必要性について訴えていきたい」と述べた。


これは当面アベノミクス、原発再稼働、安保法制にエネルギーを注ぎ、改憲は折に触れて問題を提起しつつも、再来年の参院選挙で参院でも改憲発議の3分の2を目指すという長期戦の構えであろう。 


維新の不振は、国民のガバナビリティ(被統治能力)の向上を意味する。無責任な「風」で選択する事の危険を民主党政権とそれに続く第3極ブームで思い知ったのである。維新は共同代表・江田憲司が人気が湧かないどころか足を引っ張った感じが濃厚だ。共同代表・橋下徹は合併して判断を誤った。両者のあつれきが強まりそうだ。


共産党は民主党がだらしがないから反自民評の受け皿になっただけ。漁夫の利であり、法案提出権は得たが、国政には何ら影響は出ない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2014年12月12日

◆自民圧勝で改憲「関ヶ原」は参院選に

杉浦 正章




安倍の「寝たふり」が起き出す
 


3分の2という数字を目の辺りにして、首相・安倍晋三が構想するのは何だろうか。紛れもなく憲法改正手続きへのフリーパスだ。前回衆院選も小泉郵政解散の時も与党合計は3分の2を越えているが、今回は与党で3分の2の317議席を大幅に超える可能性がでており、場合によっては自民党単独で317議席に迫る勢いもある。


安倍の争点をアベノミクスに一本化する戦略が見事図に当たったことになる。持論の改憲志向は封印したのが功を奏したことになる。


しかし安倍の究極の政治目標は改憲であることはいささかも揺らいではいまい。来年の通常国会はその序盤戦の感じを出すだけにとどめるだろうが、最終的には再来年の参院選を改憲関ヶ原と位置づける可能性が高い。


改憲の手続きはまず発議が衆参それぞれ3分の2の多数で行われ、国民投票にかけて有効投票の過半数で決まる段取りだ。今回の選挙で自民党は徹底的に「改憲寝たふり選挙」を押し通した。前回は公約に「国防軍」の設置など改憲草案を前面に出したが、今回は公約の政策集の末尾で「憲法改正を目指す」と触れただけ。


安倍の発言も「残念ながらまだ憲法改正の気運は国民の間で盛り上がっていない。国会で3分の2の多数を形成するのは簡単ではない」と抑制気味であり、あえて争点化を避ける意図が感じられた。そして「この道しかない」とアベノミクスを前面に押し出して、争点を景気に絞った。この結果与党の3分の2が確実視されるに至ったのだ。


加えて衆院で自民党が300議席を上回る方向であることは改憲に向けての大きなメルクマールとなる。選択肢が増えるのだ。安倍は改憲戦略について「3分の2の多数を形成できるものからやっていくのが現実的」と述べている。


これは国論が2分する「9条」は後回しにして、政党間の合意が出来る項目から発議して国民投票にかけるという、いわば「対護憲アリの一穴」方式である。改憲アレルギーを除去したうえで本丸の9条を攻める作戦だ。


例えば公明党とは同党の主張する「環境権、地方自治の拡充、自衛のための必要最小限度の実力組織としての自衛隊の存在の明記」などで組む。組むのは何も公明党だけでなくてもよい。維新の党や場合によっては次世代の党と組むこともあり得る。


また一朝有事の際や東京直下型地震など大災害時に対応する緊急事態条項などの先行も検討されている。内閣に法律と同じ効果を持つ政令の制定を認める条項だ。300議席超は極めて選択肢が増える流れができ得るということだ。


こうして再来年の参院選挙に向けて、与党内および他党との「下地作り」を進めるのだ。そして参院選で与党3分の2か与野党3分の2の勢力を獲得して、改憲を発議する。自民党内にはうまく事が運んで参院選前に3分の2が形成されるものがあれば、参院選の前に憲法改正案を発議し、参院選と合わせて国民投票にかけるというドラスチックな構想もささやかれている。


しかし現状における参院の議席は、合意が出来そうな自民114,公明20、維新11,次世代7で、合計しても152議席であり3分の2の162議席に届かない状況だ。難しい構想ではある。唯一民主党を分断出来れば可能になる。
 

ただ来年の通常国会においては改憲問題は「論議」にとどまることが予想される。予算案は与党の圧倒的多数の中でおそらく年度内に成立する運びとなろう。そして4月の統一地方選挙以降は、集団的自衛権の行使容認に向けての法整備が行われる。


今のところ一本化した法案が出される方向にはなく、自衛隊法の改正を軸に関連法案が多数出されることが予想され、この処理に政権は忙殺されることになる。またアベノミクスも成否をかけた正念場となる方向であり、改憲が動き出すとすれば通常国会以降となるだろう。


これに絡んで、再来年の参院選で一挙に与党が3分の2を獲得する方法がもう一つ永田町玄人筋の間でささやかれている。それは衆院とのダブル選挙だ。嫌がる公明党を説得出来れば、相乗効果で衆参3分の2も夢ではない。


まだ衆院は任期が1年半しかたっていない段階だが、今回の「急襲解散」を編み出した安倍のことだ、何をするか分からないと見ておいた方がよい。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月11日

◆秘密保護法でようやく「普通の国」に

杉浦 正章




安倍政権での報道抑圧はあり得ない
 


しょせん政権側は秘密を守る習性があり、マスコミはこれを暴く習性があるのだ。特定秘密保護法が施行されたが、同法があろうがなかろうが関係はない。未来永劫にこのいたちごっこの戦いは続くのだ。


マスコミは「取材源が萎縮する」と言うが、法案を口実に萎縮しているのは記者の方ではないか。甘えてはいけない。萎縮しようがしまいが、国民のためにならない情報は公に報道する。これが報道の基本であり、平たく言えば記者根性というものだ。


そもそも特定秘密保護法は欧米でもアジアでも各国が共通して施行している法体系であり、日本がようやく普通の国になっただけのことだ。漏洩への最高刑は米国も中国も死刑だが日本は懲役10年とゆるやかだ。


その死刑があり得る機密漏洩をめぐるマスコミと政権のすさまじい戦いを米国で特派員時代につぶさに見た。71年のペンタゴン・ペーパーズ事件だ。


ニューヨークタイムズがベトナム戦争に関する国防総省の機密文書を連載し始めたのだ。秘密文書作成にかかわったダニエル・エルズバーグから入手したものだ。


事態を重視した大統領ニクソンはペンタゴン・ペーパーズの新聞への掲載を国家安全保障に脅威を与える国家機密文書の漏洩であるとして、記事差し止め命令を求め連邦地方裁判所に提訴した。マスコミと政権の血みどろの戦いが展開されたが、最終的には連邦最高裁判所での上告審で「政府は証明責任を果たしていない」という理由で却下された。


まさに言論の自由が勝利した瞬間であり、以後の判例や、政府の方針決定に大きな影響を与え、米国は結局ベトナム戦に敗北して撤退した。


このように、言論の自由とは基本的にはマスコミと政権の対峙の中から戦い取るものであり、天から与えられるものでもない。秘密保護法があろうがなかろうがこの構図には変わりはない。それに今回の秘密保護法を見れば、とてもこれにより日本が全体主義に陥り、言論活動が抑圧される性格のものとは思えない。


だいいち首相・安倍晋三が「和製ヒットラー」になるとも思えない。安倍自身テレビで「秘密保護法はテロリストやスパイ工作を対象にしたもので、国民とは全く基本的に関係はない。報道が抑圧される例が生ずれば私は辞めますよ」と言明している。


もともと日本は世界の主要国から「スパイ天国」と見られており、昔内調室長が「アメリカですら、信用して情報をくれない。モサド(イスラエル諜報特務庁)からもらう情報が多い」と嘆いていたのを思い出す。それはそうだろう、法律の不整備と公務員の弛緩が原因で数多くの機密軍事情報が日本からソ連や中国に流出したと言われる。


その氷山の一角が7年前に発覚した自衛官によるイージス艦の性能に関する機密漏洩事件だ。国防のトップ機密をよく中国に漏らしたと思われる事件だったが、今中国海軍はイージス艦そっくりの高度なシステム艦を保有して、これ見よがしに演習に繰り出している。


これら軍事情報の流出はまかり間違えば国民の生命、財産を危険にさらすことになりかねない。何十万人もの死者を出す事態が機密漏洩で発生しないとは限らない。例えば迎撃ミサイルに関する情報が中国や北朝鮮などに筒抜けになれば、安全保障戦略が決定的に不利な状況に置かれかねないのだ。


安倍の「辞めます」発言に関して朝日は「要するに政権を信用して欲しいということだろうが、それをうのみにするわけにはいかない」と拒絶反応だ。折から偶然にも選挙期間中に法律が施行される事態となった。ここは安倍が堂々と秘密保護法の必要を説けばよい。おそらく有権者は自民党を圧勝させることにより、「政権を信用」するだろう。


野党や毎日など一部マスコミは選挙中の施行に反発している。民主党幹事長・枝野幸男が「衆院解散により不十分な国会の監視システムすら設けないままの状態で施行するのは問題」と噛みつけば、社民党幹事長の又市征次も「衆院議員が誰もいない中での施行は言語道断」と批判。これこそノーテンキな無知丸出しの事実誤認だ。


昨年12月6日成立、同年12月13日に公布された法律には「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」となっている。それを受けて政府は10月14日の閣議で12月10日施行と決定しただけである。解散風は11月9日から吹き始めたのであり、10月の時点では誰も安倍が解散・総選挙に踏み切るとは思っていなかった。


したがって閣議がこの段階で解散にぶつけようと思って日程を組むことはありえない。おまけに選挙に不利に働きかねない法律の施行を選挙期間中にあわせるなどと言うことはあり得ない。


そもそも法律は成立したのであり、野党が1年たってから噛みついても遅いのだ。黒白は選挙が付ければよい。安倍が原発再稼働、集団的自衛権の行使とともに秘密保護法も「選挙圧勝」で信任を受けることは確実だ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月10日

◆自民圧勝は「リベラル4兄弟」の敗北

杉浦 正章

 


一部マスコミは原発・自衛権で論調を転換せよ
 


まれに見る自民党圧勝の構図が出来つつあるが、総選挙の結果はマスコミの論調の在り方にも問題を投げかけるだろう。


最大の焦点がアベノミクスの是非に絞られているからその陰で比較的目立たないが、大きな焦点はさらに2つある。来年待ったなしとなる原発再稼働と集団的自衛権容認の安保法制への事前信認だ。


自民党は両問題を正式に公約として掲げて戦っている。マスコミはこれに反対する朝日、毎日、TBS、朝日テレビの「リベラル4兄弟」と、是認する読売、産経の「安部寄り義兄弟」に分かれて論戦を展開しており、選挙情勢はリベラル4兄弟の敗北がはっきりする流れだ。


おそらく4兄弟はめげずに来年早々から原発・集団的自衛権反対を主張し続けるだろうが、3回の国政選挙で民意は明白である。ここは、敗北を認め民意を尊重した論調へと転換すべき時ではないか。


今回の選挙で自民党は、両重要案件について公約で明白な立場を打ち出している。原発に関しては「原子力は安全性の確保を大前提に、重要なベースロード電源との位置づけのもと、活用していく」と再稼働を明示した。


一方集団的自衛権の行使容認に関しては「7月の閣議決定に基づき、平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備する」と通常国会での法制化を明言している。


両案件が公約として明示されたことになるが、12年の総選挙でも、13年の参院選挙でも総裁・安倍信三と幹事長・石破茂は、これを明言して選挙戦に臨んでおり、報道もされている。事実上の公約と受け取られてきた。


つまり自民党は明言して過去2回の国政選挙で信任を得ているのだ。今回の総選挙での圧勝は、原発と集団的自衛権の行使で最終的に民意の信任を得る選挙となるわけだ。


まず原発については、一部マスコミは1200年に一度の大津波で発生した事故を金科玉条にして反対しているが、事故による直接的な死亡例はゼロだ。チェルノブイリは死者が30数人だが、これは核爆発であったから当然だ。


フクシマの場合は所長以下職員の必死の働きで事故を押さえ込んだのが実態だ。事故を教訓に原子力規制委員会は世界で最も厳しい認可基準を設定、鹿児島川内原発は来年早々にも再稼働する流れとなっている。


反対派のマスコミが無責任なのは、原発停止によるマイナスの側面を全く無視して、昔の社会党並みに「何でも反対」を唱え続けていることだ。国富が年間4兆円も流出し、景気の足を引っ張っていることは無視。世界で一番高い電気料金がさらに値上がりしてあえいでいる庶民や中小企業のことなど見て見ぬ振りだ。


一方世界に目を向ければ、朝日と親密な関係にあるニューヨークタイムズは化石燃料による地球温暖化と頻発する自然災害への懸念から、「原発やむなし」の論調を打ち出している。


温暖化への新枠組みは来年末のパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で決定の運びとなる。米中両国は11月の首脳会議で方向を打ち出し、欧州連合も野心的な削減策を決めている。


日本は原発の総エネルギーに占める割合が定まらず、具体的な数値決定が遅れている。開催中のペルーのCOP20では、来年5月までの提示を求めており、遅れている日本への重圧となっている。提示できなければ国際社会から総スカンを食らうことは必定であり、そのためには早期稼働が不可欠となっているのだ。


リベラル4兄弟はこうした大局的視点がゼロであり、論拠なしで反対のための反対を扇動している。これではいずれは国民の不信を買うことは必定だ。


集団的自衛権の行使についても、読売は社説で「集団的自衛権、行使容認の意義を堂々と語れ」と主張しているが、リベラル4兄弟はこれまた反対のための反対だ。まるで中国の海洋進出が見えないかのような論調だ。


中国国家主席・習近平はオバマとの会談で繰り返し太平洋2分割論を主張し、東・南シナ海への進出を正当化しようとしている。日中対話のムードが出てきているのは歓迎すべきだが、中国がその世界戦略である海洋進出を断念することなど金輪際あり得ないだろう。


極東情勢は基本的には、「冷戦構造」なのである。集団的自衛権の行使容認は国連憲章で認められている普通の国の安全保障であり、その法制化は遅きに失したくらいだ。


こうしてアベノミクスに勝るとも劣らない、2つの課題が有権者の信任を得つつある。自民党は公約に掲げての選挙であり、その結果に基づいてまずは遅れに遅れている原発再稼働にまい進すべきである。そして来年4月以降は集団的自衛権の行使容認に向けて法整備を急ぎ、通常国会会期内に粛々と成立させるべきであろう。


リベラル4兄弟も民意の動向を考え、その路線を是正した方がよい。これは友情ある説得だ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月09日

◆総選挙結果で「新55年体制」視野に

杉浦 正章




油断しなければ自民党長期政権の構図



生活の党代表・小沢一郎本人が危うい選挙情勢だ。自民党は官房長官・菅義偉に続いて首相・安倍晋三も岩手4区に入り、攻勢をかける。必死の防戦の中で小沢の唱える「選挙後は新55年体制に陥る」という見方が説得力を持って語られ始めている。


55年体制とは保守合同から38年間続いた自民党と社会党対決の構図だが、総選挙結果を展望すると確かにそう言えなくもない。


55年体制は東西冷戦と高度経済成長への期待を基礎に自民党長期政権が維持されたが、ソ連に取って代わった中国の進出による極東冷戦の構図と、アベノミクスへの期待感は、社会党の殻を引きずる民主党への不信感と直結して新たな自民党長期政権の構図を生みつつあるようだ。


ただし、中選挙区と違って小選挙区制は「風」が左右する側面があり、油断すれば一挙に奈落の底に落ちることになる。


小沢は55年体制を崩壊させた立役者だから、一層身にしみて感じているのだろう。「このままなら自民党の与党時代が続く新55年体制になり、国民は日本が沈没するまで嫌々自民党政権を選ぶことになる」と毒づいている。


民主党を中心に第3極を集合させる新党構想が、民主党から相手にされず、破れかぶれなのは無理もない。しかし国民は見抜いている。小沢が作っては壊した政権が、再び登場してはそれこそ「日本が沈没する」と見ているのだ。


だから小沢が狙った新党によるブームは絶対に起きない構図になっていたのだ。これを理解できないのは、過去の栄華にすがる老人のさがであろうか。


ただ「新55年体制」そのものは説得力がある。55年体制は1955年に右派社会党と左派社会党が一本化して日本社会党になり、これが保守系政界と財界の危機感を呼んで、日本民主党と自由党が一本化して自由民主党になったのだ。


以後自民党は安保改定を軸に対米協調路線で高度経済成長を果たし、社会党は社会主義イデオロギーに根ざした反対勢力の立場を維持した。その勢力比は55年体制発足後の最初の58年の総選挙で自民党が287議席、社会党が166議席を獲得して全体のなんと97%を占め、以後議席数がほぼ2対1の比率が維持され続けた。


有権者はこの間改憲に必要な3分の2議席を自民党に与えなかったが、社会党への政権交代は拒絶し続けた。絶妙のバランスを維持したことになる。


55年体制発足以来13回の選挙結果を平均すると自民党271議席、社会党118議席である。宮沢政権時代1993年の総選挙における新党ブームで自民党が結党以来最低の233議席と惨敗、非自民の細川護煕政権が樹立されて55年体制は崩壊した。


今回の選挙予測も新聞の予測は序盤から変化はなく、毎日に到っては終盤も自民単独で3分の2の317議席を取りかねない勢いであるという。マイナスに響く「アナウンスメント効果」どころか「勝ち馬に乗る」傾向が出ているのである。少なくとも自民公明で3分の2獲得の方向は確定的となっているようだ。


民主党は70か多くて80議席。第3極は失速して全く不振で維新は40議席を割るどころか30議席割れもあり得る状態だ。一強体制がさらに加速され、野党は民主党のみが辛うじて中規模政党として残るという構図だ。


自公与党対民主党の割合はほぼ5対1か4対1という構図になる。これが意味するものは新55年体制は55年体制の2対1どころか与党が圧倒的な数を占める体制であり、よほどの疑獄事件や不祥事が発生しない限り、逆転する可能性は当分ない。


つまり55年体制より新55年体制は与党が数の上では2倍以上強化された体制となる。


中選挙区制が小選挙区比例代表並立制に変わって以来、政権交代は「風」が作用している。民主党政権が出来たのは「反自民の風」であり、自民党が奪回したのも「反民主の風」である。いずれも大失政が原因だ。したがって小選挙区制下における自民党政権は中選挙区時代ほど安定したものではない。


小選挙区制での選挙における自民党議席を見ると、96年の41回239議席、42回233議席、43回237議席、44回296議席、45回119議席、46回294議席、今回の47回は300議席前後の見通しとなっており、3勝4敗で、それも大きくぶれる。


落差が激しいのだ。これは油断した途端に政権がひっくり返りかねないことを意味するが、安倍にとってのプラス要因としては外交・安保とデフレ脱却への動きがある。


新聞は悔しいとみえてあえて書かないが、外交・安保の成功が投票行動に大きな影響をもたらしているのだ。


外交・安保では安倍は歴代首相に抜きん出る功績を成し遂げている。とりわけ領土的野望むき出しの中国と日米安保とアジア各国との包囲網を軸に対峙する姿勢は、米ソ冷戦時代を上回る安全保障上の必然性を帯びており、安倍の目指す路線に狂いはない。


当分極東での冷戦の構図は強弱はあっても変化はしまい。対韓問題では歴史認識で大幅な譲歩を重ねた宮沢政権が国民の不信を買って、55年体制を崩壊させる一因となった。安倍は対韓外交で安易な譲歩を避け、これが国民的人気の源泉になっている。


加えてアベノミクスが職場と賃上げとほのかな希望をもたらしたのは確かであり、「この道しかない」という訴えが、野党の主張を霞ませている。逆に民主党政権のポピュリズムが、国民に不信の構図を根付かせて容易に解消する流れとなっていない。こうして自民党ひとり勝ちの構図が出来上がりつつあり、新55年体制の長期政権が見通せるようになってきたのだ。




    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月05日

◆言論合戦を採点すれば見えてくる

杉浦 正章




自民に勢い、民主はじり貧
 


「先生の反った身体(からだ)が前に折れ」は4日の朝日川柳。街頭演説の先生を皮肉って巧妙。まさに論戦たけなわだが、政治家は言葉が命。何を言うかで存在感が決まるが、点数を付けるとキーポイントになる発言で民主党首脳らは負けの連発だ。


まず首相・安倍晋三が繰り返す「アベノミクスはこの道しかない。流れを止めるか止めないかの選挙」というキャッチフレーズは訴求力がある。


民主党の前原誠司が「アベノミクスはこの道しかないのではなく、この道は危ない」と食いついた。確かに危うい側面があるが、雇用が改善、賃金が上がった。実質賃金は下がったが、民主党政権で雇用が改善して賃金が上がったなどということは金輪際なかった。民主党の「財源なきばらまきの道」の方が「危なかった」のだ。


したがって7対3で安倍の勝ち。


選挙の潮流は自民300議席の「圧勝」へ向かっているが、野党幹部にはもう跳ね返す気力も失せたかのように見える。民主党の岡田克也は「我々は政権交代の力はまだない。国会で一定の数を得て巨大与党に立ち向かえる数を与えて欲しい」となにやらしおらしい。


当初は野党の選挙協力の中心で張り切っていたが、まるでバナナのたたき売りのようにハードルを下げた。点数を付ければ45点。生活の党の小沢一郎も「政権担当への受け皿を作れば有権者は野党の統一体を選んだが、出来なかったので当然の結果」と敗北を認めた。


しかし有権者は小沢のいうように新党を作ったら、また内部分裂で民主党政権の体たらくの繰り返しと見るだろう。新党が出来ても有権者は「ダメよ〜ダメダメ」であっただろう。判断を間違って16点。


民主党代表・海江田万里は「分厚い中間層が再生され、中間層が健全な消費を行っていくことが経済の成長の大きな要になる」と訴えるが、道筋がない。安倍から「手品のような方法があるのか」と切り返された。7対3で海江田の負け。


国内総生産(GDP)で切り返そうと枝野が「民主党政権時代はGDPは5%。安倍内閣は1.7%」と主張したが、これは公明党代表・山口那津男が「2008年のリーマンショックのどん底から這い上がるために我々の自公政権が経済対策を打った。その効果が民主党政権時代に現れただけだ」と切り返してあえない最期。


確かに民主党政権時代には経済成長の言葉は発せられず、デフレ脱却などという発想そのものがなかった。農家の所得保障、高速代金無料化など財源なしのばらまきばかりが目立った。7対3で山口の勝ち。


めげじとばかりに枝野は「解散に大義がない」と主張したが、本人は、9月の段階で「私が安倍氏なら、この秋に解散をやると思っている。下手をすると臨時国会冒頭かもしれない」と発言している。それがいざ解散となると「大義がない」では通用しまい。


自民党副総裁・高村正彦から「立場立場、その時その時で言葉を使い分ける政治家はいらない」と止めを刺されてはぐうの音も出ない。またまた9対1で枝野の負け。


解散の大義を言うなら元衆院副議長でノーバッジの渡部恒三のように言わなければ駄目。渡部は「吉田のバカヤロウ解散でも理由はあったが、今度の解散みたいに理由のない解散は初めてだ」が一番的を射ている。


渡部に90点。考えてみればもともと294議席あったのに、それを維持しただけで「圧勝」と言うのはおかしな話だが、これが「政治マジック」の極みだから仕方がない。


公示日にあたって朝日の政治部長が自民党の小泉進次郎の言葉「どっちを選びますか、という戦いは今回はなじまない雰囲気がある。白か黒かじゃなくて、謙虚に丁寧に国民との対話をする選挙だと思う」に「もっとも得心がいった」と書いていたが、果たしてそうだろうか。


選挙の本質は食うか食われるかであり、アベノミクスの是非は重要ポイントだ。


小泉は解散のバンザイにも同調せず「今回の選挙戦は、寒い時に温泉に入ってじわっと中から体が温まってくるように訴えを続けていかないと、なぜ今解散なのかと思っている方々の心に届かない。テンションが高く、あおるような演説ばかりをしていては響かない」とも述べているが、響いているから300議席が見えている。


なぜか小泉は最近斜に構えて、格好づけをするようになってきた気がする。選挙というけんかの仕方を知らない。今回の選挙では得意のセンスのある「洒落た言葉」は出ないままだ。原発反対の親父に感化されては将来がないぞ。40点。

【筆者より】6日でめでたく74の誕生日を迎えました。ここで自分に誕生日祝いをあげようと思います。それは日曜の休日化です。これまで10年間日曜返上で情報を収集、書き続けてきましたが、今後は人並みに休むことにします。したがって毎週火曜日の開始となります。これにより、家人や友人が言う「いつぶっ倒れるか」の懸念はなくなり、あと10年は書き続けることができます。よろしくご協力ください。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年12月04日

◆安倍の長期政権確定の流れ

杉浦 正章



衆院300議席前後で自民圧勝へ
 
アベノミクス解散が大当たりにあたった感じだ。朝日、読売、毎日の各紙 の選挙情勢調査が「自民圧勝」の構図を示している。朝日が自民単独で 300議席と踏み切った。

毎日も「自民300議席超す勢い」。読売は「自公で300議席」と慎重だが、 自民は「293議席をうかがう」としている。

選挙まで10日の時点での調査はまず外れない。誰もが予想しない結果とな りそうだが、首相・安倍晋三のみは支持率が高い「今のうち解散」を断行 するという“賭け”に成功したことになる。

この政治の「読み」は卓越しており、長期政権が視野に入ってきた。野党 は「風」を頼りの第3極が全く振るわず、民主党を中心とする選挙区調整 も政策度外視の「野合」の色彩が濃く、有権者の民主党への不信の念は定 着したまま動かない。

朝日によると自民党は「単独で300議席を上回る勢いであり、公明党と合 わせて3分の2の317議席をうわまわる」と分析している。

読売は公明党と合わせて300議席を上回る勢いである。同紙は自民党が小 選挙区で200人近くが優位に立っており、比例選では70議席台と予想し 「絶対安定多数を越え公示前の293議席確保もうかがっている」としている。

公明党については朝日が「公示前の31議席確保」、読売が「31議席を上回 る」、毎日が「31議席からの増加も」と予測。

一方野党は、民主党について朝日が「小選挙区は公示前の25議席から10議 席前後は上積みしそう。比例区は公示前の37議席を上回るかどうか」と予 想。読売は「海江田代表が掲げた3けたの目標には届かない」としている。

毎日は「70議席前後」とした。選挙区調整の候補一本化が誤算であった感 が濃厚に出ている。

一方前回躍進した維新は朝日が「40議席を割り込む見通し。小選挙区は1 けた、比例区も30議席台を割る可能性も出てきた」との見通し。読売も 「小選挙区で優位なのは1けた台。比例区は20議席台」と同様の見方だ。

毎日は「42議席維持は難しい」。ほかの3極は低迷の極みで見る影もな い。野党のうち共産党だけは朝日が「2けた台の議席獲得が有力」、読売 が「公示前の8議席からの倍増をうかがう」としている。

各紙の調査結果が物語るものは、民主党と維新などが小選挙区での乱立を 防ぎ、野党票を効率よくまとめようとした選挙区調整が大きな効果をもた らしていないことを物語っている。

原発再稼働にしても、集団的自衛権の行使にしても政策上の大きな違いを そのままにして、とりあえず候補の一本化を図ろうという「野合」的発想 が否定されつつあるということだ。有権者が反自民ならまとまるという判 断自体が誤算であり、有権者の意思をないがしろにしたものであった。

また前回「風」が吹いて躍進した、第3極も2年間で有権者の「熱」が冷 め、選挙前から崩壊し始めていた。この選挙区調整と「第3極崩壊」がも たらしたものは、自民党への有利な状況である。

やはり経済と外交・安保における安倍の2年間の実績が、国民の間でその 支持率と同様に高く評価されていることを物語っている。

有権者への訴えも「アベノミクスを途中で投げ出すか、推し進めるかの選 択」という設定が奏功した。民主党代表・海江田万里を始め野党の主張 は、自らの政策を打ち出すと言うより、アベノミクスにケチを付ける感が 濃厚であった。党利党略・個利個略の解散がまさに図に当たったことになる。

保守合同後の自民党が300議席前後になるという結果は、岸信介の「話し 合い解散」で287,池田勇人の「安保解散」296,同「所得倍増解散」 283,佐藤栄作「沖縄解散」288、大平正芳「ハプニング解散」284,中曽 根康弘「死んだふり解散」300、小泉純一郎「郵政解散」296、野田佳彦 「近いうち解散」294議席の例がある。

280議席以上取った首相は、最長政権が佐藤、次いで小泉、中曽根、池田 の順で長期政権となっている。

政界は一寸先が闇だが、それを言っては予測が立たない。安倍の場合も来 年9月の自民党総裁選挙で再選され3年の任期が確保される方向だろう。

通常国会は自民党圧勝選挙で野党が脳しんとうを起こして、予算案も年度 内に成立、その後の集団的自衛権法制化も通常国会で実現する流れとなろう。

自民党内には獲得数によっては憲法改正の動きが強まることも予想される が、集団的自衛権の行使が容認されれば、政権のエネルギーを改憲などに 使うより、アベノミクスの総仕上げによるデフレ脱却、極東情勢の改善な どに使うべきであろう。

自民党が現状よりも多い300議席を獲得した場合、日経平均株価は2015年 3月末までに2万円の大台を回復する可能性があるという見方が兜町で強 まっている。


<「衆院選に関心」69%、前回下回る…読売調査

読売新聞 12月3日(水)23時0分配信

読売新聞社の全国世論調査で、今回の衆院選に関心があると答えた人は、 「大いに関心がある」29%と「多少は関心がある」40%を合わせて69%と なった。

戦後最低の投票率59・32%(小選挙区)を記録した前回2012年衆院選時の 81%を12ポイントも下回っており、投票率の低下が懸念される。

関心があると答えた人は、前回に比べて全ての年代で減少した。最も下げ 幅が大きかったのは40歳代で、前回比16ポイント減の64%。30歳代は15ポイント減の58%、50歳代では14ポイント減の69%だった。最も関心が低 かったのは20歳代で、55%だった。支持政党別でみると、自民党支持 層は76%、民主党支持層は77%だったが、無党派層では56%にとどまった。>

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)


2014年12月03日

◆自民党のテレビ偏向への要望は当然だ

杉浦 正章




明らかに中立を逸脱しているケースが多い



選挙の戦いとは別に選挙報道の中立性を巡って安倍政権とテレビ局との間ですさまじい裏バトル・暗闘が展開されている。


一部民放やNHKの番組の「偏(かたよ)り」についてはかねてから筆者も指摘してきたところであるが、自民党が堪忍袋の緒が切れたとばかりに四項目にわたる「お願い」の文書を民放キー局5社とNHKに送った。


朝日は社説でこれを取り上げ批判しているが、要望をよく読んでみれば、至極当たり前のことで、とても言論弾圧などと呼べるものではない。普段のテレビによる「政権弾圧」の方がよほど問題がある。この際、テレビの偏向報道についても選挙の争点にしてはどうか。
 

公平中立の要望書は自民党筆頭副幹事長・萩生田光一、報道局長・福井照の名前で出された。その内容は@出演者の発言回数や時間に公平を期していただきたいAゲスト出演者の選定についても中立公平を期していただきたい


Bテーマについても特定の出演者への意見が集中しないよう中立公正を期していただきたいC街角インタビューや資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることがないよう公平中立、公正を期していただきたいーというもの。


また要望書では、「過去にはあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、大きな社会問題になった事例も現実にあった」とテレビ朝日の「椿事件」とみられる事例を挙げている。


直感的に安倍の指示かと思ったが、安倍は党首討論で聞かれ「いちいちそんな指示はしない。党としてそういう考え方でやったのだろう」と述べたが、過去のケースを見れば安倍の関与は一目瞭然。


安倍は幹事長時代の衆院選挙を控えた2003年11月にテレビ朝日が、「民主党の菅直人の政権構想を過度に好意的に報道した」として抗議。2004年7月の参院選の際の選挙報道に対してもテレビ朝日に文書で抗議している。2度やることは3度やるのであろう。


しかし安倍の主張は全く妥当である。公平に見て日本のテレビ局の場合、放送法で定められている報道の中立性などどこ吹く風の報道ばかりである。申し入れの4項目も、これによって報道の自由が規制され、日本が全体主義になる気配などみじんも感じられない。「公平に報道してくれ」と頼み込んでいるだけだ。


4番目の「街角インタビュー」について言えば、あらゆるテレビの報道のうちでこれほど客観性、公平性に欠ける報道はない。放送局の思うがままに発言を選択するからだ。一番ひどいと思ったのは特定秘密保護法案が衆院を通過した昨年11月26日午後7時のNHKのニュースだ。


街の声は全てが反対論で統一されていた。これが公共放送の報道かと思った。それでは自民党と犬猿の仲にあるテレビ朝日が要望をどう受け止めたかだが、まさにぬかに釘であった。


選挙公示の2日夜の報道ステーションでは「街の声」が大いに偏っていた。7人聞いたうち、1人はほぼ中立、2人は「投票しない」、後の4人は「年金カットが心配」「世の中きな臭い」「仮設住宅は限度超える」「就職が不安」で皆批判的。政権を肯定する声は1人もいなかった。


さすがにメインキャスターの古舘伊知郎は「私も言うことがいっぱいあるんですが、ここまで出てくるんですが、この時期だと叱られちゃうんですよ」とぼやくにとどまって、朝日新聞論説委員・恵村順一郎にふった。惠村は「ぴったりくる政党がない方が多いだろうが、例えば重要政策だと思う政策で2つの政党を選んで一つは小選挙区で入れ、もう一つは比例区に入れることがあっていい」との投票方法を勧めた。


まさかステーションが自民と公明の2党に入れよと言うわけがないから、野党への投票の勧めであろう。自民党の要望などいくらでも抜け道があって、海千山千のテレビ様にはかなわない証拠だ。


朝日の社説は先に挙げた自民党要望書の「偏向報道」の部分について「当時の郵政省も放送法違反はないと認めた。文書がこの件を指しているとすれば、偏向報道は誤りだ」と噛みついている。


しかしテレビ朝日報道局長の椿貞良は「なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と他局に偏向報道を働きかけたのである。


郵政省は厳重注意する旨の行政指導を行うとともに、1998年のテレビ朝日への再免許の際に、政治的公平性に細心の注意を払うよう条件を付した。偏向報道には至らなくても「偏向報道の勧めと扇動」は明かであり、社説で弁護する価値はない。


椿が具体的に社内に指示し、その通りの報道をしていれば、確実に放送法違反として電波法第76条に基づく無線局運用停止がありえたであろう。つまりテレ朝は放送免許停止でなくなっていた。その後もテレ朝は“改心”どころではなかった。


2009年にはコメンテーター・吉永みち子が「鳩山首相が審議そっちのけで衆議院本会議中に扇子に揮毫(きごう)する一幕があった」というニュースに関連して、「こういう大変な時にね、一生懸命、我々も支持率を下げないでね、辛抱して支えてるのに、何なんだよと。そういうことになってしまうんで。ささいなことのようだけど、重なるとボディーブローのように利いてくる」と発言している。


「我々も鳩山政権を支えている」とは偏向もいいところで、明らかなる放送法違反だ。普段のテレ朝内部の空気が馬脚を現したものに他ならない。自民党は言われっぱなしで泣き寝入りする必要は無い。日本を支える政党としての矜持をもって、テレビ報道の偏向にチャレンジすべきである。


     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)