2014年03月28日

◆財界人が政党党首を追い落とす背景

杉浦 正章



渡辺早くも進退窮まる


資金提供を受けた財界人から「追い落とす」と宣言されて、1党の党首が政治生命の危機に陥っている。みんなの党代表・渡辺喜美が崖っぷちだ。


長いこと政治記者をやっているが、政治家が財界人に“刺される”ケースを初めて見た。化粧品大手DHC会長・吉田嘉明(73)が撃つ弾は明らかに公職選挙法違反か政治資金規正法違反での立件であり、渡辺は本当に追い落とされかねない状況にある。


「降ろされてジ・エンドになるよりは、潔く身を引く選択がベター」と、前都知事・猪瀬直樹の5000万円借入で発言したのは渡辺自身だ。因果はめぐる火の車で、しかも額は猪瀬の16倍の8億円だ。あのロッキード事件が5億円だから、けた外れの額だ。それも参院選直前と衆院選直前に振り込まれている。


誰が見ても正規の手続きを踏んで届けなければならないカネである。これを裏付けるように吉田は「選挙資金として貸した」と渡辺が逃れることが出来ない“証言”をしている。なぜ渡辺はこれほど吉田を怒らせたのか。背景には党分裂劇が複雑に絡んでいる。


渡辺は27日の記者会見で「吉田さんの怒りを買った。言うことを聞かなければ追い落とすと言われ、それを実行に移された」と語った。また同党の会合で「吉田さんは突っ込んだ話を知っている。結いの党の江田憲司が吹き込んだものだろう」と漏らしている。


吉田が何を知っていたかというと、みんなの党分裂とゆいの党結成のいきさつだ。


吉田と渡辺は2009年に知り合って以来の関係にあり、吉田は渡辺のスポンサーとして資金提供をし続けてきた。吉田はみんなは維新と合流するべきだとの立場であり、渡辺が維新と一線を画し始めたころから強い不満を持っていた。恐らく吉田は維新に近い江田にも影響力を行使したに違いない。


やがてみんなは分裂へと発展してゆくが、吉田は渡辺がみんなの離党を認めないことに、メールでたびたび「会派離脱を認めるべきだ」と不満を表明したと言われる。その背後には吉田の怒りを活用して、政敵・渡辺を追い込もうとする江田の“工作”があると見るべきであろう。どろどろとした確執が紛れもなく存在する。


そしてついには吉田は昨年末に渡辺との決別を宣言し、「追い落とす」のメールで脅迫を続けた。渡辺は資金提供公表の危機を感じたか、まずいと判断、2月9日には突然吉田の自宅を訪れて土下座して謝ったと言われる。


しかし吉田は聞き入れず、週刊新潮に手記を発表する形で公然と「追い落とし」に着手したのだ。渡辺は記者会見で「国会内のルールに則したことをやめよと言われても乗れない。私にも政治家としての理念、信念、路線がある」と開き直った。
 


渡辺が今後どのようにして、苦境をすり抜け得るかだが、猪瀬と全く同じで「個人への献金である」という主張で、法の網から逃れるしかあるまい。しかし吉田が選挙資金として提供したと証言している以上、渡辺の主張は通りにくい。


渡辺は2012年の資産報告書で借入金を2億5000万円と記入したことはあっさり「ミスである」と認めた。資産報告書への記入ミスは罰則がないから認めたのだが、借り入れの額を低くしたのは明らかに隠ぺいの“意図”が感じられるものであろう。


おまけに8億円の使途についても「もろもろ」と述べた上に、唯一の具体例として「酉の市でかなり大きい熊手を買った」と述べたが、これこそ噴飯物である。


渡辺は吉田との関係悪化に反比例するかのように安倍政権に大接近した。「責任野党」を標榜して、秘密保護法への賛成、集団的自衛権容認への賛成を次々に表明した。これは吉田によって“刺される危機”をひしひしと感じて、政権を味方につけておこうという思惑があったのだろう。


今後与野党は倫理委員会などで真相究明に乗り出す。あらゆる事象が公職選挙法や政治資金規正法違反の可能性を示しており、渡辺が詭弁(きべん)で切り抜けることは困難だ。


さらにこれに受託収賄が絡めば大きな事件となる。吉田は普段から厚生労働省の化粧品への規制に強い不満を抱いていると言われ、渡辺への請託とこれを受けた国会質問などがあれば事態は受託収賄罪にすらなりかねず、そうなれば返り血を浴びることになる。


古くはリクルート事件で就職協定をめぐる質問をめぐって野党議員が受託収賄に問われた。2001年には元労相・村上正邦、元参院議員・小山孝雄らがKSD事件で逮捕されたが、小山は KSDに有利な国会質問をした見返りに賄賂を受け取ったとする受託収賄罪で起訴されている。DHCの場合、闇の深さはまだ分からない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月27日

◆生身魂3人組の時代錯誤を検証する

杉浦 正章



バッジがないのに老人型思考停止発言


首相・安倍晋三や自民党幹事長・石破茂は「年寄りの強情と昼過ぎの雨はたやすく止まぬ」と考えて“対策”を講じた方がいい。集団的自衛権の行使容認をめぐって高齢者パワーが見当違いに意気軒昂なのだ。


ノーバッジにもかかわらず臆面もなくしゃしゃり出ている。目立つのがハト派宏池会名誉会長の古賀誠と民主党顧問・藤井裕久。目立たないが影で大きな影響力を持つのが元参院議員会長・青木幹雄。共通項は、極東における安保情勢の激変などお構いなしの、絶対平和主義だ。


決して3大老害とか、3馬鹿大将などとは思っていても言ってはいけない。俳句で幽明の間を行きつ戻りつしている高齢者を「生身魂(いきみたま)」と言うが、尊敬して「生身魂3人組」とたてまつるのが正しい。


右代表の古賀は、集団的自衛権の行使容認にまい進する安倍を「自分が首相で権力者だから自分で決めるというのは愚かなお坊ちゃん的な考え方」とこき下ろした。


仮にも一国の首相に「坊ちゃん」とは下卑た表現である。古賀は集団的自衛権の行使を解釈で行おうとする安倍の姿勢を「そういう 姑息なことは絶対やってはいけない。憲法改正で集団的自衛権をどうするかという筋道が正しい」と批判した。


こともあろうに自民党の宿敵共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューに応じ、「憲法はわが国の最高法規です。他の法規を扱う基準と違うのは当然。平和主義、主権在民、基本的人権という崇高な精神は尊重しなければならない。なかでも平和主義は『世界遺産』に匹敵する」と息巻いたりしている。


いまやバッジはなくても反安倍の急先鋒であり、宏池会の会合にも出席して積極的に発言、その影響力を行使している。


おかげで宏池会会長で古賀に近い外相・岸田文雄までが「賛成か反対かという単純な議論というわけにはいかない」などと閣僚では初めて集団的自衛権の行使に慎重論を唱えるに至った。恐らく安倍のはらわたは煮えくりかえっているだろう。


夏の内閣改造では更迭第1号にしようと腹を固めているに違いないし、国のためにもそうすべきだ。外相としての働きも鈍くてひらめきがないから、安倍が前面に出るしかないのが実情だ。


古賀は現職時代よりテレビや新聞への露出度が高い。集団的自衛権の行使反対のマスコミの寵児になって、有頂天になる年でもあるまいが、そうなってしまっている。
 

一方、「集団的自衛権うるさ方」筆頭が参院自民党幹事長・脇雅史参だが裏に青木が居る。脇は法制局長官・小松一郎が「安倍首相は自民党が野党時代に決定した国家安全保障基本法を国会に提出する考えではない」と発言したことをとらえて「法制局長官に法案の提出権があるわけではない。余計なことだ」と切り捨てた。


17日の総務懇談会で「行使容認で何を目指すのか。具体的な事実に基づき議論すべきだ。観念論ではいけない」と石破に噛みついた。


こうした発言の裏では青木が隠然たる影響力を行使しているというのが永田町の常識だ。青木は引退したが脇の所属する額賀派に大きな影響力を持っており、発言は表に出ないが額賀以下一目置いており、頭が上がらないのが実情だ。


生身魂で一番レベルが低いのが藤井だ。その発言を見れば分かる。テレビで「憲法解釈の変更はヨーロッパのマスコミも許せないと言っている」と宣うた。


何で集団的自衛権の行使が常識のヨーロッパのマスコミが日本を許せないと言うのか意味不明だが、とにかく何が何でも反対の姿勢だ。テレビがもてはやすから理路整然と間違った理論を展開するのだ。


冒頭指摘したように、これら生身魂には戦前戦後の激動期を体験した信条としての絶対平和主義がある。日本に戦後70年の平和をもたらした平和憲法を何より信奉するのだ。後藤田正晴的であるが、理論は無骨で後藤田ほどの切れはない。


それに、後藤田ほど先を読める男が、この状態に直面したら、解釈改憲に傾かないわけもない。生身魂に聞きたい。日米韓首脳会談と合わせて、ノドンを日本の防空識別圏に打ち込む北朝鮮の存在をどう考えているのか。


平和憲法があるから日本には核ミサイルを撃ち込まないとでも思っておいでか。軍事費を12.2%も拡大して、4年連続の2けた増をしている軍国主義国家中国が独自に防衛識別権を宣言して、連日のように領海侵犯を繰り返している現実には目をつむっておいでなのか。


要するにに冷戦が終わったと思ったら、今度は極東の安保情勢が激変したのが現実であり、それを脳軟化症のごとく理解できずに、30年も前の絶対平和主義にすがっているのが3人組の実態である。事態の変化に思考が停止したままとなっているのだ。


石破は総裁直属の「安全保障法制整備推進本部」の初会合を31日に開き、集団的自衛権の憲法解釈変更に向けた党内論議のとりまとめに入る。


ここで自民党議員が注意すべきは、既に総選挙の公約に「日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能とし、国家安全保障基本法を制定します」と掲げて、284議席を獲得した事実である。


反対論者はマスコミに踊らされるか媚びを売っているものがほとんどだが、「支持率激変の法則」があることを忘れてはならない。いったん行った有権者との公約をほごにすれば、支持層は置いてけぼりをくらい、その怒りが支持率に跳ね返り、もともとの不支持層と合わせて相乗効果で激減する法則だ。


左傾化マスコミに乗ればこの落とし穴が間違いなく待っている。民主党がうその塗り重ねでたったの4%しか支持がない現実に思いを至らせるべき時だ。落としどころは歯止め付きの行使容認しかない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月26日

◆北危機の共通意識が日韓打開へ糸口

杉浦 正章
  


「不倶戴天」からは一歩前進:日米韓会談


礼記(らいき)の「不倶戴天(ともに天をいただかず)」の状況は打開できたが、史記の「恨み骨髄に入る」はまだまだ解けそうにない。これが、日米韓首脳会談の本質だろう。


26日開催された約50分の会談では東アジアンの安保情勢が中心議題となり、北朝鮮問題を中心に、北東アジアの安全保障について緊密な連携の基に協力していくという認識で一致した。


北の危機という共通項が日韓打開への糸口となった。就任以来1年半にわたって対話ゼロであった日韓首脳が、歴史認識というのどに刺さったとげには触れず、まがりなりにも対話をしたことになる。


米大統領・オバマが嫌がる大統領・朴槿恵をテーブルにつけたことは、北朝鮮に対するけん制になることは当然だが、日米にとっては3国首脳会談に懸命のくさびを打ってきた中国国家主席・習近平への巻き返しでもある。オリンピックではないが、集うこと自体に重要な意義がある会談であった。


核サミットの場は、G7による対ロシア非難の場と化したが、極東情勢をめぐっても日中韓で冒頭からすさまじい暗闘が繰り返された。まず先手を打ったのは習であった。朴をなんとでも取り込もうと、伊藤博文暗殺の安重根記念館建設で「私が指示した」とすり寄った。


元より反日で凝り固まっている朴は、ころりと取り込まれて、ここに「中韓歴史認識共闘」が実現するに至った。日米韓首脳会談へのくさびであることは言うまでもない。
 

これに対して安倍は、ウクライナ情勢をフルに活用した。その発言はプーチンに向けたと言うより、習近平に向けたものという色彩が濃厚である。安倍は記者会見で「ロシアによるクリミア併合は明らかに国際法違反であり、力による現状の変更は断じて許してはならない」と言明した。


「力による現状変更」は中国の尖閣侵犯で常套句として使っているものであり、明らかに中国を意識した発言だ。これに加えて安倍はダメ押しの一撃を放った。「日本や東南アジアの友人たちにとっても人ごとでは済まされない。対岸の火事ではない」と言明したのである。


これは中国を名指しこそしないものの、南シナ海で圧迫を受けるベトナム、フィリピンの窮状と、尖閣で軍事圧力を受け続ける日本の状況を訴えたものだ。


この習と安倍のプロパガンダ合戦ともいえる勝負は、明らかに安倍の優勢勝ちであろう。なぜなら世界の国々は100年前の歴史認識で踊らされるほど甘くはない。今そこにある脅威の訴求力は、本来学者に任せておけば良い歴史認識でのプロパガンダを圧倒する力を持っている。


とりわけ東南アジア諸国にとって見れば、よく言ってくれたという発言であろう。一方で朴の“言いつけ外交”も依然衰えを見せなかった。


懲りない朴は3国首脳会談が確定しているにもかかわらず、25日付の独紙フランクフルター・アルゲマイネとのインタビューで「日本の一部政治指導者が慰安婦問題などで韓国国民の心を傷つけ、韓日関係を阻害している」と強調するとともに「日本はドイツに学ぶべきだ」述べたのだ。


朴得意の被害者を装って訴えているが、こうした訴えが果たして世界世論に対してインパクトがあるかどうかは疑問となってきた。


米欧やアジアの識者は戦後における日本の平和外交に理解を示しており、中韓がともに唱えるように安倍が突然変ぼうして軍国主義に日本を戻すなどと言う荒唐無稽なこじつけには踊らされないだろう。ウクライナで緊迫、G8が消滅して東西冷戦再来が言われる世界情勢は、「老婆の繰り言」に耳を傾ける余裕もない。


しかし朴の「恨骨(うらこつ)」路線は、継続する。その姿勢は紛れもないポピュリズムである。慰安婦に名を借りた大衆迎合路線であり、たちが悪いが一度吸った麻薬のようになかなか止まらない。


こうした中での3国首脳会談であったが、まず、張成沢粛正で予測が困難になった北朝鮮情勢をめぐって意見を交換した。冒頭、オバマは「アメリカと日本、韓国との同盟は、平和と安全保障を支えるものだ。北朝鮮の脅威に対して3か国は、揺るぎない体制でこれに応えていくことを示してきた。外交的、軍事的にこのような協調を強化したい」と3国連携強化の必要を強調した。


これに対し朴は「3か国のより緊密な協力の必要性が高まってきた。3人で意見交換を行うこの機会は非常に意味がある。北朝鮮の核問題は地域の平和と安定に対する重大な脅威であり、3か国を含めた国際社会が対応していくことが重要だ」と応じた。3国会談を「非常に意味がある」と強調した点は確かに「一歩前進」と言える。


安倍は「北朝鮮が核・ミサイル問題、さらには拉致問題や離散家族の問題など人道問題について、前向きな行動を取るよう、3か国でしっかりと協力していきたい」と述べ会談の意義を強調した。会談は全体として北の核とミサイルに対する危機感という共通項を“活用”して、狭いながら突破口だけは開き得た形となった。
 

オバマにしてみても、日韓の対立は、対北戦略ばかりでなく対中戦略にとってもマイナスである。朴の過度なる対中傾斜は、中国の誤算を招き、尖閣問題などで軍事行動に出る危険を伴うものである。


米国の大戦略は沖縄・尖閣・台湾・フィリピンと続く第1列島線の内部に中国を封じ込めるところにあり、同盟国韓国による過度なる中国傾斜は食い止めなければならない。習のくさびに対して、3国会談がくさびを打ち返したというのが、会談であった。


安倍は歴史認識で凝り固まった、固いカキの殻をこじ開けることに成功はしたものの、「日韓友好」にまでこぎ着けるのはまだ容易ではない。今後経済、文化の交流を促進して、慰安婦問題などでも率直に話し合い、さらなる朴の軟化を図るしかあるまい。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月25日

◆「反日歴史共闘」は朴の危うい火遊び

杉浦 正章



孤立化の習に利用されるだけ


韓国大統領・朴槿恵の“火遊び”が危うい。あの習近平の狡猾そうな目つきを見ただけで分かる。猫なで声で「安重根記念館の建設は私が指示した」と「反日歴史認識共闘」を持ちかけた。


朴はそれだけでボーとなって「両国が真の戦略的な協力関係を築いている証し」と“半落ち”状態となった。


習の狙いは言うまでもなく日米韓首脳会談へのくさびの打ち込みである。一見中国ペースで事が運ぶように見えるが、核サミットの雰囲気は逆だ。ウクライナ問題はG7ペースであり、中国の出る幕はなく、せいぜい拱手傍観の中立維持しかできないだろう。


加えて尖閣でオバマが習をけん制、G7によるロシアのG8参加停止処分など米欧日の連携で事は運んでいる。朴は丁半博打で両張りをするのはいいが、「場代」が高く付くことを知らない。


核サミットは本題がかすんでしまって、ウクライナ問題に集中。日本にとっては極東情勢でいかに事を運ぶかが焦点だ。


その中で皮切りになったのが中韓首脳会談と米中首脳会談だ。中韓では、中国の孤立感の裏返しが表面に出た。参加国の中での孤立を避けるため何が何でも朴槿恵を抱き込もうという姿勢が露骨に打ち出されたのだ。


こともあろうに習は、1世紀以上前の安重根事件という歴史認識問題を取り上げ、対日共同戦線を張ろうとした。嫌々ながら米国の差し金で日米韓会談に応ぜざるを得なかった朴にとっては、習の甘言が天の助けのように響いたに違いない。ぐらぐらっと習に引っ張られた姿は、指導者としては危ない。


日本では一部学者が韓国は「日米韓」より「韓米中」に傾斜しているという変な理屈を立てているが、ことはそう簡単なものではない。日米、米韓はそれぞれ軍事同盟で結ばれており、これにくさびを打ち込むのなら中韓は軍事同盟に発展しなければならない。しかし朴にその度胸はない。


韓国の軍当局は朴の反日姿勢をはらはらして見ていると言われている。現にジャカルタで防衛省の事務次官・西正典が韓国の国防次官・白承周と20日に秘密裏に会談、北朝鮮情勢や日米韓の防衛協力の強化について協議しているではないか。
 

一方でオバマ・習会談でも、オバマは日米同盟の信頼関係を崩すような動きには出なかった。逆に中国による防空識別圏設定に懸念を伝え、東シナ海と・南シナ海での緊張を緩和する必要があると強調した。


加えてオバマは米国が日本とフィリピンとの安全保障の維持を支持していると伝えだ。これが臆面もなく海洋進出を図ろうとする中国への強いけん制であることは言うまでもない。またオバマはロシアへの制裁に中国も参加するように求めたが、習はこれに応ぜず、むしろ中立の立場を鮮明にした。


したがって、一部で観測されていたようにオバマが習にプーチンへの仲介を求めるような事態には至らなかった。習にしてみれば韓国くらいを抱き込まなければ、日米に対して存在感を示せない状況であったに違いない。


さらにG7によるロシアのG8参加停止処分は、中国にとっても痛手である。G7は首脳会合で「ハーグ宣言」を採択、クリミア併合を「違法である」としてロシアを非難、G8への参加を排除した。これまで中国はソ連やロシアと伝統的に共同歩調をとる傾向が強く、疑似同盟的な色彩があった。


しかし、ウクライナ問題で世界の世論が激昂しているときに、たとえ中立でも対中感情は悪化する。逆に、ロシアに近い中国が、孤立する構図すら出ているのだ。したがって核サミットでは中国は大きな役割を演ずることが出来ないものとみられる。


朴はその中国に下駄の雪のように、「ついて行きますどこまでも」でいいのかということになる。将来は利用された揚げ句、属国化されるのが中国周辺の小国の運命であることは歴史が物語っている。


朴が歴史問題で中国と反日共闘を組んでも、日本は馬耳東風と聞き流せばいいだけのことである。痛くもかゆくもない心理戦にまともに乗せられるほど日本政府は愚鈍ではない。逆に首相・安倍晋三の懸命な対中世論形成外交が、奏功し始めている。


安倍はロシアに対して「力を背景にした現状変更は容認できない」と発言、“尖閣用語”をフルに使って対中けん制もしている。オーストラリア、フィリピン、ベトナム、インドなどへの働きかけは、中国の海洋進出に対する国際世論を形成しつつある。


フィリピン、ベトナムへの巡視船供与は、中国にとっては相当の痛手であろう。巡視船供与はただ供与すれば良いというものではない。使い方の訓練に始まって両国との結びつきは準軍事同盟的な側面を有することになるからだ。


ただこうした流れの中で獅子身中の虫が馬鹿な発言を繰り返して、安部の足を引っ張っている。総裁特別補佐・萩生田光一が今度はこともあろうに23日、「河野談話の検証の結果、新談話を出す事は否定しない」と発言したのだ。新聞は訳知り顔に「役割分担」などと報じているが、それはあり得ない。


なぜなら場合によっては日米韓首脳会談の開催が危ぶまれるほどの発言であり、それを直前に安倍と萩生田が打ち合わせてする事は絶対にない。報道2001を見ていたが、萩生田は右寄りの記者からしつこく「新談話を否定しないか」と聞かれて、愚かにも期待に応えるかのように「否定しない」と発言してしまったのだ。


その後取材されて話が大きくなったが、要するに国際情勢を読めない無能な1側近の発言に過ぎない。安倍は早くこうした側近を排除しないと災いは自分の身に降りかかる。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月24日

◆もう劇場型政治の時代ではない

〜大阪市長選〜

杉浦 正章



都構想は実現不可能に


政治的には独り相撲にすら負けたのが大阪市長選の結果であった。候補が事実上一人だから投票率がメルクマールになるが、たったの23.59%。候補者に対する有権者全体の信任度を示す絶対得票率は17.85%で、市長選史上4番目に少ない体たらく。


市長・橋下徹の劇場型政治手法に、さすがの大阪市民も「ノー」を突きつけたことになる。すぐに“民意”に頼るポピュリズムに、“民意”が拒否権を行使したのだ。


そもそも、橋下の政治判断は最初から誤算があった。最近の重要選挙を見ても“民意”は浮ついた「風」による選挙を否定している。総選挙や参院選挙では大衆迎合の民主党が決定的に否定され、2月の都知事選でも細川・小泉ポピュリズムが完膚なきまでに敗れている。


有権者は地に着いた政治、落ち着いた政治を求める時代となっているのだ。それを見誤って、議会に見据てられたから「お母ちゃん」とばかりに有権者に抱きついて、大阪都構想なるヌエ的な政策を訴えても、有権者はだまされなかったのだ。


6億円もの血税を使って、このような大誤算をする政治家の素質が問われて、これが否定された選挙であった。これにより2重行政を改める大阪都構想は、事実上実現不可能となった。実現させるには法定協議会で設計図を作り、住民投票にかけなければならない。


しかし橋下の狙った法定協の人事差し替えは、議会の専権事項でありもともと無理。住民投票も、市議会、府議会共に過半数に達しておらず困難だ。橋下はやぶをつついて蛇を出してしまったというのが、今回の選挙結果にほかならない。


橋下はそもそも制度を作る前にやるべき事があることを忘れている。それは府知事の松井一郎と話し合って、2重行政を出来るものから一本化することである。それをポピュリズム目当てで都構想などという大向こううけを狙った看板を立てるから、有権者から足元をすくわれるのだ。


これで維新内部がどうなるかだが、石原慎太郎ら旧太陽系と松野頼久ら大阪系の亀裂は拡大傾向をたどるだろう。橋下の中央政治への影響力は低下こそすれ強まることはないからだ。


争点は山積している。まず原子力協定への賛否をめぐって推進派の石原らと反対派のあつれきは高まる方向だ。既に石原は原子力協定に反対するなら離党する意向を表明している。


野党再編についても橋下頼りの結いの党は、ますます窮地に陥る流れだ。石原は結いの党に当てつけるように、みんなの渡辺喜美と会合するなど、接近している。石原の老化と橋下の求心力喪失は、維新を政党として空中分解の危機に置くだろう。


首相・安倍晋三がどう出るかだが、基本的には利用できるだけ利用する戦術だろう。官房長官・菅義偉と維新との関係は良好に保たれており、今後集団的自衛権行使への憲法解釈変更に向けてみんなとともに維新の賛成を取り付けることは重要なポイントである。


抜け目なく維新が喜びそうな「地方自治法改正案」も国会に提出している。内容は都府県と政令都市の重複行政一本化で「調整会議」を設置できるようにするものであり、明らかに橋下の大阪都構想を側面支援するものだ。都構想は実現しなくても重複行政は改めるべきであり、今国会で成立させるべきだろう。


こうして“風雲児”橋下は地元政治でも中央政治でも袋小路に追い詰められたというのがその実態だ。選挙に当たって「駄目なら落として欲しい」が口癖だったが、得票率がたったの18%では、「落としてもらった」のと等しい。


民意の圧倒的な支持を背景に捲土重来を期しても、期待する「大義」は得られなかった。懲りない男は国政選挙出馬にも、食指を動かしているというが、もう政治家としては限界ではないか。これ以上世上を騒がすことをやめ、騒がすなら得意の民放番組でタレントに戻って活躍して欲しい。


新聞は橋下の独り相撲に既成政党が参加しなかったことを批判しているが、自治体の長が恣意的な選挙に打って出たからといってこれに付き合う必要は無い。自民、公明、民主などが候補を擁立しなかったのは、当然であり、その戦術は上首尾であった。馬鹿な選挙に参戦しないのもまた意志表示であろう。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月20日

◆“図々しい奴”中国に逐一反論する

杉浦 正章



うそを100回つかせてはならない


思いつく限りの材料を取り上げて、世界中で反日キャンペーンを繰り返す中国。その荒唐無稽(むけい)さに米政治学者・ジェラルド・カーチスが「軍国主義者安倍首相が日本を軍国主義にしようとしていると中国が言うのは、あまりに図々しい」とテレビであきれていたが、中国はとどまるところを知らない。


今度は核サミットで日本のプルトニウム保有批判だという。ヒトラーの天才的宣伝相・ヨーゼフ・ゲッベルスは「うそも100回言えば本当になる」と述べたと言うが、まさに柴田錬三郎ではないが「図々しい奴」を地で行く国家だ。


主人公・戸田切人は愛嬌があったが、国家的図々しい奴は結局最後はその手法を読み取られて敗北する。日本は宣伝戦に負けずに、正論で世界の世論を喚起して、共産党政権が崩壊するまで戦うしかあるまい。


中国が先進国の製品をやり玉にあげて批判するのは常とう手段で、アップルが被害を被ったが、今度はニコンだという。既に明らかになって対応が取られているデジタルカメラD600の欠陥批判を国有テレビでキャンペーンしている。


しかし長年ニコンを使って感じたことはなぜか中国製の部品だけが壊れる。最近入手したD700Eの場合、バッテリーパックが最初から通電しないのでよく見ると中国製だった。D7100に至ってはUSBケーブルが通電しない。


店にクレームをつけると中国製だった。ニコンも自社製品のレベルを維持できない中国製部品を使うのはやめるべきだが、それほどひどい製品ばかりなのだ。新幹線の墜落事故を起こすような国が、日本の技術力の粋をあつめたカメラを批判するのはおこがましい。まさに図々しい奴だ。


先に閉幕した全人代では反日攻勢の一層の先鋭化が目立った。首相・李克強が「第2次大戦の勝利の成果と、戦後秩序を守り抜き、歴史の流れを逆行させることは決して許さない」と首相・安倍晋三を非難。


外相・王毅も「歴史と領土という二つの問題で妥協の余地はない。歴史の流れの逆行は許さない」と、ついに尖閣問題を歴史認識と同化してしまった。先の大使を総動員した反日キャンペーンでは、「軍国主義者・安倍による日本の軍国主義化批判」のマニュアルを作って大使に発言や投稿をさせている。


しかしこればかりは「図々しい奴どころか盗っ人猛々しい奴」ということになる。まず習近平は全人代で軍への関与を一層強め、独裁体制と言えるほどの地位を確立させた。


一方で安倍は普通の国が保有する集団的自衛権すら、「能天気族」の反対で難航している。これこそ民主主義国家の証しだ。英国のミリタリーバランスによると中国の軍事費支出は1122億ドルだが、日本はその半分の510億ドル。


中国は戦後、朝鮮戦争、中印戦争、中越戦争そして中ソ国境紛争などを繰り返してきたが、日本は平和国家に徹して銃弾一つ撃っていない。世界の国々も、中国のプロパガンダのデタラメさは理解しつつある。


英紙エコノミストが発表する「世界平和度指数」というものがある。144か国について24項目の平和への貢献度を調査したもので、その最新版の2007年から2013年のランキングでは日本が6位なのに対して中国は101位だ。


だいたい中国は戦後70年を機会にロシアに戦勝国会議を提唱しているが、日本は中国共産党政権に敗北していない。敗北したのは中華民国だ。中国共産党が戦勝国気取りなのはおこがましい。もう少し歴史の基礎を勉強した方がいい。


さらに図々しさの骨頂は日本のプルトニウム保有批判だ。最近、日本の“核武装”が怖くなったのか、猜疑心の強いオバマは日本に貸与した高濃度プルトニウムを返せと言い始めた。冷戦時代に研究用として核兵器40〜50発分を提供したものの返却を求めたのだ。


24日からの核サミットでは日米が返却で合意にこぎ着ける流れだが、これを中国がかぎつけて、反日キャンペーンに活用してアメリカを取り込もうとしている。中国は既に1月1日付の解放軍報で「日本は核爆発装置2〜5個を製造した」と大うそをついているが、核サミットでもこうした主張でプロパガンダを展開する方向だ。


これも「盗っ人猛々しいの二乗」のような話だ。日本のプルトニウムは再活用するプルサーマル方式の研究用のものであり、国際原子力機関(IAEA)の厳しい査察を受けている。それをウイグル自治区の住民を10万人も死亡に至らしめてまで核実験を繰り返し、現在400発以上の核弾頭を保有する国がイケシャーシャーと言えることだろうか。


まさに中国は「世界イケシャーシャー賞」に匹敵する国家であろう。こうしたうそ八百を並べ立てた中国のプロパガンダに対抗して、安倍は懸命の巻き返しを図っている。その戦術は正統派であり、各国の理解を得つつある。


18日のベトナム大統領との会談で海洋進出を強めている中国を念頭に、国際法の原則に従った紛争の解決が重要とする共同声明に署名した事などは、中国の「虚」に「実」で対抗している良い例である。フィリピンやベトナムへの巡視船供与なども「実」の対抗の好例である。


しかし米海軍大学教授のトシ・ヨシハラが中国の米国内でのプロパガンダについて「米国における尖閣諸島に関する宣伝は中国の方が日本より巧妙だ」と述べているように、宣伝戦では押され気味であることは否定出来ない。


ここは先手を打った戦略的広報に力を入れて、過去の軍国主義より現在の共産党独裁国家の方がよほど危険であることを世界に知らしめなければなるまい。ゲッペルスの善し悪しは別として、ゲッペルス的な宣伝手法の良い部分も視野に入れるべきだろう。

    <今朝のニュースより抜粋>  (政治評論家)

2014年03月19日

◆安倍はプーチンに“友情ある説得”を

杉浦 正章



ウクライナ情勢の極東連動阻止に動け


機を見るに敏な一人の政治家に世界中が振り回されている。ロシア大統領・プーチンはウクライナ南部クリミアをロシアに編入した。オリンピックで高まった愛国心を、クリミアをめぐるナショナリズムと同化させ、ロシア国内の世論を一挙に自らの支持に傾けさせた。


しかし先が見通せるからこそ、焦点のウクライナ東部への侵攻はまず決断しないだろう。侵攻して戦争となって、ささやかれているように中国とロシアが軍事同盟に向かえば、火の粉は極東に転ずる。


米大統領オバマと中国国家主席・習近平との核サミットでの会談が注目されるが、首相・安倍晋三も手をこまねいているときではない。就任以来5回も会談しているプーチンとの良好な関係を生かすときだ。核サミットで会談を実現して、ウクライナ情勢のさらなる緊迫化を“友情ある説得”で断念させるべきだ。


プーチンのロシア国内での人気は就任以来今ひとつぱっとしなかったが、圧倒的支持率をオリンピックとクリミア編入で獲得、国内政治基盤は確立した。しかし、世論の支持が永続するかどうかは予断を許さない。


さらなる軍事行動を続けた場合、現在は痛くもかゆくもない限定的な制裁措置が、本格的な経済制裁へと移行してロシア経済を締め上げる。


戦前の日本と同様に、途端の苦しみを味わうことになり、国民の生活は困窮、支持率は確実に低下する。さらに東部のロシア系住民を煽って暴動を頻発させ、その住民の保護を理由に、ウクライナに侵攻すればウクライナとロシアは戦争に突入する。米欧諸国もウクライナ支援の軍事行動を起こす可能性が強い。


ロシアの国力からいって、米欧を相手に戦争をして勝ち目はない。ロシア系住民が圧倒的多数を占めるクリミア編入の場合は、もともとソ連に帰属していたものをフルシチョフの独断でウクライナに編入させた経緯があり、米欧の底流を流れる空気としては渋渋ながら仕方がないというところであろう。


しかし東部侵攻となると事態はがらりと変わる。したがってプーチンがそうした無謀の選択をするとは思えない。欧州安保協力機構(OSCE)が、多国籍の監視団を派遣して治安を維持する方向だが、ロシアにとっても悪い話ではあるまい。


冒頭述べたように、中ソ軍事同盟が出来て、米欧と対決するような情勢が出来れば別である。しかし中国は国連安保理でロシアの孤立を際立たせ、クリミアの住民投票を無効とする決議案に棄権しており、中立的な立場を維持した。


中国にしてみれば、ただでさえ尖閣諸島や南沙諸島をめぐる主権侵害行為や少数民族への弾圧で世界的な評判が悪化している中で、クリミア侵攻を支持すれば、まるで「力による現状変更」で「悪の枢軸」が結成されることになる。習近平としてはここは大人しくしておこうという打算が働いたのだ。


オバマがどう動くかだが、一段と中国重視の動きに転ずる公算が高い。


一つは中国をロシア側に追いやることは避け、少なくとも中立を維持させたいとの判断がある。また習を通じてプーチンを説得出来ればという思惑もある。加えて、中国が尖閣問題で日本と事を構えて、米国が巻き込まれるのを回避したいという思いも強い。


習にしてみれば、米国と親しくすればするほど、日本を政治的に孤立化させることが出来るのであり、核サミットのオバマ・習会談が“猫なで声”を基調とすることは想像に難くない。


一方領土問題を中国とロシアの双方に抱えている日本も、ロシアのクリミア編入はよそ事ではない。前稿で指摘したように中国が力による主権侵害が可能になったと大誤算して尖閣に侵攻する可能性があるからだ。日本がなすべき事は中国とロシアの軍事同盟の阻止であり、ロシアとの関係維持だ。


日本の制裁も軟らかなものであり、米欧諸国と温度差はあって当然だ。G7の中でも安倍がプーチンとの間で培った友好関係は突出している。むしろオバマは習を頼りにするより、安倍を頼りにする方が得策であると気付くべきであろう。それにはオバマに気付かせる必要がある。


安倍は核サミットを好機ととらえて、プーチンとの会談に臨むべきだ。プーチンと会談して、ウクライナ情勢のさらなる混迷に歯止めをかけるよう申し入れるべきだ。ロシアの世界的な孤立はおおうべきもないが、これは北方領土問題で譲歩を勝ち取る材料になり得る。


一方で、集団的自衛権の行使に向けて、着実に歩を進めるべきだ。ここで躊躇すると、やはり中国の誤算を招きかねない。日米関係にひび割れが生じたと受け取るのである。このようにウクライナ情勢は、確実に極東情勢に連動し展開する流れであり、固唾をのんで見守る必要がある。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月18日

◆ウクライナは集団的自衛権容認を加速

杉浦 正章



極東への飛び火の可能性を考慮せよ


ウクライナに火が付けば、極東に飛び火する可能性も否定出来ないという状況の中で、世界の国が皆保有して国連憲章の中核となっている集団的自衛権の行使の是非を与党自民党が議論しているのだから、平和な国である。


産経抄の言葉を借りれば「能天気」かもしれない。しかし、その「能天気」が7日の総務懇談会では力不足で勝負があったようだ。朝日が書いているように「慎重論が噴出」では全くない。「賛成論が噴出」なのだ。


その証拠に幹事長・石破茂は、「議論を深め方向性を出すことは十分可能という感じを持った」と自信を深めるに至った。語るに落ちたのは、このところ集団的自衛権の憲法解釈変更反対だけで目立ちたがっている村上誠一郎の発言だ。終了後に「みんな解釈改憲に違和感がないのは不思議だ」と宣うた。


一部マスコミは意図的に反対論だけを際立たせるが、村上発言の示す実態は反対派がお手上げのムードであったことを物語る。首相・安倍晋三の指示で今後総裁直属の懇談会で議論を重ねるが、安倍サイドは「夏に内閣改造がある」と“からめ手”から脅しをかけており、小泉郵政のような“抵抗勢力”は生じまい。


しかし、ウクライナ情勢の緊迫は、集団的自衛権の憲法解釈変更に新しい要素を外交・安保両面でもたらしていることは確かだ。反対派は我田引水の議論をし始めているが、勝ち目はないだろう。


評論家・寺島実郎はテレビで「アメリカとソ連が軍事衝突になれば、三沢基地を攻撃する場合集団的自衛権の容認はロシアにとって好都合。(解釈変更は)そういうカードを引くということだ」ともっともらしく述べていたが、こればかりは噴飯物だ。


もともと日米安保条約はソ連を仮想敵国とした軍事条約であり、ロシアが攻撃するような事態では解釈改憲があろうとなかろうと同盟国は対象になる。しかし、ロシアがかつてのソ連並みの軍事力を保有するかといえば、とても米国に太刀打ちできる力量にない。


おまけに欧州の戦争を極東に拡大して両面作戦を展開する能力などはとてもない。ぎりぎりまでのチキンゲームの展開はあり得ても、プーチンの選択には対日攻撃はない。
 

むしろ警戒しなければならないのは、極東海域への飛び火だ。欧州でロシアが成功すれば、習近平は「極東での力による現状変更が可能」と誤算する可能性がある。尖閣はもとより沖縄諸島の一部にまで侵攻を開始する可能性がある。現にそのための軍事演習が行われたばかりだ。


アメリカが欧州にかかりっきりになってしまった場合の、その空白を突く可能性があるのだ。そうなれば第3次世界大戦の様相となる。場合によっては北朝鮮の金正恩が“ミサイル発作”を起こすかも知れない。


ヨーロッパの激突は、世界中に火の粉をばらまく可能性があると警戒するに越したことはない。日本は「憲法9条があるから安全」などという「能天気」な思想はなり立たないのだ。


こうしてウクライナ情勢は対岸の火災視出来ないどころか、してはならない状況であるのだ。したがって日米同盟の強化は必然的に重要となる。いったん戦端が開かれれば戦争というのは神学論争ではない。今そこにある敵と戦わなければならないのであって、防衛省幹部が漏らしているように「超法規的行動」があり得るのだ。


しかし、日本いおいては、これを許してはならない。いかなる場合にも法規に基づいて文民が統制した軍事行動でなければならない。だからこそ集団的自衛権の解釈変更が急務となってきたのだ。


ただ、諸情勢をかんがみれば性急に事を運ぶ必要は無い。日米が合意している、年末の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)策定に間に合えば十分だ。とりわけ韓国を日米との首脳会談に引き込まなければならない微妙な時期であり、韓国内に警戒論がある問題をあえて急ぐ必要は無い。


今後の段取りとしてはオバマの4月22日ころの来日が最大の起動力となる。米国は昨年10月3日の日米安保協議委員会(2+2)の共同発表で集団的自衛権の行使容認賛成を確認している。


共同発表は「日本は集団的自衛権の行使を含む法的基盤の再検討を行っており、米国はこれらの取り組みを歓迎し、緊密に連携する」ともろ手を挙げて歓迎の姿勢だ。この方向がオバマの来日で再確認されることは確実視される。日米間の国際公約として確立するわけだ。


これを受けて、丁寧に国内議論を進めて出来るだけ同調者を拡大する必要がある。みんなや維新は既に「落ち」ており、問題は民主党と公明党だが、民主党は保守派を攻略する必要がある。安倍は野田佳彦や前原誠司と会談しても良いではないか。


丁寧に話を通せば、民主党は確実に対応が割れる。反対派を民主党の左派、共産党、社民党などにとどめれば、公明党は泣きながら付いてくる。今国会末か夏頃に閣議決定すれば秋の法案提出に間に合い。ガイドラインの日程にも影響はない。


そのためには、「行使」の対極にある「歯止め」を重視することだ。「歯止め」で納得させられるかどうかで決まると言っても過言ではない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月17日

◆日米韓ハーグ会談の実現強まる

杉浦 正章



朴は“オバマ仲介”に抵抗できない
 

筆者が14日朝報じた「日米韓首脳会談へ機運」の正確さは、同日の首相・安倍晋三の国会答弁と韓国大統領・朴槿恵の歓迎声明で早くも立証された。


問題は会談が想定されるハーグの核サミットまであと1週間と迫る中で、累卵(るいらん)の構図であることは確かだ。全ては韓国側がこのポジティブな局面をぶち壊さないかどうかにかかっている。


筆者は朴は国内世論の動向を見極めつつ最終判断を下すことになるが、まず出来上がった構図をばらけさす事はないと見る。なぜなら、オバマも絡んでいる事が確実視されるからだ。朴はオバマの信頼を失ってまで「累卵」を壊せば、災いは確実に吾が身に降りかかることを知っている。近く発表となる公算が高い。


事の展開を検証・解明すればそれがよく分かる。まずホワイト・ハウスはさる6日、前米大統領補佐官(国家安全保障担当)・ドニロンに講演させ「オバマ大統領は今月安倍晋三首相と朴槿恵大統領にオランダのハーグで会う機会がある。もしかしたらそこで2人を引き合わせることができるかもしれない」と観測気球を上げた。


同時に政府筋によるとオバマがウクライナ問題で安倍に電話をかけた7日に、「ハーグで日米韓首脳会談を開催しよう」と提案したのだ。安倍はこれを受諾する意向を伝えると同時に、朴の凝り固まった反日姿勢を米側も解きほぐして欲しいと要望した。これを受けて日米外交筋によると、オバマが自ら朴に電話をした可能性が高いという。


こうした下地の上に12日に外務次官・斎木昭隆と外交省第1次官・趙太庸(チョ・テヨン)との会談が行われた。当初、韓国側が用意した斎木への日程は晩餐会や韓国首脳との会談も含め2日間の予定だったが、斎木は急きょ日程を繰り上げて同日中に帰国した。これを見た日韓両国のマスコミは、浅薄にもまたかとばかりに物別れと報じた。


しかし逆だったのである。話がとんとん拍子に進みすぎて斎木は早く帰って首相・安倍晋三に報告して、続く段取りを展開した方がよいと判断したのだ。もちろん続く段取りとは安部が国会答弁で河野談話継承を表明するというものであり、韓国側もオバマからの強い意向があり、これを見た上で判断すると回答せざるを得なかったのだ。


急きょ帰国した斎木は13日午後1時56分から1時間アジア大洋州局長・伊原純一をまじえて安部と会談、国会答弁の内容を綿密に打ち合わせた。その後斎木は自民党日韓議連首脳とも会談して、事態を報告したが、その内容を某筋から筆者が聞いたのは同日深夜である。


もちろん取材源など明らかに出来ないが、実は深い情報があったのだ。一方安倍は質問者は自民党参院議員の有村治子とした。有村は総裁選挙で安部を支持して、一定票を集めた。そのご褒美に超重要答弁の質問者にしてもらったのだ。


こうして安倍は14日午前の参院予算委員会の答弁で「歴史認識については、戦後50周年の機会には村山談話、60周年の機会には小泉談話が出されている。安倍内閣としてはこれらの談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。慰安婦問題については筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。

この点についての思いは私も歴代総理と変わりはない。この問題についてはいわゆる河野談話がある。この談話は官房長官の談話ではあるが、安倍内閣でそれを見直すことは考えていない。歴史に対して我々は謙虚でなければならないと考えている。歴史問題は政治・外交問題化されるべきものではない。歴史の研究は有識者や専門家の手に委ねるべきだと考えている」と答弁した。


事前にぬかりなく外務省は韓国大使館に対して、「午前の首相の国会答弁を注視して欲しい」と連絡した。大使館が至急報で演説内容全文を本国に打電したのは言うまでもない。これを待ちかねたかのように朴は声明を発表「安倍首相が村山談話と河野談話を継承するという立場を発表したことを幸いに思う」と表明した。


こうしてオバマの仲介が奏功しそうな雰囲気となっている。なぜ朴がばらけさせる構図にないかと言えば、無理にオバマ訪韓を求めておいて、会談をぶち壊せば、オバマの顔に泥を塗ることになるからだ。


また朴の意固地なまでの反日路線に対して、国内に批判が台頭している上に、日韓の冷え込みで経済が悪化の一途を辿っていることも挙げられる。


問題は会談内容の事前調整をめぐって韓国側が、ぶちこわしの口実を作るかどうかだが、3国首脳の会談で細部に踏み込むようなことはあるまい。


問題は政権発足以来1年半会談が実現していない状況を、一度打破する必要があるのだ。北朝鮮をけん制するためにも2国間問題に重点を置くよりも、極東の安全保障での協力関係再構築があれば、会談は十分成功なのである。


韓国紙中央日報は筆者の書いた内容をなぞるがごとく「安倍首相の靖国神社参拝後、韓米が日本を攻める構図だったが、現在は日米対韓国の様相となっている」と報じているが、韓国紙にしてはよく理解できている。日本のマスコミではようやくTBSが17日朝、「日米韓首脳会談実現」と先陣を切って報道した。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月14日

◆日米韓首脳会談の機運が生じつつある

杉浦 正章



安倍はこの機会を逃すな


オランダ・ハーグの「核セキュリティーサミット」で日米韓首脳会談が開催できるかどうかだが、日韓外務次官会談は新聞が伝えたように物別れ的な流れではなかったようだ。その証拠に外務次官・斎木昭隆がニコニコしている。


首相・安倍晋三も13日斎木の報告を利いて、改めて三か国首脳会談の実現を指示した。斎木と会った日韓議連会長・額賀福志郎は同日のBS日テレで、「首脳会談の糸口を探ろうという動きが出てきている。そう言う流れに答えていこうという機運がある」と言明した。


会談実現には、サミットまでの10日間にめざましい外交上の進展が必要となるが、米国の仲介により韓国の姿勢も雪解け的な感じを示し始めている。日韓両国ともこの機会は絶対に逃すべきではない。


米国の前米大統領補佐官(国家安全保障担当)・ドニロンがさる6日ワシントンで、日米韓首脳会談の可能性を示唆したから、これは本筋だと見て観察していたら、斎木の訪韓となった。ドニロンは「オバマ大統領は今月安倍晋三首相と朴槿恵大統領にオランダのハーグで会う機会がある。


もしかしたらそこで2人を引き合わせることができるかもしれない」と述べたのだ。24、25両日にハーグで開かれる核安全保障サミットに合わせた会談という構想だ。この米国の新提案の背景には、言うまでもなく4月22日からのオバマによる日韓歴訪がある。


ホワイトハウスにしてみれば、オバマを子供の使いにするわけにはいかない。したがって何が何でも事前に日韓関係を好転させる必要があるのだ。こうした方針は日本の外務省にも伝わり、韓国との調整を求められ、斎木訪韓となったに違いない。


これはとりもなおさず、日米が結託して対韓関係の改善を目指す流れであり、韓国側にしてみれば大変な重圧となるだろう。もともと米国は国務長官・ケリーがさる2月に朴槿恵に「歴史より現実」と対日軟化を要望しており、韓国も米国の仲介をむげにすることも出来なくなっていた。


最初はオバマのアジア歴訪には韓国が入っていなかった。これを2002年のワールドカップサッカーと同じで訪日を利用して無理矢理引っ張り込んだのであり、そのオバマのメンツをつぶせばどうなるかくらいはいくら朴でも分かるはずだ。


米国の意向を受けて安倍の靖国参拝で憤った韓国は徐々に軟化の兆しを見せ始め、3月1日の朴による「独立運動記念日」の講演も1年前とは打って変わった軟らかいトーンで、対日改善策を暗に提示していた。外相・尹炳世も議会答弁で政治と経済・文化を分離する必要に言及するに至っている。


日本側も官房長官・菅義偉が焦点の慰安婦問題で「河野談話を見直さない」と明言すれば、米国務省報道官のサキが10日「河野談話を維持すると官房長官が述べたことに留意している。前向きな一歩だ」と評価するなど、日米は歩調を合わせるに至っている。


そこで焦点は、サミットまでの10日間で、“お膳立て”が出来上がるかどうかである。日本の打算としては、日韓首脳会談だけなら慰安婦問題ばかりが焦点になるから、元国務副長官・アーミテージが述べるように「日本に勝ち目はない」ことになりかねない。

しかしオバマという緩衝材が入って、極東情勢を語れば逆に「勝ち目はある」ことになる。


3首脳会談を前提とした場合の事前調整の焦点となるのは、やはり慰安婦問題での対応だ。これまで安倍は村山談話は「継承する」と明言しているが、河野談話については官房長官・菅義偉に「継承する」と言わせて、使い分けてきた。


朴が1日に「55人のお婆さんたちの傷は当然癒やされなければらならない」と述べているのが何を意味するかだが、一つに「安倍による河野談話継承の明言」があることは間違いない。


もう一つは政府が方針として打ち出した「河野談話の検証」問題である。まず「継承」については、安倍にしてみれば継承を明言すれば韓国側が問題をぶり返さないという保障がない。日本の首相が何度謝ればいいのだという感情的な問題も大きい。


しかし、ここは米国が大局を見ている。談話の踏襲明言などで、極東情勢が安定すれば安いものなのである。従来の政権が繰り返し「踏襲」してきたことでもあり、ことさら安倍が変更することもない。


「検証」についても河野談話で事情を聞いた16人の女性の内既に14人が死亡しており、残る女性は超高齢だ。再聴取などは出来るわけもない。結局「検証」は、韓国へのバーゲニングポジションを高くしておくという、巧妙な外交手段であったかと思えてくる。それならば「検証うやむや化」もあり得ることだ。


一方で、愛する習近平が4月にも訪韓する流れが出てきて、朴は米国と中国の両方にお愛想笑いをしなければならない状態になるかも知れない。中国と仲良くするのは、最大の貿易相手国であるうえに、北朝鮮への“抑え”の側面もあり重要であるに違いない。


しかし極東の情勢は中韓首脳会談の前に日米韓首脳会談があるとないとでは雲泥の差がある。なければ朴が習にさらわれかねないからだ。米国の極東戦略にも影響が生ずる。歴史認識で反日共同声明でも出されたら、日韓関係は決定的となる。


情勢を俯瞰(ふかん)図で見れば、ここに来て朴は、じりじりと日本外交に押され始めていることを感じ取らざるを得ない状況であろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月13日

◆「番犬発言」に小松が怒るのは当然だ

杉浦 正章



野党の“生け贄”作戦に乗るな


どう見ても共産党に売られたけんかに法制局長官・小松一郎が孤軍奮闘している。


それにもかかわらず、安倍政権はろくろく助け船を出さない。小松はがんで入院中だったにもかかわらず、国会論戦を見ていたたまれずに「安静にしていればよくなるという話でもありません」と決死の覚悟で国会答弁に臨んでいる。


その発言は感情的な側面もないわけではないが、共産党や一部マスコミの狙いは、国会答弁で素人の小松の“舌禍”を巻き起こし、集団的自衛権反対の“生け贄”にして辞任に追い込み、安倍政権を挫折させるところにある。


これが分かっていない自民党も公明党も幹部が一緒になって小松を批判している。物事が見えない連中というのは全く度し難い。


共産党の戦略は明らかに、国会における政治的駆け引きになれない小松から、失言を引きだして集団的自衛権容認阻止への突破口にしようとしているところにある。そのやり口を見ると、実に巧妙だ。


まず4日の参院予算委で共産党の小池晃が挑発に出た。小池は小松に対して「あなたは憲法の番人なのだから、安倍政権の番犬みたいなことをするな」と噛みついた。よほどこの侮辱発言が悔しかったのか、小松はこれに乗ってしまった。


翌日社民党の質問に対して「共産党は日頃から国民の人権をことさら重視している。公務員にもプライバシーや名誉にかかわるものも含め憲法上基本的人権が保障されている」と反論したのだ。本来なら共産党の質問に答えるべきところだが、小松から見れば共産党も社民党も大差ないと思ったに違いない。筆者でもそう思う。


この答弁を聞いて、共産党はしめたと思ったに違いない。「引っかかってきた」と思ったのだ。そして答弁から2日もたった7日に、参院予算委終了後、国会の廊下で共産党の大門実紀史が小松を呼び止め「共産党に直接抗議して欲しかった」と絡んだ。


重病を患うと誰でも短気になるが、小松が反論すると大門は「あなたはそんなに偉いのか」とさらに挑発。顔を近づけてつかみかからんばかりの大げんかとなった。松の廊下ならぬ院内廊下の刃傷ならぬ口論だ。マスコミに報道されて上からまずいと注意されたのか小松は、必要も無いのに12日大門事務所を訪れて謝罪した。


共産党を相手にして謝罪すれば済むと思った小松が浅慮であった。案の定大門はこともあろうに一番の弱点の病気を突いて挑発した。必死の覚悟で病院を抜け出ている者に対して、全国最大規模の建設労働組合出身の大門は「法制局長官を辞任して療養に専念すべきだ」と、まるで吉良上野介のように嫌味たっぷりに“いたぶった”のだ。


小松は鯉口は刀を持っていなかったから切れないが、堪忍袋の緒は切った。「そんなことは言うべきではない」と食って掛かってまたまたけんか別れだ。


小松発言問題はもう一つある。小松が「安倍首相は国家安全基本法案を国会に提出するという考えにはない」と発言した点である。これが「法制局長官如きが首相の意向を述べるのは生意気だ」と自民党の一部から不満が出た。参院自民党幹事長・脇雅史は「法制局長官に法案提出権があるわけではない。余計なことだ」と批判した。


しかし、安倍が基本法案を提出しないことなどは常識になっている。秘密保護法で懲りて、集団的自衛権の行使関連法案を一本化せず、自衛隊法の改正など数本の法案改正に分散して秋の臨時国会で処理する戦術に変更する方針だからだ。別に小松が発言しても既成の事実を踏襲しただけで問題はない。


要するに冒頭説明したように、小松批判は野党とマスコミの一部による一点突破の生け贄にしようとする魂胆が濃厚なのだ。


小松は安倍が憲法解釈を「私が最終判断をする」と述べた点で野党と一部マスコミが「立憲主義の否定」と大騒ぎしている問題について反論している。「立憲主義の否定には当たらない。的外れの批判だ」と発言して、真っ向から対決しようとしているのだ。


その小松を仕返ししておとしめようとばかりに一部新聞の記者が質問するのに乗ってしまって、脇のように浅薄にも自民党内から小松を批判したり、このところ態度がでかい公明党国対委員長・漆原良夫のように「発言は注意して欲しい」といった苦情が出るのだ。


まさに小松は集団的自衛権の行使をめぐって孤軍奮闘の感がある。時には野党とけんかする型破りの法制局長官がいてもいいと思う。


しかし政府・与党は冷たい。首相周辺からは「かばいきれなくなる」との声が上がる。さすがに首相・安倍晋三は「立派に仕事をやり遂げていただきたい」と問題視していないが、当然である。ここで小松の首級をあげられては、集団的自衛権の行使容認が大きな挫折を迎えることになりかねないからだ。


首相周辺はかばいきれなくても、かばわなければならない構図であることを知るべきだ。かばわなければ災いは自らに降りかかるのだ。まあ、小松も自らを抑えて、法解釈に専念すべきであろう。いくら政治の素人だと言っても、共産党ごときとけんかをしても何の得もない。損するだけだ。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月12日

◆議員劣化の元凶は小選挙区にある

杉浦 正章
 


中選挙区に戻して“大物”を育てよ


首相側近の右傾化発言が、こだまがこだまを呼ぶように世界中に広がって、いまだに反響が止まらない。一番の問題は首相・安倍晋三が側近発言を「個人の発言」として、否定しないことだ。これが、米国の新聞に疑心暗鬼を呼び、中韓両国に揚げ足を取られる最大の理由であろう。


しかし問題の根はもっと深いところにある。それは政治家の質の低下である。首相補佐官・衛藤晟は参院議員だが総裁特別補佐・萩生田光一は衆議院議員。いずれもレベルの低さは目を被いたくなるが、最近は一般的風潮としてこの種の議員が多い。まるで村議と言えば村議が怒るが、その程度だ。なぜこうなってしまったか。


とりわけ衆院議員の劣化に問題がある。その原因は小選挙区制にあるとしか考えられない。


「昔は良かった」は年寄りの繰り言じみてくるが、昔の政治家は少なくとも“大物”に見えた。ある特定の分野では官僚も顔負けの知見を有していた議員が多かった。故人となって久しいが、その代表例が自民党の税制調査会長・山中貞則だ。


硬骨漢で中曽根内閣当時、税制改革に関して中曽根をバカ、マヌケ呼ばわりしたこともあった。信条として税制に関する限り一切の陳情及び取材を受付けなかった。税調会長当時に選挙区の主要産業である葉タバコや焼酎の増税案が通過しているほどだ。


さらに外交では衆院議員・椎名素夫であろう。アメリカを「日本の番犬」呼ばわりした外相・椎名悦三郎の息子であり、父親に勝るとも劣らない外交通であった。安保・防衛では屈指の論客であり、何よりも重要なのは米国と深い人脈で結ばれていた。米国の知日派ジャパン・ハンドの重鎮であるマイケル・グリーンは椎名事務所のスタッフであった。


こうした人脈を活用して対米工作、ロビー活動を展開した。中曽根とレーガンの「ロン・ヤス関係」を裏で作り上げたのは椎名であった。今こういった大物政治家はいない。日米関係では衆院議員・塩崎恭久あたりが活発に動いており、期待が持てるがまだ力を養っていない。


派閥の領袖もさっぱりだめだ。名門宏池会の外相・岸田文男も、存在感が希薄だ。なぜこのように衆院議員が小粒になってしまったかと言えば、紛れもなく選挙制度の欠陥にある。山中や椎名のような人材が育たないのである。


なぜ育たないかと言えば、育つ暇がないのだ。まず第一に選挙の度に大量の落選者が出る。小選挙区は「風」で当落が決まるケースが多く、毎回大量に新人議員が当選する。細川チルドレン、小泉チルドレン、小沢チルドレン、そして安倍チルドレンといった具合だ。幻のように現れては消える政治家が何と多いことか。これが育たない元凶ナンバー1だ。
 


そして元凶ナンバー2は、政党のポピュリズム化だ。政党はチルドレンの大量当選を狙って、大衆迎合路線を取る。そして戦後最大の悪夢民主党政権の3年間へとつながるのだ。


次ぎに小選挙区は1人を選ぶから、勢い選挙戦が激しくなり、地元に付きっきりにならなければ再選されない。票にならない外交や内政などどうでも良く、もっぱらどぶ板選挙を展開せざるを得なくなる。外交など勉強するひまなどないのが実情だ。


一方で比例区は比例区で、執行部の選択に政策重視の視点などあったためしがない。情実やコネ、派閥の事情などが優先で一大暗愚議員集団を形成してしまっている。衛藤などいい例だ。こうして議員は劣化の一途を辿ってゆくのである。


歴史上戦前一度だけ小選挙区が導入された時期がある。原敬が1919年に導入したが、21年に暗殺されて25年には中選挙区になった。


現行小選挙区比例代表制導入の理由として、後藤田正晴らは政権交代可能な制度であることをを強調したが、それはイギリスでの話だ。日本で政権交代可能な2大政党時代が到来したのは、中選挙区になってからである。政友会、民政党が政権交代をして2大政党制の時代を築いたのだ。


こう見てくると、どうも日本的政治風土には中選挙区制が似合う気がしてならない。おりから国会は与野党が衆院選挙制度改革をめぐって有識者による第三者機関を設置して議員定数削減を議論することで合意した。ところがまたもピントを外している。


第三者機関では定数削減を最優先するというのだが、一部マスコミに踊らされている。定数を削減して国家予算からすれば微々たる費用を浮かせて何になるかと言うことだ。マスコミは会社のリストラ的な発想から削減を主張するが、日本の国会議員の定数は、主要国に比べて少なすぎるくらいだ。


人口100万人あたりの議員数ではスエーデンが38人で最多。イギリス22,カナダ12、ドイツ8人といった順で、日本は5人だ。しかもOECD加盟34か国中国会議員の数は日本が33番目だ。したがってこれ以上議員の数を減らすべきではない。むしろ選挙制度を抜本的に変更して、中選挙区への移行を諮問すべきである。


もう小選挙区制の弊害は見すぎるほど見てきた。これ以上、議員を劣化させてはならない。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月05日

◆原発新増設をためらう必要はない

杉浦 正章



エネルギー計画で鮮明にさせよ


一体何回負けたら気が済むのかと思いたくなるのが「原発ゼロ」派だ。総選挙で負け、参院選挙で負け、都知事選挙で負けたにもかかわらず、いまだにゼロを主張して、自民党副幹事長・河野太郎を筆頭に政府提案の「エネルギー基本計画」に大幅修正を加えようとしている。


こんどは「総選挙の公約違反だ」と言いだした。人間自分の都合の悪いことはすぐに忘れると見える。総選挙は「原発ゼロ」の大合唱の中で自民党だけが「再稼働」を唱えて圧勝したのであり、公約違反の指摘は全く当たらない。


むしろ基本計画がほのめかしている「原発新増設」を、今月中に作る最終案ではより一層明確にすべきである。国会やマスコミから審査の遅れを指摘されている原子力規制委員会もようやく重い腰を上げて、優先審査に取りかかり夏には再稼働1号が出る見通しとなった。


基本計画のポイントは民主党政権が打ち出した亡国の「2030年代ゼロ」の方針を180度転換して、原発を重要電源と位置づけて活用する方針を打ち出したことだ。首相・安倍晋三も「世界で最も厳しい基準で規制委員会が安全だと判断した原発は再稼働する」と明言した。


将来の科学技術への希望を託して核燃料サイクルも推進の方向だ。太陽光など再生可能エネルギーの導入については「3年程度導入を最大限加速する」とした。政府・与党は政権に就いたときから「3年様子を見る」としてきたが、今回期限を3年と区切った理由は何かと言えば、なかなかめどが立たないことを意味している。


ドイツの例に見られるように太陽光の買い取りは、電気料金の高騰を招き国民の生活と経済を圧迫しており、理想通りに行かないのが実情だ。スペインは買い取り制度が完全に破たんした。3年程度様子を見て見極めればよい。


もちろん蓄電池の開発などが進めば、将来展望が開ける可能性はあるが、太陽光は天候の影響と夜間の停滞、風力は風次第であり不安定さは否めない。


計画が位置づけた電源は「重要なベースロード電源」が、原子力、石炭、水力、地熱。「ミドル電源」が天然ガス、LPガス。ピーク時に使うコストの高い「ピーク電源」が石油、揚水式水力であり、1%に満たない再生可能エネルギーは位置づけされていない。


河野が「原発は過度的な電源として明記すべき」と主張しても、「名月をとってくれろと泣く子かな」(一茶)の域を出ないのだ。


それどころか、今後のエネルギー政策の動向を分析すれば、原発を中心としたエネルギーミックスしか方途がないことは歴然である。経団連会長の米倉弘昌が「原発が一定割合の発電を担うなら、新規の発電所も認めざるを得ない時期が来る」と述べ、新設が必要だとの考えを示したのは実にもっともな判断である。


さらに米倉は「安全な原発の研究が世界的に進んでいる。古い原発を廃炉にし、汚染物質の量を減らす安全性の面からも必要だ」とも強調している。これに対して河野は「原発を40年で廃炉にするならば2050年にはゼロになる」と捕らぬタヌキの皮算用をしているが、若い割りには科学的知見が貧弱だ。


要するに河野に代表される「ゼロ」論は日進月歩の科学技術を無視しているのだ。福島で事故を起こした原発は第1世代であり、その後第2世代を経て現在の世界の潮流は第3世代に至っている。


第3世代の原発は、福島事故を経てシビアアクシデント対策が最重視され、導入されている。福島とは全く別物と言ってよい原発である。


30年たつと科学技術がどれくらい進歩するかは、端的に言って車を見れば明白だ。ガソリン車から電気自動車へと変ぼうし、水素自動車までできている。安全性も注意力散漫になる人間の特性を考慮して、運転のほとんどをコンピューターが行う車まで出来ている。同様に原発も考えられるあらゆる事故を想定した第3世代の時代になっているのだ。


世界の潮流を見れは現在430基があり、今後さらに100基の建造が予定され、世界は第3世代の原発を軸に原発建造ブームとなっている。化石燃料を燃やしてCO2を垂れ流しにして、地球温暖化と気候大変動を招いている現状の方が、原発よりよほど危険で、死傷者も多いことを世界各国が認識している証拠である。


したがって日本だけが新増設しなければ、国力は相対的に下落傾向をたどり、しまいには韓国にまで追い抜かれかねない。


今回のエネルギー計画も原発新増設への門戸を閉ざしているわけではない。原発依存度について「確保していく規模を見極める」としたのだ。明らかに今後の新増設に含みを残したものと言える。第1世代の原発は老朽化が著しく、稼働させてもコストがかかってペイしない公算が高い。


したがって遅くとも2020年代を目指してリプレースを軸に新増設を推進する方向を打ち出すべきだ。電力の安定供給と、世界の原発の安全性、効率性を確保するためにも、信頼されている生産国の日本がちゅうちょすべき時ではない。

【筆者より】
義母永眠のためしばらく休みます。再開は12日よりとします。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)